地方公務員法の一部を改正する法律
法律第七十一号(昭四〇・五・一八)
地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第八条第二項に次の一号を加える。
三 前二号に掲げるものを除くほか、法律に基づきその権限に属せしめられた事務
第八条第七項中「第二項各号」を「第二項第一号及び第二号」に改める。
第二十五条中第五項を第六項とし、第二項から第四項までを一項ずつ繰り下げ、第一項の次に次の一項を加える。
2 職員の給与は、法律又は条例により特に認められた場合を除き、通貨で、直接職員に、その全額を支払わなければならない。
第五十二条を次のように改める。
(職員団体)
第五十二条 この法律において「職員団体」とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体をいう。
2 前項の「職員」とは、第五項に規定する職員以外の職員をいう。
3 職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。ただし、管理若しくは監督の地位にある職員又は機密の事務を取り扱う職員(以下「管理職員等」という。)と管理職員等以外の職員とは、同一の職員団体を組織することができず、管理職員等と管理職員等以外の職員とが組織する団体は、この法律にいう「職員団体」ではない。
4 前項ただし書に規定する管理職員等の範囲は、人事委員会規則又は公平委員会規則で定める。
5 警察職員及び消防職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、地方公共団体の当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならない。
第五十三条第一項を次のように改める。
職員団体は、条例で定めるところにより、理事その他の役員の氏名及び条例で定める事項を記載した申請書に規約を添えて人事委員会又は公平委員会に登録を申請することができる。
第五十三条第二項第二号中「業務」を「目的及び業務」に改め、同項第五号中「、代表者」を削り、同条第三項中「その構成員たるすべての職員」を「すべての構成員」に、「全員の多数決」を「全員の過半数(役員の選挙については、投票者の過半数)」に、「単位職員団体の連合体」を「連合体である職員団体」に、「多数決で」を「投票者の過半数で」に改め、同条第四項を次のように改める。
4 前項に定めるもののほか、職員団体が登録される資格を有し、及び引き続き登録されているためには、当該職員団体が同一の地方公共団体に属する前条第五項に規定する職員以外の職員のみをもつて組織されていることを必要とする。ただし、同項に規定する職員以外の職員であつた者でその意に反して免職され、若しくは懲戒処分としての免職の処分を受け、当該処分を受けた日の翌日から起算して一年以内のもの又はその期間内に当該処分について法律の定めるところにより不服申立てをし、若しくは訴えを提起し、これに対する裁決若しくは決定又は裁判が確定するに至らないものを構成員にとどめていること、及び当該職員団体の役員である者を構成員としていることを妨げない。
第五十三条第七項中「第四項」を「第六項」に改め、同項を同条第九項とし、同条第六項中「人事委員会」を「人事委員会又は公平委員会」に改め、同項を同条第八項とし、同条第五項中「規約を変更したときは」を「規約又は第一項に規定する申請書の記載事項に変更があつたときは」に、「人事委員会」を「人事委員会又は公平委員会」に、「第一項後段」を「第五項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第四項の次に次の二項を加える。
5 人事委員会又は公平委員会は、登録を申請した職員団体が前三項の規定に適合するものであるときは、条例で定めるところにより、規約及び第一項に規定する申請書の記載事項を登録し、当該職員団体にその旨を通知しなければならない。この場合において、職員でない者の役員就任を認めている職員団体を、そのゆえをもつて登録の要件に適合しないものと解してはならない。
6 登録を受けた職員団体が職員団体でなくなつたとき、登録を受けた職員団体について第二項から第四項までの規定に適合しない事実があつたとき、又は登録を受けた職員団体が次項の規定による届出をしなかつたときは、人事委員会又は公平委員会は、条例で定めるところにより、六十日をこえない範囲内で当該職員団体の登録の効力を停止し、又は当該職員団体の登録を取り消すことができる。人事委員会又は公平委員会は、職員団体の登録を取り消すときは、あらかじめ口頭審理を行なわなければならないものとし、口頭審理は、当該職員団体から請求があったときは、公開して行なわれなければならない。
第五十四条を次のように改める。
(法人たる職員団体)
第五十四条 登録を受けた職員団体は、法人となる旨を人事委員会又は公平委員会に申し出ることにより法人となることができる。民法(明治二十九年法律第八十九号)及び非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)中民法第三十四条に規定する法人に関する規定(民法第三十八条第二項、第五十六条、第七十七条及び第七十一条を除く。)は、本条の法人について準用する。この場合においては、これらの規定中「主務官庁」とあるのは「人事委員会又ハ公平委員会」と、「定款」とあるのは「規約」と読み替えるほか、民法第四十六条第一項第四号中「設立許可」とあるのは「法人ト為ル旨ノ申出」と、同法第六十八条第一項第四号中「設立許可」とあるのは「登録」と、非訟事件手続法第百二十条中「許可書」とあるのは「法人ト為ル旨ノ申出ノ受理証明書」と読み替えるものとする。
第五十五条第一項を次のように改める。
地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し、適法な交渉の申入れがあつた場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする。
第五十五条第四項を削り、同条第三項を同条第十項とし、同項の次に次の一項を加える。
11 職員は、職員団体に属していないという理由で、第一項に規定する事項に関し、不満を表明し、又は意見を申し出る自由を否定されてはならない。
第五十五条第二項中「前項の場合において、」を削り、同項を同条第九項とし、同条第一項の次に次の七項を加える。
2 職員団体と地方公共団体の当局との交渉は、団体協約を締結する権利を含まないものとする。
3 地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は、交渉の対象とすることができない。
4 職員団体が交渉することのできる地方公共団体の当局は、交渉事項について適法に管理し、又は決定することのできる地方公共団体の当局とする。
5 交渉は、職員団体と地方公共団体の当局があらかじめ取り決めた員数の範囲内で、職員団体がその役員の中から指名する者と地方公共団体の当局の指名する者との間において行なわなければならない。交渉に当たつては、職員団体と地方公共団体の当局との間において、議題、時間、場所その他必要な事項をあらかじめ取り決めて行なうものとする。
6 前項の場合において、特別の事項があるときは、職員団体は、役員以外の者を指名することができるものとする。ただし、その指名する者は、当該交渉の対象である特定の事項について交渉する適法な委任を当該職員団体の執行機関から受けたことを文書によつて証明できる者でなければならない。
7 交渉は、前二項の規定に適合しないこととなつたとき、又は他の職員の職務の遂行を妨げ、若しくは地方公共団体の事務の正常な運営を阻害することとなつたときは、これを打ち切ることができる。
8 本条に規定する適法な交渉は、勤務時間中においても行なうことができる。
第五十五条の次に次の一条を加える。
(職員団体のための職員の行為の制限)
第五十五条の二 職員は、職員団体の業務にもつぱら従事することができない。ただし、任命権者の許可を受けて、登録を受けた職員団体の役員としてもつぱら従事する場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の許可は、任命権者が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、任命権者は、その許可の有効期間を定めるものとする。
3 第一項ただし書の規定により登録を受けた職員団体の役員としてもつぱら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて三年(地方公営企業労働関係法(昭和二十七年法律第二百八十九号)第六条第一項ただし書(同法附則第四項において準用する場合を含む。)の規定により労働組合の業務にもつぱら従事したことがある職員については、三年からそのもつぱら従事した期間を控除した期間)をこえることができない。
4 第一項ただし書の許可は、当該許可を受けた職員が登録を受けた職員団体の役員として当該職員団体の業務にもつぱら従事する者でなくなつたときは、取り消されるものとする。
5 第一項ただし書の許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とし、いかなる給与も支給されず、また、その期間は、退職手当の算定の基礎となる勤続期間に算入されないものとする。
6 職員は、条例で定める場合を除き、給与を受けながら、職員団体のための業務を行ない、又は活動してはならない。
第五十八条第三項中「労働基準法第二条、」の下に「第二十四条第一項、」を、「、第三十七条中勤労条件に関する部分」の下に「、第五十三条第一項」を加える。
第六十条第二号中「第十項」を「第十二項」に改め、同条第三号中「第二項」を「第三項」に改める。
附則第五項中「第十一項」を「第十項」に改める。
附則に次の一項を加える。
(地方自治法附則第八条に規定する職員)
20 地方自治法附則第八条に規定する職員については、当分の間、当該職員を第五十二条第一項に規定する職員とみなして、第三章第九節の規定を適用する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内で政令で定める日から施行する。ただし、第八条の改正規定、第五十二条から第五十五条までの改正規定、第五十五条の次に一条を加える改正規定及び附則に一項を加える改正規定並びに次条、附則第三条及び附則第五条から附則第八条までの規定は、政令で定める日から施行する。
(経過規定)
第二条 この法律の施行(前条ただし書の規定による施行をいう。以下この条において同じ。)の際現に存する改正前の地方公務員法(以下「旧法」という。)第五十三条第一項の規定により登録を受けた職員団体は、この法律の施行の日から起算して三月以内に、改正後の地方公務員法(以下「新法」という。)第五十三条の規定による登録の申請をすることができる。この場合において、人事委員会又は公平委員会は、申請を受理した日から起算して三十日以内に、新法第五十三条第一項の規定による登録をした旨又はしない旨の通知をしなければならない。
2 この法律の施行の際現に存する旧法第五十三条第一項の規定により登録を受けた職員団体で前項の規定による登録の申請をしないものの取扱いにいては、この法律の施行の日から起算して三月を経過するまでの間、同項の規定による登録の申請をしたものの取扱いについては、同項の規定により登録をした旨又はしない旨の通知を受けるまでの間は、なお従前の例による。ただし、新法第五十五条の規定の適用があるものとする。
3 旧法の規定に基づく法人たる職員団体で第一項の規定による登録をした旨の通知を受けたもののうち、その通知を受ける前に新法の規定に基づく法人となる旨を人事委員会又は公平委員会に申し出たものは、その通知を受けた時に新法の規定に基づく法人となり、同一性をもつて存続するものとする。
4 前項の規定による新法の規定に基づく法人たる職員団体として存続するものを除き、旧法の規定に基づく法人たる職員団体でこの法律の施行の際現に存するものは、第一項の規定による登録の申請をしなかつたものにあつては、この法律の施行の日から起算して三月を経過した日において、同項の規定による登録の申請をしたものにあつては、同項の規定による登録をした旨又はしない旨の通知を受けた時において、それぞれ解散するものとし、その解散及び清算については、なお従前の例による。
5 この法律の施行の日から起算して二年間は、新法第五十五条の二第一項の規定は適用せず、職員は、なお従前の例により、登録を受けた職員団体の役員として当該職員団体の業務にもつぱら従事することができる。
(教育公務員特例法の一部改正)
第三条 教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)の一部を次のように改正する。
第十一条第二項中「、第三十八条及び第五十二条」を「及び第三十八条」に改める。
第二十一条の三の次に次の一条を加える。
(公立学枚の職員の職員団体)
第二十一条の四 地方公務員法第五十三条及び第五十四条並びに地方公務員法の一部を改正する法律(昭和四十年法律第七十一号)附則第二条の規定の適用については、一の都道府県内の公立学校の職員のみをもつて組織する地方公務員法第五十二条第一項に規定する職員団体(当該都道府県内の一の地方公共団体の公立学枚の職員のみをもつて組織するものを除く。)は、当該都道府県の職員をもつて組織する同項に規定する職員団体とみなす。
2 前項の場合において、同項の職員団体は、当該都道府県内の公立学校の職員であつた者でその意に反して免職され、若しくは懲戒処分としての免職の処分を受け、当該処分を受けた日の翌日から起算して一年以内のもの又はその期間内に当該処分について法律の定めるところにより審査請求をし、若しくは訴えを提起し、これに対する裁決又は裁判が確定するに至らないものを構成員にとどめていること、及び当該職員団体の役員である者を構成員としていることを妨げない。
3 公立学校の職員に係る地方公務員法第五十二条第三項ただし書に規定する管理職員等の範囲は、同条第四項の規定にかかわらず、国立学校の職員の例に準じ、人事委員会規則又は公平委員会規則で定める。
第二十五条の六を削る。
(地方公営企業労働関係法の一部改正)
第四条 地方公営企業労働関係法(昭和二十七年法律第二百八十九号)の一部を次のように改正する。
附則第四項前段中「この法律」の下に「(第十七条を除く。)及び地方公営企業法第三十七条から第三十九条までの規定」を加え、同項後段を次のように改める。
この場合において、同法第三十九条第一項中「第四十九条まで、第五十二条から第五十六条まで」とあるのは、「第四十九条まで」と読み替えるものとする。
(郵便貯金法の一部改正)
第五条 郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第十条第三号中「第五十二条第三項」を「第五十二条第一項」に改める。
(労働金庫法の一部改正)
第六条 労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十一条第一項第三号中「職員団体の組織」を「職員団体」に改める。
(国家公務員共済組合法の一部改正)
第七条 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)の一部を次のように改正する。
第百二十六条の四に次の一項を加える。
2 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十二条の職員団体の事務にもつぱら従事する前項に規定する組合員については、当該職員団体を国家公務員法第百八条の二に規定する職員団体とみなして第九十九条第四項の規定を適用する。
(地方公務員等共済組合法の一部改正)
第八条 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の一部を次のように改正する。
第百十三条第四項中「(教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二十五条の六の職員団体を含む。)」を削る。
第百四十二条第二項の表第百十三条第四項の項中「(教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二十五条の六の職員団体を含む。)」を削り、「第九十八条」を「第百八条の二」に改め、同条に次の一項を加える。
6 地方公務員法第五十二条の職員団体の事務にもつぱら従事する国の職員である組合員について第二項の規定を適用する場合においては、同項の表中「国家公務員法第百八条の二」とあるのは、「地方公務員法第五十二条」とする。
(大蔵・文部・郵政・労働・自治・内閣総理大臣署名)