航空法

法律第二百三十一号(昭二七・七・一五)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 登録(第三条―第九条)

 第三章 航空機の安全性(第十条―第二十一条)

 第四章 航空従事者(第二十二条―第三十六条)

 第五章 航空路、飛行場及び航空保安施設(第三十七条―第五十六条)

 第六章 航空機の運航(第五十七条―第九十九条)

 第七章 航空運送事業等(第百条―第百二十五条)

 第八章 外国航空機(第百二十六条―第百三十一条)

 第九章 雑則(第百三十二条―第百三十七条)

 第十章 罰則(第百三十八条―第百六十二条)

 附則

   第一章 総則

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全を図るための方法を定め、及び航空機を運航して営む事業の秩序を確立し、もつて航空の発達を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「航空機」とは、人が乗つて航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機及び飛行船その他政令で定める航空の用に供することができる機器をいう。

2 この法律において「航空業務」とは、航空機に乗り組んで行うその運航(航空機に乗り組んで行う無線設備の操作を含み、航空機の操縦の練習を除く。)及び整備又は改造をした航空機について行う第十九条に規定する確認をいう。

3 この法律において「航空従事者」とは、第二十二条第一項の航空従事者技能証明を受けた者をいう。

4 この法律において「航空保安施設」とは、電波、灯光、色彩又は形象により航空機の航行を援助するための施設で、運輸省令で定めるものをいう。

5 この法律において「着陸帯」とは、特定の方向に向つて行う航空機の離陸(離水を含む。以下同じ。)又は着陸(着水を含む。以下同じ。)の用に供するため設けられる飛行場内の短形部分をいう。

6 この法律において「進入区域」とは、着陸帯の短辺の両端及びこれと同じ側における着陸帯の中心線の延長三千メートルの点において中心線と直角をなす一直線上におけるこの点から三百七十五メートル(計器飛行の用に供する着陸帯にあつては六百メートル)の距離を有する二点を結んで得た平面をいう。

7 この法律において「進入表面」とは、着陸帯の短辺に接続し、且つ、水平面に対し上方へ運輸省令で定める角度を有する平面であつて、その投影面が進入区域と一致するものをいう。

8 この法律において「水平表面」とは、飛行場の標点の垂直上方四十五メートルの点を含む水平面のうち、この点を中心として運輸省令で定める長さの半径で描いた円周で囲まれた部分をいう。

9 この法律において「転移表面」とは、進入表面の斜辺又は着陸帯の長辺に接続し、外側上方に水平面に対し七分の一の角度を有する平面であつて、水平表面との交線に至るまでのものをいう。

10 この法律において「航空灯火」とは、灯火により航空機の航行を援助するための航空保安施設で、運輸省令で定めるものをいう。

11 この法律において「航空交通管制区」とは、航空路における地表又は水面から二百メートル以上の高さの空域であつて、航空交通の安全のために航空庁長官が指定するものをいう。

12 この法律において「航空交通管制圏」とは、公共の用に供する飛行場及びその附近の上空の空域であつて、飛行場及びその上空における航空交通の安全のために航空庁長官が指定するものをいう。

13 この法律において「有視界飛行状態」とは、視程及び雲の状況を考慮して運輸省令で定める視界上良好な気象状態をいう。

14 この法律において「計器飛行状態」とは、有視界飛行状態以外の気象状態をいう。

15 この法律において「計器飛行」とは、航空機外の物象を見て、これに依存することなく、計器にのみ依存して行う飛行をいう。

16 この法律において「航空運送事業」とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客又は貨物を運送する事業をいう。

17 この法律において「定期航空運送事業」とは、一の地点と他の地点との間に路線を定めて一定の日時により航行する航空機により行う航空運送事業をいう。

18 この法律において「不定期航空運送事業」とは、定期航空運送事業以外の航空運送事業をいう。

19 この法律において「航空機使用事業」とは、他人の需要に応じ、航空機を使用して有償で旅客又は貨物の運送以外の行為の請負を行う事業をいう。

   第二章 登録

 (国籍の取得)

第三条 航空機は、この章で定めるところにより航空庁長官の行う登録を受けたときは、日本の国籍を取得する。

 (登録の要件)

第四条 左の各号の一に該当する者が所有する航空機は、これを登録することができない。

 一 日本の国籍を有しない人

 二 外国又は外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの

 三 外国の法令に基いて設立された法人その他の団体

 四 法人であつて、前三号に掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの

2 外国の国籍を有する航空機は、これを登録することができない。

 (登録事項)

第五条 登録は、航空機の所有者の申請により航空機登録原簿に左に掲げる事項を記載し、且つ、登録記号を定め、これを航空機登録原簿に記載することによつて行う。

 一 航空機の型式

 二 航空機の製造者

 三 航空機の番号

 四 航空機の定置場

 五 所有者の氏名又は名称及び住所

 六 登録の年月日及び登録番号

 (登録証明書の交付)

第六条 航空庁長官は、登録をしたときは、申請者に対し、航空機登録証明書を交付しなければならない。

 (登録の変更)

第七条 登録を受けた航空機(以下「登録航空機」という。)につき第五条第四号又は第五号に掲げる事項に変更があつたときは、次条第一項の規定により登録のまつ消を申請しなければならない場合を除くの外、その所有者は、その事由があつた日から十五日以内に航空庁長官にその旨を届け出なければならない。

2 航空庁長官は、前項の届出があつたときは、航空機登録原簿にその変更に係る事項を記載しなければならない。

 (登録のまつ消)

第八条 登録航空機の所有者は、左に掲げる場合には、その事由があつた日から十五日以内に、登録のまつ消を申請しなければならない。

 一 登録航空機が滅失し、又は登録航空機の解体(整備、改造、輸送又は保管のためにする解体を除く。)をしたとき。

 二 登録航空機の存否が三箇月以上不明になつたとき。

 三 登録航空機が第四条の規定により登録することができないものとなつたとき。

2 前項の場合において、登録航空機の所有者が登録のまつ消を申請しないときは、航空庁長官は、その定める七日以上の期間内において、これをなすべきことを催告しなければならない。

3 航空庁長官は、前項の催告をした場合において、登録航空機の所有者が正当な理由がないのに登録のまつ消を申請しないときは、登録をまつ消し、その旨を所有者に通知しなければならない。

 (命令への委任)

第九条 航空機登録原簿の記載、登録の申請の手続、航空機登録証明書の様式並びに交付、再交付及び返納その他の登録に関する細目的事項は、運輸省令で定める。

   第三章 航空機の安全性

 (耐空証明)

第十条 航空庁長官は、申請により、航空機について耐空証明を行う。

2 前項の耐空証明は、日本の国籍を有する航空機でなければ、受けることができない。但し、政令で定める航空機については、この限りでない。

3 耐空証明は、その航空機の用途、速度、最大離陸重量、最大着陸重量、重心位置及び発動機運用限界を指定して行う。

4 航空庁長官は、第一項の申請があつたときは、当該航空機の強度、構造及び性能が、運輸省令で定める安全性を確保するための技術上の基準に適合するかどうかを検査し、これに適合すると認めるときは、耐空証明をしなければならない。但し、第十二条第一項の型式証明を受けた型式の航空機又は輸入した航空機その他の政令で定める航空機にあつては、設計又は生産過程について検査の一部を行わないことができる。

5 耐空証明は、申請者に耐空証明書を交付することによつて行う。

第十一条 航空機は、前条第一項の耐空証明を受けたものでなければ、航空の用に供してはならない。但し、試験飛行等を行うため航空庁長官の許可を受けた場合は、この限りでない。

 (型式証明)

第十二条 航空庁長官は、申請により、航空機の型式の設計について型式証明を行う。

2 航空庁長官は、前項の申請があつたときは、その申請に係る型式の航空機がその強度、構造及び性能について第十条第四項の基準に適合すると認めるときは、前項の型式証明をしなければならない。

3 型式証明は、申請者に型式証明書を交付することによつて行う。

4 航空庁長官は、第一項の型式証明をするときは、あらかじめ通商産業大臣の意見をきかなければならない。

第十三条 型式証明を受けた者は、当該型式の航空機の設計の変更をしようとするときは、航空庁長官の承認を受けなければならない。第十条第四項の基準の変更があつた場合において、型式証明を受けた型式の航空機が同項の基準に適合しなくなつたときも同様である。

2 航空庁長官は、前項の申請があつたときは、当該申請に係る設計について第十条第四項の基準に適合するかどうかを検査し、これに適合すると認めるときは、承認しなければならない。

3 前条第四項の規定は、航空庁長官が前項の承認をしようとする場合に準用する。

 (耐空証明の有効期間)

第十四条 耐空証明の有効期間は、一年(運輸省令で総飛行時間について定める型式の航空機にあつては、一年を経過する時又は当該総飛行時間の飛行を行つた時までのうちいずれか先に到達する時までの期間)とする。

2 航空庁長官は、第十条第四項の検査の結果、当該航空機が前項の期間を経過しない前に第十条第四項の基準に適合しなくなるおそれがあると認めるときは、前項の有効期間を短縮することができる。

 (耐空証明の失効)

第十五条 登録航空機の耐空証明は、航空機の登録がまつ消された場合には、その効力を失う。

 (修理改造検査)

第十六条 耐空証明のある航空機の使用者は、当該航空機について運輸省令で定める範囲の修理又は改造(次条の予備品証明を受けた予備品を用いてする修理を除く。)をする場合には、その計画及び実施について航空庁長官の検査を受け、これに合格しなければ、これを航空の用に供してはならない。

2 航空庁長官は、前項の検査の結果、当該航空機が第十条第四項の基準に適合すると認めるときは、これを合格としなければならない。

 (予備品証明)

第十七条 耐空証明のある航空機の使用者は、当該航空機の用に供するための発動機、プロペラその他運輸省令で定める安全性の確保のため重要な装備品について、航空庁長官の予備品証明を受けることができる。

2 航空庁長官は、前項の予備品証明の申請があつた場合において、当該装備品がその強度、構造及び性能について第十条第四項の基準に適合するかどうかを検査し、これに適合すると認めるときは、予備品証明をしなければならない。

3 予備品証明には、運輸省令で定める区分に従い、有効期間を附することができる。

 (発動機等の整備)

第十八条 耐空証明のある航空機の使用者は、当該航空機に装備する発動機、プロペラその他運輸省令で定める安全性の確保のため重要な装備品を運輸省令で定める時間をこえて使用する場合には、運輸省令で定める方法によりこれを整備しなければならない。

 (航空機の整備又は改造)

第十九条 耐空証明のある航空機の使用者は、当該航空機について整備(運輸省令で定める軽微な保守を除く。)又は改造をした場合には、当該航空機が第十条第四項の基準に適合することについて確認をし又は確認を受けなければ、これを航空の用に供してはならない。但し、第十六条第一項の規定により航空庁長官の検査を受けなければならない場合は、この限りでない。

 (指定無線通信機器)

第二十条 運輸省令で定める無線通信機器(以下「指定無線通信機器」という。)であつて航空機に装備するものは、航空庁長官の検査を受け、これに合格したものでなければ、使用してはならない。検査を受け、これに合格した後、運輸省令で定める期間を経過したものについても同様である。

2 航空庁長官は、当該指定無線通信機器が、運輸省令で定める技術上の基準に適合すると認めるときは、これを合格としなければならない。

 (命令への委任)

第二十一条 耐空証明書及び型式証明書の様式、交付、再交付及び返納に関する事項その他耐空証明、型式証明、第十六条第一項の検査、予備品証明及び前条第一項又は第二項の検査の実施細目は、運輸省令で定める。

   第四章 航空従事者

 (航空従事者技能証明及び航空機乗組員免許)

第二十二条 航空庁長官は、申請により、航空業務を行おうとする者について、航空従事者技能証明(以下「技能証明」という。)を行う。

2 航空庁長官は、申請により、航空機に乗り組んで航空業務を行おうとする者について、技能証明の外、航空機乗組員免許を行う。

 (技能証明書)

第二十三条 技能証明は、申請者に航空従事者技能証明書(以下「技能証明書」という。)を交付することによつて行う。

 (資格)

第二十四条 技能証明は、左に掲げる資格別に行う。

 定期運送用操縦士

 上級事業用操縦士

 事業用操縦士

 自家用操縦士

 一等航空士

 二等航空士

 航空機関士

 一等航空通信士

 二等航空通信士

 三等航空通信士

 一等航空整備士

 二等航空整備士

 三等航空整備士

 航空工場整備士

 (技能証明の限定)

第二十五条 航空庁長官は、前条の定期運送用操縦士、上級事業用操縦士、事業用操縦士、自家用操縦士、航空機関士、一等航空整備士、二等航空整備士又は三等航空整備士の資格についての性能証明につき、運輸省令で定めるところにより、航空機の種類についての限定をするものとする。

2 航空庁長官は、前項の技能証明につき、運輸省令で定めるところにより、航空機の等級又は型式についての限定をすることができる。

3 航空庁長官は、前条の航空工場整備士の資格についての技能証明につき、運輸省令で定めるところにより、従事することができる業務の種類(機体関係、発動機関係、プロペラ関係、計器関係又は電気関係の別)についての限定をすることができる。

 (申請資格)

第二十六条 技能証明は、第二十四条に掲げる資格別及び前条第一項の規定による航空機の種類別に運輸省令で定める年齢及び飛行経歴その他の経歴を有する者でなければ、申請することができない。

2 一等航空通信士、二等航空通信士又は三等航空通信士の資格についての技能証明は、前項の規定による外、運輸省令で定める電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第四十条の資格について同法第四十一条の免許を受けた者でなければ、申請することができない。

 (欠格事由等)

第二十七条 第三十条第一項の規定により技能証明の取消を受け、その取消の日から二年を経過しない者は、技能証明の申請をすることができない。

2 航空庁長官は、第二十九条第一項の試験に関し、不正の行為があつた者について、二年以内の期間に限り技能証明の申請を受理しないことができる。

 (業務範囲)

第二十八条 別表の資格の欄に掲げる資格の技能証明(航空機に乗り組んでその運航を行う者にあつては、同表の資格の欄に掲げる資格の技能証明及び航空機乗組員免許)を有する者でなければ、同表の業務範囲の欄に掲げる行為を行つてはならない。

2 第二十五条の規定によりその技能証明について限定をされた航空従事者は、その限定をされた種類、等級若しくは型式の航空機又は業務の種類についてでなければ、別表の業務範囲の欄に掲げる行為を行つてはならない。

3 前二項の規定は、運輸省令で定める航空機に乗り組んでその操縦(航空機に乗り組んで行うその機体及び発動機の取扱を含む。以下同じ。)を行う者及び航空庁長官の許可を受けて、試験飛行等のため新しい種類、等級又は型式の航空機に乗り組んでその運航を行う者については、適用しない。

 (試験の実施)

第二十九条 航空庁長官は、技能証明を行う場合には、申請者が、その申請に係る資格の技能証明を有する航空従事者として航空業務に従事するのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定するために、試験を行わなければならない。

2 試験は、学科試験及び実地試験とする。

3 学科試験に合格した者でなければ、実地試験を受けることができない。

4 航空庁長官は、外国政府の授与した航空業務の技能に係る資格証書を有する者について技能証明を行う場合には、前三項の規定にかかわらず、運輸省令で定めるところにより、試験の全部又は一部を行わないことができる。

 (技能証明の取消等)

第三十条 航空庁長官は、航空従事者が左の各号の一に該当するときは、その技能証明を取り消し、又は一年以内の期間を定めて航空業務の停止を命ずることができる。

 一 この法律又はこの法律に基く処分に違反したとき。

 二 航空従事者としての職務を行うに当り、非行又は重大な過失があつたとき。

2 航空庁長官は、前項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、あらかじめ期日及び場所を指定して、聴聞をしなければならない。聴聞に際しては、当該処分に係る者に、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。

 (航空機乗組員免許)

第三十一条 第二十二条第二項の航空機乗組員免許は、第二十四条に掲げる資格(一等航空整備士、二等航空整備士、三等航空整備士及び航空工場整備士の資格を除く。)別に行う。

2 航空機乗組員免許は、申請者に航空免状を交付することによつて行う。

第三十二条 航空庁長官は、航空機乗組員免許の申請があつた場合には、申請者が前条第一項の資格別に運輸省令で定める身体検査基準に適合するかどうかを審査し、これに適合する者については、航空機乗組員免許をしなければならない。

第三十三条 航空機乗組員免許の有効期間は、定期運送用操縦士及び上級事業用操縦士の資格に係るものにあつては六箇月、その他の資格に係るものにあつては一年とする。

 (計器飛行証明及び操縦教育証明)

第三十四条 事業用操縦士又は自家用操縦士の資格についての技能証明を受けた者は、計器飛行の技能について航空庁長官の行う計器飛行証明を受けなければ、運輸省令で定める航空機以外の航空機の計器飛行を行つてはならない。

2 航空機の操縦の教育の技能について、航空庁長官の行う操縦教育証明を受けた者でなければ、定期運送用操縦士、上級事業用操縦士、事業用操縦士又は自家用操縦士の資格に係る技能証明を有しない者に対し、運輸省令で定める航空機の操縦の教育を行つてはならない。

3 第二十六条第一項、第二十七条、第二十九条及び第三十条の規定は、前二項の計器飛行証明又は操縦教育証明について準用する。

 (航空機の操縦練習)

第三十五条 第二十八条の規定にかかわらず、航空庁長官の許可を受けた者は、技能証明及び航空機乗組員免許を受けないでも航空機の操縦の練習のために航空機に乗り組んでその操縦を行つてもよい。

2 航空庁長官は、前項の許可の申請があつた場合において、申請者が、航空機の操縦の練習を行うのに必要な能力を有すると認めるときは、これを許可しなければならない。

3 第一項の許可は、申請者に航空機操縦練習許可書を交付することによつて行う。

4 第三十条及び第六十七条第一項の規定は、第一項の許可を受けた者に準用する。

 (命令への委任)

第三十六条 技能証明書、航空免状及び航空機操縦練習許可書の様式、交付、再交付及び返納に関する事項その他技能証明、航空機乗組員免許、計器飛行証明、操縦教育証明及び前条の許可に関する細目的事項並びに第二十九条第一項の試験の科目、受験手続その他の試験に関する実施細目は、運輸省令で定める。

   第五章 航空路、飛行場及び航空保安施設

 (航空路の指定)

第三十七条 航空庁長官は、航空機の航行に適する空中の通路を航空路として指定する。

2 前項の航空路の指定は、当該空域の位置及び範囲を告示することによつて行う。

 (飛行場又は航空保安施設の設置)

第三十八条 航空庁長官以外の者は、飛行場又は政令で定める航空保安施設を設置しようとするときは、航空庁長官の許可を受けなければならない。

2 前項の許可の申請をしようとする者は、当該施設について、位置、構造等の設置の計画、管理の計画、工事完成の予定期日その他運輸省令で定める事項を記載した申請書を提出しなければならない。

3 航空庁長官は、飛行場の設置の許可の申請があつたときは、飛行場の位置及び範囲、着陸帯、進入区域、進入表面、移転表面、水平表面、供用開始の予定期日その他運輸省令で定める事項を告示するとともに、現地においてこれを掲示しなければならない。

 (申請の審査)

第三十九条 航空庁長官は、前条第一項の許可の申請があつたときは、その申請が左の各号に適合しているかどうかを審査しなければならない。

 一 当該飛行場又は航空保安施設の位置、構造等の設置の計画が運輸省令で定める基準に適合するものであること。

 二 当該飛行場又は航空保安施設の設置によつて、他人の利益を著しく害することとならないものであること。

 三 当該飛行場又は航空保安施設の管理の計画が第四十七条第一項の技術上の基準に適合するものであること。

 四 申請者が当該飛行場又は航空保安施設を設置し、及びこれを管理するに足りる能力を有すること。

2 航空庁長官は、飛行場の設置の許可に係る前項の審査を行う場合には、公聴会を開き、当該飛行場の設置に関し利害関係を有する者に当該飛行場の設置に関する意見を述べる機会を与えなければならない。

 (公共用飛行場の告示等)

第四十条 航空庁長官は、公共の用に供する飛行場について設置の許可をしたときは、当該飛行場の位置及び範囲、着陸帯、進入区域、進入表面、転移表面、水平表面並びに供用開始の予定期日を告示するとともに、現地においてこれを掲示しなければならない。

 (飛行場の工事の完成)

第四十一条 第三十八条第一項の規定による飛行場の設置の許可を受けた者(以下「飛行場の設置者」という。)は、許可の申請書に記載した工事完成の予定期日までに工事を完成しなければならない。但し、天災その他やむを得ない事由により工事完成の予定期日までに工事を完成することができない場合において航空庁長官の許可を受けたときは、許可に際し航空庁長官の指定する期日までに工事を完成しなければならない。

 (完成検査)

第四十二条 飛行場の設置者又は第三十八条第一項の規定による航空保安施設の設置の許可を受けた者(以下「航空保安施設の設置者」という。)は、当該許可に係る施設の工事が完成したときは、遅滞なく航空庁長官の検査を受けなければならない。

2 航空庁長官は、前項の検査の結果当該施設が申請書に記載した設置の計画に適合していると認めるときは、これを合格としなければならない。

3 飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者は、第一項の検査の合格があつたときは、遅滞なく供用開始の期日を定めて、これを航空庁長官に届け出なければならない。

4 飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者は、前項の規定により届け出た供用開始の期日以後でなければ、当該施設を供用してはならない。

 (飛行場又は航空保安施設の変更)

第四十三条 飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者は、当該施設について運輸省令で定める航空の安全のため特に重要な変更を加えようとするときは、航空庁長官の許可を受けなければならない。

2 第三十八条第二項及び第三項、第三十九条、第四十条並びに前条の規定は、前項の場合に準用する。但し、第三十八条第三項、第三十九条第二項及び第四十条の規定については、飛行場の範囲、進入表面又は転移表面に変更を生ずる場合に限り準用する。

 (供用の休止又は廃止)

第四十四条 飛行場の設置者は、当該飛行場の供用を休止し、又は廃止しようとするときは、航空庁長官の許可を受けなければならない。

2 航空庁長官は、前項の許可の申請があつたときは、当該飛行場の供用の休止又は廃止によつて公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除く外、これを許可しなければならない。

3 第一項の供用の休止の許可には、期限を附することができる。

4 第一項の規定による供用の休止の許可に係る飛行場の設置者は、当該飛行場の供用を再開しようとするときは、航空庁長官の検査を受けなければならない。

5 第四十二条第二項から第四項までの規定は、前項の供用の再開の場合に準用する。

第四十五条 航空保安施設の設置者は、当該航空保安施設の供用を休止し、又は廃止しようとするときは、少くともその七日前までに航空庁長官にその旨を届け出なければならない。

2 前条第四項及び第五項の規定は、供用を休止した航空保安施設の供用の再開の場合に準用する。

 (飛行場又は航空保安施設の告示)

第四十六条 飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者が第四十二条第三項の届出をした場合は、航空庁長官は、当該施設の名称、位置、設備の概要その他運輸省令で定める事項を告示しなければならない。告示した事項に変更があつたとき、又は当該施設の供用の休止、再開若しくは廃止があつたときも同様である。

 (飛行場又は航空保安施設の管理)

第四十七条 飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者は、運輸省令で定める技術上の基準に従つて当該施設を管理しなければならない。

2 航空庁長官は、前項の飛行場又は航空保安施設が同項の基準に従つて管理されることを確保するため、政令で定めるところにより当該施設について定期に検査をしなければならない。

 (許可の取消)

第四十八条 航空庁長官は、左に掲げる場合には、飛行場又は航空保安施設の設置の許可を取り消すことができる。但し、第二号から第四号までの場合については、航空庁長官が飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者に対し、相当の期間を定めて、当該施設を申請書に記載した計画に適合させるための措置をとるべきこと又は当該施設を前条第一項の技術上の基準に従つて管理すべきことを命じ、その期間内に飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者が、その命令に従わなかつた場合に限る。

 一 正当の理由がないのに第三十八条第二項の申請書に記載した工事完成の予定期日(第四十一条但書の規定により許可を受けた場合には、許可に際し指定された期日)までに工事を完成しないとき。

 二 第四十二条第一項(第四十三条第二項において準用する場合を含む。)の検査の結果、当該施設が申請書に記載した設置又は変更の計画に適合していないと認めるとき。

 三 第四十四条第五項又は第四十五条第二項において準用する第四十二条第一項の検査の結果、当該施設がこれらの申請に係る申請書に記載した計画に適合していないと認めるとき。

 四 飛行場又は航空保安施設の管理が前条第一項の技術上の基準に従つて行われていないと認めるとき。

 (物件の制限等)

第四十九条 何人も、公共の用に供する飛行場について第四十条(第四十三条第二項において準用する場合を含む。)の告示があつた後においては、その告示で示された進入表面又は転移表面の上に出る高さの建造物、植物その他の物件を設置し、植栽し、又は留置してはならない。但し、供用開始の予定期日前に除去される物件については、この限りでない。

2 飛行場の設置者は、前項の規定に違反して、設置し、植栽し、又は留置した物件(成長して進入表面又は転移表面の上に出るに至つた植物を含む。)の所有者その他の権原を有する者に対し、当該物件を除去すべきことを求めることができる。

3 飛行場の設置者は、第一項の告示の際現に存する物件で進入表面又は転移表面の上に出るもの(同項の告示の際現に存する植物で成長して進入表面又は転移表面の上に出るに至つたものを含む。)の所有者その他の権原を有する者に対し、政令で定めるところにより通常生ずべき損失を補償して、当該物件の進入表面又は転移表面の上に出る部分を除去すべきことを求めることができる。

4 前項の物件又はこれが存する土地の所有者は、同項の物件の除去によつて、その物件又は土地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、政令で定めるところにより飛行場の設置者に対し、その物件又は土地の買収を求めることができる。

5 第三項の補償すべき損失の額並びに前項の買収及びその価格等の条件は、当事者間の協議により定める。協議が調わないとき、又は協議することができないときは、運輸大臣が裁定する。

6 前項の裁定中補償すべき損失の額及び買収の価格について不服のある者は、その裁定の通知を受けた日から三十日以内に、訴をもつてその金額の増減を請求することができる。

7 前項の訴においては、飛行場の設置者又は物件若しくは土地の所有者その他の権原を有する者を被告とする。

第五十条 公共の用に供する飛行場の設置者は、当該飛行場の設置又は第四十三条第一項の施設の変更によつて、進入表面又は転移表面の投影面と一致する土地(進入表面又は転移表面からの距離が十メートル未満のものに限る。)について前条第一項の規定による用益の制限により通常生ずべき損失を、当該土地の所有者その他の権原を有する者に対し、政令で定めるところにより補償しなければならない。

2 前項の土地の所有者は、前条第一項の規定による用益の制限によつて当該土地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、同条第四項の場合を除き、政令で定めるところにより飛行場の設置者に対し、その土地の買収を求めることができる。

3 前条第五項から第七項までの規定は、前二項の場合に準用する。

 (航空障害灯の設置)

第五十一条 飛行場の設置者は、運輸省令で定めるところにより、水平表面の上に出ている物件に航空障害灯を設置しなければならない。但し、航空庁長官の許可を受けた場合は、この限りでない。

2 航空庁長官は、政令で定めるところにより、前項に規定する物件以外の物件で、航空機の航行の安全を著しく害するおそれがあるものに航空障害灯を設置しなければならない。

3 前二項の物件の所有者又は占有者は、飛行場の設置者又は航空庁長官の行う航空障害灯の設置を拒むことができない。

4 第一項又は第二項の規定により航空障害灯を設置した者は、運輸省令で定める方法に従い、当該航空障害灯を管理しなければならない。

 (類似灯火の制限)

第五十二条 何人も、航空灯火の明りような認識を妨げ、又は航空灯火と誤認されるおそれがある灯火(以下「類似灯火」という。)を設置してはならない。

2 航空庁長官は、類似灯火の設置者に対し、期限を定めて当該灯火のしやへいその他航空灯火の認識を妨げず、又は航空灯火と誤認されないようにするための措置をとるべきことを命ずることができる。

3 前項の場合において、類似灯火が航空灯火の設置の時において設置されている場合には、同項の措置に要する費用は、当該航空灯火の設置者が負担する。

 (汚損行為等の禁止)

第五十三条 何人も、航空保安施設をよごし、損傷し、その他その機能をそこなうおそれのある行為をしてはならない。

 (使用料等)

第五十四条 飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者は、公共の用に供する飛行場又は航空保安施設の使用料その他の使用の条件について、特定の使用者に対して、不当な差別的取扱をしてはならない。

2 飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者は、前項の使用料その他の使用の条件を定めたときは、遅滞なく航空庁長官に届け出るとともに、これを公表しなければならない。これを変更したときも同様である。

 (飛行場の設置者等の地位の承継)

第五十五条 この法律に基く飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者の地位は、第三項の場合を除き、これを承継しようとする者が航空庁長官の許可を受けなければ、承継しない。

2 第三十九条第一項第四号の規定は、前項の許可をする場合に準用する。

3 飛行場の設置者又は航空保安施設の設置者が死亡した場合においては、その相続人(相続人が二人以上ある場合においては、その協議により定めた設置者の地位を承継すべき一人の相続人)は、被相続人のこの法律の規定による地位を承継する。

4 前項の相続人は、被相続人のこの法律の規定による地位を承継したときは、遅滞なくその旨を航空庁長官に届け出なければならない。

 (航空庁長官の行う飛行場等の設置又は管理)

第五十六条 航空庁長官は、飛行場又は航空保安施設を設置し、又はその施設に変更を加える場合には、第三十九条第一項第一号及び第二号の基準に従つてこれをしなければならない。

2 第三十八条第三項、第三十九条第二項、第四十条、第四十六条、第四十九条、第五十条及び第五十一条第一項の規定は、航空庁長官が飛行場又は航空保安施設を設置し、又はその施設に変更を加える場合に準用する。

3 第四十七条第一項、第五十一条第四項(同条第一項の航空障害灯に係るものに限る。)及び第五十四条の規定は、航空庁長官が飛行場又は航空保安施設を管理する場合に準用する。

   第六章 航空機の運航

 (国籍等の表示)

第五十七条 航空機には、運輸省令で定めるところに従い、国籍、登録記号及び所有者の氏名又は名称を表示しなければ、これを航空の用に供してはならない。

 (航空日誌)

第五十八条 航空機の使用者は、運輸省令で定める様式の航空日誌を備えなければならない。

2 航空機の使用者は、航空機を航空の用に供した場合又は整備し、若しくは改造した場合には、遅滞なく航空日誌に運輸省令で定める事項を記載しなければならない。

 (航空機に備え付ける書類)

第五十九条 航空機(運輸省令で定める航空機を除く。)には、左に掲げる書類を備え付けなければ、これを航空の用に供してはならない。但し、第十一条但書の規定による許可を受けた場合は、この限りでない。

 一 航空機登録証明書

 二 耐空証明書

 三 航空日誌

 (義務無線設備)

第六十条 航空機は、左に掲げる場合には、運輸省令で定める無線設備を設置しなければ、これを航空の用に供してはならない。

 一 航空運送事業の用に供する場合(運輸省令で定める場合を除く。)

 二 航空交通管制区又は航空交通管制圏で、計器飛行状態において飛行を行う場合

 三 航空庁長官が告示する捜索又は救助が困難な区域を飛行する場合

 (救急用具)

第六十一条 運輸省令で定める航空機には、落下さん、救命胴衣、非常信号灯その他の運輸省令で定める救急用具を装備しなければ、これを航空の用に供してはならない。

 (特別の飛行を行う場合の装置)

第六十二条 凍結防止装置、外気温度計、酸素吸入装置、航法計器その他の運輸省令で定める航空の安全のための特別の装置を装備する航空機でなければ、高高度飛行、雲中飛行その他の運輸省令で定める特別の飛行を行つてはならない。

 (航空機の燃料)

第六十三条 航空機は、航空運送事業の用に供する場合又は計器飛行状態の場合若しくは飛行の途中において計器飛行状態において飛行することが予想される場合においては、運輸省令で定める量の燃料を携行しなければ、これを出発させてはならない。

 (航空機の灯火)

第六十四条 航空機は、夜間(日没から日出までの間をいう。以下同じ。)において航行し、若しくは水上にてい泊し、又は夜間において使用される飛行場に停留する場合には、運輸省令で定めるところによりこれを灯火で表示しなければならない。

 (航空機に乗り組ませなければならない者)

第六十五条 航空機には、第二十八条の規定によりこれを操縦することができる航空従事者を乗り組ませなければならない。

2 左の表の航空機の欄に掲げる航空機には、前項の航空従事者の外、第二十八条の規定により同表の業務の欄に掲げる行為を行うことができる航空従事者を乗り組ませなければならない。

航空機

業務

左の各号の一に該当する航空機

 

 一 構造上、引込式降着装置又はフラツプの操作其の他航空機の操縦のために二人を要する航空機

航空機の操縦

 二 旅客の運送の用に供する航空機で計器飛行状態において飛行するもの

 三 旅客の運送の用に供する航空機で飛行時間が五時間をこえるもの

左の各号の一に該当する航空機

 

 一 四基以上の発動機を有し、且つ、三万五千キログラム以上の最大離陸重量を有する航空機

航空機に乗り組んで行うその発動機及び機体の取扱(操縦装置の操作を除く。)

 二 構造上、操縦者(航空機の操縦に従事する者をいう。以下同じ。)だけでは発動機及び機体の完全な取扱ができない航空機

第六十六条 左の表の航空機の欄に掲げる航空機には、前条の航空従事者の外、第二十八条の規定により同表の業務の欄に掲げる行為を行うことができる航空従事者を乗り組ませなければならない。

航空機

業務

第六十条の規定により無線設備(運輸省令で定めるものを除く。)を設置しなければならない航空機

上欄に掲げる無線設備の操作

無着陸で五百五十キロメートル以上の区間を飛行する航空機

航空機の位置及び針路の測定並びに航法上の資料の算出

2 前項の規定にかかわらず、同項同表の業務の欄に掲げるそれぞれの業務を他の航空従事者の業務を行う者が行うことによりその業務に支障を生ずることとならない場合は、同項に規定する航空従事者を乗り組ませなくてもよい。

 (航空従事者の携帯する書類)

第六十七条 航空従事者は、その航空業務を行う場合には、技能証明書を携帯しなければならない。

2 航空機乗組員(航空機に乗り組んでその運航に従事する航空従事者をいう。以下同じ。)は、その航空業務を行う場合には、技能証明書の外、航空免状を携帯しなければならない。

 (乗務割の基準)

第六十八条 航空運送事業を経営する者は、運輸省令で定める基準に従つて作成する乗務割によるのでなければ、その使用する航空機の航空機乗組員を航空機の運航に従事させてはならない。

 (最近の飛行経験)

第六十九条 航空機乗組員は、運輸省令で定めるところにより、一定の期間内における一定の飛行経験がないときは、航空運送事業の用に供する航空機の運航に従事し、又は計器飛行、夜間の飛行若しくは第三十四条第二項の操縦の教育を行つてはならない。

 (酒精飲料等)

第七十条 航空機乗組員は、酒精飲料又は麻酔剤その他の薬品の影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間は、その航空業務を行つてはならない

 (身体障害)

第七十一条 航空機乗組員は、第三十二条の身体検査基準に適合しなくなつたときは、第三十三条の航空機乗組員免許の有効期間内であつても、その航空業務を行つてはならない。

 (機長の路線資格)

第七十二条 定期航空運送事業の用に供する航空機の機長は、路線ごとに運輸省令で定める当該路線における航空機の操縦の経験及び当該路線についての知識を有する者でなければならない。

 (機長の権限)

第七十三条 機長は、当該航空機に乗り組んでその職務を行う者を指揮監督する。

 (危難の場合の措置)

第七十四条 機長は、航空機又は旅客の危難が生じた場合又は危難が生ずるおそれがあると認める場合は、航空機内にある旅客に対し、避難の方法その他安全のため必要な事項について命令をすることができる。

第七十五条 機長は、航空機の航行中、その航空機に急迫した危難が生じた場合には、旅客の救助及び地上又は水上の人又は物件に対する危難の防止に必要な手段を尽し、且つ、旅客其の他の航空機内にある者を去らせた後でなければ、自己の指揮する航空機を去つてはならない。

 (報告の義務)

第七十六条 機長は、左に掲げる事故が発生した場合には、運輸省令で定めるところにより航空庁長官にその旨を報告しなければならない。但し、機長が報告することができないときは、当該航空機の使用者が報告しなければならない。

 一 航空機の墜落、衝突、火災その他の航空機の事故

 二 航空機による人の死傷又は物件の損壊

 三 航空機内にある者の死亡又は行方不明

2 機長は、他の航空機について前項第一号の事故が発生したことを知つたときは、無線電信又は無線電話により知つたときを除いて、運輸省令で定めるところにより航空庁長官にその旨を報告しなければならない。

 (運航管理者)

第七十七条 定期航空運送事業の用に供する航空機は、その機長が、第百二条第一項の定期航空運送事業者の置く運航管理者の承認を受けなければ、出発し、又はその飛行計画を変更してはならない。

第七十八条 前条の運航管理者は、航空庁長官の行う運航管理者技能検定に合格した者でなければならない。

2 運航管理者技能検定は、申請者が前条の業務を行うために必要な航空機、航空保安施設、無線通信及び気象に関する知識及び技能を有するかどうかを判定するために行う。

3 運航管理者技能検定は、運輸省令で定める年齢及び航空機の運航に関する経験を有する者でなければ、受けることができない。

4 第二十七条、第二十九条及び第三十条の規定は、運航管理者技能検定に準用する。

5 運航管理者技能検定の申請手続其の他の実施細目は、運輸省令で定める。

 (離着陸の場所)

第七十九条 航空機(運輸省令で定める航空機を除く。)は、陸上にあつては飛行場以外の場所において、水上にあつては運輸省令で定める場所において、離陸し、又は着陸してはならない。但し、やむを得ない事由がある場合において、航空庁長官の許可を受けたときは、この限りでない。

 (飛行の禁止区域)

第八十条 航空機は、運輸省令で定める航空機の飛行に関し危険を生ずるおそれがある区域の上空を飛行してはならない。但し、航空庁長官の許可を受けた場合は、この限りでない。

 (最低安全高度)

第八十一条 航空機は、離陸又は着陸を行う場合を除いて、地上又は水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を考慮して運輸省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない。但し、航空庁長官の許可を受けた場合は、この限りでない。

 (巡航高度)

第八十二条 航空機は、地表又は水面から、有視界飛行状態においては九百メートル以上、計器飛行状態においては三百メートル以上の高度で巡航する場合には、運輸省令で定める高度で飛行しなければならない。

 (航空機の衝突予防)

第八十三条 航空機は、他の航空機又は船舶との衝突を予防するため進路及び速度について運輸省令で定める方法に従い、航行しなければならない。

 (編隊飛行)

第八十四条 航空運送事業の用に供する航空機は、航空庁長官の許可を受けなければ、編隊で飛行してはならない。

2 航空機は、編隊で飛行する場合には、その機長は、これを行う前に、編隊の方法、航空機相互間の合図の方法その他運輸省令で定める事項について打合せをしなければならない。

 (粗暴な操縦の禁止)

第八十五条 航空機は、運航上の必要がないのに低空で飛行を行い、高調音を発し、又は急降下し、その他他人に迷惑を及ぼすような方法で操縦してはならない。

 (爆発物等の輸送禁止)

第八十六条 爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのある物件で運輸省令で定めるものは、航空機で輸送してはならない。

2 何人も、前項の物件を航空機内に持ち込んではならない。

 (無線操縦者航空機)

第八十七条 第六十五条及び第六十六条の規定にかかわらず、操縦者が乗り組まないで飛行することができる装置を有する航空機は、航空庁長官の許可を受けた場合には、これらの規定に定める航空機乗組員を乗り組ませないで飛行させることができる。

2 航空庁長官は、前項の許可を行う場合において他の航空機に及ぼす危険を予防するため必要があると認めるときは、当該航空機について飛行の方法を限定することができる。

 (物件の曳航)

第八十八条 航空機による物件の曳航は、運輸省令で定める安全上の基準に従つて行わなければならない。

 (物件の投下)

第八十九条 何人も、航空機から物件を投下してはならない。但し、地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれのない場合であつて航空庁長官に届け出たときは、この限りでない。

 (落下さん降下)

第九十条 航空庁長官の許可を受けた者でなければ、航空機から落下さんで降下してはならない。

 (曲技飛行)

第九十一条 航空機は、左に掲げる空域以外の空域で運輸省令で定める高さ以上の空域において行う場合であつて、且つ、飛行視程が五キロメートル以上ある場合でなければ、宙返り、横転その他の曲技飛行を行つてはならない。但し、航空庁長官の許可を受けた場合は、この限りでない。

 一 人又は家屋の密集している地域の上空

 二 航空路

 三 航空交通管制圏

 (操縦練習の実施)

第九十二条 第三十五条第一項の許可を受けた者は、航空機の操縦の練習を行う場合には、第三十四条第二項の操縦教育証明を受けた者の監督の下に行わなければならない。

 (操縦練習等の場所)

第九十三条 前条の航空機の操縦の練習又は航空機の試験のための飛行は、航空交通管制区又は航空交通管制圏において行つてはならない。但し、航空庁長官の許可を受けた場合は、この限りでない。

 (有視界飛行状態における飛行)

第九十四条 航空機は、有視界飛行状態においては、計器飛行を行つてはならない。

 (計器飛行状態における飛行)

第九十五条 航空機は、定期運送用操縦士若しくは上級事業用操縦士の資格の技能証明を有する者又は事業用操縦士若しくは自家用操縦士の資格の技能証明を有する者で計器飛行証明を受けたものが操縦するのでなければ、計器飛行状態において飛行してはならない。但し、航空庁長官の許可を受けた場合は、この限りでない。

 (航空交通の指示)

第九十六条 航空機は、航空交通管制区又は航空交通管制圏においては、航空庁長官が航空交通の安全を考慮して、離陸若しくは着陸の順序、時機若しくは方法又は飛行の方法について与える指示に従つて航行しなければならない。

 (飛行計画及びその承認)

第九十七条 航空機は、計器飛行状態において、航空交通管制圏内の飛行場から出発し、又は航空交通管制区若しくは航空交通管制圏を飛行しようとするときは、運輸省令で定めるところにより航空庁長官に飛行計画を通報し、その承認を受けなければならない。承認を受けた飛行計画を変更しようとするときも同様である。

2 前項の飛行計画の承認を受けた航空機は、前条の航空庁長官の指示に従うの外、飛行計画に従つて航行しなければならない。但し、通信機の故障があつた場合において運輸省令で定める方法に従つて航行するときは、この限りでない。

3 第一項の飛行計画の承認を受けた航空機は、航空交通管制区又は航空交通管制圏において航行している間は、運輸省令で定める方法に従つて航空交通に関する航空庁長官の指示を聴取し、及び航空庁長官に当該航空機の位置、飛行状態その他運輸省令で定める事項を通報しなければならない。

 (到着の通知)

第九十八条 前条の飛行計画の承認を受けた航空機の機長は、当該航空機が飛行計画で定めた飛行を終つたときは、遅滞なく航空庁長官にその旨を通知しなければならない。

 (着陸帯の立入の禁止)

第九十九条 何人も、みだりに着陸帯に立ち入つてはならない。

   第七章 航空運送事業等

 (免許)

第百条 定期航空運送事業を経営しようとする者は、路線ごとに運輸大臣の免許を受けなければならない。

2 前項の免許を受けようとする者は、申請書に事業計画(航空機の運航及びこれを行うために必要な整備に関する計画をいう。以下同じ。)、事業収支見積、運航開始の予定期日その他運輸省令で定める事項を記載し、これを運輸大臣に提出しなければならない。

3 運輸大臣は、申請者に対し、前項に規定するものの外、商業登記簿の謄本その他必要な書類の提出を求めることができる。

 (免許基準)

第百一条 運輸大臣は、前条の免許の申請があつたときは、その申請が左の各号に適合するかどうかを審査しなければならない。

 一 当該事業の開始が公衆の利用に適応するものであること。

 二 当該事業の開始によつて当該路線における航空輸送力が航空輸送需要に対し、著しく供給過剰にならないこと。

 三 当該事業が航空保安上適当な事業計画を有するものであること。

 四 申請者が当該事業を適確に遂行するに足る能力を有するものであること。

 五 申請者が左に掲げる者に該当するものでないこと。

  イ 第四条第一項各号に掲げる者

  ロ 定期航空運送事業、不定期航空運送事業又は航空機使用事業の免許の取消を受け、その取消の日から二年を経過しない者

  ハ この法律の規定に違反して禁こ以上の刑に処せられて、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者

  ニ 法人であつて、その役員がロ又はハの一に該当するもの

2 運輸大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項の基準に適合していると認めたときは、定期航空運送事業の免許をしなければならない。

 (運航開始前の検査)

第百二条 第百条第一項の免許を受けた者(以下「定期航空運送事業者」という。)は、当該免許に係る事業の用に供する航空機その他の施設について航空庁長官の検査を受け、これに合格しなければ、運航を開始してはならない。

2 航空庁長官は、前項の検査の結果、当該施設によつて定期航空運送事業者がこの法律及び事業計画に従う業務を行うことができると認めるときは、これを合格としなければならない。

 (運航開始義務)

第百三条 定期航空運送事業者は、免許の申請書に記載した期日に運航を開始しなければならない。但し、運輸大臣にあらかじめ届け出た場合においては、当該期日前に運航を開始することを妨げない。

2 天災その他やむを得ない事由により、前項本文の期日に運航を開始することができないときは、運輸大臣は、申請によりその期日を延期することができる。

 (運航規程及び整備規程の認可)

第百四条 定期航空運送事業者は、運輸省令で定める航空機の運航及び整備に関する事項について運航規程及び整備規程を定め、航空庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。

2 航空庁長官は、前項の運航規程又は整備規程が運輸省令で定める技術上の基準に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。

 (運賃及び料金の認可)

第百五条 定期航空運送事業者は、旅客及び貨物(郵便物を除く。)の運賃及び料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。

2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつてこれをしなければならない。

 一 能率的な経営の下における当該事業の適正な経費に適正な利潤を含めたものの範囲をこえることとならないこと。

 二 当該事業の提供するサービスの性質が考慮されているものであること。

 三 特定の旅客又は荷主に対し、不当な差別的取扱をするものでないこと。

 四 旅客又は荷主が当該事業を利用することを著しく困難にするおそれがないものであること。

 五 他の航空運送事業者との間に、不当な競争をひき起すこととなるおそれがないものであること。

 (運送約款の認可)

第百六条 定期航空運送事業者は、運送約款を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。

2 運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によつてこれをしなければならない。

 一 公衆の正当な利益を害するおそれがないものであること。

 二 少くとも運賃及び料金の収受並びに運送に関する事業者の責任に関する事項が定められていること。

 (運賃及び料金等の掲示)

第百七条 定期航空運送事業者は、運賃及び料金並びに運送約款を営業所その他の事業所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。

 (事業計画)

第百八条 定期航空運送事業者は、その業務を行う場合には、天候その他やむを得ない事由のある場合を除く外、事業計画に定めるところに従わなければならない。

2 運輸大臣は、定期航空運送事業者が前項の規定に違反していると認めるときは、当該定期航空運送事業者に対し、事業計画に従い業務を行うべきことを命ずることができる。

第百九条 定期航空運送事業者は、事業計画を変更しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。

2 第百一条(第一項第五号に係るものを除く。)の規定は、前項の認可について準用する。

 (運輸に関する協定)

第百十条 定期航空運送事業者は、他の運送事業者と連絡運輸に関する契約、運賃協定その他の運輸に関する協定をしようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。

2 運輸大臣は、当該協定が公衆の利便を増進するものであるときは、前項の認可をしなければならない。

 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)

第百十一条 前条第一項の認可を受けて行う正当な行為には、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、適用しない。但し、不公正な競争方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に運賃又は料金を引き上げることとなる場合は、この限りでない。

 (事業改善の命令)

第百十二条 運輸大臣は、定期航空運送事業者の事業について公共の福祉を阻害している事実があると認めるときは、当該定期航空運送事業者に対し、左の各号に掲げる事項を命ずることができる。

 一 事業計画を変更すること。

 二 運賃、料金又は運送約款を変更すること。

 三 航空機その他の施設を改善すること。

 四 航空事故により支払うことあるべき損害賠償のため保険契約を締結すること。

 (名義の利用、事業の貸渡等)

第百十三条 定期航空運送事業者は、その名義を他人に定期航空運送事業のため利用させてはならない。

2 定期航空運送事業者は、事業の貸渡その他いかなる方法をもつてするかを問わず、定期航空運送事業を他人にその名において経営させてはならない。

 (事業の譲渡及び譲受)

第百十四条 定期航空運送事業者が当該定期航空運送事業を譲渡する場合において、譲渡人及び譲受人が、その譲渡及び譲受について運輸大臣の認可を受けたときは、譲受人は、譲渡人のこの法律の規定による地位を承継する。

2 第百一条の規定は、前項の認可について準用する。

 (事業の合併)

第百十五条 定期航空運送事業者たる法人の合併の場合(定期航空運送事業者たる法人と定期航空運送事業を営まない法人が合併する場合において、定期航空運送事業者たる法人が存続するときを除く。)において当該合併について運輸大臣の認可を受けたときは、合併後存続する法人又は合併により設立された法人は、定期航空運送事業者のこの法律の規定による地位を承継する。

2 第百一条の規定は、前項の認可について準用する。

 (相続)

第百十六条 定期航空運送事業者が死亡した場合においては、その相続人(相続人が二人以上ある場合においては、その協議により定めた事業を承継すべき一人の相続人)は、被相続人たる定期航空運送事業者のこの法律の規定による地位を承継する。

2 前項の相続人は、被相続人の死亡後六十日以内にその相続について運輸大臣の認可を申請しなければ、その期間の経過後は、定期航空運送事業の免許は、その効力を失う。認可の申請に対し、認可しない旨の処分があつた場合において、その日以後についても同様である。

3 第百一条の規定は、前項の認可について準用する。

 (事業の休止)

第百十七条 定期航空運送事業者は、その事業を休止しようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。

2 運輸大臣は、当該休止によつて公衆の利便が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除く外、前項の許可をしなければならない。

3 第一項の事業の休止の許可は、一年をこえる期間についてすることができない。

 (事業の廃止)

第百十八条 定期航空運送事業者は、その事業を廃止したときは、遅滞なくその旨を運輸大臣に届けなければならない。

 (事業の停止及び免許の取消)

第百十九条 運輸大臣は、定期航空運送事業者が左の各号の一に該当するときは、六箇月以内において期間を定めて事業の停止を命じ、又は免許を取り消すことができる。

 一 この法律、この法律に基く処分又は免許、許可若しくは認可に附した条件に違反したとき。

 二 正当な理由がないのにこの章の規定により認可を受けた事項を実施しないとき。

 (免許の失効)

第百二十条 定期航空運送事業者が第四条第一項各号に掲げる者に該当するに至つたときは、その者に係る第百条第一項の免許は、効力を失う。

 (不定期航空運送事業)

第百二十一条 不定期航空運送事業を経営しようとする者は、運輸大臣の免許を受けなければならない。

2 第百条第二項及び第三項並びに第百一条(第一項第一号及び第二号に係るものを除く。)の規定は、前項の免許について準用する。

第百二十二条 第百二条、第百四条から第百六条まで及び第百八条から第百二十条までの規定(第百十四条第二項、第百十五条第二項又は第百十六条第三項中第百一条第一項第一号及び第二号の準用に係るものを除く。)は、不定期航空運送事業に準用する。

2 第三十条第二項の規定は、前項において準用する第百十九条の規定による事業の停止又は免許の取消の場合に準用する。

 (航空機使用事業)

第百二十三条 航空機使用事業を経営しようとする者は、運輸大臣の免許を受けなければならない。

2 第百条第二項及び第三項並びに第百一条(第一項第一号及び第二号に係るものを除く。)の規定は、前項の免許について準用する。

第百二十四条 第百二条、第百八条、第百九条、第百十二条(第二号に係るものを除く。)、第百十三条から第百十六条まで(第百十四条第二項、第百十五条第二項又は第百十六条第三項中第百一条第一項第一号及び第二号の準用に係るものを除く。)、第百十八条から第百二十条まで及び第百二十二条第二項の規定は、航空機使用事業に準用する。

2 前条第一項の免許を受けた者は、その事業を休止したときは、遅滞なくその旨を運輸大臣に届け出なければならない。

 (免許等の条件)

第百二十五条 この章に規定する免許、許可又は認可には、条件又は期限を附し、及びこれを変更することができる。

2 前項の条件又は期限は、公衆の利益を増進し、又は免許、許可若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、且つ、当該航空運送事業者又は航空機使用事業者に不当な義務を課することとならないものでなければならない。

   第八章 外国航空機

 (外国航空機の航行)

第百二十六条 国際民間航空条約の締約国たる外国(以下単に「締約国」という。)の国籍を有する人又は締約国の法令に基いて設立された法人その他の団体の使用する航空機(第百二十九条の許可を受けて旅客又は貨物の運送の事業を経営する者(以下「外国人国際航空運送事業者」という。)の当該事業の用に供する航空機を除く。)は、左に掲げる航行を行う場合において、その上空を航行することが危険な区域として運輸省令で定める区域の上空を航行しようとするときは、航空庁長官の許可を受けなければならない。

 一 本邦外から出発して本邦内に到達する航行

 二 本邦内から出発して本邦外に到達する航行

 三 本邦外から出発して着陸することなしに本邦を通過し、本邦外に到達する航行

2 外国、外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの、締約国以外の外国の国籍を有する人又は締約国以外の外国の法令に基いて設立された法人その他の団体の使用する航空機(外国人国際航空運送事業者が当該事業の用に供する航空機を除く。)は、前項各号に掲げる航行を行う場合には、航空庁長官の許可を受けなければならない。

3 軍、税関又は警察の業務に用いる航空機は、前二項の規定の適用については、国の使用する航空機とみなす。

4 第一項及び第二項の航空機は、第一項各号に掲げる航行を行う場合において航空庁長官の要求があつたときは、遅滞なくその指定する飛行場に着陸しなければならない。

 (外国航空機の国内使用)

第百二十七条 外国、外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの、外国の国籍を有する人又は外国の法令に基いて設立された法人その他の団体の使用する航空機(外国人国際航空運送事業者が当該事業の用に供する航空機を除く。)は、本邦内の各地間において航空の用に供してはならない。但し、航空庁長官の許可を受けた場合は、この限りでない。

 (軍需品輸送の禁止)

第百二十八条 外国の国籍を有する航空機は、航空庁長官の許可を受けなければ、第百二十六条第一項各号に掲げる航行により運輸省令で定める軍需品を輸送してはならない。

 (外国人国際航空運送事業)

第百二十九条 第百条第一項及び第百二十一条第一項の規定にかかわらず、第四条第一項各号に掲げる者は、運輸大臣の許可を受けて、他人の需要に応じ、有償で第百二十六条第一項各号に掲げる航行(これらの航行と接続して行う本邦内の各地間における航行を含む。)により旅客又は貨物を運送する事業を経営することができる。

 (外国人国内航空運送の禁止)

第百三十条 第百二十七条但書の許可に係る航空機又は外国人国際航空運送事業者が当該事業の用に供する航空機は、有償で本邦内の各地間において発着する旅客又は貨物の運送の用に供してはならない。但し、運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。

 (証明書等の承認)

第百三十一条 左に掲げる航空機の耐空性及びその航空機の航空機乗組員の資格について当該航空機が国籍を有する外国が行つた証明、免許その他の行為及びこれらに係る資格証書その他の文書は、第十一条、第二十条、第二十八条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項、第五十九条、第六十五条から第六十七条まで又は第九十五条の規定の適用については、運輸省令で定めるところにより、第六条の航空機登録証明書、第十条第一項の規定による耐空証明、同条第五項の耐空証明書、第二十条第一項の規定による検査の合格、第二十二条第一項の規定による技能証明若しくは同条第二項の規定による航空機乗組員免許、第二十三条の技能証明書、第三十一条第二項の航空免状又は第三十四条第一項の規定による計器飛行証明とみなす。

 一 第百二十六条第一項各号に掲げる航行を行う同項及び同条第二項の航空機

 二 第百二十七条但書の許可に係る航空機であつて政令で定めるもの

 三 外国人国際航空運送事業者が当該事業の用に供する航空機

   第九章 雑則

 (事故調査)

第百三十二条 航空庁長官は、第七十六条第一項各号に掲げる事故があつたときは、遅滞なくその原因について調査しなければならない。

2 航空庁長官は、前項の調査のため、事故に係る航空機の使用者若しくは航空機乗組員、事故の救助に当つた者その他の関係者に対し、報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、事故の現場に立ち入り、航空機その他の物件を検査させることができる。

3 前項の場合には、当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。

4 第二項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (航空運送代理店業等の届出)

第百三十三条 航空運送代理店業(航空運送事業者のために航空機による運送の契約の締結の代理を行う事業をいう。以下同じ。)又は航空運送取扱業(自己の名において航空機による運送の取次を行う事業をいう。以下同じ。)を経営しようとする者は、運輸省令で定める事項を運輸大臣に届け出なければならない。届出をした事項を変更しようとするときも同様である。

2 航空運送代理店業又は航空運送取扱業を経営する者は、事業を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

 (報告徴収及び立入検査)

第百三十四条 航空庁長官は、この法律の施行を確保するため必要があるときは、左の各号に掲げる者に対し、航空機若しくは装備品の整備、改造若しくは製造、飛行場若しくは航空保安施設の工事、管理若しくは使用、航空機の使用、航空業務、航空運送事業、航空機使用事業、航空運送代理店業又は航空運送取扱業に関し報告を求めることができる。

 一 航空機又は装備品の整備、改造又は製造をする者

 二 飛行場又は航空保安施設の設置者

 三 航空従事者

 四 航空運送事業又は航空機使用事業を経営する者

 五 前号に掲げる者以外の者で航空機を使用するもの

 六 航空運送代理店業又は航空運送取扱業を経営する者

2 航空庁長官は、この法律の施行を確保するため必要があるときは、その職員に、前項各号に掲げる者の事務所、工場その他の事業場、飛行場、航空保安施設を設置する場所、飛行場若しくは航空保安施設の工事を行う場所、航空機の所在する場所又は航空機に立ち入つて、航空機、航空保安施設、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

3 第百三十二条第三項及び第四項の規定は、前項の場合に準用する。

 (手数料の納付)

第百三十五条 左の表の上欄に掲げる者(国を除く。)は、それぞれ、同表の下欄に掲げる金額の範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。

納めなければならない者

金額

一 第十条第一項の耐空証明を申請する者

八万一千四百円

二 第十二条第一項の型式証明を申請する者

四万八千四百円

三 第十六条第一項の修理改造検査を受けようとする者

八千七百円

四 第十七条第一項の予備品証明を申請する者

一万一千三百円

五 第二十条第一項の検査を受けようとする者

八千七百円

六 第二十二条第一項の技能証明を申請する者

五百円。但し、実地試験に航空機の航行を行う場合であつて、航空庁の航空機を使用するときは、五百円の範囲内で政令で定める金額に政令で定める金額を加算した額

七 第二十二条第二項の航空機乗組員免許を申請する者

三百円

八 第三十四条第一項の計器飛行証明又は同条第二項の操縦教育証明を申請する者

四百円。但し、実地試験に航空機の航行を行う場合であつて、航空庁の航空機を使用するときは、四百円の範囲内で政令で定める金額に政令で定める金額を加算した額

九 第三十五条の航空機の操縦の練習の許可を受けようとする者

三百円

十 航空機登録証明書、耐空証明書、技能証明書、航空免状又は航空機操縦練習許可書の再交付を申請する者

百円

十一 第三十八条第一項の飛行場又は航空保安施設の設置の許可を申請する者

一万九千五百円

十二 飛行場について第四十二条第一項の完成検査を受けようとする者

七万五千百円

十三 航空保安施設について第四十二条第一項の完成検査を受けようとする者

三万八百円。但し、航空機を使用して検査を行う場合であつて、航空庁の航空機を使用するときは、三万八百円の範囲内で政令で定める金額に政令で定める金額を加算した額

十四 飛行場について第四十三条第二項の規定により準用する第四十二条第一項の検査を受けようとする者

七万五千百円

十五 航空保安施設について第四十三条第二項の規定により準用する第四十二条第一項の検査を受けようとする者

三万八百円。但し、航空機を使用して検査を行う場合であつて、航空庁の航空機を使用するときは、三万八百円の範囲内で政令で定める金額に政令で定める金額を加算した額

十六 第四十四条第四項の検査を受けようとする者

二万八千七百円

十七 第四十五条第二項の規定により準用する第四十四条第四項の検査を受けようとする者

一万五千六百円。但し、航空機を使用して検査を行う場合であつて、航空庁の航空機を使用するときは、一万五千六百円の範囲内で政令で定める金額に政令で定める金額を加算した額

十八 飛行場について第四十七条第二項の検査を受ける者

二万八千七百円

十九 航空保安施設について第四十七条第二項の検査を受ける者

一万五千六百円。但し、航空機を使用して検査を行う場合であつて、航空庁の航空機を使用するときは、一万五千六百円の範囲内で政令で定める金額に政令で定める金額を加算した額

二十 第七十八条第二項の運航管理者技能検定を受けようとする者

五百円

 (運輸審議会への諮問)

第百三十六条 運輸大臣は、左に掲げる処分をしようとするときは、運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)第五条の運輸審議会にはかり、その決定を尊重してこれをしなければならない。

 一 第百条第一項の規定による定期航空運送事業の免許

 二 第百五条第一項の規定による定期航空運送事業の運賃及び料金の認可

 三 第百十二条の規定による定期航空運送事業の運賃又は料金の変更の命令

 四 第百十四条第一項の規定による定期航空運送事業の譲渡及び譲受の認可

 五 第百十五条第一項の規定による定期航空運送事業者たる法人の合併の認可

 六 第百十九条の規定による定期航空運送事業の免許の取消又は事業の停止

 (訴願)

第百三十七条 この法律の規定による行政官庁の処分に不服がある者は、運輸大臣に訴願をすることができる。

   第十章 罰則

 (航空の危険を生じさせる等の罪)

第百三十八条 飛行場の設備若しくは航空保安施設を損壊し、又はその他の方法で航空の危険を生じさせた者は、二年以上の有期懲役に処する。

第百三十九条 航行中の航空機を墜落させ、転覆させ、若しくは覆没させ、又は破壊した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

2 前条の罪を犯し、よつて航行中の航空機を墜落させ、転覆させ、若しくは覆没させ、又は破壊した者についても前項の例による。

第百四十条 前条の罪を犯し、よつて人を死亡させた者は、死刑又は無期若しくは七年以上の懲役に処する。

第百四十一条 第百三十八条及び第百三十九条第一項の未遂罪は、これを罰する。

第百四十二条 過失により航空の危険を生じさせ、又は航行中の航空機を墜落させ、転覆させ、若しくは覆没させ、若しくは破壊した者は、十万円以下の罰金に処する。

2 この業務に従事する者が前項の罪を犯したときは、三年以下の禁こ又は十万円以下の罰金に処する。

 (耐空証明を受けない航空機の使用等の罪)

第百四十三条 航空機の使用者が左の各号の一に該当するときは、三年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第十一条の規定に違反して、耐空証明を受けないで、当該航空機を航空の用に供したとき。

 二 第十六条第一項の規定に違反して、同項の規定による検査を受けず、又はこれに合格しないで、当該航空機を航空の用に供したとき。

 三 第十九条の規定に違反して、同条の規定による確認をしないで、当該航空機を航空の用に供したとき。

 (無表示等の罪)

第百四十四条 航空機の使用者が、第五十七条の規定による表示をせず、又は虚偽の表示をして、航空機を航空の用に供したときは、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

 (所定の航空従事者を乗り組ませない等の罪)

第百四十五条 航空機の使用者が左の各号の一に該当するときは、十万円以下の罰金に処する。

 一 第二十条第一項の規定に違反して、同項の規定による検査を受けず、又はこれに合格しないで、航空機に装備する指定無線通信機器を使用したとき。

 二 第五十八条第一項の規定に違反して、航空日誌を備えなかつたとき。

 三 第五十八条第二項の規定により航空日誌に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたとき。

 四 第五十九条の規定に違反して、所定の書類を備え付けないで、航空機を航空の用に供したとき。

 五 第六十条の規定に違反して、無線設備を設置しないで、航空機を航空の用に供したとき。

 六 第六十一条の規定に違反して、救急用具を装備しないで、航空機を航空の用に供したとき。

 七 第六十二条の規定に違反して、特別の装置を装備しないで、特別の飛行を行つたとき。

 八 第六十三条の規定に違反して、所定の燃料を携行させないで、航空機を出発させたとき。

 九 第六十四条の規定に違反して、航空機を灯火で表示しなかつたとき。

 十 第六十五条第一項若しくは第二項又は第六十六条第一項の規定に違反して、航空機に所定の航空従事者を乗り組ませなかつたとき。

 十一 第六十八条の規定に違反して、航空機乗組員を航空機の運航に従事させたとき。

 十二 第七十六条第一項但書の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 十三 第八十六条第一項の規定に違反して、同項の物件を航空機で輸送したとき。

 十四 第八十七条第二項の規定による飛行の方法の限定に違反して、航空機を飛行させたとき。

 十五 第八十八条の規定に違反して、航空機に物件の曳航をさせたとき。

 十六 第百二十七条の規定に違反して、航空機を本邦内の各地間において航空の用に供したとき。

 十七 第百二十八条の規定に違反して、同条の軍需品を輸送したとき。

 (飛行場又は航空保安施設の設置等に関する罪)

第百四十六条 第三十八条第一項の規定に違反して、許可を受けないで飛行場を設置した者は、三十万円以下の罰金に処する。

2 第四十三条第一項の規定に違反して、飛行場に特に重要な変更を加えた者についても前項の例による。

第百四十七条 第三十八条第一項の規定に違反して、許可を受けないで航空保安施設を設置した者は、十万円以下の罰金に処する。

2 第四十三条第一項の規定に違反して、航空保安施設に特に重要な変更を加えた者についても前項の例による。

第百四十八条 左の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。

 一 第四十二条第四項(第四十三条第二項又は第四十四条第五項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定に違反して、飛行場又は航空保安施設の供用を開始した者

 二 第四十四条第一項の規定に違反して、許可を受けないで飛行場の供用を休止し、又は廃止した者

 三 第四十五条第一項の規定に違反して、届出をしないで航空保安施設の供用を休止し、又は廃止した者

 (所定の資格を有しないで航空業務を行う等の罪)

第百四十九条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

 一 第二十八条第一項又は第二項の規定に違反して、別表の業務範囲の欄に掲げる行為を行つた者

 二 第七十条の規定に違反して、その航空業務に従事した者

 (技能証明書を携帯しない等の罪)

第百五十条 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。

 一 第三十四条第一項又は第二項の規定に違反して、計器飛行又は操縦の教育をした者。

 二 第四十九条第一項の規定に違反して、建造物、植物その他の物件を設置し、植栽し、又は留置した者

 三 第五十三条の規定に違反して、航空保安施設をよごし、損傷し、その他その機能をそこなうおそれのある行為をした者

 四 第六十七条第一項(第三十五条第四項において準用する場合を含む。)又は第二項の規定に違反して、技能証明書、航空免状又は航空機操縦練習許可書を携帯しないで、その航空業務を行つた者

 五 第六十九条の規定に違反して、航空機の運航に従事し、又は計器飛行、夜間の飛行若しくは操縦の教育を行つた者

 六 第八十六条第二項の規定に違反して、航空機内に同条第一項の物件を持ち込んだ者

 七 第八十九条の規定に違反して、航空機から物件を投下した者

 八 第九十条の規定に違反して、航空機から落下さんで降下した者

 九 第九十二条の規定に違反して、航空機の操縦の練習を行つた者

 十 第九十三条の規定に違反して、航空交通管制区又は航空交通管制圏において、航空機の操縦の練習又は航空機の試験のための飛行を行つた者

 十一 第九十九条の規定に違反して、着陸帯に立ち入つた者

 (機長等の職務に関する罪)

第百五十一条 機長がその職権を濫用して、航空機内にある者に対し義務のない事を行わせ、又は行うべき権利を妨害したときは、二年以下の懲役に処する。

第百五十二条 機長が第七十五条の規定に違反して、自己の指揮する航空機を去つたときは、五年以下の懲役に処する。

第百五十三条 機長が左の各号の一に該当するときは、五万円以下の罰金に処する。

 一 第七十六条第一項若しくは第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 二 第七十七条の規定に違反して、航空機を出発させ、又は飛行計画を変更したとき。

 三 第八十四条第二項の規定に違反して、航空機を編隊で運航したとき。

 四 第九十八条の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をしたとき。

第百五十四条 航空機乗組員が左の各号の一に該当するときは、五万円以下の罰金に処する。

 一 第七十九条の規定に違反して、航空機を離陸させ、又は着陸させたとき。

 二 第八十条から第八十三条までの規定に違反して、航空機を運航したとき。

 三 第八十四条第一項の規定に違反して、航空機を編隊で運航したとき。

 四 第八十五条の規定に違反して、航空機を操縦したとき。

 五 第九十一条の規定に違反して、曲技飛行を行つたとき。

 六 第九十四条の規定に違反して、計器飛行を行つたとき。

 七 第九十五条の規定に違反して、計器飛行状態において航空機を運航したとき。

 八 第九十六条の規定による指示に従わないで、航空機を運航したとき。

 九 第九十七条第一項の規定により承認を受けてしなければならない事項を承認を受けないでしたとき。

 十 第九十七条第二項の規定に違反して、飛行計画に従わないで、航空機を運航したとき。

 十一 第九十七条第三項の規定による聴取若しくは通報をせず、又は虚偽の通報をしたとき。

 十二 第百二十六条第一項又は第二項の規定に違反して、許可を受けないで航空機を運航したとき。

 十三 第百二十六条第四項の規定による着陸の要求に従わなかつたとき。

2 機長以外の航空機乗組員が前項各号の一に該当するときは、行為者を罰する外、機長に対しても同項の刑に処する。但し、機長以外の航空機乗組員の当該違反行為を防止するため、相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、機長についてはこの限りでない。

 (航空運送事業者等の業務に関する罪)

第百五十五条 左の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

 一 第百条第一項、第百二十一条第一項又は第百二十三条第一項の規定による免許を受けてしなければならない事項を免許を受けないでした者

 二 第百十三条第一項(第百二十二条第一項又は第百二十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、その名義を他人に利用させた者

 三 第百十三条第二項(第百二十二条第一項又は第百二十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、その事業を他人にその名において経営させた者

 四 第百二十九条の規定により許可を受けてしなければならない事項を許可を受けないでした者

 五 第百三十条の規定に違反して、同条の航空機を運送の用に供した者

第百五十六条 定期航空運送事業者、不定期航空運送事業者又は航空機使用事業者が、第百二条第一項(第百二十二条第一項又は第百二十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定による検査を受けず、又はこれに合格しないで運航を開始したときは、二十万円以下の罰金に処する。

第百五十七条 定期航空運送事業者、不定期航空運送事業者又は航空機使用事業者が、左の各号の一に該当するときは、五万円以下の罰金に処する。

 一 第百四条第一項(第百二十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する運航規程又は整備規程によらないで、航空機を運航し、又は整備したとき。

 二 第百五条第一項(第百二十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けないで、運賃又は料金を収受したとき。

 三 第百六条第一項(第百二十二条第一項において準用する場合を含む。)に規定する運送約款によらないで、運送契約を締結したとき。

 四 第百八条第二項又は第百十二条(第百二十二条第一項又は第百二十四条第一項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による命令に違反したとき。

 五 第百九条第一項(第百二十二条第一項又は第百二十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けないで、事業計画を変更したとき。

 六 第百十条第一項(第百二十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定による認可を受けないで、運輸に関する協定をしたとき。

 七 第百十七条第一項(第百二十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、許可を受けないで事業を休止したとき。

 八 第百十九条(第百二十二条第一項又は第百二十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定による事業の停止の命令に違反したとき。

 (立入検査の拒否等の罪)

第百五十八条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第四十七条第二項、第百三十二条第二項又は第百三十四条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

 二 第百三十二条第二項又は第百三十四条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 三 第百三十二条第二項の規定による資料の提出の求めに応じなかつた者

 四 第百三十四条第二項の規定による質問に対して虚偽の陳述をした者

 (両罰規定)

第百五十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百四十四条から第百四十八条まで、第百五十条及び第百五十五条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人についてはこの限りでない。

 (過料)

第百六十条 左の各号の一に該当する者は、五万円以下の過料に処する。

 一 第百七条の規定による掲示をせず、又は虚偽の掲示をした者

 二 第百十八条(第百二十二条第一項又は第百二十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

第百六十一条 左の各号の一に該当する者は、三万円以下の過料に処する。

 一 第七条第一項、第五十五条第四項又は第百三十三条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 二  第五十四条第二項の規定による届出若しくは公表をせず、又は虚偽の届出若しくは公表をした者

第百六十二条 第九条、第二十一条又は第三十六条の規定による命令の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。

   附則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。但し、附則第十四項の規定は、昭和二十七年四月一日から適用する。

 (経過規定)

2 国内航空運送事業令(昭和二十五年政令第三百二十七号。以下「旧令」という。)は、同令附則第二項但書の規定を除き、廃止する。但し、この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、旧令は、この法律の施行後も、なお効力を有する。

3 この法律の施行の際現に旧令第二条第一項の免許を受けて国内航空運送事業を営んでいる者は、第百条第一項の規定にかかわらず、政令で定める日までは、次項の者が運航する航空機により旧令の免許に係る事業計画に従い、他人の需要に応じ有償で旅客又は貨物を運送する事業を経営することができる。

4 この法律の施行の際現に旧令第二条の三第一項の許可を受けて国内航空運送事業の実施のため必要な航空機の運航をしている者は、第百二十三条第一項の規定にかかわらず、前項の政令で定める日までは、同項の者のために旧令の許可に係る事業計画に従い、有償で旅客又は貨物の運送以外の行為の請負を行う事業を経営することができる。

5 旧令第二条の四から第八条まで、第十条及び第十一条の規定並びにこれらの規定の違反行為に係る罰則の規定は、前二項に掲げる者について、なお効力を有する。

6 第四項の者の使用する航空機は、第百二十七条及び第百三十条の規定の適用については、第百二十七条但書の許可及び第百三十条但書の許可を受けて使用する航空機とみなす。

7 前項の航空機及びその航空機の航空機乗組員は、第百三十一条の規定の適用については、同条第二号の航空機及びその航空機の航空機乗組員とみなす。

8 外国人の国際航空運送事業に関する政令(昭和二十六年政令第百三十三号)は、廃止する。但し、この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、同令は、この法律の施行後も、なお効力を有する。

9 この法律の施行の際現に前項の政令第三条第一項の免許を受けて国際航空運送事業を営んでいる者(同令附則第四項の規定により免許を受けた者とみなされた者を含む。)のうち、日本国との平和条約第二十五条の連合国の法人その他の団体はこの法律の施行後四年間、連合国以外の国の法人その他の団体はこの法律の施行後一年間、第百二十九条の許可を受けた者とみなす。但し、日本国と当該国との間に第百二十六条第一項各号に掲げる航行により行う航空運送事業に関し、協定が締結された場合において、その協定の効力発生の時以後については、この限りでない。

10 航空庁長官は、この法律の施行の際現に存する飛行場でその時において航空庁長官の設置するものについてその名称、位置、設備の概要その他運輸省令で定める事項をこの法律の施行後、遅滞なく告示しなければならない。この法律の施行後六箇月以内に航空庁長官の設置する飛行場についても同様である。

11 第四十九条第一項及び第二項の規定は、前項の告示があつた飛行場について準用する。この場合において、第四十九条第一項中「第四十条」とあるのは、「附則第十項」と読み替えるものとする。

 (他の法令の改廃)

12 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第四条ノ二の次に次の一条を加える。

 第四条ノ三 航空機ノ登録ヲ受クルトキハ左ノ区別ニ従ヒ登録税ヲ納ムヘシ

新規登録  毎一噸

金千円

登録ノ変更 航空機毎一箇

金三百円

登録ノ抹消 航空機毎一箇

金五十円

  航空機ノ噸数ハ自重噸数ニ依ル但シ一噸未満ノ端数ハ一噸トシテ計算ス

13 事業者団体法(昭和二十三年法律第百九十一号)の一部を次のように改正する。

  第七条第九号の次に次の一号を加える

  十 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第百一条第一項

14 行政機関職員定員法(昭和二十四年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項の表の運輸省の項中

航空庁

一、二〇九人

二八、一九四人

航空庁

一、二四五人

二八、二三〇人

に改める。

15 運輸省設置法の一部を次のように改正する。

  第四条第一項中第五十三号を第六十一号とし、第五十二号の二から第五十二号の四までを次のように改める。

  五十三 航空機の登録をすること。

  五十四 航空機及びその装備品の証明及び検査をすること。

  五十五 航空従事者に関する証明及び航空機乗組員免許をすること。

  第四条第一項第五十五号の次に次の五号を加える。

  五十六 航空機の操縦の練習の許可をすること。

  五十七 航空路を指定すること。

  五十八 飛行場及び航空保安施設の設置及び管理を行い、並びにこれらを行う者に対し、許可し、及び必要な命令をすること。

  五十九 航空交通管制区及び航空交通管制圏を指定し、並びに航空機の航行について許可し、承認し、及び指示を与えること。

  六十 航空運送事業及び航空機使用事業を免許し、又は許可し、並びにこれらの事業の業務に関し、許可し、認可し、その他必要な命令をすること。

  第六条第一項中第三号の二を第三号の三とし、第三号の次に次の一号を加える。

  三の二 定期航空運送事業における運賃及び料金の認可又は変更の命令

  第六条第一項第八号の二の次に次の一号を加える。

  八の三 定期航空運送事業の免許若しくはその取消又は事業の停止

  第六条第一項中第十一号の四を削り、第十一号の三を第十一号の四に、第十一号の二を第十一号の三に改め、第十一号の次に次の一号を加える。

  十一の二 定期航空運送事業における法人の合併又は事業の譲渡及び譲受の認可

  第三十八条第一項中鉄道建設審議会の項の次に次の一項を加える。

  航空審議会――運輸大臣の諮問に応じて航空に関する重要事項を調査審議すること。

  第五十九条の二第一項を次のように改める。

   航空庁は、航空に関する事務を行うことを任務とする。

  第五十九条の四中第一号から第八号までを次のように改める。

  一 航空機の登録に関すること。

  二 航空機の安全性に関すること

  三 航空機及びその装備品の修理及び改造(航空運送事業者又は航空機使用事業者の行う自家修理及びこれに準ずるものに限る。)に関すること。

  四 航空機及びその装備品の流通及び消費の増進、改善及び調整に関すること。

  五 航空従事者に関する証明及び航空機乗組員免許に関すること。

  六 航空機の操縦の練習の許可に関すること。

  七 航空従事者の教育及び養成に関すること。

  八 航空路の指定に関すること。

  第五十九条の四中第九号を第十七号とし、第八号の次に次の八号を加える。

  九 航空路の調査及び航空路誌の編集に関すること。

  十 飛行場及び航空保安施設の設置及び管理並びにこれらに関する許可その他の行為に関すること。

  十一 飛行場及び航空保安施設の改善のための調査及び研究に関すること。

  十二 航空交通の安全に関すること。

  十三 航空運送事業及び航空機使用事業に関する免許、許可又は認可に関すること。

  十四 前号に掲げる事業の運賃及び料金に関すること。

  十五 航空機の事故調査に関すること。

  十六 航空庁の所掌に係る事務に関する事業の発達、改善及び調整に関すること。

  第五十九条の五第一項の表を次のように改める。

種類

目的

航空保安事務所

飛行場及び航空保安施設の設置及び管理に関する業務を行うこと。

航空標識所

航空無線標識施設及び航空無線通信施設の管理に関する業務を行うこと。

16 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。

  第三条第十二号を次のように改める。

  十二 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)による飛行場又は航空保安施設で公共の用に供するもの

17 航空機の出入国等に関する政令(昭和二十七年政令第六十五号)は、廃止する。但し、この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、同令は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。

別 表

資格

業務範囲

定期運送用操縦士

航空機に乗り組んで左に掲げる行為を行うこと。

 一 上級事業用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為

 二 航空運送事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。

上級事業用操縦士

航空機に乗り組んで左に掲げる行為を行うこと。

 一 事業用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為

 二 不定期航空運送事業の用に供する最大離陸重量一万三千六百五十キログラム以下の航空機の操縦を行うこと。

事業用操縦士

航空機に乗り組んで左に掲げる行為を行うこと。

 一 自家用操縦士の資格を有する者が行うことができる行為

 二 報酬を受けて、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。

 三 航空機使用事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。

 四 不定期航空運送事業の用に供する最大離陸重量五千七百キログラム以下の航空機の操縦を行うこと(計器飛行状態の下において、有償の旅客の運送を行う運航を除く。)。

 五 機長以外の操縦者として航空運送事業の用に供する航空機の操縦を行うこと。

自家用操縦士

航空機に乗り組んで左に掲げる行為を行うこと。

 一 報酬を受けないで、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと(自己以外の者を同乗させない場合に限る。)。

 二 報酬を受けないで、機長として、航空運送事業又は航空機使用事業を経営する者がその事業の用に供する航空機以外の航空機の操縦を行うこと。

 三 機長以外の操縦者として無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。

一等航空士

航空機に乗り組んでその位置及び針路の測定並びに航法上の資料の算出を行うこと。

二等航空士

航空機に乗り組んで天測による以外の方法で航空機の位置及び針路の測定並びに航法上の資料の算出を行うこと(航法上、地上物標又は航空保安施設の利用が完全でない飛行区間が千三百キロメートルをこえる航空機に乗り組んで行う場合を除く。)

航空機関士

航空機に乗り組んで発動機及び機体の取扱(操縦装置の操作を除く。)を行うこと。

一等航空通信士

航空機に乗り組んで電波法第四十条に規定する第一級無線通信士の資格を有する無線従事者の行うことのできる無線設備の操作を行うこと。

二等航空通信士

航空機に乗り組んで電波法第四十条に規定する第二級無線通信士の資格を有する無線従事者の行うことのできる無線設備の操作を行うこと。

三等航空通信士

航空機に乗り組んで電波法第四十条に規定する航空級無線通信士の資格を有する無線従事者の行うことのできる無線設備の操作を行うこと。

一等航空整備士

整備(運輸省令で定める範囲の大修理を除く。)をした航空機について第十九条に規定する確認の行為を行うこと。

二等航空整備士

整備(運輸省令で定める範囲の大修理を除く。)をした最大離陸重量一万五千キログラム以下の航空機について第十九条に規定する確認の行為を行うこと。

三等航空整備士

整備(運輸省令で定める範囲の大修理を除く。)をした最大離陸重量二千五百キログラム以下の航空機について第十九条に規定する確認の行為を行うこと。

航空工場整備士

整備又は改造をした航空機について第十九条に規定する確認の行為を行うこと。

(内閣総理・大蔵・文部・通商産業・運輸・労働大臣署名) 

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