第2章 効率的な経営形態の確立
*******鉄道の未来を築くために*******
Y.要員規模
ア 国鉄の公表によると、列車の運行等国鉄事業の運営に実際に必要な職員数(所要定員)は昭和60年度首で281,000人であり、国鉄は本年度中にも30,500人の所要定員の削減を計画しているので、これが計画どおりに実現されると昭和61年度首には所要定員は251,000人となる。
要員の合理化については、国鉄においても経営改善の柱として、近年、相当の努カを払っているところであるが、国鉄によるこれまでの合理化は輸送量の減少に伴う業務体制の縮小や業務の部外委託によるものが多くを占め、職員のいわゆる働き度は私鉄と比校した場合、依然相当低い水準にあると判断される。したがって、私鉄並みの生産性の達成を目指し、今後も職員の多能的運用、輸送需要に即応した勤務形態の設定、実作業時間の改善等の徹底した要員の合理化を実施することが必要である。イ 私鉄並みの生産性を前提に、中・長距離旅客輸送を行っているなどの国鉄旅客事業の特殊性を加味して昭和62年度の鉄道旅客部門の適正要員規模を推計すると158,000人程度である。また、旅客鉄道会社のその他部門(バス部門、関連事業部門等)の適正要員規模は10,000人程度と推計されるので、昭和62年度の旅客鉄道会社の適正要員規模は168,000人程度となる。
ただ、移行時点である昭和62年度までに完全に私鉄並みの生産性を実現することについては現行の国鉄における合理化の進捗状況から見てやや無理があると考えられる。また、余剰人員が膨大であることにかんがみ旅客鉄道会社にも、経営の過重な負担とならない限度において余剰人員の一部を移籍させることが適切である。そこでこれらの事情を勘案して旅客鉄道会社には鉄道旅客部門について適正要員規模の2割程度を上乗せした要員(杓190,000人)を移籍することとし、その他バス部門等の要員(約10,000人)を加えて移行当初は6会社全体で200,000人程度の要員とするのが妥当である。なお、この2割程度の上乗せ要員については、旅客鉄道会社において関連事業の積極的展開等で遂次その有効な活用を図る。
以上の結果、昭和62年度発足時の各旅客鉄道会社の要員数は次のとおりである.(単位:人)
区分 北海道 東日本 東海 西日本 四国 九州 計 要員数 13,000 89,000 25,000 53,000 5,000 15,000 20,000 ウ 鉄道貨物事業の要員数は、今後、自立可能な事業範囲と併せて見極めていく必要があるが、現在のところ一応、15,000人弱の要員体制となるものと見込まれる。なお、旅客鉄道会社との間の具体的な業務の分担関係により、その一部は旅客鉄道会社に帰属することとなる。
エ 以上のほか、研究所の要員を含め、新事業体全体に移籍する要員の総計は約215,000人となる。