石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律
法律第百三十八号(昭三五・八・一)
石炭鉱業合理化臨時措置法(昭和三十年法律第百五十六号)の一部を次のように改正する。
目次中「石炭鉱業整備事業団」を「石炭鉱業合理化事業団」に、「第五節 監督(第五十二条・第五十三条)」を
「 |
第五節 監督(第五十二条・第五十三条) |
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第六節 補則(第五十三条の二―第五十三条の六) |
」 |
に改める。
第一条中「整備し」の下に「、石炭坑の近代化等を促進し」を加える。
第三条第二項第一号中「昭和四十二年度」の下に「(昭和三十八年度までは、昭和三十八年度及び昭和四十二年度)」を加え、同項第三号中「石炭鉱業整備事業団」を「石炭鉱業合理化事業団」に改め、同項第四号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。
四 石炭坑の近代化に関する事項
第三章の章名を次のように改める。
第三章 石炭鉱業合理化事業団
第七条中「石炭鉱業整備事業団」を「石炭鉱業合理化事業団」に改め、「その整備」の下に「及び石炭坑の近代化等に必要な設備資金の貸付け」を加える。
第八条中「石炭鉱業整備事業団」を「石炭鉱業合理化事業団」に改める。
第九条の次に次の一条を加える。
(資本金)
第九条の二 事業団の資本金は、二十一億四千万円とし、政府がその全額を出資する。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算の範囲内において、事業団に追加して出資することができる。この場合において、事業団は、その出資額により資本金を増加するものとする。
3 前二項の規定による政府の出資金及びこれを運用した場合に生ずる利子は、第二十五条第一項第七号及び第八号に規定する設備資金の貸付けの財源にあてなければならない。
4 事業団は、第三十六条の十二の規定により国庫納付金を納付したときは、その納付額により資本金を減少するものとする。
第十二条中「石炭鉱業整備事業団」を「石炭鉱業合理化事業団」に改める。
第十三条中「、第五十条(法人の住所)及び第五十四条(代表権の制限)」を「及び第五十条(法人の住所)」に改める。
第十四条中「理事長一人」の下に「、副理事長一人」を加える。
第十五条中第三項を第四項とし、第二項を削り、第一項の次に次の二項を加える。
2 副理事長は、理事長が定めるところにより、理事長を補佐して事業団の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。
3 理事は、理事長が定めるところにより、理事長及び副理事長を補佐して事業団の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときはその職務を行なう。
第十六条第二項中「理事」を「副理事長及び理事」に改める。
第十八条第二項中「理事」を「副理事長又は理事」に改める。
第十九条第二項中「理事」を「副理事長若しくは理事」に改める。
第二十三条中「事業団の業務の一部」を「事業団の従たる事務所の業務」に改める。
第二十五条第一項第七号中「前各号に掲げるもの」を「第一号から第六号までに掲げる業務及びこれらに附帯する業務」に、「第七条の目的を達成するため」を「石炭鉱業の整備のため」に改め、同号を同項第十号とし、同項中第六号を第九号とし、第五号の二を第六号とし、同号の次に次の二号を加える。
七 石炭坑の近代化に必要な設備資金の貸付け
八 石炭の流通の合理化に必要な設備資金の貸付け
第二十五条第二項中「前項第七号」を「前項第十号」に改める。
第二十六条第二項に次の一号を加える。
七 前条第一項第七号及び第八号に規定する設備資金(以下「近代化資金」という。)の貸付け及び償還の方法
第二十六条の次に次の一条を加える。
(区分経理)
第二十六条の二 事業団は、第九条の二第一項及び第二項の規定による政府の出資金並びにこれを運用した場合に生ずる利子に係る経理については、政令で定めるところにより、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。
第二十七条の見出しを「(事業計画等)」に改め、同条に次の二項を加える。
2 事業団は、事業年度の毎四半期開始前に、前項の認可を受けた事業計画に適合するようにその四半期に係る近代化資金の貸付計画を作成し、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
3 第一項の事業計画及び前項の貸付計画に記載すベき事項は、通商産業省令で定める。
第二十九条中「及び損益計算書」を「、損益計算書及び決算報告書」に改める。
第三十六条第一項中「事業団の業務に必要な費用にあてるため、この法律の施行の日から六年間」を「石炭鉱業の整備に関する業務に必要な費用にあてるため」に改め、同条第三項及び第四項を削り、同条第五項中「第二項」を「前項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第六項を同条第四項とする。
第三十六条の二の次に次の十条を加える。
(貸付けの相手方等)
第三十六条の三 第二十五条第一項第七号に規定する設備資金の貸付けは、採掘権者であつて通商産業省令で定める基準に該当するものに対して、同項第八号に規定する設備資金の貸付けは、採掘権者若しくは租鉱権者又は石炭の販売業者であつて通商産業省令で定める基準に該当するものに対して行なうものとする。
2 第二十五条第一項第七号に規定する設備資金の貸付けは、石炭坑の近代化に必要な設備であつて通商産業省令で定めるものについて、その設備に係る石炭坑において掘採しようとする石炭の鉱量並びにその石炭坑の近代化が完了した後にその石炭坑において掘採する石炭の生産能率及び生産費が通商産業省令で定める基準に適合する場合に限り、行なうものとする。
3 第二十五条第一項第八号に規定する設備資金の貸付けは、石炭の流通の合理化に必要な設備であつて通商産業省令で定めるものについて、その設備が二以上の採掘権者若しくは租鉱権者又は石炭の販売業者の事業の用に供され、かつ、その合理化の効果が大きいと認められる場合に限り、行なうものとする。
4 通商産業大臣は、前三項の通商産業省令の制定又は改廃をしようとするときは、石炭鉱業審議会の意見をきかなければならない。
(利率及び償還期間)
第三十六条の四 近代化資金に係る貸付金は、無利子とし、その償還期間は、十五年(すえおき期間を含む。)をこえない範囲内において政令で定める期間とする。
(償還方法)
第三十六条の五 近代化資金に係る貸付金の償還は、半年賦均等償還の方法によるものとする。
(償還期日の繰上げ)
第三十六条の六 事業団は、近代化資金の貸付けを受けた者が会社である場合において、その貸付けを受けた日の属する事業年度以後の事業年度の決算において計上した利益(第七十八条の規定により損益計算書その他の計算書類の作成の方法について不当な経理を是正すべき旨の勧告を受けた会社については、その勧告に従つて再計算することとしたときの当該決算期の利益とし、これらの利益の範囲は、政令で定めるものに限るものとする。)の額がその資本の額又は出資の総額に政令で定める率を乗じて算出した金額をこえるときは、政令で定めるところにより、その者に係る貸付金の全部又は一部についてその償還期日を繰り上げることができる。
(支払の猶予)
第三十六条の七 事業団は、災害その他政令で定めるやむを得ない理由により貸付金の償還が著しく困難であると認められる場合には、償還金の支払を猶予することができる。
(一時償還)
第三十六条の八 事業団は、近代化資金の貸付けを受けた者が次の各号の一に該当するときは、その者に対し、いつでも、貸付金の全部又は一部の償還を請求することができる。
一 正当な理由がなくて貸付金の償還を怠つた場合
二 貸付金を貸付けの目的以外の目的に使用した場合
三 正当な理由がなくて貸付けの条件に違反した場合
四 第三十六条の十一の規定による命令に係る者である場合
五 貸付金に係る設備を譲渡した場合その他通商産業省令で定める場合
(違約金等)
第三十六条の九 事業団は、近代化資金の貸付けを受けた者が支払期日までに貸付金を償還せず、又は前条の規定により償還を請求された貸付金を償還しなかつたときは、政令で定めるところにより、違約金を徴収するものとする。
2 事業団は、前条の規定により貸付金の償還を請求した場合において、償還をすべき者が正当な理由がなくてその償還を怠つたときは、当該貸付金を担保するために設定された抵当権その他の権利を実行するものとする。
(利益の配当の制限)
第三十六条の十 近代化資金の貸付けを受けた者が会社である場合には、当該借入金の償還が終わるまでの期間に係る各事業年度においては、政令で定めるところにより、減価償却その他の費用について必要な経理を行なつた後でなければ、当該決算において利益の配当をしてはならない。
(償還命令)
第三十六条の十一 通商産業大臣は、鉱業権者若しくは租鉱権者又は石炭の販売業者であつて近代化資金の貸付けを受けたものが第六十条第一項若しくは第六十一条第一項又は第七十八条の規定による勧告に従わないときは、事業団に対し、その者に係る貸付金の全部又は一部の償還を命ずることができる。
(国庫納付金)
第三十六条の十二 事業団は、政令で定めるところにより、前事業年度に回収した近代化資金に係る貸付金の額に相当する金額を国庫に納付しなければならない。
第三十七条を次のように改める。
(借入金及び石炭鉱業合理化債券)
第三十七条 事業団は、通商産業大臣の認可を受けて、短期借入金をし、又は石炭鉱業の整備に関する業務に必要な費用にあてるため、長期借入金をし若しくは石炭鉱業合理化債券(以下「債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、通商産業大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
4 第一項の規定による債券の債権者は、事業団の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
6 事業団は、通商産業大臣の認可を受けて、債券の発行、償還、利子の支払その他の債券に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条まで(受託会社の権限及び義務)の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。
第三十七条の次に次の二条を加える。
(償還計画)
第三十七条の二 事業団は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画をたてて、通商産業大臣の認可を受けなければならない。
(余裕金の運用)
第三十七条の三 事業団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 資金運用部への預託
二 銀行への預金又は郵便貯金
三 信託会社又は信託業務を行なう銀行への金銭信託
第四十条の次に次の三条を加える。
(手数料)
第四十条の二 事業団は、その貸付業務の執行に必要な費用にあてるため、近代化資金の貸付けを受けようとする者及びその貸付けを受けることとなつた者から、政令で定めるところにより、手数料を徴収することができる。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第四十条の三 事業団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、通商産業大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(省令への委任)
第四十条の四 この法律及びこれに基づく命令に規定するもののほか、事業団の財務及び会計に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。
第三章に次の一節を加える。
第六節 補則
(大蔵大臣との協議)
第五十三条の二 通商産業大臣は、次の場合には、大蔵大臣と協議しなければならない。
一 第二十六条第一項、第二十七条第一項若しくは第二項、第三十七条第一項若しくは第二項又は第三十七条の二の認可をしようとするとき。
二 第二十八条、第二十九条又は第四十条の三の承認をしようとするとき。
三 第二十七条第三項、第三十六条の三第一項から第三項まで、第三十六条の八第五号又は第四十条の四の通商産業省令を定めようとするとき。
(共済組合の組合員期間の特例)
第五十三条の三 事業団の設立の際現に国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。以下「組合法」という。)第三条の国家公務員共済組合(以下「組合」という。)の組合員(組合法の長期給付に関する規定の適用を受けない者、組合法第百二十五条の規定の適用を受ける者及びその退職により組合法による退職年金の支給を受ける権利を取得する者を除く。以下「組合員」という。)である者が退職し、引き続き事業団の役員又は職員(以下「役職員」という。)となつた場合において、その者が、そのなつた日から六十日以内に、政令で定めるところにより、その引き続く役職員としての在職期間を、これに引き続き再び組合員の資格を取得したとき(以下「復帰したとき」という。)の組合法第三十八条の規定による組合員期間の計算上組合員期間とみなされることを希望する旨をその組合に申し出たときは、当該退職(以下「転出」という。)に係る組合法の長期給付は、その申出をした者(以下「復帰希望役職員」という。)が引き続き役職員として在職する間、その支払を差し止める。
第五十三条の四 復帰希望役職員が引き続き役職員として在職し、引き続き復帰したときは、転出に係る組合法の長期給付は、廃疾年金にあつては転出の時にさかのぼつてその支給を停止し、退職一時金及び廃疾一時金にあつてはこれを受ける権利は消滅する。
2 復帰希望役職員が引き続き役職員として在職し、引き続き復帰したときは、組合法の長期給付に関する規定(第六章の規定を除く。)の適用については、その者は、当該役職員であつた期間引き続き組合員であつたものとみなす。ただし、当該役職員であつた期間に発した疾病又は負傷に係る廃疾給付については、この限りでない。
3 前項の場合において、組合法第四十二条第二項の規定の適用については、同項中「俸給」とあるのは、「俸給(組合の運営規則で定める仮定俸給を含む。)」とする。
第五十三条の五 復帰希望役職員及び事業団については、当該復帰希望役職員の転出の時にさかのぼつて、組合法第六章(短期給付及び福祉事業に係る部分を除く。)の規定を準用する。この場合において、組合法第九十九条第二項各号列記以外の部分中「及び国の負担金」とあるのは「、事業団の負担金及び国の負担金」と、同項第二号中「国の負担金」とあるのは「事業団の負担金」と、第百条第二項中「俸給」とあるのは「組合の運営規則で定める仮定俸給」と、第百二条中「各省各庁の長又は職員団体」とあり、又は「国又は職員団体」とあるのは「事業団」とする。
第五十三条の六 復帰希望役職員が引き続き役職員として在職しなくなつたとき(引き続き復帰したときを除く。)は、その組合又は組合法第二十一条第一項の国家公務員共済組合連合会は、政令で定めるところにより、当該復帰希望役職員及び事業団に対し、これらの者が負担した掛金又は負担金を返還しなければならない。
第七十一条第一項中「三十人」を「四十人」に改める。
第七十八条中「又は租鉱権者」を「若しくは租鉱権者又は石炭の販売業者」に改める。
第七十九条を次のように改める。
第七十九条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、鉱業権者若しくは租鉱権者又は石炭の販売業者に対し、その業務又は経理の状況に関し報告をさせることができる。
第八十九条中第三号を第五号とし、第二号の次に次の二号を加える。
三 第三十七条の三の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
四 第五十二条第二項の命令に違反したとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(石炭鉱業合理化事業団の設立等)
第二条 改正前の第七条の規定により設置された石炭鉱業整備事業団は、この法律の施行の日において、改正後の同条に規定する石炭鉱業合理化事業団となるものとする。
2 この法律の施行の日の前日において石炭鉱業整備事業団の理事長、理事又は監事である者の任期は、改正前の第十六条第三項の規定にかかわらず、その日に満了する。
3 改正前の石炭鉱業合理化臨時措置法の規定によつて石炭鉱業整備事業団に対してした処分又は同法の規定によつて石炭鉱業整備事業団がした手続その他の行為は、改正後の石炭鉱業合理化臨時措置法の規定によつて石炭鉱業合理化事業団に対してした処分又は同法の規定によつて石炭鉱業合理化事業団がした手続その他の行為とみなす。
(経過規定)
第三条 石炭鉱業合理化事業団が最初に作成する近代化資金の貸付計画については、改正後の第二十七条第二項中「事業年度の毎四半期開始前に」とあるのは、「この法律の施行後遅滞なく」とする。
第四条 改正前の第三十六条第三項に規定する者が、同条第一項の規定により昭和三十五年三月三十一日までの分として納付すべきであつた納付金の額の算定については、なお従前の例による。
(登録税法の一部改正)
第五条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号及び第二十五号中「石炭鉱業整備事業団」を「石炭鉱業合理化事業団」に改める。
(印紙税法の一部改正)
第六条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ十二を次のように改める。
六ノ十二 石炭鉱業合理化事業団ガ石炭鉱業合理化臨時措置法第二十五条第一項第一号若ハ第二号ノ業務トシテ行フ採掘権若ハ鉱業施設ノ買収又ハ同項第七号若ハ第八号ノ業務トシテ行フ貸付ニ関シ発スル証書、帳簿
(所得税法の一部改正)
第七条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第十号中「石炭鉱業整備事業団」を「石炭鉱業合理化事業団」に改める。
第八条第六項第六号中「第百条」の下に「(他の法律において準用する場合を含む。)」を加える。
(法人税法の一部改正)
第八条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第七号中「石炭鉱業整備事業団」を「石炭鉱業合理化事業団」に改める。
(地方税法の一部改正)
第九条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第七号、第七十三条の五第二項、第百七十九条及び第三百四十八条第二項第二号の二中「石炭鉱業整備事業団」を「石炭鉱業合理化事業団」に改める。
(法務・大蔵・通商産業・労働・自治・内閣総理大臣署名)