東京湾横断道路の建設に関する特別措置法

法律第四十五号(昭六一・五・七)

 (目的)

第一条 この法律は、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して東京湾横断道路の建設を図るための特別の措置を定めることにより、その建設を促進し、もつて東京湾の周辺の地域における交通の円滑化に資することを目的とする。


 (東京湾横断道路の建設及び管理)

第二条 東京湾横断道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第三条第二号の一般国道のうち川崎市と木更津市との間で東京湾を横断するものをいう。以下同じ。)について道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)第三条第一項の許可があつたときは、日本道路公団(以下「公団」という。)は、東京湾横断道路の建設及び管理に関する事業を行うことを主たる目的とする株式会社(以下「会社」という。)と次に掲げる事項をその内容に含む協定(以下「建設協定」という。)を締結し、これに従いその業務を行わなければならない。

 一 会社は、東京湾横断道路の新設に関する工事及びその準備行為のうち基本的な調査及び設計、敷地の取得その他建設省令で定めるもの以外のもの(以下「建設工事」という。)を行うこと。

 二 公団は、建設省令で定めるところにより、東京湾横断道路の建設工事に要する費用を、その供用開始後長期間に分割して会社に支払うこと。

 三 会社は、東京湾横断道路の供用開始後、その維持、修繕等の管理を、別に締結する協定(以下「管理協定」という。)に従い行うこと。

 四 その他建設省令で定める事項

2 公団は、建設協定又は管理協定を締結しようとするときは、あらかじめ建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

3 建設大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、申請に係る建設協定又は管理協定の内容が適正であり、かつ、公団と建設協定又は管理協定を締結しようとする会社がその事業を適確に遂行するに足る経理的基礎及び技術的能力を有すると認めるときでなければ、当該認可をしてはならない。


 (資金の貸付け)

第三条 政府は、公団と締結した建設協定に従い事業を行う会社(以下「東京湾横断道路建設事業者」という。)に対し、その行う建設工事に要する費用に充てる資金の一部を無利子で貸し付けることができる。

2 前項の規定による貸付金の償還方法は、政令で定める。


 (公団等の出資)

第四条 公団は、日本道路公団法(昭和三十一年法律第六号)第十九条の二の規定によるもののほか、建設大臣の認可を受けて、東京湾横断道路建設事業者に出資することができる。

2 地方公共団体は、自治大臣の承認を受けて、東京湾横断道路建設事業者に出資することができる。


 (資金計画等の届出)

第五条 東京湾横断道路建設事業者は、建設省令で定めるところにより、毎事業年度、当該事業年度以降の二年間について資金計画及び事業計画を作成し、当該事業年度の開始前に、公団を経由して建設大臣に届け出なければならない。

2 東京湾横断道路建設事業者は、前項の資金計画又は事業計画を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を公団を経由して建設大臣に届け出なければならない。


 (会計の整理)

第六条 東京湾横断道路建設事業者は、建設省令で定めるところにより、その事業年度並びに勘定科目の分類及び貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する諸表の様式を定め、その会計を整理しなければならない。


 (社債発行限度の特例等)

第七条 東京湾横断道路建設事業者は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十七条の規定による制限を超えて社債を募集することができる。ただし、社債の総額は、資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表により東京湾横断道路建設事業者に現存する純資産額のいずれか少ない額の十倍を超えてはならない。

2 東京湾横断道路建設事業者は、社債を発行する場合においては、割引の方法によることができる。


 (一般担保)

第八条 東京湾横断道路建設事業者の社債権者は、その会社の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。


 (債務保証)

第九条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、東京湾横断道路建設事業者の債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について、保証契約をすることができる。

2 政府は、前項の規定によるほか、東京湾横断道路建設事業者が債券又はその利札を失つた者に交付するために政令で定めるところにより発行する債券又は利札に係る債務について、保証契約をすることができる。


 (社債及び措入金)

第十条 東京湾横断道路建設事業者は、社債を募集し、又は弁済期限が一年を超える資金を措り入れようとするときは、建設大臣の認可を受けなければならない。

2 前項の規定は、東京湾横断道路建設事業者が、債券を失つた者に交付するために政令で定めるところにより債券を発行し、当該債券の発行により新たに債務を負担することとなる場合には、適用しない。


 (報告の徴収)

第十一条 建設大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、東京湾横断道路建設事業者に対し、その業務又は経理の状況に関し報告をさせることができる。


 (立入検査)

第十二条 建設大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、東京湾横断道路建設事業者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。


 (監督)

第十三条 建設大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、東京湾横断道路建設事業者に対して、その財務に関し監督上必要な命令をすることができる。

2 建設大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。


 (協議)

第十四条 建設大臣は、第二条第二項、第四条第一項及び第十条第一項の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。


 (罰則)

第十五条 次の各号の一に該当するときは、その違反行為をした東京湾横断道路建設事業者の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。

 一 第五条第一項又は第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 二 第十一条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 三 第十二条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避したとき。

第十六条 次の各号の一に該当するときは、その違反行為をした東京湾横断道路建設事業者の役員又は職員は、百万円以下の過料に処する。

 一 第六条の規定に違反したとき。

 二 第十条第一項の規定に違反して認可を受けなかつたとき。

 三 第十三条第一項の規定による建設大臣の命令に違反したとき。

第十七条 次の各号の一に該当するときは、その違反行為をした公団の役員又は職員は、十万円以下の過料に処する。

 一 第二条第二項又は第四条第一項の規定に違反して認可を受けなかつたとき。

 二 第十三条第二項の規定による建設大臣の命令に違反したとき。


   附 則


 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。


 (道路整備特別会計法の一部改正)

第二条 道路整備特別会計法(昭和三十三年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  第三条中「又は幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和五十五年法律第三十四号)第十一条第一項」を「、幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和五十五年法律第三十四号)第十一条第一項又は東京湾横断道路の建設に関する特別措置法(昭和六十一年法律第四十五号)第三条第一項」に改める。


 (建設省設置法の一部改正)

第三条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条第三十三号中「及び本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法(昭和五十六年法律第七十二号)」を「、本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法(昭和五十六年法律第七十二号)及び東京湾横断道路の建設に関する特別措置法(昭和六十一年法律第四十五号)」に改める。

(大蔵・建設・自治・内閣総理大臣署名) 

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