著作権法の一部を改正する法律
法律第六十二号(昭六〇・六・一四)
著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第七十八条」を「第七十八条の二」に改める。
第二条第一項第十号の次に次の一号を加える。
十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。
第十条第一項に次の一号を加える。
九 プログラムの著作物
第十条に次の一項を加える。
3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。
第十五条の見出し中「法人等の著作名義の」を「職務上作成する」に改め、同条中「著作物」の下に「(プログラムの著作物を除く。)」を加え、同条に次の一項を加える。
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
第二十条第二項第三号中「前二号」を「前三号」に改め、同号を同項第四号とし、同項第二号の次に次の一号を加える。
三 特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変
第二十九条中「第十五条」を「第十五条第一項」に改める。
第四十七条の次に次の一条を加える。
(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)
第四十七条の二 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において利用するために必要と認められる限度において、当該著作物の複製又は翻案(これにより創作した二次的著作物の複製を含む。)をすることができる。ただし、当該利用に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。
2 前項の複製物の所有者が当該複製物(同項の規定により作成された複製物を含む。)のいずれかについて滅失以外の事由により所有権を有しなくなつた後には、その者は、当該著作権者の別段の意思表示がない限り、その他の複製物を保存してはならない。
第四十八条第一項第一号中「前条」を「第四十七条」に改める。
第四十九条第一項中「行なつた」を「行つた」に改め、同項に次の二号を加える。
三 第四十七条の二第一項の規定の適用を受けて作成された著作物の複製物(次項第二号の複製物に該当するものを除く。)を頒布し、又は当該複製物によつて当該著作物を公衆に提示した者
四 第四十七条の二第二項の規定に違反して同項の複製物(次項第二号の複製物に該当するものを除く。)を保存した者
第四十九条第二項を次のように改める。
2 次に掲げる者は、当該二次的著作物の原著作物につき第二十七条の翻訳、編曲、変形又は翻案を行つたものとみなす。
一 第三十条、第三十一条第一号、第三十五条、第三十七条第二項、第四十一条又は第四十二条に定める目的以外の目的のために、第四十三条の規定の適用を受けて同条各号に掲げるこれらの規定に従い作成された二次的著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該二次的著作物を公衆に提示した者
二 第四十七条の二第一項の規定の適用を受けて作成された二次的著作物の複製物を頒布し、又は当該複製物によつて当該二次的著作物を公衆に提示した者
三 第四十七条の二第二項の規定に違反して前号の複製物を保存した者
第五十三条に次の一項を加える。
3 第十五条第二項の規定により法人その他の団体が著作者である著作物の著作権の存続期間に関しては、第一項の著作物に該当する著作物以外の著作物についても、当該団体が著作の名義を有するものとみなして同項の規定を適用する。
第七十六条の次に次の一条を加える。
(創作年月日の登録)
第七十六条の二 プログラムの著作物の著作者は、その著作物について創作年月日の登録を受けることができる。ただし、その著作物の創作後六月を経過した場合は、この限りでない。
2 前項の登録がされている著作物については、その登録に係る年月日において創作があつたものと推定する。
第七十八条第一項中「第七十六条第一項」の下に「、第七十六条の二第一項」を加え、「行なう」を「行う」に改める。
第二章第十節中第七十八条の次に次の一条を加える。
(プログラムの著作物の登録に関する特例)
第七十八条の二 プログラムの著作物に係る登録については、この節の規定によるほか、別に法律で定めるところによる。
第百十三条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によつて作成された複製物(当該複製物の所有者によつて第四十七条の二第一項の規定により作成された複製物並びに前項第一号の輸入に係るプログラムの著作物の複製物及び当該複製物の所有者によつて同条第一項の規定により作成された複製物を含む。)を業務上電子計算機において使用する行為は、これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知つていた場合に限り、当該著作権を侵害する行為とみなす。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和六十一年一月一日から施行する。ただし、第七十六条の次に一条を加える改正規定及び第七十八条第一項の改正規定並びに附則第五項の規定は、改正後の著作権法第七十八条の二に規定する法律の施行の日から施行する。
(職務上作成する著作物についての経過措置)
2 改正後の著作権法第十五条の規定は、この法律の施行後に創作された著作物について適用し、この法律の施行前に創作された著作物については、なお従前の例による。
(プログラムの著作物の複製物の使用についての経過措置)
3 改正後の著作権法第百十三条第二項の規定は、この法律の施行前に作成されたプログラムの著作物の複製物であつて、改正後の著作権法第四十七条の二の規定を適用するとしたならば適法であり、かつ、保存し得るべきものとなるものについては、適用しない。
(罰則についての経過措置)
4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(登録免許税法の一部改正)
5 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第九号(六)中「又は第一公表年月日」を「若しくは第一公表年月日又は創作年月日」に改める。
(大蔵・文部・内閣総理大臣署名)