特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法

法律第九十三号(平八・六・二一)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 預金保険機構の業務の特例(第三条―第二十二条)

 第三章 政府による財政上の措置等(第二十三条―第二十六条)

 第四章 預金保険機構の特例業務の終了(第二十七条―第三十条)

 第五章 雑則(第三十一条・第三十二条)

 第六章 罰則(第三十三条・第三十四条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、住宅金融専門会社が回収の困難となつた多額の貸付債権等を有することから金融機関等からの多額の借入債務の返済に困窮している状況の下で、関係当事者によるこれらの債権債務の処理が極めて困難となつていることにより、我が国における金融の機能に対する内外の信頼が大きく低下するとともに信用秩序の維持に重大な支障が生じることとなることが懸念される事態にあることにかんがみ、住宅金融専門会社の債権債務の処理を促進する等のため、緊急の特例措置として、預金保険機構(以下「機構」という。)に、その業務の特例として、住宅金融専門会社から財産を譲り受けてその処理等を行う会社の設立をし、及び当該設立をされた会社に対して資金援助等をする業務を行わせるとともに、機構がその業務を行うために必要な国の財政上の措置等を講じることにより、信用秩序の維持と預金者等の保護を図り、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「住宅金融専門会社」とは、貸金業の規制等に関する法律(昭和五十八年法律第三十二号)附則第九条に規定する政令で定める者のうち貸金業の規制等に関する法律施行令(昭和五十八年政令第百八十一号)第七条に規定する同令第一条第四号に掲げる者であって、この法律の施行の際現に同号の規定により大蔵大臣が指定しているものをいう。

2 この法律において「特定住宅金融専門会社」とは、住宅金融専門会社のうち、回収の困難となつた貸付債権を特に多額に有している等その財産の状況が著しく悪化していることから、この法律で定める特別の措置によりその債権債務の処理を促進することが必要であると認められるものとして大蔵省令で定めるものをいう。

   第二章 預金保険機構の業務の特例

 (機構の業務の特例)

第三条 機構は、預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第三十四条に規定する業務のほか、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。

 一 特定住宅金融専門会社からその貸付債権その他の財産を譲り受けるとともに、その譲り受けた貸付債権その他の財産の回収、処分等を行うことを目的とする一の株式会社の設立の発起人となり、及び当該設立の発起人となった一の株式会社に出資すること。

 二 前号の規定により出資して設立された株式会社(以下「債権処理会社」という。)に対し第七条各項、第八条若しくは第十条の規定による助成金の交付を行い、又は債権処理会社が行う資金の借入れに係る第十一条の規定による債務の保証を行うこと。

 三 第十二条の約束に基づき債権処理会社から納付される金銭の収納を行い、及び第十三条の規定による国庫への納付を行うこと。

 四 債権処理会社の業務の実施に必要な指導及び助言を行うこと。

 五 前三号の業務のために必要な調査を行うこと。

 六 第二号の助成金の交付を適切に行い、及び第三号の債権処理会社からの金銭の納付を的確に行わせるため、第八条に規定する譲受債権等に係る債権のうち、その債務者の財産が隠ぺいされているおそれがあるものその他その債務者の財産の実態を解明することが特に必要であると認められるものについて、当該債務者の財産の調査を行うこと。

 七 第二号の助成金の交付を適切に行い、及び第三号の債権処理会社からの金銭の納付を的確に行わせるため、第八条に規定する譲受債権等に係る債権のうち、その債務者の財産に係る権利関係が複雑なものその他その回収に特に専門的な知識を必要とするものについて、機構が必要と認める場合には、債権処理会社からの委託を受けて、その取立てを行うこと。

 八 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。

2 機構の理事長は、前項に規定する業務を行う職員として、金融取引、不動産取引、民事手続等に関する法令及び実務に精通している者を任命するものとする。

 (区分経理)

第四条 機構は、前条第一項に規定する業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定として特定住宅金融専門会社債権債務処理勘定(以下「住専勘定」という。)を設けて整理しなければならない。

 (出資の認可)

第五条 機構は、第三条第一項第一号の規定により設立の発起人となった株式会社に同号の規定により出資しようとするときは、大蔵大臣の認可を受けなければならない。

2 機構は、前項の認可を受けようとするときは、大蔵省令で定める事項を記載した認可申請書を大蔵大臣に提出しなければならない。

3 前項の認可申請書には、機構が設立の発起人となった株式会社の定款、事業計画その他大蔵省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。

4 大蔵大臣は、第一項の認可をしようとするときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。

 一 設立の手続並びに定款及び事業計画の内容が法令の規定に適合するものであること。

 二 出資しようとする株式会社が、特定住宅金融専門会社から譲り受ける貸付債権等に係る債権の回収のため、十分な調査を行い、及び必要な民事手続を迅速かつ的確にとり得るものであると認められること。

 三 出資しようとする株式会社が、特定住宅金融専門会社から譲り受ける財産の管理、処分等の業務を適切に行い得るものであると認められること。

5 機構は、債権処理会社に対する出資の額を変更しようとする場合には、大蔵省令で定める事項を記載した認可申請書を大蔵大臣に提出し、その認可を受けなければならない。

 (緊急金融安定化基金)

第六条 機構は、住専勘定に次条各項の規定による助成金の交付を行うための基金を置き、特定住宅金融専門会社に係る貸付債権の回収等を促進し安定した金融機能の確保に資するために第二十四条第一項の規定により政府が交付する補助金をもってこれに充てるものとする。

2 前項の規定により置いた基金(以下「緊急金融安定化基金」という。)の運用によつて生じた利子その他の収入金は、緊急金融安定化基金に充てるものとする。

3 機構は、次条各項の規定による助成金の交付を新たに行う必要がなくなった場合において、緊急金融安定化基金に残高(第十三条第一項の規定により緊急金融安定化基金に充てた納付金の額を除く。)があるときは、当該残高に相当する金額を、緊急金融安定化基金から、国庫に納付しなければならない。

 (財産の譲渡に伴う支援のための助成金の交付)

第七条 機構は、特定住宅金融専門会社が債権処理会社の設立の日から政令で定める日までの期間(次条及び第二十六条において「指定期間」という。)内に債権処理会社に譲渡した貸付債権その他の財産の譲渡の対価をもってしてもなお不足する特定住宅金融専門会社の債務処理に要する財源のうち第十二条第一号の契約により債権処理会社が支援するものに充てるものとして、緊急金融安定化基金から、緊急金融安定化基金の金額(前条第二項の規定により緊急金融安定化基金に充てた収入金の額を除く。)の範囲内で、債権処理会社に対し、助成金を交付することができる。

2 機構は、債権処理会社が前項の助成金の交付を受けるまでの間当該交付を受けていない部分の助成金の額に相当する金額の範囲内で資金の借入れをしたときは、当該借入れをした資金に係る利子の支払に充てるものとして、緊急金融安定化基金から、前条第二項の規定により緊急金融安定化基金に充てた収入金の額の範囲内で、債権処理会社に対し、助成金を交付することができる。

 (譲受債権等に係る損失についての助成金の交付)

第八条 機構は、債権処理会社が指定期間内に特定住宅金融専門会社から譲り受けた貸付債権その他の財産(第十二条及び第二十四条において「譲受債権等」という。)のそれぞれにつきその取得価額を下回る金額で回収が行われたことその他の政令で定める事由により債権処理会社に損失が生じた場合においては、当該損失の金額として政令で定める金額の一部を補てんするものとして、同条第二項の規定による政府の補助金の額の範囲内で、債権処理会社に対し、助成金を交付することができる。

 (金融安定化拠出基金)

第九条 機構は、運営委員会(預金保険法第十四条に規定する運営委員会をいう。以下同じ。)の議決を経て、住専勘定に第三条第一項第一号の規定による出資、次条の規定による助成金の交付及び第十一条の規定による債務の保証に係る保証債務の履行を行うための基金を置き、特定住宅金融専門会社に係る貸付債権の回収等を促進し安定した金融機能の確保に資するために特定住宅金融専門会社に対する出資者又は貸付債権者であった金融機関その他の者が拠出する拠出金をもってこれに充てるものとする。

2 前項の規定により置いた基金(以下「金融安定化拠出基金」という。)の運用によつて生じた利子その他の収入金は、金融安定化拠出基金に充てるものとする。

3 機構は、金融安定化拠出基金の残高が第一項に規定する拠出金の合計額から金融安定化拠出基金を財源として第三条第一項第一号の出資に充てた金額を控除した金額に相当する金額(以下この条において「出資控除後の金額」という。)を下回る場合には、運営委員会の議決を経て、預金保険法第三十四条に規定する業務に係る勘定(第五項において「一般勘定」という。)から、金融安定化拠出基金の金額が出資控除後の金額に達するまでを限り、金融安定化拠出基金に繰入れをすることができる。この場合において、当該繰入れは、同条第三号に掲げる業務とみなす。

4 機構は、前項の規定による繰入れをしようとする場合には、あらかじめ、大蔵大臣の認可を受けなければならない。

5 機構は、第三項の規定による繰入れをした場合において、金融安定化拠出基金の残高が出資控除後の金額を超えることとなつたときは、大蔵省令で定めるところにより、当該超えることとなつた部分の金額に相当する金額を、その合計額が同項の規定による繰入れをした金額の合計額に達するまでを限り、一般勘定に繰り入れるものとする。

 (債権処理会社の円滑な業務の遂行のための助成金の交付)

第十条 機構は、第七条各項及び第八条に規定する助成金のほか、債権処理会社の円滑な業務の遂行のため必要があると認めるときは、金融安定化拠出基金から、債権処理会社に対し、助成金を交付することができる。

 (債権処理会社の債務の保証)

第十一条 機構は、債権処理会社が特定住宅金融専門会社からの貸付債権その他の財産の譲受けのために必要とする資金その他債権処理会社の業務のために必要な資金の借入れをする場合には、その借入れに係る債務の保証を行うことができる。

 (助成金の交付等の条件)

第十二条 機構は、債権処理会社が次に掲げる事項の約束をし、及びその履行をしている場合でなければ、第七条各項、第八条若しくは第十条の規定による助成金の交付又は前条の規定による債務の保証を行ってはならない。

 一 債権処理会社は、特定住宅金融専門会社からの貸付債権その他の財産の譲受け及び特定住宅金融専門会社の債務処理に要する財源についての債権処理会社の支援に係る契約の締結をしようとするときは、あらかじめ、当該締結をしようとする契約の内容その他の大蔵省令で定める事項について機構の承認を受けること。

 二 債権処理会社は、前号の契約の締結後速やかに、譲受債権等の回収、処分等を十五年以内を目途として完了する処理計画を作成し、機構の承認を受けること。

 三 債権処理会社は、毎事業年度の開始前に(設立の日の属する事業年度にあっては、当該事業年度開始後速やかに)、当該事業年度以降の二年間について事業計画及び資金計画を作成し、機構の承認を受けること。

 四 債権処理会社は、第二号の処理計画又は前号の事業計画若しくは資金計画を変更しようとするときは、あらかじめ、機構の承認を受けること。

 五 債権処理会社は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書その他の大蔵省令で定める書類を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に機構に提出すること。

 六 債権処理会社は、譲受債権等に係る債権についてその債務者の財産が隠ぺいされているおそれがあると認めたとき、その他その債務者の財産の実態を解明することが困難であると認めたときは、速やかに機構に報告すること。

 七 債権処理会社は、譲受債権等に係る債権のうち、その債務者の財産に係る権利関係が複雑なものその他その回収に特に専門的な知識を必要とするものについて、機構の求めに応じ、その取立てを機構に委託すること。

 八 債権処理会社は、第六号に定めるもののほか、その業務の実施に支障が生じたときは、機構の指導又は助言を受けるため、速やかに機構に報告すること。

 九 債権処理会社は、その役職員がその職務を行うことにより犯罪があると思料するときは直ちに所要の報告をさせる体制を整備するものとし、かつ、当該報告があったときは機構に報告するとともに告発に向けて所要の措置をとること。

 十 債権処理会社は、第七条第一項に規定する特定住宅金融専門会社の債務処理に要する財源のうち第一号の契約により債権処理会社が支援するものについて同項の規定による助成金の交付を受けた場合において、譲受債権等のそれぞれにつきその取得価額を上回る金額で回収が行われたことその他の政令で定める事由により利益が生じたときは、当該利益の金額として政令で定める金額を、その合計額が同項の規定により交付された助成金の合計額に達するまでを限り、機構に納付すること。

 十一 債権処理会社は、譲受債権等に係る損失で第八条に規定するものについて同条の規定による助成金の交付を受けた場合において、当該譲受債権等の全部又は一部の回収が行われたことその他の政令で定める事由により当該損失が減少をしたときは、当該減少をした損失の金額として政令で定める金額に政令で定める割合を乗じて得た金額を、その合計額が同条の規定により交付された助成金の合計額に達するまでを限り、機構に納付すること。

 (債権処理会社からの納付金の処理)

第十三条 機構は、債権処理会社から前条第十号の規定による納付を受けたときは、これを緊急金融安定化基金に充てるものとする。

2 機構は、毎事業年度、政令で定めるところにより、当該事業年度中に前条第十号及び第十一号の規定により納付を受けた金額に相当する金額を、国庫へ納付しなければならない。

3 前項の規定により国庫へ納付した金額(前条第十号の規定による納付に係るものに限る。)は、緊急金融安定化基金を減額して整理するものとする。

 (資金の融通のあっせん)

第十四条 機構は、特定住宅金融専門会社からの貸付債権その他の財産の譲受けのために債権処理会社が必要とする資金の融通のあっせんに努めるものとする。

 (協力依頼等)

第十五条 機構は、第三条第一項に規定する業務を行うため必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。

2 政府は、大蔵省、法務省、警察庁その他の関係行政庁の職員をもって構成する連絡協議会を設け、機構が第三条第一項に規定する業務を円滑に行うため必要な支援を行うものとする。

 (資料の提出の請求等)

第十六条 機構は、第三条第一項第二号から第八号までに掲げる業務を行うため必要があるときは、債権処理会社に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。

 (現況確認、質問、帳簿提示等)

第十七条 機構の職員は、第三条第一項第六号に掲げる業務を行う場合において必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者の事務所、住居その他のその者が所有し、若しくは占有する不動産に立ち入り、当該不動産の現況の確認をし、その者に質問し、又はその者の財産に関する帳簿若しくは書類(以下この条及び第三十三条において「帳簿等」という。)の提示及び当該帳簿等についての説明を求めることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、その居住者(当該居住者から当該住居の管理を委託された者を含む。)の承諾を得なければならない。

 一 当該債務者

 二 当該債務者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者

 三 当該債務者に対し債権若しくは債務があり、又は当該債務者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者

 四 当該債務者が株主又は出資者である法人

 (身分証明書の提示等)

第十八条 前条の場合において、機構の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

2 前条の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (債権の取立ての権限)

第十九条 機構は、第三条第一項第七号に掲げる業務を行う場合には、債権処理会社のために自己の名をもって、債権処理会社から委託を受けた債権の取立てに関する一切の裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。

 (運営委員会の権限の特例)

第二十条 第九条第一項及び第三項並びに第二十九条に規定するもののほか、次に掲げる事項は、運営委員会の議決を経なければならない。

 一 第三条第一項第一号の規定による出資(第五条第五項の出資の額の変更を含む。)

 二 第七条各項、第八条又は第十条の規定による助成金の交付

 三 第十一条の規定による債務の保証

 四 その他第三条第一項に規定する業務を行うため運営委員会が特に必要と認める事項

 (借入金の特例)

第二十一条 機構は、第三条第一項に規定する業務を行うため必要があると認めるときは、第二十三条第一項の規定による政府の出資の金額の範囲内において、大蔵大臣の認可を受けて、資金の借入れ(借換えを含む。)をすることができる。

 (基金の運用)

第二十二条 預金保険法第四十三条の規定は、緊急金融安定化基金及び金融安定化拠出基金の運用について準用する。

   第三章 政府による財政上の措置等

 (政府の出資)

第二十三条 政府は、預金保険法第五条の規定により機構の設立に際し出資しているもののほか、機構が第三条第一項に規定する業務を行うため必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に出資することができる。

2 機構は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。

 (政府の補助)

第二十四条 政府は、予算で定める金額の範囲内において、機構に対し、緊急金融安定化基金に充てる資金を補助することができる。

2 政府は、債権処理会社に譲受債権等に係る損失で第八条に規定するものが生じた場合には、当該損失の発生に伴って生じる債権処理会社及び機構の資金の不足の一部を補うため、政令で定めるところにより、予算で定める金額の範囲内において、機構に対し、譲受債権等に係る損失の金額として同条に規定する政令で定める金額の二分の一に相当する金額の補助金を交付することができる。

 (日本銀行の拠出)

第二十五条 日本銀行は、日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)第二十七条の規定にかかわらず、機構が第三条第一項第一号の規定による出資をするために必要な資金に充てるため、機構に対し、千億円を限り拠出することができる。

2 機構は、債権処理会社が解散したときは、政令で定めるところにより、前項の拠出金の額に相当する金額を日本銀行に返還するものとする。

 (課税の特例)

第二十六条 債権処理会社が指定期間内に特定住宅金融専門会社から不動産に関する権利の取得をした場合には、当該不動産に関する権利の移転の登記については、大蔵省令で定めるところにより当該取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さない。

2 債権処理会社が指定期間内に特定住宅金融専門会社から取得をした土地又は土地の上に存する権利(以下この条において「土地等」という。)は、債権処理会社に係る租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第六十二条の二の規定の適用については、同条第三項第一号に規定する新規取得土地等には該当しないものとする。

3 債権処理会社が指定期間内に特定住宅金融専門会社から取得をした土地等の譲渡(租税特別措置法第六十二条の三第二項第一号イに規定する譲渡をいう。)は、債権処理会社に係る同条から同法第六十三条の二までの規定の適用については、同法第六十二条の三第二項第一号に規定する土地の譲渡等には該当しないものとする。

   第四章 預金保険機構の特例業務の終了

 (債権処理会社の残余財産の整理)

第二十七条 機構は、債権処理会社が解散した場合において、その残余財産の分配を受けたときは、金融安定化拠出基金を財源として第三条第一項第一号の出資に充てた金額が同号の出資の総額に占める割合を当該分配を受けた金額に乗じて得た金額を、金融安定化拠出基金に充てるものとする。

 (緊急金融安定化基金の残余の処分)

第二十八条 機構は、債権処理会社が解散した場合において、緊急金融安定化基金に残余があるときは、当該残余の額を国庫に納付しなければならない。

 (金融安定化拠出基金の残余の処分)

第二十九条 機構は、債権処理会社が解散したときは、運営委員会の議決を経て、金融安定化拠出基金の残余の額(第二十七条の規定により金融安定化拠出基金に充てられた金額を含む。)を、金融安定化拠出基金の拠出者の拠出金の額に応じて、各拠出者に分配するものとする。

 (住専勘定の廃止)

第三十条 機構は、第二十五条第二項及び前二条の手続を終えたときは、住専勘定を廃止するものとする。

2 機構は、前項の規定により住専勘定を廃止した場合において、住専勘定に残余財産があるときは、当該残余財産の額に相当する金額を国庫に納付しなければならない。

3 機構は、住専勘定を廃止したときは、機構の資本金のうち政府の出資に係るものにつき、第二十三条第一項の規定により政府が出資した金額に相当する金額を減額するものとする。

   第五章 雑則

 (預金保険法の適用)

第三十一条 この法律により機構の業務が行われる場合には、この法律の規定によるほか、預金保険法を適用する。この場合において、同法第二条第一項及び第三項中「この法律」とあるのは「この法律又は特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法(平成八年法律第九十三号。以下「特定住専債権等処理法」という。)」と、同法第三十七条第一項中「業務」とあるのは「業務(特定住専債権等処理法第三条第一項に規定する業務を除く。)」と、同法第四十二条第一項中「業務」とあるのは「業務(特定住専債権等処理法第九条第三項後段において第三十四条第三号に掲げる業務とみなされるものを含む。)」と、同法第四十四条、第四十五条第二項及び第四十六条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は特定住専債権等処理法」と、同法第五十一条第二項中「業務」とあるのは「業務(特定住専債権等処理法第九条第三項後段において第三十四条第三号に掲げる業務とみなされるものを含むものとし、特定住専債権等処理法第三条第一項に規定する業務を除く。)」と、同法第九十一条第一号中「この法律」とあるのは「この法律又は特定住専債権等処理法」と、同条第三号中「第三十四条に規定する業務」とあるのは「第三十四条に規定する業務(特定住専債権等処理法第九条第三項後段において第三十四条第三号に掲げる業務とみなされるものを含む。)及び特定住専債権等処理法第三条第一項に規定する業務」と、同条第六号中「第四十三条」とあるのは「第四十三条(特定住専債権等処理法第二十二条において準用する場合を含む。)」と、「業務上の余裕金」とあるのは「業務上の余裕金又は緊急金融安定化基金若しくは金融安定化拠出基金」とする。

 (政令への委任)

第三十二条 この法律に規定するもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、政令で定める。

   第六章 罰則

第三十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

 一 第十六条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは偽りの記載をした資料の提出をした者

 二 第十七条の規定による立入り又は現況の確認を拒み、妨げ、又は忌避した者

 三 第十七条の規定による機構の職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者

 四 第十七条の規定による帳簿等の提示を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは帳簿等につき説明をせず、又は偽りの記載をした帳簿等を提示し、若しくは帳簿等につき偽りの説明をした者

第三十四条 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人、その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し同条の罰金刑を科する。

2 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (罰則についての経過措置)

第二条 この法律の施行前にした預金保険法第九十一条第三号に該当する違反行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (地方税法の一部改正)

第三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  附則第十条に次の一項を加える。

 6 道府県は、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法(平成八年法律第九十三号)第三条第一項第二号に規定する債権処理会社が、同法第二条第二項に規定する特定住宅金融専門会社から不動産を取得した場合には、当該取得が同法第七条第一項に規定する指定期間内に行われたときに限り、第七十三条の二第一項の規定にかかわらず、当該不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。

  附則第三十一条の二の次に次の一条を加える。

 第三十一条の二の二 市町村は、土地の取得で附則第十条第六項の規定の適用がある取得に該当するものに対しては、第五百八十五条第一項の規定にかかわらず、土地の取得に対して課する特別土地保有税を課することができない。

 2 前項の規定の適用がある場合には、第五百九十五条及び第五百九十九条第二項第一号中「又は第五百八十七条」とあるのは、「、第五百八十七条又は附則第三十一条の二の二」とする。

(法務・大蔵・自治・内閣総理大臣署名) 

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