証券取引法を改正する法律

法律第二十五号(昭二三・四・一三)

証券取引法目次

 第一章 総則

 第二章 有価証券の募集又は売出に関する届出

 第三章 証券業者

 第四章 証券業協会

 第五章 証券取引所

  第一節 設立及び組織

  第二節 会員

  第三節 管理

  第四節 有価証券市場における売買取引

  第五節 有価証券市場における売買取引の受託

  第六節 解散

  第七節 登記

  第八節 監督

 第六章 仲介

 第七章 証券取引委員会

 第八章 雑則

 第九章 罰則

   証券取引法

   第一章 総則

第一条 この法律は、国民経済の適切な運営及び投資者の保護に資するため、有価証券の発行及び売買その他の取引を公正ならしめ、且つ、有価証券の流通を円滑ならしめることを目的とする。

第二条 この法律において有価証券とは、左に掲げるものをいう。

 一 国債証券

 二 地方債証券

 三 特別の法律により法人の発行する債券

 四 担保付又は無担保の社債券

 五 特別の法律により設立された法人の発行する出資証券

 六 株券又は新株の引受権を表示する証書

 七 投資信託の受益証券

 八 外国又は外国法人の発行する証券又は証書で前各号の証券又は証書の性質を有するもの

 九 その他証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定める証券又は証書

  前項各号に掲げる有価証券に表示されるべき権利は、これについて当該有価証券が発行されていない場合においても、これを当該有価証券とみなす。

  この法律において有価証券の募集とは、不特定且つ多数の者に対し均一の条件で、あらたに発行される有価証券の取得の申込を勧誘することをいう。

  この法律において有価証券の売出とは、不特定且つ多数の者に対し均一の条件で、既に発行された有価証券の売付の申込をし、又はその買付の申込を勧誘することをいう。

  この法律において発行者とは、有価証券を発行し、又は発行しようとする者をいう。

  この法律において引受人とは、有価証券の発行に際し、これを売り出す目的を以て当該有価証券の発行者からその全部若しくは一部を取得する者、他に当該有価証券を取得する者がない場合にその残部を取得する契約をする者又は発行者のために当該有価証券の募集若しくは売出の取扱をする者その他直接又は間接に有価証券の募集又は売出を分担する者で、通常有価証券の売捌人に支払われる手数料を超える額の手数料、報酬その他の対価を受けるものをいう。

  この法律において有価証券届出書とは、第五条第一項の規定による届出書及び同条第三項の規定によりこれに添附する書類並びに第七条、第九条第一項又は第十条第一項の規定による訂正届出書をいう。

  この法律において証券業とは、銀行、信託会社その他証券取引委員会規則で定める金融機関以外の者が左に掲げる行為の一をなす営業をいう。

 一 有価証券の売買

 二 有価証券の売買の媒介、取次又は代理

 三 有価証券市場における売買取引の委託の媒介、取次又は代理

 四 有価証券の引受

 五 有価証券の売出

 六 有価証券の募集又は売出の取扱

  この法律において証券業者とは、この法律により証券業を営むことができることとなつた者をいう。

  この法律において目論見書とは、有価証券の募集又は売出のために、公衆に提供する当該有価証券の発行者の事業に関する説明を記載した文書をいう。但し、有価証券の銘柄、価格、数、引受人の名称、募集若しくは売出の取扱をする者の名称又は第十三条の規定による目論見書を提供する場所のみを表示するものは、目論見書でない。

  この法律において証券取引所とは、有価証券の売買取引を行うために必要な市場を開設することを目的とする者をいう。

  この法律において有価証券市場とは、有価証券の売買取引のために証券取引所の開設する市場をいう。

   第二章 有価証券の募集又は売出に関する届出

第三条 本章の規定は、前条第一項第一号乃至第三号及び第五号に掲げる有価証券については、これを適用しない。

  前条第一項第八号に掲げる有価証券のうち前項に掲げる有価証券の性質を有するもの及び同項第九号に掲げる有価証券のうち別に証券取引委員会規則で定めるものについても、また、前項と同様とする。

第四条 有価証券の募集又は売出は、発行者が当該有価証券に関し証券取引委員会に届け出で、且つ、その届出の効力が生じているものでなければ、これをすることができない。

  前項の規定は、証券取引委員会が当該有価証券の募集若しくは売出券面総額が僅少であること又はその公衆に提供される範囲が限定されていることにより前項の規定による届出が公益又は投資者保護のため必要でないと認めて証券取引委員会規則で定める有価証券については、これを適用しない。但し、募集又は売出券面総額が五百万円を超える有価証券については、この限りでない。

  第一項の規定の適用を除外される有価証券の目論見書には、証券取引委員会規則で定める様式により、当該有価証券が同項の規定の適用を除外されている旨を記載しなければならない。

第五条 前条第一項の規定による届出をしようとする発行者は、その者が会社である場合(当該有価証券の発行により会社を設立する場合を含む。)においては、証券取引委員会規則で定める様式により、左に掲げる事項を記載した届出書三通を証券取引委員会に提出しなければならない。

 一 目的、商号及び資本又は出資に関する事項

 二 本店、支店、工場又は事業場の名称及び所在の場所

 三 事業

 四 役員(取締役、監査役又はこれに準ずべき者をいう。以下同じ。)の氏名及び住所並びにその有する当該会社の発行する株式の種類及び数又はその者が当該会社に対してなした出資の額

 五 発起人の氏名及び住所並びにその引き受ける株式の種類及び数

 六 当該有価証券の引受人の氏名又は名称及び住所

 七 自己又は他人(仮設人を含む。)の名義を以て資本金額(出資総額、株金総額又は出資総額及び株金総額の合計額をいう。以下同じ。)の百分の十以上の金額に相当する当該会社の株式を有し、又は出資をしている株主又は出資者(以下主要株主という。)の氏名又は 名称及び住所並びに当該株主の有する株式の種類及び数又は当該出資者の出資の額

 八 当該有価証券の銘柄、券面額及び発行数株式については、数種の株式がある場合においては、その各種の株式の内容及び数、社債については、その利率、償還の方法及び期限、利息支払の方法及び期限並びに担保の種類、目的物及び順位、先順位の担保を附けた債権の金額その他担保の目的物に関し担保権者に対抗する権利

 九 当該有価証券の募集又は募集の委託の条件

 十 当該有価証券の引受人に支払う手数料、報酬その他の対価その他発行に関し会社が負担すべき費用の概算額

 十一 当該有価証券の発行価額の総額から前号の費用の概算額を控除した額及びその使用の目的並びにその資金を以て事業の買収に充てるときは、その事業の業務及び財産の概要

 十二 当該会社の発行した有価証券(第八号に掲げるものを除く。)の銘柄、券面額、発行数及び最近三事業年度末における価格

 十三 役員その他の者(使用人を除く。)に対し届出前一年内において支払つた報酬の総額及び同期間内において合計二十万円を超える報酬を受けた者の氏名及び報酬の額

 十四 当該会社から十万円を超える金額の貸付を受けている役員又は使用人の氏名及び貸付金額

 十五 発起人が受け又は受けるべき特別利益の内容及びその者の氏名

 十六 現物出資をなし又はなした者の氏名、出資の目的たる財産の種類、その価額及びこれに対して与え又は与えた株式の種類及び数

 十七 会社の成立後に譲り受けることを約した財産の種類、その価額及び譲渡人の氏名

 十八 営業の全部又はその主要な部分の賃貸借又は経営の委任、他人と営業上の損益全部を共通にする契約その他これに準ずる契約(通常の業務としてなすものを除く。)の内容

 十九 前各号に掲げるものの外目論見書に記載しようとする事項

  前項の届出書は、発起人又は役員(外国会社については、商法第四百七十九条第二項に規定する代表者)の全員がこれに署名又は記名押印したものでなければならない。

  第一項の規定による届出書には、左に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 定款

 二 株式申込証又は社債申込証

 三 目論見書

 四 届出前九十日以内の日の現在における貸借対照表

 五 最近三事業年度の損益計算書

 六 第一項第十八号に掲げる契約書の写

  外国会社が提出せる届出書については、証券取引委員会規則で定めるところにより、これに 記載すべき事項又は添附すべき書類を省略することができる。

第六条 第四条第一項の規定による届出をしようとする者は、届出に際し、手数料を納めなけれ ばならない。

  前項の手数料は、募集又は売出券面総額の万分の一に相当する金額とし、その額が五百円未 満の場合においては、これを五百円とする。

  第一項の手数料は、前条に規定する届出書のうち一通に、手数料の金額に相当する額の収入 印紙をはつて、これを納めなければならない。

第七条 第五条第一項又は第三項の規定による届出書類のうちに、訂正を必要とするものがある ときは、届出者(会社成立後は、その会社)は訂正届出書を証券取引委員会に提出しなければならない。

  第五条第二項の規定は、前項の規定による訂正届出書に、これを準用する。

第八条 第四条第一項の規定による届出は、証券取引委員会が第五条第一項の規定による届出書 を受理した日から三十日を経過した日に、その効力を生ずる。

  前項の期間内に前条の規定による訂正届出書の提出があつた場合においては、証券取引委員 会がこれを受理した日に、第五条第一項の規定による届出書の受理があつたものとみなす。

  証券取引委員会は、第五条第一項第三項又は前条の規定による届出書類の記載によつて当該 有価証券の内容が公衆に容易に理解されると認める場合においては、第一項に規定する期間に満たない期間を指定することができる。この場合においては、第四条第一項の規定に よる届出は、その期間を経過した日に、その効力を生ずる。

  第二項の規定は、前項の規定による期間の指定があつた場合に、これを準用する。

第九条 証券取引委員会は、第五条第一項第三項又は第七条の規定による届出書類に形式上の不 備があり、又はその書類に記載すべき重要な事項の記載が不十分であると認めるときは、届出者に通知して審問を行つた後、理由を示し訂正届出書の提出を命ずることができる。

  前項の規定による処分があつた場合においては、第四条第一項の規定による届出は、前条の 規定にかかわらず、証券取引委員会が指定する期間を経過した日に、その効力を生ずる。

  前条第二項乃至第四項の規定は、前項の場合に、これを準用する。

  第一項の規定による処分は、第四条第一項の規定による届出がその効力を生ずることとなつ た日以後は、これをなすことができない。

第十条 証券取引委員会は、有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又 は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の記載が欠けていることを発見したときは、何時でも、届出者に通知して審問を行つた後、理由を示 し、訂正届出書の提出を命じ、必要があると認めるときは、第四条第一項の規定による届出の効力の停止を命ずることができる。

  前条第二項及び第三項の規定は、第四条第一項の規定による届出がその効力を生ずることと なる日前に前項の規定による訂正届出書の提出命令があつた場合に、これを準用する。

  第一項の規定による停止命令があつた場合において、同項の規定による訂正届出書が提出さ れ、且つ、証券取引委員会がこれを適当と認めたときは、証券取引委員会は、同項の規定による停止命令を解除するものとする。

第十一条 第五条第二項の規定は、前二条の訂正届出書に、これを準用する。

第十二条 第四条第一項の規定による届出がその効力を生じた日以後において提出される第七条 の規定による訂正届出書については、証券取引委員会がその形式に不備がなく、且つ、重要な事項について記載が十分であると認める場合においては、証券取引委員会が指定する 日に、訂正の効力を生ずる。

第十三条 第四条第一項の規定による届出がその効力を生じた有価証券の発行者は、当該有価証 券の募集又は売出に際し、目論見書を作成しなければならない。

  前項の目論見書は、有価証券届出書のうち第五条第一項に掲げる事項について記載された内 容と同一の内容を記載したものでなければならない。

  前項の規定により目論見書に記載すべき事項のうち証券取引委員会が公益又は投資者保護の ため必要でないと認めて証券取引委員会規則で定めるものは、これを省略することができる。

  証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規 則で定める事項については、これに関する内容を目論見書に記載しなければならない。

  何人も、有価証券の募集又は売出のために、第二項若しくは前項の規定により記載すべき内 容と異なる内容を記載した目論見書を使用し、又は第二項若しくは前項の規定により記載すべき内容と異なる内容の表示をしてはならない。

  前項の規定は、第二条第十項但書に掲げる事項のみを表示することを妨げるものではない。

第十四条 有価証券に関し第四条第一項の規定による届出がその効力を生じた日から一年を経過 した後において使用される当該有価証券に関する目論見書に記載されるべき内容については、前条第二項の規定は、これを適用しない。この場合においては、当該目論見書に記載 されるべき内容は、その使用前一年以内の日の現在の事実に合致したものでなければならない。

  前条第三項乃至第六項の規定は、前項の場合に、これを準用する。

第十五条 何人も、有価証券に関し第四条第一項の規定による届出がその効力を生じているので なければ、当該有価証券を取得させ若しくはその取得の申込をし、又は売付若しくは売付後の受渡のためにこれを交付してはならない。

  何人も、第四条第一項の規定による届出がその効力を生じた有価証券については、第十三条 の規定に適合する目論見書を予め又は同時に交付するのでなければ、これを取得させ、又は売付のためにこれを交付してはならない。

  前二項の規定は、左に掲げる場合については、これを適用しない。

 一 有価証券の発行者、売出をなす者、引受人又は証券業者のいずれでもない者がなす場合

 二 有価証券の発行者又はその売出をなす者が募集又は売出によらないでなす場合

 三 証券業者又は当該有価証券の引受人であつた者がなす場合で、左の各号に該当する以外の もの

  イ 当該有価証券に関し第四条第一項の規定による届出がその効力を生じた日以後一年(第 十条第一項の規定による停止命令があつた場合においては、当該停止命令があつた日からその解除があつた日までの期間は、これを算入しない。)以内においてなす場合

  ロ 有価証券の募集又は売出を分担する者であつた場合において、自己が引き受けた部分に ついてなす場合

 四 証券業者が顧客の委託に基いてなす場合 但し、その委託が当該証券業者の勧誘に基く場 合は、この限りでない。

第十六条 第四条第一項又は前条の規定に違反して有価証券を取得させた者は、これを取得した 者に対し当該違反行為に因り生じた損害を賠償する責に任ずる。

第十七条 重要な事項について虚偽の表示があり、又は表示すべき重要な事項若しくは誤解を生 ぜしめないために必要な重要な事実の表示が欠けている目論見書その他の表示を使用して有価証券を取得させた者は、表示が虚偽であり、又は欠けていることを知らないで当該有 価証券を取得した者が受けた損害を賠償する責に任ずる。但し、賠償の責に任ずべき者が、表示が虚偽であり、又は欠けていることを知らず、且つ、相当な注意を用いたにもかか わらず知ることができなかつたことを証明したときは、この限りでない。

第十八条 有価証券届出書のうちに、重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重 要な事項若しくは誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、左の各号に掲げる者は、当該有価証券を取得した者に対し、連帯して損害賠償の責に任 ずる。但し、当該有価証券を取得した者がその取得の申込の際記載が虚偽であり、又は欠けていることを知つていたときは、この限りでない。

 一 有価証券届出書の届出者

 二 有価証券届出書に署名又は記名押印した者

 三 当該発行者である会社の役員候補者としてその氏名がその者の同意を得て有価証券届出書 に記載された者

 四 技術者、鑑定人その他の専門家(以下専門家という。)であつて、有価証券届出書の作成 に関して使用される資料、報告若しくは鑑定を提供し、又は有価証券届出書の記載の一部が真実であることを保証したものとしてその氏名がその者の同意を得て有価証券届出書に 記載された者 但し、自己の提供し、又は保証した部分についてのみ、その責に任ずる。

 五 当該有価証券の引受人但し、第四条第一項の規定による届出がその効力を生じた日以後に 当該有価証券の引受人となつた場合においては、有価証券届出書のうち引受人となつた日の現在及びその日後の記載についてのみ、その責に任ずる。

  当該有価証券の発行者が第四条第一項の規定による届出がその効力を生じた日(その日が会 社成立の日以前であるときは、会社成立の日)以後一年間の損益計算を含む損益計算書を公表した場合においては、その公表の後に当該有価証券を取得した者は、その者が有価証 券届出書のうち重要な事項についての虚偽の記載を信じ、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の記載が欠けていることを知らないで当 該有価証券を取得したことを証明しなければ、前項の規定による賠償を請求することができない。

第十九条 前条の規定により賠償の責に任ずべき者で当該有価証券の発行者以外の者は、左に掲 げる事項の一を証明した場合においては、同条の規定による賠償の責に任じない。

 一 その者が、有価証券届出書のうちその者が責に任ずべき部分について届出の効力が生ずる 日前に同条第二号第三号に規定する地位を辞し、第三号第四号に規定する同意を撤回し、又は第五号に規定する引受人となる契約を解除し、且つ、その旨及び有価証券届出書のう ち当該部分について責に任じない旨を書面を以て証券取引委員会及び当該有価証券の発行者に通知したこと

 二 その者が、有価証券届出書のうちその者が責に任ずべき部分について届出の効力が生じた ことを知らなかつた場合においては、届出の効力が生じた旨を知つた後遅滞なく、同条第二号第三号に規定する地位を辞し、第三号第四号に規定する同意を撤回し、又は第五号に 規定する引受人となる契約を解除し、且つ、その旨及び有価証券届出書のうち当該部分について責に任じない旨を書面を以て証券取引委員会及び当該有価証券の発行者に通知し及 び広告したこと

 三 その者が、有価証券届出書のうち専門家の提供した資料、報告若しくは鑑定に基いて作成 された部分、専門家がその記載について真実であることを保証した部分及び公務員の陳述又は公文書に基いて作成された部分のいずれでもない部分について、作成前相当な調査を した上、その記載が真実であり、又、記載すべき重要な事項及び誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の記載が欠けていなかつたと信じ、且つ、信じたことに十分な理由が あつたこと

 四 専門家が、有価証券届出書のうち自己の提供した資料、報告若しくは鑑定に基いて作成さ れた部分又は自己がその記載について真実であることを保証した部分について、作成前相当な調査をした上、その記載が真実であり、又、記載すべき重要な事項及び誤解を生ぜし めないために必要な重要な事実の記載が欠けていなかつたと信じ、且つ、信じたことに十分な理由があつたこと、又はその部分が自己の提供した資料、報告若しくは鑑定の内容と 異なり若しくはこれを十分に表わしていなかつたこと

 五 その者が、有価証券届出書のうちその者以外の専門家の提供した資料、報告若しくは鑑定 に基いて作成された部分又はその者以外の専門家がその記載について真実であることを保証した部分について、虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生ぜ しめないために必要な重要な事実の記載が欠けていたこと、又、その部分がその者以外の専門家の提供した資料、報告若しくは鑑定の内容と異なり、又はこれを十分に表わしてい なかつたことを知らず、且つ、信ずべき十分な理由がなかつたこと

 六 その者が、有価証券届出書のうち公務員の陳述又は公文書に基いて作成された部分につい て、虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の記載が欠けていたこと、又、その部分が公務員の陳述若しくは公文書の 内容と異なり、又はこれを十分に表わしていなかつたことを知らず、且つ、信ずべき十分な理由がなかつたこと

第二十条 第十八条第一項の規定により賠償の責に任ずべき額は、請求権者が当該有価証券の取 得について支払つた額(当該有価証券の募集価格又は売出価格に取得した有価証券の数を乗じた額を超えないものとする。)から左の各号の一に掲げる額を控除した額とする。

 一 当該有価証券の事実審の口頭弁論終結の時における市場価額(市場価額がないときは、そ の時における処分推定価額)

 二 前号の時前に当該有価証券を処分した場合においては、その処分価額

  第十八条第一項の規定により賠償の責に任ずべき者は、当該請求権者が受けた損害の額の全 部又は一部が有価証券届出書のうちその者が責に任ずべき部分について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の記載 が欠けていたことに因つて生ずべき当該有価証券の値下り以外の事情に因り生じたことを証明した場合においては、その全部又は一部については、賠償の責に任じない。

第二十一条 第十八条第一項の規定による賠償の請求権は、請求権者が有価証券届出書のうち重 要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の記載が欠けていたことを知つた時、又は相当な注意を以て 知ることができる時から一年間、これを行わないときは、消滅する。当該有価証券に関し第四条第一項の規定による届出がその効力を生じた時から三年間(第十条第一項の規定に よる停止命令があつた場合においては、当該停止命令があつた日からその解除があつた日までの期間は、これを算入しない。)、これを行わないときも、また、同様とする。

第二十二条 第十八条第一項各号に掲げる者の名義の株式を実質的に有する等の方法によつてそ の者を支配する者は、同条同項各号に掲げる者と連帯して同条の規定による賠償の責に任ずる。但し、支配する者が、その支配を受ける者が賠償の責に任ずべき原因となる事実が あることを知らず、且つ、知らなかつたことに十分な理由があつたことを証明したときは、この限りでない。

  前項の場合においては、第十八条第一項各号に掲げる者を支配する者は、これを同条同項各 号に掲げる者とみなす。

第二十三条 何人も、有価証券に関し第四条第一項の規定による届出があり、且つ、その効力が 生じたこと、又は第十条第一項の規定による停止命令が解除されたことを以て、証券取引委員会が当該届出に係る有価証券届出書の記載が真実且つ正確であり若しくはそのうちに 重要な事項の記載が欠けていないことを認定し、又は当該有価証券の価値を保証若しくは承認したものであるとみなすことができない。

  何人も、前項の規定に違反する表示をすることができない。

第二十四条 第四条第一項の規定による届出がその効力を生じた有価証券の発行者は、事業年度 ごとに、証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定める様式により、当該有価証券に関する報告書を作成し、毎事業年度経 過後二箇月以内に、これを証券取引委員会に提出しなければならない。

  第七条、第九条第一項及び第十条第一項の規定は、前項の規定による報告書について、これ を準用する。

第二十五条 有価証券届出書及び前条の規定による報告書は、証券取引委員会規則で定めるとこ ろにより、証券取引委員会にこれを備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。

  有価証券の発行者がその事業上の秘密の保持の必要により前項に規定する書類の一部につい て公衆の縦覧に供しないことを証券取引委員会に申請し、証券取引委員会が当該申請を承認した場合においては、前項の規定にかかわらず、その一部は、公衆の縦覧に供しないも のとする。

  何人も、命令の定める額の手数料を納め、第一項に規定する書類の謄本又は抄本の交付を請 求することができる。但し、前項の規定により公衆の縦覧に供しない部分については、この限りでない。

第二十六条 証券取引委員会は、公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めるとき は、有価証券届出書の届出者若しくは有価証券の引受人その他の関係者に対し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該官吏をしてその者の帳簿書類その他の物件 を検査させることができる。

第二十七条 第五条乃至第十四条、第十八条乃至第二十三条及び前二条の規定は、発行者が会社 以外の者である場合に、これを準用する。この場合において、必要な事項は、証券取引委員会規則で、これを定める。

   第三章 証券業者

第二十八条 証券業は、証券取引委員会に備える証券業者登録原簿に登録された者でなければ、 これを営んではならない。

  証券業を営もうとする者は、左に掲げる事項を記載した登録申請書を証券取引委員会に提出 しなければならない。

 一 商号

 二 本店その他の営業所又は代理店の名称及び所在の場所

 三 会社であるときは、その資本金額及び役員の氏名

 四 個人であるときは、その者の氏名

  前項の登録申請書には、左に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 会社であるときは、定款、会社登記簿の謄本、主要株主の氏名又は名称及びその有する株 式の数又はその者のなした出資の金額を記載した書面、役員の履歴書、戸籍謄本及びその者が第三十一条第一号、第二号及び第四号の規定に該当しないことを誓約する書面、直前 事業年度の貸借対照表及び損益計算書並びに証券取引委員会規則で定める様式により作成した営業用純資本額に関する調書(以下営業用純資本額調書という。)

 二 個人であるときは、その者及び法定代理人の履歴書、戸籍謄本及び第三十一条第一号、第 二号、第四号及び第五号の規定に該当しないことを誓約する書面並びに営業用純資本額調書

 三 代理店があるときは、代理店契約書の写

  前項第一号又は第二号の営業用純資本額調書は、登録申請日前三十日以内の日の現在におい て作成したものでなければならない。

第二十九条 前条の規定による登録の申請があつた場合においては、第三十一条又は第三十五条 の規定により登録を拒否する場合の外、証券取引委員会は、登録申請書を受理した日から三十日を経過した日又は証券取引委員会が三十日に満たない期間を定めて当該登録申請者 に通知した場合にはその期間を経過した日において、証券業者登録原簿に左に掲げる事項を登録する。

 一 商号

 二 本店その他の営業所又は代理店の名称及び所在の場所

 三 会社であるときは、その資本金額及び役員の氏名

 四 個人であるときは、その者の氏名

 五 登録年月日

第三十条 証券取引委員会は、前条の規定による登録をした場合においては、遅滞なくその旨を 登録申請者に通知しなければならない。

  前項の通知を受けた者は、通知を受けた日から三十日以内に、命令の定めるところにより登 録手数料を納め、且つ、営業保証金を供託しなければならない。

  登録申請者は、営業保証金の供託をしたときは、遅滞なく供託受領証の写を添附して、その旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

  登録申請者は、登録手数料を納め、且つ、営業保証金を供託した後でなければ、証券業を営んではならない。

  第二項に規定する期間内に同項の規定による納付及び供託をしない者については、証券取引委員会は、その者に通知して審問を行つた後、その登録を取り消すことができる。

第三十一条 証券取引委員会は、登録申請者が左の各号の一に該当するとき、又は登録申請書若しくはその添附書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、登録申請者に通知して審問を行つた後、その登録を拒否しなければならない。

 一 破産者で復権を得ないもの

 二 禁錮以上の刑又はこの法律により罰金の刑に処せられ、その執行を終つた後又は執行を受けることがないこととなつた日から五年を経過するまでの者

 三 この法律の規定により登録を取り消され、取消の日から五年を経過するまでの者

 四 第百八十七条の規定による裁判所の命令を受けた後一年を経過するまでの者

 五 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者でその法定代理人が前各号の一に該当するもの

 六 会社でその役員のうちに第一号乃至第四号の一に該当する者のあるもの

 七 他の証券業者が現に使用する商号と同一の商号を当該証券業者の許諾を得ないで使用しようとする者

第三十二条 証券業者は、第二十八条第二項各号に掲げる事項について変更があつたときは、遅滞なくその旨の変更届出書を証券取引委員会に提出しなければならない。

  前項の場合においては、その変更を証する書面を変更届出書に添附しなければならない。但し、その変更が本店及び支店以外の営業所又は代理店の名称又は所在の場所に関するものであるときは、この限りでない。

  第一項の規定による変更の届出が、あらたに就任した役員に係るものであるときは、当該役員の履歴書、戸籍謄本及びその者が第三十一条第一号、第二号及び第四号の規定に該当しないことを誓約する書面を、あらたに代理店を設置したことに係るものであるときは、当該代理店契約書の写を変更届出書に添附しなければならない。

  第二十九条、第三十条第一項及び前条の規定は、第一項の規定による変更の届出について、これを準用する。

第三十三条 証券業者は、あらたに支店その他の営業所を設置した場合において、証券取引委員会から変更の通知を受けたときは、通知を受けた日から三十日以内に、当該営業所についての営業保証金を供託しなければならない。

  第三十条第三項乃至第五項の規定は、前項の場合において、これを準用する。

第三十四条 証券業者の負債総額のその営業用純資本額に対する比率は、証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて二十倍の限度内において証券取引委員会規則で定める率を超えてはならない。

  前項の規定において、営業用純資本額は左の一に掲げる資産の合計金額から左の二に掲げる負債の合計金額を控除した額とし、負債総額は左の二に掲げる負債の合計金額とする。

 一 資産

  イ 現金

  ロ 預け金

  ハ 所有有価証券(借入金の担保に供している国債証券及び地方債証券を除く。)

  ニ 貸付有価証券

  ホ 預け有価証券

  へ 保管有価証券

  ト 営業保証金、会員信認金その他の保証金

  チ 有価証券の売買その他の取引に因り生じた顧客に対する貸残高

  リ 貸付金

  ヌ 未収入金

  ル その他土地、建物、備品器具、営業権その他の固定資産を除き証券取引委員会規則で定める資産

 二 負債

  イ 借入金(土地、建物その他の固定資産、国債証券又は地方債証券を担保とするものを除く。)

  ロ 借入有価証券

  ハ 預り有価証券

  ニ 有価証券の売買その他の取引に因り生じた顧客に対する借残高

  ホ 預り金

  ヘ 未払金

  ト その他証券取引委員会規則で定める負債

  前項の資産及び負債の評価基準は、証券取引委員会規則で、これを定める。

第三十五条 証券取引委員会は、登録申請者の負債総額のその営業用純資本額に対する比率が前条第一項の規定により証券取引委員会規則で定める率を超える場合においては、登録申請者に通知して審問を行つた後、その登録を拒否しなければならない。

第三十六条 証券取引委員会は、第三十一条又は前条の規定により登録を拒否した場合においては、遅滞なく理由を示しその旨を登録申請者に通知しなければならない。

第三十七条 証券業者は、営業を開始したときは、遅滞なくその旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

第三十八条 証券取引委員会は、証券業者が証券業を営むことができることとなつた日から三箇月以内に営業を開始しないとき、又は引続き三箇月以上その営業を休止したときは、当該証券業者に通知して審問を行つた後、その登録を取り消すことができる。

第三十九条 証券取引委員会は、証券業者が第三十一条第一号、第二号又は第四号乃至第七号の一に該当することとなつたとき、又は登録当時同条各号の一に該当していたことが発見されたときは、当該証券業者に通知して審問を行つた後、その登録を取り消さなければならない。

  証券取引委員会は、不正の手段により第二十九条の規定による登録を受けた者のあることを発見したときは、当該証券業者に通知して審問を行つた後、その登録を取り消すことができる。

第四十条 証券取引委員会は、証券業者の負債総額のその営業用純資本額に対する比率が第三十四条第一項の規定により証券取引委員会規則で定める率を超えることとなつたときは、当該証券業者に通知して審問を行つた後、理由を示しその営業の停止を命じなければならない。

  前項の場合において、当該証券業者が六箇月以内に第三十四条の規定に適合することとなつたときは、証券取引委員会は、前項の規定による命令を取り消さなければならない。

  第一項の場合において、当該証券業者が六箇月以内に第三十四条の規定に適合することとならないときは、証券取引委員会は、当該証券業者に通知して審問を行つた後、当該証券業者の登録を取り消さなければならない。

第四十一条 第三十条第二項に規定する営業保証金の額は、当該証券業者の本店については十万円、支店その他の営業所については営業所ごとに五万円とする。

  営業保証金は、証券取引委員会規則で定めるところにより、国債証券を以て、これに充てることができる。

  営業保証金の供託は、当該証券業者の本店の所在地を管轄する司法事務局に、これをしなければならない。

  証券業者と証券業に関し取引をした者は、その取引に因り生じた債権に関し、営業保証金について、他の債権者に先だち弁済を受ける権利がある。

第四十二条 証券業者又はその代理店は、営業所又は代理店ごとに、その見易い箇所に、証券取引委員会規則で定める標識を掲げなければならない。

第四十三条 証券業者が同一の商号により証券業以外の営業を営もうとするときは、証券取引委員会の承認を受けなければならない。

  前項の場合において、証券取引委員会は、当該証券業者が証券業以外の営業を営むことに因 りその支払能力が薄弱となりその他投資者の保護に欠けることとなる虞があると認めるときは、当該証券業者に通知して審問を行つた後、理由を示し前項の承認を与えないことが できる。

第四十四条 証券業者は、その代理店がその証券業者のためなした有価証券の売買その他の取引の取扱につき損害を与えた者に対し、その損害を賠償する責に任じなければならない。

第四十五条 証券業者は、社債募集の受託会社となることができない。

  証券業者は、他の法律の規定にかかわらず、すべて引受人となることができる。

第四十六条 証券業者は、顧客から有価証券の取引に関する注文を受けたときは、予めその者に対し自己がその相手方となつて当該売買を成立せしめるか、又は媒介し、取次し、若しくは代理して当該売買を成立せしめるかの別を明かにしなければならない。

第四十七条 証券業者は、有価証券に関する同一の売買について、その本人となると同時に、その相手方の取次をなす者又は代理人となることができない。

第四十八条 証券業者は、有価証券の売買その他の取引が成立したときは、遅滞なく、証券取引委員会規則で定める様式により、売買報告書を作成し、これを顧客に交付しなければならない。

第四十九条 証券業者が有価証券の売買その他の取引についてその顧客に供与することができる 信用の額は、当該取引に係る有価証券の時価に証券取引委員会の申出により大蔵大臣の定める率を乗じた額を超えてはならない。

  前項の規定により大蔵大臣の定める率は百分の五十五を超えてはならない。

  前二項に規定するものの外、信用の供与に関して必要な事項は、証券取引委員会規則で、こ れを定める。

第五十条 前条の規定により有価証券の売買その他の取引について信用を供与する者は、大蔵大 臣が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて定めるところにより、信用供与に関する報告書を大蔵大臣に提出しなければならない。

  前項の規定により報告書を提出しなければならない者が報告書を提出せず、又はその中に記 載すべき事項を十分に記載しなかつた場合においては、大蔵大臣は、同項の規定による報告書に記載すべき事項について必要な資料を得るため、必要な報告を徴し、又は当該官吏 をしてその者の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

第五十一条 証券業者は、証券取引委員会規則で定めるところに違反して、顧客の書面による同 意を受けないで、その者から預託を受け、又はその計算において自己が占有する有価証券をその他の者の有価証券と混同して担保に供してはならない。

  証券業者は、顧客に対する債権の担保として占有している有価証券を当該債権の額を超える 額の債務の担保に供してはならない。

  証券業者は、証券取引委員会規則で定めるところに違反して、顧客の書面による同意を受け ないで、その者から預託を受け、又はその計算において自己が占有する有価証券を他人に貸付してはならない。

第五十二条 証券業者の営業年度は、四月から九月まで及び十月から翌年三月までとする。

第五十三条 証券業者は、営業年度ごとに、証券取引委員会規則で定める様式により、営業報告 書を作成し、毎営業年度経過後二箇月以内に、これを証券取引委員会に提出しなければならない。

  証券取引委員会は、公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めるときは、証券業 者に対し、証券取引委員会の指示するところに従い前項の営業報告書の全部又は一部を新聞紙に掲載すべき旨を命ずることができる。

  第五十四条 証券業者は、左の各号の一に該当する場合においては、遅滞なくその旨を証券 取引委員会に届け出なければならない。

 一 定款又は組織を変更したとき

 二 本店その他の営業所の営業を休止し若しくは再開したとき、又は代理店が代理店としての 営業を休止し若しくは再開したとき

 三 証券業以外の営業を廃止したとき

 四 代理店契約の変更があつたとき

 五 第三十一条第一号、第二号又は第四号乃至第六号の一に該当することとなつたとき

 六 負債総額のその営業用純資本額に対する比率が第三十四条第一項の規定により証券取引委 員会規則で定める率を超えたとき

  前項第一号の場合においては総会の議事録の謄本又は社員の同意があつたことを知るに足る 書面を、第四号の場合においては代理店契約書の写を、届出に際して証券取引委員会に提出しなければならない。

第五十五条 証券取引委員会は、公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めるとき は、証券業者に対しその営業若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該官吏をして当該証券業者の営業若しくは財産の状況若しくは帳簿書類そ の他の物件を検査させることができる。

第五十六条 証券業者は、その使用人を、自己の営業所以外の場所において有価証券の募集若し くは売買又は有価証券市場における売買取引の委託の勧誘に従事させようとするときは、その使用人(以下有価証券外務員という。)について、左に掲げる事項を証券取引委員会 に届け出なければならない。

 一 氏名及び生年月日

 二 住所

 三 有価証券外務員の業務に従事したことの有無 従事したことのある者については、その所属した証券業者の氏名又は名称及び従事した期間

  証券業者は、前項第一号及び第二号に掲げる事項について変更があつた場合においては、遅滞なくその旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

  証券業者は、その有価証券外務員との雇傭関係が消滅したとき、又はその有価証券外務員をその業務に従事させなくなつたときは、遅滞なくその旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

第五十七条 証券取引委員会は、証券業者の営業又は財産経理の状況に照らし、その支払能力が薄弱であるか、又は薄弱となる虞がある場合において公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めるときは、当該証券業者に通知して審問を行つた後、理由を示し、その登録を取り消し、又は六箇月以内の期間を定めてその営業の停止を命ずることができる。

第五十八条 何人も、左の各号の一に掲げる行為をしてはならない。

 一 有価証券の売買その他の取引について、不正の手段、計画又は技巧をなすこと

 二 有価証券の売買その他の取引について、重要な事項について虚偽の表示があり、又は誤解を生ぜしめないために必要な重要な事実の表示が欠けている文書その他の表示を使用して金銭その他の財産を取得すること

 三 有価証券の売買その他の取引を誘引する目的を以て、虚偽の相場を利用すること

第五十九条 証券取引委員会は、証券業者又はその役員が法令又は法令に基いてする行政官庁の処分に違反した場合においては、その者に通知して審問を行つた後、理由を示し、その登録を取り消し、又は六箇月以内の期間を定めてその営業の停止を命じ若しくは役員の解任を命ずることができる。

第六十条 第三十六条の規定は、証券取引委員会が第三十条第五項、第三十八条、第三十九条、第四十条第三項、第五十七条又は前条の規定により登録を取り消した場合に、これを準用する。

第六十一条 有価証券の引受人となつた証券業者は、当該有価証券を売却する場合において、引 受人となつた日から六箇月を経過する日までは、その買主に対し買入代金につき貸付その他信用の供与をしてはならない。

第六十二条 証券業者が左の各号の一に掲げる場合に該当することとなつたときは、当該各号に 掲げる者は、遅滞なくその旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

 一 会社が合併に因り消滅した場合においては、その業務を執行する役員であつた者

 二 会社が合併又は破産以外の事由に因り解散した場合においては、その清算人

 三 個人が死亡した場合においては、その相続人

 四 証券業を廃止した場合においては、証券業者であつた個人又は証券業者であつた会社の業務を執行する役員

第六十三条 証券取引委員会は、左の各号に掲げる場合においては、証券業者登録原簿につき、当該証券業者に関する登録を抹消する。

 一 第三十条第五項、第三十八条、第三十九条、第四十条第三項、第五十七条又は第五十九条 の規定により証券業者の登録を取り消した場合

 二 前条の規定による届出があつた場合

 三 証券取引委員会が前条各号に掲げる場合に該当するものと認めて、当該各号に掲げる者に通知して審問を行つた後、その事実を確認した場合

  第三十六条の規定は、前項第三号に規定する事由に因り登録を抹消した場合に、これを準用する。

第六十四条 第三十条第五項、第三十八条、第三十九条、第四十条第三項、第五十七条又は第五十九条の規定により証券業者の登録が取り消された場合及び前条第一項第二号又は第三号に規定する事由に因り証券業者の登録が抹消された場合においては、当該証券業者であつた者又はその一般承継人は、当該証券業者がなした有価証券の売買その他の取引を結了しなければならない。この場合において、当該証券業者であつた者又はその一般承継人は、その売買その他の取引の結了の目的の範囲内において、なおこれを証券業者とみなす。

  前項の規定は、証券業者が第四十条第一項、第五十七条、第五十九条又は第百八十七条の規定により営業の停止を命ぜられた場合に、これを準用する。

第六十五条 銀行、信託会社その他証券取引委員会規則で定める金融機関は、第二条第八項各号に掲げる行為をなすことを営業としてはならない。但し、銀行が顧客の書面による注文を受けてその計算において有価証券の売買をなし、又は銀行、信託会社その他証券取引委員会規則で定める金融機関が他の法律の定めるところにより投資の目的を以て又は信託契約に基いて信託をなす者の計算において有価証券の売買をなすのは、この限りでない。

  前項の規定は、国債証券、地方債証券並びに政府が元本の償還及び利息の支払について保証している社債券その他の債券については、これを適用しない。

第六十六条 何人も、証券取引委員会規則で定めるところに違反して、割賦販売の方法により有 価証券を売付け、又は顧客から予め代金に充てるべき資金を預り若しくは借り受けておき後に有価証券を売付けることを営業としてはならない。但し、当該資金を顧客のために信託会社に信託する場合は、この限りでない。

   第四章 証券業協会

第六十七条 証券業者が有価証券の売買その他の取引を公正ならしめ、且つ、投資者の保護に資 する目的を以て団体を組織したときは、当該団体は証券取引委員会に備える証券業協会登録原簿に登録を受けることができる。

  前項の登録を受けようとするときは、当該団体の代表者は、左に掲げる事項を記載した登録申請書を証券取引委員会に提出しなければならない。

 一 名称

 二 事務所の所在の場所

 三 役員及び協会員の氏名又は名称

  前項の登録申請書には、当該団体の定款その他の規則を添附しなければならない。

  第一項の登録を受けた団体は、その名称のうちに証券業協会という文字を用いなければならない。

  第一項の登録を受けた団体以外の者は、その名称のうちに証券業協会と同一の文字を用いてはならない。

第六十八条 前条の規定による登録の申請があつた場合においては、第六十九条の規定により登録を拒否する場合の外、証券取引委員会は、登録申請書を受理した日から三十日を経過した日又は証券取引委員会が三十日に満たない期間を定めて当該登録申請者に通知した場合にはその期間を経過した日において、証券業協会登録原簿に左に掲げる事項を登録する。

 一 名称

 二 事務所の所在の場所

 三 役員及び協会員の氏名又は名称

 四 登録年月日

  証券取引委員会は、前項の規定による登録をした場合においては、遅滞なくその旨を登録申請者に通知しなければならない。

第六十九条 証券取引委員会は、第六十七条の規定による登録の申請があつた場合において、左の各号の一に該当するものがあると認めるとき、又は登録申請書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、登録申請者に通知して審問を行つた後、その登録を拒否しなければならない。

 一 当該団体の定款その他の規則の規定が法令に違反し、又は有価証券の売買その他の取引の公正を確保し、且つ、投資者を保護するために十分でないとき

 二 役員のうちに第三十一条第一号乃至第五号の一に該当する者のあるとき

  第三十六条の規定は、前項の規定による登録の拒否について、これを準用する。

第七十条 証券業協会の代表者は、第六十七条第二項各号に掲げる事項について変更があつたと きは、遅滞なくその旨の変更届出書を証券取引委員会に提出しなければならない。

  前二条の規定は、前項の規定による変更の届出について、これを準用する。

第七十一条 証券業協会の定款には、左に掲げる趣旨の規定を設けなければならない。

 一 有価証券の売買その他の取引を公正ならしめ、且つ、投資者の保護に資することを目的とすること

 二 詐欺行為、相場を操縦する行為又は不当な手数料若しくは費用の徴収その他の不当な利得行為を防止して、取引の信義則を助長することにつとめること

 三 証券業者の地理的条件又は業務の種類に関する特別の事由により、証券取引委員会の承認を受けて協会員の加入を制限する場合の外、証券業者は何人も協会員として加入することができること

 四 法令、法令に基いてする行政官庁の処分若しくは証券業協会若しくは証券取引所の定款そ の他の規則に違反し、又は取引の信義則に背反する行為をなして有価証券の売買その他の取引の停止を命ぜられ、又は証券業協会若しくは証券取引所から除名の処分を受けたことのある者については、その者が協会員として加入することを拒否し、又はその者が協会員である場合においては、これを除名することができること

 五 協会員が法令、法令に基く行政官庁の処分若しくは当該証券業協会の定款その他の規則に違反し、又は取引の信義則に背反した場合においては、除名その他の制裁を加えられるものであること

 六 定款その他の規則の変更、役員の選任その他の重要な事項に関する協会員の議決権を保障するものであること

 七 経費は、これを協会員に公正に分担させること

第七十二条 証券業協会の定款の変更又はその他の規則の作成、変更若しくは廃止があつた場合においては、証券業協会の代表者は、遅滞なくその旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

第七十三条 証券取引委員会は、証券業協会が証券業者に対し協会員として加入することを拒否 し、又は協会員に対し除名その他の制裁を加えた場合においては、その職権により又は当該証券業者若しくは当該協会員の申請により、当該処分を審査することができる。

  前項の規定による申請は、当該処分があつた日から六十日以内において、これをしなければならない。但し、証券取引委員会規則で六十日を超える期間を定めた場合においては、その期間内において、これをなすことができる。

  証券取引委員会は、第一項の規定による審査をする場合においては、一切の関係事項を考慮 して審問を行つた後、理由を示し同項の規定による処分を承認し、又はその変更若しくは取消を命じなければならない。

  証券取引委員会は、第一項の規定による審査を開始したときは、その旨を当該証券業協会に通知しなければならない。

  前項の規定による通知があつたときは、第三項の規定による処分がある日まで証券業協会の第一項の規定による処分の効力は停止せられるものとする。

第七十四条 証券取引委員会は、証券業協会の定款その他の規則について、証券業協会に対し通知して審問を行つた後、理由を示し有価証券の売買その他の取引の公正を確保し、又は投資者を保護するため必要且つ適当であると認める変更を命ずることができる。

第七十五条 証券取引委員会は、左の各号の一に該当する場合において、公益又は投資者保護の ため必要且つ適当であると認めるときは、証券業協会に通知して審問を行つた後、理由を示し当該各号に掲げる処分をすることができる。

 一 証券業協会が法令又は法令に基く行政官庁の処分に違反した場合においては、その登録を 取り消し、又は一年以内の期間を定めてその業務の停止を命ずること

 二 証券業協会の協会員が法令又は法令に基く行政官庁の処分に違反した場合においては、当該協会員を除名すべき旨を当該証券業協会に命ずること

 三 証券業協会の役員が当該証券業協会の定款その他の規則の実施を怠り、又はその職権を濫用した場合においては、当該役員を解任すべき旨を当該証券業協会に命ずること

第七十六条 証券取引委員会は、公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めるときは、証券業協会に対しその業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該官吏をして当該証券業協会の業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

第七十七条 証券業協会が解散したときは、その代表者であつた者は、遅滞なくその旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

第七十八条 証券取引委員会は、証券業協会の登録を取り消した場合又は前条の規定による届出があつた場合においては、証券業協会登録原簿につき、当該証券業協会に関する登録を抹消する。

第七十九条 証券業協会が共同の目的を以て団体を組織したときは、当該団体は証券取引委員会に備える証券業協会連合会登録原簿に登録を受けることができる。

  前項の登録を受けた団体は、その名称のうちに証券業協会連合会という文字を用いなければならない。

  第一項の登録を受けた団体以外の者は、その名称のうちに証券業協会連合会と同一の文字を用いてはならない。

  第六十七条第二項第三項及び第六十八条乃至前条の規定は、証券業協会連合会に、これを準用する。

   第五章 証券取引所

    第一節 設立及び組織

第八十条 証券取引所は、法人とする。

  証券取引所は、会員組織とする。

第八十一条 証券取引所は、証券業者でなければ、これを設立することができない。

  証券業者は、証券取引所を設立しようとするときは、証券取引委員会に備える証券取引所登録原簿に登録を受けなければならない。

第八十二条 前条第二項の登録を受けようとする者は、左に掲げる事項を記載した登録申請書を証券取引委員会に提出しなければならない。

 一 名称

 二 事務所及びその開設する有価証券市場の所在の場所

 三 役員及び会員の氏名又は名称

  前項の登録申請書には、左に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 定款、業務規程及び受託契約準則

 二 役員の履歴書、戸籍謄本及びその者が第三十一条第一号、第二号、第四号及び第五号の規定に該当しないことを誓約する書面

 三 会員の氏名又は名称、本店その他の営業所又は代理店の名称及び所在の場所を記載した書面並びに登録申請日前三十日以内の日の現在における営業用純資本額調書

第八十三条 前条の規定による登録の申請があつた場合においては、第八十五条の規定により登 録を拒否する場合の外、証券取引委員会は、登録申請書を受理した日から三十日を経過した日又は証券取引委員会が三十日に満たない期間を定めて当該登録申請者に通知した場合にはその期間を経過した日において、証券取引所登録原簿に左に掲げる事項を登録する。

 一 名称

 二 事務所及びその開設する有価証券市場の所在の場所

 三 役員及び会員の氏名又は名称

 四 登録年月日

  証券取引委員会は、前項の規定による登録をした場合においては、遅滞なくその旨を登録申請者に通知しなければならない。

第八十四条 証券取引所は、第八十二条第一項各号に掲げる事項について変更があつたときは、遅滞なくその旨の変更届出書を証券取引委員会に提出しなければならない。

  前項の規定による変更の届出があらたに会員となつた者に係るものであるときは、その者の 氏名又は名称、本店その他の営業所又は代理店の名称及び所在の場所を記載した書面並びにその者が会員となつた日の現在における営業用純資本額調書を、あらたに就任した役員に係るものであるときは、当該役員の履歴書、戸籍謄本並びにその者が第三十一条第一号、第二号、第四号及び第五号の規定に該当しないことを誓約する書面を変更届出書に添附しなければならない。

  前条及び第八十五条の規定は、第一項の規定による変更の届出について、これを準用する。

第八十五条 証券取引委員会は、第八十二条の規定による登録の申請があつた場合において、左 の各号の一に該当するものがあると認めるとき、又は登録申請書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、登録申請者に通知して審問を行つた後、その登録を拒否しなければならない。

 一 定款、業務規程又は受託契約準則の規定が法令に違反し、又は有価証券市場における売買取引の公正を確保し、且つ、投資者を保護するために十分でないとき

 二 役員のうちに第三十一条第一号乃至第五号の一に該当する者のあるとき

 三 当該証券取引所がこの法律の規定に適合するように組織されるものでないとき

  第三十六条の規定は、前項の規定による登録の拒否について、これを準用する。

第八十六条 証券取引所は、その目的を達成するために直接必要な業務の外、これを営むことができない。

第八十七条 証券取引所は、二以上の有価証券市場を開設してはならない。

第八十八条 証券取引所の定款には、左に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 事務所の所在地及び有価証券市場を開設する地

 四 基本金及び出資に関する事項

 五 会員に関する事項

 六 会員信認金に関する事項

 七 経費の分担に関する事項

 八 役員に関する事項

 九 会議に関する事項

 十 業務の執行に関する事項

 十一 上場有価証券に関する事項

 十二 会計に関する事項

 十三 公告の方法

  証券取引所は、その定款を変更したときは、遅滞なくその旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

第八十九条 民法第三十八条第一項、第四十四条、第五十条、第五十一条、第五十四条、第五十七条、第六十条乃至第六十六条及び非訟事件手続法第三十五条第一項の規定は、証券取引所に、これを準用する。

    第二節 会員

第九十条 証券取引所の会員は、証券業者に限る。

第九十一条 証券取引所は、その定款において、会員の営業用純資本額の最低額を定めることができる。

  会員の営業用純資本額が前項の規定により証券取引所の定める額を下ることとなつたときは、証券取引所は、その者の有価証券市場における売買取引を停止し、且つ、その旨を証券取引委員会に通知しなければならない。

  前項の場合において、当該会員の営業用純資本額が六箇月以内に第一項の規定により証券取引所の定める額以上に回復したときは、証券取引所は、前項の規定による売買取引の停止を解除しなければならない。

  第二項の場合において、会員の営業用純資本額が六箇月以内に第一項の規定により証券取引所の定める額以上に回復しないときは、証券取引所は当該会員を除名しなければならない。

  第三十四条第二項及び第三項の規定は、前四項の営業用純資本額にこれを準用する。

第九十二条 会員は、定款の定めるところにより、出資をしなければならない。

  会員の証券取引所に対する責任は、定款の定める経費負担の外、その出資額を限度とする。

第九十三条 会員の持分は、定款の定めるところにより、証券取引所の承認を受け、当該会員が脱退しようとするときに限り、これを譲り渡すことができる。

第九十四条 会員は、定款の定めるところにより、証券取引所の承認を受けて脱退することができる。

第九十五条 前条に規定する場合の外、会員は、左の事由によつて脱退する。

 一 会員たる資格の喪失

 二 死亡又は解散

 三 除名

第九十六条 会員が脱退したときは、証券取引所は、定款の定めるところにより、その持分を払い戻さなければならない。

第九十七条 会員は、定款の定めるところにより、証券取引所に対し、会員信認金を預託しなければならない。

  会員信認金は、国債証券、地方債証券又は当該証券取引所において上場する社債券若しくは株券のうち証券取引所が証券取引委員会の承認を受けて指定するものを以て、これに充てることができる。

  前項の有価証券の代用価額は、証券取引委員会規則で定めるところにより算出した価額を超えてはならない。

  会員に対して有価証券市場における売買取引の委託をした者は、その委託に因り生じた債権に関し、当該会員の会員信認金について、他の債権者に先だち弁済を受ける権利がある。

第九十八条 証券取引所は、その定款において、法令、法令に基いてする行政官庁の処分若しくは当該証券取引所の定款、業務規程、受託契約準則その他の規則に違反し、又は取引の信義則に背反する行為をなした会員に対し、十万円以下の過怠金を課し、その者の有価証券 市場における売買取引の停止若しくは制限を命じ、又は除名する旨を定めなければならない。

第九十九条 会員が脱退した場合においては、証券取引所は、定款の定めるところにより、本人若しくはその一般承継人又は他の会員をして、その有価証券市場においてなした売買取引を結了させなければならない。この場合においては、本人又はその一般承継人は、その売買取引の結了の目的の範囲内において、なおこれを会員とみなす。

  前項の規定により証券取引所が他の会員をしてその売買取引を結了させるときは、本人又はその一般承継人と他の会員との間に、委任契約が成立していたものとみなす。

    第三節 管理

第百条 証券取引所に、左の役員を置く。

  理事長 一人

  理事 二人以上

  監事 二人以上

  役員は、定款の定めるところにより、会員が、これを選挙する。

  第三十一条第一号乃至第五号の規定に該当する者は、役員となることができない。

第百一条 理事長は、証券取引所を代表し、その事務を総理する。

  理事は、定款の定めるところにより、証券取引所を代表し、理事長を補佐して証券取引所の事務を掌理し理事長事故あるときはその職務を代理し、理事長欠員のときはその職務を行う。

  監事は、証券取引所の事務を監査する。

第百二条 役員が第三十一条第一号乃至第五号の一に該当することとなつたときは、その職を失う。

  役員は、二以上の証券取引所の役員の地位を占めてはならない。

第百三条 証券取引委員会は、不正の手段により役員となつた者のあることを発見したとき、又 は役員が法令若しくは法令に基く行政官庁の処分に違反したときは、当該役員に通知して審問を行つた後、証券取引所に対し理由を示し当該役員の解任を命じなければならない。

第百四条 証券取引委員会は、理事又は監事の職務を行う者のない場合において、必要があると認めるときは、仮理事又は仮監事を選任することができる。

第百五条 証券取引所は、左の方法による外、会員信認金として預託を受けたものを運用することができない。

 一 国債又は地方債の買入

 二 銀行への預け金又は郵便貯金

 三 証券取引委員会規則で定めるところによる信託会社へなす金銭信託

第百六条 証券取引所の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、その職務に関して知得 した秘密を他に漏らし、又は窃用してはならない。

    第四節 有価証券市場における売買取引

第百七条 有価証券市場における売買取引は、当該有価証券市場を開設する証券取引所の会員に 限り、これをなすことができる。

第百八条 証券取引所は、その業務規程において、左に掲げる事項に関する細則を定めなければ ならない。

 一 売買取引の種類及び期限

 二 立会の開閉

 三 立会の停止

 四 売買取引の契約の締結の方法

 五 受渡その他の決済方法

 六 前各号に掲げる事項の外売買取引に関し必要な事項

  証券取引所は、その業務規程を変更したときは、遅滞なくその旨を証券取引委員会に届け出 なければならない。

第百九条 証券取引所は、臨時に立会を開閉し又は停止し若しくは停止を解除したときは、遅滞 なくその旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

第百十条 証券取引所は、第百十三条に規定する場合の外、有価証券の発行者の申請により当該 証券取引所に登録した有価証券に限り、これを売買取引のため上場することができる。

第百十一条 有価証券の発行者が、前条の規定による申請をしようとするときは、左に掲げる事 項を記載した登録申請書を当該証券取引所に提出するとともに、その写を証券取引委員会に提出しなければならない。

 一 目的及び名称

 二 資本又は出資に関する事項

 三 事業

 四 当該有価証券及びその者の発行するその他の有価証券の銘柄、券面額及び発行数

 五 当該有価証券及びその者の発行するその他の有価証券の登録申請日前三箇年以内における 募集又は売出の条件

 六 役員、主要株主及び当該有価証券の引受人が所有する当該有価証券の数

 七 当該有価証券の分布状況

 八 役員その他の者(使用人を除く。)に対し申請日前一箇年間において支払つた報酬の総額 及び同期間内において合計二十万円を超える報酬を受けた者があるときは、その氏名及び報酬の額

  前項第七号に掲げる事項は、証券取引委員会規則で定めるところにより、これを記載しなけ ればならない。

  第一項の規定による登録申請書には、左に掲げる書面を添附しなければならない。

 一 定款

 二 最近三事業年度末の貸借対照表

 三 最近三事業年度の損益計算書

  証券取引委員会は、必要があると認めるときは、第一項の規定による登録申請書に記載すべ き事項を追加し、又は省略することを証券取引委員会規則で定めることができる。

第百十二条 証券取引所は、前条の規定による登録申請書を受理した場合においては、定款の定 めるところにより審査した後、適当と認めるものについて登録しようとするときは、その旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

  証券取引所は、前項の規定により証券取引委員会に届け出た有価証券については、証券取引 委員会が当該届出を受理した日から三十日を経過した日又は証券取引委員会が三十日に満たない期間を定めて当該証券取引所に通知した場合にはその期間を経過した日においてこ れを登録しなければならない。

  前項の規定による登録は、当該証券取引所に備える上場有価証券登録原簿に当該有価証券の 発行者の名称、当該有価証券の銘柄及び登録年月日を記載して、これを行う。

第百十三条 証券取引所は、左の各号の一に該当する有価証券について、証券取引委員会に申請 しその承認を受けた場合においては、前条第三項の規定による登録をしないで、これを売買取引のため上場することができる。

 一 当該証券取引所の所在する都市町村以外の地に所在する他の証券取引所に前条第三項の規定により登録されているもの

 二 当該有価証券について第四条第一項の規定による届出がその効力を生じているもの、但し、第二十四条の規定による報告書が引き続き提出されている場合に限る。

  証券取引委員会は、前項の規定による申請を受けた場合において、当該証券取引所の所在する地方において当該有価証券が広く分布され、且つ、その売買その他の取引が繁盛に行われて、これを当該証券取引所に売買取引のため上場することが公益又は投資者保護のため必要であるということを認めるのに十分な資料が提出されないときは、当該証券取引所に通知して審問を行つた後、理由を示し前項の承認を与えないことができる。

  証券取引所は、第一項第一号に規定する有価証券について、前条第三項の規定による登録がすベて抹消された日以後においては、その上場を廃止しなければならない。

第百十四条 証券取引所又は当該証券取引所に上場されている有価証券の発行者は、上場有価証券の上場の廃止については、証券取引委員会に申請してその承認を受けなければならない。

  証券取引委員会は、前項の規定による申請を受けた場合において、当該有価証券の上場を継続することが公益又は投資者保護のため必要であると認めるときは、当該申請者に通知して審問を行つた後、理由を示し同項の承認を与えないことができる。

  証券取引所に上場されている有価証券の発行者は、第一項の規定による承認を受けた場合においては、その上場の廃止を当該証券取引所に請求することができる。この場合においては、証券取引所はその上場を廃止しなければならない。

第百十五条 証券取引所は、第百十二条第三項の規定による登録をした場合、第百十三条第一項の規定による承認を受けた場合又は同条第三項若しくは前条の規定により上場を廃止した場合においては、遅滞なくその旨を当該有価証券の発行者に通知しなければならない。

第百十六条 証券取引所は、第百十二条第三項の規定による登録をした有価証券の上場を廃止したときは、その備える上場有価証券登録原簿につき、当該有価証券に関する登録を抹消しなければならない。

第百十七条 証券取引所は、その上場する有価証券について、その売買取引を停止し、又は停止を解除したときは、遅滞なくその旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

第百十八条 証券取引所が第百十二条第三項の規定による登録をした有価証券の発行者は、事業年度ごとに、当該証券取引所の定める様式により、当該有価証券に関する報告書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを当該証券取引所に提出するとともに、その写を証券取引委員会に提出しなければならない。

第百十九条 証券取引委員会は、証券取引所が第百十二条第三項の規定による登録をした有価証券の発行者がこの法律、この法律に基く命令又は証券取引委員会規則に違反した場合において、公益又は投資者保護のため必要であると認めるときは、当該発行者に通知して審問を行つた後、当該証券取引所に対し、理由を示し当該有価証券の売買取引を停止し、又は上場を廃止することを命ずることができる。

第百二十条 第百十条乃至前条の規定は、国債証券、地方債証券又は別に証券取引委員会規則で定める有価証券については、これを適用しない。

第百二十一条 会員が有価証券市場における売買取引に基く債務の不履行に因り他の会員に対し損害を与えたときは、その損害を受けた会員は、その損害を与えた会員の会員信認金について、他の債権者に先だち弁済を受ける権利がある。

  第九十七条第四項の規定による有価証券市場における売買取引の委託者の優先権は、前項の優先権に対し、優先の効力を有する。

第百二十二条 証券取引所は、その開設する有価証券市場における毎日の総売買取引高及びその上場する有価証券の銘柄別に毎日の売買取引の成立価格を当該有価証券市場に掲示しなければならない。

  証券取引所は、その上場する有価証券の銘柄別に毎日の最高、最低及び最終価格を表示する相場表を毎日公表しなければならない。

第百二十三条 証券取引所は、証券取引委員会規則で定めるところにより、毎日及び毎月の当該証券取引所の開設する有価証券市場における相場及び売買取引高報告書を作成し、これを証券取引委員会に提出しなければならない。

第百二十四条 第九十九条の規定は、会員の有価証券市場における売買取引がこの法律又は証券取引所の定款の定めるところにより停止された場合に、これを準用する。

第百二十五条 何人も、他人をして証券取引所に上場する有価証券の売買取引が繁盛に行われていると誤解させる等当該有価証券の売買取引の状況に関し他人に誤解を生ぜしめる目的を以て、左に掲げる行為をしてはならない。

 一 当該有価証券について、その権利の移転を目的としない仮装の売買取引をなすこと

 二 自己のなす売付と同時期に、それと同価格において、他人が当該有価証券を買付けることを予めその者と通謀の上、当該売付をなすこと

 三 自己のなす買付と同時期に、それと同価格において、他人が当該有価証券を売付けることを予めその者と通謀の上、当該買付をなすこと

 四 前各号に掲げる行為の委託又は受託をなすこと

  何人も、有価証券市場における有価証券の売買取引を誘引する目的を以て、左に掲げる行為をしてはならない。

 一 単独で又は他人と共同して、当該有価証券の売買取引が繁盛であると誤解させ、又はその相場を変動させるべき一連の売買取引又はその委託若しくは受託をすること

 二 当該有価証券の相場が自己又は他人の市場操作によつて変動するべき旨を流布すること

 三 当該有価証券の売買取引をなすにつき、重要な事項について虚偽であり、又は誤解を生ぜしむべき表示を故意になすこと

  何人も、単独で又は他人と共同して、証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定めるところに違反して、有価証券の相場を釘付け、固定し、又は安定する目的を以て、有価証券市場における一連の売買取引又はその委託若しくは受託をしてはならない。

第百二十六条 前条の規定に違反した者は、当該違反行為に因り形成せられた価格により有価証券市場における当該有価証券の売買取引又はその委託をなした者が当該売買取引又は委託につき受けた損害を賠償する責に任ずる。

  前項の規定による賠償の請求権は、請求権者が前条の規定に違反する行為があつたことを知 つた時から一年間又は当該行為があつた時から三年間、これを行わないときは、時効によつて消滅する。

第百二十七条 証券取引委員会は、会員が自己の計算において若しくは顧客から有価証券の売買 取引について売買の別、銘柄、数及び価格の決定を一任されてその者の計算において行う売買取引を制限し、又は会員のなす過当な数量の売買取引であつて有価証券市場の秩序を害すると認められるものを制限するため、公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認める事項を証券取引委員会規則で定めることができる。

    第五節 有価証券市場における売買取引の受託

第百二十八条 会員は、本店若しくは支店その他の営業所又は代理店以外の場所を、有価証券市場における売買取引の受託の取扱をなす場所としてはならない。

  本店以外の営業所又は代理店を有価証券市場における売買取引の受託の取扱をなす場所としようとするときは、会員は、その所属する証券取引所の承認を受けなければならない。

  証券取引所は、前項の承認をしたときは、遅滞なくその旨を公告しなければならない。

第百二十九条 有価証券市場における売買取引の委託を受けた会員又は会員に対する売買取引の委託を媒介し、取次し若しくは代理することを引き受けた者は、有価証券市場において売付若しくは買付をせず、又は会員に対しその媒介、取次若しくは代理をしないで、自己がその相手方となつて、売買を成立せしめてはならない。

  会員が前項の規定に違反したときは、証券取引所は、当該会員に対し十万円以下の過怠金を課し、その者の有価証券市場における売買取引を六箇月以下停止し、又はこれを除名しなければならない。

第百三十条 会員は、有価証券市場における売買取引の受託については、その所属する証券取引所の定める受託契約準則によらなければならない。

  証券取引所は、その受託契約準則において、左に掲げる事項に関する細則を定めなければならない。

 一 売買取引の受託の条件

 二 受渡その他の決済方法

 三 売買取引の受託についての信用の供与に関する事項

 四 委託手数料の料率及び徴収の方法

 五 前各号に掲げる事項の外売買取引の受託に関し必要な事項

  証券取引所は、その受託契約準則を変更したときは、遅滞なくその旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

第百三十一条 会員は、有価証券市場における売買取引の受託について、委託者から証券取引所の定める委託手数料を徴しなければならない。

第百三十二条 会員は、委託を受けた有価証券市場における売買取引が成立したときは、証券取引委員会規則で定める様式により、売買報告書を作成し、売買取引の成立後四十八時間以内に、これを委託者に交付し、又は発送しなければならない。

第百三十三条 何人も、証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定めるところに違反して、左に掲げる行為をしてはならない。

 一 有価証券を有しないでその売付をなすこと

 二 有価証券の相場が委託当時の相場より騰貴して自己の指値以上となつたときには直ちにその買付をなし、又は有価証券の相場が委託当時の相場より下落して自己の指値以下となつたときには直ちにその売付をなすべき旨の委託をなすこと

    第六節 解散

第百三十四条 証券取引所は、左の事由に因り解散する。

 一 定款に定めた事由の発生

 二 総会の決議

 三 会員の数が五人以下となつたとき

 四 破産

 五 証券取引所の登録の取消

  前項の場合においては、証券取引委員会は、証券取引所登録原簿につき、当該証券取引所に関する登録を抹消する。

第百三十五条 残余財産は、定款又は総会の決議により別段の定をする場合の外、平等に、これを会員に分配しなければならない。

第百三十六条 民法第六十九条、第七十条、第七十三条乃至第七十六条及び第七十八条乃至第八 十三条、商法第百二十五条、第百二十六条、第百二十八条、第百二十九条、第百三十一条、第四百十九条及び第四百二十七条並びに非訟事件手続法第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項第三項、第百三十六条、第百三十七条及び第百三十八条の規定は、証券取引所の解散の場合に、これを準用する。但し、民法第七十条及び第七十四条中「理事」とあるのは、「理事長及び理事」と読み替えるものとする。

  民法第四十四条、第五十四条、第五十七条、第六十条及び第六十一条の規定は、証券取引所の清算人に、これを準用する。

    第七節 登記

第百三十七条 証券取引所は、主たる事務所の所在地において、設立の登記をすることに因り成立する。

  前項に規定する場合を除く外、この法律の規定により登記すべき事項は、登記をした後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。

第百三十八条 設立の登記は、第八十三条第二項の規定による証券取引委員会の通知があつた日から二週間以内に、これをしなければならない。

  設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 事務所

 四 証券取引委員会の備える証券取引所登録原簿に登録された年月日

 五 存立の時期又は解散の事由を定めたときはその時期又は事由

 六 基本金及び払い込んだ出資金額

 七 出資一口の金額及びその払込方法

 八 理事長、理事及び監事の氏名及び住所

 九 理事に代表権を与えたときは、その代表権の範囲

 十 公告の方法

  証券取引所は、設立の登記をした後二週間以内に、従たる事務所の所在地において、前項に 掲げる事項を登記しなければならない。

第百三十九条 証券取引所の成立後従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地におい ては二週間以内に従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に前条第二項に掲げる事項を登記し、他の従たる事務所の所在地において は同期間内にその従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。

  主たる事務所又は従たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内において、あらたに 従たる事務所を設けたときは、その従たる事務所を設けたことを登記することを以て足りる。

第百四十条 証券取引所が主たる事務所を移転したときは、旧所在地においては二週間以内に移 転の登記をし、新所在地においては三週間以内に第百三十八条第二項に掲げる事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、 新所在地においては四週間以内に同項に掲げる事項を登記しなければならない。

  同一の登記所の管轄区域内において、主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、そ の移転の登記をすることを以て足りる。

第百四十一条 第百三十八条第二項に掲げる事項中に変更を生じたときは、主たる事務所の所在 地においては二週間、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、変更の登記をしなければならない。

  第百三十八条第二項第六号に規定する事項の変更の登記は、前項の規定にかかわらず、毎事 業年度末の現在により事業年度終了後主たる事務所の所在地においては四週間、従たる事務所の所在地においては五週間以内に、これをすることができる。

第百四十二条 証券取引所が解散したときは、破産の場合の外、主たる事務所の所在地において は、二週間、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、解散の登記をしなければならない。

第百四十三条 証券取引所は、清算人の就職の日から、主たる事務所の所在地においては二週 間、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、左の事項を登記しなければならない。

 一 清算人の氏名及び住所

 二 清算人で証券取引所を代表しない者があるときは、証券取引所を代表すべき者の氏名

 三 数人の清算人が共同して証券取引所を代表すべき定があるときは、その定

  第百四十一条第一項の規定は、前項の登記に、これを準用する。

第百四十四条 証券取引所の清算が結了したときは、清算人は、第百三十六条第一項において準用する商法第四百二十七条の承認があつた後、主たる事務所の所在地においては二週間、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、清算終了の登記をしなければならない。

第百四十五条 証券取引所の登記については、その事務所の所在地を管轄する司法事務局又はその出張所を管轄登記所とする。

  各登記所に、証券取引所登記簿を備える。

第百四十六条 証券取引所の設立の登記は、役員の全員の申請によつて、これをする。

  前項に規定する設立の登記の申請書には、定款並びに出資の払込及び役員の選任があつたことを証する書面を添附しなければならない。

第百四十七条 第百三十八条第三項の規定による登記は、理事長の申請によつて、これをする。

第百四十八条 証券取引所の従たる事務所の新設、主たる事務所又は従たる事務所の移転その他第百三十八条第二項に掲げる事項の変更の登記は、理事長又は清算人の申請によつて、これをする。

  前項に規定する登記の申請書には、従たる事務所の新設又は登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。

第百四十九条 証券取引所の解散の登記は、破産の場合及び第三項に規定する場合の外、清算人の申請によつて、これをする。

  前項の規定による登記の申請書には、解散の事由を証する書面及び理事長又は理事が清算人でない場合においては、清算人の資格を証する書面を添附しなければならない。

  証券取引所が証券取引委員会の登録の取消の処分により解散する場合における解散の登記は、証券取引委員会の嘱託によつて、これをする。

第百五十条 第百四十三条の規定による登記は、清算人の申請によつて、これをする。

  同条第一項の規定による登記の申請書には、理事長又は理事が清算人とならない場合においては、申請人の資格を証する書面を添附しなければならない。

  同条第二項の規定による変更の登記の申請書には、登記事項の変更を証する書面を添附しな ければならない。

第百五十一条 第百四十四条の規定による登記の申請書には、清算人が第百三十六条第一項において準用する商法第四百二十七条の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。

第百五十二条 登記した事項は、司法事務局において、遅滞なくこれを公告しなければならない。

第百五十三条 非訟事件手続法第百四十二条乃至第百五十一条ノ六及び第百五十四条乃至第百五十七条の規定は、この法律による登記に、これを準用する。

    第八節 監督

第百五十四条 証券取引委員会は、公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めるとき は、証券取引所に対しその業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該官吏をして当該証券取引所の業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

第百五十五条 証券取引委員会は、証券取引所が左の各号の一に該当する場合において、公益又 は投資者保護のため必要且つ適当であると認めるときは、当該証券取引所に通知して審問を行つた後、理由を示し当該各号に掲げる処分をすることができる。

 一 法令若しくは法令に基いてする行政官庁の処分に違反し、又は会員若しくは当該証券取引 所に上場されている有価証券の発行者がこの法律、この法律に基く命令若しくは証券取引委員会規則又は当該証券取引所の定款に違反した場合において、これらの者に対し法令又は定款を遵守させるために当該証券取引所がこの法律、この法律に基く命令若しくは証券取引委員会規則又は定款により認められた権能を行使せずその他必要な措置をなすことを怠つたときは、その登録を取り消し、又は一年以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止若しくはその業務の一部の禁止を命ずること

 二 証券取引所の行為又はその開設する有価証券市場における売買取引の状況が公益又は投資 者保護のため有害であると認めるときは、十日以内の期間を定めて売買取引の全部若しくは一部の停止を命じ、又は内閣の議を経て、三箇月以内の期間を定めてその業務の全部の停止を命ずること

第百五十六条 証券取引委員会は、証券取引所の定款、業務規程、受託契約準則その他の規則及び取引の慣行について、証券取引所に対し通知して審問を行つた後、理由を示し有価証券市場における売買取引の公正を確保し、又は投資者を保護するため必要且つ適当であると認める変更その他の処分を命ずることができる。

   第六章 仲介

第百五十七条 証券取引委員会は、証券業者のなす有価証券の売買その他の取引又は会員のなす 有価証券市場における売買取引に関する争について、当事者の申立があつたときは、その争の解決を図るため仲介をしなければならない。

第百五十八条 前条の規定による申立は、左に掲げる事項を記載した書面を証券取引委員会に提出して、これをしなければならない。

 一 申立人の氏名又は名称、職業及び住所

 二 争の相手方の氏名又は名称、職業及び住所

 三 申立の趣旨

 四 争の実情

 五 参考となる書類の表示

 六 申立の年月日

第百五十九条 証券取引委員会は、前条の規定による申立を受理したときは、期日を定めて、申立人及び相手方の出頭を求め、その意見を聞いて、仲介を行う。

  前項の出頭を求められた当事者は、自身で出頭しなければならない。但し、已むを得ない事由がある場合においては、証券取引委員会の承認を受けて、代理人をして出頭させることができる。

第百六十条 証券取引委員会は、仲介に基く協定案を作成し、争の当事者に示し、その受諾を勧告する。

第百六十一条 当事者は、前条の協定案を受諾したときは、協定書を作成し、その双方が署名押印した上、これを証券取引委員会に提出しなければならない。

第百六十二条 当事者が仲介に基く協定案を受諾したにもかかわらず、その一方が協定を履行しないときは、その相手方はその旨を証券取引委員会に報告するものとする。

第百六十三条 証券業者又は会員が仲介に基く協定案を受諾したにもかかわらず協定を履行しないときは、証券取引委員会は、当該証券業者又は会員に対し、通知して審問を行つた後、六箇月以内の営業の停止又は有価証券市場における売買取引の停止を命ずることができる。

第百六十四条 証券取引委員会は、当事者の一方又は双方が第百六十条の規定による協定案を受諾することを拒否した場合において、公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めるときは、当事者の秘密を除き仲介の経過及び協定案を理由を示し公表することができる。

   第七章 証券取引委員会

第百六十五条 この法律の目的を達成するため、証券取引委員会を置く。

  証券取引委員会は、大蔵大臣の所轄に属する。

第百六十六条 証券取引委員会は、委員三人を以て、これを組織する。

  委員は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が、これを命ずる。

  委員は、これを一級の官吏とする。

第百六十七条 委員の任期は、五年とする。但し、前任者の任期満了前に補欠任命を受けた委員は、前任者の残任期間在任するものとする。

  委員は、再任されることができる。

第百六十八条 委員は、左の各号の一に該当する場合の外、その意に反して罷免されることがない。

 一 禁治産、準禁治産又は破産の宣告を受けた場合

 二 懲戒免官の処分を受けた場合

 三 禁錮以上の刑又はこの法律により罰金以上の刑に処せられた場合

 四 心身の故障のため職務の執行ができず、又は職務に関して不当な行為をなしたと内閣総理大臣が認めた場合

第百六十九条 前条第一号、第三号及び第四号の場合においては、内閣総理大臣は、その委員を罷免しなければならない。

第百七十条 証券取引委員会に委員長を置き、委員のうちから、これを互選する。

  委員長は、証券取引委員会の会務を総理し、証券取引委員会を代表する。

  証券取引委員会は、予め委員のうちから、委員長が故障のある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。

第百七十一条 証券取引委員会の事務を処理させるため、証券取引委員会に事務局を附置し、政令の定めるところにより所要の職員を置く。

  前項の職員は、これを一級、二級又は三級の官吏とする。

  事務局の職員の任免及び叙級は、一級及び二級のものについては、内閣総理大臣の推薦により証券取引委員会がこれを行い、三級のものについては、証券取引委員会がこれを行う。

  証券取引委員会事務局の内部組織は、証券取引委員会が、これを定める。

第百七十二条 委員の報酬は、別にこれを定める。

  委員の報酬は、その意に反してこれを減額することができない。

第百七十三条 証券取引委員会は、この法律を施行するため必要があると認める場合においては、専門家をその嘱託として任命することができる。

  前項の嘱託の報酬は、証券取引委員会が、これを定める。

第百七十四条 証券取引委員会は、その監督の下に、財務局をして、この法律の施行に関する事務の一部を掌らしめることができる。

第百七十五条 委員及び証券取引委員会規則で定める証券取引委員会の職員は、左の各号の一に該当する行為をなすことができない。

 一 国会若しくは地方公共団体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること

 二 内閣総理大臣の許可のある場合の外、報酬のある他の職務に従事すること

 三 商業を営みその他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと

第百七十六条 委員、証券取引委員会の職員若しくは第百七十四条の規定によりこの法律の施行に関する事務の一部を掌る財務局の職員又はこれらの職にあつた者は、この法律の規定による職務執行に関して知得した秘密を他に漏らし、又は窃用してはならない。

第百七十七条 証券取引委員会は、その職務を行うため必要があると認める場合においては、公聴会を開いて一般の意見を求めることができる。

第百七十八条 証券取引委員会は、この法律の適正な運用を図るため、有価証券に関する調査を公表することができる。

第百七十九条 証券取引委員会は、大蔵大臣を経由して、国会に対し、毎年この法律の施行の状況を報告しなければならない。

  証券取引委員会は、大蔵大臣を経由して、国会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し、意見を提出することができる。

第百八十条 証券取引委員会は、この法律の施行のため必要な予算の作成に関与し、必要がある場合は、この意見を内閣に提出することができる。

第百八十一条 証券取引委員会は、この法律を施行し及びこの法律の規定による禁止又は制限を免れる行為を防止するため公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認める事項について、証券取引委員会規則を定め、改正し、又は廃止することができる。

  証券取引委員会規則は、官報を以て公布する。

   第八章 雑則

第百八十二条 証券取引委員会は、この法律の規定により審問しようとする場合において、審問される者が正当の事由がなくこれに応じないときは、審問を行わないで当該規定に定める処分をすることができる。

  証券取引委員会が審問しようとする者に通知する場合においては、審問の事項及び期日を明かにして、これをしなければならない。

  審問は、すべてこれを公開しなければならない。但し、審問される者の業務に関する秘密を保つため必要があると認めるとき、又は公益上必要があると認めるときは、これを公開しないことができる。

  審問は、証券取引委員会の委員又は証券取引委員会が指定する証券取引委員会の職員が、これを行う。

  証券取引委員会は、この法律の規定による審問を行つた場合においては、その記録を作成し、これを十年間保存しなければならない。

第百八十三条 証券取引委員会は、第百五十七条の規定による仲介、この法律の規定による審問又は第百八十七条の規定による申立について、必要な調査をするため、左の各号に掲げる処分をすることができる。

 一 関係人又は参考人に出頭を命じてその意見を聴取し、又はこれらの者から意見若しくは報告を提出させること

 二 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること

 三 関係人に対し帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと

 四 当該官吏をして関係人の業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査させること

第百八十四条 証券業者、証券業協会又は証券取引所若しくはその会員は、この法律の他の規定において定める場合の外、証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定めるところにより、帳簿、計算書、通信文、伝票その他業務に関する書類を作成し、これを保存し、又は業務に関する報告を提出しなければならない。

  証券取引委員会は、公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めるときは、当該官吏をして、前項の書類について、証券取引委員会規則で定めるところにより、定時又は臨時に検査をさせることができる。

第百八十五条 第二十六条、第五十条第二項、第五十五条、第七十六条(第七十九条において準用する場合を含む。)、第百五十四条、第百八十三条第四号又は前条第二項の規定により、当該官吏をして検査させる場合において、これにその身分を示す証票を携帯させなければならない。

  当該官吏は、検査に際し、その携帯する証票を検査の相手方に示さなければならない。

第百八十六条 第百八十三条第一号又は第二号の規定により出頭又は鑑定を命ぜられた参考人又は鑑定人は、命令の定めるところにより、旅費、日当その他の費用を請求することができる。

第百八十七条 裁判所は、緊急の必要があり、且つ、公益及び投資者保護のため必要且つ適当で あると認めるときは、証券取引委員会の申立により、この法律、この法律に基く命令又は証券取引委員会規則に違反する行為をなし、又はなそうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。

  裁判所は、前項の規定により発した命令を取り消し、又は変更することができる。

  前二項に規定する事件は、被申立人の住所地の地方裁判所の管轄とする。

  第一項及び第二項に規定する裁判は、非訟事件手続法により、これを行う。

第百八十八条 証券取引所に上場されている株式の発行会社の役員及び主要株主は、証券取引所が第百十二条第三項の規定による登録をする時の現在においてその有する当該会社の株式の種類及び数に関する報告書を、登録があつた日の後十日以内に証券取引委員会に提出しなければならない。

  第百十二条第三項の規定による登録があつた日の後において会社の役員又は主要株主となつた者は、役員又は主要株主となつた日の現在において有する株式の種類及び数に関する報告書を、その日の後十日以内に証券取引委員会に提出しなければならない。

  会社の役員又は主要株主は、前二項の規定により報告をした株式の数に異動があつた場合に おいては、その異動に関する報告書を、異動があつた日の属する月の翌月十日までに証券取引委員会に提出しなければならない。

  会社の役員又は主要株主でなくなつた者は、その旨を証券取引委員会に届け出なければならない。

  第一項乃至第三項の規定による報告書は、証券取引委員会規則で定める様式により、これを作成しなければならない。

第百八十九条 会社の役員又は主要株主がその職務又は地位により取得した秘密を不当に利用することを防止するため、その者が当該会社の株式について、その買付をした後六箇月以内に売付をし、又は売付をした後六箇月以内に買付をして利益を得た場合においては、当該会社は、その利益を会社に提供すべきことを請求することができる。

  当該会社の株主が会社に対し前項の規定による請求をなすべき旨を要求した日の後六十日以内に会社が前項の規定による請求をしない場合においては、当該株主は、会社に代位して、その請求を行うことができる。

  前二項の規定により会社の役員又は主要株主に対して請求する権利は、利益の取得があつた日から二年間、これを行わないときは、消滅する。

  前三項の規定は、主要株主が売付をし若しくは買付をしたいずれか一の時期において主要株主でない場合又は証券取引委員会規則で定めるところにより前三項の規定の適用が除外された場合においては、これを適用しない。

第百九十条 会社の役員又は主要株主は、証券取引所に売買取引のため上場される当該会社の発行する株式の売付については、当該株式を有しないでこれをしてはならない。

第百九十一条 何人も、有価証券市場に類似する施設を開設してはならない。

  何人も、前項の施設により売買取引をしてはならない。

第百九十二条 証券取引委員会の処分に不服のある者は、管轄裁判所に対しその取消又は変更の訴を提起することができる。

第百九十三条 証券取引委員会は、この法律の規定により提出される貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類が計理士の監査証明を受けたものでなければならない旨を証券取引委員会規則で定めることができる。

第百九十四条 何人も、証券取引委員会が公益及び投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定めるところに違反して、証券取引所に上場されている株式につき、自己又は第三者に議決権の行使を代理させることを勧誘してはならない。

第百九十五条 この法律施行の際現に効力を有する他の法律の規定がこの法律の規定に抵触する場合においては、この法律の規定が優先する。

第百九十六条 この法律のある規定が無効であるとされた場合においても、この法律の他の規定 は、これによつて影響されることはない。

   第九章 罰則

第百九十七条 左の各号の一に該当する者は、これを三年以下の懲役又は十万円以下の 罰金に処する。

 一 有価証券の募集、売出若しくは売買その他の取引のため又は有価証券の相場の変動を図る目的を以て、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫した者

 二 第五十八条、第百二十五条又は第百九十一条第一項の規定に違反した者

 三 第八十一条第二項の規定に違反して証券取引所を設立した者

 四 第百八十七条の規定による裁判所の命令に違反した者

第百九十八条 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

 一 第四条第一項の規定による届出を必要とする有価証券について、その届出の効力が生じていないのに当該有価証券の募集若しくはその取扱又は売出若しくはその取扱をした者

 二 第十五条第一項又は第百九十一条第二項の規定に違反した者

 三 第二十八条第一項の規定による登録がないのに証券業を営んだ者

 四 第四十条第一項、第五十七条又は第五十九条の規定による停止命令に違反した者

第百九十九条 左の各号に掲げる違反があつた場合においては、その行為をした金融機関又は取引所の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、これを一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

 一 第六十五条第一項の規定に違反したとき

 二 第八十七条の規定に違反したとき

 三 第百五十五条の規定による停止又は禁止の処分に違反したとき

第二百条 左の各号の一に該当する者は、これを六月以下の懲役又は一万五千円以下の罰金に処する。

 一 第五条の規定による届出書若しくは添附書類(第二十七条において準用する場合を含 む。)又は第七条、第九条第一項若しくは第十条第一項の規定による訂正届出書(第二十七条において準用する場合を含む。)に虚偽の記載をしてこれを提出した者

 二 第九条第一項又は第十条第一項の規定による訂正届出書(第二十七条において準用する場合を含む。)を提出しない者

 三 第二十八条又は第八十二条の規定による申請書又は添付書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者

 四 第六十六条又は第百二十八条第一項の規定に違反した者

 五 有価証券の相場を偽つて公示した者

 六 公示若しくは頒布する目的を以て有価証券の相場を偽つて記載した文書を作成し、又はこれを頒布した者

 七 発行者、引受人又は証券業者の請託を受けて公示若しくは頒布する目的を以てその発行、分担又は取扱にかかる有価証券に関し重要な事項について虚偽の記載をした文書を作成し、又はこれを頒布した者

 八 前号に掲げる請託をした者

第二百一条 有価証券市場によらないで、有価証券市場における相場により差金の授受を目的とする行為をした者は、これを一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。但し、刑法第百八十六条の規定の適用を妨げない。

第二百二条 前五条の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

第二百三条 証券取引所の役員(仮理事及び仮監事を含む。)又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、これを三年以下の懲役に処する。

  前項の場合において、収受した賄賂は、これを没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

  第一項の賄賂を供与し、又はその申込若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

第二百四条 第百六条又は第百七十六条の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

第二百五条 左の各号の一に該当する者は、これを一万円以下の罰金に処する。

 一 第十三条第五項(第二十七条において準用する場合を含む。)、第十四条第二項(第二十七条において準用する場合を含む。)において準用する第十三条第五項、第十五条第二項、第二十三条第二項(第二十七条において準用する場合を含む。)、第三十条第四項(第三十三条第二項において準用する場合を含む。)、第五十一条、第六十一条、第百二十九条第一項、第百三十三条、第百九十条又は第百九十四条の規定に違反した者

 二 第二十四条、第五十条第一項、第五十三条第一項又は第百八十八条の規定による報告書を提出せず、又は虚偽の記載をした報告書を提出した者

 三 第二十六条(第二十七条において準用する場合を含む。)又は第五十五条の規定による報 告若しくは資料を提出せず、又は虚偽の報告若しくは資料を提出した者

 四 第三十二条の規定による届出書を提出せず、又は虚偽の記載をした届出書若しくは添附書 類を提出した者

 五 第三十七条、第五十条第二項、第五十四条第一項又は第百八十四条第一項の規定による届 出若しくは報告をせず、又は虚偽の届出若しくは報告をした者

 六 第四十三条第一項の規定に違反して営業を営んだ者

 七 第四十八条又は第百三十二条の規定による報告書を交付若しくは発送せず、又は虚偽の記 載をした報告書を交付若しくは発送した者

 八 第五十三条第二項の規定による命令に違反した者

 九 第五十六条第一項の規定に違反して従事させた者

 十 第五十六条第二項又は第三項の規定による届出をせず、又は同条の規定による届出につい て虚偽の届出をした者

 十一 第百十一条の規定による申請書若しくはその写若しくは添附書類若しくはその写を提出せず、又は虚偽の記載をした申請書若しくはその写若しくは添附書類若しくはその写を提出した者

 十二 第百十八条の規定による報告書若しくはその写を提出せず、又は虚偽の記載をした報告書若しくはその写を提出した者

 十三 第百二十七条の規定による証券取引委員会規則に違反した者

 十四 第百八十四条第一項の規定による書類を作成若しくは保存せず、又は虚偽の書類を作成した者

 十五 第二十六条(第二十七条において準用する場合を含む。)、第五十条第二項、第五十五条、第七十六条(第七十九条第四項において準用する場合を含む。)、第百五十四条、第百八十三条第四号又は第百八十四条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した 者

第二百六条 左の各号に掲げる違反があつた場合においては、その違反行為をした取引所の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第八十四条の規定による届出書を提出せず、又は虚偽の記載をした届出書若しくは添附書類を提出したとき

 二 第八十八条第二項、第百八条第二項又は第百三十条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき

 三 第百五条、第百十三条第三項又は第百十四条第三項後段の規定に違反したとき

 四 第百十条又は第百十三条第一項の規定に違反して上場したとき

 五 第百十二条第一項の規定に違反して登録したとき

 六 第百十四条第一項の規定に違反して上場を廃止したとき

 七 第百十九条の規定による命令に違反したとき

 八 第百五十四条の規定による報告若しくは資料を提出せず、又は虚偽の報告若しくは資料を提出したとき

第二百七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第百九十七条第二号第三号、第百九十八条乃至第二百条、第二百五条又は前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

第二百八条 有価証券の発行者、証券業者若しくは代理店主(これらの者が会社であるときは、役員若しくは支配人)、証券業協会若しくは証券業協会連合会の代表者若しくは役員又は証券取引所の役員(仮理事を含む。)若しくは清算人は、左の場合においては、五千円以下の過料に処する。

 一 第四条第三項の規定に違反したとき

 二 第三十条第三項、第五十六条第一項乃至第三項、第六十二条、第七十二条、第七十七条、第百九条又は第百十七条の規定に違反して届出を怠つたとき

 三 第四十二条の規定に違反したとき

 四 第六十七条第二項の規定による登録申請書又は第七十条第一項の規定による変更届出書に虚偽の記載をして提出したとき

 五 第七十六条の規定による報告若しくは資料を提出せず、又は虚偽の報告若しくは資料を提出したとき

 六 第八十九条において準用する民法第五十一条の規定に違反して財産目録若しくは社員名簿を備え置かなかつたとき又はこれに不正の記載をしたとき

 七 証券取引所の会員の総会に対し不実の申立をなし、又は事実を隠蔽したとき

 八 第百五条の規定に違反したとき

 九 第百十五条の規定に違反して通知を怠つたとき

 十 第百十六条の規定に違反して登録の抹消を怠つたとき

 十一 第百二十二条の規定に違反して掲示し、又は公表することを怠つたとき

 十二 第百二十三条の規定による報告書を提出せず、又は虚偽の記載をした報告書を提出したとき

 十三 第百二十八条第二項の規定に違反したとき

 十四 第百二十八条第三項、第百三十六条において準用する民法第七十九条第一項第二項又は同法第八十一条第一項の規定に違反して公告することを怠り、又は不正の公告をしたとき

 十五 第百三十六条において準用する民法第七十条第二項又は同法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求をなすことを怠つたとき

 十六 第百三十六条において準用する商法第百三十一条に違反して証券取引所の財産を分配し たとき

 十七 この法律に定める登記をすることを怠つたとき

第二百九条 左の各号の一に該当する者は、これを三千円以下の過料に処する。

 一 第百八十三条第一号の規定による関係人又は参考人に対する処分に違反して、出頭せず、陳述をせず、虚偽の陳述をし、又は報告をせず若しくは虚偽の報告をした者

 二 第百八十三条第二号の規定による鑑定人に対する処分に違反して、出頭せず、鑑定をせず、又は虚偽の鑑定をした者

 三 第百八十三条第三号の規定による物件の所持者に対する処分に違反して、物件を提出しない者

第二百十条 第六十七条第五項又は第七十九条第三項の規定に違反した者(法人であるときは、その代表者)は千円以下の過料に処する。

   附 則

第一条 この法律は、その成立の日から三十日を経過した日からこれを施行する。但し、第二章の規定は、その施行の日から六十日、第六十五条の規定は、その施行の日から六箇月を経過した日から、これを施行する。

第二条 有価証券業取締法、有価証券引受業法及び有価証券割賦販売業法は、これを廃止する。

第三条 取引所法の一部を次のように改正する。

  題名を次のように改める。

     商品取引所法

  「取引所」を「商品取引所」に、「物件」(第二十八条を除く。)を「商品」に改める。

  第二条、第十一条ノ四第二項、第十六条ノ二第二項、第十六条ノ三、第二十二条第一項及び第二十七条乃至第二十九条中「農商務大臣」を「主務大臣」に改める。

  第四条ノ二を削る。

  第十一条第一項を削り、同条第四項を次のように改める。

   合名会社、合資会社又ハ株式合資会社ニ在リテハ其ノ無限責任社員中、株式会社又ハ有限会社ニ在リテハ其ノ取締役中前二項ニ該当スル者アルトキハ会員又ハ取引員トナルコトヲ得ス

  第十一条ノ二第一項中「、第二項又ハ第四項」を「又ハ第三項」に改め、同条第二項中「農商務大臣」を「主務大臣」に、「、第二項若ハ第四項」を「若ハ第三項」に改め、同条第三項中「第一項、第三項又ハ第四項」を「第二項又ハ第三項」に改め、同条第四項中「農 商務大臣」を「主務大臣」に、「第一項、第三項若ハ第四項」を「第二項若ハ第三項」に改める。

  第十八条中「有価証券ニ在リテハ三箇月、」を削る。

第四条 大蔵省官制の一部を次のように改正する。

  第一条中「有価証券」を「政府所有及保管有価証券」に改め、「取引所」の下に「(証券取引所ヲ除ク)」を加える。

  第七条第六号を次のように改める。

  六 取引所(証券取引所ヲ除ク)ニ関スル事項

第五条 この法律施行前になした行為に対する罰則の適用については、旧有価証券業取締法、旧有価証券引受業法及び旧有価証券割賦販売業法並びに附則第三条の規定による改正前の取引所法は、この法律施行後も、なおその効力を有する。

第六条 旧有価証券業取締法、旧有価証券引受業法、旧有価証券割賦販売業法又は日本証券取引所法の規定により免許を取り消された者は、第三十一条の規定の適用については、これをこの法律の規定により証券業者の登録を取り消されたものとみなす。

第七条 この法律施行の際現に旧有価証券業取締法により有価証券業を営む者、旧有価証券引受業法により有価証券引受業を営む者若しくは旧有価証券割賦販売業法により有価証券割賦販売業を営む者又は銀行若しくは信託会社でこれらの営業を営む者は、この法律施行の日から六箇月を限り、証券業者とみなす。

  前項に掲げる者が同項の期間内に第二十八条第二項の規定による登録を申請した場合においては、その申請に対する処分の日までも、また、前項と同様とする。

  第三十条第二項及び第四十条の規定は、前二項の規定により証券業者とみなされた者については、これを適用しない。

第八条 証券取引所は、この法律施行日の日から六箇月を限り、第百十条の規定にかかわらず登録をしない有価証券を売買取引のため上場し、又は第百十三条の規定にかかわらず証券取引委員会の承認を受けない有価証券を売買取引のため上場することができる。

第九条 この法律施行の際現に証券取引委員会の委員である者は、この法律の規定により証券取引委員会の委員に任命されたものとする。

  この法律施行後最初に証券取引委員会の委員となる者の任期は、第百六十七条の規定にかかわらず、内閣総理大臣の定めるところにより、その一人は三年、一人は四年、一人は五年とする。

(大蔵・法務総裁・内閣総理大臣署名)

法令一覧(年度別)に戻る