電気工事士法
法律第百三十九号(昭三五・八・一)
(目的)
第一条 この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において「一般用電気工作物」とは、電気事業者からの受電に係る電気を使用するために設置する屋内配線、屋側配線その他の工作物をいう。ただし、その設置及び管理に関する事項について法令に特別の定めのある工作物その他の電気に関する保安上支障がないと認められる工作物であつて、政令で定めるものを除く。
2 この法律において「電気工事」とは、一般用電気工作物を設置し、又は変更する工事をいう。ただし、政令で定める軽微な工事を除く。
(電気工事士)
第三条 電気工事士免状の交付を受けている者(以下「電気工事士」という。)でなければ、電気工事の作業(一般用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、通商産業省令で定めるものを除く。以下同じ。)に従事してはならない。
(電気工事士免状)
第四条 電気工事士免状は、都道府県知事が交付する。
2 電気工事士免状は、次の各号の一に該当する者でなければ、その交付を受けることができない。
一 電気工事士試験に合格した者
二 通商産業大臣が指定する養成施設において、通商産業省令で定める電気工事士たるに必要な知識及び技能に関する課程を修了した者
三 通商産業省令で定めるところにより、前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有していると都道府県知事が認定した者
3 都道府県知事は、次の各号の一に該当する者に対しては、電気工事士免状の交付を行なわないことができる。
一 次項の規定による電気工事士免状の返納を命ぜられ、その日から一年を経過しない者
二 この法律の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
4 都道府県知事は、電気工事士がこの法律の規定に違反したときは、その電気工事士免状の返納を命ずることができる。
5 電気工事士免状の交付、再交付、書換え及び返納に関し必要な事項は、政令で定める。
(電気工事士試験)
第五条 電気工事士試験は、一般用電気工作物の保安に関して必要な知識及び技能について行なう。
2 電気工事士試験は、都道府県知事が行なう。
3 電気工事士試験の試験科目、受験手続その他電気工事士試験の実施細目は、政令で定める。
(電気工事士試験委員)
第六条 電気工事士試験の実施に関する事務を行なわせるため、都道府県に、電気工事士試験委員を置く。
2 電気工事士試験委員に関し必要な事項は、政令で定める。
(電気工事士の義務)
第七条 電気工事士は、電気工事の作業に従事するときは、法令で定める一般用電気工作物の保安に関する基準に適合するようにその作業をしなければならない。
2 電気工事士は、電気工事の作業に従事するときは、電気工事士免状を携帯していなければならない。
(届出)
第八条 電気工事士は、電気工事の業務を開始したときは、その開始の日から十日以内に、通商産業省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。届け出た事項に変更があつたとき、又はその業務を廃止したときも、同様とする。
(報告の徴収)
第九条 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、電気工事士に対し、電気工事の業務に関して報告をさせることができる。
(手数料)
第十条 次の表の上欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内で政令で定める額の手数料を都道府県に納めなければならない。
手数料を納付すべき者 |
金額 |
一 電気工事士試験を受けようとする者 |
千五百円 |
二 電気工事士免状の交付を受けようとする者 |
四百円 |
三 電気工事士免状の再交付を受けようとする者 |
二百円 |
四 電気工事士免状の書換えを受けようとする者 |
百円 |
(異議の申立て)
第十一条 第四条第四項の規定による都道府県知事の処分に対して不服のある者は、その処分のあつた日から三十日以内に、その旨を記載した書面をもつて、通商産業大臣に異議の申立てをすることができる。
第十二条 通商産業大臣は、前条の異議の申立てがあつたときは、異議の申立てをした者に対し、相当な期間を置いて予告をした上、公開による聴聞を行なわなければならない。
2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
3 聴聞に際しては、異議の申立てをした者に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第十三条 通商産業大臣は、前条の聴聞を行なつた後、文書をもつて決定をし、その写しを異議の申立てをした者に送付しなければならない。
(罰則)
第十四条 第三条の規定に違反した者は、三月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
第十五条 第九条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、一万円以下の罰金に処する。
第十六条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の過料に処する。
一 正当な理由なく、第四条第四項の規定による命令に違反して電気工事士免状を返納しなかつた者
二 第八条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
附 則
1 この法律は、昭和三十五年十月一日から施行する。ただし、第三条、第七条から第九条まで及び第十四条から第十六条までの規定は、公布の日から起算して二年六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 第八条の規定の施行の際現に電気工事の業務を行なつている電気工事士は、同条の施行の日から一月以内に、同条の通商産業省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
3 前項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、一万円以下の過料に処する。
(通商産業・内閣総理大臣署名)