接収貴金属等の数量等の報告に関する法律
法律第二百九十八号(昭二七・八・五)
(目的)
第一条 この法律は、連合国占領軍に接収され、その後連合国占領軍から政府に引き渡された貴金属等に関して、接収の事実、数量等を確認し、返還その他の措置を講ずることに資するため、報告を徴することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「貴金属等」とは、金、銀、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及びイリドスミンの地金及び加工品並びにダイヤモンド及びその加工品をいう。
2 この法律で「本邦」とは、本州、北海道、四国、九州その他大蔵省令で定める附属島しよをいう。
3 この法律で「接収」とは、連合国占領軍に属する権限ある軍人又は軍属が、貴金属等を占有している者から、無償で、これを連合国占領軍の管理に移した行為をいう。
(報告)
第三条 本邦内においてその占有に係る貴金属等を接収された者(以下「被接収者」という。)又はその相続人(法人については、その清算人又は合併に因りその権利義務を承継した法人若しくはその清算人)は、昭和二十七年九月三十日までに、大蔵省令で定めるところにより、当該貴金属等の種類、品位、形状及び数量その他当該貴金属等の接収の事実を示す事項を大蔵大臣に報告しなければならない。
2 国がその占有に係る貴金属等を接収された場合には、接収の時において当該貴金属等を管理していた官署又はその官署から当該貴金属等を引き継いだ官署の長は、前項の規定に準じ、大蔵大臣に報告しなければならない。
3 前二項の規定による報告には、連合国占領軍に属する権限ある軍人又は軍属の発給した当該貴金属等の受領書の写その他接収の事実を証明するに足る書類、接収に係る貴金属等の種類、品位、形状及び数量その他の当該貴金属等を識別するために必要な事項を証明するに足る書類並びに当該貴金属等がその者の占有に属していたものであることを証明するに足る書類を添附しなければならない。
4 被接収者若しくはその相続人が第一項の報告をしないで死亡した場合において、その相続人がないとき、又は被接収者である法人若しくは合併に因りその権利義務を承継した法人が解散した場合において、同項の報告がされる前にその清算が終つたときは、当該貴金属等の所有者は、第一項の規定に準じ、大蔵大臣に報告しなければならない。
5 第三項の規定は、前項の規定による報告について準用する。この場合において、第三項中「その者の占有に属していた」とあるのは、「その者が所有している」と読み替えるものとする。
(罰則)
第四条 前条第一項又は第四項の規定による報告に際して虚偽の報告をした者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をしたときは、当該行為者を罰する外、その法人又は人に対して前項の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
(大蔵・内閣総理大臣署名)