健康増進法の一部を改正する法律

法律第五十六号(平一五・五・三〇)

 健康増進法(平成十四年法律第百三号)の一部を次のように改正する。

 目次中「及び栄養表示基準」を「、栄養表示基準等」に、「第三十九条」を「第四十条」に改める。

 第六章の章名中「及び栄養表示基準」を「、栄養表示基準等」に改める。

 第二十六条第三項中「研究所」の下に「又は厚生労働大臣の登録を受けた法人(以下「登録試験機関」という。)」を、「試験」の下に「(以下「許可試験」という。)」を加え、同条第四項中「(前項の試験」を「(許可試験」に、「、前項の試験」を「、研究所の行う許可試験にあっては許可試験」に改め、「研究所に」の下に「、登録試験機関の行う許可試験にあっては当該登録試験機関が厚生労働大臣の認可を受けて定める額の手数料を当該登録試験機関に」を加える。

 第二十六条の次に次の十七条を加える。

 (登録試験機関の登録)

第二十六条の二 登録試験機関の登録を受けようとする者は、厚生労働省令で定める手続に従い、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めて、厚生労働大臣に登録の申請をしなければならない。

 (欠格条項)

第二十六条の三 次の各号のいずれかに該当する法人は、第二十六条第三項の登録を受けることができない。

 一 その法人又はその業務を行う役員がこの法律の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることのなくなった日から二年を経過しないもの

 二 第二十六条の十三の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない法人

 三 第二十六条の十三の規定による登録の取消しの日前三十日以内にその取消しに係る法人の業務を行う役員であった者でその取消しの日から二年を経過しないものがその業務を行う役員となっている法人

 (登録の基準)

第二十六条の四 厚生労働大臣は、第二十六条の二の規定により登録を申請した者(以下この項において「登録申請者」という。)が次に掲げる要件のすべてに適合しているときは、その登録をしなければならない。この場合において、登録に関して必要な手続は、厚生労働省令で定める。

 一 別表の上欄に掲げる機械器具その他の設備を有し、かつ、許可試験は同表の中欄に掲げる条件に適合する知識経験を有する者が実施し、その人数が同表の下欄に掲げる数以上であること。

 二 次に掲げる許可試験の信頼性の確保のための措置がとられていること。

  イ 試験を行う部門に許可試験の種類ごとにそれぞれ専任の管理者を置くこと。

  ロ 許可試験の業務の管理及び精度の確保に関する文書が作成されていること。

  ハ ロに掲げる文書に記載されたところに従い許可試験の業務の管理及び精度の確保を行う専任の部門を置くこと。

 三 登録申請者が、第二十六条第一項若しくは第二十九条第一項の規定により許可若しくは承認を受けなければならないこととされる食品を製造し、輸入し、又は販売する食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第四条第八項に規定する営業者(以下この号及び第二十六条の十第二項において「特別用途食品営業者」という。)に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないこと。

  イ 登録申請者が株式会社又は有限会社である場合にあっては、特別用途食品営業者がその親会社(商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百十一条ノ二第一項の親会社をいう。)であること。

  ロ 登録申請者の役員(合名会社又は合資会社にあっては、業務執行権を有する社員)に占める特別用途食品営業者の役員又は職員(過去二年間に当該特別用途食品営業者の役員又は職員であった者を含む。)の割合が二分の一を超えていること。

  ハ 登録申請者の代表権を有する役員が、特別用途食品営業者の役員又は職員(過去二年間に当該特別用途食品営業者の役員又は職員であった者を含む。)であること。

2 登録は、次に掲げる事項を登録台帳に記帳して行う。

 一 登録年月日及び登録番号

 二 登録試験機関の名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地

 三 登録試験機関が許可試験を行う事業所の名称及び所在地

 (登録の更新)

第二十六条の五 登録試験機関の登録は、五年以上十年以内において政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

2 前二条の規定は、前項の登録の更新について準用する。

 (試験の義務)

第二十六条の六 登録試験機関は、許可試験を行うことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、許可試験を行わなければならない。

 (事業所の変更の届出)

第二十六条の七 登録試験機関は、許可試験を行う事業所の所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、厚生労働大臣に届け出なければならない。

 (試験業務規程)

第二十六条の八 登録試験機関は、許可試験の業務に関する規程(以下「試験業務規程」という。)を定め、許可試験の業務の開始前に、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 試験業務規程には、許可試験の実施方法、許可試験の手数料その他の厚生労働省令で定める事項を定めておかなければならない。

3 厚生労働大臣は、第一項の認可をした試験業務規程が許可試験の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、登録試験機関に対し、その試験業務規程を変更すべきことを命ずることができる。

 (業務の休廃止)

第二十六条の九 登録試験機関は、厚生労働大臣の許可を受けなければ、許可試験の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。

 (財務諸表等の備付け及び閲覧等)

第二十六条の十 登録試験機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに営業報告書又は事業報告書(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項及び第四十条において「財務諸表等」という。)を作成し、五年間事業所に備えて置かなければならない。

2 特別用途食品営業者その他の利害関係人は、登録試験機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号の請求をするには、登録試験機関の定めた費用を支払わなければならない。

 一 財務諸表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

 二 前号の書面の謄本又は抄本の請求

 三 財務諸表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

 四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって厚生労働省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求

 (秘密保持義務等)

第二十六条の十一 登録試験機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、許可試験の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

2 許可試験の業務に従事する登録試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 (適合命令)

第二十六条の十二 厚生労働大臣は、登録試験機関が第二十六条の四第一項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その登録試験機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 (登録の取消し等)

第二十六条の十三 厚生労働大臣は、登録試験機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて許可試験の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 一 第二十六条の三第一号又は第三号に該当するに至ったとき。

 二 第二十六条の六、第二十六条の七、第二十六条の九、第二十六条の十第一項又は次条の規定に違反したとき。

 三 正当な理由がないのに第二十六条の十第二項各号の規定による請求を拒んだとき。

 四 第二十六条の八第一項の認可を受けた試験業務規程によらないで許可試験を行ったとき。

 五 第二十六条の八第三項又は前条の規定による命令に違反したとき。

 六 不正の手段により第二十六条第三項の登録(第二十六条の五第一項の登録の更新を含む。)を受けたとき。

 (帳簿の記載)

第二十六条の十四 登録試験機関は、厚生労働省令で定めるところにより、帳簿を備え、許可試験に関する業務に関し厚生労働省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

 (登録試験機関以外の者による人を誤認させる行為の禁止)

第二十六条の十五 登録試験機関以外の者は、その行う業務が許可試験であると人を誤認させるような表示その他の行為をしてはならない。

2 厚生労働大臣は、登録試験機関以外の者に対し、その行う業務が許可試験であると人を誤認させないようにするための措置をとるべきことを命ずることができる。

 (報告の徴収)

第二十六条の十六 厚生労働大臣は、この法律の施行に必要な限度において、登録試験機関に対し、その業務又は経理の状況に関し報告をさせることができる。

 (立入検査)

第二十六条の十七 厚生労働大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、登録試験機関の事務所又は事業所に立ち入り、業務の状況又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (公示)

第二十六条の十八 厚生労働大臣は、次の場合には、その旨を官報に公示しなければならない。

 一 第二十六条第三項の登録をしたとき。

 二 第二十六条の五第一項の規定により登録試験機関の登録がその効力を失ったとき。

 三 第二十六条の七の規定による届出があったとき。

 四 第二十六条の九の規定による許可をしたとき。

 五 第二十六条の十三の規定により登録試験機関の登録を取り消し、又は許可試験の業務の停止を命じたとき。

 第二十七条第三項中「(昭和二十二年法律第二百三十三号)」を削る。

 第三十二条の次に次の二条を加える。

 (誇大表示の禁止)

第三十二条の二 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他厚生労働省令で定める事項(以下「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。

 (勧告等)

第三十二条の三 厚生労働大臣は、前条の規定に違反して表示をした者がある場合において、国民の健康の保持増進に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、その者に対し、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。

2 厚生労働大臣は、前項に規定する勧告を受けた者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

3 第二十七条の規定は、食品として販売に供する物であって健康保持増進効果等についての表示がされたもの(特別用途食品、第二十九条第一項の承認を受けた食品及び販売に供する食品であって栄養表示がされたものを除く。)について準用する。

 第三十三条中「第二十九条第二項」の下に「、第三十二条第三項」を加える。

 第三十六条第一項中「五十万円」を「百万円」に改め、同条に次の二項を加える。

3 第二十六条の十一第一項の規定に違反してその職務に関して知り得た秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

4 第二十六条の十三の規定による業務の停止の命令に違反したときは、その違反行為をした登録試験機関の役員又は職員は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 第三十六条の次に次の一条を加える。

第三十六条の二 第三十二条の三第二項の規定に基づく命令に違反した者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 第三十七条に次の一号を加える。

 三 第二十六条の十五第二項の規定による命令に違反した者

 第三十七条の次に次の一条を加える。

第三十七条の二 次に掲げる違反があった場合においては、その行為をした登録試験機関の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、五十万円以下の罰金に処する。

 一 第二十六条の九の規定による許可を受けないで、許可試験の業務を廃止したとき。

 二 第二十六条の十四の規定による帳簿の記載をせず、虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。

 三 第二十六条の十六の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 四 第二十六条の十七第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。

 第三十九条中「前二条」を「第三十七条又は前条」に改め、同条の次に次の一条を加える。

第四十条 第二十六条の十第一項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第二項各号の規定による請求を拒んだ者は、二十万円以下の過料に処する。

 附則の次に次の別表を加える。

別表(第二十六条の四関係)

一 遠心分離機

二 純水製造装置

三 超低温槽

四 ホモジナイザー

五 ガスクロマトグラフ

六 原子吸光分光光度計

七 高速液体クロマトグラフ

八 乾熱滅菌器

九 光学顕微鏡

十 高圧滅菌器

十一 ふ卵器

次の各号のいずれかに該当すること。

一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学(短期大学を除く。)、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)に基づく専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学若しくは応用化学の課程又はこれらに相当する課程を修めて卒業した後、一年以上理化学的検査の業務に従事した経験を有する者であること。

中欄の第一号から第三号までのいずれかに該当する者三名及び同欄の第四号から第六号までのいずれかに該当する者三名

二 学校教育法に基づく短期大学又は高等専門学校において工業化学の課程又はこれに相当する課程を修めて卒業した後、三年以上理化学的検査の業務に従事した経験を有する者であること。

三 前二号に掲げる者と同等以上の知識経験を有する者であること。

四 学校教育法に基づく大学(短期大学を除く。)、旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において医学、歯学、薬学、獣医学、畜産学、水産学、農芸化学若しくは生物学の課程又はこれらに相当する課程を修めて卒業した後、一年以上細菌学的検査の業務に従事した経験を有する者であること。

五 学校教育法に基づく短期大学又は高等専門学校において生物学の課程又はこれに相当する課程を修めて卒業した後、三年以上細菌学的検査の業務に従事した経験を有する者であること。

六 前二号に掲げる者と同等以上の知識経験を有する者であること。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、目次の改正規定(「第三十九条」を「第四十条」に改める部分を除く。)、第六章の章名の改正規定、第三十二条の次に二条を加える改正規定、第三十三条の改正規定、第三十六条の次に一条を加える改正規定及び附則第三条の規定は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (施行前の準備)

第二条 この法律による改正後の健康増進法(以下「新法」という。)第二十六条第三項の登録を受けようとする者は、この法律の施行前においても、その申請を行うことができる。新法第二十六条の八第一項の規定による試験業務規程の認可の申請についても、同様とする。

 (政令への委任)

第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要となる経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第四条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(厚生労働・内閣総理大臣臨時代理署名) 

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