電気用品取締法
法律第二百三十四号(昭三六・一一・一六)
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 製造事業者の登録(第三条―第十七条)
第三章 電気用品の型式等(第十八条―第二十六条)
第四章 販売等の制限(第二十七条・第二十八条)
第五章 指定試験機関(第二十九条―第四十二条)
第六章 雑則(第四十三条―第五十六条)
第七章 罰則(第五十七条―第六十三条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、電気用品の製造、販売等を規制することにより、粗悪な電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「電気用品」とは、主として一般用電気工作物(電気工事士法(昭和三十五年法律第百三十九号)第二条第一項に規定する一般用電気工作物をいう。)の部分となり、又はこれに接続して用いられる機械、器具又は材料であつて、政令で定めるものをいう。
第二章 製造事業者の登録
(登録)
第三条 電気用品の製造の事業を行なおうとする者は、通商産業省令で定める電気用品の製造の事業の区分(以下「事業区分」という。)に従い、通商産業大臣の登録を受けなければならない。
(登録の申請)
第四条 前条の登録を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 事業区分
三 当該電気用品を製造する工場又は事業場の名称及び所在地
四 当該電気用品の製造のための設備であつて通商産業省令で定めるもの(以下「特定製造設備」という。)の名称及び性能又は数
五 当該電気用品の検査のための設備であつて通商産業省令で定めるもの(以下「特定検査設備」という。)の名称及び性能又は数
2 前項の申請書には、工場又は事業場の図面その他の通商産業省令で定める書類を添附しなければならない。
(欠格条項)
第五条 次の各号の一に該当する者は、第三条の登録を受けることができない。
一 この法律又はこの法律に基づく処分に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
二 第十四条の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
三 第三条の登録を受けた者(以下「登録製造事業者」という。)であつて法人であるものが第十四条の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあつた日前三十日以内にその登録製造事業者の業務を行なう役員であつた者で、その処分のあつた日から二年を経過しないもの
四 法人であつて、その業務を行なう役員のうちに前三号の一に該当する者があるもの
(登録の基準)
第六条 通商産業大臣は、第三条の登録の申請が次の各号に該当すると認めるときは、登録をしなければならない。
一 特定製造設備が通商産業省令で定める技術上の基準に適合すること。
二 特定検査設備が通商産業省令で定める技術上の基準に適合すること。
(登録簿)
第七条 通商産業大臣は、登録簿を備え、次の事項を登録しなければならない。
一 登録の年月日及び登録番号
二 第四条第一項第一号から第三号までに掲げる事項
(登録証)
第八条 適商産業大臣は、第三条の登録をしたときは、登録証を交付する。
2 前項の登録証には、次の事項を記載しなければならない。
一 登録の年月日及び登録番号
二 氏名又は名称及び住所
三 事業区分
(承継)
第九条 登録製造事業者が当該登録に係る事業の全部を譲渡し、又は登録製造事業者について相続若しくは合併があつたときは、その事業の全部を譲り受けた者又は相続人若しくは合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、その登録製造事業者の地位を承継する。ただし、当該事業の全部を譲り受けた者又は相続人若しくは合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人が第五条各号の一に該当するときは、この限りでない。
(変更の届出等)
第十条 登録製造事業者は、第四条第一項第一号又は第三号から第五号までに掲げる事項に変更があつたときは、変更の日から三十日以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。ただし、その変更が通商産業省令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。
2 前項の場合において、登録証に記載された事項に変更があつた登録製造事業者は、同項の規定による届出にその登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。
3 第一項の場合において、前条の規定により登録製造事業者の地位を承継した者は、その事実を証する書面を提出しなければならない。
(廃止の届出)
第十一条 登録製造事業者は、当該登録に係る事業を廃止したときは、廃止の日から三十日以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(登録証の再交付)
第十二条 登録製造事業者は、登録証をよごし、損じ、又は失つたときは、通商産業大臣に申請し、その再交付を受けることができる。
(登録の失効)
第十三条 登録製造事業者が当該登録に係る事業を廃止したときは、当該登録は、その効力を失う。
(登録の取消し)
第十四条 通商産業大臣は、登録製造事業者が次の各号の一に該当するときは、その登録を取り消すことができる。
一 第三条、第十条第一項、第十八条又は第二十五条第二項の規定に違反したとき。
二 第五条第一号、第三号又は第四号に該当するに至つたとき。
三 第四十七条又は第四十八条の規定による命令に違反したとき。
四 不正の手段により登録を受けたとき。
(登録の消除)
第十五条 通商産業大臣は、登録製造事業者の登録がその効力を失つたときは、その登録を消除しなければならない。
(登録証の返納)
第十六条 登録製造事業者は、その登録が効力を失つたときは、効力を失つた日から三十日以内に、通商産業大臣にその登録証を返納しなければならない。
(登録簿の謄本等)
第十七条 何人も、通商産業大臣に対し、登録簿の謄本の交付又は閲覧を請求することができる。
第三章 電気用品の型式等
(登録製造事業者に係る電気用品の型式の認可)
第十八条 登録製造事業者は、製造しようとする電気用品の型式について、通商産業省令で定める型式の区分(以下単に「型式の区分」という。)に従い、通商産業大臣の認可を受けなければならない。ただし、特定の用途に使用される電気用品を製造する場合において通商産業大臣の承認を受けたとき、又は試験的に製造する場合には、この限りでない。
(認可の申請)
第十九条 前条の認可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を通商産業大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 登録の年月日及び登録番号
三 型式の区分
2 前項の申請書には、通商産業省令で定める数量の試験用の電気用品及びその構造図その他の通商産業省令で定める書類を添附しなければならない。ただし、第二十一条第一項の試験に合格した電気用品について前条の認可を受けようとするときは、当該試験に合格したことを証する書面を添附することをもつて足りる。
(認可の基準)
第二十条 通商産業大臣は、第十八条の認可の申請が次の各号(次条第一項の試験に合格したことを証する書面を添附してある場合には、第二号)に該当すると認めるときは、認可をしなければならない。
一 申請に係る試験用の電気用品が通商産業省令で定める技術上の基準に適合していること。
二 申請者が申請に係る型式の区分の属する事業区分について第三条の登録を受けていること。
(指定試験機関の試験)
第二十一条 登録製造事業者は、通商産業省令で定める型式の電気用品については、通商産業大臣が指定した者(以下「指定試験機関」という。)の行なう試験を受けることができる。
2 前項の試験を受けようとする登録製造事業者は、通商産業省令で定める区分に従い、次の事項を記載した申請書に第十九条第二項の通商産業省令で定める数量の試験用の電気用品及び同項の通商産業省令で定める書類を添えて、指定試験機関に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 型式の区分
3 第一項の試験においては、その試験用の電気用品が前条第一号の通商産業省令で定める技術上の基準に適合しているときは、これを合格とする。
(基準適合義務等)
第二十二条 第十八条の認可を受けた登録製造事業者が当該認可に係る型式の電気用品を製造する場合においては、第二十条第一号の通商産業省令で定める技術上の基準に適合するようにしなければならない。
2 第十八条ただし書の規定は、前項の場合に準用する。
3 第一項の登録製造事業者は、通商産業省令で定めるところにより、その製造に係る同項の電気用品(前項において準用する第十八条ただし書の規定の適用を受けて製造されたものを除く。)について検査を行ない、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない。
(輸入事業者に係る電気用品の型式の認可等)
第二十三条 電気用品の輸入の事業を行なう者(以下「輸入事業者」という。)は、販売しようとする電気用品(その者の輸入したものに限る。)の型式について、型式の区分に従い、当該電気用品の製造事業者ごとに、通商産業大臣の認可を受けなければならない。ただし、特定の用途に使用される電気用品を販売する場合において、通商産業大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
2 第十九条から第二十一条までの規定は、前項の認可に準用する。この場合において、第十九条第一項第二号中「登録の年月日及び登録番号」とあるのは「当該電気用品の製造事業者の氏名又は名称及び住所」と、第二十条中「認可の申請が次の各号(次条第一項の試験に合格したことを証する書面を添附してある場合には、第二号)に該当すると認めるとき」とあるのは「認可の申請が第一号に該当すると認めるとき又は認可の申請に次条第一項の試験に合格したことを証する書面を添附してあるとき」と読み替えるものとする。
3 第九条本文並びに第十条第一項及び第三項の規定は、第一項の認可を受けた輸入事業者について準用する。この場合において、同条第一項中「第四条第一項第一号又は第三号から第五号までに掲げる事項」とあるのは、「氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名」と読み替えるものとする。
(認可の有効期間等)
第二十四条 第十八条又は前条第一項の認可は、七年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
2 前項の認可の更新の申請に関し必要な手続的事項は、通商産業省令で定める。
(表示)
第二十五条 第十八条又は第二十三条第一項の認可を受けた登録製造事業者又は輸入事業者は、当該認可に係る型式の電気用品(第二十二条第二項において準用する第十八条ただし書の規定の適用を受けて製造されたものを除く。)を販売する時までに、これに通商産業省令で定める方式による表示を附さなければならない。
2 何人も、前項に規定する場合を除くほか、電気用品に同項の表示又はこれと紛らわしい表示を附してはならない。
(認可の取消し)
第二十六条 通商産業大臣は、第十八条又は第二十三条第一項の認可を受けた登録製造事業者又は輸入事業者が次の各号の一に該当するときは、その認可を取り消すことができる。
一 第二十二条第三項又は前条第一項の規定に違反したとき。
二 第四十三条第一項の条件に違反したとき。
三 第四十七条又は第四十八条の規定による命令に違反したとき。
四 不正の手段により第十八条又は第二十三条第一項の認可を受けたとき。
第四章 販売等の制限
(販売の制限)
第二十七条 電気用品の販売の事業(自ら製造し、又は輪入した電気用品の販売の事業を除く。)を行なう者(以下「販売事業者」という。)は、第二十五条第一項の表示が附されているものでなければ、電気用品を販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。ただし、第十八条ただし書(第二十二条第二項において準用する場合を含む。)又は第二十三条第一項ただし書の承認に係る電気用品については、この限りでない。
(使用の制限)
第二十八条 電気に関する臨時措置に関する法律(昭和二十七年法律第三百四十一号)の規定によりその例によるものとされた旧公益事業令(昭和二十五年政令第三百四十三号)第二条第四号に規定する電気事業者、同令附則第三項の規定によりなお効力を有する旧電気事業法(昭和六年法律第六十一号)第三十条第一項の命令の適用を受ける電気工作物を設置する者又は電気工事士法第三条に規定する電気工事士は、第二十五条第一項の表示が附されているものでなければ、電気用品を電気施設(発電、変電、送電若しくは配電又は電気の使用のために設置する機械、器具、電線路その他の工作物をいう。)の設置又は変更の工事に使用してはならない。
2 電気用品を部品又は附属品として使用して製造する物品であつて、政令で定めるものの製造の事業を行なう者は、第二十五条第一項の表示が附されているものでなければ、電気用品をその製造に使用してはならない。
3 前条ただし書の規定は、前二項の場合に準用する。
第五章 指定試験機関
(指定)
第二十九条 第二十一条第一項の指定は、通商産業省令で定める区分ごとに、同項の試験(以下この章において単に「試験」という。)を行なおうとする者の申請により行なう。
(欠格条項)
第三十条 次の各号の一に該当する者は、第二十一条第一項の指定を受けることができない。
一 第四十一条の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
二 その業務を行なう役員のうちに、次のいずれかに該当する者がある者
イ この法律又はこの法律に基づく処分に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
ロ 第三十八条の規定による命令により解任され、解任の日から二年を経過しない者
(指定の基準)
第三十一条 通商産業大臣は、第二十一条第一項の指定の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、その指定をしてはならない。
一 通商産業省令で定める機械器具その他の設備を用いて試験を行なうものであること。
二 通商産業省令で定める条件に適合する知識経験を有する者が試験を実施し、その数が通商産業省令で定める数以上であること。
三 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人であつて、その役員又は社員の構成が試験の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
四 試験の業務以外の業務を行なつている場合には、その業務を行なうことによつて試験が不公正になるおそれがないものであること。
五 試験の業務を適確かつ円滑に行なうに必要な経理的基礎を有するものであること。
六 その指定をすることによつて申請に係る試験の適確かつ円滑な実施を阻害することとならないこと。
(試験の義務)
第三十二条 指定試験機関は、試験を行なうべきことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、試験を行なわなければならない。
2 指定試験機関は、試験を行なうときは、前条第一号に規定する機械器具その他の設備を使用し、かつ、同条第二号に規定する者(以下「試験員」という。)に試験を実施させなければならない。
(事業所の変更)
第三十三条 指定試験機関は、試験を行なう事業所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、通商産業大臣に届け出なければならない。
(業務規定)
第三十四条 指定試験機関は、試験の業務に関する規定(以下「業務規定」という。)を定め、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 業務規定で定めるべき事項は、通商産業省令で定める。
3 通商産業大臣は、第一項の認可をした業務規定が試験の公正な実施上不適当となつたと認めるときは、その業務規定を変更すべきことを命ずることができる。
(業務の休廃止)
第三十五条 指定試験機関は、通商産業大臣の許可を受けなければ、試験の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(事業計画等)
第三十六条 指定試験機関は、毎事業年度開始前に、その事業年度の事業計画及び収支予算を作成し、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しょうとするときも、同様とする。
2 指定試験機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の事業報告書及び収支決算書を作成し、通商産業大臣に提出しなければならない。
(役員の選任及び解任)
第三十七条 指定試験機関の役員の選任及び解任は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(解任命令)
第三十八条 通商産業大臣は、指定試験機関の役員又は試験員がこの法律又は業務規定に違反したときは、その指定試験機関に対し、その役員又は試験員を解任すべきことを命ずることができる。
(役員及び職員の地位)
第三十九条 試験の業務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(適合命令)
第四十条 通商産業大臣は、指定試験機関が第三十一条第一号から第五号までに適合しなくなつたと認めるときは、その指定試験機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(指定の取消し等)
第四十一条 通商産業大臣は、指定試験機関が次の各号の一に該当するときは、第二十一条第一項の指定を取り消し、又は期間を定めて試験の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 この章の規定に違反したとき。
二 第三十四条第一項の認可を受けた業務規定によらないで試験を行なつたとき。
三 第三十四条第三項、第三十八条又は前条の規定による命令に違反したとき。
四 不正の手段により指定を受けたとき。
(帳簿の記載)
第四十二条 指定試験機関は、帳簿を備え、試験に関し通商産業省令で定める事項を記載しなければならない。
2 前項の帳簿は、通商産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。
第六章 雑則
(認可等の条件)
第四十三条 第十八条若しくは第二十三条第一項の認可又は第十八条ただし書(第二十二条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第二十三条第一項ただし書の承認には、条件を附することができる。
2 前項の条件は、認可又は承認に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、認可又は承認を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(公示)
第四十四条 通商産業大臣は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。
一 第十八条又は第二十三条第一項の認可をしたとき。
二 第二十一条第一項の指定をしたとき。
三 第二十六条の規定により認可を取り消したとき。
四 第三十三条の規定による届出があつたとき。
五 第三十五条の許可をしたとき。
六 第四十一条の規定により指定を取り消し、又は試験の業務の停止を命じたとき。
(報告の徴収)
第四十五条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、登録製造事業者、輸入事業者、販売事業者又は第二十八条第二項に規定する事業を行なう者に対し、その業務に関し報告をさせることができる。
2 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、指定試験機関に対し、その業務又は経理の状況に関し報告をさせることができる。
(立入検査等)
第四十六条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、登録製造事業者、輸入事業者、販売事業者又は第二十八条第二項に規定する事業を行なう者の事務所、工場、事業場、店舗又は倉庫に立ち入り、電気用品、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
2 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、指定試験機関の事務所又は事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
3 前二項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(業務停止命令)
第四十七条 通商産業大臣は、第十八条又は第二十三条第一項の認可を受けた登録製造事業者又は輸入事業者が製造し、又は輸入した電気用品であつて当該認可に係るもの(第二十二条第二項において準用する第十八条ただし書の規定の適用を受けて製造されたものを除く。)が第二十条第一号の通商産業省令で定める技術上の基準に適合していない場合において、危険又は障害の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、当該登録製造事業者又は輸入事業者に対し、一年以内の期間を定めてその業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
(改善命令)
第四十八条 通商産業大臣は、次の場合には、登録製造事業者に対し、特定製造設備又は特定検査設備の修理又は改造、電気用品の製造又は検査の業務の方法の改善その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
一 特定製造設備又は特定検査設備が第六条第一号又は第二号の通商産業省令で定める技術上の基準に適合していないと認めるとき。
二 第二十二条第一項の規定に違反していると認めるとき。
(公聴会)
第四十九条 通商産業大臣は、第二条又は第二十八条第二項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、公聴会を開き、広く一般の意見をきかなければならない。
(異議の申立て)
第五十条 この法律の規定による通商産業大臣の処分(第五十六条の規定により通商産業大臣の権限が通商産業局長又は都道府県知事に委任された場合には、当該通商産業局長又は都道府県知事の処分)に対して不服のある者は、その処分のあつたことを知つた日から三十日以内に、その旨を記載した書面をもつて、通商産業大臣に異議の申立てをすることができる。ただし、処分の日から六十日を経過したときは、異議の申立てをすることができない。
第五十一条 通商産業大臣は、前条の異議の申立てがあつたときは、異議の申立てをした者に対し、相当な期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行なわなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、異議の申立てをした者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第五十二条 通商産業大臣は、前条の聴聞を行なつた後、文書をもつて決定をし、その写しを異議の申立てをした者に送付しなければならない。
(手数料)
第五十三条 次の表の上欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
納付しなければならない者 |
金額 |
一 第三条の登録を受けようとする者 |
一件につき 四千円 |
二 第十八条若しくは第二十三条第一項の認可又は第二十四条第一項の認可の更新を受けようとする者(指定試験機関の行なう試験に合格した電気用品の型式について、これらの認可又は認可の更新を受けようとする者を除く。) |
一件につき 四万円 |
三 指定試験機関の行なう試験を受けようとする者 |
一件につき 四万円 |
四 登録証の訂正又は再交付を受けようとする者 |
一件につき 二百円 |
五 登録簿の謄本の交付を請求しようとする者 |
一枚につき 二十円 |
六 登録簿の閲覧を請求しようとする者 |
一回につき 二十円 |
2 前項の手数料は、指定試験機関の行なう試験を受けようとする者の納付するものについては当該指定試験機関の、その他の者の納付するものについては国庫の収入とする。
(輸出用電気用品の特例)
第五十四条 輸出用の電気用品については、政令で、この法律の一部の適用を除外し、その他必要な特例を定めることができる。
(経過措置)
第五十五条 この法律の規定に基づき政令又は通商産業省令を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ、政令又は通商産業省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置を定めることができる。
(権限の委任)
第五十六条 この法律の規定により通商産業大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、通商産業局長又は都道府県知事に委任することができる。
第七章 罰則
第五十七条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条の登録を受けないで電気用品の製造の事業を行なつた者
二 第十八条又は第二十三条第一項の規定に違反してこれらの認可を受けた型式の電気用品以外の電気用品を製造し、又は販売した者
三 第四十七条の規定による業務の停止の命令に違反した者
第五十八条 第四十一条の規定による業務の停止の命令に違反した場合には、その違反行為をした指定試験機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第五十九条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第二十二条第三項の規定に違反して検査を行なわず、検査記録を作成せず、虚偽の検査記録を作成し、又は検査記録を保存しなかつた者
二 第二十五条第一項の規定に違反して表示を附さなかつた者
三 第二十五条第二項の規定に違反して表示を附した者
四 第二十七条の規定に違反して電気用品を販売し、又は販売の目的で陳列した者
五 第二十八条第一項又は第二項の規定に違反して電気用品を使用した者
第六十条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第四十五条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第四十六条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して、正当な理由なく陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
第六十一条 次の各号の一に掲げる違反があつた場合には、その違反行為をした指定試験機関の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
一 第三十五条の許可を受けないで試験の業務の全部を廃止したとき。
二 第四十二条第一項の規定に違反して同項に規定する事項の記載をせず、若しくは虚偽の記載をし、又は同条第二項の規定に違反して帳簿を保存しなかつたとき。
三 第四十五条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
四 第四十六条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して、正当な理由なく陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
第六十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五十七条、第五十九条又は第六十六条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第六十三条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の過料に処する。
一 第十条第一項(第二十三条第三項において準用する場合を含む。)又は第十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 正当な理由なく、第十六条の規定に違反して登録証を返納しなかつた者
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第四十九条の規定は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に電気に関する臨時措置に関する法律施行規則(昭和二十七年通商産業省令第九十九号)第一条第一項の規定によりその例によるものとされた旧電気用品取締規則(昭和十年逓信省令第三十号。以下「旧規則」という。)第二条の免許を受けている者は、この法律の施行の日から三月間は、第三条の規定にかかわらず、その者がこの法律の施行の際現に旧規則第三条の型式承認を受け、又は同条の型式承認を申請している型式の別の属する事業区分について電気用品の製造の事業を行なうことができる。その者が次項の規定による届出をした場合において、当該登録を受けるまでの期間についても、同様とする。
2 前項に規定する者は、同項前段に規定する期間内に、通商産業省令で定める事項を通商産業大臣に届け出たときは、同項に規定する事業区分について第三条の登録の申請をしたものとみなす。この場合においては、通商産業大臣は、第六条の規定にかかわらず、その登録をしなければならない。
第三条 この法律の施行の際現に旧規則第三条又は第四条の型式承認を受けている者は、その型式の別に相当する型式の区分について第十八条又は第二十三条第一項の認可を受けたものとみなす。この場合において、昭和三十三年三月三十一日以前に型式承認を受けたものに係る第二十四条第一項の規定の適用については、同年四月一日に認可を受けたものとする。
第四条 前二条に規定するものを除くほか、旧規則の規定によつてした処分、手続その他の行為は、この法律中これに相当する規定があるときは、この法律の規定によつてしたものとみなす。
第五条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(通商産業省設置法の一部改正)
第六条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第四十五号中「製造を免許すること。」を「製造事業者を登録し、若しくは電気用品の型式を認可すること。」に改める。
(電気に関する臨時措置に関する法律の一部改正)
第七条 電気に関する臨時措置に関する法律の一部を次のように改正する。
本則中「、電気用品」を削る。
(電気工事士法の一部改正)
第八条 電気工事士法の一部を次のように改正する。
第四条第四項中「この法律」の下に「又は電気用品取締法(昭和三十六年法律第二百三十四号)第二十八条第一項」を加える。
(通商産業・内閣総理大臣署名)