近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律
法律第百四十五号(昭三九・七・三)
目次
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 工業団地造成事業等
第一節 工業団地造成事業(第六条―第九条)
第二節 測量、調査及び土地の取得等(第十条―第二十三条)
第三節 事業計画及び処分管理計画(第二十四条・第二十五条)
第四節 造成敷地等の処分及び管理等(第二十六条―第三十五条)
第五節 補則(第三十六条―第四十三条)
第三章 雑則(第四十四条―第四十七条)
第四章 罰則(第四十八条―第五十二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、近畿圏の建設とその秩序ある発展に寄与するため、近郊整備区域内及び都市開発区域内における宅地の造成その他近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関し必要な事項を定め、近郊整備区域の計画的な市街地としての整備及び都市開発区域の工業都市、住居都市その他の都市としての開発に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「近郊整備区域」とは、近畿圏整備法(昭和三十八年法律第百二十九号。以下「法」という。)第十一条第一項の規定により指定された区域をいう。
2 この法律で「都市開発区域」とは、法第十二条第一項の規定により指定された区域をいう。
3 この法律で「製造工場等」とは、製造業(物品の加工修理業を含む。)又は電気供給業若しくはガス供給業に必要な工場及びその附属施設をいう。
4 この法律で「工業団地造成事業」とは、近郊整備区域内又は都市開発区域内において、この法律で定めるところに従つて行なわれる、製造工場等の敷地の造成及びその敷地とあわせて整備されるべき道路、排水施設、鉄道、倉庫その他の施設の敷地の造成又はそれらの施設の整備に関する事業並びにこれに附帯する事業(造成された敷地又は整備された施設の処分及び管理に関するものを除く。)をいう。
5 この法律で「造成敷地等」とは、工業団地造成事業により造成された敷地及び整備された施設をいう。
6 この法律で「造成工場敷地」とは、工業団地造成事業により造成された製造工場等の敷地をいう。
7 この法律で「公共施設」とは、道路、下水道その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。
(近郊整備区域建設計画等の承認)
第三条 近郊整備区域又は都市開発区域の指定があつたときは、関係府県知事は、法第八条に規定する基本整備計画に基づき、関係市町村長と協議して、当該近郊整備区域に係る近郊整備区域建設計画又は当該都市開発区域に係る都市開発区域建設計画を作成し、政令で定めるところにより、内閣総理大臣に承認を申請しなければならない。近郊整備区域建設計画又は都市開発区域建設計画を変更しようとするときも、同様とする。
2 内閣総理大臣は、前項の承認をしようとするときは、近畿圏整備審議会の意見をきくとともに、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 内閣総理大臣は、第一項の承認をしたときは、その承認に係る近郊整備区域建設計画又は都市開発区域建設計画を関係行政機関の長に送付しなければならない。
(近郊整備区域建設計画等の内容)
第四条 近郊整備区域建設計画又は都市開発区域建設計画には、次の各号に掲げる事項につきその大綱を定めるものとする。
一 人口の規模及び労働力の需給に関する事項
二 産業の業種、規模等に関する事項
三 土地の利用に関する事項
四 次に掲げる施設の整備に関する事項
イ 住宅用地、工場用地等の宅地
ロ 道路、鉄道、軌道、港湾等の交通施設
ハ 公園、緑地等の空地
ニ 水道、工業用水道、下水道、汚物処理施設等の供給施設及び処理施設
ホ 河川、水路及び海岸
へ 住宅等の建築物
卜 学校等の教育文化施設
チ その他政令で定める主要な施設
2 近郊整備区域建設計画又は都市開発区域建設計画は、公害の防止について適切な考慮が払われたものでなければならない。
(近郊整備区域等の都市計画)
第五条 建設大臣は、都市計画法(大正八年法律第三十六号)第二条第二項の規定により近郊整備区域又は都市開発区域により都市計画区域を決定しようとするときは、同項の規定にかかわらず、関係市町村の意見をきくことを要しない。
第二章 工業団地造成事業等
第一節 工業団地造成事業
(工業団地の造成に関する都市計画)
第六条 建設大臣は、次の各号に掲げる条件に該当する土地の区域について、工業団地造成事業を施行すべきことを、都市計画法の定める手続によつて、都市計画として決定することができる。
一 工業市街地を整備することが適当な近郊整備区域内又は工業都市として開発することが適当な都市開発区域内にあつて、当該近郊整備区域又は都市開発区域の整備開発の中核となるべき相当規模の区域であること。
二 良好な工業団地として必要な立地条件を備えていること。
三 当該区域を工業団地とするために整備されるべき主要な公共施設に関する都市計画が決定されていること。
四 当該区域内において建築物の敷地として利用されている土地がきわめて少ないこと。
五 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第五十条第三項の工業専用地区内にあること。
2 建設大臣は、前項の規定による決定をしようとする場合においては、あらかじめ、工業立地上の観点からする通商産業大臣の意見及び鉄道等の輸送施設の配置上の観点からする運輸大臣の意見をきかなければならない。
第七条 前条第一項の都市計画は、次の各号に掲げるところに従つて決定しなければならない。
一 道路、下水道その他の施設に関して都市計画が決定されている場合においては、その都市計画に適合するように定めること。
二 当該区域が製造工場等の生産能率が十分に発揮されるよう適切な配置及び規模の道路、排水施設、公園又は緑地その他の施設を備え、かつ、公害の防止について適切な考慮が払われた工業団地となるように定めること。
(工業団地造成事業の施行)
第八条 工業団地造成事業は、都市計画事業として施行する。
(施行者)
第九条 都市計画法第五条の規定は、工業団地造成事業には適用しない。
2 工業団地造成事業は、地方公共団体又は日本住宅公団で、建設大臣に工業団地造成事業を施行することを申し出たものが施行する。
第二節 測量、調査及び土地の取得等
(測量及び調査のための土地の立入り等)
第十条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者(工業団地造成事業を施行する者をいう。以下同じ。)は、工業団地造成事業の施行の準備又は施行のため他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう必要がある場合においては、その必要の限度において、他人の占有する土地に、みずから立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。
2 前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の三日前までに、その旨を土地の占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により、建築物が所在し、又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を土地の占有者に告げなければならない。
4 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。
5 土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(障害物の伐除及び土地の試掘等)
第十一条 前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう者は、その測量又は調査を行なうにあたり、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくはかき、さく等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試掘若しくはボーリング若しくはこれらに伴う障害物の伐除(以下「試掘等」という。)を行なおうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する府県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行なうことができる。この場合において、市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、府県知事が許可を与えようとするときは土地又は障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
2 前項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行なおうとする日の三日前までに、その旨を当該障害物又は当該土地若しくは障害物の所有者及び占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により障害物を伐除しようとする場合(土地の試掘又はボーリングに伴う障害物の伐除をしようとする場合を除く。)において、当該障害物の所有者及び占有者がその場所にいないためその同意を得ることが困難であり、かつ、その現状を著しく損傷しないときは、工業団地造成事業を施行しようとする者若しくは施行者又はその命じた者若しくは委任した者は、前二項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて、ただちに、当該障害物を伐除することができる。この場合においては、当該障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨をその所有者及び占有者に通知しなければならない。
(証明書等の携帯)
第十二条 第十条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯しなければならない。
2 前条の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、その身分を示す証明書及び市町村長又は府県知事の許可証を携帯しなければならない。
3 前二項に規定する証明書又は許可証は、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。
(土地の立ち入り等に伴う損失の補償)
第十三条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者は、第十条第一項又は第十一条第一項若しくは第三項の規定による行為により他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して通常生ずべき損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しない場合においては、損失を与えた者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
(測量のための標識の設置)
第十四条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者は、工業団地造成事業の施行の準備又は施行に必変な測量を行なうため必要がある場合においては、建設省令で定める標識を設けることができる。
2 何人も、前項の規定により設けられた標識を設置者の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
(関係簿書の閲覧等)
第十五条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者は、工業団地造成事業の施行の準備又は施行のため必要がある場合においては、工業団地造成事業を施行しようとする、又は施行する土地を管轄する登記所に対し、又はその他の官公署の長に対し、無償で必要な簿書の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。
(建築行為等の制限)
第十六条 都市計画事業として決定された工業団地造成事業を施行すべき土地の区域内において、工業団地造成事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行ない、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行なおうとする者は、府県知事の許可を受けなければならない。
2 府県知事は、前項に規定する許可の申請があつた場合において、その許可を与えようとするときは、あらかじめ、施行者の意見をきかなければならない。
3 府県知事は、第一項に規定する許可をする場合において、工業団地造成事業の施行のため必要があると認めるときは、許可に期限その他必要な条件を附することができる。この場合において、これらの条件は、当該許可を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
4 府県知事は、第一項の規定に違反し、又は前項の規定により附した条件に違反した者がある場合においては、これらの者又はこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物若しくは物件についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、工業団地造成事業の施行に対する障害を排除するため必要な限度において、当該土地の原状回復又は当該建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命ずることができる。
5 府県知事は、前項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとするときは、あらかじめ、その原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者について聴聞を行なわなければならない。ただし、それらの者が正当な理由がなくて聴聞に応じないときは、この限りでない。
6 第四項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとする場合において、過失がなくてその原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者を確知することができないときは、府県知事は、それらの者の負担において、その措置をみずから行ない、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、これを原状回復し、又は移転し、若しくは除却すべき旨及びその期限までに原状回復し、又は移転し、若しくは除却しないときは、府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、原状回復し、又は移転し、若しくは除却する旨を公告しなければならない。
7 前項の規定により土地を原状回復し、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転し、若しくは除却しようとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。
(事業の施行について周知させるための措置)
第十七条 第九条第二項の申出をしたときは、施行者は、すみやかに、建設省令で定める事項を公告するとともに、建設省令で定めるところにより、自己が工業団地造成事業を施行すべき土地の区域内の土地又は土地及びこれに定着する建築物その他の工作物(以下「土地建物等」という。)の有償譲渡について、次条の規定による制限があることを関係権利者に周知させるため必要な措置を講じ、かつ、自己が施行する工業団地造成事業の概要について、その施行すべき土地の区域内の土地及びその附近地の住民に説明し、これらの者から意見を聴取する等の措置を講ずることにより、事業の施行についてこれらの者の協力が得られるように努めなければならない。
(土地建物等の先買い)
第十八条 前条の公告の日の翌日から起算して十日を経過した後に工業団地造成事業を施行すべき土地の区域内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、当該土地建物等、その予定対価の額(予定対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積もつた額。以下この条において同じ。)及び当該土地建物等を譲り渡そうとする相手方その他建設省令で定める事項を書面で施行者に届け出なければならない。ただし、当該土地建物等の全部又は一部が文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第四十六条(同法第五十六条の十四において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けるものである場合は、この限りでない。
2 前項の規定による届出があつた後三十日以内に施行者が届出をした者に対し届出に係る土地建物等を買い取るべき旨の通知をしたときは、当該土地建物等について、施行者と届出をした者との間に届出書に記載された予定対価の額に相当する代金で、売買が成立したものとみなす。
3 第一項の届出をした者は、前項の期間(その期間内に施行者が届出に係る土地建物等を買い取らない旨の通知をしたときは、その時までの期間)内は、当該土地建物等を譲り渡してはならない。
(土地の買取請求)
第十九条 都市計画事業として決定された工業団地造成事業を施行すべき土地の区域内の土地の所有者は、施行者に対し、建設省令で定めるところにより、当該土地を時価で買い取るべきことを請求することができる。ただし、当該土地が他人の権利の目的となつている場合及び当該土地に建築物その他の工作物又は立木に関する法律(明治四十二年法律第二十二号)第一条第一項に規定する立木がある場合は、この限りでない。
2 前項の規定により買い取るべき価額については、施行者と土地の所有者とが協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しない場合においては、施行者又は土地の所有者は、収用委員会の裁決を申請することができる。
4 前項の規定による収用委員会の裁決及びその裁決に不服がある場合の訴えについては、土地収用法第九十四条第三項から第十二項まで及び第百三十三条の規定の例による。
(工業団地造成事業のための土地等の収用)
第二十条 施行者は、工業団地造成事業の施行のため必要がある場合においては、工業団地造成事業を施行すべき土地の区域内の土地又はその土地にある土地収用法第五条第一項各号に掲げる権利を収用することができる。
2 前項の規定により土地又は権利が収用される場合において、権原により当該土地又は当該権利の目的である土地に建築物その他の土地に定着する工作物を所有する者は、その工作物の収用を請求することができる。
(材料置場等の施設の設置のための土地等の使用)
第二十一条 施行者は、工業団地造成事業の施行のため欠くことのできない材料置場等の施設を設置するため必要な土地又はこれに関する所有権以外の権利を使用することができる。
(土地収用法の適用等)
第二十二条 第二十条第一項の規定による収用又は前条の規定による使用に関しては、この法律に特別の規定がある場合のほか、土地収用法の規定を適用する。
2 都市計画法第十九条の規定は、第二十条第一項の規定による収用又は前条の規定による使用について準用する。
3 土地収用法第八十七条の規定は、第二十条第二項の規定による収用の請求について準用する。
(生活再建のための措置)
第二十三条 施行者は、工業団地造成事業の施行に必要な土地等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者の申出があつた場合においては、事情の許す限り、その者に対し、住宅のあつせんその他その受ける補償と相まつて行なうことが必要と認められる生活再建のための措置を講ずるように努めるものとする。
第三節 事業計画及び処分管理計画
(事業計画)
第二十四条 施行者は、建設省令で定めるところにより、工業団地造成事業に関する事業計画(以下「事業計画」という。)を定めなければならない。
2 施行者は、事業計画を定めたときは、建設省令で定めるところにより、これを建設大臣に届け出なければならない。事業計画を変更したときも、同様とする。
3 施行者は、事業計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、事業計画又はその変更に関係のある公共施設の管理者又は管理者となるべき者その他政令で定める者に協議しなければならない。
(処分管理計画)
第二十五条 施行者である地方公共団体又は日本住宅公団は、総理府令で定めるところにより、造成敷地等の処分及び管理に関する計画(以下「処分管理計画」という。)を定めなければならない。
2 施行者である地方公共団体又は日本住宅公団は、処分管理計画を定めたときは、総理府令で定めるところにより、これを内閣総理大臣に届け出なければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の届出があつた場合においては、関係行政機関の長の意見をきき、この法律及び当該近郊整備区域に係る近郊整備区域建設計画又は当該都市開発区域に係る都市開発区域建設計画の趣旨に照らして必要があると認めるときは、当該処分管理計画の変更を求めることができる。
4 前二項の規定は、施行者である、又は施行者であつた地方公共団体又は日本住宅公団(以下「地方公共団体等」と総称する。)が処分管理計画を変更した場合に準用する。
5 前条第三項の規定は、処分管理計画を定め、又は変更しようとする場合に準用する。
第四節 造成敷地等の処分及び管理等
(工事の完了の公告)
第二十六条 施行者は、製造工場等の敷地の造成に関する工事(事業計画で特に定める工事を除く。)を完了したときは、遅滞なく、その旨を府県知事(施行者が日本住宅公団であるときは、建設大臣。以下この条において同じ。)に届け出なければならない。
2 府県知事は、前項の届出があつた場合において、その届出に係る工事が事業計画に適合していると認めたときは、遅滞なく、当該工事が完了した旨を公告しなければならない。
(造成敷地等の処分及び管理)
第二十七条 地方公共団体等は、造成敷地等をこの法律及び処分管理計画に従つて処分し、又は管理しなければならない。
2 地方公共団体がこの法律の規定により行なう造成敷地等の処分については、地方公共団体の財産の処分に関する法令の規定は、適用しない。
(工業団地造成事業の施行により設置された公共施設の管理)
第二十八条 工業団地造成事業の施行により公共施設が設置された場合においては、その公共施設は、第二十六条第二項の公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属するものとする。
ただし、他の法律に基づき管理すべき者が別にあるとき、又は処分管理計画に特に管理すべき者の定めがあるときは、それらの者の管理に属するものとする。
2 地方公共団体等は、第二十六条第二項の公告の日以前においても、公共施設に関する工事が完了した場合においては、前項の規定にかかわらず、その公共施設を管理すべき者にその管理を引き継ぐことができる。
3 地方公共団体等は、第二十六条第二項の公告の日の翌日において、公共施設に関する工事が完了していない場合においては、第一項の規定にかかわらず、その工事が完了したときにおいて、その公共施設を管理すべき者にその管理を引き継ぐことができる。
4 公共施設を管理すべき者は、前二項の規定により地方公共団体等からその公共施設について管理の引継ぎの申出があつた場合においては、その公共施設に関する工事が事業計画に適合しない場合のほか、その引継ぎを拒むことができない。
(公共施設の用に供する土地の帰属)
第二十九条 工業団地造成事業の施行により、従前の公共施設に代えて新たな公共施設が設置されることとなる場合においては、従前の公共施設の用に供していた土地で国又は地方公共団体が所有するものは、第二十六条第二項の公告の日の翌日において地方公共団体等に帰属するものとし、これに代わるものとして処分管理計画で定める新たな公共施設の用に供する土地は、その日においてそれぞれ国又は当該地方公共団体に帰属するものとする。
2 工業団地造成事業の施行により設置された公共施設の用に供する土地は、前項に規定するもの及び処分管理計画で特別の定めをしたものを除き、第二十六条第二項の公告の日の翌日において、当該公共施設を管理すべき者(その者が、国の機関であるときは国、地方公共団体の機関であるときは当該地方公共団体)に帰属するものとする。
(造成工場敷地の譲受人の公募)
第三十条 地方公共団体等は、造成工場敷地について、総理府令で定めるところにより、その譲受人を公募しなければならない。
(造成工場敷地の譲受人の資格)
第三十一条 造成工場敷地の譲受人は、少なくとも、次の各号に掲げる条件を備えた者でなければならない。
一 当該造成工場敷地においてみずから製造工場等を経営しようとする者であること。
二 製造工場等の建設及び経営に必要な資力及び信用を有する者であること。
三 譲渡の対価の支払能力がある者であること。
(造成工場敷地の譲受人の選考)
第三十二条 地方公共団体等は、造成工場敷地の譲受人を、次の各号に掲げる者の順に、公正な方法で選考して決定するものとする。
一 製造工場等の敷地を当該工業団地造成事業に必要な土地として提供した者
二 近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律(昭和三十九年法律第百四十四号。以下「工場等制限法」という。)第三条の工場等制限区域(以下「工場等制限区域」という。)内にある工場等制限法第二条第四項の制限施設(以下「制限施設」という。)である製造工場等の敷地に替えて造成工場敷地を取得しようとする者で、従前の製造工場等の敷地が同条第二項の作業場又は同条第三項の教室の用に供されないことが確実と認められるもの
三 工場等制限区域内にある制限施設でない製造工場等の敷地に替えて造成工場敷地を取得しようとする者で、従前の製造工場等の敷地が工場等制限法第二条第二項の作業場又は同条第三項の教室の用に供されないことが確実と認められるもの
四 工場等制限区域内に制限施設である製造工場等を有する者で、造成工場敷地にその製造工場等と同一の業種に属する製造工場等を新設しようとするもの(第二号に該当する者を除く。)
五 工場等制限区域内に制限施設でない製造工場等を有する者で、造成工場敷地にその製造工場等と同一の業種に属する製造工場等を新設しようとするもの(第三号に該当する者を除く。)
六 その他の者
(製造工場等の建設)
第三十三条 地方公共団体等から造成工場敷地を譲り受けた者は、総理府令で定めるところにより製造工場等の建設の工期、工事概要等に関する計画を定めて、地方公共団体等の承認を受け、当該計画に従つて製造工場等を建設しなければならない。
2 地方公共団体等は、前項の規定に違反した者に対して、造成工場敷地の譲渡契約を解除することができる。
(造成工場敷地に関する権利の処分の制限)
第三十四条 第二十六条第二項の公告の日の翌日から起算して十年間は、造成工場敷地の所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は貸借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転については、総理府令で定めるところにより、当事者が地方公共団体等の長(日本住宅公団が造成した造成工場敷地に関しては、内閣総理大臣)の承認を受けなければならない。ただし、次の各号の一に掲げる場合は、この限りでない。
一 相続その他の一般承継により当該権利が移転する場合
二 滞納処分、強制執行、競売法(明治三十一年法律第十五号)による競売又は企業担保権の実行により当該権利が移転する場合
三 土地収用法その他の法律により当該造成工場敷地が収用され、又は使用される場合
2 前項に規定する承認には、造成工場敷地の製造工場等の敷地としての合理的な利用を確保するため必要な条件を附することができる。この場合において、その条件は、当該承認を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
(造成工場敷地を表示した図書の備置き等)
第三十五条 地方公共団体等は、第二十六条第二項の公告があつたときは、造成工場敷地の存する市町村の長に対し、総理府令で定めるところにより、当該造成工場敷地の存する区域を表示した図書を送付しなければならない。
2 前項の図書の送付を受けた市町村長は、第二十六条第二項の公告の日の翌日から起算して十年間、その図書を当該市町村の役場に備え置いて、関係人の請求があつたときは、これを閲覧させなければならない。
3 地方公共団体等は、総理府令で定めるところにより、第二十六条第二項の公告の日の翌日から起算して十年間、工業団地造成事業が施行された土地の区域内の見やすい場所に、工業団地造成事業が施行された土地である旨を表示した標識を設置しなければならない。
4 何人も、前項の規定により設けられた標識を設置者の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
第五節 補則
(費用の負担)
第三十六条 工業団地造成事業に要する費用は、施行者が負担する。
(書類の送付に代わる公告)
第三十七条 施行者又は地方公共団体等は、工業団地造成事業の施行に関し書類を送付する場合において、送付を受けるべき者がその書類の受領を拒んだとき、又は過失がなくて、その者の住所、居所その他書類を送付すべき場所を確知することができないときは、その書類の内容を公告することをもつて書類の送付に代えることができる。
2 前項の公告があつた場合においては、その公告の日の翌日から起算して十日を経過した日に、当該書類が送付を受けるべき者に到達したものとみなす。
(監督)
第三十八条 建設大臣は、施行者が定めた事業計画又は施行者が行なう工事が、この法律、この法律に基づく命令若しくは工業団地造成事業につき都市計画法第三条の規定により決定された都市計画事業の内容又は事業計画に従つていないと認める場合においては、その施行者に対し、工業団地造成事業の適正な施行を確保するため必要な限度において、事業計画の変更又は工事の中止若しくは変更その他必要な措置を命ずることができる。
2 内閣総理大臣は、第三十条から第三十二条までの規定に違反する譲受人の決定又は違法若しくは不当な第三十四条の規定に基づく承認若しくは不承認の処分が行なわれたときは、地方公共団体若しくはその長又は日本住宅公団に対し、造成工場敷地の適正な処分及び管理を確保するため必要な限度において、造成工場敷地の処分の差止めを命じ、又は承認若しくは不承認の処分を取り消すことができる。
(報告、勧告等)
第三十九条 建設大臣は施行者に対して、府県知事は施行者である市町村に対して、それぞれその施行する工業団地造成事業の施行に関し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は工業団地造成事業の施行の促進を図るため必要な勧告、助言若しくは援助をすることができる。
2 内閣総理大臣は地方公共団体若しくはその長又は日本住宅公団に対して、府県知事は施行者である、若しくは施行者であつた市町村又はその長に対して、それぞれその行なう造成敷地等の処分及び管理に関し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は造成敷地等の処分及び管理を適正に行なわせるため必要な勧告若しくは助言をすることができる。
(審査請求)
第四十条 地方公共団体等が第三十三条第一項の規定に基づいてした承認又は不承認の処分に不服がある者は、内閣総理大臣に対して行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
(工業団地造成事業用地についての配慮)
第四十一条 国又は地方公共団体の行政機関は、近郊整備区域内又は都市開発区域内の土地を工業団地造成事業の用に供するため、法令の規定による許可その他の処分を求められたときは、工業団地造成事業が促進されるよう配慮するものとする。
(大都市の特例)
第四十二条 この法律又はこの法律に基づく政令の規定により、府県知事が処理し、又は管理し、及び執行することとされている工業団地造成事業に関する事務(府県が施行する工業団地造成事業に係る事務を除く。)は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)においては、指定都市の長が行なうものとする。この場合においては、この法律又はこの法律に基づく政令中府県知事に関する規定は、指定都市の長に関する規定として指定都市の長に適用があるものとする。
(政令への委任)
第四十三条 この章に特に定めるもののほか、この章の規定によりすべき公告の方法その他この章の規定の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第三章 雑則
(施設の整備等)
第四十四条 国及び地方公共団体(港務局を含む。)は、近郊整備区域建設計画及び都市開発区域建設計画を達成するため必要な施設の整備の促進に努めなければならない。
(国有財産の売払代金等の特約)
第四十五条 各省各庁の長(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第四条第二項に規定する各省各庁の長をいう。以下この条において同じ。)は、近郊整備区域内又は都市開発区域内において政令で定める製造業(物品の加工修理業を含む。)、運送業、倉庫業その他の事業を営む者に対し、その事業に必要な工場、事業場又は政令で定めるその他の施設の用に供するため普通財産である国有財産を譲渡する場合において、当該近郊整備区域に係る近郊整備区域建設計画又は当該都市開発区域に係る都市開発区域建設計画に照らして適当であると認められるときは、その売払代金又は交換差金について、確実な担保を徴し、かつ、利息を附して、十年以内の延納の特約をすることができる。
2 各省各庁の長は、前項の規定により延納の特約をしようとするときは、延納期限、担保及び利率について、大蔵大臣に協議しなければならない。
3 各省各庁の長は、第一項の規定により延納の特約をした場合において、当該財産の譲渡を受けた者のする管理が適当でないと認めるときは、ただちにその特約を解除しなければならない。
(鉄道又は軌道の敷設等のための資金のあつせん)
第四十六条 国は、一般公衆の利用に供する鉄道又は軌道で近郊整備区域又は都市開発区域を育成発展させるため必要であると認められるものを敷設する者に対し、必要な資金のあつせんに努めなければならない。
2 国は、近郊整備区域内又は都市開発区域内における工場その他の施設の新設又は増設で当該近郊整備区域に係る近郊整備区域建設計画又は当該都市開発区域に係る都市開発区域建設計画に照らして適当であると認められるものをする者に対し、必要な資金のあつせんに努めなければならない。
(地方税の不均一課税に伴う措置)
策四十七条 低開発地域工業開発促進法(昭和三十六年法律第二百十六号)第五条の規定が適用される場合を除き、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条の規定により、政令で定める地方公共団体が、都市開発区域内において製造の事業の用に供する設備を新設し、又は増設した者について、その事業に係る工場用の建物若しくはその敷地である土地の取得に対する不動産取得税又はその事業に係る機械及び装置若しくはその事業に係る工場用の建物若しくはその敷地である土地に対する固定資産税に係る不均一の課税をした場合において、これらの措置が政令で定める場合に該当するものと認められるときは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(固定資産税に関するこれらの措置による減収額にあつては、これらの措置がなされた最初の年度以降三箇年度におけるものに限る。)のうち自治省令で定めるところにより算定した額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(これらの措置が自治省令で定める日以後において行なわれたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。
第四章 罰則
第四十八条 第三十三条第一項の規定に違反して、造成工場敷地を製造工場等の建設以外の目的に使用した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第四十九条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第十条第一項の規定による土地の立入りを拒み、又は妨げた者
二 第十一条第一項に規定する場合において、市町村長の許可を受けないで障害物を伐除した者又は府県知事の許可を受けないで土地に試掘等を行なつた者
三 第十六条第四項の規定による命令に違反して、土地の原状回復をせず、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転せず、若しくは除却しなかつた者。
四 第三十三条第一項の規定に違反して、計画の承認を受ける手続をせず、又は承認を受けた計画に従つて製造工場等を建設しなかつた者
五 第三十四条第一項の規定に違反して、同項に掲げる権利の設定又は移転につき承認を受けないで、造成工場敷地を権利者に引き渡した者
六 第三十四条第二項の規定により附した条件に違反した者
第五十条 第十四条第二項又は第三十五条第四項の規定に違反して、第十四条第一項又は第三十五条第三項の規定による標識を移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊した者は、三万円以下の罰金に処する。
第五十一条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の過料に処する。
一 第十八条第一項の規定に違反して、届出をしないで土地建物等を有償で譲り渡した者
二 第十八条第一項の届出について、虚偽の届出をした者
三 第十八条第三項の規定に違反して、同項の期間内に土地建物等を譲り渡した者
四 第三十四条第一項の承認について、虚偽の申請をした者
第五十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第四十八条又は第四十九条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六箇月をこえ一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(都市計画法の一部改正)
2 都市計画法の一部を次のように改正する。
第十一条ノ二中「第十三条ノ工業団地造成事業」を「第十三条第一項若ハ第二項ノ工業団地造成事業」に改める。
第十三条に次の一項を加える。
都市計画区域内ニ於ケル工業市街地ヲ整備シ又ハ工業都市トシテ開発スルコトヲ適当トスル近畿圏整備法第二条第四項ノ近郊整備区域内又ハ同条第五項ノ都市開発区域内ノ土地ニ付テハ其ノ近郊整備区域又ハ都市開発区域ノ整備開発ヲ図ル為近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律ノ定ムル所ニ依リ工業団地造成事業ヲ施行スルコトヲ得
(公有水面埋立法の一部改正)
3 公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。
第一条第三項中「又ハ新住宅市街地開発法」を「、新住宅市街地開発法又ハ近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律」に改める。
第二十六条中「又ハ新住宅市街地開発法第二十九条」を「、新住宅市街地開発法第二十九条又ハ近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律第二十九条」に改める。
(建設省設置法の一部改正)
4 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第五号の十の次に次の一号を加える。
五の十一 近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)による工業団地造成事業に関する事務を管理すること。
(租税特別措置法の一部改正)
5 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第三十一条第一項第一号中「新住宅市街地開発法」を「近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)、新住宅市街地開発法」に改める。
(近畿圏整備法の一部改正)
6 近畿圏整備法の一部を次のように改正する。
第四条中第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。
六 近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)の施行に関する事務(工業団地造成事業に関する事務を除く。)を処理すること。
(内閣総理・法務・外務・大蔵・文部・厚生・農林・通商産業・運輸・郵政・労働・建設・自治大臣署名)