動力炉・核燃料開発事業団法
法律第七十三号(昭四二・七・二〇)
目次
第一章 総則(第一条―第十条)
第二章 役員等(第十一条―第二十二条)
第三章 業務(第二十三条―第二十五条)
第四章 財務及び会計(第二十六条―第三十九条)
第五章 監督(第四十条・第四十一条)
第六章 雑則(第四十二条―第四十五条)
第七章 罰則(第四十六条―第四十八条)
附則
第一章 総則
(設立の目的)
第一条 動力炉・核燃料開発事業団は、原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)に基づき、平和の目的に限り、高速増殖炉及び新型転換炉に関する自主的な開発、核燃料物質の生産、再処理及び保有並びに核原料物質の探鉱、採鉱及び選鉱を計画的かつ効率的に行ない、原子力の開発及び利用の促進に寄与することを目的として設立されるものとする。
(定義)
第二条 この法律で「高速増殖炉」とは、原子力基本法第三条第四号に規定する原子炉のうち、その原子核分裂の連鎖反応が主として高速中性子により行なわれるものであつて、核燃料物質のうち政令で定めるものの当該連鎖反応に伴い生成する量のその消滅する量に対する比率が一をこえるものをいう。
2 この法律で「新型転換炉」とは、原子力基本法第三条第四号に規定する原子炉のうち、その原子核分裂の連鎖反応が主として熱中性子により行なわれるものであつて、前項に規定する核燃料物質の当該連鎖反応に伴い生成する量のその消滅する量に対する比率が政令で定める比率をこえるものをいう。
(法人格)
第三条 動力炉・核燃料開発事業団(以下「事業団」という。)は、法人とする。
(事務所)
第四条 事業団は、主たる事務所を東京都に置く。
2 事業団は、内閣総理大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(資本金)
第五条 事業団の資本金は、次に掲げる金額の合計額とする。
一 二億円
二 附則第三条第二項の規定により政府から出資があつたものとされる金額
三 事業団の設立に際し政府以外の者が出資する金額
2 政府は、事業団の設立に際し、前項第一号の二億円を出資するものとする。
3 事業団は、必要があるときは、内閣総理大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
4 政府は、前項の規定により事業団がその資本金を増加するときは、予算で定める金額の範囲内において、事業団に出資することができる。
(出資証券)
第六条 事業団は、出資に対し、出資証券を発行する。
2 出資証券は、記名式とする。
3 前項に規定するもののほか、出資証券に関し必要な事項は、政令で定める。
(持分の払戻し等の禁止)
第七条 事業団は、出資者に対し、その持分を払い戻すことができない。
2 事業団は、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(登記)
第八条 事業団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第九条 事業団でない者は、動力炉・核燃料開発事業団という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第十条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、事業団について準用する。
第二章 役員等
(役員)
第十一条 事業団に、役員として、理事長一人、副理事長二人、理事八人以内及び監事二人以内を置く。
2 事業団に、役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事三人以内を置くことができる。
(役員の職務及び権限)
第十二条 理事長は、事業団を代表し、その業務を総理する。
2 副理事長は、理事長の定めるところにより、事業団を代表し、理事長を補佐して事業団の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。
3 理事(非常勤の理事を除く。)は、理事長の定めるところにより、事業団を代表し、理事長及び副理事長を補佐して事業団の業務を掌理し、理事長及び副理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長及び副理事長が欠員のときはその職務を行なう。
4 非常勤の理事は、理事長の定めるところにより、理事長及び副理事長を補佐して事業団の業務を掌理する。
5 監事は、事業団の業務を監査する。
6 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は内閣総理大臣(第四十三条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官)に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第十三条 理事長は、内閣総理大臣が原子力委員会の同意を得て任命する。
2 副理事長及び理事は、理事長が内閣総理大臣の認可を受けて任命する。
3 監事は、内閣総理大臣が原子力委員会の意見をきいて任命する。
(役員の任期)
第十四条 理事長、副理事長及び理事の任期は、四年とし、監事の任期は、二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十五条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
二 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者で事業団と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
三 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十六条 内閣総理大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 内閣総理大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。この場合において、理事長の解任については、原子力委員会の同意を得るものとし、副理事長及び理事の解任については、内閣総理大臣の認可を受けるものとし、監事の解任については、原子力委員会の意見をきくものとする。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
(役員の兼職禁止)
第十七条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第十八条 事業団と理事長、副理事長又は理事(非常勤の理事を除く。)との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が事業団を代表する。
(代理人の選任)
第十九条 理事長は、事業団の職員のうちから、事業団の業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(顧問)
第二十条 事業団に、その業務の運営に関する重要事項に参画させるため、顧問を置くことができる。
2 顧問は、学識経験のある者のうちから、理事長が内閣総理大臣の認可を受けて任命する。
(職員の任命)
第二十一条 事業団の職員は、理事長が任命する。
(役員等の公務員たる性質)
第二十二条 役員、顧問及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
(業務の範囲)
第二十三条 事業団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 高速増殖炉及び新型転換炉に関する開発(実用炉に係るものを除く。)及びこれに必要な研究を行なうこと。
二 前号に掲げる業務に関する核燃料物質の開発及びこれに必要な研究を行なうこと。
三 核燃料物質の再処理を行なうこと。
四 核燃料物質の生産及び保有を行なうこと。
五 核原料物質の探鉱、採鉱及び選鉱を行なうこと。
六 核燃料物質及び核原料物質の輸入及び輸出並びに買取り、売渡し及び貸付けを行なうこと。
七 前各号の業務に附帯する業務を行なうこと。
八 前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するため必要な業務を行なうこと。
2 事業団は、次の場合には、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
一 海外の地域において前項第五号の業務を行なおうとするとき。
二 前項第八号に掲げる業務を行なおうとするとき。
(業務の委託)
第二十四条 事業団は、内閣総理大臣の認可を受けて定める基準に従つてその業務の一部を委託することができる。
(動力炉開発基本方針等)
第二十五条 第二十三条第一項第一号及び第二号に掲げる事業団の業務(以下この条、第三十一条及び第四十五条において「動力炉開発業務」という。)は、原子力委員会の議決を経て内閣総理大臣が定める動力炉開発業務に関する基本方針及び基本計画に従つて実施されなければならない。
2 第二十三条第一項第三号から第六号までに掲げる事業団の業務は、原子力委員会の議決を経て内閣総理大臣が定める核燃料開発業務に関する基本計画に従つて実施されなければならない。
第四章 財務及び会計
(事業年度)
第二十六条 事業団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(事業計画等の認可)
第二十七条 事業団は、毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(決算)
第二十八条 事業団は、毎事業年度の決算を翌年度の六月三十日までに完結しなければならない。
(財務諸表)
第二十九条 事業団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条及び次条において「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後一月以内に内閣総理大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 事業団は、前項の規定により財務諸表を内閣総理大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
(書類の送付)
第三十条 事業団は、第二十七条又は前条第一項の規定により認可又は承認を受けたときは、当該認可又は承認に係る事業計画、予算及び資金計画に関する書類又は財務諸表を、事業団に出資した者のうち政府以外のものに送付しなければならない。
(区分経理)
第三十一条 事業団は、動力炉開発業務(これに附帯する業務を含む。)及び第二十三条第一項第三号に掲げる業務(これに附帯する業務を含む。)に係る経理については、政令で定めるところにより、それぞれその他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十二条 事業団は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 事業団は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
3 前二項の規定による整理は、前条の規定による特別の勘定及びその他の一般の勘定について、それぞれ区分して行なうものとする。
(借入金及び動力炉・核燃料開発債券)
第三十三条 事業団は、内閣総理大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は動力炉・核燃料開発債券(以下「債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、内閣総理大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
4 第一項の規定による債券の債権者は、事業団の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
6 事業団は、内閣総理大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条まで(受託会社の権限及び義務)の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(債務保証)
第三十四条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条(保証契約の禁止)の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、事業団の債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条(外貨債務の保証)の規定に基づき政府が保証することができる債務を除く。)について保証することができる。
(償還計画)
第三十五条 事業団は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画をたてて、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(余裕金の運用)
第三十六条 事業団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他内閣総理大臣の指定する有価証券の取得
二 銀行への預金又は郵便貯金
三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託
(財産の処分等の制限)
第三十七条 事業団は、総理府令で定める重要な財産を貸し付け、譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第三十八条 事業団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(総理府令への委任)
第三十九条 この法律に規定するもののほか、事業団の財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第五章 監督
(監督)
第四十条 事業団は、内閣総理大臣が監督する。
2 内閣総理大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告の徴取及び立入検査)
第四十一条 内閣総理大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団に対しその業務に関し報告をさせ、又はその職員に事業団の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(解散)
第四十二条 事業団が解散した場合において、その債務を弁済した後の残余財産を分配するときは、各出資者の出資額を限度としてこれを行なうものとする。
2 前項に規定するもののほか、事業団の解散については、別に法律で定める。
(科学技術庁長官への委任)
第四十三条 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる権限を科学技術庁長官に委任することができる。
一 第四条第二項、第五条第三項、第二十三条第二項、第二十四条、第二十七条、第三十三条第一項、第二項ただし書若しくは第六項、第三十五条又は第三十七条の規定による認可
二 第十七条ただし書、第二十九条第一項又は第三十八条の規定による承認
三 第三十六条第一号の規定による指定
四 第四十一条第一項の規定による報告の徴取及び立入検査
(大蔵大臣との協議)
第四十四条 内閣総理大臣(前条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官。次条において同じ。)は、次の場合には、あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第五条第三項、第二十三条第二項第一号、第二十七条、第三十三条第一項、第二項ただし書若しくは第六項、第三十五条又は第三十七条の規定による認可をしようとするとき。
二 第二十五条第一項の基本方針及び基本計画を定めようとするとき。
三 第二十九条第一項又は第三十八条の規定による承認をしようとするとき。
四 第三十六条第一号の規定による指定をしようとするとき。
五 第三十七条又は第三十九条の規定により総理府令を定めようとするとき。
(通商産業大臣との協議)
第四十五条 内閣総理大臣は、次の場合には、あらかじめ、通商産業大臣に協議しなければならない。ただし、その協議は、第三号及び第四号の場合にあつては、動力炉開発業務に係る事項に限られるものとする。
一 第二十三条第二項第一号の規定による認可をしようとするとき。
二 第二十五条第一項の基本方針及び基本計画を定めようとするとき。
三 第二十七条の規定による認可をしようとするとき。
四 第二十九条第一項の規定による承認をしようとするとき。
第七章 罰則
(罰則)
第四十六条 第四十一条第一項の規定による報告を求められて、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした事業団の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第四十七条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした事業団の役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律により内閣総理大臣(第四十三条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官)の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第八条第一項の政令の規定に違反して登記することを怠つたとき。
三 第二十三条第一項に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
四 第三十六条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第四十条第二項の規定による内閣総理大臣の命令に違反したとき。
第四十八条 第九条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第八条から第三十一条までの規定は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(事業団の設立)
第二条 内閣総理大臣は、第十三条第一項又は第三項の例により、事業団の理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、事業団の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
3 内閣総理大臣は、設立委員を命じて、事業団の設立に関する事務を処理させる。
4 設立委員は、政府以外の者に対し、事業団に対する出資を募集しなければならない。
5 設立委員は、前項の募集が終わつたときは、内閣総理大臣に対し、設立の認可を申請しなければならない。
6 設立委員は、前項の認可を受けたときは、政府及び出資の募集に応じた政府以外の者に対し、出資金の払込みを求めなければならない。
7 設立委員は、出資金の払込みがあつた日において、その事務を第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
8 第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前項の事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
9 事業団は、前項の規定による設立の登記をすることによつて成立する。
(原子燃料公社の解散等)
第三条 原子燃料公社は、事業団の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において事業団が承継する。
2 原子燃料公社の解散の時までに政府から原子燃料公社に対して出資された金額は、事業団の設立に際して政府から事業団に対し出資されたものとする。
3 原子燃料公社の解散の日を含む事業年度に係る業務報告書、決算、財務諸表及び予算の実施の結果を明らかにした説明書の作成、提出、公告、送付、検査又は報告については、なお従前の例による。この場合において、原子燃料公社の決算の完結の期限は、解散の日の翌日から起算して三月を経過した日とする。
4 第一項の規定により事業団が権利を承継する場合において、当該承継に伴う登記若しくは登録又は当該承継に係る不動産の取得については、登録免許税又は不動産取得税を課さない。
5 第一項の規定により事業団が承継した権利の目的たる設備又は家屋であつて、附則第十七条の規定の施行の際同条の規定による改正前の地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百四十九条の三第十二項の規定により固定資産税の課税標準の特例の適用を受けているものに対して課する固定資産税の課税標準は、当該特例の適用を受けることとなつていた期間内は、なお従前の例による。
(経過規定)
第四条 この法律の施行の際現に動力炉・核燃料開発事業団という名称を使用している者は、この法律の施行後六月以内にその名称を変更しなければならない。
2 第九条の規定は、前項に規定する期間内は、同項に規定する者には適用しない。
第五条 事業団の最初の事業年度は、第二十六条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和四十三年三月三十一日に終わるものとする。
第六条 事業団の最初の事業年度の事業計画、予算及び資金計画については、第二十七条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「事業団の成立後遅滞なく」と読み替えるものとする。
第七条 原子燃料公社の解散の際現にその役員であつて、引き続き事業団の役員となるもののその任期は、第十四条第一項の規定にかかわらず、当該解散の時におけるその者の役員としての残任期間とする。
2 原子燃料公社の解散の際現にその職員として在職する者であつて、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第百二十四条の二第一項の復帰希望職員であるものが、引き続いて事業団の職員となつた場合には、その者を当該復帰希望職員とみなして同条の規定を適用する。この場合において、同条第一項中「公庫等職員として在職する間」とあるのは「動力炉・核燃料開発事業団の職員として在職する間」と、同条第二項中「公庫等職員」とあるのは「原子燃料公社又は動力炉・核燃料開発事業団の職員」と、同条第四項中「公庫等」とあるのは「動力炉・核燃料開発事業団」と、「当該復帰希望職員の転出の時にさかのぼつて」とあるのは「動力炉・核燃料開発事業団の成立の日から」と、同条第五項中「公庫等職員」とあるのは「動力炉・核燃料開発事業団の職員」と、「公庫等」とあるのは「動力炉・核燃料開発事業団」とする。
3 原子燃料公社の解散の際現にその役員又は職員として在職する者であつて、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律(昭和三十六年法律第百五十二号)附則第十条第二項又は第十一条第一項の復帰希望職員であるものが、引き続いて事業団の役員又は職員となつた場合には、その者を当該復帰希望職員とみなして同法附則第十条第二項から第四項まで又は第十一条の規定を適用する。この場合において、同法附則第十条第二項中「公団等職員として」とあるのは「原子燃料公社又は動力炉・核燃料開発事業団の役員又は職員として」と、「公団等職員であつた期間」とあるのは「原子燃料公社又は動力炉・核燃料開発事業団の役員又は職員であつた期間」と、第十一条第一項中「その他の公庫等職員として在職する間」とあるのは「動力炉・核燃料開発事業団の職員として在職する間」とする。
4 原子燃料公社の解散の際現にその職員として在職する者であつて、地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法(昭和三十七年法律第百五十三号)第百二十八条第一項の復帰希望職員であるものが、引き続いて事業団の職員となつた場合には、その者を当該復帰希望職員とみなして同条の規定を適用する。この場合において、同条第一項中「その他の公庫等職員として在職する間」とあるのは、「動力炉・核燃料開発事業団の職員として在職する間」とする。
5 第二項又は第三項の規定は、事業団の設立の際、現に日本原子力研究所の職員として在職する者であつて、国家公務員共済組合法第百二十四条の二第一項又は国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律附則第十一条第一項の復帰希望職員であるものが、引き続いて事業団の職員となつた場合(これに準ずる場合として政令で定める場合を含む。)について準用する。この場合において、その準用により適用され又は準用されることとなる国家公務員共済組合法第百二十四条の二第五項中「及び公庫等」とあるのは、「並びに日本原子力研究所及び動力炉・燃料開発事業団」と読み替えるものとする。
(原子燃料公社法の廃止)
第八条 原子燃料公社法(昭和三十一年法律第九十四号)は、廃止する。
(原子燃料公社法の廃止に伴う経過規定)
第九条 前条の規定の施行前にした廃止前の原子燃料公社法の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(関係法律の一部改正)
第十条 核原料物質開発促進臨時措置法(昭和三十一年法律第九十三号)の一部を次のように改正する。
本則中「原子燃料公社」を「動力炉・核燃料開発事業団」に、「公社」を「事業団」に改める。
第十一条 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)の一部を次のように改正する。
本則中「原子燃料公社」を「動力炉・核燃料開発事業団」に改める。
第十二条 原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項第五号を次のように改める。
五 動力炉・核燃料開発事業団
第十三条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中原子燃料公社の項を削り、糖価安定事業団の項の次に次のように加える。
動力炉・核燃料開発事業団 |
動力炉・核燃料開発事業団法(昭和四十二年法律第七十三号) |
第十四条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中原子燃料公社の項を削る。
別表第二第一号の表中糖価安定事業団の項の次に次のように加える。
動力炉・核燃料開発事業団 |
動力炉・核燃料開発事業団法(昭和四十二年法律第七十三号) |
第十五条 印紙税法(昭和四十二年法第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二中原子燃料公社の項を削る。
第十六条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第二中原子燃料公社の項を削る。
第十七条 地方税法の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第二号中「、原子燃料公社」を削る。
第七十二条の五第一項第七号中「及び日本原子力船開発事業団」を「、日本原子力船開発事業団及び動力炉・核燃料開発事業団」に改める。
第七十三条の四第一項第一号中「、原子燃料公社」を削り、「日本原子力研究所」の下に「、動力炉・核燃料開発事業団」を加える。
第三百四十九条の三第十二項中「原子燃料公社が設置する核燃料物質の生産及び加工の用に供する設備並びに」を「動力炉・核燃料開発事業団が設置する設備で動力炉・核燃料開発事業団法(昭和四十二年法律第七十三号)第二十三条第一項第一号から第四号までに掲げる業務の用に供するもの及び」に改める。
第十八条 行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。
第二条第十二号中「、原子燃料公社」を削り、「日本原子力船開発事業団」の下に「、動力炉・核燃料開発事業団」を加える。
第十九条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第二十六号の二中「、原子燃料公社」を削り、「日本原子力研究所」の下に「、動力炉・核燃料開発事業団」を加える。
第二十条 科学技術庁設置法(昭和三十一年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。
第九条第八号中「原子燃料公社」を「動力炉・核燃料開発事業団」に改める。
第二十一条 国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する法律(昭和二十四年法律第百七十六号)の一部を次のように改正する。
第五条中「、日本電信電話公社及び原子燃料公社」を「及び日本電信電話公社」に改める。
第二十二条 政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。
第十四条中「、原子燃料公社」を削る。
第二十三条 国等の債権債務等の金額の端数計算に関する法律(昭和二十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第一条第一項中「、原子燃料公社」を削る。
第二十四条 公職選拳法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第百三十六条の二第一項第二号中「、原子燃料公社」を削る。
第百四十五条第一項及び第百六十六条第一号中「、日本電信電話公社又は原子燃料公社」を「又は日本電信電話公社」に改める。
第二十五条 予算執行職員等の責任に関する法律(昭和二十五年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項中「、原子燃料公社」を削る。
第二十六条 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の一部を次のように改正する。
第三十七条第三項中「、原子燃料公社」を削る。
第二十七条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第三十四号中「原子燃料公社が原子燃料公社法(昭和三十一年法律第九十四号)第十九条第一項各号」を「動力炉・核燃料開発事業団が動力炉・核燃料開発事業団法(昭和四十二年法律第七十三号)第二十三条第一項第一号から第五号まで」に改める。
第二十八条 自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第十条、第七十二条第一項及び第七十八条第二項中「、原子燃料公社」を削る。
第二十九条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「日本原子力船開発事業団」の下に「、動力炉・核燃料開発事業団」を加える。
第三十条 都市公園法(昭和三十一年法律第七十九号)の一部を次のように改正する。
第九条中「、日本電信電話公社若しくは原子燃料公社」を「若しくは日本電信電話公社」に改める。
第三十一条 海岸法(昭和三十一年法律第百一号)の一部を次のように改正する。
第十条第二項中「、原子燃料公社」を削る。
(内閣総理・法務・大蔵・通商産業・運輸・建設・自治大臣署名)