半島振興法

法律第六十三号(昭六〇・六・一四)

 (目的)

第一条 この法律は、三方を海に囲まれ、平地に恵まれず、水資源が乏しい等国土資源の利用の面における制約から産業基盤及び生活環境の整備等について他の地域に比較して低位にある半島地域(架橋等により本土との陸上交通が確保された島を含む。以下同じ。)について、広域的かつ総合的な対策を実施するために必要な特別の措置を講ずることにより、これらの地域の振興を図り、もつて地域住民の生活の向上と国土の均衡ある発展に資することを目的とする。

 (指定)

第二条 内閣総理大臣は、都道府県知事の申請に基づき、関係行政機関の長に協議し、かつ、国土審議会の議を経て、半島地域のうち、次の各号に掲げる要件に該当し、一体として総合的な半島振興に関する措置を講ずることが適当であると認められる地域を半島振興対策実施地域として指定する。

 一 二以上の市町村の区域からなり、一定の社会的経済的規模を有する地域であること。

 二 高速自動車国道、空港等の高速輸送に係る施設その他の公共的施設の整備について他の地域に比較して低位にある地域であること。

 三 産業の開発の程度が低く、雇用の増大を図るため企業の立地の促進等の措置を講ずる必要がある地域であること。

2 都道府県知事は、前項の申請をしようとするときは、あらかじめ関係市町村長に協議しなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の申請をしようとする場合において当該申請に係る地域が北海道又は沖縄県の区域内にあるものであるときは、北海道開発庁長官又は沖縄開発庁長官を経由しなければならない。

4 内閣総理大臣は、第一項の規定により半島振興対策実施地域の指定をするときは、当該半島振興対策実施地域の名称及び区域を官報で公示しなければならない。

 (半島振興計画の承認)

第三条 前条第一項の規定により半島振興対策実施地域の指定があつたときは、関係都道府県知事は、当該半島振興対策実施地域に係る半島振興に関する計画(以下「半島振興計画」という。)を作成し、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。

2 内閣総理大臣は、前項の規定により半島振興計画を承認しようとするときは、関係行政機関の長に協議するとともに、国土審議会の意見を聴かなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の半島振興計画を作成しようとするときは、関係市町村長に協議しなければならない。

4 都道府県知事は、第一項の承認を受けようとする場合において当該半島振興計画に係る地域が北海道又は沖縄県の区域内にあるものであるときは、北海道開発庁長官又は沖縄開発庁長官を経由して、当該半島振興計画を内閣総理大臣に提出しなければならない。

5 前各項の規定は、半島振興計画を変更する場合について準用する。

 (半島振興計画の内容)

第四条 半島振興計画には、当該半島振興対策実施地域の広域的かつ総合的な振興に関し必要な次の各号に掲げる事項について定めるものとする。

 一 振興の基本的方針に関する事項

 二 基幹的な道路、港湾、空港等の交通施設及び通信施設の整備に関する事項

 三 農林水産業、商工業その他の産業の振興及び観光の開発に関する事項

 四 水資源の開発及び利用に関する事項

 五 教育及び文化の振興に関する事項

 六 前各号に掲げるもののほか、半島振興に関し必要な事項

2 半島振興計画は、国土総合開発計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、沖縄振興開発計画その他法令の規定による地域振興に関する計画と調和したものでなければならない。

 (半島振興計画に基づく事業の実施)

第五条 半島振興計画に基づく事業は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。

 (国の施策)

第六条 国は、半島振興計画に基づく事業の実施に関し必要な財政金融上の措置を講ずるよう配慮しなければならない。

第七条 国は、半島振興計画に基づく事業の実施に要する経費について、毎年度、国の財政の許す範囲内において、その事業の円滑な実施を促進することに努めなければならない。

 (地方債についての配慮)

第八条 地方公共団体が半島振興計画を達成するために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。

 (資金の確保)

第九条 国及び地方公共団体は、半島振興計画の達成に資すると認められる製造事業、運輸事業等の事業を営む者が、半島振興対策実施地域の区域内において行う工場、事業場その他の施設の新設若しくは増設又はこれらの施設の用に供する土地の取得若しくは造成に要する経費に充てるために必要な資金の確保に努めなければならない。

 (税制上の措置)

第十条 国は、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の定めるところにより、半島地域の振興に必要な措置を講ずるものとする。

 (地方税の不均一課税に伴う措置)

第十一条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条第二項の規定により、地方公共団体が、半島振興対策実施地域の区域内において製造の事業の用に供する設備を新設し、又は増設した者について、その事業に係る機械及び装置又はその事業に係る工場用の建物若しくはその敷地である土地に対する固定資産税その他の政令で定める地方税に係る不均一の課税をした場合において、これらの措置が政令で定める場合に該当するものと認められるときは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(固定資産税その他政令で定める地方税に関するこれらの措置による減収額にあつては、これらの措置がなされた最初の年度以降三箇年度におけるものに限る。)のうち自治省令で定めるところにより算定した額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(これらの措置が自治省令で定める日以後において行われたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。

 (国土審議会)

第十二条 国土審議会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、半島振興に関する重要事項について調査審議する。

2 国土審議会は、半島振興に関する重要事項について、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。


   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (この法律の失効)

2 この法律は、昭和七十年三月三十一日限り、その効力を失う。

 (国土庁設置法の一部改正)

3 国土庁設置法(昭和四十九年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。

  第四条第十九号中シをヱとし、ミをシとし、メをミとし、ユをメとし、キをユとし、サをキとし、アをサとし、テをアとし、エをテとし、コをエとし、フをコとし、ケをフとし、マをケとし、ヤをマとし、クをヤとし、オをクとし、ノをオとし、ヰをノとし、ウをヰとし、ムの次に次のように加える。

   ウ 半島振興法(昭和六十年法律第六十三号)

  第七条第一項中「及びオ」を「、ウ及びク」に改める。

(内閣総理・大蔵・文部・農林水産・通商産業・運輸・郵政・建設・自治大臣署名) 

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