農業災害補償法臨時特例法
法律第百九十四号(昭二七・六・一四)
(目的)
第一条 この法律は、農作物共済の合理化に資するため、水稲及び麦についての農作物共済に係る農業災害補償法(昭和二十二年法律第百八十五号)の規定に特例を設け、これを試験的に次条の農業共済組合及びその農業共済組合を会員とする農業共済組合連合会に適用することを目的とする。
(農業共済組合の指定)
第二条 農林大臣は、政令で定める基準に基き、水稲及び麦のそれぞれにつき、この法律により農作物共済を行うべき農業共済組合をその農業共済組合の同意を得て指定する。
2 農林大臣は、必要があると認めるときは、当該農業共済組合の同意を得て前項の規定による指定を取り消すことができる。
(共済金額)
第三条 前条第一項の規定による指定を受けた農業共済組合(以下「指定組合」という。)については、当該共済目的に係る農作物共済の共済金額は、農業災害補償法第百六条及び農業災害補償法の一部を改正する法律(昭和二十四年法律第二百一号)附則第四項の規定にかかわらず、当該指定組合の組合員の平年における水稲又は麦の収穫量の百分の八十に相当する石数を、収穫物の石当り価格の百分の八十を標準として、水稲にあつては全国一律に、麦にあつては都道府県又は都道府県内の地域ごとに一律に農林大臣が定める金額(以下「石当り共済金額」という。)に乗じて得た金額とする。
2 農業災害補償法第十二条第一項の規定により国庫が負担する金額を定める場合及び同法第百七条第二項の規定により基準共済掛金率を定める場合における共済金額は、指定組合についても、前項の規定にかかわらず、同法第百六条及び農業災害補償法の一部を改正する法律附則第四項の規定により計算する。
3 農業災害補償法第百三十五条第一号の規定により政府の再保険金額を定める場合及び同法第百三十七条第一号の規定により政府の支払うべき再保険金を定める場合において、通常標準被害率を乗ずべき総保険金額は、指定組合に係るものについても、第一項の規定にかかわらず、同法第百六条及び農業災害補償法の一部を改正する法律附則第四項の規定による共済金額に基いて計算する。
(共済掛金率等)
第四条 指定組合については、当該共済目的に係る農作物共済の共済掛金率は、共済目的の種類ごとに、指定組合の前条第一項の規定による総共済金額でその同条第二項の規定により計算された総共済金額を除して得た率を、当該市町村(地方自治法第百五十五条第二項の市にあつては、区)又は特別区の属する危険階級の基準共済掛金率に乗じて得た率(以下「農家単位共済基準共済掛金率」という。)を下らない範囲内において定款で定める。
2 指定組合を会員とする農業共済組合連合会の保険料率は、指定組合の当該共済目的に係る農作物共済については、農家単位共済基準共済掛金率と同率とする。
3 指定組合を会員とする農業共済組合連合会が政府に納入すべき再保険料の計算については、共済目的の種類ごとに、当該総保険金額を指定組合に係るものと指定組合以外の農業共済組合に係るものとに区別し、指定組合に係る保険金額に適用すべき再保険料率は、指定組合の前条第一項の規定による総共済金額でその同条第二項の規定により計算された総共済金額を除して得た率を、異常共済掛金標準率と超異常共済掛金標準率とを合計した率に乗じて得た率とする。
(共済金)
第五条 指定組合は、各組合員についての共済事故による耕地ごとの減収の合計が平年におけるその組合員の収穫量の百分の二十をこえた場合には、そのこえた部分の石数を石当り共済金額に乗じて得た金額に相当する共済金をその組合員に支払うものとする。
(会計の区分経理)
第六条 指定組合は、この法律により共済事業を行う共済目的については、その共済目的の種類ごとに、他の共済目的と会計を区分して経理しなければならない。
2 指定組合を会員とする農業共済組合連合会は、この法律により共済事業を行う共済目的に係る会計のうち、指定組合に係るものを他と区分して経理しなければならない。
(剰余金の処分)
第七条 指定組合は、この法律により行う共済事業から生じた毎事業年度の剰余金を、共済目的の種類ごとに、その指定組合の当該共済目的に係る共済掛金率から農家単位共済基準共済掛金率を控除した率を総共済金額に乗じて得た金額を限度として、省令の定めるところにより、組合員に分配することができる。
2 指定組合は、前項の規定により分配をしてなお剰余があるときは、省令の定めるところによりこれを積み立てなければならない。
3 農業災害補償法第百一条及び第百二条の規定は、指定組合がこの法律により行う共済事業については、適用しない。
(準備金の払いもどし)
第八条 指定組合を会員とする農業共済組合連合会は、それぞれの種類の共済目的につき、指定組合たるその会員のすべてがこの法律による共済事業を行うことをやめた場合には、省令の定めるところにより、当該事業に係る準備金を当該会員に払いもどさなければならない。
2 指定組合がこの法律による共済事業を行うことをやめた場合には、当該事業に係る準備金及び前項の規定により払いもどしを受けた準備金を、省令の定めるところにより、組合員に払いもどさなければならない。
(指定組合の組合員に対する補助)
第九条 国庫は、指定組合の組合員の共済金額に農家単位共済基準共済掛金率を乗じて得た額のうち当該組合員の負担に係る部分の二分の一に相当する額の補助金を当該組合員に交付する。
2 前項の規定により指定組合の組合員に交付すべき補助金は、これを組合員に交付するのに代えて、当該組合員がその属する指定組合に支払うべき共済掛金の一部に充てるため当該指定組合にこれを交付し、又は当該指定組合がその属する農業共済組合連合会に支払うべき保険料の一部に充てるため当該農業共済組合連合会にこれを交付することができる。
(報告の徴取)
第十条 農林大臣及び都道府県知事は、この法律の施行の状況を明らかにするため必要があると認めるときは、指定組合及び指定組合を会員とする農業共済組合連合会から報告を徴することができる。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律は、施行の日から起算して五年をこえない期間内において別に法律で定める日にその効力を失う。
3 この法律の失効に伴い必要な経過規定は、別に法律で定める。
4 農業共済再保険特別会計法(昭和十九年法律第十一号)の一部を次のように改正する。
附則に次の一条を加える。
第二十条 農業災害補償法臨時特例法(昭和二十七年法律第百九十四号)第九条ノ規定ニ依ル補助金ハ第三条ノ規定ニ拘ラズ当分ノ間農業勘定ノ歳出トス
(大蔵・農林・内閣総理大臣署名)