電波法の一部を改正する法律

法律第百四十九号(昭三九・七・四)

 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

 第三十三条第三項ただし書中「船舶安全法第四条第一項第三号(同法第十四条の規定に基く政令において準用する場合を含む。以下同じ。)」を「船舶安全法第四条第一項第三号及び第四号(以上の各規定を同法第十四条の規定に基づく政令において準用する場合を含む。)」に改める。

 第三十三条の二の前の見出し及び同条を次のように改める。

 (義務船舶局の無線設備の条件)

第三十三条の二 義務船舶局の無線設備は、次の各号に掲げる要件に適合する場所に設けなければならない。ただし、船舶安全法第四条第一項第三号(同法第十四条の規定に基づく政令において準用する場合を含む。)の船舶に施設する無線設備であつて、郵政省令で定めるものについては、この限りでない。

 一 受信に際し外部の機械的雑音その他の雑音により妨害を受けることがない場所であること。

 二 当該無線設備につきできるだけ安全を確保することができるように、その場所が当該船舶において可能な範囲で高い位置にあること。

 三 当該無線設備の機能に障害を及ぼすおそれのある水又は温度の影響を受けない場所であること。

 第三十五条ただし書中「船舶安全法第四条第一項第三号」の下に「及び第四号(以上の各規定を同法第十四条の規定に基づく政令において準用する場合を含む。)」を加える。

 第三十五条の二中「船舶安全法第四条第二項」の下に「(同法第十四条の規定に基づく政令において準用する場合を含む。)」を加える。

 第六十三条第一項中「五百トン以上」を「三百トン以上」に改め、同条第三項中「船舶安全法第四条第二項」の下に「(同法第十四条の規定に基づく政令において準用する場合を含む。)」を加える。

 第六十五条を次のように改める。

 (聴守義務)

第六十五条 次の表の上欄に掲げる無線局でそれぞれ同表の下欄に掲げる周波数の指定を受けているものは、同表の一の項に掲げる無線局にあつては常時、同表の二の項及び四の項に掲げる無線局にあつてはその運用義務時間(無線局を運用しなければならない時間をいう。以下同じ。)中、同表の三の項に掲げる無線局にあつては二時間をこえない範囲内において郵政省令で定める時間中、その無線局に係る同表の下欄に掲げる周波数(一の項、三の項及び四の項に掲げる無線局で五百キロサイクル及び当該各項の郵政省令で定める周波数の指定を受けているものにあつては、五百キロサイクルとする。)で聴守しなければならない。

無線局

周波数

一 国際航海に従事する船舶の義務船舶局(船舶安全法第四条第一項第三号(同法第十四条の規定に基づく政令において準用する場合を含む。)の船舶の義務船舶局で郵政省令で定めるものを除く。)

五百キロサイクル又は郵政省令で定める周波数

二 第二種局、第三種局甲及び第三種局乙(これらの船舶無線電信局のうち、一の項に掲げる無線局に該当するものを除く。)

五百キロサイクル

三 第三種局丙(第一種局、第二種局、第三種局甲及び第三種局乙のいずれにも該当しない船舶無線電信局をいう。以下同じ。)

五百キロサイクル又は郵政省令で定める周波数

四 海岸局

五百キロサイクル又は郵政省令で定める周波数

2 前項の無線局は、第一沈黙時間及び第二沈黙時間を除いて現に通信を行なつている場合その他郵政省令で定める場合には、同項の規定による聴守をすることを要しない。ただし、警急自動受信機を施設している船舶局にあつては、この限りでない。

3 第一項の無線局は、その運用義務時間(第三種局丙にあつては、同項の郵政省令で定める時間)中は、警急自動受信機により聴守してはならない。ただし、第一沈黙時間及び第二沈黙時間を除いて現に通信を行なつている場合その他郵政省令で定める場合は、この限りではない。

 第九十九条の十一第一項第一号中「義務船舶局の条件」を「義務船舶局の無線設備の条件」に、「第六十五条第五項及び第六項」を「第六十五条第一項」に改め、同項第三号中「又は第七十一条第一項の規定による無線局の周波数等の指定の変更の処分」を「、第七十一条第一項の規定による無線局の周波数等の指定の変更又は第百二条の二第一項の規定による伝搬障害防止区域の指定」に改める。

 第百二条の次に次の九条を加える。

 (伝搬障害防止区域の指定)

第百二条の二 郵政大臣は、八百九十メガサイクル以上の周波数の電波による特定の固定地点間の無線通信で次の各号の一に該当するもの(以下「重要無線通信」という。)の電波伝搬路における当該電波の伝搬障害を防止して、重要無線通信の確保を図るため必要があるときは、その必要の範囲内において、当該電波伝搬路の地上投影面に沿い、その中心線と認められる線の両側それぞれ百メートル以内の区域を伝搬障害防止区域として指定することができる。

 一 公衆通信業務の用に供する無線局の無線設備による無線通信

 二 放送の業務の用に供する無線局の無線設備による無線通信

 三 人命若しくは財産の保護又は治安の維持の用に供する無線設備による無線通信

 四 気象業務の用に供する無線設備による無線通信

 五 電気事業に係る電気の供給の業務の用に供する無線設備による無線通信

 六 日本国有鉄道の列車(連絡船を含む。第百八条の二第一項において同じ。)の運行の業務(政令で定めるものを除く。同項において同じ。)の用に供する無線設備による無線通信

2 前項の規定による伝搬障害防止区域の指定は、政令で定めるところにより告示をもつて行なわなければならない。この場合において、その指定が同項第一号に掲げる無線通信に該当する無線通信の電波伝搬路に係る伝搬障害防止区域(以下「公衆通信障害防止区域」という。)の指定であるときは、その告示において、当該指定が公衆通信障害防止区域に係るものである旨を明示しなければならない。

3 郵政大臣は、政令で定めるところにより、前項の告示に係る伝搬障害防止区域を表示した図面を郵政省及び関係地方公共団体の事務所に備えつけ、一般の縦覧に供しなければならない。この場合において、公衆通信障害防止区域については、その区域を表示した図面の見やすい箇所に、公衆通信障害防止区域である旨を明示しなければならない。

4 郵政大臣は、第二項の告示に係る伝搬障害防止区域について、第一項の規定による指定の理由が消滅したときは、遅滞なく、その指定を解除しなければならない。

 (伝搬障害防止区域における高層建築物等に係る届出)

第百二条の三 前条第二項の告示に係る伝搬障害防止区域内(その区域とその他の区域とにわたる場合を含む。)においてする次の各号の一に該当する行為(以下「指定行為」という。)に係る工事の請負契約の注文者又はその工事を請負契約によらないで自ら行なう者(以下単に「建築主」という。)は、郵政省令で定めるところにより、当該指定行為に係る工事に自ら着手し又はその工事の請負人(請負工事の下請人を含む。以下同じ。)に着手させる前に、当該指定行為に係る工作物につき、敷地の位置、高さ、高層部分(工作物の全部又は一部で地表からの高さが三十一メートルをこえる部分をいう。以下同じ。)の形状、構造及び主要材料、その者が当該指定行為に係る工事の請負契約の注文者である場合にはその工事の請負人の氏名又は名称及び住所その他必要な事項を書面により郵政大臣に届け出なければならない。

 一 その最高部の地表からの高さが三十一メートルをこえる建築物その他の工作物(土地に定着する工作物の上部に建築される一又は二以上の工作物の最上部にある工作物の最高部の地表からの高さが三十一メートルをこえる場合における当該各工作物のうち、それぞれその最高部の地表からの高さが三十一メートルをこえるものを含む。以下「高層建築物等」という。)の新築

 二 高層建築物等以外の工作物の増築又は移築で、その増築又は移築後において当該工作物が高層建築物等となるもの

 三 高層建築物等の増築、移築、改築、修繕又は模様替え(改築、修繕及び模様替えについては、郵政省令で定める程度のものに限る。)

2 前項の規定による届出をした建築主は、届出をした事項を変更しようとするときは、郵政省令で定めるところにより、その変更に係る事項を書面により郵政大臣に届け出なければならない。

3 前二項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る文書の記載をもつてしては、当該高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信の電波伝搬路における当該電波の伝搬障害を生ずる原因(以下「重要無線通信障害原因」という。)となるかどうかを判定することができないときは、郵政大臣は、その判定に必要な範囲内において、その届出をした建築主に対し、期限を定めて、さらに必要と認められる事項の報告を求めることができる。

4 前条第一項の規定による伝搬障害防止区域の指定があつた際現に当該伝搬障害防止区域内(その区域とその他の区域とにわたる場合を含む。)において施行中の指定行為(郵政省令で定める程度にその施行の準備が完了したものを含む。)については、第一項の規定は、適用しない。

5 前項に規定する指定行為に係る建築主は、当該伝搬障害防止区域の指定後遅滞なく、郵政省令で定めるところにより、当該指定行為に係る工事の計画を郵政大臣に届け出なければならない。

6 第四項に規定する指定行為に係る建築主が、当該伝搬障害防止区域の指定の際におけるその指定行為に係る工事の計画(従前この項の規定による届出に係る計画の変更があつた場合には、その変更後の計画)のうち郵政省令で定める事項に係るものを変更しようとする場合には、第二項及び第三項の規定を準用する。

第百二条の四 郵政大臣は、建築主が、前条第一項又は第二項(同条第六項及び次項において準用する場合を含む。)の規定による届出をしなければならない場合において、その届出をしないで、指定行為に係る工事又は当該変更に係る事項に係る部分の工事(郵政省令で定めるものを除く。)に自ら着手し又はその工事の請負人に着手させたことを知つたときは、直ちに、当該建築主に対し、期限を定めて、同条第一項又は第二項(同条第六項及び次項において準用する場合を含む。)の規定により届け出るべきものとされている事項を書面により郵政大臣に届け出るべき旨を命じなければならない。

2 前項の規定に基づき前条第一項の規定により届け出るべきものとされている事項の届出を命ぜられてその届出をした者については、同条第二項の規定を準用する。

3 第一項の規定に基づく命令による届出又は前項において準用する前条第二項の規定による届出があつた場合には、同条第三項の規定を準用する。

 (伝搬障害の有無等の通知)

第百二条の五 郵政大臣は、第百二条の三第一項若しくは第二項(同条第六項及び前条第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出又は前条第一項の規定に基づく命令による届出があつた場合において、その届出に係る事項を検討し、その届出に係る高層部分(変更の届出に係る場合にあつては、その変更後の高層部分。以下同じ。)が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因となると認められるときは、その高層部分のうち当該重要無線通信障害原因となる部分(以下「障害原因部分」という。)を明示し、理由を付した文書により、当該高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因とならないと認められるときは、その検討の結果を記載した文書により、その旨を当該届出をした建築主に通知しなければならない。

2 前項の規定による通知は、当該届出があつた日(第百二条の三第三項(同条第六項及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告を求めた場合には、その報告があつた日)から三週間以内にしなければならない。

3 第一項の場合において、前二項の規定により、届出に係る高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因となると認められる旨の通知を発したときは、郵政大臣は、その後直ちに、当該高層建築物等につき、建築主の氏名又は名称及び住所、敷地の位置、高さ、高層部分の形状、構造及び主要材料、障害原因部分その他必要な事項を書面により当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信を行なう無線局の免許人に通知するとともに、建築主からの届出に係る当該工事の請負人に対しても、当該障害原因部分その他必要な事項を書面により通知しなければならない。

 (重要無線通信障害原因となる高層部分の工事の制限)

第百二条の六 前条第一項及び第二項の規定により、届出に係る高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因となると認められる旨の通知を受けた建築主は、次の各号の一に該当する場合を除くほか、その通知を受けた日から二年間(当該伝搬障害防止区域が公衆通信障害防止区域である場合には、三年間)は、当該指定行為に係る工事のうち当該通知に係る障害原因部分に係るものを自ら行ない又はその請負人に行なわせてはならない。

 一 当該指定行為に係る工事の計画を変更してその変更につき第百二条の三第二項(同条第六項及び第百二条の四第二項において準用する場合を含む。)の規定による届出をし、これにつき、前条第一項及び第二項の規定により当該高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因とならない旨の通知を受けたとき。

 二 当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信を行なう無線局の免許人との間に次条第一項の規定による協議がととのつたとき。

 三 その他郵政省令で定める場合

 (重要無線通信の障害防止のための協議)

第百二条の七 前条に規定する建築主及び当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信を行なう無線局の免許人は、相互に、相手方に対し、当該重要無線通信の電波伝搬路の変更、当該高層部分に係る工事の計画の変更その他当該重要無線通信の確保と当該高層建築物等に係る財産権の行使との調整を図るため必要な措置に関し協議すべき旨を求めることができる。

2 郵政大臣は、前項の規定による協議に関し、当事者の双方又は一方からの申出があつた場合には、必要なあつせんを行なうものとする。

 (違反の場合の措置)

第百二条の八 次の各号の一に該当する場合において、必要があると認められるときは、郵政大臣は、その必要の範囲内において、当該各号の建築主に対し、当該建築主が現に自ら行ない若しくはその請負人に行なわせている当該各号の工事を停止し若しくはその請負人に停止させるべき旨又は相当の期間を定めて、その期間内は当該各号の工事を自ら行ない若しくはその請負人に行なわせてはならない旨を命ずることができる。

 一 第百二条の三第一項又は第二項(同条第六項及び第百二条の四第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して建築主からこれらの規定による届出がなかつた場合(第百二条の四第一項の規定に基づく命令による届出があり、これにつき第百二条の五第一項及び第二項の規定による通知をした場合を除く。)において、当該建築主が、現に当該指定行為に係る工事のうち高層部分に係るものを自ら行ない若しくはその請負人に行なわせているとき、又は近く当該工事を自ら行ない若しくはその請負人に行なわせる見込みが確実であるとき。

 二 郵政大臣が第百二条の三第三項(同条第六項及び第百二条の四第三項において準用する場合を含む。)の規定により報告を求めたが当該建築主から期限までにその報告がない場合において、当該建築主が、現に当該指定行為に係る工事のうち高層部分に係るものを自ら行ない若しくはその請負人に行なわせているとき、又は近く当該工事を自ら行ない若しくはその請負人に行なわせる見込みが確実であるとき。

2 前項の相当の期間は、第百二条の六に規定する期間を基準とし、当該高層部分が当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信障害原因となる程度、当該重要無線通信の電波伝搬路を変更するとすればその変更に通常要すべき期間その他の事情を勘案して定めるものとする。

3 郵政大臣は、第一項の規定により建築主に対し期間を定めて高層部分に係る工事を自ら行ない又はその請負人に行なわせてはならない旨を命じた場合において、その期間中に、当該建築主と当該伝搬障害防止区域に係る重要無線通信を行なう無線局の免許人との間に協議がととのつたとき、第百二条の六第一号又は第三号に該当するに至つたときその他その必要が消滅するに至つたときは、遅滞なく、当該命令を撤回しなければならない。

 (報告の徴収)

第百二条の九 郵政大臣は、前七条の規定を施行するため特に必要があるときは、その必要の範囲内において、建築主から指定行為に係る工事の計画又は実施に関する事項で必要と認められるものの報告を徴することができる。

 (郵政大臣及び建設大臣の協力)

第百二条の十 郵政大臣及び建設大臣は、第百二条の二から第百二条の八までの規定の施行に関し相互に協力するものとする。

 第百八条の二第一項中「若しくは気象業務」を「、気象業務、電気事業に係る電気の供給の業務若しくは日本国有鉄道の列車の運行の業務」に改める。

 第百十条に次の二号を加える。

 八 第百二条の六の規定に違反して、障害原因部分に係る工事を自ら行ない又はその請負人に行なわせた者

 九 第百二条の八第一項の規定に基づく命令に違反して、高層部分に係る工事を停止せず若しくはその請負人に停止させない者又は当該工事を自ら行ない若しくはその請負人に行なわせた者

 第百十二条に次の一号を加える。

 四 第百二条の四第一項の規定に基づく命令に違反して、届出をせず又は虚偽の届出をした者

 第百十三条に次の二号を加える。

 六 第百二条の三第一項又は第二項(同条第六項及び第百二条の四第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、届出をせず又は虚偽の届出をした者

 七 第百二条の九の規定により報告を徴された場合において、報告をせず又は虚偽の報告をした者

 第百十六条に次の一号を加える。

 四 第百二条の三第五項の規定に違反して、届出をしない者


   附 則


 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六十日をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第三十三条、第三十三条の二(同条の前の見出しを含む。)、第三十五条、第三十五条の二、第六十三条、第六十五条及び第九十九条の十一第一項第一号の改正規定並びに次項の規定は、千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。


 (電波法の一部を改正する法律の一部改正)

2 電波法の一部を改正する法律(昭和三十八年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。

  附則第二項中「「並びに国際航海に従事する総トン数千六百トン以上の船舶(旅客船を除く。)の第二種局乙及び第三種局甲」とあるのは「及び国際航海に従事する総トン数千六百トン以上の船舶(旅客船を除く。)の第二種局乙」とし、同条第二項中「、第三種局甲(同項に規定するものを除く。)及び第三種局乙」とあるのは「及び第三種局乙」とし、同条第六項中」を削る。

(郵政・建設・内閣総理大臣署名) 

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