文部省設置法
法律第百四十六号(昭二四・五・三一)
目次
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 本省
第一節 内部部局(第六条―第十二条)
第二節 国立の学校その他の機関(第十三条―第二十四条)
第三節 地方支分部局(第二十五条―第二十八条)
第三章 職員(第二十九条・第三十条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、文部省の所掌事務の範囲及び権限を明確に定めるとともに、その所掌事務を能率的に遂行するに足る組織を定めることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律の解釈に関しては、左の定義に従うものとする。
一 「学術」とは、人文科学及び自然科学並びにそれらの応用の研究をいう。
二 「文化」とは、芸術及び国民娯楽、国宝、重要美術品、史跡名勝天然記念物その他の文化財、出版及び著作権並びにこれらに関する国民の文化的生活向上のための活動をいう。
三 「初等教育」とは、小学校及び幼稚園における教育をいう。
四 「中等教育」とは、中学校及び高等学校における教育(職業教育を含む。)をいう。
五 「特殊教育」とは、盲学校、ろう学校及び養護学校における教育をいう。
六 「社会教育」とは、公民教育、青少年教育、婦人教育、労働者教育等の社会人に対する教育、生活向上のための職業教育及び科学教育、運動競技、レクリエーション並びに図書館、博物館、公民館等の施設における活動をいう。
2 この法律で単に「教育」という場合には、学術及び文化を含むものとする。
3 第十条中「社会教育」には、文化(出版及び著作権を除く。)を含むものとする。
(設置)
第三条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基いて、文部省を設置する。
2 文部省の長は、文部大臣とする。
(文部省の任務)
第四条 文部省は、左に掲げる国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。
一 教育委員会、大学、研究機関(他の行政機関に属するものを除く。以下同じ。)その他教育に関する機関に対し、専門的、技術的な指導と助言を与えること。
二 民主教育の体系を確立するための最低基準に関する法令案その他教育の向上及び普及に必要な法令案を作成すること。
三 教育のための予算案の作成及び国庫支出金の割当、配分を行うこと。
四 教育のための物資の確保について援助すること。
五 大学及び研究機関の研究活動を連絡調整すること。
六 国際的な教育に関する国内における諸活動を連絡調整すること。
七 教育に関する調査研究を行い、及びその調査研究を行う機関に対し、協力し、又は協力を求めること。
八 教育に関する専門的、技術的な資料を作成し、及び刊行頒布すること。
九 前各号に掲げるもののほか、教育に関し、法律(これに基く命令を含む。)に基き文部省に属せしめられた事務を行うこと。
(文部省の権限)
第五条 文部省は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、左に掲げる権限を有する。但し、その権限の行使は、法律(これに基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。
一 予算の範囲内で、所掌事務の遂行に必要な支出負担行為をすること。
二 収入金を徴収し、所掌事務の遂行に必要な支払をすること。
三 所掌事務の遂行に直接必要な事務所等の施設を設置し、及び管理すること。
四 所掌事務の遂行に直接必要な業務用資材、事務用品、研究用資材等を調達すること。
五 不用財産を処分すること。
六 職員の任免及び賞罰を行い、その他職員の人事を管理すること。
七 職員の厚生及び保健のため必要な施設をなし、及び管理すること。
八 職員に貸与する宿舎を設置し、及び管理すること。
九 所掌事務の監察を行い、法令の定めるところに従い、必要な措置をとること。
十 所掌事務の周知宣伝を行うこと。
十一 文部省の公印を制定すること。
十二 広く利用に供する適当な記録を整備すること。
十三 大学の設置及び所掌事務に関する法人の設立を認可すること。
十四 教育職員、学徒、研究者、著作家、芸術家並びに国際的な運動競技大会及び文化的会合の参加者等の諸外国との交換に関し、条約その他国際的約束に従い、国際的取決めを交渉し、締結すること。
十五 所掌事務に関する国際会議の政府代表を選考し、関係行政機関に勧告すること。
十六 在外研究員及び内地研究員を選考して、これを任命し、並びに個人的な研究のための海外旅行及び在外研究を援肋すること。
十七 教育職員の研修について連絡し、及び援助を与えること。
十八 大学及び研究機関に、国庫支出金によつて支持される研究の計画及びその経費の見積を提出させること。
十九 所掌事務に関する国庫支出金及び物資を割り当て、配分すること。
二十 自然物に関する調査研究、観察及び実習の場として、国立自然教育園を管理運営し、及び整備すること。
二十一 所掌事務に関する調査研究をし、その結果を利用に供し、及び教育に関する調査研究を行う機関に対し、協力し、又は必要がある場合調査研究を委託すること。
二十二 所掌事務に関する統計調査の資料及び結果を収集し、解釈し、及び刊行頒布すること。
二十三 教育委員会、大学、研究機関その他教育に関する機関に、報告書その他資料を提出させ、収集するための手続及び方式の基準を設定すること。
二十四 国家的又は国際的関心のある題目について、会議、研究会、討論会その他の催しを主催すること。
二十五 小学校、中学校、高等学校、盲学校、ろう学校、養護学校及び幼稚園に関し、教育課程、教科用図書その他の教材、施設、編制、身体検査、保健衛生、学校給食及び教育職員の免許等についての最低基準に関する法令案を作成すること。
二十六 教育委員会、大学及び研究機関に関する法令案を作成すること。
二十七 前各号に掲げるもののほか、法律(これに基く命令を含む。)に基き文部省に属せしめられた権限
2 文部省は、その権限の行使に当つて、法律(これに基く命令を含む。)に別段の定がある場合を除いては、行政上及び運営上の監督を行わないものとする。
第二章 本省
第一節 内部部局
(内部部局)
第六条 本省に大臣官房及び左の五局を置く。
初等中等教育局
大学学術局
社会教育局
調査普及局
管理局
2 管理局に教育施設部を置く。
(大臣官房の事務)
第七条 大臣官房においては、文部省の所掌事務に関し、左の事務をつかさどる。
一 機密に関すること。
二 職員の職階、任免、分限、懲戒、服務その他の人事並びに教養及び訓練に関すること。
三 大臣の官印及び省印を管守すること。
四 公文書類を接受し、発送し、編集し、及び保存すること。
五 各部局の準備した予算案に基いて、文部省所管の予算案を作成する等予算に関する事務を処理すること。
六 経費及び収入の決算及び会計の監査に関すること。
七 行政財産及び物品を管理すること。
八 職員の衛生、医療その他福利厚生に関すること。
九 こう報に関すること。
十 法令案の審査その他総合調整に関すること。
十一 渉外事務に関すること。
十二 前各号に掲げるもののほか、文部省の所掌事務で他部局の所掌に属さない事務に関すること。
2 大臣官房においては、前項に掲げる事務のほか、左の事務をつかさどる。
一 ユネスコに関する国内における諸活動及び各部局のユネスコに関する事務について連絡調整すること。
二 教育職員の給与その他の待遇及び福利厚生に関し、調査研究し、及び援助を与えること。
三 国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)に基き公立学校共済組合に関し、文部省に属せしめられた事務を処理すること。
四 宗教に関する情報、資料を収集し、及び宗教団体に関し、連絡すること。
五 教育職員及び教育関係公務員等の適格審査に関すること。
(初等中等教育局の事務)
第八条 初等中等教育局においては、初等教育、中等教育及び特殊教育に関し、左の事務をつかさどる。
一 初等教育、中等教育及び特殊教育に関する法令案を作成すること。
二 法律による最低基準に基く教育計画を推進助長し、且つ、その最低基準を越える初等教育、中等教育及び特殊教育の推進を指導すること。
三 左に掲げる事項のための予算案を準備すること。
イ 初等教育、中等教育及び特殊教育のための国庫補助金
ロ 専門的、技術的な援助及び資料を与える等この局の所掌事務の遂行に必要な経費
四 義務教育費国庫負担法(昭和十五年法律第二十二号)に基き文部省に属せしめられた事務を処理すること。
五 左のような方法によつて、学校管理、学校の施設、教育課程、特別教育活動、生徒指導、教授法その他初等教育、中等教育及び特殊教育のあらゆる面について、教育職員その他の関係者に対し、専門的、技術的な指導と助言を与えること。
イ 手引書、指導書、会報、パンフレツトその他の専門的出版物を作成し、及び利用に供すること。
ロ 初等教育、中等教育及び特殊教育に関係のある教育職員の訓練のための全国的、地域的又はその他の研究集会、講習会、会議その他の催しを主催し、又はそれに参加すること。
ハ 初等教育、中等教育及び特殊教育のあらゆる面について、教育委員会その他の機関の求めに応じ、直接専門的、技術的な指導と助言を与えること。
六 初等教育、中等教育及び特殊教育に関する基礎的調査研究を行い、その結果及びそれを学校に関する諸問題に適用することについての情報を提供すること。
七 初等教育、中等教育及び特殊教育に関する統計調査を行い、必要な資料を収集し、解釈し、及びこれらの結果を利用に供し、又はそれらに関し、指導し、若しくは協力すること。
八 教材教具等の解説目録を作成し、及びそれを利用に供すること。
九 職業指導に関し、援助と助言を与えること。
十 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基き高等学校並びに盲学校、ろう学校及び養護学校の行う通信教育に関し、援助と助言を与えること。
十一 学校における保健衛生及び学校給食に関し、援助と助言を与えること。
十二 初等教育、中等教育及び特殊教育についての国際的事項に関する国内事務を処理すること。
十三 小学絞、中学校、高等学校、盲学絞、ろう学校、養護学校及び幼稚園に準ずる各種学校に関し、援助と助言を与えること。
十四 小学校、中学校、高等学校、盲学校、ろう学校、養護学校及び幼稚園(これらの学校に準ずる各種学校を含む。)に関する法人の設立の認可について、管理局に対し、勧告すること。
十五 この局の所掌事務につき、法律によつて設置された審議会等に対し、事務的、技術的な援助を与えること。
十六 前各号に掲げるもののほか、初等教育、中等教育及び特殊教育に関し、文部省の権限として法令の定める事項を処理すること。
(大学学術局の事務)
第九条 大学学術局においては、左の事務をつかさどる。
一 大学教育及び学術に関する法令案を作成すること。
二 大学教育及び学術の発達及び普及、奨励に関し、指導と助言を与えること。
三 左に掲げる事項のための予算案を準備すること。
イ 大学教育及び学術のための国庫補助金
ロ 専門的、技術的な援助及び資料を与える等この局の所掌事務の遂行に必要な経費
四 左のような方法によつて、大学教育及び学術のあらゆる面について、教育職員、研究者その他の関係者に対し、専門的、技術的な指導と助言を与えること。
イ 専門的出版物を作成し、及び利用に供すること。
ロ 大学教育及び学術に関する全国的、地域的又はその他の研究集会、講習会、会議その他の催しを主催し、又はそれに参加すること。
五 大学教育及び学術に関する統計調査を行い、必要な資料を収集し、解釈し、及びこれらの結果を利用に供し、又はそれらに関し指導し、若しくは協力すること。
六 学校教育法に基き大学の行う通信教育に関し、援助と助言を与えること。
七 奨学及び学徒の厚生援護に関し、援助と助言を与えること。
八 大日本育英会法(昭和十九年法律第三十号)に基き文部省に属せしめられた事務を処理すること。
九 教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)に基き文部省に属せしめられた事務を処理すること。
十 教員及び研究者の養成計画に関し、連絡調整を行い、及び援助、助言を与えること。
十一 日本学術会議、その他の学術団体との連絡に関すること。
十二 研究者及び研究事業に関する目録を作成し、及び利用に供すること。
十三 大学及び研究機関の研究結果の頒布を援助すること。
十四 教育機関及び研究機関に対し、学術に関する情報の提供その他の便宜を与えること。
十五 自然物に関する調査研究、観察及び実習の場として、国立自然教育園を管理運営し、及び整備すること。
十六 史料の収集、保存、及び利用に関する事務を処理すること。
十七 大学教育及び学術に関し、外国との教育職員、学徒、研究者及び出版物の交換並びにユネスコその他の国際機関、国際会議その他の国際的事項に関する国内事務を処理すること。
十八 国費による在外研究員及び内地研究員の任命に関する事務を処理し、並びに個人的な研究のための海外旅行及び在外研究を援助すること。
十九 外国人留学生に関し、援助と助言を与えること。
二十 大学に準ずる各種学校に関し、援助と助言を与えること。
二十一 大学(大学に準ずる各種学校を含む。)及び学術に関する法人の設立の認可について、管理局に対し、勧告すること。
二十二 この局の所掌事務につき、法律によつて設置された審議会等に対し、事務的、技術的な援助を与えること。
二十三 前各号に掲げるもののほか、大学教育及び学術に関し、文部省の権限として法令の定める事項を処理すること。
(社会教育局の事務)
第十条 社会教育局においては、社会教育に関し、左の事務をつかさどる。
一 社会教育に関する法令案を作成すること。
二 社会教育の発達及び普及、奨励に関し、指導と助言を与えること。
三 左に掲げる事項のための予算案を準備すること。
イ 社会教育のための国庫補助金
ロ 専門的、技術的な援助及び資料を与える等この局の所掌事務の遂行に必要な経費
四 左のような方法によつて、社会教育のあらゆる面について、社会教育に関する団体、社会教育指導者その他の関係者に対し、専門的、技術的な指導と助言を与えること。
イ 適当な情報、資料を作成し、及び利用に供すること。
ロ 社会教育に関する研究集会、講習会、会議、討論会、展示会その他の催しを主催し、又はそれに参加すること。
ハ 社会教育のあらゆる面について、教育委員会その他の機関の求めに応じ、直接専門的、技術的な指導と助言を与えること。
五 社会教育に関する基礎的調査研究を行い、それを解釈し、及びその結果に関する情報を提供すること。
六 社会教育に関する統計調査を行い、必要な資料を収集し、解釈し、及びこれらの結果を利用に供し、又はそれらに関し、指導し、若しくは協力すること。
七 社会教育に有益な教材等の解説目録を作成し、及び利用に供すること。
八 学校教育法に基くものを除く通信教育に関し、援助と助言を与えること。
九 国宝、重要美術品、史跡名勝天然記念物その他の文化財の保存及び維持に関する事務を処理すること。
十 社会教育に関し、外国との社会教育指導者、著作家、芸術家、運動競技者及び資料の交換並びにユネスコその他の国際機関、国際会議その他の国際的事項に関する国内事務を処理すること。
十一 社会教育に関する法人の設立の認可について、管理局に対し、勧告すること。
十二 この局の所掌事務につき、法律によつて設置された審議会等に対し、事務的、技術的な援助を与えること。
十三 前各号に掲げるもののほか、社会教育に関し、文部省の権限として法令の定める事項を処理すること。
(調査普及局の事務)
第十一条 調査普及局においては、左の事務をつかさどる。
一 文部省の調査統計年次計画を立案すること。
二 文部省の所掌事務に関する一般的調査統計を行い、必要な資料を収集し、解釈し、及びこれらの結果を利用に供すること。
三 他部局及び教育委員会その他の機関の調査統計計画に対し、専門的、技術的な援助と助言を与えること。
四 他部局の求めに応じ、特殊の調査研究及び統計調査の結果の集計について援助を与えること。
五 他部局と協力して、外国の教育に関する事情を調査研究し、及びその結果についての情報を他部局、教育委員会、教育職員その他一般の利用に供すること。
六 この局及び他部局の調査研究及び統計調査の結果を取りまとめ、文部省の所掌事務に関する年次報告、要覧、時報その他を編集し、及び頒布すること。
七 文部省の出版物の用語及び用語法を審査し、文体を定め、並びに体裁、意匠、さし絵及び図式に関する企画について他部局に対し、援助を与えること。
八 文部省が著作の名義を有する出版物の著作権を管理すること。
九 文部省が著作の名義を有する教科用図書その他の出版物、検定教科用図書及び文部省の奨励する事業のために必要な用紙及びその副資材の需要量を総合調整すること。
十 前号の用紙及びその副資材について、決定された割当量に基いて、その割当方針を立てること。
十一 文部省から用紙の割当を受ける出版物の印刷、製本その他に必要な基準を設定し、及びこれらの出版物の価格を法令の範囲内で認可すること。
十二 文部省の出版物の印刷及び刊行頒布に関して、他部局に対し、援助を与えること。
十三 文部省の必要とする外国出版物の購入又は交換に関する事務を処理すること。
十四 国語審議会の答申の実施について企画し、他の政府機関、教育機関その他と連絡して、国語の改良及びその普及をはかること。
十五 文部省の計画及び政策に関し、公報を準備し、及び普及すること。
十六 この局の所掌事務につき、法律によつて設置された審議会等に対し、事務的、技術的な援助を与えること。
十七 この局の所掌事務に関する法令案を作成すること。
十八 この局の所掌事務に関する予算案を準備すること。
十九 前各号に掲げるもののほか、この局の所掌事務に関し、文部省の権限として法令の定める事項を処理すること。
(管理局の事務)
第十二条 管理局においては、左の事務をつかさどる。
一 大学の設置、廃止及び設置者の変更の認可を行うこと。
二 文部省の所掌事務に関する法人の設立の認可等を行うこと。
三 著作権法(明治三十二年法律第三十九号)その他著作権に関する法令及び予約出版法(明治四十三年法律第五十五号)に基き文部省に属せしめられた事務を処理すること。
四 別に私立学校に関して規定する法律に基き文部省に属せしめられた事務を処理し、及び私立学校の運営について援助と助言を与え、又は関係部局に対し、勧告すること。
五 学校、研究機関、社会教育施設その他文部省の所掌事務に関する団体、機関の要求する施設の建設、復旧、維持及び運営並びに実習、実験及び研究等のための統制物資の需要量を取りまとめ、その需要計画を作成して関係行政機関に要求すること。
六 決定された割当量に基いて、前号の団体、機関に対するそれぞれの物資の割当計画を作成し、及び割当、配分を行うこと。
七 前二号のほか、入手困難な物資に関し、第五号の団体、機関に対し、その入手についてあつ旋すること。
八 学校施設の基準の設定について、関係部局に対し、勧告し、及び学校施設の復旧整備に関し、教育委員会その他の機関に対し、援助と助言を与えること。
九 他部局と協力して、教育用品の規格を設定し、及び教育用品の解説目録を作成すること。
十 学校施設の確保に関する政令(昭和二十四年政令第三十四号)に基き文部省に属せしめられた事務を処理すること。
十一 国費の支弁に属する学校施設の復旧整備工事を行うこと。
十二 この局の所掌事務につき、法律によつて設置された審議会等に対し、事務的、技術的な援助を与えること。
十三 この局の所掌事務に関する法令案を作成すること。
十四 この局の所掌事務に関する予算案を準備すること。
十五 前各号に掲げるもののほか、この局の所掌事務に関し、文部省の権限として法令の定める事項を処理すること。
2 教育施設部においては、前項第五号から第十一号までに掲げる事務及びこれらに関する所掌事務につき第十二号から第十五号までに掲げる事務に相当する事務をつかさどる。
第二節 国立の学校その他の機関
(国立の学校等)
第十三条 文部大臣の所轄の下に、国立の学校及び左の機関を置く。
国立教育研究所
国立博物館
国立科学博物館
緯度観測所
統計数理研究所
国立遺伝学研究所
国立国語研究所
日本芸術院
(評議員会)
第十四条 前条の機関のうち、国立教育研究所、国立博物館、国立科学博物館、統計数理研究所及び国立遺伝学研究所にそれぞれ評議員会を置く。
2 評議員会は、それぞれの機関の事業計画、経費の見積、人事その他の運営管理に関する重要事項について、それぞれの機関の長に助言する。
3 それぞれの機関の長は、評議員会の推薦により、文部大臣が任命する。
4 評議員会は、二十人以内の評議員で組織する。
5 評議員は、学識経験のある者のうちから、文部大臣が任命する。
6 評議員の推薦、任期その他評議員会の組織及び運営の細目については、政令で定める。
(国立の学校)
第十五条 国立の学校については、国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)の定めるところによる。(国立教育研究所)
第十六条 国立教育研究所は、教育に関する実際的、基礎的研究調査を行う機関とする。
2 国立教育研究所の内部組織は、文部省令で定める。
(国立博物館)
第十七条 国立博物館は、美術品及び歴史資料を収集、保存して公衆の観覧に供し、あわせてこれに関連する調査研究及び事業を行う機関とする。
2 国立博物館は、東京都に置く。
3 国立博物館に奈良分館を置く。
4 国立博物館に美術研究所を置き、美術に関する調査研究を行わしめる。
5 国立博物館の内部組織は、文部省令で定める。
(国立科学博物館)
第十八条 国立科学博物館は、自然科学及びその応用に関する資料を収集、保存して公衆の観覧に供し、あわせてこれに関連する調査研究及び事業を行う機関とする。
2 国立科学博物館は、東京都に置く。
3 国立科学博物舘の内部組織は、文部省令で定める。
(緯度観測所)
第十九条 緯度観測所は、緯度変化の観測、計算及びその研究に関することをつかさどる機関とする。
2 緯度観測所は、岩手県に置く。
3 緯度観測所の内部組織は、文部省令で定める。
(統計数理研究所)
第二十条 統計数理研究所は、統計に関する数理及びその応用の研究をつかさどり、あわせてその研究の連絡及び促進をはかる機関とする。
2 統計数理研究所に附属統計技術員養成所を置き、統計技術員を養成せしめる。
3 統計数理研究所の内部組織は、文部省令で定める。
(国立遺伝学研究所)
第二十一条 国立遺伝学研究所は、遺伝に関する学理の総合研究及びその応用の基礎的研究をつかさどり、あわせて遺伝学研究の指導、連絡及び促進をはかる機関とする。
2 遺伝学研究所の内部組織は、文部省令で定める。
(国立国語研究所)
第二十二条 国立国語研究所については、国立国語研究所設置法(昭和二十三年法律第二百五十四号)の定めるところによる。
(日本芸術院)
第二十三条 日本芸術院は、芸術上の功績顕著な芸術家を優遇するために置かれる機関とする。
2 日本芸術院会員には、予算の範囲内で、文部大臣の定めるところにより、年金を支給することができる。
3 日本芸術院の内部組織、会員その他職員及び運営については、政令で定める。
(審議会等)
第二十四条 第十三条に掲げるもののほか、本省に左表の上欄に掲げる機関を置き、その設置の目的は、それぞれ下欄に記載する通りとする。
種類 |
目的 |
教職員適格審査会 |
教職員の除去、就職禁止等に関する政令(昭和二十二年政令第六十二号)に基き文部大臣の定める範囲の教育職員及び教育関係公務員等の適格審査を行うこと。 |
中央教職員適格審査会 |
教職員の除去、就職禁止等に関する政令に基き教職不適者と判定された者の再審査及び教職不適者と指定された者の請求による恩給、手当等の復活の審査並びに同令附則第四項の規定に基く審査を行うこと。 |
教育課程審議会 |
教育課程に関する事項を調査研究し、及び審議すること。 |
職業教育及び職業指導審議会 |
職業教育及び学校が行う職業指導に関する事項を調査審議すること。 |
通信教育審議会 |
文部大臣の諮問に応じて通信教育の認可、優良な通信教育の認定、通信教育用図書の検定その他通信教育に関する重要事項を調査審議すること。 |
保健体育審議会 |
学校における保健、衛生教育及び体育、学校給食並びに運動競技に関する事項を調査審議すること。 |
学徒厚生審議会 |
奨学及び学徒の厚生援護に関する事項を調査審議すること。 |
教職員養成審議会 |
教育職員の養成制度及び現職教育に関する事項を調査審議すること。 |
学術奨励審議会 |
学術の奨励及び普及に関する事項を調査審議すること。 |
測地学審議会 |
測地学及び政府機関における測地事業計画に関する事項を審議すること。 |
社会教育審議会 |
公民教育、婦人教育その他社会教育一般に関する事項を調査審議すること。 |
青少年教育審議会 |
青少年団体、青少年の不良化防止及び教護並びに児童文化その他児童等の校外生活に関する事項を調査審議すること。 |
労働者教育審議会 |
労働者教育に関する事項を調査審議すること。 |
国宝保存会 |
文部大臣の諮問に応じて国宝保存法(昭和四年法律第十七号)に規定する事項その他国宝の保存に関する重要事項を調査審議すること。 |
重要美術品等調査審議会 |
文部大臣の諮問に応じて重要美術品等の保存に関する法律(昭和八年法律第四十三号)第一条の規定による輸出及び移出の許否並びに同法第二条の規定による認定及びその取消に関する事項その他重要美術品等の保存に関する重要事項を調査審議すること。 |
史跡名勝天然記念物調査会 |
文部大臣の諮問に応じて史跡名勝天然記念物の保存に関する重要事項を調査審議すること。 |
国語審議会 |
国語に関する事項を調査審議すること。 |
大学設置審議会 |
文部大臣の諮問に応じて大学設置の認可及び博士その他の学位に関する事項を調査審議すること。 |
著作権審査会 |
文部大臣の諮問に応じて著作権法第二十二条ノ五第二項又は第二十七条第二項の規定による償金の額について調査審議すること。 |
教科用図書審議会 |
教科用図書に関する重要事項を調査審議すること。 |
2 前項に掲げる機関の分科会、内部組織、所掌事務及び委員その他の職員については、他の法律(これに基く命令を含む。)に別段の定がある場合を除くほか、政令で定める。
第三節 地方支分部局
第二十五条 本省に左の地方支分部局を置く。
文部省教育施設部出張所
(所掌事務)
第二十六条 文部省教育施設部出張所は、管理局教育施設部の所掌事務を分掌する。
(名称、位置及び管轄区域)
第二十七条 文部省教育施設部出張所の名称、位置及び管轄区域は、左の通りとする。
名称 |
位置 |
管轄区域 |
文部省教育施設部札幌出張所 |
|
|
文部省教育施設部仙台出張所 |
|
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
文部省教育施設部東京出張所 |
|
東京都、茨城県、群馬県、栃木県、埼玉県、千葉県、神奈川県、山梨県、新潟県、長野県 |
文部省教育施設部名古屋出張所 |
|
岐阜県、愛知県、静岡県、三重県、富山県、石川県 |
文部省教育施設部大阪出張所 |
|
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、福井県 |
文部省教育施設部広島出張所 |
|
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県 |
文部省教育施設部高松出張所 |
|
徳島県、香川県、愛媛県、高知県 |
文部省教育施設部福岡出張所 |
|
福岡県、長崎県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
(内部組織)
第二十八条 各文部省教育施設部出張所の内部組織は、文部省令で定める。
第三章 職員
(職員)
第二十九条 文部省に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他の人事管理に関する事項については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)及びその特例に関して規定する法律の定めるところによる。
(定員)
第三十条 文部省に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。
附 則
1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。
2 左の勅令及び政令は、廃止する。但し、法律(これに基く命令を含む。)に別段の定がある場合を除くほか、従前の機関及び職員は、この法律に基く相当の機関及び職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
文部省官制(昭和十七年勅令第七百四十八号)
文部省に調査局を置く勅令(昭和二十一年勅令第五百八十九号)
文部部内臨時職員等設置制(大正九年勅令第二百九十三号)
教育研修所官制(昭和二十年勅令第五百七十二号)
国立博物館官制(昭和二十二年政令第八号)
東京科学博物館官制(大正十年勅令第二百八十六号)
緯度観測所官制(大正九年勅令第四百八十二号)
統計数理研究所官制(昭和十九年勅令第三百八十五号)
日本芸術院官制(昭和十二年勅令第二百八十号)
測地学委員会官制(明治三十一年勅令第八十四号)
史蹟名勝天然紀念物調査会官制(昭和十一年勅令第三百九十七号)
国語審議会官制(昭和九年勅令第三百三十一号)
教科用図書委員会官制(昭和二十二年政令第二百七十六号)
教員検定委員会官制(明治三十三年勅令第百三十五号)
3 前項但書の規定は、職員の定員に関する法律の適用に影響を及ぼすものではない。
4 この法律中「高等学校」には、学校教育法第九十八条第一項の従前の規定による中等学校を、「大学」には、同条同項の従前の規定による大学、高等学校、専門学校及び教員養成諸学校を含むものとする。
5 第八条第十号中「高等学校」は、当分の間、「中学校及び高等学校」と読み替えるものとする。
6 初等中等教育局においては、当分の間、学習指導要領を作成するものとする。但し、教育委員会において、学習指導要領を作成することを妨げるものではない。
7 初等中等教育局においては、昭和二十三年度において編修を計画した社会科、理科、国史、習字の教科用図書の編修が終るまでは、その編修を継続するものとする。
8 初等中等教育局においては、当分の間、文部省が著作の名義を有する教科用図書で年需要部数が一万部を越えるものについて、その改訂を行うものとする。
9 初等中等教育局においては、当分の間、盲ろう教育用等の特殊の教科用図書の編修及び改訂を行うものとする。
10 初等中等教育局においては、当分の間、学校給食に関する左の事務をつかさどる。
一 学校給食計画の運営に必要な食糧その他の物資の需要量を総合調整し、及び割当方針を立てること。
二 関係行政機関、教育委員会その他の関係機関との連絡を行い、及びその協力を求めること。
11 調査普及局においては、当分の間、初等教育、中等教育及び特殊教育用の教科用図書の発行の指示及び製造供給の承認等、教科書の発行に関する臨時措置法(昭和二十三年法律第百三十二号)に基き文部省に属せしめられた事務を処理するものとする。
12 管理局においては、当分の間、教科用図書の検定を行うものとする。
13 社会教育局においては、当分の間、北海道函市、京キ府舞鶴市及び長崎県佐世保市に所部の職員を派遣して、復員者その他一般引揚者に対する成人教育を行うものとする。
14 第十三条に掲げるもののほか、別に図書館に関して規定する法律が制定施行されるまで、文部大臣の所轄の下に、図書館職員養成所を置き、図書館の職員を養成せしめる。図書館職員養成所に関して必要な事項は、文部省令で定める。
15 国立図書館官制を廃止する等の政令(昭和二十四年政令第五十八号)の一部を次のように改正する。
第二条を次のように改める。
第二条 削除
16 第二十四条に掲げるもののほか、当分の間、本省に左表の上欄に掲げる審議会等を置き、その設置の目的は、それぞれ下欄に記載する通りとする。
種類 |
目的 |
教員検定審査会 |
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ローマ字調査審議会 |
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教科書出版資格審査会 |
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教科用図書検定調査会 |
文部大臣の諮問に応じて検定申請の教科用図書を調査すること。 |
17 前項に掲げる機関の分科会、内部組織、所掌事務及び委員その他の職員については、他の法律(これに基く命令を含む。)に別段の定がある場合を除くほか、政令で定める。
18 文部省教育施設部出張所は、臨時物資需給調整法(昭和二十一年法律第三十二号)の規定が効力を有する間、存続するものとする。
19 国立国語研究所設置法の一部を次のように改正する。
第十一条を削る。
(文部・内閣総理大臣署名)