住居表示に関する法律

法律第百十九号(昭三七・五・一〇)

 (目的)

第一条 この法律は、合理的な住居表示の制度及びその実施について必要な措置を定め、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

 (住居表示の原則)

第二条 市街地にある住所若しくは居所又は事務所、事業所その他これらに類する施設の所在する場所(以下「住居」という。)を表示するには、都道府県、郡、市(特別区を含む。以下同じ。)、区(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の二十の区をいう。)及び町村の名称を冠するほか、次の各号のいずれかの方法によるものとする。

 一 街区方式 市町村内の町又は字の名称並びに当該町又は字の区域を道路、鉄道若しくは軌道の線路その他の恒久的な施設又は河川、水路等によつて区画した場合におけるその区画された地域(以下「街区」という。)につけられる符号(以下「街区符号」という。)及び当該街区内にある建物その他の工作物につけられる住居表示のための番号(以下「住居番号」という。)を用いて表示する方法をいう。

 二 道路方式 市町村内の道路の名称及び当該道路に接し、又は当該道路に通ずる通路を有する建物その他の工作物につけられる住居番号を用いて表示する方法をいう。


 (住居表示の実施手続)

第三条 市町村は、前条に規定する方法による住居表示の実施のため、議会の議決を経て、市街地につき、区域を定め、当該区域における住居表示の方法を定めなければならない。

2 市町村は、前項の規定により区域及びその区域における住居表示の方法を定めたときは、当該区域について、街区符号及び住居番号又は道路の名称及び住居番号をつけなければならない。

3 市町村は、前項の規定により街区符号及び住居番号又は道路の名称及び住居番号をつけたときは、住居表示を実施すべき区域及び期日並びに当該区域における住居表示の方法、街区符号又は道路の名称及び住居番号を告示するとともに、これらの事項を関係人及び関係行政機関の長に通知し、かつ、都道府県知事に報告しなければならない。

4 市町村は、第一項及び第二項に規定する措置を行なうに当たつては、住民にその趣旨の周知徹底を図り、その理解と協力を得て行なうように努めなければならない。


 (条例への委任)

第四条 前条第三項の告示に係る区域について当該告示に掲げる日以後街区符号、道路の名称又は住居番号をつけ、変更し、又は廃止する場合における手続その他必要な事項は、市町村の条例で定める。


 (町又は字の区域の合理化等)

第五条 街区方式によつて住居を表示しようとする場合にあつては、街区方式による住居表示に係る区域内の町又は字の区域は、街区方式に適した合理的なものに区画し、当該区域内の町又は字の名称は、できるだけ読みやすく、かつ、簡明なものにしなければならない。


 (住居表示義務)

第六条 何人も、住居の表示については、第三条第三項の告示に掲げる日以後は、当該告示に係る区域について、同条第二項の規定によりつけられた街区符号及び住居番号又は道路の名称及び住居番号を用いるように努めなければならない。

2 国及び地方公共団体の機関は、住民票、選挙人名簿、法人登記簿その他の公簿に住居を表示するときは、第三条第三項の告示に掲げる日以後は、当該告示に係る区域について、他の法令に特別の定めがある場合を除くほか、同条第二項の規定によりつけられた街区符号及び住居番号又は道路の名称及び住居番号を用いなければならない。


 (手数料その他の徴収金に関する特例)

第七条 第三条第一項及び第二項の規定による住居表示の実施に伴う公簿又は公証書類の記載事項で住居の表示に係るものの変更の申請については、法令の規定により当該申請をする者の負担とされている手数料その他の徴収金は、当該法令の規定にかかわらず、徴収しない。


 (表示板の設置等)

第八条 市町村は、第三条第三項の告示に係る区域の見やすい場所に、当該区域内の町若しくは字の名称及び街区符号又は道路の名称を記載した表示板を設けなければならない。

2 前項の区域にある建物その他の工作物の所有者、管理者又は占有者は、市町村の条例で定めるところにより、見やすい場所に、住居番号を表示しなければならない。


 (住居表示台帳)

第九条 市町村は、第三条第三項の告示に係る区域について、当該区域の住居表示台帳を備えなければならない。

2 市町村は、関係人から請求があつたときは、前項の住居表示台帳又はその写しを閲覧させなければならない。


 (自治大臣又は都道府県知事の勧告等)

第十条 自治大臣又は都道府県知事は、この法律の円滑な実施のため必要があると認めるときは、市町村に対し、第三条第一項及び第二項に規定する措置をとるべきことを勧告することができる。

2 自治大臣又は都道府県知事は、この法律の円滑な実施のため必要があると認めるときは、市町村に対し、第三条、第五条、第八条及び前条の規定により市町村が処理する事務について、報告を求め、又は技術的な援助若しくは助言をすることができる。


 (国及び都道府県の機関等の協力)

第十一条 国及び都道府県の機関並びに公共的団体は、住居表示の実施が円滑に行なわれるよう市町村に協力しなければならない。


 (委任規定)

第十二条 この法律の規定による住居表示の実施について必要な技術的基準は、自治大臣が定める。


   附 則


 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。


 (住居表示の実施に関する経過規定)

2 市町村は、この法律の施行の際現に市街地である区域について、住居表示の実施に関する計画を作成し、おそくとも昭和四十二年三月三十一日までに、その実施を完了するように努めなければならない。この場合において、市町村は、従前のならわしによる住居表示が住民の日常生活に著しい不便を与えている地域から順次実施するものとする。


 (公簿の整理)

3 第三条第一項及び第二項の規定による住居表示の実施に伴う第六条第二項の公簿の記載事項の変更についての必要な手続は、主務省令で定める。


 (登録税法の一部改正)

4 登録税法(昭和二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第十九条各号列記以外の部分中「第二号ノ十」の下に「、第四号ノ二」を加え、同条第四号の次に次の一号を加える。

  四ノ二 住居表示に関する法律第三条第一項及ビ第二項ノ規定ニ依ル住居表示ノ実施ニ伴フ登記事項又ハ登録事項ノ変更ノ登記又ハ登録

 (自治省設置法の一部改正)

5 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第十四号の六の次に次の一号を加える。

  十四の七 住居表示に関する法律(昭和三十七年法律第百十九号)の施行に関する事務を行なうこと。

  第十条第五号の三の次に次の一号を加える。

  五の四 住居表示に関する法律の施行に関すること。

  第二十三条の四の次に次の一条を加える。

  (住居表示審議会)

 第二十三条の五 自治省に、自治大臣の諮問に応じ、住居表示に関する法律の施行に関する重要事項を調査審議するため、住居表示審議会を置く。

 2 住居表示審議会の所掌事務、組織、委員の任命その他の事項については、政令で定める。

  附則第五項の次に次の一項を加える。

 6 第二十三条の五に規定する住居表示審議会は、昭和三十九年三月三十一日まで置かれるものとする。

(法務・大蔵・自治・内閣総理大臣署名) 

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