昭和二十八年六月及び七月の大水害の被害地域に行われる国民健康保険事業に対する資金の貸付及び補助に関する特別措置法

法律第二百十八号(昭二八・八・一五)

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、昭和二十八年六月及び七月に生じた大水害(以下「水害」という。)を受けた政令で指定する地域(以下「被害地域」という。)において国民健康保険を行う保険者に対し、貸付金の貸付及び補助金の交付を行い、もつて被害地域における国民健康保険事業の円滑且つ健全な運営に資することを目的とする。

 (貸付金の貸付)

第二条 国は、前条に規定する被害地域において国民健康保険を行う保険者(特別国民健康保険組合を除く。以下同じ。)で、昭和二十八年六月一日(政令で指定する被害地域にあつては同年七月一日)から六箇月間に保険料(国民健康保険税を含む。以下同じ。)又は一部負担金を減免したものが、左の各号に掲げる要件を具備するときは、当該保険者に対し、国民健康保険事業の経費に充てさせるため、昭和二十八年度に限り、予算の範囲内において貸付金を貸し付けることができる。

 一 水害のため、当該国民健康保険の被保険者に係る市町村が、災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)の適用を受けたこと。

 二 昭和二十八年六月一日(政令で指定する被害地域にあつては同年七月一日)から六箇月間に減免した保険料の額(以下「保険料減免額」という。)が、昭和二十八年五月末日現在において調査決定していたその年度の保険料の額の百分の十に相当する額以上であり、且つ、二十万円以上であること。

 (貸付金の額)

第三条 前条の規定による貸付金の額は、保険料減免額及び一部負担金の減免額の百分の八十に相当する額以内の額とする。

 (貸付条件)

第四条 第二条の貸付金の償還期限は、貸付金の貸付を受けた年度の翌年度の初日から十五年(当該翌年度の初日から五年間の据置期間を含む。)以内とし、年利五分五厘の元利均等年賦の方法により、政令の定めるところにより償還するものとする。

2 貸付金の据置期間は、貸付を受けた年度における貸付の期間及び当該年度の翌年度の初日から五年間とし、据置期間中は、無利子とする。

 (年賦金の支払猶予)

第五条 国は、災害その他特別の事由により年賦金の支払が著しく困難となつた保険者に対し、その年賦金の支払を猶予することができる。

 (貸付金の一時償還)

第六条 国は、貸付金の貸付を受けた保険者が、左の各号の一に該当する場合には、第四条第一項の規定にかかわらず、当該保険者に対し、いつでも貸付金の全部又は一部につき、一時償還を命ずることができる。

 一 この法律に基く貸付金の貸付の申請書に虚偽の記載があつたとき。

 二 第七条の規定による報告を怠り、又は虚偽の報告をしたとき。

 三 年賦金の支払を著しく怠つたとき。

 四 事業の内容が著しく低下し、又は事業を休止し、若しくは廃止したとき。

 五 前各号に掲げる場合の外、正当な理由がなくて契約の条項に違反したとき。

 (報告及び検査)

第七条 厚生大臣は、必要があると認めるときは、貸付金の貸付を受けた保険者に対して報告をさせ、又はその職員をして、保険者の事務所に立ち入り、貸付金の使途及び償還その他必要な事項につき、実地の検査をさせることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人にこれを呈示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (適用除外)

第八条 この法律による貸付金については、国民健康保険法(昭和十三年法律第六十号)第二十六条第二項及び第三十七条ノ六第二項の規定は、適用しない。

 (補助金の交付)

第九条 国は、昭和二十八年度に限り、予算の範囲内において第二条から第四条までの規定により貸付金の貸付を受ける保険者に対し、保険料減免額及び一部負担金の減免額の百分の二十に相当する額以内の額を補助金として交付することができる。

 (厚生大臣の権限の委任)

第十条 この法律の施行に関し、厚生大臣の権限に属する事務で、政令で定めるものは、都道府県知事が行う。

 (政令への委任)

第十一条 この法律に規定するものを除くの外、貸付金の貸付及び補助金の交付に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

(大蔵・厚生・内閣総理大臣署名) 

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