労働金庫法
法律第二百二十七号(昭二八・八・一七)
目次
第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 会員(第十一条―第二十一条)
第三章 設立及び事業免許の申請(第二十二条―第三十条)
第四章 管理(第三十一条―第五十七条)
第五章 事業(第五十八条)
第六章 経理(第五十九条―第六十一条)
第七章 合併及び事業の譲渡又は譲受(第六十二条―第六十六条)
第八章 解散及び清算(第六十七条・第六十八条)
第九章 登記(第六十九条―第八十九条)
第十章 雑則(第九十条―第九十八条)
第十一章 罰則(第九十九条―第百二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、労働組合、消費生活協同組合その他労働者の団体が協同して組織する労働金庫の制度を確立して、これらの団体の行う福利共済活動のために金融の円滑を図り、もつてその健全な発達を保進するとともに労働者の経済的地位の向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。
(人格)
第三条 労働金庫及び労働金庫連合会(以下「金庫」と総称する。)は、法人とする。
(住所)
第四条 金庫の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(原則)
第五条 金庫は、営利を目的としてその事業を行つてはならない。
2 金庫は、その行う事業によつてその会員に直接の奉仕をすることを目的とし、特定の会員の利益のみを目的としてその事業を行つてはならない。
3 金庫は、その事業の運営については、政治的に中立でなければならない。
(事業免許)
第六条 金庫の事業は、大蔵大臣及び労働大臣の免許を受けなければ行うことができない。
(出資の総額の最低限度)
第七条 労働金庫の出資の総額は、左の各号に定める金額以上でなければならない。
一 東京都の特別区の存する地域又は大蔵大臣及び労働大臣の指定する人口三十万以上の市に主たる事務所を有する労働金庫にあつては七百万円
二 前号に規定する労働金庫以外の労働金庫にあつては三百万円
2 労働金庫連合会の出資の総額は、七千万円以上でなければならない。
(名称)
第八条 金庫は、その名称中に左の文字を用いなければならない。
一 労働金庫にあつては労働金庫
二 労働金庫連合会にあつては労働金庫連合会
2 この法律によつて設立された金庫以外のものは、その名称中に労働金庫又は労働金庫連合会であることを示すような文字を用いてはならない。
3 金庫の名称については、商法(明治三十二年法律第四十八号)第十九条から第二十一条まで(商号の保護)の規定を準用する。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)
第九条 金庫は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の適用については、同法第二十四条(組合の行為への適用除外)各号に掲げる要件を備える組合とみなす。
(登記)
第十条 この法律の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
第二章 会員
(会員たる資格)
第十一条 労働金庫の会員たる資格を有するものは、左に掲げるもので定款で定めるものとする。
一 その労働金庫の地区内に事務所を有する労働組合
二 その労働金庫の地区内に事務所を有する消費生活協同組合及び同連合会
三 その労働金庫の地区内に事務所を有する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第九十八条(職員の団体)の規定に基く国家公務員の団体、地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十二条(職員団体の組織)の規定に基く地方公務員の団体、健康保険組合及び同連合会並びに国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)に基く共済組合及び同連合会
四 前各号に掲げるものの外、その労働金庫の地区内に事務所を有し、且つ、労働者のための福利共済活動その他労働者の経済的地位の向上を図ることを目的とする団体であつて、その構成員の過半数が労働者であるもの及びその連合団体
2 前項の規定にかかわらず、定款に定のある場合には、その労働金庫の地区内に住所を有する労働者及びその労働金庫の地区内に存する事業場に使用される労働者は、その労働金庫の会員となることができる。
3 労働金庫連合会の会員たる資格を有するものは、その連合会の地区の一部を地区とする労働金庫であつて、定款で定めるものとする。
(出資)
第十二条 労働金庫及び労働金庫連合会の会員(以下「会員」という。)は、出資一口以上を有しなければならない。
2 出資の一口の金額は、均一でなければならない。
3 一会員の出資口数は、出資総口数の百分の二十五をこえてはならない。
4 会員の責任は、その出資額を限度とする。
5 会員は、出資の払込について、相殺をもつて金庫に対抗することができない。
(議決権)
第十三条 会員は、各々一箇の議決権を有する。但し、第十一条第二項の規定による会員(以下「個人会員」という。)は、議決権を有しない。
2 会員(個人会員を除く。)は、あらかじめ当該会員を代表してその議決権を行使する者(以下「代議員」という。)一人を定めて、その氏名を金庫に通知しておかなければならない。この場合において、代表権を証する書面を差し出すものとする。
3 会員(個人会員を除く。)は、代議員によつて議決権を行う。但し、第四十九条(総会招集の手続)の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、当該事項に関し代議員以外に当該会員を代表する者(以下「臨時代議員」という。)によつて議決権を行うことを妨げない。
4 臨時代議員は、代表権を証する書面を金庫に差し出さなければならない。
(加入)
第十四条 金庫に加入しようとするものは、定款の定めるところにより、加入につき金庫の承諾を得て、引受出資口数に応ずる金額の払込を了した時又は会員の持分の全部若しくは一部を承継した時に会員となる。
(持分の譲渡)
第十五条 会員は、金庫の承諾を得て、会員又は会員たる資格を有するものにその持分を譲り渡すことができる。但し、個人会員以外の会員は、個人会員又は個人会員たる資格を有するものに譲り渡すことはできない。
2 会員たる資格を有するものが持分を譲り受けようとするときは、金庫の承諾を得なければならない。
3 持分を譲り受けたものは、その持分について、譲り渡したのもの権利義務を承継する。
4 会員は、持分を共有することができない。
(任意脱退)
第十六条 会員は、何時でも、その持分の全部の譲渡によつて脱退することができる。この場合において、その譲渡を受けるものがないときは、会員は、金庫に対し、定款で定める期間内にその持分を譲り受けるべきことを請求することができる。
(法定脱退)
第十七条 会員は、左の事由によつて脱退する。
一 会員たる資格の喪失
二 解散又は死亡
三 破産
四 除名
五 持分の全部の喪失
2 除名は、定款の定める事由に該当する会員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合においては、金庫は、その総会の会日の十日前までに、その会員に対しその旨を通知し、且つ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
3 除名は、除名した会員にその旨を通知しなければ、これをもつてその会員に対抗することができない。
(脱退者の持分の払戻)
第十八条 会員は、前条第一項第一号から第四号までの規定により脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度の終における金庫の財産によつて定める。
(時効)
第十九条 前条第一項の規定による請求権は、脱退の時から二年間行わないときは、時効によつて消滅する。
(払戻の停止)
第二十条 金庫は、脱退した会員が金庫に対する債務を完済するまでは、その持分の払戻を停止することができる。
(金庫の持分取得の禁止)
第二十一条 金庫は、会員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。但し、金庫が権利を実行するため必要がある場合又は第十六条(任意脱退)の規定により譲り受ける場合においては、この限りでない。
2 金庫が前項但書の規定によつて会員の持分を取得したときは、すみやかに、これを処分しなければならない。
第三章 設立及び事業免許の申請
(発起人)
第二十二条 労働金庫を設立するにはその会員(個人会員を除く。)になろうとする七以上のものが、労働金庫連合会を設立するにはその会員になろうとする十五以上の労働金庫がそれぞれ発起人となることを要する。
2 労働金庫は、五十以上の会員(個人会員を除く。)がある場合でなければ設立することができない。
3 労働金庫の設立に当つては、会員(個人会員を除く。)を構成する者を合計した実人員の数が二万人以上となるように努めなければならない。
(定款の作成)
第二十三条 発起人は定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
(創立総会)
第二十四条 発起人は、定款作成後、会員になろうとするものを募り、定款を会議の日時及び場所とともに公告して創立総会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の少くとも二週間前までにしなければならない。
3 発起人が作成した定款の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては、前項の定款を修正することができる。但し、地区及び会員たる資格に関する規定については、この限りでない。
5 会員(個人会員を除く。)たる資格を有するもので創立総会の会日までに発起人に対し設立の同意を申し出たるもの(以下「予定会員」という。)は、創立総会の議事につき当該予定会員を代表する者(以下「創立総会代議員」という。)を創立総会に出席させ、その者によつて議決権を行うことができる。その場合において創立総会代議員は、その代表権を証する書面を創立総会に差し出さなければならない。
6 創立総会の議事は、予定会員の半数以上の創立総会代議員が出席して、その議決権の三分の二以上の多数で決する。
7 創立総会については、第十三条第一項(議決権)及び商法第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四条(株主総会の議事録)、第二百四十七条、第二百四十八条、第二百五十条、第二百五十二条(第二百四十九条を準用する部分を除く。)及び第二百五十三条(第二百四十九条を準用する部分を除く。)(株主総会の決議の取消又は無効)の規定を準用する。
(理事への事務引継)
第二十五条 発起人は、創立総会終了後、遅滞なく、その事務を理事に引き継がなければならない。
(出資の払込)
第二十六条 理事は、前条の規定による引継を受けたときは、遅滞なく、出資の全額の払込をさせなければならない。
(成立の時期)
第二十七条 金庫は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(商法の準用)
第二十八条 金庫の設立については、商法第四百二十八条(株式会社の設立の無効の訴)の規定を準用する。
(事業免許の申請)
第二十九条 金庫は、第六条(事業免許)の規定による事業の免許を受けようとするときは、申請書に左の各号に掲げる書類を添附して、大蔵大臣及び労働大臣に提出しなければならない。
一 理由書
二 定款
三 業務方法書(その記載事項は、預金、貸付その他の業務の種類並びに預金利子及び貸付利子の計算その他の業務の方法とする。)
四 事業計画書(その記載事項は、金庫の事業開始後三事業年度における取引及び収支の予想とする。)
五 創立総会の議事録
六 会員数並びに出資の総口数及び総額を記載した書面
七 登記簿の謄本
八 最近の日計表
九 役員の履歴書
(事業開始の届出及び免許の失効)
第三十条 金庫が事業を開始したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣及び労働大臣に届け出なければならない。
2 金庫が事業の免許を受けた日から六月以内に事業を開始しないときは、その免許は効力を失う。
3 やむを得ない事由がある場合において、あらかじめ大蔵大臣及び労働大臣の承認を受けたときは、前項の規定を適用しない。
第四章 管理
(定款)
第三十一条 金庫の定款には、左の事項を記載しなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の名称及び所在地
五 会員たる資格に関する規定
六 会員の加入及び脱退に関する規定
七 出資一口の金額並びにその払込の時期及び方法
八 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
九 準備金の積立の方法
十 役員の定数及びその選任に関する規定
十一 事業年度
十二 公告の方法
十三 金庫の負担に帰すべき設立費用
十四 金庫の存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
2 定款の変更は、大蔵大臣及び労働大臣の認可を受けなければならない。
(規約)
第三十二条 左の事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。
一 総会又は総代会に関する規定
二 業務の執行及び会計に関する規定
三 役員に関する規定
四 会員に関する規定
五 その他必要事項
(業務の種類又は方法の変更)
第三十三条 金庫は、その業務の種類又は方法を変更しようとするときは、大蔵大臣及び労働大臣の認可を受けなければならない。
(役員)
第三十四条 金庫に役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は五人以上とし、監事の定数は二人以上とする。
3 役員は、総会の議決によつて、代議員のうちから選任する。但し、設立当初の役員は、創立総会の議決によつて、創立総会代議員のうちから選任する。
4 前項の規定は、定款に別段の定がある場合において、代議員又は創立総会代議員以外の者のうちから役員を選任することを妨げない。但し、その数は、理事にあつては定数の五分の一をこえてはならない。
5 理事又は監事のうち、その定数の三分の一をこえるものが欠けたときは、三月以内に補充しなければならない。
(役員の任期)
第三十五条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
2 補欠役員の任期は、前項の規定にかかわらず、前任者の残任期間とする。
3 設立当初の役員の任期は、第一項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
(兼職の禁止)
第三十六条 金庫の常務に従事する役員又は参事は、会員の資格として定款で定めるものに該当しない金庫その他の法人又は団体の常務に従事する役員又は支配人(支配人に相当する者を含む。)である者であつてはならない。但し、大蔵大臣及び労働大臣の認可を受けたときは、この限りでない。
2 監事は、当該金庫の理事又は参事その他の職員と兼ねてはならない。
(理事の責任)
第三十七条 理事がその任務を怠つたときは、その理事は、金庫に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。
2 理事がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があつたときは、その理事は、第三者に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。重要な事項につき第三十九条第一項(業務報告書等の提出及び備付)に掲げる書類に虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも同様とする。
3 第一項の理事の責任については、商法第二百六十六条第二項から第四項まで(取締役の責任)の規定を準用する。
(定款その他の書類の備付及び閲覧等)
第三十八条 理事は、定款、規約並びに総会及び理事会の議事録を各事務所に、会員名薄を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 会員名簿には、各会員について左の事項を記載しなければならない。
一 名称又は氏名
二 主たる事務所及び金庫の地区内における事務所又は住所
三 加入の年月日
四 出資の口数及び金額並びにその払込の年月日
3 会員及び金庫の債権者は、何時でも、理事に対し第一項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
(決算関係書類の提出、備付及び閲覧等)
第三十九条 理事は、通常総会の会日の七日前までに、業務報告書、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 理事は、監事の意見書を添えて前項の書類を通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。
3 会員及び金庫の債権者は、何時でも、理事に対し第一項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
(会計帳簿の閲覧等)
第四十条 会員は、総会員(個人会員を除く。)の十分の一以上の同意を得て、何時でも、理事に対し会計の帳簿及び書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
(役員の解任)
第四十一条 会員(個人会員を除く。)は、総会員(個人会員を除く。)の五分の一以上の連署をもつて、役員の解任を請求することができるものとし、その請求につき総会において承認の議決があつたときは、その請求に係る役員は、その職を失う。
2 前項の規定による解任の請求は、理事の全員又は監事の全員について、同時にしなければならない。但し、法令又は定款に違反したことを理由として解任を請求するときは、この限りでない。
3 第一項の規定による解任の請求は、解任の理由を記載した書面を金庫に提出してしなければならない。
4 第一項の規定による解任の請求があつたときは、金庫は、その請求を総会の議に付し、且つ、総会の会日の七日前までに、その請求に係る役員に対し、前項の書面を送付し、且つ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
5 第四十七条第二項及び第四十八条(会員による総会の招集)の規定は、前項の場合に準用する。
(商法等の準用)
第四十二条 理事及び監事については、商法第二百五十四条第三項(取締役と会社との関係)、第二百五十八条第一項(取締役退任の場合の処置)、第二百六十七条第一項から第三項まで(株主の代表訴訟)、第二百六十八条から第二百六十八条ノ三まで(取締役に対する訴)及び第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を、理事については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十五条(代表権の委任)並びに商法第二百五十四条ノ二(取締役の義務)、第二百六十一条から第二百六十二条まで(会社代表)、第二百六十五条(取締役と会社間の取引)及び第二百七十二条(株主の差止請求権)の規定を、監事については、第三十七条(理事の責任)、商法第二百七十四条(報告を求め調査をする権限)及び第二百七十八条(取締役と監査役との連帯責任)の規定を、理事会については、商法第二百五十九条から第二百六十条ノ三まで(取締役会)の規定を準用する。この場合において、商法第二百八十四条中「前条第一項」とあるのは「労働金庫法第三十九条第二項」と読み替えるものとする。
(顧問)
第四十三条 金庫は、理事会の決議により、学識経験のある者を顧問とし、常時金庫の重要事項に関し助言を求めることができる。但し、顧問は、金庫を代表することができない。
(参事)
第四十四条 金庫は、理事会の決議により、参事を置くことができる。
2 参事については、商法第三十八条第一項及び第三項(支配人の権限)、第三十九条(共同支配人)、第四十一条(営業、取引及び兼職の制限)並びに第四十二条(表見支配人)の規定を準用する。
(参事の解任)
第四十五条 会員(個人会員を除く。)は、総会員(個人会員を除く。)の十分の一以上の連署をもつて、理事に対し、参事の解任を請求することができる。
2 前項の規定による解任の請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
3 第一項の規定による解任の請求があつたときは、理事会は、その参事の解任の可否を決しなければならない。
4 理事は、前項の可否を決する日の七日前までに、その参事に対し、第二項の書面を送付し、且つ、弁明する機会を与えなければならない。
(通常総会の招集)
第四十六条 通常総会は、定款の定めるところにより、毎事業年度一回招集しなければならない。
(臨時総会の招集)
第四十七条 臨時総会は、必要があるときは、定款の定めるところにより、何時でも、招集することができる。
2 会員(個人会員を除く。)が総会員(個人会員を除く。)の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して総会の招集を請求したときは、理事会は、その請求のあつた日から二十日以内に臨時総会を招集すべきことを決定しなければならない。
(会員による総会の招集)
第四十八条 前条第二項の規定による請求をした会員は、同項の請求をした日から十日以内に理事が総会招集の手続をしないときは、大蔵大臣及び労働大臣の認可を受けて総会を招集することができる。理事の職務を行う者がない場合において、会員(個人会員を除く。)が総会員(個人会員を除く。)の五分の一以上の同意を得たときも同様とする。
(総会招集の手続)
第四十九条 総会の招集は、会日の十日前までに、会議の目的たる事項を示し、定款に定めた方法に従つてしなければならない。
(通知又は催告)
第五十条 金庫の会員に対してする通知又は催告は、会員名簿に記載したその会員の当該金庫の地区内における事務所又は住所(その会員が別に通知又は催告を受ける場所を金庫に通知したときは、その場所)にあてれば足りる。但し、個人会員に対する総会招集の通知は、定款の定めるところにより、会日の十日前までに、公告することをもつて代えることができる。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。
(総会の議決事項)
第五十一条 第十七条第二項(除名)、第三十四条第三項(役員の選任)、第三十九条第二項(決算関係書類の承認)、第四十一条第一項(役員の解任)、第五十五条第二項(総代の選任)、第六十二条第一項及び第二項(合併及び事業の譲渡又は譲受)、第六十三条(合併における設立委員の選任)及び第六十七条(解散)に規定する事項の外、左の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 規約の設定、変更又は廃止
三 毎事業年度の事業計画の設定又は変更
四 その他定款で定める事項
(総会の議事)
第五十二条 総会の議事は、この法律又は定款に特別の定のある場合を除いて、出席した代議員(臨時代議員を含む。)の議決権の過半数で決する。
2 総会においては、第四十九条(総会招集の手続)の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ議決することができる。但し、定款で別段の定をしたときは、この限りでない。
(特別の議決)
第五十三条 左の事項については、総会員(個人会員を除く。)の半数以上の代議員(臨時代議員を含む。)が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 解散又は合併
三 会員の除名
四 事業の全部の譲渡
(商法の準用)
第五十四条 総会については、商法第二百三十一条(総会の招集の決定)、第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十三条(総会の延期又は続行の決議)、第二百四十四条(総会の議事録)、第二百四十七条、第二百四十八条、第二百五十条、第二百五十二条(第二百四十九条を準用する部分を除く。)及び第二百五十三条(第二百四十九条を準用する部分を除く。)(総会の決議の取消又は無効)の規定を準用する。この場合において、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「労働金庫法第四十九条」と、同法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「労働金庫法第五十三条(同法第六十三条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)」と読み替えるものとする。
(総代会)
第五十五条 会員(個人会員を除く。)の総数が二百をこえる金庫は、定款の定めるところにより、総会に代るべき総代会を設けることができる。
2 総代は、定款の定めるところにより、総会の議決によつて、会員(個人会員を除く。)のうちから公平に選任されなければならない。
3 総代の定数は、その選任の時における会員(個人会員を除く。)の数の五分の一を下つてはならない。
4 総代の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
5 総代会については、総会に関する規定を準用する。但し、役員(補欠の役員を除く。)、総代(補欠の総代を除く。)若しくは第六十三条(合併手続)の規定による設立委員を選任し、又は第五十三条第二号(解散又は合併)若しくは第四号(事業の全部の譲渡)に掲げる事項については、議決することができない。
(出資一口の金額の減少)
第五十六条 理事は、総会において出資一口の金額の減少の議決があつたときは、その議決の日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
2 金庫は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、且つ、預金者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の一定の期間は、一月を下つてはならない。
第五十七条 債権者が前条第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2 債権者が異議を述べたときは、金庫は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
3 金庫の出資一口の金額の減少については、商法第三百八十条(第二百四十九条を準用する部分を除く。)(株式会社の資本減少の無効)の規定を準用する。
第五章 事業
(金庫の事業)
第五十八条 金庫は、左の業務及びこれに附随する業務を行うものとする。
一 会員の預金又は定期積金の受入
二 会員に対する資金の貸付
三 会員のためにする手形の割引
2 労働金庫は、前項の業務の外、左の業務をあわせ行うことができる。
一 会員のためにする有価証券の保護預り
二 住宅金融公庫、国民金融公庫その他大蔵大臣の指定する金融機関の業務の代理
三 国、地方公共団体その他営利を目的としない法人の預金の受入
四 会員(個人会員を除く。)を構成するものの預金又は定期積金の受入
五 前号に掲げるもの(法人又は団体を除く。)又は個人会員と生計を一にする配偶者その他の親族の預金又は定期積金の受入
六 第四号に掲げるものに対する資金の貸付
3 労働金庫連合会は、第一項の業務の外、左の業務をあわせ行うことができる。
一 会員のためにする有価証券の保護預り
二 国、地方公共団体その他営利を目的としない法人の預金の受入
第六章 経理
(事業年度)
第五十九条 金庫の事業年度は、四月から翌年三月までとする。但し、定款で四月から九月まで及び十月から翌年三月までと定めたときは、その定による。
(法定準備金)
第六十条 金庫は、出資の総額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の百分の十に相当する金額以上の金額を準備金として積み立てなければならない。
2 前項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いては、取りくずしてはならない。
(剰余金の配当)
第六十一条 金庫は、損失をてん補し、前条第一項の準備金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。
2 剰余金の配当は、定款の定めるところにより、会員の金庫の事業の利用分量又は出資額に応じてしなければならない。
3 出資額に応じてする剰余金の配当の率の最高限度は、定款で定めなければならない。
第七章 合併及び事業の譲渡又は譲受
(合併及び事業の譲渡又は譲受)
第六十二条 金庫は、総会の議決を経て、他の金庫と合併し、又はその事業の全部若しくは一部を銀行若しくは他の金庫に譲り渡すことができる。
2 金庫は、総会の議決を経て、他の金庫又は信用協同組合の事業の全部又は一部を譲り受けることができる。
3 前二項の合併又は事業の譲渡若しくは譲受については、大蔵大臣及び労働大臣の認可を受けなければならない。
4 金庫の合併又は事業の全部の譲渡若しくは譲受については、第五十六条及び第五十七条(出資一口の金額の減少)の規定を準用する。
第六十三条 合併によつて金庫を設立するには、各金庫がそれぞれ総会において会員(個人会員を除く。)の代議員のうちから選任した設立委員が共同して定款を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。
2 前項の規定による役員は、設立される金庫において、その会員(個人会員を除く。)の代議員となる者のうちから選任するものとし、その任期は、最初の通常総会の日までとする。但し、定款に別段の定がある場合においては、代議員となる者以外の者のうちから役員を選任することを妨げない。この場合において、その数は、理事にあつては定数の五分の一をこえてはならない。
3 第一項の規定による設立委員の選任については、第五十三条(特別の議決)の規定を準用する。
(合併の効果)
第六十四条 金庫の合併は、合併後存続する金庫又は合併によつて成立する金庫が、その主たる事務所の所在地において、第七十五条(合併の場合における登記)に規定する登記をすることによつてその効力を生ずる。
2 合併後存続する金庫又は合併によつて成立した金庫は、合併によつて消滅した金庫の権利義務を承継する。
(商法等の準用)
第六十五条 金庫の合併については、商法第百四条から第百六条まで及び第百八条から第百十一条まで(合名会社の合併の無効)並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百三十五条ノ八(債務の負担部分の決定)の規定を準用する。
(事業の全部の譲渡)
第六十六条 金庫は、その事業の全部を譲渡したときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
2 前項の公告があつたときは、同項の金庫の貸付金の債務者に対して、民法第四百六十七条(指名債権譲渡の対抗要件)の規定による確定日附のある証書による通知があつたものとみなす。この場合においては、その公告の日附をもつて確定日附とする。
第八章 解散及び清算
(解散の事由)
第六十七条 金庫は、左の事由によつて解散する。
一 総会の決議
二 合併
三 破産
四 定款で定める存続期間の満了又は解散事由の発生
五 事業の全部の譲渡
六 事業免許の取消
(商法等の準用)
第六十八条 金庫の解散及び清算については、商法第百十六条(清算中の会社の存続)、第百二十四条(清算人の職務権限)、第百二十五条(弁済期に至らない債務の弁済)、第百二十九条第二項及び第三項(会社代表の権限)、第百三十一条(財産の社員への分配)、第四百十七条から第四百二十四条まで(清算人の決定、清算人の職務)、第四百二十六条(清算人の解任)及び第四百二十七条(清算事務の終了)並びに非訟事件手続法第百三十六条(管轄裁判所)、第百三十七条から第百三十八条まで(清算人の選任、解任)及び第百三十八条ノ三(清算人に対する報酬)の規定を、金庫の清算人については、第三十七条から第四十条まで(理事の責任、定款その他の書類の備付等)、第四十六条から第四十八条まで(通常総会の招集、臨時総会の招集等)並びに商法第二百五十四条第三項(取締役と会社との関係)、第二百五十四条ノ二(取締役の業務)、第二百五十九条から第二百六十一条ノ二まで(取締役会並びに取締役の業務の執行及び会社代表)、第二百六十五条(取締役と会社間の取引)、第二百六十七条第一項から第三項まで(株主の代表訴訟)、第二百六十八条から第二百六十八条ノ三まで(取締役に対する訴)、第二百七十二条(株主の差止請求権)及び第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を準用する。この場合において、商法第二百八十四条中「前条第一項」とあるのは「労働金庫法第六十八条ニ於テ準用スル同法第三十九条第二項」と、同法第四百二十六条第二項中「六月前ヨリ引続キ発行済株式ノ総数ノ百分ノ三以上ニ当ル株式ヲ有スル株主」とあるのは「総会員(個人会員ヲ除ク)ノ五分ノ一以上ノ同意ヲ得タル会員(個人会員ヲ除ク)」と読み替えるものとする。
第九章 登記
(設立の登記)
第六十九条 金庫は、第二十六条(出資の払込)の規定による出資の払込があつた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地において設立の登記をしなければならない。
2 設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所
五 出資の一口の金額、総口数及び総額
六 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
七 役員の氏名及び住所
八 金庫を代表すべき理事の氏名
九 数人の理事が共同して金庫を代表すべきことを定めたときは、その規定
十 公告の方法
3 金庫は、設立の登記をした日から二週間以内に、従たる事務所の所在地において、前項の事項を登記しなければならない。
(従たる事務所の新設の登記)
第七十条 金庫の設立後従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地において三週間以内に前条第二項の事項を登記し、他の従たる事務所の所在地においては同期間内にその従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。
2 主たる事務所又は従たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内において新たに従たる事務所を設けたときは、その従たる事務所を設けたことを登記すれば足りる。
(事務所の移転の登記)
第七十一条 金庫が主たる事務所を移転したときは、旧所在地においては二週間以内に移転の登記をし、新所在地においては三週間以内に第六十九条第二項(設立の登記の記載事項)の事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項の事項を登記しなければならない。
2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、その移転の登記をすれば足りる。
(変更の登記)
第七十二条 前二条に規定するものの外、第六十九条第二項(設立の登記の記載事項)の事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、変更の登記をしなければならない。
2 第六十九条第二項第五号の事項中出資の総口数及び総額の変更の登記は、前項の規定にかかわらず、毎事業年度末日現在により、事業年度終了後、主たる事務所の所在地においては四週間以内に、従たる事務所の所在地においては五週間以内にすれば足りる。
(参事の登記)
第七十三条 金庫が参事を選任したときは、二週間以内にこれを置いた事務所の所在地において、参事の氏名及び住所、参事を置いた事務所並びに数人の参事が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を登記しなければならない。その登記した事項の変更及び参事の代理権の消滅についても、また同様とする。
(解散の登記)
第七十四条 金庫が解散したときは、合併及び破産の場合を除いて、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、解散の登記をしなければならない。
(合併の場合における登記)
第七十五条 金庫が合併するときは、合併に必要な行為を終つてから、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する金庫については変更の登記を、合併によつて消滅する金庫については解散の登記を、合併によつて成立する金庫については第六十九条第二項(設立の登記の記載事項)の事項の登記を、それぞれしなければならない。
(清算人の登記)
第七十六条 清算人は、その就職の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、清算人の氏名及び住所を登記しなければならない。
2 前項の規定により登記した事項の変更の登記については、第七十二条第一項(変更の登記)の規定を準用する。
(清算結了の登記)
第七十七条 金庫の清算が結了したときは、清算結了の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内に、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、清算結了の登記をしなければならない。
(管轄登記所及び登記簿)
第七十八条 金庫の登記については、その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所を管轄登記所とする。
2 各登記所に、労働金庫登記簿及び労働金庫連合会登記簿を備える。
(設立の登記の申請)
第七十九条 金庫の設立の登記は、役員の全員の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、定款、役員たることを証する書面、代表理事に関する理事会の議事録並びに出資の総口数及び第二十六条(出資の払込)の規定による出資の払込のあつたことを証する書面を添附しなければならない。
3 合併による金庫の設立の登記の申請書には、前項の書面の外、第六十二条第四項において準用する第五十六条第二項(出資一口の金額の減少の場合の公告及び催告)の規定による公告及び催告をしたことを証する書面並びに異議を述べた債権者があつたときはこれに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
第八十条 第六十九条第三項(設立の登記)の規定による登記は、代表理事の申請によつてする。
(事務所の新設、移転及び変更の登記の申請)
第八十一条 金庫の事務所の新設又は移転その他第六十九条第二項(設立の登記の記載事項)の事項の変更の登記は、代表理事又は代表清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、事務所の新設又は移転その他登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
3 出資一口の金額の減少又は金庫の合併による変更の登記の申請書には、前項の書面の外、第五十六条第二項(第六十二条第四項において準用する場合を含む。)の規定による公告及び催告をしたことを証する書面並びに異議を述べた債権者があつたときはこれに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
(参事の登記の申請)
第八十二条 第七十三条(参事の登記)の規定による登記は、代表理事の申請によつてする。
2 前項の登記のうち、参事の選任の登記の申請書には参事の選任を証する書面及び数人の参事が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を証する書面を、その他の登記の申請書にはその事項を証する書面を添附しなければならない。
(解散の登記の申請)
第八十三条 第七十四条(解散の登記)の規定による解散の登記は、代表清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、解散の事由を証する書面を添附しなければならない。
第八十四条 第七十五条(合併の場合における登記)の規定による解散の登記は、合併によつて消滅する金庫の代表理事の申請によつてする。
2 前項の申請については、第七十九条第三項及び前条第二項(合併による設立の登記及び申請書の添附)の規定を準用する。
(清算人の登記の申請)
第八十五条 第七十六条第一項(清算人の登記)の規定による登記の申請書には、理事が清算人でないときは申請人の資格を証する書面を添附しなければならない。
2 第七十六条第二項(清算人の変更登記)の規定による登記の申請書には、登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
(清算結了の登記の申請)
第八十六条 第七十七条(清算結了の登記)の規定による清算結了の登記は、代表清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、第六十八条(商法等の準用)において準用する商法第四百二十七条第一項(清算事務の終了の場合における決算報告書の承認)の規定による決算報告書の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。
(設立無効等の登記の手続)
第八十七条 金庫の設立、合併若しくは出資一口の金額の減少を無効とし、又は総会の決議を取り消し、若しくは無効とする判決が確定した場合の登記については、非訟事件手続法第百三十五条ノ六(裁判による会社の設立無効の登記)の規定を準用する。
(登記事項の公告)
第八十八条 登記した事項は、法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所において、遅滞なく、公告しなければならない。
(非訟事件手続法の準用)
第八十九条 金庫の登記については、非訟事件手続法第百三十九条ノ二、第百四十二条から第百五十一条ノ六まで及び第百五十四条から第百五十七条まで(商業登記の通則)の規定を準用する。
第十章 雑則
(実施規定)
第九十条 大蔵大臣及び労働大臣は、この法律による免許又は認可に関する申請、届出、業務報告書その他の書類の提出その他に関しこの法律を実施するため必要な手続を定めることができる。
(認可事項実行の届出及び認可の失効)
第九十一条 金庫がこの法律の規定による認可を受けた事項を実行したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣及び労働大臣に届け出なければならない。
2 金庫がこの法律の規定による認可を受けた日から六月以内に、その認可を受けた事項を実行しないときは、その認可は効力を失う。
3 第三十条第三項(やむを得ない事由がある場合の特例)の規定は、前項の場合に準用する。
(不服の申出)
第九十二条 金庫の業務若しくは会計が法令若しくは定款若しくは規約に違反し、又は金庫の運営が著しく不当であると思料する会員は、その事由を添えて、文書をもつてその旨を大蔵大臣及び労働大臣に申し出ることができる。
2 前項の申出があつたときは、大蔵大臣又は労働大臣は、金庫に対して、その業務又は会計に関し必要な報告書の提出を命じ、前項の申出について調査しなければならない。
3 金庫が前項の規定による報告書を提出しないときは、大蔵大臣又は労働大臣は、金庫の業務又は会計の状況を検査しなければならない。
(検査の請求)
第九十三条 会員は、総会員(個人会員を除く。)の十分の一以上の同意を得て、金庫の業務又は会計が法令又は定款若しくは規約に違反する疑があることを理由として、大蔵大臣及び労働大臣にその検査を請求することができる。
2 前項の請求があつたときは、大蔵大臣又は労働大臣は、金庫の業務又は会計の状況を検査しなければならない。
(銀行法の準用)
第九十四条 銀行法(昭和二年法律第二十一号)第十条(業務報告書)、第十二条(監査書)、第十八条から第二十二条まで(休日、払戻停止の公告及び届出、調査権、検査権、経営保全命令)、第二十五条(廃業又は解散決議の認可)、第二十七条第二項(裁判所による清算人の選任及び解任)及び第二十八条から第三十一条まで(裁判所の清算人任免権、清算監督命令、裁判所の監督権限、検査監督官の権限)の規定は、金庫について準用する。この場合において、これらの規定中「主務大臣」とあるのは「大蔵大臣及労働大臣」と読み替えるものとする。
(事業免許の取消等)
第九十五条 金庫が法令、定款又は法令に基く大蔵大臣若しくは労働大臣の命令に違反したときは、大蔵大臣及び労働大臣は、業務の停止を命じ、理事若しくは監事の改任を命じ又は事業の免許を取り消すことができる。
2 大蔵大臣及び労働大臣は、業務の停止を命ぜられた金庫に対し、その整理の状況により必要と認めるときは事業の免許を取り消すことができる。
(聴問)
第九十六条 大蔵大臣及び労働大臣は、前条第一項又は第二項の規定による事業の免許取消の処分をしようとするときは、あらかじめ当該処分を受けるものの出頭を求めて、公開による聴問を行わなければならない。
2 大蔵大臣及び労働大臣は、前項の聴問をしようとするときは、その期日の二週間前までに、処分の理由並びに聴問の期日及び場所を当該処分を受けるものに通知し、且つ、聴問の期日及び場所を公示しなければならない。
3 前項の聴問においては、当該処分を受けるもの及び利害関係人は、自己又は本人のために釈明をし、且つ、有利な証拠を提出することができる。
4 大蔵大臣及び労働大臣は、当該処分を受けるものが正当な理由がなくて第一項の聴問に応じなかつたときは、同項の聴問を行わないで前条第一項又は第二項の規定による事業の免許取消の処分をすることができる。
(権限の行使)
第九十七条 大蔵大臣及び労働大臣は、第九十四条において準用する銀行法第二十条(業務報告書又は監査書の提出)及び第二十一条(業務状況及び財産状況の検査)の場合においては、それぞれ単独にその権限を行使することを妨げない。
(権限の一部の委任)
第九十八条 大蔵大臣及び労働大臣は、この法律による権限の一部を都道府県知事に委任することができる。
2 前項の規定により委任することができる権限の範囲は、政令で定める。
第十一章 罰則
第九十九条 金庫の役員がいかなる名義をもつてするを問わず、金庫の事業の範囲外において、金庫の金銭により貸付若しくは手形の割引をし、又は投機取引のため金庫の財産を処分したときは、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯した者には、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
3 第一項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条がある場合には適用しない。
第百条 左の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした金庫の役員、参事その他の職員を一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第六条の規定に違反したとき。
二 第九十四条において準用する銀行法(以下本条及び第百一条中「銀行法」という。)第十条の規定による業務報告書又は銀行法第十二条の規定による監査書の不実の記載その他の方法により官庁又は公衆を欺もうしたとき。
三 第九十二条第三項若しくは第九十三条第二項又は銀行法第二十一条の規定による検査に際し、帳簿書類の隠ぺい、不実の申立その他の方法により検査を妨げたとき。
2 金庫の役員、参事その他の職員がその金庫の業務に関して前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その金庫に対しても同項の罰金刑を科する。
第百一条 左の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした金庫の役員、参事又は清算人を一万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定に基いて金庫が行うことができる事業以外の事業を行つたとき。
二 この法律の規定に定める登記を怠つたとき。
三 第十七条第二項、第四十一条第四項又は第四十五条第四項の規定に違反したとき。
四 第二十一条の規定に違反して会員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
五 第二十四条第七項若しくは第五十四条において準用する商法第二百四十四条、第四十二条若しくは第六十八条において準用する商法第二百六十条ノ三又は第六十八条において準用する商法第四百十九条の規定に違反して議事録、財産目録若しくは貸借対照表を作成せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。
六 第三十一条第二項又は第三十三条の規定に違反したとき。
七 第三十四条第五項の規定に違反して役員の補充のために必要な手続をとらなかつたとき。
八 第三十六条の規定に違反したとき。
九 第三十八条又は第三十九条(以上の各規定を第六十八条において準用する場合を含む。)の規定に違反して書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当な理由がないのにその書類の閲覧若しくは謄写を拒んだとき。
十 第四十条(第六十八条において準用する場合を含む。)又は第四十二条において準用する商法第二百七十四条第一項の規定に違反して正当な理由がないのに帳簿及び書類の閲覧又は謄写を拒んだとき。
十一 第四十二条において準用する商法第二百七十四条第二項又は第六十八条において準用する商法第四百十九条第一項の規定による調査を妨げたとき。
十二 第四十六条の規定に違反したとき。
十三 第五十六条第一項若しくは第五十七条第二項の規定に違反して出資一口金額を減少し、又は第六十二条第四項において準用する第五十六条第一項若しくは第五十七条第二項の規定に違反して合併又は事業の全部の譲渡若しくは譲受をしたとき。
十四 第五十六条第二項(第六十二条第四項において準用する場合を含む。)、第六十六条第一項、第六十八条において準用する商法第四百二十一条第一項又は銀行法第十九条に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
十五 第六十条又は第六十一条の規定に違反したとき。
十六 第六十二条第三項の規定に違反して合併又は事業の譲渡若しくは譲受をしたとき。
十七 第六十八条において準用する商法第百三十一条の規定に違反して金庫の財産を分配したとき。
十八 第六十八条において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。
十九 銀行法第十二条に規定する監査書を備えて置かず、又は銀行法第二十条の規定により大蔵大臣及び労働大臣に提出しなければならない書類帳簿の提出を怠り、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。
二十 第九十五条第一項又は銀行法第二十二条若しくは同法第二十九条の規定により大蔵大臣及び労働大臣又は裁判所のした命令に違反したとき。
第百二条 第八条第二項の規定に違反した者(法人であるときはその代表者)は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
1 この法律施行の期日は、公布の日から起算して三月をこえない期間内において、政令で定める。
(信用協同組合の金庫への組織変更)
2 この法律施行の際、現に存する信用協同組合は、この法律施行の日から起算して一年以内に総会(総代会を設けている組合にあつては総代会)の議決を経て、労働金庫となることができる。
3 前項の規定により労働金庫となる場合において、その信用協同組合の定款、組織その他の事項がこの法律又はこれに基く命令の規定に反するときは、定款の変更その他必要な行為をしなければならない。
(役員又は総代に関する経過措置)
4 第二項の規定により労働金庫となる場合において、現に当該信用協同組合の役員又は総代であるものは、引き続き労働金庫のこれに相当する役員又は総代となるものとし、その任期は、その信用協同組合の役員又は総代の残任期間とする。但し、その残任期間がその金庫の役員又は総代の任期をこえるときは、当該任期とする。
(登記)
5 第二項の規定による労働金庫への組織変更は、同項の期間内に、労働金庫の主たる事務所の所在地において、第六十九条第二項(設立の登記の記載事項)の事項を登記することによつて、その効力を生ずる。
6 前項の登記は、第二項の規定による総会(総代会を設けている組合にあつては総代会)の議決があつた日から二週間以内にしなければならない。
7 第五項の登記については、第六十九条第三項、第七十九条第一項及び第八十条(設立登記の手続)の規定を準用する。
8 第五項の登記の申請書には、金庫の定款及び組織変更に関する総会(総代会を設けている組合にあつては総代会)の議事録を添附する外、その信用協同組合の主たる事務所の所在地で登記する場合を除いて、その信用協同組合の登記簿の謄本をも添附しなければならない。
9 信用協同組合につきその主たる事務所の所在地で、第五項の規定による登記をしたときは、登記官吏は、職権で、その信用協同組合の登記用紙にその事由を記載して、その登記用紙を閉鎖しなければならない。
10 信用協同組合につきその主たる事務所の所在地以外の地で、第五項の規定による登記をしたときは、登記官吏は、その信用協同組合の主たる事務所の所在地を管轄する登記所に対し、その旨を通知しなければならない。
11 第九項の規定は、前項の通知があつた場合に準用する。
12 登記官吏は、第九項(前項において準用する場合を含む。)の手続をしたときは、その信用協同組合の従たる事務所の所在地を管轄する登記所に対し、その旨を通知しなければならない。
13 第九項の規定は、前項の通知があつた場合に準用する。
(預金及び貸付に関する経過措置)
14 信用協同組合が第二項の規定により労働金庫となつたときは、その労働金庫は、第五十八条(金庫の事業)の規定にかかわらず、その信用協同組合の組合員で組合を脱退したもの及びそのものと生計を一にする配偶者その他の親族に対し、組織変更の際に存した預金若しくは定期積金の契約又は貸付の契約を継続することができる。
(現存する信用協同組合の名称に関する経過措置)
15 この法律施行の際、現に存する信用協同組合であつてその名称中に「労働金庫」の文字を用いているものについては、この法律施行の日から一年間は、第八条第二項及び第三項(名称の使用禁止及び保護)の規定は、適用しない。
(政令への委任)
16 前各項に定めるものの外、この法律の施行に伴い特別の経過措置を必要とするときは、政令で定める。
(法人税法の改正)
17 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第九条第六項中「信用金庫連合会、」の下に「労働金庫、労働金庫連合会、」を加える。
(登録税法の改正)
18 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「信用金庫連合会、」の下に「労働金庫、労働金庫連合会、」を、「信用金庫法、」の下に「労働金庫法、」を加える。
(印紙税法の改正)
19 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ六ノ二の次に次の一号を加える。
六ノ六ノ三 労働金庫又ハ労働金庫連合会ノ発スル出資証券、預金通帳、積金通帳又ハ積金証書
同条第九号ノ三の次に次の一号を加える。
九ノ四 労働金庫又ハ労働金庫連合会ノ発スル預金証書ニシテ其ノ記載金高千円未満ノモノ
(地方税法の改正)
20 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二百九十六条中「信用金庫」を「労働金庫若しくは労働金庫連合会及び信用金庫」に改める。
第三百四十八条第五項中「連合会」の下に「並びに労働金庫及び労働金庫連合会」を加える。
第七百四十三条第六号中「信用金庫」を「労働金庫及び労働金庫連合会並びに信用金庫」に改める。
第七百四十六条第二項第五号の次に次の一号を加える。
五の二 労働金庫及び労働金庫連合会
(事業者団体法の改正)
21 事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)の一部を次のように改正する。
第六条第一項第二号中「ツ 開拓融資保証法(昭和二十八年法律第九十一号)」を
「 |
ツ 開拓融資保証法(昭和二十八年法律第九十一号) |
」 |
ネ 労 働 金 庫 法(昭和二十八年法律第二百二十七号) |
に改める。
(臨時金利調整法の改正)
22 臨時金利調整法(昭和二十二年法律第百八十一号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「信用金庫連合会、」の下に「労働金庫、労働金庫連合会、」を加える。
(国民貯蓄組合法の改正)
23 国民貯蓄組合法(昭和十六年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第三号ノ二の次に次の一号を加える。
三ノ三 労働金庫ヘノ預ケ金又ハ定期積金
第四条第一項中「信用金庫預金、」の下に「労働金庫預金、」を加える。
(割増金附貯蓄の取扱に関する法律の改正)
24 割増金附貯蓄の取扱に関する法律(昭和二十三年法律第百四十三号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「信用金庫、」の下に「労働金庫、」を加える。
(納税貯蓄組合法の改正)
25 納税貯蓄組合法(昭和二十六年法律第百四十五号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項中「信用金庫、」の下に「労働金庫、」を加える。
(経済関係罰則の整備に関する法律の改正)
26 経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の一部を次のように改正する。
別表乙号中第十九号ノ二の次に次の一号を加える。
十九ノ三 労働金庫法ニ依ル労働金庫及労働金庫連合会
(大蔵省設置法の改正)
27 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第十二条第一項第九号中「信用金庫及び信用金庫連合会」を「信用金庫、信用金庫連合会、労働金庫及び労働金庫連合会」に、「信用金庫、」を「信用金庫、労働金庫、」に改める。
(労働省設置法の改正)
28 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第四条第十九号の二の次に次の一号を加える。
十九の三 労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)に基いて、労働金庫又は労働金庫連合会に対し、免許、認可、調査若しくは検査を行い、又は監督のため必要な措置を命ずること。
第七条中第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。
五 労働金庫法に基いて、労働金庫及び労働金庫連合会の事業を免許し、これを監督すること。
(内閣総理・法務・大蔵・労働大臣署名)