漁業権等臨時措置法
法律第二百二十号(昭和二三・一二・二)
第一条 この法律は、漁業生産力を発展させ、漁業の民主化を図るための新たな法律が、現行の漁業法(明治四十三年法律第五十八号)に代つて制定施行されるまでの間、漁業権等に関する現状を不当に変更することを防止し、もつて新漁業制度の実施を円滑にすることを目的とする。
第二条 農林大臣又は都道府県知事は、漁業の免許の出願が、従前の漁業権の存続期間の満了に際し手続上の手落その他特別の事由によつてその存続期間が更新されなかつたために出願した場合であつて、実質上従前の漁業権の存続期間の更新の申請であると認められる場合を除き、漁業の免許をしてはならない。
2 農林大臣又は都道府県知事は、漁業権の変更の許可をしてはならない。
第三条 漁業権は、この法律施行後その存続期間が満了するものであつても、その存続期間は、満了しないものとする。
第四条 漁業権は、都道府県知事の認可(地先水面専用の漁業権については、主務大臣の認可)を受けた場合を除き、譲渡又は抵当権(現に存する抵当権を除く。)の目的となることができない。
第五条 漁業権の貸付契約であつてこの法律施行の際現に存するものについては、借受人が賃貸料を滞納する等信義に反する行為がある場合、一時的に貸し付けた場合、貸付契約の内容が事情の変更によつて妥当でなくなつた場合その他正当の事由がある場合を除き、その解除若しくは解約(合意解約を含む。)をし、又は更新を拒むことができない。
2 前項の貸付契約の解除若しくは解約(合意解約を含む。)をし、又は更新を拒もうとするときは、都道府県知事の認可を受けなければならない。
3 前二項の規定は、この法律施行の際現に存する入漁権を消滅させ、又はその更新を拒む場合に準用する。
第六条 左の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第四条の規定に違反して漁業権を譲渡又は抵当権の目的とした者
二 前条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
第七条 前条の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して第六条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対し、第六条の罰金刑を科する。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 この法律は、漁業法が廃止され、これに代るべき漁業に関する法律が制定施行される時に、その効力を失う。但し、その時までにした行為に対する罰則の適用については、この法律は、その時以後もなおその効力を有する。
(農林・内閣総理大臣署名)