文化財保護法の一部を改正する法律

法律第六十六号(平八・六・一二)

 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第二節 重要文化財以外の有形文化財(第五十六条の二)」を

第二節 登録有形文化財(第五十六条の二―第五十六条の二の十一)

第三節 重要文化財及び登録有形文化財以外の有形文化財(第五十六条の二の十二)

に、「第九十七条」を「第九十七条の五」に改める。

 第四十条第三項中「から第七条まで」を「及び第六条」に改める。

 第五十一条第七項中「外、重要文化財の所有者又は管理団体から、その所有又は管理に係る重要文化財を国庫の費用負担において公開したい旨の申出があつた場合において、文化庁長官が適当と認めてこれを承認したときは、文部省令の定めるところにより、その公開のために要する費用の」を「ほか、重要文化財の所有者又は管理団体がその所有又は管理に係る重要文化財を公開するために要する費用は、文部省令で定めるところにより、その」に改め、後段を削る。

 第五十二条中「第五十一条」を「第五十一条第一項、第二項若しくは第三項」に改める。

 第五十三条第一項ただし書を次のように改める。

  ただし、文化庁長官以外の国の機関若しくは地方公共団体があらかじめ文化庁長官の承認を受けた博物館その他の施設(以下この項において「公開承認施設」という。)において展覧会その他の催しを主催する場合又は公開承認施設の設置者が当該公開承認施設においてこれらを主催する場合は、この限りでない。

 第五十三条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 前項ただし書の場合においては、同項に規定する催しを主催した者(文化庁長官を除く。)は、重要文化財を公衆の観覧に供した期間の最終日の翌日から起算して二十日以内に、文部省令で定める事項を記載した書面をもつて、文化庁長官に届け出るものとする。

 第五十六条の二中「重要文化財」の下に「及び登録有形文化財」を加え、第三章第二節中同条を第五十六条の二の十二とする。

 「第二節 重要文化財以外の有形文化財」を「第三節 重要文化財及び登録有形文化財以外の有形文化財」に改める。

 第三章第一節の次に次の一節を加える。

    第二節 登録有形文化財

 (有形文化財の登録)

第五十六条の二 文部大臣は、重要文化財以外の有形文化財(第九十八条第二項に規定する指定を地方公共団体が行つているものを除く。)で建造物であるもののうち、その文化財としての価値にかんがみ保存及び活用のための措置が特に必要とされるものを文化財登録原簿に登録することができる。

2 文部大臣は、前項の規定による登録をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴くものとする。

3 文化財登録原簿に記載すべき事項その他文化財登録原簿に関し必要な事項は、文部省令で定める。

 (告示、通知及び登録証の交付)

第五十六条の二の二 前条第一項の規定による登録をしたときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録をされた有形文化財(以下「登録有形文化財」という。)の所有者に通知する。

2 前条第一項の規定による登録は、前項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。ただし、当該登録有形文化財の所有者に対しては、同項の規定による通知が当該所有者に到達した時からその効力を生ずる。

3 前条第一項の規定による登録をしたときは、文部大臣は、当該登録有形文化財の所有者に登録証を交付しなければならない。

4 登録証に記載すべき事項その他登録証に関し必要な事項は、文部省令で定める。

 (登録有形文化財の登録の抹消)

第五十六条の二の三 文部大臣は、登録有形文化財について、第二十七条第一項の規定により重要文化財に指定したとき、又は第九十八条第二項に規定する指定を地方公共団体が行つたときは、その登録を抹消するものとする。

2 文部大臣は、登録有形文化財についてその保存及び活用のための措置を講ずる必要がなくなつた場合その他特殊の事由があるときは、その登録を抹消することができる。

3 前二項の規定により登録の抹消をしたときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録有形文化財の所有者に通知する。

4 第一項及び第二項の規定による登録の抹消には、前条第二項の規定を準用する。

5 第三項の通知を受けたときは、所有者は、三十日以内に登録証を文部大臣に返付しなければならない。

 (登録有形文化財の管理)

第五十六条の二の四 登録有形文化財の所有者は、この法律及びこれに基づく文部省令に従い、登録有形文化財を管理しなければならない。

2 登録有形文化財の所有者は、特別の事情があるときは、適当な者を専ら自己に代わり当該登録有形文化財の管理の責に任ずべき者(以下この節において「管理責任者」という。)に選任することができる。

3 文化庁長官は、登録有形文化財について、所有者が判明せず、又は所有者若しくは管理責任者による管理が著しく困難若しくは不適当であることが明らかである旨の関係地方公共団体の申出があつた場合には、関係地方公共団体の意見を聴いて、適当な地方公共団体その他の法人を、当該登録有形文化財の保存のため必要な管理(当該登録有形文化財の保存のため必要な施設、設備その他の物件で当該登録有形文化財の所有者の所有又は管理に属するものの管理を含む。)を行う団体(以下この節において「管理団体」という。)に指定することができる。

4 登録有形文化財の管理には、第三十一条第三項、第三十二条、第三十二条の二第二項から第五項まで、第三十二条の三及び第三十二条の四の規定を準用する。

5 登録有形文化財の管理責任者及び管理団体には、第一項の規定を準用する。

 (登録有形文化財の滅失又はき損)

第五十六条の二の五 登録有形文化財の全部又は一部が滅失し、又はき損したときは、所有者(管理責任者又は管理団体がある場合は、その者)は、文部省令で定める事項を記載した書面をもつて、その事実を知つた日から十日以内に文化庁長官に届け出なければならない。

 (登録有形文化財の修理)

第五十六条の二の六 登録有形文化財の修理は、所有者が行うものとする。ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。

2 管理団体が修理を行う場合には、第三十二条の二第五項、第三十二条の四及び第三十四条の三第一項の規定を準用する。

 (登録有形文化財の現状変更の届出等)

第五十六条の二の七 登録有形文化財に関しその現状を変更しようとする者は、現状を変更しようとする日の三十日前までに、文部省令で定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。ただし、維持の措置若しくは非常災害のために必要な応急措置又は他の法令の規定による現状の変更を内容とする命令に基づく措置を執る場合は、この限りでない。

2 前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、文部省令で定める。

3 登録有形文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、第一項の届出に係る登録有形文化財の現状の変更に関し必要な指導、助言又は勧告をすることができる。

 (登録有形文化財の管理又は修理に関する技術的指導)

第五十六条の二の八 登録有形文化財の所有者、管理責任者又は管理団体は、文部省令で定めるところにより、文化庁長官に登録有形文化財の管理又は修理に関し技術的指導を求めることができる。

 (登録有形文化財の公開)

第五十六条の二の九 登録有形文化財の公開は、所有者が行うものとする。ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。

2 前項の規定は、登録有形文化財の所有者及び管理団体以外の者が、所有者(管理団体がある場合は、その者)の同意を得て、登録有形文化財を公開の用に供することを妨げるものではない。

3 管理団体が行う登録有形文化財の公開には、第四十七条の二第三項の規定を準用する。

4 登録有形文化財の活用上必要があると認めるときは、文化庁長官は、登録有形文化財の所有者又は管理団体に対し、登録有形文化財の公開及び当該公開に係る登録有形文化財の管理に関し、必要な指導又は助言をすることができる。

 (登録有形文化財の現状等の報告)

第五十六条の二の十 文化庁長官は、必要があると認めるときは、登録有形文化財の所有者、管理責任者又は管理団体に対し、登録有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

 (所有者変更に伴う登録証の引渡し)

第五十六条の二の十一 登録有形文化財の所有者が変更したときは、旧所有者は、当該登録有形文化財の引渡しと同時にその登録証を新所有者に引き渡さなければならない。

 第五十六条の七第二項中「から重要無形文化財を国庫の費用負担において公開したい旨の申出があつた」を「が重要無形文化財を公開する」に改め、同条第三項中「からその記録を国の補助を受けて公開したい旨の申出があつた場合において、文化庁長官がこれを承認したときは」を「がその記録を公開する場合には」に改め、同条第四項を削る。

 第五十六条の十五第一項に次のただし書を加える。

  ただし、文化庁長官以外の国の機関若しくは地方公共団体があらかじめ文化庁長官から事前の届出の免除を受けた博物館その他の施設(以下この項において「公開事前届出免除施設」という。)において展覧会その他の催しを主催する場合又は公開事前届出免除施設の設置者が当該公開事前届出免除施設においてこれらを主催する場合には、重要有形民俗文化財を公衆の観覧に供した期間の最終日の翌日から起算して二十日以内に、文化庁長官に届け出ることをもつて足りる。

 第五十六条の十五第二項中「前項」を「前項本文」に改める。

 第五十六条の十九第二項中「からその記録を国の補助を受けて公開したい旨の申出があつた」を「がその記録を公開する」に改め、「及び第四項」を削る。

 第八十条第四項中「都道府県」の下に「若しくは地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市若しくは同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「指定都市等」という。)」を加える。

 第八十条の二中「都道府県」の下に「又は指定都市等」を加える。

 第八十四条の二第一項第一号の次に次の一号を加える。

 一の二 登録有形文化財の登録及びその登録の抹消(第五十六条の二の三第一項の規定による登録の抹消を除く。)

 第八十四条の二第二項第三号中「若しくは」を「又は」に改め、「又は輸出」を削り、同項第十六号中「都道府県」の下に「又は指定都市等」を加える。

 第八十五条第一項第二号中「同条第七項(第五十六条の七第二項及び第五十六条の十六で準用する場合を含む。)、」を削り、同条第二項中「第五十三条第三項」を「第五十三条第四項」に改める。

 第八十七条の前に見出しとして「(重要文化財等についての国に関する特例)」を付する。

 第六章第二節中第九十七条の次に次の四条を加える。

 (登録有形文化財についての国に関する特例)

第九十七条の二 国の所有に属する有形文化財で建造物であるものについて第五十六条の二第一項の規定による登録をしたときは、第五十六条の二の二第一項又は第三項の規定により所有者に対して行うべき通知又は登録証の交付は、当該登録有形文化財を管理する各省各庁の長に対して行うものとする。

2 国の所有に属する登録有形文化財について、第五十六条の二の三第一項又は第二項の規定による登録の抹消をしたときは、同条第三項の規定により所有者に対して行うべき通知は、当該登録有形文化財を管理する各省各庁の長に対して行うものとする。この場合においては、当該各省各庁の長は、直ちに登録証を文部大臣に返付しなければならない。

第九十七条の三 次に掲げる場合には、関係各省各庁の長は、文部大臣を通じ文化庁長官に通知しなければならない。

 一 登録有形文化財を取得したとき。

 二 登録有形文化財の所管換えを受け、又は所属替えをしたとき。

 三 所管に属する登録有形文化財の全部又は一部が滅失し、又はき損したとき。

 四 登録有形文化財の現状を変更しようとするとき。

2 各省各庁の長以外の国の機関が登録有形文化財の現状を変更しようとするときは、文化庁長官に通知しなければならない。

3 第一項第一号及び第二号に掲げる場合に係る通知には第三十二条第一項の規定を、第一項第三号に掲げる場合に係る通知には第五十六条の二の五の規定を、同項第四号及び前項に規定する場合に係る通知には第五十六条の二の七第一項の規定を準用する。

4 第一項第四号及び第二項に規定する現状の変更には、第五十六条の二の七第一項ただし書及び第二項の規定を準用する。

5 登録有形文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、第一項第四号又は第二項に規定する現状の変更に関し、文部大臣を通じ関係各省各庁の長に対し、又は各省各庁の長以外の国の機関に対して意見を述べることができる。

第九十七条の四 文部大臣は、国の所有に属する登録有形文化財に関する状況を確認するため必要があると認めるときは、関係各省各庁の長に対し調査のため必要な報告を求めることができる。

第九十七条の五 国の所有に属する登録有形文化財については、第五十六条の二の四第三項から第五項まで、第五十六条の二の六第二項及び第五十六条の二の九第三項の規定は、適用しない。

 第九十八条の三第一項中「都道府県」の下に「又は指定都市等」を加える。

 第九十九条第一項中「都道府県」の下に「又は指定都市等」を加え、同項第一号中「、第五十六条の七第四項(第五十六条の十九第二項(第八十三条の十一で準用する場合を含む。)で準用する場合を含む。)」を削り、同項第三号中「同条第七項(第五十六条の七第二項及び第五十六条の十六で準用する場合を含む。)、」を削り、同項第四号中「第五十三条」を「第五十三条第一項、第三項及び第四項」に改め、同条第二項から第四項までの規定中「都道府県」の下に「又は指定都市等」を加える。

 第百条第一項中「地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市若しくは同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市」を「指定都市等」に改め、同条第二項中「前項に規定する市」を「指定都市等」に改める。

 第百条の二中「都道府県」の下に「又は指定都市等」を加える。

 第百四条中「第百条第一項に規定する市」を「指定都市等」に改める。

 第百四条の二中「の教育委員会」を「及び市町村(市町村の組合及び特別区を含む。以下この節において同じ。)の教育委員会」に改め、「当該都道府県」の下に「又は市町村」を加える。

 第百五条の見出しを「(地方文化財保護審議会)」に改め、同条第一項中「都道府県の」を「都道府県及び市町村の」に、「都道府県文化財保護審議会」を「地方文化財保護審議会」に改め、同条第二項中「都道府県文化財保護審議会は、当該都道府県」を「地方文化財保護審議会は、都道府県又は市町村」に、「、及び」を「、並びに」に、「の教育委員会に」を「又は市町村の教育委員会に」に改め、同条第三項中「都道府県文化財保護審議会」を「地方文化財保護審議会」に改める。

 第百六条中「五十万円」を「百万円」に改める。

 第百七条第一項中「二十万円」を「三十万円」に改め、同条第二項中「十万円」を「二十万円」に改める。

 第百七条の二第一項中「二十万円」を「三十万円」に改め、同条第二項中「十万円」を「二十万円」に改める。

 第百七条の三中「十万円」を「二十万円」に改め、同条第一号中「都道府県」の下に「若しくは指定都市等」を加える。

 第百七条の四中「五万円」を「十万円」に改める。

 第百八条中「二十万円」を「三十万円」に改める。

 第百九条中「二十万円」を「三十万円」に改める。

 第百十条中「五万円」を「十万円」に改め、同条第三号中「同条第七項(第五十六条の七第二項及び第五十六条の十六で準用する場合を含む。)、」を削り、「都道府県」の下に「若しくは指定都市等」を加え、同条第四号中「第五十三条」を「第五十三条第一項、第三項又は第四項」に改め、「都道府県」の下に「若しくは指定都市等」を加え、同条第五号中「第五十五条」の下に「、第五十六条の二の十」を加え、同条第六号中「都道府県」の下に「若しくは指定都市等」を加える。

 第百十一条中「三万円」を「五万円」に改め、同条第一号中「又は第五十六条第二項」を「、第五十六条第二項」に改め、「(第五十六条の十七で準用する場合を含む。)」の下に「、第五十六条の二の三第五項又は第五十六条の二の十一」を加え、「重要文化財又は」を「重要文化財若しくは」に改め、「指定書」の下に「又は登録有形文化財の登録証」を加え、同条第二号中「第三十一条第三項(」の下に「第五十六条の二の四第四項、」を、「第三十二条(」の下に「第五十六条の二の四第四項、」を、「第四十三条の二第一項」の下に「、第五十六条の二の五、第五十六条の二の七第一項」を加え、「第五十六条の十五第一項」を「第五十六条の十五第一項本文」に改め、同条第三号中「(第五十六条の十四で準用する場合を含む。)」の下に「、第五十六条の二の四第四項、第五十六条の二の六第二項」を加える。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (重要文化財等の公開の届出に関する経過措置)

2 この法律の施行の際現に改正前の文化財保護法(以下「旧法」という。)第五十三条第一項の規定による許可を受け、又はその申請を行っている改正後の文化財保護法(以下「新法」という。)第五十三条第一項ただし書に規定する公開承認施設の設置者であって当該公開承認施設において展覧会その他の催しを主催するものは、同条第二項の規定による届出を行ったものとみなす。

3 この法律の施行前に旧法第五十三条第一項ただし書の規定による届出を行った文化庁長官以外の国の機関又は地方公共団体であって、新法第五十三条第一項ただし書に規定する公開承認施設において展覧会その他の催しを主催するものは、同条第二項の規定による届出を行ったものとみなす。

4 文化庁長官以外の国の機関若しくは地方公共団体であって新法第五十六条の十五第一項ただし書に規定する公開事前届出免除施設において展覧会その他の催しを主催するもの又は公開事前届出免除施設の設置者であって当該公開事前届出免除施設においてこれらを主催するもののうち、この法律の施行前に旧法第五十六条の十五第一項の規定による届出を行ったものは、新法第五十六条の十五第一項ただし書の規定による届出を行ったものとみなす。

 (罰則に関する経過措置)

5 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (検討)

6 政府は、この法律の施行後十年を経過した場合において、この法律の実施状況、保護すべき文化財の状況等を勘案し、有形文化財の登録に係る制度について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

z(文部・内閣総理大臣署名) 

法令一覧(年度別)に戻る