消防法
法律第百八十六号(昭二三・七・二四)
消防法目次
第一章 総則
第二章 火災の予防
第三章 危険物
第四章 消火の設備
第五章 火災の警戒
第六章 消火の活動
第七章 火災の調査
第八章 雑則
第九章 罰則
附則
消防法
第一章 総則
第一条 この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、水火災又は地震等の災害に因る被害を軽減し、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。
第二条 この法律の用語は左の例による。
防火対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物をいう。
消防対象物とは、山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物又は物件をいう。
関係者とは、防火対象物又は消防対象物の所有者、管理者又は占有者をいう。
関係のある場所とは、防火対象物又は消防対象物のある場所をいう。
舟車とは、船舶安全法第二条第一項の規定を適用しない船舶、端舟、はしけ、被曳船その他の舟及び車両をいう。
危険物とは、別表に掲げる発火性又は引火性物品をいう。
消防隊とは、消防器具を装備した消防吏員又は消防団員の一隊をいう。
第二章 火災の予防
第三条 消防長(消防長を置かない市町村においては市町村長をいう。以下同じ。)又は消防署長は、屋外において火災の予防に危険であると認める行為者又は消防の活動に支障になると認める物件の所有者、管理者又は占有者で権原を有する者に対して、左の各号に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
一 火遊び、喫煙、たき火の禁止若しくは制限又はたき火の場合の消火準備
二 残火、取灰又は火粉の始末
三 放置せられた危険物その他の燃焼の虞のある物件の処理
四 みだりに存置又は放置せられた物件の整理、移動又は撤去
第四条 消防長又は消防署長は、火災予防のために必要があるときは、関係者に対して資料の提出を命じ、又は当該消防職員にあらゆる仕事場、工場又は公衆の出入する場所その他の関係のある場所に立ち入つて、防火対象物の位置、構造、設備及び管理の状況を検査させることができる。但し、個人の住居は、関係者の承諾がなければ立ち入らせてはならない。
前項の規定による立入及び検査は、左の各号に定める区分に従い当該各号に定める時間内に行わなければならない。但し、山林に立ち入つて検査する場合及び当該舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶又は建築物その他の工作物の関係者の同意を得た場合は、この限りでない。
一 興行場、百貨店、旅館、飲食店その他公衆の出入する場所で市町村条例の指定するものについてはその場所の公開時間内。
二 工場、事業場その他多数の者の勤務する場所で市町村条例の指定するものについては、その場所の従業時間内。
三 前二号に規定する以外の場所(個人の住居は関係者の承諾を得なければならない。)については、日出から日没までの時間。但し、特に緊急の必要がある場合又は四十八時間以前にその旨をその場所に在る舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶又は建築物その他の工作物の関係者に通告した場合に限る。
消防職員は、第一項の規定により関係のある場所に立ち入る場合においては、市町村長の定める証票を関係者に示さなければならない。
消防職員は、第一項の規定により関係のある場所に立ち入る場合においては、関係者の業務を防害してはならない。
消防職員は、第一項の規定により関係のある場所に立ち入つて検査を行つた場合に知り得た関係者の秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
第五条 消防長又は消防署長は、防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況について火災の予防上必要があると認める場合又は火災が発生したならば 人命に危険であると認める場合には、権原を有する関係者に対し、当該防火対象物の改修、移転、除去、使用の禁止、停止若しくは制限、工事の停止若しくは中止その他の必要な措置をなすべきことを命ずることができる。但し、建築物その他の工作物で、それが他の法令により建築、増築、改築又は移築の許可又は認可を受け、その後事情の変更していないものについては、この限りでない。
第六条 前条の規定による命令を受けた者は、その命令に不服があるときは、その命令を受けた日から十日以内に、当該防火対象物の所在地を管轄する裁判所に訴を提起することができる。
前条の規定による命令は、前項の訴の提起によつてその効力を妨げられることはない。但し、当該命令を取り消す旨の判決があつたときは、この限りでない。
前項但書の場合においては、前条の規定による命令によつて生じた損失に対しては、時価によりこれを補償するものとする。
前条に規定する防火対象物の位置、構造、設備又は管理の状況がこの法律若しくはこの法律に基く命令又はその他の法令に違反していないときは、前項の規定にかかわらず、前条の規定による命令によつて生じた損失に対しては、時価によりこれを補償するものとする。
前二項の規定による補償に要する費用は、当該市町村の負担とする。
第七条 建築物の新築、増築、改築、移築、用途変更又は使用について許可又は認可をする権限を有する行政庁は、当該建築物の工事施行地を管轄する消防長又は消防署長の火災の予防上当該許可又は認可が支障ない旨の同意を得なければ、当該許可又は認可をすることができない。
第八条 学校、工場、興行場、百貨店、危険物の製造所又は処理所その他市町村長の指定する建築物その他の工作物の所有者、管理者又は占有者は防火責任者を定め、消防計画を立てその訓練を行わなければならない。
第九条 かまど、風呂場その他火を使用する設備又はその使用に際し、火災の発生の虞のある設備の位置、構造及び管理、こんろ、こたつその他火を使用する器具又はその使用に際し、火災の発生の虞のある器具の取扱その他火の使用に関し火災の予防のために必要な事項は、市町村条例でこれを定める。
第三章 危険物
第十条 市町村条例で定める数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵し、又は取り扱つてはならない。但し、その定めた数量の三十倍未満のものについて、所轄消防長又は消防署長の指定する安全な場所に、十日以内に限つて、これを仮に貯蔵する場合は、この限りでない。
危険物で別表に掲げる類の別を異にするものは、これを同一の貯蔵所(不燃材料で構成した隔壁で完全に区分された室が二以上ある貯蔵所においては同一の室。)において貯蔵し、又は取り扱つてはならない。
危険物は、貯蔵所において市町村条例で定める数量を超えてこれを貯蔵してはならない。
貯蔵所の位置、構造及び設備の制限について必要な事項は、市町村条例でこれを定める。
第十一条 市町村条例で定める数量以上の危険物は、所轄消防長又は消防署長の許可を受けた場合を除く外、日出前又は日没後においてこれを取り扱つてはならない。
第十二条 貯蔵所を設置しようとする者は、市町村条例の定めるところにより市町村長の許可を受けなければならない。市町村条例で定める事項について変更しようとする者も、また同様とする。
貯蔵所を廃止しようとする者は、その旨を市町村長に届け出なければならない。
第十三条 貯蔵所を設置した者(その地位を承継した者を含む。)はその貯蔵所の取扱主任者を定め、これを所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
前項の取扱主任者は、市町村条例で定める資格を具えなければならない。
貯蔵所においては、取扱主任者以外の者は、取扱主任者が立ち会わなければ危険物を取り扱つてはならない。
第十四条 市町村条例で定める資格を有する映写技術者でない者は、興行その他公衆の観覧に供する目的をもつて、緩燃性でない映画を上映するために、映写機を操作してはならない。
常時映画を上映する建築物その他の工作物の所有者、管理者又は占有者は、市町村条例で定める資格を有する所属の映写技術者を定めて、これを所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
第十五条 映写室は、市町村条例で定める構造及び設備を具備しなければならない。
映写室を設置し、又は廃止した者及び映写室のない場所で、公衆の観覧に供する目的をもつて、緩燃性でない映画を上映しようとする者は、市町村条例の定めるところにより、これを所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
第十六条 前六条に規定するものの外、危険物の貯蔵、運搬、詰替その他の取扱に関し、火災の予防上必要な事項は、市町村条例でこれを定める。
第十条乃至第十三条の規定は、船舶、鉄道及び軌道による危険物の貯蔵、運搬、詰替その他の取扱には、これを適用しない。
第四章 消火の設備
第十七条 学校、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店その他市町村条例の指定する建築物その他の工作物の所有者、管理者又は占有者は、市町村条例の定めるところにより、消火器その他消防の用に供する機械器具及び消防用水並びに避難器具を設備しなければならない。
第十八条 何人も、みだりに火災報知機、消火栓、消防の用に供する貯水施設又は消防の用に供する望楼若しくは警鐘台を使用し、損壊し、撤去し、又はその正当な使用を妨げてはならない。
何人も、みだりに命令で定める消防信号又はこれに類似する信号を使用してはならない。
第十九条 消防の用に供する機械器具及び設備の規格は、国家消防庁がこれを勧告する。
第二十条 消防に必要な水利の基準は、国家消防庁がこれを勧告する。
消防に必要な水利施設は、当該市町村がこれを設置し、維持し及び管理するものとする。但し、水道については、当該水道の管理者が、これを設置し、維持し及び管理するものとする。
第二十一条 消防長又は消防署長は、池、泉水、井戸、水そうその他消防の用に供し得る水利についてその所有者、管理者又は占有者の承諾を得て、これを消防水利に指定して、常時使用可能の状態に置くことができる。
前項の水利を変更し、撤去し、又は使用不能の状態に置こうとする者は、予め所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。
第五章 火災の警戒
第二十二条 中央気象台長、管区気象台長又は測候所長は、気象の状況が火災の予防上危険であると認めるときは、その状況を直ちにその地を管轄する都道府県知事に通報しなければならない。
都道府県知事は、前項の通報を受けたときは、直ちにこれを市町村長に通報しなければならない。
市町村長は、前項の通報を受けたときは、火災に関する警報を発することができる。
前項の規定による警報が発せられたときは、警報が解除されるまでの間、その市町村の区域内に在る者は、市町村条例で定める火の使用の制限に従わなければならない。
第二十三条 市町村長は、火災の警戒上特に必要があると認めるときは、期間を限つて、一定区域内におけるたき火又は喫煙の制限をすることができる。
第六章 消火の活動
第二十四条 火災を発見した者は、遅滞なくこれを消防署又は市町村長の指定した場所に通報しなければならない。
すべての人は、前項の通報が最も迅速に到達するように協力しなければならない。
第二十五条 火災が発生したときは、当該消防対象物の関係者その他命令で定める者は、消防隊が火災の現場に到着するまで消火若しくは延焼の防止又は人命の救助を行わなければならない。
前項の場合においては、火災の現場付近に在る者は、前項に掲げる者の行う消火若しくは延焼の防止又は人命の救助に協力しなければならない。
第二十六条 消防車が火災の通報に応じて現場に赴くときは、車馬及び歩行者はこれに道路を譲らなければならない。消防車が接近したときは、自動車、牛馬車、手引車、自転車等は道路左側にできる限り寄り添い、消防車が通過するまで停止しなければならない。路面電車は火災のため出動の消防車の接近を知るときは、停車して、その通過するまで動いてはならない。
消防車は火災の現場に出動するときに限りサイレンを用いることができる。時速は六十キロメートルを超えてはならない。消防署に引き返す途中その他の場合は、鐘又は警笛を用い、一般の車馬規定による最高速度を超えてはならない。その他一般交通規則に従わなければならない。
第二十七条 消防隊は、火災の現場に到着するために緊急の必要があるときは、一般交通の用に供しない通路若しくは公共の用に供しない空地及び水面を通行することができる。
第二十八条 火災の現場においては、消防吏員又は消防団員は、消防警戒区域を設定して、命令で定める以外の者に対してその区域からの退去を命じ、又はその区域への出入を禁止し若しくは制限することができる。
消防吏員又は消防団員が火災の現場にいないとき又は消防吏員又は消防団員の要求があつたときは、警察官又は警察吏員は、前項に規定する消防吏員又は消防団員の職権を行うことができる。
火災現場の上席消防員の指揮により消防警戒区域を設定する場合には、現場に在る警察官又は警察吏員は、これに援助を与える義務がある。
第二十九条 消防吏員又は消防団員は、消火若しくは、延焼の防止又は人命の救助のために必要があるときは、火災が発生せんとし、又は発生した消防対象物及びこれらのものの在る土地を使用し、収用し、処分し又はその使用を制限することができる。火災が発生した消防対象物に隣接する消防対象物で延焼の虞があると認めるものについても、また同様とする。
消防長又は消防署長は、消火若しくは延焼の防止又は人命の救助のために緊急の必要があるときは、前項に規定する消防対象物及び土地以外の消防対象物及び土地を使用し、収用し、処分し又はその使用を制限することができる。この場合においては、そのために損害を受けた者からその損失の補償の要求があるときは、時価により、その損失を補償するものとする。
前項の規定による補償に要する費用は、当該市町村の負担とする。
消防吏員又は消防団員は緊急の必要があるときは、火災の現場付近に在る者を消火若しくは延焼の防止又は人命の救助その他の消防作業に従事させることができる。
第三十条 火災の現場に対する給水を維持するために緊急の必要があるときは、消防長又は消防署長は、用水路の水門、樋門又は水道の制水弁の開閉を行うことができる。
消防長又は消防署長は、火災の際の水利の使用及び管理について当該水利の所有者、管理者又は占有者と予め協定することができる。
第七章 火災の調査
第三十一条 消防長又は消防署長は、放火又は失火の犯罪があると認めるときは、直ちにこれを所轄警察署に通報するとともに必要な証拠を集めてその保全につとめなければならない。但し、国家消防庁において放火又は失火の犯罪捜査の協力の勧告を行うときは、これに従わなければならない。
第三十二条 消防長又は消防署長は、消火活動をなすとともに火災の原因並びに火災及び消火のために受けた損害の調査に着手しなければならない。
第三十三条 消防長又は消防署長及び関係保険会社の認めた代理者は、火災の原因及び損害の程度を決定するために火災により破損され又は破壊された財産を調査することができる。
第三十四条 消防長又は消防署長は、前条の規定により調査をするために必要があるときは、関係者に対して必要な資料の提出を命じ、又は当該消防職員に関係のある場所に立ち入つて、火災により破損され又は破壊された財産の状況を検査させることができる。
第四条第一項但書及び第二項乃至第五項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
第三十五条 放火又は失火の疑いのあるときは、その調査の主たる責任者は消防長又は消防署長とする。
前項の規定は警察官又は警察吏員が犯罪(放火犯を含む。)を捜査し、犯人(放火犯人を含む。)を逮捕する責任を免れしめない。放火及び失火絶滅の共同目的のために消防吏員及び警察官又は警察吏員は、互いに協力しなければならない。
第八章 雑則
第三十六条 第十八条第二項、第二十二条及び第二十四条乃至第二十九条の規定は、火災その他の災害に関してこれを準用する。
第三十七条 特別区の存する区域においては、この法律中市町村、市町村長又は市町村条例とあるのは、夫々これを都、都知事又は都条例と読み替えるものとする。
第九章 罰則
第三十八条 第十八条第一項の規定に違反して、みだりに消防の用に供する望楼又は警鐘台を損壊し、又は撤去した者は、これを七年以下の懲役に処する。
第三十九条 第十八条第一項の規定に違反して、みだりに火災報知機、消火栓又は消防の用に供する貯水施設を損壊し、又は撤去した者は、これを五年以下の懲役に処する。
第四十条 左の各号の一に該当する者は、これを二年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者に対しては、情状により懲役及び罰金を併科することができる。但し、刑法に正条がある場合にはこれを適用しない。
一 第二十六条の規定による消防車の通過を故意に妨害した者
二 消防団員が、消火活動又は水災その他の災害の警戒防禦及び救護に従事するにあたり、その行為を妨害した者
三 第二十五条(第三十六条において準用する場合を含む。)又は第二十九条第四項(第三十六条において準用する場合を含む。)の規定により消火若しくは延焼の防止又は人命の救助に従事する者に対し、その行為を妨害した者
前項の罪を犯し、因つて人を死傷に至らしめた者は、本法又は刑法により、重きに従つて処断する。
第四十一条 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は二万五千円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者に対しては、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
一 第五条の規定による命令に違反した者
二 第十条第一項又は第二項の規定に違反した者
三 第十五条の規定に違反した者
第四十二条 左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は一万二千円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者に対しては、情状により懲役及び罰金を併科することができる。
一 第十条第三項、第十一条又は第十二条第一項の規定に違反した者
二 第十三条第一項の規定に違反して取扱主任者を定めないで事業を行つた者
三 第十三条第二項の規定に違反して市町村条例で定める資格を具えない者を取扱主任者に定めた者
四 第十三条第二項の規定による取扱主任者の資格を詐称した者
五 第十三条第三項の規定に違反した者
六 第十四条第一項の規定に違反した者
七 第十四条第二項の規定に違反して所属の映写技術者を定めないで事業を行つた者
第四十三条 第十六条の規定による市町村条例には、これに違反した者に対し、三箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処し、情状により懲役及び罰金を併科することができる旨の規定を設けることができる。
第四十四条 左の各号の一に該当する者は、二千円以下の罰金又は拘留に処する。
一 第三条の規定による命令に従わなかつた者
二 第四条又は第三十四条の規定による資料の提出をせず、若しくは虚偽の資料を提出し、又は故なく第四条又は第三十四条の規定による消防職員の立入若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
三 第十三条第一項又は第十四条第二項の規定による届出を怠つた者
四 第十八条第一項の規定に違反し、みだりに火災報知機、消火栓、消防の用に供する貯水施設又は消防の用に供する望楼若しくは警鐘台を使用し、又はその正当な使用を妨げた者
五 第十八条第二項の規定に違反した者
六 第二十一条の規定による届出をしないで消防水利を使用不能の状態に置いた者
七 第二十二条第四項又は第二十三条の規定による制限に違反した者
八 故なく消防署又は第二十四条(第三十六条において準用する場合を含む。)の規定による市町村長の指定した場所に火災発生の虚偽の通報をした者
九 第二十八条第一項(第三十六条において準用する場合を含む。)の規定による退去の命令又は出入の禁止若しくは制限に従わなかつた者
十 第三十三条の規定による火災後の被害状況の調査を拒んだ者
第四十五条 事業主は、その代理者、同居者、雇人その他の従業者がその業務に関し第十条第一項乃至第三項、第十一条、第十二条第一項、第十三条、第十四条第二項、第十五条の規定並びに第十六条の規定による市町村条例の規定に違反したときは、自己の指揮に出ないという故をもつて、その処罰を免れることはできない。
第四十六条 この法律又は第十六条の規定による市町村条例により、事業主に適用すべき罰則は、その者が法人であるときは、理事、取締役その他法人の業務を執行する役員に、未成年者又は禁治産者であるときは、その法定代理人にこれを適用する。但し、営業に関し成年者と同一の能力を有する未成年者については、この限りでない。
附 則
第四十七条 この法律は、昭和二十三年八月一日から、これを施行する。
第四十八条 この法律により許可を受け、又は届出をなさなければならない事項で、この法律施行前に警視庁令又は都道府県令により許可又は認可を受け、又は届出をなし、その後事情の変更しないものについては、これをこの法律により当該許可又は認可を受け、又は当該届出をなしたものとみなす。
別表
類別 |
品名 |
第一類 |
塩素酸塩類 |
過塩素酸塩類 |
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硝酸塩類 |
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過マンガン酸カリウム |
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第二類 |
黄りん |
赤りん |
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硫化りん |
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第三類 |
金属カリウム |
金属ナトリウム |
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マグネシウム粉 |
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過酸化物 |
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カーバイト |
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りん化石灰 |
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金属粉 |
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生石灰 |
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第四類 |
エーテル |
二硫化炭素 |
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コロジオン |
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第一種石油 |
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ソルベントナフサ |
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ベンゾール |
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アセトン |
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メチルエチルケトン |
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アルコール類 |
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おく酸エステル類 |
|
トルオール |
|
キシロール |
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第二種石油 |
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テレビン油 |
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樟脳油 |
|
松根油 |
|
クレオソート油 |
|
タール油 |
|
第三種石油 |
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動植物油脂 |
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第五類 |
ニトロセルローズ |
セルロイド類 |
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芳香系列の硝化物 |
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第六類 |
発煙硫酸 |
発煙硝酸 |
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無水硫酸 |
備 考
一 石油とは、原油、原油分溜及び分解製品並びに天然ガスの分離製品で常温で液状をなすものをいう。(頁岩油、石炭液化油、「タール類」分溜油その他これに類する油類を含む。)「アーベルベンスキ」又は「ベンスキールテンス」引火点測定器を用いて七六〇ミリメートルの気圧において引火点が摂氏二十一度未満のものを第一種石油、二十一度以上七十度未満のものを第二種石油、七十度以上のものを第三種石油という。
二 セルロイドとは、セルロイド素地、屑、加工品及びフイルムをいう。
三 アルコール類にはエチール、メタノール、ブタノール及び変性アルコールを含む。
四 マグネシウム粉には写真撮影その他の用に供する閃光粉を含む。
五 アルコール又はベンゾールを主剤とした塗料稀薄剤は、アルコール又はベンゾールとみなす。
(内閣総理・大蔵・文部・厚生・農林・商工・運輸・建設大臣署名)