開拓融資保証法の廃止に関する法律

法律第四十九号(昭四八・七・六)

(開拓融資保証法の廃止)

第一条 開拓融資保証法(昭和二十八年法律第九十一号。以下「旧法」という。)は、廃止する。

 (旧法の暫定的効力)

第二条 この法律の施行の際現に存する開拓融資保証協会(清算中のものを含む。)については、旧法は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。

 (地方承継契約の締結)

第三条 都道府県開拓融資保証協会(以下「地方保証協会」という。)及び農業信用基金協会(以下「基金協会」という。)は、区域を同じくするときに限り、大蔵大臣及び農林大臣の承認を受けて、基金協会がこの法律の施行の日から起算して二年を凝過する日までの間に地方保証協会の一切の権利及び義務を承継する旨を定める契約(以下「地方承継契約」という。)を締結することができる。

2 地方承継契約を締結するには、あらかじめ、総会の議決を経たうえ、地方保証協会にあつては中央開拓融資保証協会(以下「中央保証協会」という。)の、基金協会にあつては農業信用保険協会(以下「保険協会」という。)の同意を得なければならない。ただし、第八条第四項の規定による公告があつた後に地方承継契約を締結する場合における中央保証協会又は保険協会の同意については、この限りでない。

3 前項の議決については、地方保証協会にあつては旧法第五十四条第二項の規定を、基金協会にあつては農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号。以下「保証保険法」という。)第四十七条の規定を準用する。

 (会員に対する地方承継契約の内容の通知等)

第四条 地方保証協会は、前条第二項の総会の会日の十日前までに、会員に対し、地方承継契約の内容を通知しなければならない。

2 会員は、前条第二項の総会に先だつて、地方保証協会に対し、書面をもつて地方承継契約の締結に反対の意思を通知することができる。

 (債権者の異議)

第五条 地方保証協会及び基金協会は、第三条第二項の議決があつたときは、その議決の日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。

2 地方保証協会及び基金協会は、前項の期間内に、債権者に対して、地方承継契約の締結について異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを通知しなければならない。

3 前項の一定の期間は、一月を下つてはならない。

4 債権者が第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、地方承継契約を承認したものとみなす。

5 債権者が第二項の一定の期間内に異議を述べたときは、地方保証協会又は基金協会は、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。

 (地方保証協会の解散等)

第六条 第三条第一項の規定による基金協会と地方承継契約を締結した地方保証協会は、地方承継契約で定めた権利及び義務を承継すべき日(以下「地方承継日」という。)に解散する。この場合においては、旧法及び他の法令中法人の解散及び清算に関する規定は、適用しない。

2 前項の規定により地方保証協会が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。

3 第三条第一項の規定により地方保証協会と地方承継契約を締結した基金協会は、保証保険法第八条の規定にかかわらず、当該地方承継契約の定めるところにより承継した権利及び義務に関する業務を行なうことができる。

4 第三条第一項の規定により基金協会と地方承継契約を締結した地方保証協会の会員で第四条第二項の規定による通知をしなかつたもの(当該地方承継契約に係る地方承継日に現に当該基金協会の会員である者を除く。)は、当該地方承継日に当該基金協会の会員となる。この場合においては、保証保険法第十四条第二項及び第十八条第二項の規定は、適用しない。

5 第三条第一項の規定により基金協会と地方承継契約を締結した地方保証協会の会員で第四条第二項の規定による通知をしたものは、当該地方承継契約に係る地方承継日に当該地方保証協会から脱退する。

6 前項に規定する通知をした者は、同項に規定する地方保証協会と地方承継契約を締結した基金協会に対し、旧法第二十七条(同条第三項を除く。)の規定の例により、その出資額の払戻しを請求することができる。

 (保証債務の消滅及び保険関係の成立等)

第七条 第三条第一項の規定により基金協会と地方承継契約を締結した地方保証協会につき中央 保証協会が旧法第十一条第二項の規定により負担した保証債務は、当該地方承継契約に係る地方承継日に消滅し、保険協会と当該基金協会との間に、当該保証債務に係る当該地方 保証協会の保証債務で当該基金協会が承継したものにつき、当該地方承継日に、保証保険法第七十八条の規定にかかわらず、政令で定めるところにより保険関係が成立する。

2 保険協会は、保証保険法第六十四条の規定にかかわらず、前項の規定により成立した保険関係に関する業務を行なうことができる。

3 第一項の規定により保険協会と当該基金協会との間に保険関係が成立したときは、中央保証協会は、当該保険関係に係る保険金の支払の財源として、大蔵省令、農林省令で定めるところにより、旧法第五条第二項及び第三項の規定による出資金の額を基礎として算定される額に相当する金額を保険協会に交付しなければならない。

4 中央保証協会が前項の金額を保険協会に交付したときは、その時に、政府の中央保証協会に対する出資額は、その交付した金額に相当する金額を減少したものとし、その交付した金額は、保険金の支払の財源に充てるべき交付金として政府から保険協会に交付されたものとする。

5 前項の規定により交付されたものとされる交付金についての保証保険法第六十六条第一項の規定の適用については、同項中「第六十四条第一号の保険の事業」とあるのは「第六十四条第一号の保険の事業及び開拓融資保証法の廃止に関する法律(昭和四十八年法律第四十 九号)第七条第二項の業務」と、「及び前条の規定により政府が保険金の支払の財源に充てるべきものとして交付した交付金の額」とあるのは「、前条の規定により政府が保険金 の支払の財源に充てるべきものとして交付した交付金の額及び同法第七条第四項の規定により交付されたものとされる交付金の額」とする。

 (中央承継契約の締結)

第八条 中央保証協会及び保険協会は、大蔵大臣及び農林大臣の承認を受けて、地方保証協会のすべてが中央保証協会から脱退した時(以下「中央承継時」という。)に保険協会が中央保証協会の一切の権利及び義務を承継する旨を定める契約(以下「中央承継契約」という。)を締結することができる。

2 中央承継契約を締結するには、あらかじめ、総会の議決を経なければならない。

3 前項の議決については、中央保証協会にあつては旧法第五十四条第二項の規定を、保険協会にあつては保証保険法第四十七条の規定を準用する。この場合において、同条中「出資の合計額」とあるのは「議決権の合計数」と、「出資総額」とあるのは「議決権の総数」と読み替えるものとする。

4 中央保証協会及び保険協会は、第一項の承認を受けたときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。

5 第四条及び第五条の規定は、中央承継契約の締結について準用する。この場合において、第四条中「地方保証協会」とあるのは「中央保証協会」と、「前条第二項」とあるのは「第八条第二項」と、「会員」とあるのは「国及び地方保証協会以外の出資者」と、第五条第一項中「第三条第二項」とあるのは「第八条第二項」と、同条第二項及び第三項中「前項」とあるのは「第八条第五項において準用する前項」と、同条第四項及び第五項中「第二項」とあるのは「第八条第五項において準用する第二項」と読み替えるものとする。

 (中央保証協会の解散等)

第九条 前条第一項の規定により保険協会と中央承継契約を締結した中央保証協会は、中央承継時に解散する。この場合においては、旧法及び他の法令中法人の解散及び清算に関する規定は、適用しない。

2 前項の規定により中央保証協会が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。

3 前条第一項の規定により中央保証協会と中央承継契約を締結した保険協会は、保証保険法第六十四条の規定にかかわらず、中央承継契約の定めるところにより承継した権利及び義務に関する業務を行なうことができる。

4 第一項に規定する中央保証協会の出資者(地方保証協会及び前条第五項において準用する第四条第二項の規定による通知をした者を除く。以下この項において同じ。)は、中央承継契約の定めるところにより保険協会が承継した権利及び義務に係る資産の価額が負債の価額をこえるときは、そのこえる金額に相当する金額(当該金額が中央承継時における中央保証協会の出資者の中央保証協会に対する出資金の額の合計額をこえるときは、当該合計額)に、中央承継時におけるその者の中央保証協会に対する出資金の額の中央承継時における中央保証協会の出資者の中央保証協会に対する出資金の額の合計額に対する割合を乗じて得た金額に相当する金額を、中央承継時に、保険協会に対し、保険金の支払の財源に充てるべき交付金として交付したものとする。

5 前項の規定により交付したものとされる交付金についての保証保険法第六十六条第一項の規定の適用については、同項中「第六十四条第一号の保険の事業」とあるのは「第六十四条第一号の保険の事業及び開拓融資保証法の廃止に関する法律(昭和四十八年法律第四十九号)第九条第三項の業務」と、「及び前条の規定により政府が保険金の支払の財源に充てるべきものとして交付した交付金の額」とあるのは「、前条の規定により政府が保険金の支払の財源に充てるべきものとして交付した交付金の額及び同法第九条第四項の規定により交付したものとされる交付金の額」とする。

6 第六条第五項及び第六項の規定は、第一項に規定する中央保証協会の国及び地方保証協会以 外の出資者で前条第五項において準用する第四条第二項の規定による通知をしたものについて準用する。この場合において、第六条第五項中「当該地方承継契約に係る地方承継日」とあるのは「中央承継時」と、「当該地方保証協会」とあるのは「中央保証協会」と、同条第六項中「同項に規定する地方保証協会と地方承継契約を締結した基金協会」とあるのは「保険協会」と、「同条第三項」とあるのは「同条第二項」と読み替えるものとする。

 (開拓融資保証協会の解散)

第十条 この法律の施行の日から起算して二年を経過した時に現に存する開拓融資保証協会は、 旧法第五十四条第一項の規定にかかわらず、その時に解散する。この場合における解散及び清算については、旧法第六十三条第二項の規定による解散の命令によつて解散した開拓融資保証協会の解散及び清算の例による。

 (政令への委任)

第十一条 第三条から第九条までに規定するもののほか、開拓融資保証協会の権利及び義務の基金協会又は保険協会による承継に関する事項その他この法律の執行に関し必要な事項は、政令で定める。

 (罰則)

第十二条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした開拓融資保証協会又は基金協会若しくは保険協会の役員は、三万円以下の過料に処する。

 一 第四条第一項(第八条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して通知を怠つたとき。

 二 第五条第一項(第八条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して書類を作成せず、又はその書類に虚偽の記載をしたとき。

 三 第五条第二項(第八条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反して公告若しくは通知をすることを怠り、又は虚偽の公告若しくは通知をしたとき。

 四 第五条第五項(第八条第五項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条から第十一条までの規定は、この法律の施行の日から起算して二年を経過した日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行前(第二条に規定する開拓融資保証協会については、同条の規定により効力を有する旧法の失効前)にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (農林中央金庫法の一部改正)

第三条 農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項中「、開拓融資保証協会」を削る。

 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律の一部改正)

第四条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律(昭和二十二年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。

  第二条第二号レを次のように改める。

   レ 削除

 (大蔵省設置法の一部改正)

第五条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第十二条第一項第九号中「、開拓融資保証協会」を削る。

 (農林省設置法の一部改正)

第六条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第九条第一項第十六号を次のように改める。

  十六 削除

 (地方税法の一部改正)

第七条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第二十五条第一項第二号、第七十二条の五第一項第四号及び第二百九十六条第一項第二号中「、開拓融資保証協会」を削る。

 (農林漁業団体職員共済組合法の一部改正)

第八条 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。

  第一条第一項中第八号を削り、第七号の二を第八号とする。

 (所得税法の一部改正)

第九条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第一号の表開拓融資保証協会の項を削る。

 (法人税法の一部改正)

第十条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。

  別表第二第一号の表開拓融資保証協会の項を削る。

 (印紙税法の一部改正)

第十一条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第二の表開拓融資保証協会の項を削る。

(大蔵・農林・内閣総理大臣署名)

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