山村振興法

法律第六十四号(昭四〇・五・一一)

 (目的)

第一条 この法律は、山村における産業基盤及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある実情にかんがみ、山村振興の目標を明らかにするとともに、山村振興に関する計画の作成及びこれに基づく事業の円滑な実施に関し必要な措置を講ずることにより、山村における経済力の培養と住民の福祉の向上を図り、あわせて地域格差の是正と国民経済の発展に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「山村」とは、林野面積の占める比率が高く、交通条件及び経済的、文化的諸条件に恵まれず、産業の開発の程度が低く、かつ、住民の生活文化水準が劣つている山間地その他の地域で政令で定める要件に該当するものをいう。

 (山村振興の目標)

第三条 山村の振興は、国土総合開発法(昭和二十五年法律第二百五号)の規定による国土総合開発計画その他法令の規定による地域振興に関する計画との調和が保たれるように考慮しつつ、山村における産業基盤及び生活環境の整備等を図ることを旨とし、次に掲げる目標に従つて推進されなければならない。

 一 道路その他の交通施設、通信施設等の整備を図ることにより、山村とその他の地域及び山村内の交通通信連絡を発達させること。

 二 農道、林道、牧道等の整備、農用地の造成、電力施設の整備等を図ることにより、土地、森林、水等の未利用資源を開発すること。

 三 農業経営及び林業経営の近代化、観光の開発、農林産物の加工業等の導入、特産物の生産の育成等を図ることにより、産業を振興し、あわせて安定的な雇用を増大すること。

 四 砂防設備、保安林、地すべり防止施設その他の国土保全施設の整備等を図ることにより、水害、風害、雪害等の災害を防除すること。

 五 学校、診療所、公民館等の教育、厚生及び文化に関する施設の整備、生活改善、労働条件の改善等を図ることにより、住民の福祉を向上させること。

 (国の施策)

第四条 国は、前条の目標を達成するため、山村の振興のために必要な事業の実施に関し、国の負担又は補助に係る事業に対する負担又は補助についての条件の改善、地方公共団体の財源の確保、資金の融通の適正円滑化その他財政金融上の措置を講ずるよう配慮するとともに、国有林野の積極的活用その他適切な施策の確立及び拡充に努めなければならない。

 (地方公共団体の施策)

第五条 地方公共団体は、第三条の目標を達成するため、国の施策に準じて、山村の振興のために必要な事業が円滑に実施されるように努めなければならない。

 (調査)

第六条 政府は、振興山村の指定、振興山村に係る山村振興に関する計画の承認及び振興山村に係る山村振興に関する具体的方針の勧告のため必要な調査を行なわなければならない。

2 前項の調査は、予算の範囲内において、振興の緊要度が高いと認められる山村から順次行なうものとする。

 (振興山村の指定)

第七条 内閣総理大臣は、都道府県知事の申請に基づき、関係行政機関の長に協議し、かつ、山村振興対策審議会の意見をきいて、山村振興に関する計画を作成しこれに基づいてその振興を図ることが必要かつ適当である山村を振興山村として指定することができる。

2 都道府県知事は、振興山村の指定を受けようとするときは、当該山村の区域を管轄する市町村長に協議し、政令で定めるところにより、農林大臣を通じて、内閣総理大臣に申請書を提出しなければならない。

3 第一項の規定による振興山村の指定は、前条第一項の規定により行なう調査の結果に基づいてしなければならない。

4 内閣総理大臣は、第一項の規定により振興山村の指定をするときは、その旨及び当該振興山村の区域を官報で公示しなければならない。

 (山村振興計画)

第八条 都道府県知事は、前条第一項の規定により振興山村の指定があつたときは、当該振興山村の区域を管轄する市町村長に協議し、政令で定めるところにより、当該振興山村に係る山村振興に関する計画(以下「山村振興計画」という。)を作成し、農林大臣を通じて、内閣総理大臣にこれを提出し、その承認を受けなければならない。

2 内閣総理大臣は、前項の規定により提出された山村振興計画を承認しようとするときは、山村振興対策審議会の意見をきくとともに、関係行政機関の長に協議しなければならない。

3 前二項の規定は、山村振興計画を変更する場合について準用する。


 (山村振興方針の勧告)

第九条 内閣総理大臣は、山村振興計画の作成に関し必要があると認めるときは、関係行政機関の長に協議し、かつ、山村振興対策審議会の意見をきいて、第三条の目標を達成するための当該振興山村に係る山村振興に関する具体的方針を定め、これを都道府県知事に勧告することができる。

2 第七条第三項の規定は、前項の具体的方針の勧告について準用する。


 (山村振興計画に基づく事業の助成等)

第十条 国は、山村振興計画に基づく事業が円滑に実施されるように、関係地方公共団体の財政事情等につき配慮して、助成その他必要な措置を講じなければならない。

 (山村振興対策審議会)

第十一条 総理府に、附属機関として、山村振興対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するほか、内閣総理大臣又は関係各大臣の諮問に応じ、この法律の施行に関する重要事項を調査審議する。

3 審議会は、前項に規定する事項に関し内閣総理大臣又は関係各大臣に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員十五人以内で組織する。

5 委員は、第二項に規定する事項に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

6 委員は、非常勤とする。

7 審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

8 この法律に定めるもののほか、審議会の組織及び運営その他審議会に関し必要な事項は、政令で定める。


   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律は、昭和五十年三月三十一日限りその効力を失う。

3 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。

  第十五条第一項の表中

離島振興対策審議会

 

離島振興法(昭和二十八年法律第七十二号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行なうこと。

離島振興対策審議会

 

離島振興法(昭和二十八年法律第七十二号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行なうこと。

山村振興対策審議会

 

山村振興法(昭和四十年法律第六十四号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行なうこと。

に改める。

4 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。

  第四条第二十号ソの次に次のように加える。

   ツ 山村振興法(昭和四十年法律第六十四号)

  第九条に次の一号を加える。

  十五 山村の振興に関すること。

   (内閣総理・大蔵・文部・厚生・農林・通商産業・運輸・郵政・労働・建設・自治大臣署名)

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