民事訴訟法の一部を改正する法律
法律第百三十五号(昭三九・七・二)
民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)の一部を次のように改正する。
民事訴訟法目録中「第五編 督促手続」を
「 |
第五編 督促手続 |
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第五編ノ二 手形訴訟及小切手訴訟ニ関スル特則 |
」 |
に改める。
「書記」及び「裁判所書記」を「裁判所書記官」に改める。
第六条を次のように改める。
第六条 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求ヲ目的トスル訴ハ手形又ハ小切手ノ支払地ノ裁判所ニ之ヲ提起スルコトヲ得
第二十一条中「第五条又ハ第七条乃至」を削る。
第二十七条中「、第七条」を削る。
第五十条第二項に後段として次のように加える。
第四百五十二条(第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル異議ノ取下又ハ取下ノ同意亦同ジ
第八十一条第二項中第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 第四百五十二条(第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依ル異議ノ取下又ハ取下ノ同意
第百九十六条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。
手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ニ関スル判決ニ付テハ裁判所ハ職権ヲ以テ担保ヲ供セズシテ仮執行ヲ為スコトヲ得べキコトヲ宣言スルコトヲ要ス但シ裁判所相当ト認ムルトキハ仮執行ヲ担保ノ提供ニ繋ラシムルコトヲ得
第百九十六条の次に次の一条を加える。
第百九十六条ノ二 仮執行ノ宣言ノ申立ニ付裁判ヲ為サザリシトキ又ハ職権ヲ以テ仮執行ノ宣言ヲ為スべキ場合ニ於テ之ヲ為サザリシトキハ裁判所ハ申立ニ因リ又ハ職権ヲ以テ補充ノ決定ヲ為ス前条第三項ノ申立ニ付裁判ヲ為サザリシトキ亦同ジ
第百九十四条第二項ノ規定ハ前項ノ決定ニ之ヲ準用ス
第百九十七条中「前条」を「第百九十六条」に改める。
第四百三十一条に次の一項を加える。
手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル請求ニ関スル督促手続ハ前項ノ簡易裁判所又ハ手形若ハ小切手ノ支払地ノ簡易裁判所ノ専属管轄トス
第四百四十三条の次に次の編名を加える。
第五編ノ二 手形訴訟及小切手訴訟ニ関スル特則
第四百四十四条から第四百九十六条までを次のように改める。
第四百四十四条 手形ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ヲ目的トスル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムルコトヲ得
手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ訴状ニ記載シテ之ヲ為スコトヲ要ス
第四百四十五条 手形訴訟ニ於テハ反訴ハ之ヲ提起スルコトヲ得ズ
第四百四十六条 手形訴訟ニ於テハ証拠調ハ書証ニ限リ之ヲ為スコトヲ得
文書ノ提出ノ命令又ハ送付ノ嘱託ハ之ヲ為スコトヲ得ズ対照ノ用ニ供スべキ筆跡又ハ印影ヲ具フル物件ニ付亦同ジ
文書ノ真否又ハ手形ノ呈示ニ関スル事実ニ付テハ申立ニ因リ当事者本人又ハ訴訟ニ於テ当事者ヲ代表スル法定代理人ヲ訊問スルコトヲ得
証拠調ノ嘱託ハ之ヲ為スコトヲ得ズ第二百六十二条ノ規定ニ依ル調査ノ嘱託亦同ジ
前各項ノ規定ハ裁判所ガ職権ヲ以テ調査スべキ事項ニハ之ヲ適用セズ
第四百四十七条 原告ハ口頭弁論ノ終結ニ至ル迄被告ノ承諾ヲ要セズシテ訴訟ヲ通常ノ手続ニ移行セシムル旨ノ申述ヲ為スコトヲ得
訴訟ハ前項ノ申述アリタル時ニ於テ通常ノ手続ニ移行スルモノトシ裁判所ハ直ニ其ノ旨ヲ記載シタル書面ヲ被告ニ送達スルコトヲ要ス但シ其ノ申述ガ被告ノ出頭シタル期日ニ於テ口頭ヲ以テ為サレタルモノナルトキハ其ノ送達ハ之ヲ為スコトヲ要セズ
訴訟ガ通常ノ手続ニ移行シタルトキハ手形訴訟ノ為既ニ指定シタル期日ハ通常ノ手続ノ為ニ之ヲ指定シタルモノト看做ス
第四百四十八条 裁判所ハ被告ガ口頭弁論ニ於テ原告ノ主張シタル事実ハ争ハズ其ノ他何ラノ防禦ノ方法ヲモ提出セザル場合ニ於テハ前条第二項ノ書面ノ送達前ト雖口頭弁論ヲ終結スルコトヲ得
第四百四十九条 請求ノ全部又ハ一部ガ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ為スコトヲ得ザルモノナルトキハ裁判所ハ口頭弁論ヲ経ズシテ判決ヲ以テ訴ノ全部又ハ一部ヲ却下スルコトヲ得
原告ガ前項ノ判決ノ送達アリタル日ヨリ二週間内ニ同項ノ請求ニ付通常ノ手続ニ依リ訴ヲ提起シタルトキハ第二百三十五条ノ規定ノ適用ニ付テハ其ノ訴ノ提起ハ前ノ訴ノ提起ノ時ニ於テ之ヲ為シタルモノト看做ス
第四百五十条 手形訴訟ノ終局判決ニ対シテハ控訴ヲ為スコトヲ得ズ但シ前条第一項ノ判決ヲ除クノ外訴ヲ却下シタル判決ニ対シテハ此ノ限ニ在ラズ
第四百五十一条 手形訴訟ノ終局判決ニ対シテハ訴ヲ却下シタル判決ヲ除クノ外判決ノ送達アリタル日ヨリ二週間内ニ其ノ判決ヲ為シタル裁判所ニ異議ヲ申立ツルコトヲ得但シ其ノ期間前申立テタル異議ノ効力ヲ妨ゲズ
前項ノ期間ハ之ヲ不変期間トス
第四百五十二条 異議ハ通常ノ手続ニ依ル第一審ノ終局判決アル迄之ヲ取下グルコトヲ得
異議ノ取下ハ相手方ノ同意ヲ得ルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第二百三十六条第三項乃至第六項、第二百三十七条第一項及第二百三十八条ノ規定ハ異議ノ取下ニ之ヲ準用ス
第四百五十三条 異議ヲ申立ツル権利ハ其ノ申立前ニ限リ之ヲ抛棄スルコトヲ得
異議申立権ノ抛棄ハ裁判所ニ対スル申述ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス
異議申立権抛棄ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス
第四百五十四条 異議ノ申立ハ書面ニ依リテ之ヲ為スコトヲ要ス
準備書面ニ関スル規定ハ前項ノ書面ニ之ヲ準用ス
第一項ノ書面ハ之ヲ相手方ニ送達スルコトヲ要ス
第四百五十五条 不適法ナル異議ニシテ其ノ欠缺ガ補正スルコト能ハザルモノナル場合ニ於テハ口頭弁論ヲ経ズシテ判決ヲ以テ之ヲ却下スルコトヲ得
第四百五十六条 適法ナル異議アリタルトキハ訴訟ハ口頭弁論終結前ノ程度ニ復スルモノトシ其ノ審理及裁判ハ通常ノ手続ニ依リテ之ヲ為ス
第四百五十七条 前条ノ規定ニ依リテ為スベキ判決ガ手形訴訟ノ判決ト符合スルトキハ裁判所ハ手形訴訟ノ判決ヲ認可スルコトヲ要ス但シ手形訴訟ノ判決ノ手続ガ法律ニ違背シタルモノナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
前項ノ規定ニ依リ手形訴訟ノ判決ヲ認可スル場合ヲ除クノ外新判決ニ於テハ手形訴訟ノ判決ヲ取消スコトヲ要ス
第四百五十八条 異議ヲ却下シ又ハ手形訴訟ニ於テ為シタル訴訟費用ノ裁判ヲ認可スル場合ニ於テハ裁判所ハ異譲ノ申立アリタル後ノ訴訟費用ニ付裁判ヲ為スコトヲ要ス
第百九十五条第三項ノ規定ハ手形訴訟ノ判決ニ対シ適法ナル異議アリタル場合ニ之ヲ準用ス
第四百五十九条 判決ニ事実及理由ヲ記載スルニハ手形訴訟ノ判決ヲ引用スルコトヲ得
第四百六十条 異議ヲ却下シタル第一審判決ヲ取消ス場合ニ於テハ控訴裁判所ハ事件ヲ第一審裁判所ニ差戻スコトヲ要ス
第四百六十一条 第三百五十六条第三項後段ノ規定ニ依リテ提起アリタルモノト看做サルル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ同項前段ノ申立ノ際之ヲ為スコトヲ要ス
第四百六十二条 第四百四十二条第一項ノ規定ニ依リテ提起アリタルモノト看做サルル訴ニ付テハ手形訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムル旨ノ申述ハ支払命令ノ申立ノ際之ヲ為スコトヲ要ス
前項ノ申述アリタルトキハ支払命令ニ其ノ旨ヲ附記スべシ
第四百三十八条第一項ノ規定ニ依ル仮執行ノ宣言アリタルトキハ第一項ノ申述ハナカリシモノト看做ス
第四百六十三条 小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ヲ目的トスル訴ニ付テハ小切手訴訟ニ依ル審理及裁判ヲ求ムルコトヲ得
第四百四十四条第二項及第四百四十五条乃至前条ノ規定ハ小切手訴訟ニ関シテ之ヲ準用ス
第四百六十四条乃至第四百九十六条 削除
第四百九十八条第一項中「提起」の下に「又ハ第四百五十一条(第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ異議ノ申立」を加え、同条第二項中「確定ハ」の下に「前項ノ期間内ニ」を加え、「其ノ期間内ニ提起スル」を「提起シ又ハ同項ノ異議ヲ申立ツル」に改める。
第五百十二条の次に次の一条を加える。
第五百十二条ノ二 手形又ハ小切手ニ因ル金銭ノ支払ノ請求及ビ之ニ附帯スル法定利率ニ依ル損害賠償ノ請求ニ付キ仮執行ノ宣言ヲ付シタル判決ニ対シ控訴ヲ提起シタル場合ニ於テハ原判決ノ取消又ハ変更ノ原因トナルべキ事情ニ付キ疎明アリタルトキニ限リ裁判所ハ申立ニ因リ保証ヲ立テシメ若クハ保証ヲ立テシメズシテ強制執行ヲ一時停止ス可キコトヲ命ジ又ハ保証ヲ立テシメテ強制執行ヲ為ス可キコトヲ命ジ及ビ保証ヲ立テシメテ其為シタル強制処分ヲ取消ス可キヲ命ズルコトヲ得第五百条第三項ノ規定ハ此場合ニ之ヲ準用ス
前項ノ規定ハ仮執行ノ宣言ヲ付シタル手形訴訟若クハ小切手訴訟ノ判決ニ対シ異議ノ申立アリタル場合又ハ同項ニ掲グル請求ニ付キ仮執行ノ宣言ヲ付シタル支払命令ニ対シ異議ヲ申立テタル場合ニ之ヲ準用ス
前二項ノ裁判ハ訴訟記録ガ原裁判所ニ存スル間ハ原裁判所モ亦之ヲ為スコトヲ得
第五百三十一条第二項中「地方裁判所書記」を「地方裁判所ノ裁判所書記官」に改める。
第六百七条中「第百九十六条第二項」を「第百九十六条第三項」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、昭和四十年一月一日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行前に訴えが提起され、又は支払命令が申し立てられた事件については、なお従前の例による。
(民事訴訟用印紙法の一部改正)
3 民事訴訟用印紙法(明治二十三年法律第六十五号)の一部を次のように改正する。
第一条中「裁判所書記」を「裁判所書記官」に改める。
第四条ノ二の次に次の一条を加える。
第四条ノ三 民事訴訟法第四百四十九条第二項(同法第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ訴ノ訴状ニ付テハ前ノ訴ノ訴状ニ貼用シタル印紙ト同額ノ印紙ハ之ヲ貼用シタルモノト看做ス
第六条ノ三第二号を次のように改める。
二 民事訴訟法第四百五十一条(同法第四百六十三条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ異議ノ申立
(法務・内閣総理大臣署名)