林業改善資金助成法
法律第四十二号(昭五一・六・一)
(目的)
第一条 この法律は、林業従事者等が林業経営の改善又は林業労働に係る労働災害の防止を目的として自主的に林野の林業的利用の高度化及び林業技術の向上を図るための林業生産の方式又は林業労働に係る安全衛生施設を導入することを促進し、並びに林業後継者たる青年又は林業労働に従事する者が近代的な林業経営を担当し、又は近代的な林業経営に係る林業技術に従事するのにふさわしい者となることを助長するため、林業従事者等に対する林業生産高度化資金、林業労働安全衛生施設資金又は林業後継者等養成資金の貸付けを行う都道府県に対し、政府が必要な助成を行う制度を確立し、もつて林業経営の健全な発展、林業生産力の増大及び林業従事者の福祉の向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「林業生産高度化資金」とは、林業経営の改善を促進するために普及を図る必要があると認められる林野の林業的利用の高度化及び林業技術の向上を図るための林業生産の方式(当該林業生産の方式に係る林産物の合理的な加工の方式を含む。)を導入するのに必要な資金で政令で定めるものをいう。
2 この法律において「林業労働安全衛生施設資金」とは、林業労働に係る労働災害を防止するために普及を図る必要があると認められる林業労働に係る安全衛生施設を導入するのに必要な資金で政令で定めるものをいう。
3 この法律において「林業後継者等養成資金」とは、林業後継者たる青年又は林業労働に従事する者が近代的な林業経営を担当し、又は近代的な林業経営に係る林業技術に従事するのにふさわしい者となるために必要な近代的な林業の経営方法又は技術を実地に習得するのに必要な資金で政令で定めるものをいう。
(政府の助成)
第三条 政府は、都道府県がこの法律の定めるところにより林業従業者、その組織する団体その他政令で定める者(以下「林業従事者等」という。)に対する林業生産高度化資金、林業労働安全衛生施設資金又は林業後継者等養成資金の貸付けの事業を行うときは、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、当該事業に必要な資金の一部に充てるため補助金を交付することができる。ただし、当該事業に係る資金の額が当該事業を行うのに必要かつ適当と認められる一定額に達した都道府県については、この限りでない。
2 前項ただし書の一定額は、都道府県別に、農林大臣が大蔵大臣と協議して定める。
(貸付金の限度)
第四条 前条第一項の貸付けに係る資金(以下「貸付金」という。)の一林業従事者等ごとの限度額は、林業生産高度化資金、林業労働安全衛生施設資金及び林業後継者等養成資金のそれぞれの種類ごとに、農林省令で定める。
(貸付金の利率及び償還期間)
第五条 貸付金は、無利子とし、その償還期間は、林業生産高度化資金及び林業後継者等養成資金にあつては五年を超えない範囲内で、林業労働安全衛生施設資金にあつては七年を超えない範囲内で、それぞれ、その種類ごとに、政令で定める期間とする。
(保証人)
第六条 第三条第一項の貸付けについては、都道府県は、貸付金の貸付けを受ける者(政令で定める者を除く。)に対し、保証人を立てさせなければならない。
2 前項の保証人は、貸付金の貸付けを受けた者と連帯して債務を負担するものとする。
(貸付けの申請)
第七条 第三条第一項の貸付けは、同項に規定する者からの申請によつて行うものとする。
(貸付けを行う場合)
第八条 林業生産高度化資金の貸付けは、その申請者(その者が団体である場合には、その団体又はその団体を構成する者。以下同じ。)が申請に係る林業生産高度化資金をもつて林野の林業的利用の高度化及び林業技術の向上を図るための林業生産の方式又は当該林業生産の方式に係る林産物の合理的な加工の方式を導入することによりその経営を改善する見込みがある場合に限り、行うものとする。
2 林業労働安全衛生施設資金の貸付けは、その申請者が申請に係る林業労働安全衛生施設資金をもつて林業労働に係る安全衛生施設を導入することにより林業労働に係る労働災害の防止を図るための改善措置を講ずる見込みがある場合に限り、行うものとする。
3 林業後継者等養成資金の貸付けは、その申請者又はその申請者の林業経営に係る林業労働に従事する者が申請に係る林業後継者等養成資金をもつて近代的な林業の経営方法又は技術を実地に習得することにより近代的な林業経営を担当し、又は近代的な林業経営に係る林業技術に従事するのにふさわしい者として養成される見込みがある場合に限り、行うものとする。
(期限前償還)
第九条 都道府県は、貸付金の貸付けを受けた者が次の各号の一に該当する場合には、支払期日前に、当該貸付けを受けた者に対し、いつでも貸付金の全部又は一部の償還を請求することができる。
一 貸付金を貸付けの目的以外の目的に使用したとき。
二 償還金の支払を怠つたとき。
三 前二号に掲げる場合のほか、正当な理由がなくて貸付けの条件に違反したとき。
(支払の猶予)
第十条 都道府県は、災害その他政令で定めるやむを得ない理由により貸付金の償還が著しく困難であると認められる場合には、償還金の支払を猶予することができる。
(違約金)
第十一条 都道府県は、貸付金の貸付けを受けた者が支払期日に償還金又は第九条の規定により償還をすべき金額を支払わなかつた場合には、延滞金額につき年十二・二五パーセントの割合をもつて支払期日の翌日から支払当日までの日数により計算した違約金を徴収するものとする。
(特別会計)
第十二条 都道府県が、第三条第一項に規定する事業を行う場合には、当該事業の経理は、政令で定めるところにより、特別会計を設けて行わなければならない。
2 前項の規定により設置する特別会計(以下「特別会計」という。)においては、一般会計からの繰入金、第三条第一項の規定による国からの補助金、貸付金の償還金(前条の規定による違約金を含む。)及び附属雑収入をもつてその歳入とし、貸付金、貸付けに関する事務費その他の諸費をもつてその歳出とする。
(事務の委託)
第十三条 都道府県は、政令で定めるところにより、その行う第三条第一項に規定する事業に係る事務の一部(貸付けの決定を除く。)を森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第百五十四条第一項第二号の事業を行う森林組合連合会その他林業従事者等の組織する法人で政令で定めるものに委託することができる。
2 前項の森林組合連合会その他林業従事者等の組織する法人で政令で定めるものは、他の法律の規定にかかわらず、同項の規定による事務の委託を受け、当該事務を行うことができる。
(補助金の額)
第十四条 政府が第三条第一項の規定により交付する補助金の額は、都道府県が貸付金の財源に充てるため一般会計から特別会計に繰り入れる金額の二倍に相当する金額又は都道府県ごとに農林大臣が定める金額のいずれか低い額以内とする。
(納付金)
第十五条 都道府県は、第三条第一項に規定する事業を廃止したときは、政令で定めるところにより、その廃止の際における貸付金の未貸付額及びその後において支払を受けた貸付金の償還金の額の合計額の一部を政府から補助を受けた割合に応じて政府に納付しなければならない。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第六十一条第四号の次に次の一号を加える。
四の二 林業改善資金助成法(昭和五十一年法律第四十二号)に基づいて、都道府県の行う資金の貸付けにつき助成を行うこと。
(農林・内閣総理大臣署名)