公立学校施設費国庫負担法
法律第二百四十七号(昭二八・八・二七)
(目的)
第一条 この法律は、公立学校の施設の整備を促進するため、公立学校の施設の災害復旧及び戦災復旧並びに義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の建設に要する経費について、国の負担する割合等を定め、もつて学校教育の円滑な実施を確保することを目的とする。
(用語の意義)
第二条 この法律において「公立学校」とは、公立の学校で、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定するものをいう。
2 この法律において「災害」とは、暴風、こう水、高潮、地震、大火その他の異常な現象により生ずる災害をいう。
(国庫負担率)
第三条 左の各号に掲げる事業に要する経費について国が負担する割合は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 公立学校の施設の災害復旧 三分の二
二 公立学校の施設の戦災復旧 二分の一
三 義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の建設 二分の一
2 前項第一号に規定する施設は、建物、建物以外の工作物、土地及び設備とし、同項第二号及び第三号に規定する施設は、建物とする。
(事業に要する経費の種目)
第四条 公立学校の施設の災害復旧に要する経費の種目は、当該災害復旧の本工事費、附帯工事費及び設備費(以下「工事費」という。)並びに事務費とする。
2 公立学校の施設の戦災復旧に要する経費の種目は、当該戦災復旧の工事費(設備費を除く。)及び事務費とする。
3 義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の建設に要する経費の種目は、左に掲げる事業の工事費(設備費を除く。)及び事務費とする。但し、買収その他これに準ずる方法による校舎又は寄宿舎の取得の場合にあつては、当該校舎又は寄宿舎の買収費及び事務費とする。
一 義務教育年限の延長によつて必要となつた公立の中学校、盲学校及びろう学校の校舎(盲学校及びろう学校にあつては、寄宿舎を含む。以下本条において同じ。)の建築(買収その他これに準ずる方法によるこれらの取得を含む。以下同じ。)
二 義務教育年限の延長によつて増加する児童及び生徒を収容するため、公立の中学校、盲学校及びろう学校の校舎に転用された他の公立の小学校の校舎で、同一の設置者(都の特別区は、これを合して一の設置者とみなす。)の設置に係るものの建築
4 前三項に規定する事務費の工事費(買収その他これに準ずる方法による校舎又は寄宿舎の取得の場合にあつては、買収費)に対する割合は、政令で定める。
(事業に要する経費の算定基準)
第五条 公立学校の施設の災害復旧又は戦災復旧に要する経費は、政令で定める基準により、当該公立学校の施設を原形に復旧する(原形に復旧することが不可能な場合において当該施設の従前の効用を復旧するための施設をすること及び原形に復旧することが著しく困難であるか又は不適当である場合において当該施設に代わるべき必要な施設をすることを含む。)ものとして算定するものとする。
2 義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の建設に要する経費は、中学校、盲学校及びろう学校の校舎又は寄宿舎について、その教育を行うのに必要な最低限度の児童及び生徒一人当りの坪数を基準として算定するものとする。
(事業費の決定)
第六条 公立学校の施設の災害復旧若しくは戦災復旧又は義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の建設(以下「災害復旧事業等」という。)に要する経費(以下「事業費」という。)の額は、前条に規定する基準に従い、地方公共団体の提出する資料、実地調査の結果等を勘案して文部大臣が決定するものとする。
(災害復旧事業等の成功認定)
第七条 国の負担金の交付を受けた地方公共団体が負担金に係る災害復旧事業等を施行したときは、遅滞なく、その事業費を精算して、文部大臣の成功認定を受けなければならない。
(負担金の還付)
第八条 国の負担金の交付を受ける地方公共団体が負担金に係る災害復旧事業等を施行せず、又は負担金をその目的に反して使用したときは、文部大臣は、負担金のうちその施行しない災害復旧事業等に係る部分を交付せず、若しくは返還させ、又は交付の目的に反して使用した部分の負担金を返還させることができる。この場合においては、文部大臣は、あらかじめ、当該地方公共団体の教育委員会に対し、釈明のため意見を述べ、及び当該地方公共団体のための有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
2 前項の規定により負担金の返還を命ぜられた地方公共団体は、その返還を命ぜられた金額を、遅滞なく、国に返還しなければならない。
3 文部大臣は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会をして、当該都道府県の区域内に存する市(特別区を含む。以下同じ。)町村(市町村の組合を含む。以下同じ。)に対して第一項に規定する文部大臣の権限を行わせることができる。
(剰余金の処分)
第九条 地方公共団体は、国の負担金の交付を受けた災害復旧事業等の事業費に剰余を生じたときは、遅滞なく、当該剰余金に第三条第一項の規定による国の負担率を乗じた額を国に返還しなければならない。
(都道府県の教育委員会の事務)
第十条 国が市町村に対して交付する災害復旧事業等の事業費の負担金の額の算定、交付及び還付並びに災害復旧事業等の成功認定に関する事務は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会が行う。
2 国は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会が前項の規定による事務を行うために必要な経費を都道府県に交付するものとする。
(監督)
第十一条 文部大臣は、災害復旧事業等の施行に関し、この法律により国の負担金の交付を受ける地方公共団体に対して、当該災害復旧事業等を適正に実施させるため必要な限度において、実地検査を行い、報告を求め、又は事業の施行に関し必要な指示をすることができる。
2 文部大臣は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会をして、当該都道府県の区域内に存する市町村に対して、前項に規定する文部大臣の権限を行わせることができる。
(適用除外)
第十二条 この法律の規定は、左に掲げる公立学校の施設の災害復旧については適用しない。
一 建物、建物以外の工作物、土地又は設備の災害による被害の額が一学校ごとにそれぞれ政令で定める額に達しないもの
二 明らかに設計の不備又は工事施行の粗漏に基因して生じたものと認められる災害に係るもの
三 著しく維持管理の義務を怠つたことに基因して生じたものと認められる災害に係るもの
(政令への委任)
第十三条 この法律に定めるものの外、この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、昭和二十八年四月一日から適用する。
2 昭和二十八年三月三十一日以前に災害をこうむつた公立学校の施設の災害復旧については、なお従前の例による。
3 義務教育年限の延長に伴う公立学校の施設の建設に要する経費は、第五条第二項の規定にかかわらず、当分の間、左に掲げる基準により算定するものとする。
一 第四条第三項第一号に規定する建築の坪数は、左の表に掲げる学校の種類別の児童及び生徒一人当りの基準坪数に、政令で定めるところにより算定した当該学校の児童及び生徒の数(寄宿舎にあつては、収容する児童及び生徒の数)を乗じた坪数から、従来の保有坪数を控除した坪数とする。但し、児童及び生徒一人当りの基準坪数については、当該学校の所在地の積雪寒冷度、当該学校の学級数若しくは一学級の児童及び生徒の数又は当該学校の校舎若しくは寄宿舎の構造に応じ、政令で定めるところにより補正を行うものとする。
学校の種類 |
校舎についての児童及び生徒一人当りの基準坪数 |
寄宿舎についての児童及び生徒一人当りの基準坪数 |
中学校 |
〇・七坪 |
|
盲学校及びろう学校 |
二・五五坪 |
三・二〇坪 |
二 第四条第三項第二号に規定する建築の坪数は、当該転用坪数とする。
(大蔵・文部・内閣総理大臣署名)