繭糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を改正する法律
法律第百十五号(平六・一二・一四)
(繭糸価格安定法の一部改正)
第一条 繭糸価格安定法(昭和二十六年法律第三百十号)の一部を次のように改正する。
目次中「外国産生糸の輸入及び売渡し等に関する措置(第十二条の六―第十二条の十四)」を「生糸の輸入に係る調整等に関する措置(第十二条の六―第十二条の十七)」に、「第二十条」を「第十九条」に改める。
「第二節 外国産生糸の輸入及び売渡し等に関する措置」を「第二節 生糸の輸入に係る調整等に関する措置」に改める。
第十二条の六を次のように改める。
(事業団による生糸の輸入)
第十二条の六 事業団は、農林水産大臣の承認を受けて、生糸を輸入することができる。
第十二条の七の前の見出しを「(事業団による輸入に係る生糸の売渡し)」に改め、同条第一項中「前条第二項」を「前条」に改め、「外国産の」を削り、「第十二条の十二第一項」を「第十二条の十第一項」に、「輸入生糸」を「輸入によつて保有する生糸」に改め、同条第二項中「輸入生糸」を「輸入によつて保有する生糸」に改める。
第十二条の八第一項中「(第二号に掲げる場合にあつては、一般競争入札その他の生糸の時価に悪影響を及ぼさない方法)」を削り、「輸入生糸」を「、輸入によつて保有する生糸」に改め、同項第二号中「輸入生糸」を「輸入によつて保有する生糸」に改め、同項第三号を削り、同条第二項中「第一号及び第二号」を削り、同条第三項中「輸入生糸」を「輸入によつて保有する生糸」に改め、「価格は、」の下に「同項第二号の規定による売渡しについて」を加え、同項の次に次の一項を加える。
4 事業団は、第一項第二号の規定による売渡しについて前項の農林水産大臣の承認を受けて定める価格で売り渡す場合には、絹業を営む者に対する売渡しを優先的に行うものとする。
第二章中第十二条の十四を第十二条の十七とする。
第十二条の十から第十二条の十三までを削る。
第十二条の九の前の見出しを削り、同条第一項中「及び前三条」を「、第十二条の六から第十二条の八まで及び第十二条の十一から前条まで」に改め、同条第二項及び第三項を削り、同条を第十二条の十六とし、同条に見出しとして「(外国産繭等に関する措置)」を付する。
第十二条の八の次に次の七条を加える。
(輸入によつて保有する生糸の売渡しをしない場合)
第十二条の九 事業団は、次の各号の一に該当するときは、第十二条の七の規定による売渡しをしないものとする。
一 その売渡しを受ける旨の申込みが農林水産省令で定める荷口を単位としていないとき。
二 その売渡しを受けることが買占めその他による不当の利得を目的として行われると認められるとき。
三 その他農林水産省令で定める相当の理由があるとき。
(輸入によつて保有する生糸の買換え)
第十二条の十 事業団は、輸入によつて保有する生糸の品質の低下により著しい損失を生ずるおそれがある場合において、必要があるときは、予算の範囲内において、これを同一の種類及び数量の生糸に買い換えることができる。
2 前項の規定による買換えのための売渡し及び買入れは、同時期に行わなければならない。
(輸入に係る生糸の事業団への売渡し)
第十二条の十一 生糸につき関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第六十七条の規定による輸入の申告(以下「輸入申告」という。)をする者(その者が当該輸入申告の際その輸入申告に係る生糸の所有者でない場合にあつては、その所有者。以下この項において「生糸輸入申告者等」という。)は、その輸入申告に係る生糸を事業団に売り渡さなければならない。ただし、生糸輸入申告者等が事業団、事業団法第二十九条の規定により事業団の委託を受けた者その他政令で定める者である場合は、この限りでない。
2 前項の規定による生糸の売渡しは、当該生糸に係る輸入申告の前に、売渡申込書を事業団に提出してしなければならない。
3 生糸についての関税法第七十条の規定の適用については、前項の規定による売渡申込書の提出があつた場合における当該申込みに対する事業団の承諾は、同条第一項の許可、承認等とみなす。
4 前項の事業団の承諾に関し必要な事項は、政令で定める。
(輸入に係る生糸の買入れの価格)
第十二条の十二 前条第一項の規定による売渡しに係る生糸についての事業団の買入れの価格は、当該生糸について輸入申告をすべき価格とする。
(輸入に係る生糸の売戻し)
第十二条の十三 事業団は、第十二条の十一第一項の規定による生糸の売渡しをした者に対し、その生糸を売り戻さなければならない。
2 事業団は、前項の規定による売戻しをするため、第十二条の十一第一項の規定による生糸の売渡しを受けるに当たつて、当該売渡しをする者がその売渡しに係る生糸を買い戻さなければならない旨の条件を付することができる。
3 事業団は、第十二条の十一第一項の規定による生糸の売渡しを受けるに当たつて、当該売渡しをする者に対し、前項の条件を付するほか、政令で定めるところにより、当該条件による買戻しに係る債務の履行を確保するため必要な範囲内で、保証金、証券その他の担保を提供させることができる。
(輸入に係る生糸の売戻しの価格)
第十二条の十四 前条第一項の規定による事業団の売戻しの価格は、一キログラムにつき三千九百十円を第十二条の十二の規定による事業団の買入れの価格に加えて得た額とする。
2 前項の規定にかかわらず、第十二条の十一第一項の規定による輸入申告に係る生糸の輸入が次条第一項の認定を受けたものであるときは、前項に規定する事業団の売戻しの価格は、政令で定める期間ごとにその各期間を適用期間とし、当該生糸の輸入が生糸の時価に悪影響を及ぼさないことを旨として一キログラムにつき三千九百十円を超えない範囲内で農林水産大臣が定める額を同項に規定する事業団の買入れの価格に加えて得た額とする。
3 前項の農林水産大臣が定める額は、その適用期間の初日前三日までに、その適用期間を明示して、告示しなければならない。
第十二条の十五 絹業を営む者又はその団体は、生糸を輸入しようとするときは、農林水産省令で定めるところにより、その輸入が絹業の健全な発展を通じて生糸の需要の増進に資する見地から特に必要なものである旨の農林水産大臣の認定を受けることができる。
2 農林水産大臣は、前項の認定の申請が次の各号のすべてに該当するときは、同項の認定をするものとする。
一 その申請に係る生糸の輸入により、国内における生糸の需給が均衡を失し又は失するおそれがないこと。
二 絹業の健全な発展を通じて生糸の需要の増進に資するために前条第一項の規定による事業団の売戻しの価格を調整することが必要なものであること。
三 その他農林水産省令で定める基準に適合するものであること。
第十六条中「第十二条の六第二項及び第十二条の九第三項の承認」を「第十二条の十四第二項の農林水産大臣が定める額の決定及び第十二条の十五第一項の認定」に改める。
第十七条を削る。
第十八条中「十万円」を「二十万円」に改め、同条を第十七条とする。
第十九条中「前二条」を「前条」に、「各本条の罰金刑」を「同条の刑」に改め、同条を第十八条とする。
第二十条中「十万円」を「二十万円」に改め、同条を第十九条とする。
(蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部改正)
第二条 蚕糸砂糖類価格安定事業団法(昭和五十六年法律第四十四号)の一部を次のように改正する。
第二十八条第一項第一号ハ中「外国産の生糸、繭又は繭短繊維」を「生糸」に、「輸入生糸又は同法第十二条の十に規定する輸入繭等」を「輸入によつて保有する生糸」に、「及び外国産の繭(買換えにより保有する繭を含む。)の加工又は生糸との交換」を「並びに同法第十二条の十一に規定する輸入申告に係る生糸の買入れ及び売戻し」に改め、同号ニ中「、繭又は繭短繊維」を「又は繭」に改める。
第二十九条中「外国産の」及び「、繭又は繭短繊維」を削る。
第三十六条第五項中「充てる場合」の下に「並びに繭糸価格安定法第十二条の十一第一項の規定による買入れ及び同法第十二条の十三第一項の規定による売戻しの業務に必要な経費に充てる場合」を加え、同項を同条第六項とし、同条中第四項を第五項とし、第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。
3 事業団は、繭糸価格安定法第十二条の十一第一項の規定による売渡し及び同法第十二条の十三第一項の規定による売戻しの対価の差額を蚕糸業振興資金に充てるものとする。
第四十八条中「十万円」を「二十万円」に改める。
第四十九条中「十万円」を「二十万円」に改め、同条第七号中「第三十六条第五項」を「第三十六条第六項」に改める。
第五十条中「五万円」を「十万円」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成七年四月一日(世界貿易機関を設立するマラケシュ協定が日本国について効力を生ずる日が平成七年四月一日後となる場合には、当該協定が日本国について効力を生ずる日以後の政令で定める日)から施行する。
(繭糸価格安定法の一部改正に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行の際第一条の規定による改正前の繭糸価格安定法(以下「旧法」という。)第十二条の六第二項の規定による輸入によって蚕糸砂糖類価格安定事業団(以下「事業団」という。)が保有する生糸(旧法第十二条の十二第一項の規定による買換えによって事業団が保有する生糸を含む。)は、第一条の規定による改正後の繭糸価格安定法第十二条の六の規定による輸入によって事業団が保有する生糸とみなす。
第三条 第二条の規定による改正前の蚕糸砂糖類価格安定事業団法第二十九条の規定により事業団の輸入に関する業務の委託が行われた生糸であってこの法律の施行の際現に輸入されていないものの売渡しについては、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置)
第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(大蔵・農林水産・内閣総理大臣署名)