不動産登記法等の一部を改正する法律
法律第二十九号(平一七・四・一三)
(不動産登記法の一部改正)
第一条 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。
目次中
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第六章 雑則(第百二十三条─第百三十条) |
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第七章 罰則(第百三十一条─第百三十六条) |
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を
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第六章 筆界特定 |
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第一節 総則(第百二十三条─第百三十条) |
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第二節 筆界特定の手続 |
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第一款 筆界特定の申請(第百三十一条─第百三十三条) |
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第二款 筆界の調査等(第百三十四条─第百四十一条) |
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第三節 筆界特定(第百四十二条─第百四十五条) |
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第四節 雑則(第百四十六条─第百五十条) |
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第七章 雑則(第百五十一条─第百五十八条) |
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第八章 罰則(第百五十九条─第百六十四条) |
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に改める。
第二十五条第七号中「同条第二項」の下に「(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項」を、「第九十三条」の下に「(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)」を加える。
第二十九条第二項中「関係人」を「関係者」に改める。
第五十八条第一項第二号中「又は当該」を「(当該」に、「の建物」を「の建物)」に改める。
第六十三条第一項中「同条第二項」の下に「(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項」を加える。
第百二十二条中「第百二十五条及び第百二十七条」を「第百五十三条及び第百五十五条」に改める。
第七章中第百三十六条を第百六十四条とする。
第百三十五条中「第百三十二条」を「第百六十条」に改め、同条を第百六十三条とする。
第百三十四条を削り、第百三十三条を第百六十一条とし、同条の次に次の一条を加える。
(検査の妨害等の罪)
第百六十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第二十九条第二項(第十六条第二項において準用する場合を含む。次号において同じ。)の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
二 第二十九条第二項の規定による文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの提示をせず、若しくは虚偽の文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものを提示し、又は質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
三 第百三十七条第五項の規定に違反して、同条第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げた者
第百三十二条を第百六十条とする。
第百三十一条中「第百二十三条第二項」を「第百五十一条第二項」に改め、同条を第百五十九条とする。
第七章を第八章とする。
第六章中第百三十条を第百五十八条とし、第百二十六条から第百二十九条までを二十八条ずつ繰り下げる。
第百二十五条中「登記簿等」の下に「及び筆界特定書等」を加え、同条を第百五十三条とし、第百二十四条を第百五十二条とし、第百二十三条を第百五十一条とする。
第六章を第七章とし、第五章の次に次の一章を加える。
第六章 筆界特定
第一節 総則
(定義)
第百二十三条 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 筆界 表題登記がある一筆の土地(以下単に「一筆の土地」という。)とこれに隣接する他の土地(表題登記がない土地を含む。以下同じ。)との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう。
二 筆界特定 一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、この章の定めるところにより、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。
三 対象土地 筆界特定の対象となる筆界で相互に隣接する一筆の土地及び他の土地をいう。
四 関係土地 対象土地以外の土地(表題登記がない土地を含む。)であって、筆界特定の対象となる筆界上の点を含む他の筆界で対象土地の一方又は双方と接するものをいう。
五 所有権登記名義人等 所有権の登記がある一筆の土地にあっては所有権の登記名義人、所有権の登記がない一筆の土地にあっては表題部所有者、表題登記がない土地にあっては所有者をいい、所有権の登記名義人又は表題部所有者の相続人その他の一般承継人を含む。
(筆界特定の事務)
第百二十四条 筆界特定の事務は、対象土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局がつかさどる。
2 第六条第二項及び第三項の規定は、筆界特定の事務について準用する。この場合において、同条第二項中「不動産」とあるのは「対象土地」と、「登記所」とあるのは「法務局又は地方法務局」と、「法務局若しくは地方法務局」とあるのは「法務局」と、同条第三項中「登記所」とあるのは「法務局又は地方法務局」と読み替えるものとする。
(筆界特定登記官)
第百二十五条 筆界特定は、筆界特定登記官(登記官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が行う。
(筆界特定登記官の除斥)
第百二十六条 筆界特定登記官が次の各号のいずれかに該当する者であるときは、当該筆界特定登記官は、対象土地について筆界特定を行うことができない。
一 対象土地又は関係土地のうちいずれかの土地の所有権の登記名義人(仮登記の登記名義人を含む。以下この号において同じ。)、表題部所有者若しくは所有者又は所有権以外の権利の登記名義人若しくは当該権利を有する者
二 前号に掲げる者の配偶者又は四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であった者を含む。次号において同じ。)
三 第一号に掲げる者の代理人若しくは代表者(代理人又は代表者であった者を含む。)又はその配偶者若しくは四親等内の親族
(筆界調査委員)
第百二十七条 法務局及び地方法務局に、筆界特定について必要な事実の調査を行い、筆界特定登記官に意見を提出させるため、筆界調査委員若干人を置く。
2 筆界調査委員は、前項の職務を行うのに必要な専門的知識及び経験を有する者のうちから、法務局又は地方法務局の長が任命する。
3 筆界調査委員の任期は、二年とする。
4 筆界調査委員は、再任されることができる。
5 筆界調査委員は、非常勤とする。
(筆界調査委員の欠格事由)
第百二十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、筆界調査委員となることができない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
二 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)、司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)又は土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)の規定による懲戒処分により、弁護士会からの除名又は司法書士若しくは土地家屋調査士の業務の禁止の処分を受けた者でこれらの処分を受けた日から三年を経過しないもの
三 公務員で懲戒免職の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
2 筆界調査委員が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、当然失職する。
(筆界調査委員の解任)
第百二十九条 法務局又は地方法務局の長は、筆界調査委員が次の各号のいずれかに該当するときは、その筆界調査委員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反その他筆界調査委員たるに適しない非行があると認められるとき。
(標準処理期間)
第百三十条 法務局又は地方法務局の長は、筆界特定の申請がされてから筆界特定登記官が筆界特定をするまでに通常要すべき標準的な期間を定め、法務局又は地方法務局における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。
第二節 筆界特定の手続
第一款 筆界特定の申請
(筆界特定の申請)
第百三十一条 土地の所有権登記名義人等は、筆界特定登記官に対し、当該土地とこれに隣接する他の土地との筆界について、筆界特定の申請をすることができる。
2 筆界特定の申請は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一 申請の趣旨
二 筆界特定の申請人の氏名又は名称及び住所
三 対象土地に係る第三十四条第一項第一号及び第二号に掲げる事項(表題登記がない土地にあっては、同項第一号に掲げる事項)
四 対象土地について筆界特定を必要とする理由
五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
3 筆界特定の申請人は、政令で定めるところにより、手数料を納付しなければならない。
4 第十八条の規定は、筆界特定の申請について準用する。この場合において、同条中「不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)」とあるのは「第百三十一条第二項各号に掲げる事項に係る情報(第二号、第百三十二条第一項第四号及び第百五十条において「筆界特定申請情報」という。)」と、「登記所」とあるのは「法務局又は地方法務局」と、同条第二号中「申請情報」とあるのは「筆界特定申請情報」と読み替えるものとする。
(申請の却下)
第百三十二条 筆界特定登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、筆界特定の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、筆界特定登記官が定めた相当の期間内に、筆界特定の申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
一 対象土地の所在地が当該申請を受けた法務局又は地方法務局の管轄に属しないとき。
二 申請の権限を有しない者の申請によるとき。
三 申請が前条第二項の規定に違反するとき。
四 筆界特定申請情報の提供の方法がこの法律に基づく命令の規定により定められた方式に適合しないとき。
五 申請が対象土地の所有権の境界の特定その他筆界特定以外の事項を目的とするものと認められるとき。
六 対象土地の筆界について、既に民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決(訴えを不適法として却下したものを除く。第百四十八条において同じ。)が確定しているとき。
七 対象土地の筆界について、既に筆界特定登記官による筆界特定がされているとき。ただし、対象土地について更に筆界特定をする特段の必要があると認められる場合を除く。
八 手数料を納付しないとき。
九 第百四十六条第五項の規定により予納を命じた場合においてその予納がないとき。
2 前項の規定による筆界特定の申請の却下は、登記官の処分とみなす。
(筆界特定の申請の通知)
第百三十三条 筆界特定の申請があったときは、筆界特定登記官は、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、その旨を次に掲げる者(以下「関係人」という。)に通知しなければならない。ただし、前条第一項の規定により当該申請を却下すべき場合は、この限りでない。
一 対象土地の所有権登記名義人等であって筆界特定の申請人以外のもの
二 関係土地の所有権登記名義人等
2 前項本文の場合において、関係人の所在が判明しないときは、同項本文の規定による通知を、関係人の氏名又は名称、通知をすべき事項及び当該事項を記載した書面をいつでも関係人に交付する旨を対象土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知が関係人に到達したものとみなす。
第二款 筆界の調査等
(筆界調査委員の指定等)
第百三十四条 法務局又は地方法務局の長は、前条第一項本文の規定による公告及び通知がされたときは、対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査を行うべき筆界調査委員を指定しなければならない。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の筆界調査委員に指定することができない。
一 対象土地又は関係土地のうちいずれかの土地の所有権の登記名義人(仮登記の登記名義人を含む。以下この号において同じ。)、表題部所有者若しくは所有者又は所有権以外の権利の登記名義人若しくは当該権利を有する者
二 前号に掲げる者の配偶者又は四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であった者を含む。次号において同じ。)
三 第一号に掲げる者の代理人若しくは代表者(代理人又は代表者であった者を含む。)又はその配偶者若しくは四親等内の親族
3 第一項の規定による指定を受けた筆界調査委員が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、筆界特定登記官の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
4 法務局又は地方法務局の長は、その職員に、筆界調査委員による事実の調査を補助させることができる。
(筆界調査委員による事実の調査)
第百三十五条 筆界調査委員は、前条第一項の規定による指定を受けたときは、対象土地又は関係土地その他の土地の測量又は実地調査をすること、筆界特定の申請人若しくは関係人又はその他の者からその知っている事実を聴取し又は資料の提出を求めることその他対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査をすることができる。
2 筆界調査委員は、前項の事実の調査に当たっては、筆界特定が対象土地の所有権の境界の特定を目的とするものでないことに留意しなければならない。
(測量及び実地調査)
第百三十六条 筆界調査委員は、対象土地の測量又は実地調査を行うときは、あらかじめ、その旨並びにその日時及び場所を筆界特定の申請人及び関係人に通知して、これに立ち会う機会を与えなければならない。
2 第百三十三条第二項の規定は、前項の規定による通知について準用する。
(立入調査)
第百三十七条 法務局又は地方法務局の長は、筆界調査委員が対象土地又は関係土地その他の土地の測量又は実地調査を行う場合において、必要があると認めるときは、その必要の限度において、筆界調査委員又は第百三十四条第四項の職員(以下この条において「筆界調査委員等」という。)に、他人の土地に立ち入らせることができる。
2 法務局又は地方法務局の長は、前項の規定により筆界調査委員等を他人の土地に立ち入らせようとするときは、あらかじめ、その旨並びにその日時及び場所を当該土地の占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により宅地又は垣、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合には、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
4 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き、前項に規定する土地に立ち入ってはならない。
5 土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
6 第一項の規定による立入りをする場合には、筆界調査委員等は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
7 国は、第一項の規定による立入りによって損失を受けた者があるときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
(関係行政機関等に対する協力依頼)
第百三十八条 法務局又は地方法務局の長は、筆界特定のため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長又は関係のある公私の団体に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。
(意見又は資料の提出)
第百三十九条 筆界特定の申請があったときは、筆界特定の申請人及び関係人は、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界について、意見又は資料を提出することができる。この場合において、筆界特定登記官が意見又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
2 前項の規定による意見又は資料の提出は、電磁的方式(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。)により行うことができる。
(意見聴取等の期日)
第百四十条 筆界特定の申請があったときは、筆界特定登記官は、第百三十三条第一項本文の規定による公告をした時から筆界特定をするまでの間に、筆界特定の申請人及び関係人に対し、あらかじめ期日及び場所を通知して、対象土地の筆界について、意見を述べ、又は資料(電磁的記録を含む。)を提出する機会を与えなければならない。
2 筆界特定登記官は、前項の期日において、適当と認める者に、参考人としてその知っている事実を陳述させることができる。
3 筆界調査委員は、第一項の期日に立ち会うものとする。この場合において、筆界調査委員は、筆界特定登記官の許可を得て、筆界特定の申請人若しくは関係人又は参考人に対し質問を発することができる。
4 筆界特定登記官は、第一項の期日の経過を記載した調書を作成し、当該調書において当該期日における筆界特定の申請人若しくは関係人又は参考人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
5 前項の調書は、電磁的記録をもって作成することができる。
6 第百三十三条第二項の規定は、第一項の規定による通知について準用する。
(調書等の閲覧)
第百四十一条 筆界特定の申請人及び関係人は、第百三十三条第一項本文の規定による公告があった時から第百四十四条第一項の規定により筆界特定の申請人に対する通知がされるまでの間、筆界特定登記官に対し、当該筆界特定の手続において作成された調書及び提出された資料(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求することができる。この場合において、筆界特定登記官は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
2 筆界特定登記官は、前項の閲覧について、日時及び場所を指定することができる。
第三節 筆界特定
(筆界調査委員の意見の提出)
第百四十二条 筆界調査委員は、第百四十条第一項の期日の後、対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査を終了したときは、遅滞なく、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界特定についての意見を提出しなければならない。
(筆界特定)
第百四十三条 筆界特定登記官は、前条の規定により筆界調査委員の意見が提出されたときは、その意見を踏まえ、登記記録、地図又は地図に準ずる図面及び登記簿の附属書類の内容、対象土地及び関係土地の地形、地目、面積及び形状並びに工作物、囲障又は境界標の有無その他の状況及びこれらの設置の経緯その他の事情を総合的に考慮して、対象土地の筆界特定をし、その結論及び理由の要旨を記載した筆界特定書を作成しなければならない。
2 筆界特定書においては、図面及び図面上の点の現地における位置を示す方法として法務省令で定めるものにより、筆界特定の内容を表示しなければならない。
3 筆界特定書は、電磁的記録をもって作成することができる。
(筆界特定の通知等)
第百四十四条 筆界特定登記官は、筆界特定をしたときは、遅滞なく、筆界特定の申請人に対し、筆界特定書の写しを交付する方法(筆界特定書が電磁的記録をもって作成されているときは、法務省令で定める方法)により当該筆界特定書の内容を通知するとともに、法務省令で定めるところにより、筆界特定をした旨を公告し、かつ、関係人に通知しなければならない。
2 第百三十三条第二項の規定は、前項の規定による通知について準用する。
(筆界特定手続記録の保管)
第百四十五条 前条第一項の規定により筆界特定の申請人に対する通知がされた場合における筆界特定の手続の記録(以下「筆界特定手続記録」という。)は、対象土地の所在地を管轄する登記所において保管する。
第四節 雑則
(手続費用の負担等)
第百四十六条 筆界特定の手続における測量に要する費用その他の法務省令で定める費用(以下この条において「手続費用」という。)は、筆界特定の申請人の負担とする。
2 筆界特定の申請人が二人ある場合において、その一人が対象土地の一方の土地の所有権登記名義人等であり、他の一人が他方の土地の所有権登記名義人等であるときは、各筆界特定の申請人は、等しい割合で手続費用を負担する。
3 筆界特定の申請人が二人以上ある場合において、その全員が対象土地の一方の土地の所有権登記名義人等であるときは、各筆界特定の申請人は、その持分(所有権の登記がある一筆の土地にあっては第五十九条第四号の持分、所有権の登記がない一筆の土地にあっては第二十七条第三号の持分。次項において同じ。)の割合に応じて手続費用を負担する。
4 筆界特定の申請人が三人以上ある場合において、その一人又は二人以上が対象土地の一方の土地の所有権登記名義人等であり、他の一人又は二人以上が他方の土地の所有権登記名義人等であるときは、対象土地のいずれかの土地の一人の所有権登記名義人等である筆界特定の申請人は、手続費用の二分の一に相当する額を負担し、対象土地のいずれかの土地の二人以上の所有権登記名義人等である各筆界特定の申請人は、手続費用の二分の一に相当する額についてその持分の割合に応じてこれを負担する。
5 筆界特定登記官は、筆界特定の申請人に手続費用の概算額を予納させなければならない。
(筆界確定訴訟における釈明処分の特則)
第百四十七条 筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えが提起されたときは、裁判所は、当該訴えに係る訴訟において、訴訟関係を明瞭にするため、登記官に対し、当該筆界特定に係る筆界特定手続記録の送付を嘱託することができる。民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えが提起された後、当該訴えに係る筆界について筆界特定がされたときも、同様とする。
(筆界確定訴訟の判決との関係)
第百四十八条 筆界特定がされた場合において、当該筆界特定に係る筆界について民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決が確定したときは、当該筆界特定は、当該判決と抵触する範囲において、その効力を失う。
(筆界特定書等の写しの交付等)
第百四十九条 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、筆界特定手続記録のうち筆界特定書又は政令で定める図面の全部又は一部(以下この条及び第百五十三条において「筆界特定書等」という。)の写し(筆界特定書等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付を請求することができる。
2 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、筆界特定手続記録(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求することができる。ただし、筆界特定書等以外のものについては、請求人が利害関係を有する部分に限る。
3 第百十九条第三項及び第四項の規定は、前二項の手数料について準用する。
(法務省令への委任)
第百五十条 この章に定めるもののほか、筆界特定申請情報の提供の方法、筆界特定手続記録の公開その他の筆界特定の手続に関し必要な事項は、法務省令で定める。
附則第十一条中「第百三十条」を「第百五十八条」に改める。
(司法書士法の一部改正)
第二条 司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第二号中「いう」の下に「。第四号において同じ」を加え、同号に次のただし書を加える。
ただし、同号に掲げる事務を除く。
第三条第一項第四号中「又は」を「若しくは」に改め、「書類」の下に「又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録」を加え、同項第六号ただし書中「提起」の下に「(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)」を加え、同項第七号中「又は」の下に「仲裁事件の手続若しくは」を加え、同項に次の一号を加える。
八 筆界特定の手続であつて対象土地(不動産登記法第百二十三条第三号に規定する対象土地をいう。)の価額として法務省令で定める方法により算定される額の合計額の二分の一に相当する額に筆界特定によつて通常得られることとなる利益の割合として法務省令で定める割合を乗じて得た額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は代理すること。
第三条第二項中「及び第七号」を「から第八号まで」に改め、同項(第三号を除く。)及び同条第三項第一号中「簡裁訴訟代理関係業務」を「簡裁訴訟代理等関係業務」に改める。
第二十一条中「簡裁訴訟代理関係業務」を「簡裁訴訟代理等関係業務」に改める。
第二十二条第一項中「事件」の下に「及び仲裁手続により仲裁人として取り扱つた事件」を加え、同条第二項第三号及び第三項各号中「簡裁訴訟代理関係業務」を「簡裁訴訟代理等関係業務」に改め、同条第四項中「簡裁訴訟代理関係業務」を「簡裁訴訟代理等関係業務」に、「前項ただし書」を「同項ただし書」に改める。
第二十九条第一項第二号及び第二項、第三十六条第二項並びに第三十七条第二項中「簡裁訴訟代理関係業務」を「簡裁訴訟代理等関係業務」に改める。
第三十八条第一項中「責めに任ずる」を「責任を負う」に改め、同条第四項中「簡裁訴訟代理関係業務」を「簡裁訴訟代理等関係業務」に、「責めに任ずる」を「責任を負う」に改める。
第四十条(見出しを含む。)並びに第四十一条第一項第二号、第二項及び第三項(第一号を除く。)中「簡裁訴訟代理関係業務」を「簡裁訴訟代理等関係業務」に改める。
(土地家屋調査士法の一部改正)
第三条 土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)の一部を次のように改正する。
第三条第二号中「申請手続」の下に「又はこれに関する審査請求の手続についての代理」を加え、同条第三号を次のように改める。
三 不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第五号において同じ。)の作成
第三条に次の五号を加える。
四 筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。次号において同じ。)についての代理
五 筆界特定の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録の作成
六 前各号に掲げる事務についての相談
七 土地の筆界(不動産登記法第百二十三条第一号に規定する筆界をいう。第二十五条第二項において同じ。)が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続(民間事業者が、紛争の当事者が和解をすることができる民事上の紛争について、紛争の当事者双方からの依頼を受け、当該紛争の当事者との間の契約に基づき、和解の仲介を行う裁判外紛争解決手続(訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続をいう。)をいう。)であつて当該紛争の解決の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として法務大臣が指定するものが行うものについての代理
八 前号に掲げる事務についての相談
第三条に次の四項を加える。
2 前項第七号及び第八号に規定する業務(以下「民間紛争解決手続代理関係業務」という。)は、次のいずれにも該当する調査士に限り、行うことができる。この場合において、同項第七号に規定する業務は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り、行うことができる。
一 民間紛争解決手続代理関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること。
二 前号に規定する者の申請に基づき法務大臣が民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること。
三 土地家屋調査士会(以下「調査士会」という。)の会員であること。
3 法務大臣は、次のいずれにも該当するものと認められる研修についてのみ前項第一号の指定をするものとする。
一 研修の内容が、民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力の習得に十分なものとして法務省令で定める基準を満たすものであること。
二 研修の実施に関する計画が、その適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
三 研修を実施する法人が、前号の計画を適正かつ確実に遂行するに足りる専門的能力及び経理的基礎を有するものであること。
4 法務大臣は、第二項第一号の研修の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、当該研修を実施する法人に対し、当該研修に関して、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な命令をすることができる。
5 調査士は、第二項第二号の規定による認定を受けようとするときは、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。
第四条第二号中「調査士の業務(前条各号に掲げる事務を行う業務をいう。以下同じ。)」を「前条第一項第一号から第六号までに規定する業務」に改める。
第九条第一項中「土地家屋調査士会(以下「調査士会」という。)」を「調査士会」に改める。
第二十二条中「依頼」の下に「(第三条第一項第四号及び第六号(第四号に関する部分に限る。)に規定する業務並びに民間紛争解決手続代理関係業務に関するものを除く。)」を加え、同条の次に次の一条を加える。
(業務を行い得ない事件)
第二十二条の二 調査士は、公務員として職務上取り扱つた事件及び仲裁手続により仲裁人として取り扱つた事件については、その業務を行つてはならない。
2 調査士は、次に掲げる事件については、第三条第一項第四号から第六号(第四号及び第五号に関する部分に限る。)までに規定する業務(以下「筆界特定手続代理関係業務」という。)を行つてはならない。ただし、第三号及び第七号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三 筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして受任している事件(第三条第一項第五号に規定する業務に関するものとして受任しているものを除く。第七号において同じ。)の相手方からの依頼による他の事件
四 調査士法人(第二十六条に規定する調査士法人をいう。以下この条において同じ。)の社員又は使用人である調査士としてその業務に従事していた期間内に、当該調査士法人が、筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であつて、自らこれに関与したもの
五 調査士法人の社員又は使用人である調査士としてその業務に従事していた期間内に、当該調査士法人が筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものであつて、自らこれに関与したもの
六 調査士法人の使用人である場合に、当該調査士法人が相手方から筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして受任している事件
七 調査士法人の使用人である場合に、当該調査士法人が筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして受任している事件(当該調査士が自ら関与しているものに限る。)の相手方からの依頼による他の事件
3 第三条第二項に規定する調査士は、前項各号に掲げる事件及び次に掲げる事件については、民間紛争解決手続代理関係業務を行つてはならない。ただし、同項第三号及び第七号に掲げる事件並びに第二号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 調査士法人(民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人を除く。次号において同じ。)の社員である場合に、当該調査士法人が相手方から筆界特定手続代理関係業務に関するものとして受任している事件
二 調査士法人の社員である場合に、当該調査士法人が筆界特定手続代理関係業務に関するものとして受任している事件(当該調査士が自ら関与しているものに限り、第三条第一項第五号に規定する業務に関するものとして受任しているものを除く。)の相手方からの依頼による他の事件
第二十四条の次に次の一条を加える。
(秘密保持の義務)
第二十四条の二 調査士又は調査士であつた者は、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱つた事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない。
第二十五条第二項中「境界」を「筆界」に改める。
第二十九条中「調査士の業務」を「第三条第一項第一号から第六号までに規定する業務」に、「法令等に基づきすべての調査士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部」を「次に掲げる業務」に改め、同条に次の各号を加える。
一 法令等に基づきすべての調査士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部
二 民間紛争解決手続代理関係業務
第二十九条に次の一項を加える。
2 民間紛争解決手続代理関係業務は、社員のうちに第三条第二項に規定する調査士がある調査士法人(調査士会の会員であるものに限る。)に限り、行うことができる。
第三十五条に次の一項を加える。
2 民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人における民間紛争解決手続代理関係業務については、前項の規定にかかわらず、第三条第二項に規定する調査士である社員(以下「特定社員」という。)のみが業務を執行する権利を有し、義務を負う。
第三十五条の次に次の二条を加える。
(法人の代表)
第三十五条の二 調査士法人の社員は、各自調査士法人を代表する。ただし、定款又は総社員の同意によつて、社員のうち特に調査士法人を代表すべきものを定めることを妨げない。
2 民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人における民間紛争解決手続代理関係業務については、前項本文の規定にかかわらず、特定社員のみが、各自調査士法人を代表する。ただし、当該特定社員の全員の同意によつて、当該特定社員のうち特に民間紛争解決手続代理関係業務について調査士法人を代表すべきものを定めることを妨げない。
(社員の責任)
第三十五条の三 調査士法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、各社員は、連帯して、その弁済の責任を負う。
2 調査士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。
3 前項の規定は、社員が調査士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。
4 民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人が民間紛争解決手続代理関係業務に関し依頼者に対して負担することとなつた債務を当該調査士法人の財産をもつて完済することができないときは、第一項の規定にかかわらず、特定社員(当該調査士法人を脱退した特定社員を含む。以下この条において同じ。)が、連帯して、その弁済の責任を負う。ただし、当該調査士法人を脱退した特定社員が脱退後の事由により生じた債務であることを証明した場合は、この限りでない。
5 前項本文に規定する債務についての調査士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときは、第二項及び第三項の規定にかかわらず、特定社員が当該調査士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した場合を除き、前項と同様とする。
6 商法第九十三条の規定は、調査士法人の社員の脱退について準用する。ただし、同条第一項及び第二項の規定は、第四項本文に規定する債務については、準用しない。
第三十六条の次に次の二条を加える。
(民間紛争解決手続代理関係業務の取扱い)
第三十六条の二 民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人は、特定社員が常駐していない事務所においては、民間紛争解決手続代理関係業務を取り扱うことができない。
(特定の事件についての業務の制限)
第三十六条の三 調査士法人は、次に掲げる事件については、筆界特定手続代理関係業務を行つてはならない。ただし、第三号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三 筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして受任している事件(第三条第一項第五号に規定する業務として受任している事件を除く。)の相手方からの依頼による他の事件
四 使用人が相手方から筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして受任している事件
五 第二十二条の二第一項に規定する事件、同条第二項第一号から第五号までに掲げる事件又は同条第三項に規定する同条第二項第一号から第五号までに掲げる事件として社員の半数以上の者が筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務を行つてはならないこととされる事件
六 民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人以外の調査士法人にあつては、第三条第二項に規定する調査士である社員が相手方から民間紛争解決手続代理関係業務に関するものとして受任している事件
2 民間紛争解決手続代理関係業務を行うことを目的とする調査士法人は、次に掲げる事件については、民間紛争解決手続代理関係業務を行つてはならない。
一 前項第一号から第四号までに掲げる事件
二 第二十二条の二第一項に規定する事件、同条第二項第一号から第五号までに掲げる事件又は同条第三項に規定する同条第二項第一号から第五号までに掲げる事件として特定社員の半数以上の者が筆界特定手続代理関係業務又は民間紛争解決手続代理関係業務を行つてはならないこととされる事件
第四十一条第五項中「第七十六条」を「第七十七条から第七十九条まで及び第八十一条」に改め、同条第六項中「第九十三条」を「第九十二条」に改める。
第六十四条第一項中「第三条第一号並びに同条第二号及び第三号(同条第一号」を「第三条第一項第一号から第三号までに掲げる事務(同項第二号及び第三号に掲げる事務にあつては、同項第一号」に改め、「に限る。)」の下に「及びこれらの事務に関する同項第六号」を加える。
第六十八条第一項中「第六十四条第一項に規定する」を「第三条第一項第一号から第五号までに掲げる事務(同項第二号及び第三号に掲げる事務にあつては、同項第一号に掲げる調査又は測量を必要とする申請手続に関するものに限る。)又はこれらの事務に関する同項第六号に掲げる」に改め、同項ただし書を次のように改める。
ただし、弁護士若しくは弁護士法人が同項第二号から第五号までに掲げる事務(同項第二号及び第三号に掲げる事務にあつては、同項第一号に掲げる調査又は測量を必要とする申請手続に関する審査請求の手続に関するものに限る。)若しくはこれらの事務に関する同項第六号に掲げる事務を行う場合又は司法書士法第三条第二項に規定する司法書士若しくは同項に規定する簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人が第三条第一項第四号若しくは第五号に掲げる事務(同法第三条第一項第八号に規定する筆界特定の手続に係るものに限る。)若しくはこれらの事務に関する第三条第一項第六号に掲げる事務を行う場合は、この限りでない。
第七十一条の次に次の一条を加える。
第七十一条の二 第二十四条の二の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(不動産登記法の一部改正に伴う経過措置)
第二条 第一条の規定による改正後の不動産登記法(以下この項において「新不動産登記法」という。)第百三十一条第四項において準用する新不動産登記法第十八条第一号の規定は、法務局又は地方法務局ごとに同号に規定する方法による筆界特定の申請をすることができる筆界特定の手続(新不動産登記法第六章第二節の規定による筆界特定の手続をいう。以下この項において同じ。)として法務大臣が指定した筆界特定の手続について、その指定の日から適用する。
2 前項の規定による指定は、告示してしなければならない。
(司法書士法の一部改正に伴う経過措置)
第三条 この法律の施行前に第二条の規定による改正前の司法書士法(次項において「旧司法書士法」という。)第三条第二項第一号に規定する研修の課程を修了した者は、第二条の規定による改正後の司法書士法(次項において「新司法書士法」という。)第三条第二項第一号に規定する研修の課程を修了した者とみなす。
2 この法律の施行前に旧司法書士法第三条第二項第二号の規定による認定を受けた者は、新司法書士法第三条第二項第二号の規定による認定を受けた者とみなす。
(土地家屋調査士法の一部改正に伴う経過措置)
第四条 この法律の施行前に第三条の規定による改正前の土地家屋調査士法第四条第二号に規定する調査士の業務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認められた者は、第三条の規定による改正後の土地家屋調査士法(附則第十条において「新土地家屋調査士法」という。)第四条に規定する調査士となる資格を有する者とみなす。
(非訟事件手続法の一部改正)
第五条 非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)の一部を次のように改正する。
第百二十五条第一項中「第百二十四条乃至第百二十八条、第百二十九条第一項乃至第三項並ニ第百三十条」を「第百五十二条乃至第百五十六条、第百五十七条第一項乃至第三項並ニ第百五十八条」に改める。
(抵当証券法の一部改正)
第六条 抵当証券法(昭和六年法律第十五号)の一部を次のように改正する。
第四十一条中「第百二十五条」を「第百五十三条」に、「第百二十七条」を「第百五十五条」に、「第百二十八条、第百二十九条第一項乃至第三項並ニ第百三十条」を「第百五十六条、第百五十七条第一項乃至第三項並ニ第百五十八条」に改め、「於テハ」の下に「同法第二十三条第一項中「前条」トアルハ「抵当証券法(昭和六年法律第十五号)第三条第一項」ト、「同条ただし書の規定」トアルハ「正当な理由」ト、」を加える。
(印紙をもつてする歳入金納付に関する法律の一部改正)
第七条 印紙をもつてする歳入金納付に関する法律(昭和二十三年法律第百四十二号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項第七号中「若しくは第百二十一条第一項」を「、第百二十一条第一項若しくは第二項若しくは第百四十九条第一項」に改める。
(登録免許税法の一部改正)
第八条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十三号中「資格の登録」の下に「若しくは認定」を加え、同号(二)及び(三)を次のように改める。
(二) 司法書士の登録又は認定 |
||
イ 司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第八条(司法書士名簿の登録)の司法書士の登録 |
登録件数 |
一件につき三万円 |
ロ 司法書士法第三条第二項第二号(簡裁訴訟代理等関係業務の認定)の認定 |
認定件数 |
一件につき五千円 |
(三) 土地家屋調査士の登録又は認定 |
||
イ 土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)第八条(土地家屋調査士名簿の登録)の土地家屋調査士の登録 |
登録件数 |
一件につき三万円 |
ロ 土地家屋調査士法第三条第二項第二号(民間紛争解決手続代理関係業務の認定)の認定 |
認定件数 |
一件につき五千円 |
(罰則の適用に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(検討)
第十条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況等を勘案し、新土地家屋調査士法第三条第二項に規定する民間紛争解決手続代理関係業務に係る制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(法務・財務・内閣総理大臣署名)