生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律
法律第四十八号(昭四八・七・六)
(目的)
第一条 この法律は、生活関連物資(食品、繊維、木材その他の国民生活との関連性が高い物資をいう。以下同じ。)について、買占め及び売惜しみに対する緊急措置を定めることにより、国民生活の安定に資することを目的とする。
(物資の指定)
第二条 生活関連物資の価格が異常に上昇し又は上昇するおそれがある場合において、当該生活関連物資の買占め又は売惜しみが行なわれ又は行なわれるおそれがあるときは、政令で、当該生活関連物資を特別の調査を要する物資として指定する。
2 前項に規定する事態が消滅したと認められる場合には、同項の規定による指定は、解除されるものとする。
(調査)
第三条 内閣総理大臣及び主務大臣は、前条第一項の規定により指定された物資(以下「特定物資」という。)について、その価格の動向及び需給の状況に関し必要な調査を行なうものとする。
(勧告及び公表)
第四条 内閣総理大臣及び主務大臣は、特定物資の生産、輸入又は販売の事業を行なう者が買占め又は売惜しみにより当該特定物資を多量に保有していると認めるときは、その者に対し、内閣総理大臣及び主務大臣の定める基準に従い適当と認められる売渡先及び売渡価格を指定し、期限を定めて、当該特定物資の全部又は一部を売り渡すべきことを勧告することができる。
2 内閣総理大臣及び主務大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がその勧告に従わなかつたときは、その旨を公表するものとする。
(立入検査等)
第五条 内閣総理大臣及び主務大臣は、前条の規定の施行に必要な限度において、特定物資の生産、輸入若しくは販売の事業を行なう者に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、これらの者の事務所、工場、事業場、店舗若しくは倉庫に立ち入り、特定物資に関し、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 内閣総理大臣及び主務大臣は、前項の規定により特定物資に関し立入検査又は質問をさせた場合において、特に必要があると認めるときは、その職員に、当該特定物資を保管していると認められる者の倉庫その他の場所に立ち入り、当該特定物資に関し、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
3 前二項の規定により職員が立入検査又は質問をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定による立入検査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(主務大臣等)
第六条 この法律における主務大臣は、政令で定めるところにより、特定物資の生産、輸入又は販売の事業を所管する大臣とする。
2 この法律に基づく内閣総理大臣の権限の行使については、経済企画庁長官が補佐するものとする。
(価格調査官)
第七条 第五条第一項及び第二項の規定による立入検査及び質問に関する職務を行なわせるため、経済企画庁及び主務省に、価格調査官を置く。
(罰則)
第八条 第五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項若しくは同条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくはこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の罰金刑を科する。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
(内閣総理・法務・大蔵・厚生・農林・通商産業・運輸大臣署名)