日本住宅公団法

法律第五十三号(昭三〇・七・八)

目次

 第一章 総則(第一条―第九条)

 第二章 管理委員会(第十条―第十九条)

 第三章 役員及び職員(第二十条―第三十条)

 第四章 業務(第三十一条―第三十四条)

 第五章 土地区画整理事業(第三十五条―第四十三条)

 第六章 財務及び会計(第四十四条―第五十五条)

 第七章 監督(第五十六条・第五十七条)

 第八章 補則(第五十八条―第六十一条)

 第九章 罰則(第六十二条―第六十四条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 日本住宅公団は、住宅の不足の著しい地域において、住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行うとともに、健全な新市街地を造成するための土地区画整理事業を施行することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。

 (法人格)

第二条 日本住宅公団(以下「公団」という。)は、法人とする。

 (事務所)

第三条 公団は、主たる事務所を東京都に置く。

2 公団は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。

 (資本金)

第四条 公団の資本金は、六十億円と公団の設立に際し地方公共団体が出資する額の合計額とする。

2 政府は、公団の設立に際し、前項の六十億円を出資するものとする。

3 公団は、必要があるときは、建設大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。

4 政府及び地方公共団体は、前項の規定により公団がその資本金を増加するときは、公団に出資することができる。

5 政府及び地方公共団体は、公団に出資するときは、土地又は建物その他の土地の定着物(以下本条において「土地等」という。)をもつて出資の目的とすることができる。

6 前項の規定により出資の目的とする土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。

7 前項に規定する評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。

 (定款)

第五条 公団は、定款をもつて、次の事項を規定しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 事務所の所在地

 四 資本金及び資産に関する事項

 五 管理委員会及びその委員に関する事項

 六 役員に関する事項

 七 業務及びその執行に関する事項

 八 住宅債券の発行に関する事項

 九 会計に関する事項

 十 公告に関する事項

2 定款の変更は、建設大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (登記)

第六条 公団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。

2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することはできない。

3 登記した事項は、登記所において、遅滞なく、公告しなければならない。

 (解散)

第七条 公団の解散に関する事項は、次項に定めるものを除くほか、別に法律で定める。

2 公団が解散した場合において残余財産があるときは、これを公団に出資した者に対し、出資の額に応じて分配しなければならない。

 (名称使用の制限)

第八条 公団でない者は、日本住宅公団という名称又はこれに類似する名称を用いてはならない。

 (民法の準用)

第九条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条、第五十条及び第五十四条の規定は、公団に準用する。

   第二章 管理委員会

 (設置)

第十条 公団に、管理委員会(以下本章において「委員会」という。)を置く。

 (権限)

第十一条 次に掲げる事項は、委員会の議決を経なければならない。

 一 定款の変更

 二 予算、事業計画及び資金計画

 三 決算

 (組織)

第十二条 委員会は、委員五人及び公団の総裁をもつて組織する。

2 委員会に委員長一人を置き、委員の互選により選任する。

3 委員長は、委員会の会務を総理する。

4 委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に事故がある場合にその職務を代理する者を定めておかなければならない。

 (委員の任命)

第十三条 委員は、建設大臣が任命する。この場合においては、委員のうち二人は、公団に出資した地方公共団体の長が共同推薦した者のうちから任命しなければならない。

 (委員の任期)

第十四条 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

 (委員の欠格条項)

第十五条 次の各号の一に該当する者は、委員となることができない。

 一 国務大臣、国会議員、政府職員(人事院が指定する非常勤の者を除く。)又は地方公共団体の議会の議員

 二 政党の役員

 三 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であつて公団と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらのものが法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 四 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)

 五 公団の役員又は職員

 (委員の解任)

第十六条 建設大臣は、委員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その委員を解任しなければならない。

2 建設大臣は、委員が次の各号の一に該当するとき、その他委員たるに適しないと認めるときは、その委員を解任することができる。

 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

 二 職務上の義務違反があるとき。

 (委員の報酬)

第十七条 委員は、報酬を受けない。ただし、旅費その他職務の遂行に伴う実費を受けるものとする。

 (議決の方法)

第十八条 委員会は、委員長又は第十二条第四項に規定する委員長を代理する者のほか、委員及び総裁のうち二人以上が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。

2 委員会の議事は、出席者の過半数をもつて決する。可否同数のときは、委員長が決する。

3 委員会は、公団の役員又は職員をその会議に出席させて、必要な説明を求めることができる。

 (委員の公務員たる性質)

第十九条 委員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

   第三章 役員及び職員

 (役員)

第二十条 公団に、役員として、総裁一人、副総裁一人、理事五人以上及び監事三人以上を置く。

 (役員の職務及び権限)

第二十一条 総裁は、公団を代表し、その業務を総理する。

2 副総裁は、定款の定めるところにより、公団を代表し、総裁を補佐して公団の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。

3 理事は、定款の定めるところにより、公団を代表し、総裁及び副総裁を補佐して公団の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行う。

4 監事は、公団の業務を監査する。

 (役員の任命)

第二十二条 総裁及び監事は、建設大臣が任命する。

2 副総裁及び理事は、総裁が建設大臣の認可を受けて任命する。

 (役員の任期)

第二十三条 役員の任期は、四年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 役員は、再任されることができる。

 (役員の欠格条項)

第二十四条 第十五条第一号から第四号までの一に該当する者は、役員となることができない。

 (役員の解任)

第二十五条 建設大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が第十五条第一号から第四号までの一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。

2 建設大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が第十六条第二項各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

3 総裁は、前項の規定によりその任命に係る役員を解任しようとするときは、あらかじめ、建設大臣の認可を受けなければならない。

 (役員の兼職禁止)

第二十六条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。

 (代表権の制限)

第二十七条 公団と総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監事が公団を代表する。

 (代理人の選任)

第二十八条 総裁、副総裁及び理事は、公団の職員のうちから、公団の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。

 (職員の任命)

第二十九条 公団の職員は、総裁が任命する。

 (役員及び職員の公務員たる性質)

第三十条 第十九条の規定は、役員及び職員について準用する。

   第四章 業務

 (業務の範囲)

第三十一条 公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。

 一 住宅の建設、賃貸その他の管理及び譲渡を行うこと。

 二 宅地の造成、賃貸その他の管理及び譲渡を行うこと。

 三 公団が賃貸し、又は譲渡する住宅及び公団が賃貸し、又は譲渡する宅地に建設される住宅の居住者の利便に供する施設(以下本章において「施設」という。)の建設、賃貸その他の管理及び譲渡を行うこと。

 四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

 五 土地区画整理事業を施行すること。

 六 前五号に掲げる業務の遂行に支障のない範囲内で、委託により、住宅の建設及び賃貸その他の管理、宅地の造成及び賃貸その他の管理並びに施設の建設及び賃貸その他の管理を行うこと。

 (住宅の建設等の基準)

第三十二条 公団は、住宅の建設、賃貸その他の管理及び譲渡、宅地の造成、賃貸その他の管理及び譲渡並びに施設の建設、賃貸その他の管理及び譲渡を行うときは、建設省令で定める基準に従つて行わなければならない。

 (業務方法書)

第三十三条 公団は、業務開始の際、業務方法書を定め、建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。

2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、建設省令で定める。

 (地方公共団体の長の意見の聴取)

第三十四条 公団は、住宅の建設又は宅地の造成をしようとするときは、当該住宅の建設計画又は宅地の造成計画について、あらかじめ、当該住宅の建設又は宅地の造成をしようとする地域をその区域に含む地方公共団体の長の意見を聞かなければならない。

   第五章 土地区画整理事業

 (土地区画整理事業の施行)

第三十五条 公団が施行する土地区画整理法(昭和二十九年法律第百十九号)第三条の二第一項の規定による土地区画整理事業(以下第三十九条、第四十二条及び第四十三条を除き、本章において「土地区画整理事業」という。)については、同法及び本章の定めるところによる。

 (施行規程及び事業計画)

第三十六条 公団は、土地区画整理事業を施行しようとするときは、施行規程及び事業計画(土地区画整理事業の事業計画をいう。以下本条において同じ。)を定め、建設大臣の認可を受けなければならない。

2 公団は、前項に規定する認可の申請をしようとするときは、第四項の規定により聴取した地方公共団体の長の意見を記載した書類を認可申請書に添付しなければならない。

3 土地区画整理法第五十三条第二項の規定は、第一項の施行規程について、同法第六条の規定は、同項の事業計画について準用する。

4 公団は、第一項の事業計画を定めようとするときは、当該事業計画について、あらかじめ、施行地区となるべき区域をその区域に含む地方公共団体の長の意見を聞かなければならない。

5 建設大臣は、第一項に規定する認可の申請があつたときは、施行規程及び事業計画を二週間公衆の縦覧に供しなければならない。

6 利害関係者(土地区画整理法第二十条第二項に規定する利害関係者をいう。)は、前項の規定により縦覧に供された施行規程及び事業計画について意見があるときは、縦覧期間内に、建設大臣に意見書を提出することができる。

7 建設大臣は、前項の規定により意見書の提出があつたときは、その内容を審査し、その意見書に係る意見を採択すべきであると認めるときは、公団に対し施行規程及び事業計画に必要な修正を加えるべきことを命じ、その意見書に係る意見を採択すべきでないと認めるときは、その旨を意見書を提出した者に通知しなければならない。この場合において、建設大臣は、意見書の内容を審査しようとするときは、施行地区となるべき区域をその区域に含む都道府県に置かれる都市計画審議会の意見を聞かなければならない。

8 公団が前項の規定により施行規程及び事業計画に必要な修正を加えたときは、その修正に係る部分について、更に第五項から本項までに規定する手続を行うベきものとする。

9 建設大臣は、第一項に規定する認可をしたときは、遅滞なく、建設省令で定める事項を公告しなければならない。

10 公団は、前項の公告があるまでは、施行規程及び事業計画をもつて第三者に対抗することができない。

11 公団は、第一項の施行規程又は事業計画を変更しようとするときは、建設大臣の認可を受けなければならない。

12 第二項の規定は、前項に規定する認可の申請をしようとするときについて、第四項から第八項までの規定は、第一項の施行規程又は事業計画を変更しようとするとき(政令で定める軽微な変更をしようとするときを除く。)について、第九項及び第十項の規定は、前項の規定による認可をしたときの公告について準用する。

 (土地区画整理審議会)

第三十七条 公団が施行する土地区画整理事業ごとに、公団に土地区画整理審議会(以下本条において「審議会」という。)を置く。

2 施行地区を工区に分けたときは、前項に規定する審議会は、工区ごとに置くことができる。

3 土地区画整理法第五十六条第三項及び第四項並びに同法第五十七条から第六十四条までの規定は、前二項の規定により置かれる審議会について準用する。この場合において、同法第五十八条第三項、第七項及び第八項並びに同法第六十二条第一項中「都道府県知事又は市町村長」とあるのは「日本住宅公団総裁」と、同法第六十四条中「都道府県又は市町村」とあるのは「日本住宅公団」と読み替えるものとする。

4 第十九条の規定は、審議会の委員について準用する。

 (評価員)

第三十八条 土地区画整理法第六十五条の規定は、公団が施行する土地区画整理事業について準用する。この場合において、同条第一項中「都道府県知事又は市町村長」とあるのは「日本住宅公団総裁」と、同条第一項及び第三項中「都道府県又は市町村」とあるのは「日本住宅公団」と読み替えるものとする。

2 第十九条の規定は、前項において準用する土地区画整理法第六十五条第一項の規定により選任される評価員について準用する。

 (技術的援助の請求)

第三十九条 公団は、公団が施行する土地区画整理法第三条の二第一項の規定による土地区画整理事業の施行の準備又は施行のために、建設大臣、都道府県知事及び市町村長に対し、土地区画整理事業に関し専門的知識を有する職員の技術的援助を求めることができる。

 (費用の負担)

第四十条 公団が施行する土地区画整理事業に要する費用は、公団が負担する。

2 公団は、公団が施行する土地区画整理事業の施行により利益を受ける地方公共団体に対し、その利益を受ける限度において、その土地区画整理事業に要する費用の一部を負担することを求めることができる。

3 前項の場合において、地方公共団体が負担する費用の額及び負担の方法は、公団と地方公共団体とが協議して定める。

4 前項の協議が成立しないときは、当事者の申請に基き、建設大臣が裁定する。この場合において、建設大臣は、当事者の意見を聞かなければならない。

5 地方公共団体は、第三項又は前項の規定により定められた負担金を、政令で定めるところにより、当該地方公共団体の発行する地方債の証券をもつて納付することができる。

 (訴願)

第四十一条 公団又は行政庁が、公団が施行する土地区画整理事業に関し、土地区画整理法又は本章の規定に基いてした処分に対して不服のある者は、当該処分のあつた日から一月以内に建設大臣に訴願することができる。

 (土地区画整理法の適用)

第四十二条 公団が施行する土地区画整理法第三条の二第一項の規定による土地区画整理事業については、公団を同法第三条第四項の規定により土地区画整理事業を施行しようとし、又は施行する市町村長とみなし、当該土地区画整理事業を同法同条同項の規定により市町村長が施行する土地区画整理事業とみなして、同法第七十二条第一項前段及び第二項から第七項まで、第七十三条、第七十四条、第七十六条から第八十四条まで、第八十五条第一項及び第三項から第五項まで、第八十六条、第八十七条、第八十八条第二項から第七項まで、第八十九条から第九十五条まで、第九十六条第二項及び第三項、第九十七条第一項及び第三項、第九十八条から第百七条まで、第百八条第一項前段、第百九条、第百十条第一項から第四項まで、第百十一条から第百十七条まで、第百二十条、第百二十八条から第百三十五条まで並びに第百三十九条から第百四十二条までの規定を適用する。ただし、土地区画整理法第七十三条第一項、第七十八条第一項及び第百一条第一項から第三項までの規定による損失の補償は、公団が行うものとし、同法第九十六条第二項の規定により換地計画において定められた保留地は、同法第百三条第四項の公告があつた日の翌日において、公団が取得するものとする。

 (都道府県知事又は市町村長が施行する土地区画整理事業の費用の負担)

第四十三条 公団は、土地区画整理法第三条第四項前段の規定により都道府県知事又は市町村長が施行する土地区画整理事業で、建設大臣が公団の行う住宅の建設又は宅地の造成のために必要であると認めたものについては、その土地区画整理事業に要する費用の全部又は一部を負担する。

2 前項の場合において、公団が負担する費用の額及び負担の方法は、公団と当該都道府県又は市町村とが協議して定める。

3 第四十条第四項の規定は、前項の協議が成立しないときについて準用する。

4 土地区画整理法第百十八条第三項の規定は、同法第三条第四項前段の規定により都道府県知事又は市町村長が施行する土地区画整理事業で、第一項の規定により公団がその費用の全部又は一部を負担するものについては、適用しない。

   第六章 財務及び会計

 (事業年度)

第四十四条 公団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。

 (予算等の認可)

第四十五条 公団は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、事業年度開始前に、建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。

2 公団は、前項の規定による建設大臣の認可を受けたときは、予算、事業計画及び資金計画に関する書類を、公団に出資した地方公共団体に提出しなければならない。

 (決算)

第四十六条 公団は、毎事業年度の決算を翌年度の七月三十一日までに完結しなければならない。

 (財務諸表)

第四十七条 公団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下本条において「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に建設大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

2 公団は、前項の規定により財務諸表を建設大臣に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添附し、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。

3 公団は、第一項の規定による建設大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、各事務所に備えて置かなければならない。

4 公団は、第一項の規定による建設大臣の承認を受けたときは、財務諸表及び決算報告書を、公団に出資した地方公共団体に提出しなければならない。

 (利益及び損失の処理)

第四十八条 公団は、毎事業年度、経営上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。

2 公団は、毎事業年度、経営上損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。

 (借入金及び住宅債券)

第四十九条 公団は、建設大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は住宅債券を発行することができる。

2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、建設大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。

3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。

4 第一項の規定による住宅債券の債権者は、公団の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

6 公団は、建設大臣の認可を受けて、住宅債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。

7 前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社については、商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条までの規定を準用する。

8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、住宅債券に関し必要な事項は、政令で定める。

 (政府からの貸付等)

第五十条 政府は、公団に対し、長期若しくは短期の資金の貸付をし、又は住宅債券の引受をすることができる。

 (債務保証)

第五十一条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、公団の債務について、保証契約をすることができる。

 (償還計画)

第五十二条 公団は、毎事業年度、長期借入金及び住宅債券の償還計画をたてて、建設大臣の認可を受けなければならない。

 (余裕金の運用)

第五十三条 公団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

 一 国債その他建設大臣の指定する有価証券の取得

 二 銀行ヘの預金又は郵便貯金

 (給与及び退職手当の支給の基準)

第五十四条 公団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め、又は変更しようとするときは、建設大臣の承認を受けなければならない。

 (建設省令への委任)

第五十五条 この法律及びこれに基く政令に規定するもののほか、公団の財務及び会計に関し必要な事項は、建設省令で定める。

   第七章 監督

 (監督)

第五十六条 公団は、建設大臣が監督する。

2 建設大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。

 (報告及び検査)

第五十七条 建設大臣は、必要があると認めるときは、公団に対して業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員をして公団の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

   第八章 補則

 (建築基準法等の適用) 

第五十八条 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第十八条及び宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二十三条の規定の適用については、公団は、国とみなす。

 (恩給)

第五十九条 恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員(以下本条において「公務員」という。)又は同条に規定する公務員とみなされる者(以下本条において「公務員とみなされる者」という。)が引き続いて公団の役員又は職員となつたときは、恩給法の一部を改正する法律(昭和二十二年法律第七十七号。以下「法律第七十七号」という。)附則第十条又は住宅金融公庫法(昭和二十五年法律第百五十六号)第三十八条の三の規定の適用については、法律第七十七号附則第十条第一項中「引き続いて公務員又は公務員とみなされる者として在職し」とあり、又は住宅金融公庫法第三十八条の三第一項中「引き続いて同条に規定する公務員又は公務員とみなされる者として在職し」とあるのは、「引き続いて公務員若しくは公務員とみなされる者又は日本住宅公団の役員若しくは職員として在職し」と読み替えるものとする。

2 他の法律の規定において法律第七十七号附則第十条の規定を準用するときは、前項の規定により読み替えられた同条第一項の規定を準用するものとする。

3 公団の設立の際現に公務員又は公務員とみなされる者として在職する者が、引き続いて公団の役員又は職員となり、更に引き続いて公務員又は公務員とみなされる者となつたとき(公団の設立の際現に公務員又は公務員とみなされる者として在職する者が引き続いて公務員又は公務員とみなされる者として在職し、更に引き続いて公団の役員又は職員となり、更に引き続いて公務員又は公務員とみなされる者となつたときを含む。)は、その公務員又は公務員とみなされる者に給すべき普通恩給については、当該公団の役員又は職員としての在職年月数を公務員又は公務員とみなされる者としての在職年月数に通算する。

4 第一項(他の法律の規定において第一項の規定により読み替えられた法律第七十七号附則第十条第一項の規定を準用するときを含む。)及び前項の規定は、公団の役員又は職員となるまでの公務員又は公務員とみなされる者としての在職年が普通恩給についての最短恩給年限に達する者については、適用しないものとする。

5 第三項の規定の適用を受ける者についての恩給法第六十四条ノ二の規定の適用又は準用については、公団の役員又は職員としての就職を再就職とみなす。

第六十条 公団は、前条第一項(他の法律の規定において同条同項の規定により読み替えられた法律第七十七号附則第十条第一項の規定を準用するときを含む。)及び第三項の規定の適用を受ける公団の役員若しくは職員であつた者又はその遺族の恩給の支払に充てる金額を、政令で定めるところにより、国庫又は地方公共団体に納付するものとする。

 (大蔵大臣等との協議)

第六十一条 建設大臣は、次の場合には、あらかじめ、大蔵大臣と協議しなければならない。

 一 第四条第三項、第四十五条第一項、第四十九条第一項、第二項ただし書及び第六項並びに第五十二条の規定による認可をしようとするとき。

 二 第四十七条第一項及び第五十四条の規定による承認をしようとするとき。

 三 第五十三条第一号の規定による指定をしようとするとき。

 四 第五十五条の規定により建設省令を定めようとするとき。

2 建設大臣は、第四十条第四項(第四十三条第三項において準用する場合を含む。)の規定による裁定をしようとするときは、あらかじめ、自治庁長官と協議しなければならない。

   第九章 罰則

 (罰則)

第六十二条 公団が第五十七条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、その違反行為をした公団の役員又は職員を三万円以下の罰金に処する。

第六十三条 次の場合においては、その違反行為をした公団の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。

 一 この法律により建設大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。

 二 第六条第一項の規定に違反して登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。

 三 第三十一条及び附則第三条に規定する業務以外の業務を行つたとき。

 四 第五十三条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

 五 第五十六条第二項の規定による建設大臣の命令に違反したとき。

第六十四条 第八条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (設立の手続)

第二条 建設大臣は、設立委員を命じ、公団の設立に関する事務を処理させる。

2 設立委員は、定款を作成し、建設大臣の認可を受けなければならない。

3 前項の認可を受けたときは、設立委員は、地方公共団体に対し、公団に対する出資を募集しなければならない。

4 設立委員は、前項の募集が終つたときは、建設大臣に対して、設立の認可を申請しなければならない。

5 前項の認可を受けたときは、設立委員は、政府及び出資の募集に応じた地方公共団体に対し、出資金の払込又は出資の目的たる財産の給付を求めなければならない。

6 出資金の払込又は出資の目的たる財産の給付があつた日(出資金が分割して払い込まれるとき、又は出資の目的たる財産が分割して給付されるときは、第一回の払込又は給付があつた日)において、設立委員は、その事務を公団の総裁に引き継がなければならない。

7 公団の総裁が前項の事務の引継を受けたときは、その引継を受けた日において、役員の全員は、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。

8 公団は、前項の規定による設立の登記をすることによつて成立する。

 (業務の特例)

第三条 公団は、第三十一条に規定する業務のほか、当分の間、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第七条の規定に基き政府が接受することに同意したアメリカ合衆国政府の職員の居住の用に供する住宅の賃貸その他の管理を行うことができる。

 (昭和三十年度の予算等に関する経過措置)

第四条 昭和三十年度に係る第四十五条の規定の適用については、同条第一項前段中「毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、事業年度開始前に」とあるのは、「公団の成立後遅滞なく、昭和三十年度の予算、事業計画及び資金計画を作成し」と読み替えるものとする。

 (登録税法の改正)

第五条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第十九条中第一号ノ三の次に次の一号を加える。

  一ノ四 日本住宅公団自己ノ為ニスル登記又ハ登録

 (印紙税法の改正)

第六条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。

  第五条第六号ノ六中「法令ニ依ル公団」を「日本住宅公団」に改める。

 (所得税法の改正)

第七条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項中第四号の次に次の一号を加える。

  四の二 日本住宅公団

 (法人税法の改正)

第八条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。

  第四条第二号中「日本電信電話公社、」の下に「日本住宅公団、」を加える。

 (地方税法の改正)

第九条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の四第一項第二号中「日本電信電話公社、」の下に「日本住宅公団、」を加える。

  第七十三条の四第一項に次の一号を加える。

  九 日本住宅公団が日本住宅公団法(昭和三十年法律第五十三号)第三十一条第二号に規定する業務の用に供する土地

 (土地収用法の改正)

第十条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。

  第三条第三十号中「又は地方公共団体」を「、地方公共団体又は日本住宅公団」に改める。

 (簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の改正)

第十一条 簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律(昭和二十七年法律第二百十号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項に次の二号を加える。

  九 日本住宅公団の発行する住宅債券

  十 日本住宅公団に対する貸付

 (土地区画整理法の改正)

第十二条 土地区画整理法の一部を次のように改正する。

  第三条第三項中「次項」を「本章」に改める。

  第一章中第三条の次に次の一条を加える。

  (日本住宅公団の施行する土地区画整理事業)

 第三条の二 日本住宅公団は、建設大臣が日本住宅公団の行う住宅の建設又は宅地の造成とあわせてこれと関連する新たな市街地を造成するための土地区画整理事業を施行する必要があると認める場合においては、計画決定区域の土地について、当該土地区画整理事業を施行することができる。

 2 前項の規定による土地区画整理事業については、この法律及び日本住宅公団法(昭和三十年法律第五十三号)の定めるところによる。

  第四条中「前条第一項」を「第三条第一項」に改める。

 (建設省設置法の改正)

第十三条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条中第二十三号の四の次に次の一号を加える。

  二十三の五 日本住宅公団の業務の監督その他日本住宅公団法(昭和三十年法律第五十三号)の施行に関する事務を管理すること。

  第三条第二十六号の二及び第二十六号の三中「公共団体、」の下に「日本住宅公団、」を加える。

  第四条第二項中「前条第二十五号から」を「前条第二十三号の五に規定する事務のうち日本住宅公団の経営一般の監督に関するもの、同条第二十五号から」に改める。

  第四条第三項中「地区の指定に関するもの」の下に「並びに同条第二十三号の五に規定する事務のうち日本住宅公団の業務で土地区画整理事業に係るものに関するもの」を加える。

  第四条第六項中「第二十四号までに規定する事務」を「第二十三号の四までに規定する事務、同条第二十三号の五に規定する事務のうち日本住宅公団の業務で土地区画整理事業以外の事業に係るものに関するもの、同条第二十四号に規定する事務」に改める。

  第二章中第五条の二の次に次の一条を加える。

  (日本住宅公団監理官)

 第五条の三 第三条第二十三号の五に規定する事務のうち日本住宅公団の経営一般の監督に関するものを行わせるため、建設省に日本住宅公団監理官二人を置く。

 2 日本住宅公団監理官は、建設省の職員のうちから、建設大臣が命ずる。

  第十二条第二号中「公共団体、」の下に「日本住宅公団、」を加える。

(内閣総理・大蔵・郵政・建設大臣署名) 

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