石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律

法律第九十四号(昭三七・四・三〇)

 石炭鉱業合理化臨時措置法(昭和三十年法律第百五十六号)の一部を次のように改正する。

 第三条第二項第三号中「その他石炭鉱業の整備に関する事項」を削り、同項中第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。

 四 石炭鉱山整理促進交付金の交付に係る採掘権又は租鉱権の基準及びその交付に係る採掘権又は租鉱権の放棄により減少すべき石炭の生産数量

 第三条第三項中「採掘権の基準は、買収する採掘権の鉱区」を「採掘権又は同項第四号の採掘権若しくは租鉱権の基準は、買収する採掘権の鉱区又は石炭鉱山整理促進交付金の交付に係る採掘権若しくは租鉱権の鉱区若しくは租鉱区」に改める。

 第七条中「貸付け」を「貸付け等」に改める。

 第九条の二第三項中「第二十六条の三第一項」を「第二十六条の三第一項各号」に、「その」を「それぞれその」に改める。

 第二十五条第一項中第三号及び第七号を削り、第六号を第七号とし、第五号を第六号とし、第四号を第三号とし、同号の次に次の二号を加える。

 四 採掘権者又は租鉱権者に対する石炭鉱山整理促進交付金の交付

 五 採掘権若しくは鉱業施設の買収又は石炭鉱山整理促進交付金の交付に係る採掘権若しくは租鉱権の放棄に伴い解雇された鉱山労働者に対する金銭の支払

 第二十五条第一項第十一号中「第七号までに掲げる業務及び」を「第七号まで、第十号及び第十一号に掲げる業務並びに」に改め、同号を同項第十四号とし、同項中第十号を第十三号とし、第九号の次に次の三号を加える。

 十 石炭鉱業の整備に必要な資金の借入れに係る債務の保証

 十一 石炭鉱業の整備に必要な資金の貸付け

 十二 石炭の運賃の延納に係る債務の保証

 第二十五条第二項中「前項第十一号」を「前項第十四号」に改める。

 第二十六条第二項中第三号、第四号及び第七号を削り、第八号を第九号とし、第六号を第八号とし、第五号を第三号とし、同号の次に次の四号を加える。

 四 石炭鉱山整理促進交付金の額の算定の基準

 五 石炭鉱山整理促進交付金の交付の時期及び方法

 六 採掘権若しくは鉱業施設の買収又は石炭鉱山整理促進交付金の交付に係る採掘権若しくは租鉱権の放棄に伴い解雇された鉱山労働者に対する金銭の支払の時期及び方法

 七 納付金の徴収の時期及び方法

 第二十六条第二項に次の三号を加える。

 十 前条第一項第十号に規定する債務の保証の方法

 十一 前条第一項第十一号に規定する資金の貸付け及び償還の方法

 十二 前条第一項第十二号に規定する債務の保証の方法

 第二十六条の二第二号中「第二十五条第一項第七号」を「第二十五条第一項第十号」に、「保証業務」を「整備資金保証業務」に改め、同条に次の二号を加える。

 三 第二十五条第一項第十一号に掲げる業務及びこれに附帯する業務に係る経理

 四 第二十五条第一項第十二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務(以下「運賃保証業務」という。)に係る経理

 第二十六条の二に次の一項を加える。

2 事業団は、前項の規定にかかわらず、通商産業大臣の認可を受けて、運賃保証業務の執行に必要な事務費にあてるため、次条第一項第一号に掲げる保証基金を運用した場合に生ずる利子の一部に相当する金額を前項第四号に掲げる経理に係る特別の勘定に繰り入れることができる。

 第二十六条の三第一項を次のように改める。

  事業団は、次に掲げる保証基金を設け、第九条の二第三項の規定により示された金額に相当する金額をもつてそれぞれ当該各号に掲げる基金にあてるものとする。

 一 整備資金保証業務に関する保証基金

 二 運賃保証業務に関する保証基金

 第二十六条の三第二項中「前項の保証基金は、保証業務に関し」を「前項各号の保証基金は、それぞれ、前条第一項第二号又は第四号に掲げる経理に係る特別の勘定において」に改める。

 第二十七条第二項中「及び第二十五条第一項第七号」を「、第二十五条第一項第十号に規定する債務の保証の計画、同項第十一号に規定する資金の貸付計画及び同項第十二号」に改める。

 第三十一条に次の二号を加える。

 四 その採掘権の買収に伴い事業団が連帯して履行の義務を負うこととなるべき採掘権者の債務が処理されており、又は円滑に処理されることが確実であること。

 五 前各号に掲げるもののほか、通商産業省令で定める基準に適合すること。

 第三十三条を削り、第三十四条中「(退職金を除く。)」を削り、同条を第三十三条とし、第三十五条を第三十四条とし、同条の次に次の七条を加える。

 (石炭鉱山整理促進交付金の交付)

第三十五条 事業団は、採掘権者又は租鉱権者がその石炭鉱山における鉱業を廃止して当該採掘権又は租鉱権の放棄による消滅の登録を受けた場合であつて当該採掘権又は租鉱権が次の各号に適合するときは、当該採掘権者又は租鉱権者に対し、石炭鉱山整理促進交付金(以下この条から第三十五条の五まで及び第三十五条の七において「交付金」という。)を交付することができる。

 一 交付金の交付の申請の日前六月以内にその採掘権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区において事業が休止されたことがないこと。

 二 その採掘権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区における石炭の品位及び生産能率が石炭鉱業合理化基本計画に定める交付金の交付に係る採掘権又は租鉱権の基準に適合すること。

 三 租鉱権の放棄の場合にあつては、その租鉱権の放棄について採掘権者の同意があること。

 四 前三号に掲げるもののほか、通商産業省令で定める基準に適合すること。

 (公示)

第三十五条の二 事業団は、前条の規定により交付金の交付を受けることとなつた者(以下「廃止事業者」という。)に係る採掘権又は租鉱権の消滅の登録が行なわれたときは、すみやかに、当該廃止事業者について交付金を交付する旨及び当該鉱区又は租鉱区に関する鉱害について賠償請求権を有する者は、六十日以上の一定期間内に事業団に対し権利の申出をすべき旨を公示しなければならない。

2 前項の賠償請求権を有する者が同項の期間内に同項の申出をしなかつたときは、当該鉱区又は租鉱区に関する鉱害について有する当該賠償請求権については、次条第一項の規定による債務の弁済を請求することができない。

 (賃金債務及び鉱害の賠償債務の弁済)

第三十五条の三 事業団は、民法第四百七十四条第一項ただし書及び第二項の規定にかかわらず、第三十五条の規定により交付することとなつた交付金の額(以下「交付金額」という。)に政令で定める割合を乗じて得た金額をこえない範囲内において、通商産業省令で定めるところにより、当該廃止事業者に代わつて次に掲げる債務の弁済を行なう。

 一 廃止事業者が放棄した採掘権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区における石炭の採掘及びこれに附属する選炭その他の業務に従事していた鉱山労働者に対し当該廃止事業者が負担する賃金の支払の債務であつて当該採掘権又は租鉱権を放棄した日までに弁済期の到来しているもの

 二 廃止事業者が放棄した採掘権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区に関する鉱害の賠償債務

2 前項の通商産業省令には、同項各号に掲げる債務の弁済が公平に行なわれることを確保するために必要な事項及び同項各号に掲げる債務の合計額が交付金額に同項の政令で定める割合を乗じて得た金額をこえる場合における同項第一号に掲げる債務が同項第二号に掲げる債務に優先する限度を定めておかなければならない。

3 事業団が第一項の規定により債務の弁済を行なつたときは、その弁済を行なつた額について第三十五条の規定による交付金の交付をしたものとみなす。

 (交付金の支払の制限)

第三十五条の四 事業団は、当該廃止事業者に係る交付金額に前条第一項の政令で定める割合を乗じて得た金額に相当する交付金については、同項の規定により当該廃止事業者に係る同項各号に掲げる債務の全部の弁済を行なつた場合において残余が生じ、又は生ずることが確実であると認められるときに限り、その残余に相当する金額を当該廃止事業者に支払うものとする。

 (交付金を受ける権利の保護)

第三十五条の五 廃止事業者が交付金額に第三十五条の三第一項の政令で定める割合を乗じて得た金額に相当する金額の交付金の支払を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、廃止事業者が前条の規定により交付金の支払を受ける権利については、この限りでない。

 (鉱業権の設定の出願の不許可等)

第三十五条の六 通商産業局長は、廃止事業者が放棄した採掘権又は租鉱権の鉱区又は租鉱区の区域について鉱業権の設定若しくは鉱区の増加の出願又は租鉱権の設定若しくは租鉱区の増加の認可の申請があつたときは、当該区域については、その出願を許可し、又はその申請の認可をしてはならない。

2 廃止事業者が放棄した採掘権の鉱区の区域に重複する鉱区があるときは、その重複する鉱区の採掘権者は、その重複する区域については、当該採掘権の放棄前に掘採することができるものとされていた鉱床以外の鉱床において石炭を掘採してはならない。

3 採掘権者は、廃止事業者が放棄した租鉱権の租鉱区の区域(特定の鉱床を目的とする租鉱権の場合には、その鉱床)においては、石炭を掘採してはならない。

 (鉱山労働者に対する金銭の支払)

第三十五条の七 事業団は、その買収した採掘権の鉱区若しくはその買収した鉱業施設に係る租鉱権の租鉱区又はその交付することとした交付金に係る採掘権若しくは租鉱権の鉱区若しくは租鉱区における石炭の採掘及びこれに附属する選炭その他の業務にその売渡しの申込みの日又はその交付金の交付の申請の日前三月以上引き続き従事していた鉱山労働者であつて、その売渡しの申込みの日又はその交付金の交付の申請の日以後当該買収の日又は当該交付金の交付の決定の日後二月を経過した日までに解雇されたものに対し、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十二条の平均賃金の三十日分に相当する金額を支払わなければならない。

2 前項の規定による支払の義務は、二年を経過したときは、時効により消滅する。

 第三十六条の三第一項中「又は」を「若しくは」に、「に対して行なう」を「又は特定船舶整備公団に対して行なう」に改め、同条第三項中「設備」の下に「又は船舶」を加え、「又は石炭」を「若しくは石炭」に改め、「供され」の下に「、又はこれらの者の事業に利用され」を加える。

 第三十六条の八第五号中「設備」の下に「又は船舶」を加える。

 第三十六条の十三の見出しを「(整備資金に係る保証契約の締結)」に改め、同条中「第二十五条第一項第七号」を「第二十五条第一項第十号」に改める。

 第三十六条の十四中「第二十六条の三の規定による」を「第二十六条の三第一項第一号に掲げる」に改める。

 第三十六条の十七中「百分の五十」を「百分の八十」に改める。

 第三十六条の二十の次に次の二条を加える。

 (整備資金の貸付け)

第三十六条の二十一 第二十五条第一項第十一号に規定する資金の貸付けは、採掘権者又は租鉱権者であつて通商産業省令で定める基準に該当するものに対し、その事業を整備するために必要な資金であつて第三十六条の十三各号に掲げるものについて行なうものとする。

 (運賃の延納に係る債務の保証)

第三十六条の二十二 第二十五条第一項第十二号に規定する債務の保証は、採掘権者若しくは租鉱権者又は石炭の販売業者が日本国有鉄道から石炭の運賃(連絡運輸(直通運輸を含む。)を行なう場合の運賃を含む。)の延納の取扱いを受けることにより日本国有鉄道に対して負担する債務(元本に限る。)について、事業団が日本国有鉄道と保証契約を締結することにより行なうものとする。

2 第三十六条の十五から第三十六条の十八まで及び第三十六条の二十の規定は、第二十五条第一項第十二号に規定する債務の保証について準用する。この場合において、第三十六条の十五第一項中「第三十六条の十三」とあるのは「第三十六条の二十二第一項」と、「又は租鉱権者」とあるのは「若しくは租鉱権者又は石炭の販売業者」と、第三十六条の十六中「銀行」とあるのは「日本国有鉄道」と、同条第一項中「第三十六条の十三」とあるのは「第三十六条の二十二第一項」と、同条第二項中「六月」とあるのは「二月」と、第三十六条の十七中「第三十六条の十三」とあるのは「第三十六条の二十二第一項」と、「当該銀行」とあるのは「日本国有鉄道」と、「残額に、百分の八十を乗じて得た額」とあるのは「残額」と、第三十六条の十八中「銀行は、第三十六条の十三」とあるのは「日本国有鉄道は、第三十六条の二十二第一項」と、「貸付けについて、貸付金の回収」とあるのは「債権について、その取立て」と、第三十六条の二十中「銀行」とあるのは「日本国有鉄道」と、「第三十六条の十三」とあるのは「第三十六条の二十二第一項」と読み替えるものとする。

 第四十一条第一項中「第二十五条第一項第五号」を「第二十五条第一項第六号」に改める。

 第五十三条の二第三号中「第三十六条の十三」の下に「、第三十六条の二十一」を加える。

 第八十四条を次のように改める。

第八十四条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

 一 第三十五条の六第二項又は第三項の規定に違反して、石炭を掘採した者

 二 第五十四条の規定による通商産業大臣の許可を受けないで坑口の開設の工事をし、又は坑口を使用した者

 附則第二条中「昭和四十三年三月三十一日」を「昭和四十六年三月三十一日」に改め、ただし書を削り、同条の次に次の一条を加える。

第二条の二 事業団の業務のうち次の各号に掲げるものは、それぞれ当該各号に定める日までに廃止するものとする。

 一 石炭の運賃の延納に係る債務の保証 昭和三十九年三月三十一日

 二 採掘権又は鉱業施設の買収、採掘権者又は租鉱権者に対する石炭鉱山整理促進交付金の交付、石炭鉱業の整備に必要な資金の借入れに係る債務の保証及び石炭鉱業の整備に必要な資金の貸付け 昭和四十年三月三十一日

 三 雇用促進事業団に対する交付金の交付及び近代化資金の貸付け 昭和四十三年三月三十一日


   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して二月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

2 石炭鉱業合理化事業団(以下「事業団」という。)が最初に作成する改正後の第二十五条第一項第十一号に規定する資金の貸付計画及び同項第十二号に規定する債務の保証の計画については、改正後の第二十七条第二項中「事業年度の毎四半期開始前に」とあるのは、「石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律(昭和三十七年法律第九十四号)の施行後遅滞なく」とする。

3 この法律の施行の際現に事業団に対し採掘権の売渡しの申込みをしている採掘権者がこの法律の施行後二月以内にその採掘権に係る改正後の第三十五条の交付金の交付の申請をしたときは、当該採掘権については、改正後の第三十五条第一号中「交付金の交付の申請の日」とあるのは「採掘権の売渡しの申込みの日」と読み替えて、同号の規定を適用する。

4 前項に規定する場合において、当該採掘権者が同項の交付金の交付を受けることとなつたときは、当該採掘権の鉱区における石炭の採掘及びこれに附属する選炭その他の業務に従事していた鉱山労働者については、改正後の第三十五条の七第一項中「その売渡しの申込みの日又はその交付金の交付の申請の日」とあるのは「その売渡しの申込みの日」と読み替えて、同項の規定を適用する。

5 事業団がこの法律の施行前に第三十六条の十三の規定により締結した保証契約に基づいて当該債務者に代わつて弁済すべき金額については、改正後の第三十六条の十七の規定にかかわらず、なお従前の例による。

6 事業団は、採掘権者若しくは租鉱権者又は石炭の販売業者が日本国有鉄道から昭和三十七年一月一日からこの法律の施行の日の前日までに石炭の運賃(連絡運輸(直通運輸を含む。)を行なう場合の運賃を含む。以下同じ。)の延納の取扱いを受けることにより日本国有鉄道に対して負担する債務(元本に限る。)についても、改正後の第三十六条の二十二第一項の規定による保証を行なうことができる。

7 事業団は、通商産業省令で定めるところにより、採掘権者若しくは租鉱権者又は石炭の販売業者が日本国有鉄道から昭和三十七年一月一日からこの法律の施行の日後二月を経過する日までに石炭の運賃の延納の取扱いを受けることにより日本国有鉄道に対して負担する債務(元本に限り、かつ、事業団が保証したものを除く。)のうち弁済が行なわれなかつたものがあるときは、その弁済が行なわれなかつた金額に相当する金額を日本国有鉄道に対して支払うものとする。

8 事業団は、前項の規定による支払の業務及びこれに附帯する業務に係る経理については、改正後の第二十六条の二第一項の規定にかかわらず、同項第四号に掲げる経理に係る特別の勘定において整理しなければならない。

            (法務・大蔵・通商産業・運輸・労働・内閣総理大臣署名) 

法令一覧(年度別)に戻る