暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律
法律第四十一号(平五・五・一二)
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。
目次中
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第三章 対立抗争時の事務所の使用制限その他の規制(第十五条―第十九条) |
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第四章 暴力追放運動推進センター(第二十条・第二十一条) |
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第五章 雑則(第二十二条―第三十三条) |
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第六章 罰則(第三十四条―第三十八条) |
」 |
を
「 |
第三章 対立抗争時の事務所の使用制限(第十五条) |
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第四章 加入の強要の規制その他の規制等 |
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第一節 加入の強要の規制等(第十六条―第二十八条) |
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第二節 事務所等における禁止行為等(第二十九条・第三十条) |
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第五章 暴力追放運動推進センター(第三十一条・第三十二条) |
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第六章 雑則(第三十三条―第四十四条) |
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第七章 罰則(第四十五条―第四十九条) |
」 |
に改める。
第三条第二号中「第六章」を「第七章」に、「第三十六条」を「第四十七条」に改める。
第九条第五号中「購入すること」の下に「、その日常業務に関し歌謡ショーその他の興行の入場券、パーティー券その他の証券若しくは証書を購入すること」を加え、同条第八号中「含む」の下に「。以下この号において単に「金銭の貸付け」という」を加え、「貸付けの条件」を「金銭の貸付けの条件」に改め、同条第十一号中「購入した」を「人に対し、購入した」に改め、「商品」の下に「、購入した有価証券に表示される権利」を加え、「又は」を「若しくは」に改め、「、人に対し」を削り、「供与を」の下に「要求し、又は勧誘を受けてした商品若しくは有価証券に係る売買その他の取引において、その価格若しくは商品指数(商品取引所法(昭和二十五年法律第二百三十九号)第二条第三項の商品指数をいう。)若しくは有価証券指数(証巻取引法第二条第十四項の有価証券指数をいう。)の上昇若しくは下落により損失を被ったとして、損害賠償その他これに類する名目でみだりに金品等の供与を」を加え、同号を同条第十四号とし、同条中第十号を第十三号とし、第九号を第十一号とし、同号の次に次の一号を加える。
十二 土地又は建物(以下この号において「土地等」という。)について、その全部又は一部を占拠すること、当該土地等又はその周辺に自己の氏名を表示することその他の方法により、当該土地等の所有又は占有に関与していることを殊更に示すこと(以下この号において「支配の誇示」という。)を行い、当該土地等の所有者に対する債権を有する者又は当該土地等の所有権その他当該土地等につき使用若しくは収益をする権利若しくは当該土地等に係る担保権を有し、若しくはこれらの権利を取得しようとする者に対し、その者が拒絶しているにもかかわらず、当該土地等についての支配の誇示をやめることの対償として、明渡し料その他これに類する名目で金品等の供与を要求すること。
第九条第八号の次に次の二号を加える。
九 証券会社(証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第九項の証券会社及び外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)第二条第二号の外国証券会社をいう。以下この号において同じ。)に対してその者が拒絶しているにもかかわらず有価証券の信用取引(証券取引法第四十九条第一項(外国証券業者に関する法律第十七条第一項において準用する場合を含む。)の信用取引をいう。以下この号において同じ。)を行うことを要求し、又は証券会社に対して顧客が預託すべき金銭の額その他の有価証券の信用取引を行う条件として当該証券会社が示している事項に反して著しく有利な条件により有価証券の信用取引を行うことを要求すること。
十 株式会社又は当該株式会社の子会社(商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百十一条ノ二第一項の子会社をいう。)に対してみだりに当該株式会社の株式の買取り若しくはそのあっせん(以下この号において「買取り等」という。)を要求し、株式会社の取締役若しくは監査役若しくは株主(以下この号において「取締役等」という。)に対してその者が拒絶しているにもかかわらず当該株式会社の株式の買取り等を要求し、又は株式会社の取締役等に対して買取りの価格その他の買取り等の条件として当該取締役等が示している事項に反して著しく有利な条件による当該株式会社の株式の買取り等を要求すること。
第十条に次の一項を加える。
2 何人も、指定暴力団員が暴力的要求行為をしている現場に立ち会い、当該暴力的要求行為をすることを助けてはならない。
第十二条中「第十条」を「第十条第一項」に、「同条」を「同項」に改め、「指定暴力団員」の下に「又は当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の他の指定暴力団員」を加え、同条に次の一項を加える。
2 公安委員会は、第十条第二項の規定に違反する行為が行われており、当該違反する行為に係る暴力的要求行為の相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該違反する行為をしている者に対し、当該違反する行為を中止することを命じ、又は当該違反する行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
第十四条第一項中「第二十条第二項」を「第三十一条第二項」に改める。
「第三章 対立抗争時の事務所の使用制限その他の規制」を「第三章 対立抗争時の事務所の使用制限」に改める。
第十五条の見出しを削る。
第三十八条中「第二十二条第一項」を「第三十三条第一項」に改め、同条を第四十九条とする。
第三十七条を第四十八条とする。
第三十六条中「第二十条第七項」を「第三十一条第七項」に改め、同条を第四十七条とする。
第三十五条第三号中「第十七条」を「第十八条」に改め、同条に次の五号を加え、同条を第四十六条とする。
五 第二十二条の規定による命令に違反した者
六 第二十三条の規定による命令に違反した者
七 第二十六条の規定による命令に違反した者
八 第二十七条の規定による命令に違反した者
九 第三十条の規定による命令に違反した者
第三十四条を第四十五条とする。
第六章を第七章とする。
第五章中第三十三条を第四十四条とし、第三十二条を第四十三条とする。
第三十一条第三項中「第十七条第一項又は第十九条」を「第十二条第二項、第十八条第一項、第二十二条第一項、第二十六条第一項又は第三十条」に改め、同条を第四十二条とする。
第三十条を第四十一条とする。
第二十九条中「第二十六条第一項」を「第三十七条第一項」に、「第二十七条第二項」を「第三十八条第二項」に改め、同条を第四十条とする。
第二十八条第五号中「の規定による命令(同項の規定に係る仮の命令を除く。)、第十二条若しくは第十七条第二項若しくは第三項の規定による命令」を「、第十二条第一項、第十八条第二項若しくは第三項、第十九条、第二十二条第二項、第二十三条、第二十六条第二項若しくは第二十七条の規定による命令(仮の命令を除く。)」に、「第二十三条第一項」を「第三十四条第一項」に改め、同条第六号中「第十七条第一項若しくは第十九条」を「第十二条第二項、第十八条第一項、第二十二条第一項、第二十六条第一項若しくは第三十条」に、「第十一条第二項の規定に係る」を「第十五条第一項の規定に係る仮の命令以外の」に改め、同条第九号中「第二十三条第一項」を「第三十四条第一項」に改め、同条第十号中「第二十条第一項」を「第三十一条第一項」に改め、同条を第三十九条とする。
第二十七条を第三十八条とし、第二十六条を第三十七条とし、第二十五条を第三十六条とする。
第二十四条第一項中「又は第十五条第一項の規定」を「、第十五条第一項、第十八条第二項、第十九条、第二十二条第二項、第二十三条、第二十六条第二項又は第二十七条の規定(以下この条において「第十一条第二項等の規定」という。)」に改め、同条第四項中「第十一条第二項に係るもの」を「第十五条第一項に係るもの以外のもの」に改め、同条第六項及び第七項中「第十一条第二項又は第十五条第一項の規定」を「第十一条第二項等の規定」に改め、同条第九項中「第十一条第二項の規定」を「第十一条第二項等の規定(第十五条第一項の規定を除く。)」に改め、同条を第三十五条とする。
第二十三条第一項中「第十二条」を「第十二条第一項」に、「又は第十七条第二項若しくは第三項」を「、第十八条第二項若しくは第三項、第十九条、第二十二条第二項、第二十三条、第二十六条第二項又は第二十七条」に改め、同項ただし書中「第十六条」の下に「若しくは第二十四条」を加え、同条を第三十四条とする。
第二十二条を第三十三条とする。
第五章を第六章とする。
第四章中第二十一条を第三十二条とし、第二十条を第三十一条とする。
第四章を第五章とする。
第三章中第十九条を第三十条とする。
第十八条第一号中「第二十二条第一項」を「第三十三条第一項」に改め、同条を第二十九条とする。
第十七条第一項中「前条」を「第十六条」に改め、「中止することを」の下に「命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項(当該行為が同条第三項の規定に違反する行為であるときは、当該行為に係る密接開係者が指定暴力団等に加入させられ、又は指定暴力団等から脱退することを妨害されることを防止するために必要な事項を含む。)を」を加え、同条第二項中「前条」を「第十六条」に、「当該行為の相手方」を「同条第一項若しくは第二項の規定に違反する行為の相手方若しくは同条第三項の規定に違反する行為に係る密接関係者」に、「その者」を「これらの者」に改め、同条第三項中「前条第一項」を「第十六条第一項」に改め、同条を第十八条とし、同条の次に次の十条及び節名を加える。
第十九条 公安委員会は、指定暴力団員が第十七条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、その配下指定暴力団員に対して第十六条の規定に違反する行為をすることを命ずること若しくはその配下指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助長する行為をすることを防止するために必要な事項又は他の指定暴力団員に対して同条の規定に違反する行為をすることを依頼し、若しくは唆すこと若しくは他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けることを防止するために必要な事項を命ずることができる。
(指詰めの強要等の禁止)
第二十条 指定暴力団員は、他の指定暴力団員に対して指詰め(暴力団員が、その所属する暴力団の統制に反する行為をしたことに対する謝罪又はその所属する暴力団からの脱退が容認されることの代償としてその他これらに類する趣旨で、その手指の全部又は一部を自ら切り落とすことをいう。以下この条及び第二十二条第二項において同じ。)をすることを強要し、若しくは勧誘し、又は指詰めに使用する器具の提供その他の行為により他の指定暴力団員が指詰めをすることを補助してはならない。
(指詰めの強要の命令等の禁止)
第二十一条 指定暴力団員は、その配下指定暴力団員に対して前条の規定に違反する行為をすることを命じ、又はその配下指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助長する行為をしてはならない。
2 前項に規定するもののほか、指定暴力団員は、他の指定暴力団員に対して前条の規定に違反する行為をすることを依頼し、若しくは唆し、又は他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けてはならない。
(指詰めの強要等に対する措置)
第二十二条 公安委員会は、指定暴力団員が第二十条の規定に違反する行為をしている場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
2 公安委員会は、指定暴力団員が第二十条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、他の指定暴力団員に対して指詰めをすることを強要し、若しくは勧誘すること又は指詰めに使用する器具の提供その他の行為により他の指定暴力団員が指詰めをすることを補助することを防止するために必要な事項を命ずることができる。
第二十三条 公安委員会は、指定暴力団員が第二十一条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、その配下指定暴力団員に対して第二十条の規定に違反する行為をすることを命ずること若しくはその配下指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助長する行為をすることを防止するために必要な事項又は他の指定暴力団員に対して同条の規定に違反する行為をすることを依頼し、若しくは唆すこと若しくは他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けることを防止するために必要な事項を命ずることができる。
(少年に対する入れ墨の強要等の禁止)
第二十四条 指定暴力団員は、少年に対して入れ墨を施し、少年に対して入れ墨を受けることを強要し、若しくは勧誘し、又は資金の提供、施術のあっせんその他の行為により少年が入れ墨を受けることを補助してはならない。
(少年に対する入れ墨の強要の要求等の禁止)
第二十五条 指定暴力団員は、他の指定暴力団員に対して前条の規定に違反する行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、又は他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けてはならない。
(少年に対する入れ墨の強要等に対する措置)
第二十六条 公安委員会は、指定暴力団員が第二十四条の規定に違反する行為をしており、かつ、当該行為に係る少年が困惑していると認め、又は当該行為が当該少年の保護者の意思に反していると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
2 公安委員会は、指定暴力団員が第二十四条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、少年に対して入れ墨を施すこと、少年に対して入れ墨を受けることを強要し、若しくは勧誘すること又は資金の提供、施術のあっせんその他の行為により少年が入れ墨を受けることを補助することを防止するために必要な事項を命ずることができる。
第二十七条 公安委員会は、指定暴力団員が第二十五条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、他の指定暴力団員に対して第二十四条の規定に違反する行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆すこと又は他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けることを防止するために必要な事項を命ずることができる。
(離脱の意志を有する者に対する援護等)
第二十八条 公安委員会は、暴力団から離脱する意志を有する者(以下この条において「離脱希望者」という。)その他関係者を対象として、離脱希望者を就業環境に円滑に適応させることの促進、離脱希望者が暴力団から脱退することを妨害する行為の予防及び離脱希望者に対する補導その他の援護その他離脱希望者の暴力団からの離脱と社会経済活動への参加を確保するために必要な措置を講ずるものとする。
2 公安委員会は、暴力団から離脱した者が就職等を通じて社会経済活動に参加することの重要性について住民及び事業者の関心を高め、並びに暴力団から離脱した者に対する援護に関する思想を普及するための啓発を広く行うものとする。
3 公安委員会は、第一項の措置を実施するため必要な限度において、離脱希望者の状況について、第三十一条第一項の規定により指定した都道府県暴力追放運動推進センターから報告を求めることができる。
第二節 事務所等における禁止行為等
第十六条に次の一項を加える。
3 指定暴力団員は、人を威迫して、その者の親族又はその者が雇用する者その他のその者と密接な関係を有する者として国家公安委員会規則で定める者(以下この項並びに第十八条第一項及び第二項において「密接関係者」という。)に係る組抜け料等(密接関係者の暴力団からの脱退が容認されること又は密接関係者に対する暴力団への加入の強要若しくは勧誘をやめることの代償として支払われる金品等をいう。)を支払うこと又は密接関係者の住所若しくは居所の教示その他密接関係者に係る情報の提供をすることを強要し、又は勧誘することその他密接関係者を指定暴力団等に加入させ、又は密接関係者が指定暴力団等から脱退することを妨害するための行為として国家公安委員会規則で定めるものをしてはならない。
第十六条の次に次の一条を加える。
(加入の強要の命令等の禁止)
第十七条 指定暴力団員は、その配下指定暴力団員(指定暴力団員がその所属する指定暴力団等の活動に係る事項について他の指定暴力団員に指示又は命令をすることができる場合における当該他の指定暴力団員をいう。以下同じ。)に対して前条の規定に違反する行為をすることを命じ、又はその配下指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助長する行為をしてはならない。
2 前項に規定するもののほか、指定暴力団員は、他の指定暴力団員に対して前条の規定に違反する行為をすることを依頼し、若しくは唆し、又は他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けてはならない。
第十六条の前に次の章名及び節名を付する。
第四章 加入の強要の規制その他の規制等
第一節 加入の強要の規制等
別表第二号中「(明治三十二年法律第四十八号)」を削り、同表に次の二号を加える。
二十九 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)第三章に規定する罪
三十 特定債権等に係る事業の規制に関する法律(平成四年法律第七十七号)第六章に規定する罪
附 則
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、別表に二号を加える改正規定は、公布の日から施行する。
(内閣総理大臣署名)