臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律

法律第九十八号(昭三八・六・七)

 臨時石炭鉱害復旧法(昭和二十七年法律第二百九十五号)の一部を次のように改正する。

 第二条の次に次の一条を加える。

 (復旧工事の特例)

第二条の二 鉱害が生じている土地の本来有していた効用を回復することが著しく困難又は不適当と認められる場合において、これに代えて当該効用以外の効用を有する土地の属する地目の土地として通常有すべき効用を具備するように当該土地について施行する工事であつて政令で定めるもの及びこれに附帯する工事は、この法律の適用については、復旧工事とみなす。

 第四十八条第二項中「次条第三項」を「第四十九条第三項」に改め、同条の次に次の一条を加える。

第四十八条の二 通商産業大臣は、鉱業権者又は租鉱権者がその鉱区又は租鉱区に係る事業を廃止した場合において、当該鉱区又は租鉱区に関する鉱害が生じている地域の全部又は一部につき、その鉱害を急速に復旧することが特に必要であると認めるときは、その地域を鉱害の復旧を促進すべき地域として指定することができる。

2 通商産業大臣は、前項の規定による地域の指定をしたときは、これを公示しなければならない。

3 第一項の規定による地域の指定があつた場合において、当該地域内において農地及び農業用施設又は家屋等について生じている鉱害に係る被害者がその鉱害を復旧することにつきそれぞれその鉱害に係る被害者の総数の三分の二以上の同意を得たときは、当該被害者は、その同意書及び鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)第百九条又は鉱業法施行法(昭和二十五年法律第二百九十号)第三十五条第二項若しくは第三項の規定により鉱害を賠償する責めに任ずべき者(以下「賠償義務者」という。)の当該鉱害を復旧することについての同意書(その同意を得ることができなかつたときは、その事由を記載した書面)を添附して、事業団に対し、その地域を前条第一項の復旧工事に着手すべき地区として選定すべき旨を申し出ることができる。

4 事業団は、前項の規定による申出があつたときは、その申出を考慮して前条第一項の規定による地区の選定を行なわなければならない。

5 事業団は、第三項の規定による申出があつた場合において、その申出に係る地域を前条第一項の復旧工事に着手すべき地区として選定しないこととしたときは、遅滞なく、理由書を添附して、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。

 第四十九条第一項中「前条第一項」を「第四十八条第一項」に改め、同条第三項中「前項の規定により公共施設の復旧工事に関し見込納付金額又は」を「前項の場合において、公共施設の復旧を目的とする復旧工事に関し、同項の規定により見込納付金額若しくは」に改め、「記載しようとするとき」の下に「又は次条第一項の規定により納付金を納付すべき者が存しなくなつているとき」を加える。

 第五十条第一項中「鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)第百九条又は鉱業法施行法(昭和二十五年法律第二百九十号)第三十五条第二項若しくは第三項の規定により鉱害を賠償する責に任ずべき者(以下「賠償義務者」という。)」を「賠償義務者」に改める。

 第五十一条第一項第一号中「当該賃貸価格がない農地」の下に「又は当該賃貸価格によることが不相当と認められる農地」を加え、「価格とし、」を「価格とする。」に改め、「当該賃貸価格が鉱害が生じたことにより修正されているためこれによることが不相当と認められる農地にあつては、事業団が通商産業大臣の認可を受けたときは、その修正前のものとする。」を削り、「二千を下らず五千」を「五千を下らず一万」に改め、同項中第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。

 六 第一号から第三号まで及び前号の規定にかかわらず、鉱害が生じている土地の本来有していた効用以外の効用を有する土地の属する地目の土地として通常有すべき効用を具備するように工事が施行される土地については、その復旧費の額から国の補助金及び負担金、都道府県の補助金並びに第五十二条の負担金を控除した残額

 第五十二条に次のただし書を加える。

  ただし、賠償義務者が存しなくなつている場合において、その賠償義務者が存するものとしたときにその者が第五十条第一項の規定により納付すべきこととなる納付金の額の範囲内において被害者が受ける利益については、この限りでない。

 第五十三条の二第一項中「賠償義務者又は」を「賠償義務者若しくは」に、「納付金又は」を「納付金若しくは」に、「全部又は」を「全部若しくは」に改め、「要しなくなつたとき」の下に「、又は家屋等の復旧を目的とする復旧工事に関し賠償義務者が存しなくなつているとき」を加え、同条第二項中「賠償義務者又は」を「賠償義務者若しくは」に、「又は負担金の額」を「若しくは負担金の額又は賠償義務者が存するものとしたときにその者が第五十条第一項の規定により納付すべきこととなる納付金の額」に改める。

 第五十六条第四項中「目的とするものであるとき」の下に「(第六項に規定するときを除く。)」を加え、同条第五項中「目的とするものであるとき」 の下に「(次項に規定するときを除く。)」を加え、同条に次の一項を加える。

6 第一項の実施計画が鉱害が生じている土地の本来有していた効用以外の効用を有する土地の属する地目の土地として通常有すべき効用を具備するように当該土地について施行する工事に係るものであるときは、同項の認可を申請する実施計画には、その鉱害に係る被害者の同意書を添附しなければならない。

 第七十三条第一項中「復旧」 の下に「(農地の復旧にあつては、その本来有していた効用の回復に限る。以下第七十五条及び第九十四条第三項において同じ。)」を加え、同条第三項中「損害賠償請求権」の下に「(賠償義務者が存しなくなつている場合において、その賠償義務者が存するものとしたときにその者に対して有すべきこととなるものを含む。以下同じ。)」を加える。

 第九十四条第五項中「賠償義務者又は」を「賠償義務者若しくは」に、「納付金又は」を「納付金若しくは」に、「全部又は」を「全部若しくは」に改め、「要しなくなつた場合」の下に「又は家屋等の復旧を目的とする復旧工事に関し賠償義務者が存しなくなつている場合」を、「負担金の額」の下に「又は賠償義務者が存するものとしたときにその者が第五十条第一項の規定により納付すべきこととなる納付金の額」を加える。

 第九十七条の見出し中「事務経費」を「事務経費等」に改め、同条第二項中「事務経費の一部」の下に「並びに賠償義務者又は第五十二条の受益者が第五十二条の二の規定により納付金又は負担金の全部又は一部を納付することを要しなくなつた場合及び賠償義務者が存しなくなつている場合における第七十三条第六項、第七十四条第六項若しくは第七項又は第七十七条第四項の規定による支払に要する費用」を加え、「であつて、第二条第三項に規定する事務費に対するもの」を削り、同条の次に次の一条を加える。

 (鉱害調査員)

第九十七条の二 鉱害の原因、賠償責任の範囲その他の鉱害に関する事項について、科学技術による調査を行なわせるため、通商産業省に鉱害調査員を置く。

2 鉱害調査員は、非常勤とする。


   附 則

 この法律は、公布の日から起算して一月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、改正後の第九十七条第二項の規定は、昭和三十八年度以降の復旧基本計画に係るものに適用する。

(大蔵・文部・厚生・農林・通商産業・運輸・建設・自治・内閣総理大臣署名) 

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