道路交通法の一部を改正する法律
道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
目次中「第七節 緊急自動車等(第三十九条―第四十一条)」を「第七節 緊急自動車等(第三十九条―第四十一条の二)」に、「第十二節 整備不良車両の運転の禁止等(第六十二条・第六十三条)」を「第十二節 整備不良車両の運転の禁止等(第六十二条―第六十三条の二)」に、「第三節 雇用者等の義務(第七十四条・第七十五条)」を
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第三節 雇用者等の義務(第七十四条・第七十五条) |
」 |
第四章の二 高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例 |
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第一節 通則(第七十五条の二・第七十五条の三) |
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第二節 自動車の交通方法(第七十五条の四―第七十五条の九) |
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第三節 運転者の義務(第七十五条の十・第七十五条の十一) |
に改める。
第二条第四号中「道路標識及び道路標示」を「通路標識又は道路標示」に改め、同条第七号の次に次の一号を加える。
七の二 高速通行路 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。以下同じ。)のもつぱら自動車の高速通行の用に供する部分をいう。
第六条第一項中「著しく停滞したことにより道路」の下に「(高速自動車国道及び自動車専用道路(道路法第四十八条の四第一項に規定する自動車専用道路をいう。以下同じ。)を除く。)」を加える。
第七条第三項中「その他の事情により道路」の下に「(高速自動車国道及び自動車専用道路を除く。)」を加え、「道路における」を「当該道路における」に改める。
第九条第二項中「第二十条第一項」の下に「若しくは第七十五条の四第一項」を加える。
第十四条第二項中「耳がきこえない者」の下に「及び政令で定める程度の身体の障害のある者」を加える。
第十六条に次の一項を加える。
3 この章の規定のうち交差点における交通に係る規定は、高速通行路にある交差点に入ろうとする自動車又は高速通行路にある交差点を通行する自動車については、適用しない。
第十九条中「三メートルをこえる道路」の下に「(高速自動車国道にあつては、高速通行路を除く。)」を加える。
第二十条第一項中「基準により、」の下に「道路(高速自動車国道にあつては、高速通行路を除く。)に」を加え、同条第二項中「車両は、」の下に「前項の」を、「かかわらず、」の下に「同項の」を加え、同条第三項中「認めるときは、」の下に「第一項の」を加える。
第二十四条第一項を削り、同条第二項中「高速自動車国道」の下に「にあつては、高速通行路」を加え、同項を同条とする。
第四十条第二項中「前項以外の場所」の下に「(高速通行路を除く。)」を加える。
第四十一条に次の一項を加える。
4 政令で定めるところにより道路の維持、修繕等のための作業に従事している場合における道路維持作業用自動車(もつぱら道路の維持、修繕等のために使用する自動車で政令で定めるものをいう。以下第七十五条の九において同じ。)については、第十七条第三項、第十九条、第二十条第二項及び第三項並びに第六十九条の規定は、適用しない。
第三章第七節中第四十一条の次に次の一条を加える。
(消防用車両の優先等)
第四十一条の二 交差点又はその附近において、消防用車両(消防自動車以外の消防の用に供する車両で、消防用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものをいう。以下この条において同じ。)が接近してきたときは、車両等(車両にあつては、緊急自動車及び消防用車両を除く。)は、交差点を避けて一時停止しなければならない。
2 前項以外の場所において、消防用車両が接近してきたときは、車両(緊急自動車及び消防用車両を除く。)は、当該消防用車両の進行を妨げてはならない。
3 第三十九条第一項及び第三項の規定は、消防用車両について準用する。
4 消防用車両については、第十九条、第二十条第二項及び第三項、第二十九条、第三十条第二項、第三十四条第一項から第三項まで並びに第四十条第一項の規定は、適用しない。
(罰則 第一項及び第二項については第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
第六十三条第一項中「自動車検査証をいう。」の下に「以下次条第二項において同じ。」を加える。
第三章第十二節中第六十三条の次に次の一条を加える。
(装置不良車両の運転の禁止等)
第六十三条の二 第六十二条に規定するもののほか、自動車又は原動機付自転車の使用者その他当該車両の装置の整備について責任を有する者又は運転者は、道路運送車両法第三章又はこれに基づく命令の規定により定められた消音器その他の騒音防止装置又はばい煙等の発散防止装置を備えていないか、又はこれらの装置が調整されていないため他人に著しい迷惑を及ぼすおそれがある自動車又は原動機付自転車(以下この条において「装置不良車両」という。)を運転させ、又は運転してはならない。
2 警察官は、前項の装置不良車両に該当すると認められる車両が運転されているときは、当該車両を停止させ、並びに当該車両の運転者に対し、自動車検査証その他政令で定める書類の提示を求め、及び当該車両の装置について検査することができる。
3 前項の場合において、警察官は、当該車両の運転者に対し、他人に及ぼす迷惑を防止するため必要な応急の措置をとることを命じ、また、応急の措置によつては必要な整備をすることができないと認められる車両(以下この条において「故障車両」という。)については、当該故障車両の運転を継続してはならない旨を命ずることができる。
4 前条第三項から第八項までの規定は、前項の故障車両について準用する。この場合において、同条第三項前段中「道路における危険を防止する」とあるのは、「他人に及ぼす迷惑を防止する」と読み替えるものとする。
(罰則 第一項については第百二十条第一項第十一号、同条第二項、第百二十二条、第百二十三条第二項及び第三項については第百二十条第一項第十一号の二 第四項については第百二十一条第一項第九号)
第六十九条を次のように改める。
(最低速度の遵守)
第六十九条 自動車の運転者は、第二十四条の規定により公安委員会が指定した道路の区間においては、法令の規定により徐行する場合又は危険を防止するためやむを得ない場合を除き、同条の規定に基づき公安委員会が定める最低速度に達しない速度で自動車を運転してはならない。
第七十一条第二号中「若しくは耳がきこえない者」を「、耳がきこえない者若しくは第十四条第二項の規定に基づく政令で定める程度の身体の障害のある者」に改め、同条第三号を次のように改める。
三 歩行者が横断歩道により道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)を横断し、又は横断しようとしているときは、当該横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにすること。
第七十二条の付記中「第十二号」を「第十一号の三」に改める。
第四章の次に次の一章を加える。
第四章の二 高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例
第一節 通則
(通則)
第七十五条の二 高速自動車国道及び自動車専用道路における自動車の交通方法等については、前四章に定めるもののほか、この章の定めるところによる。
(危険防止等の措置)
第七十五条の三 警察官は、道路の損壊、交通事故の発生その他の事情により高速自動車国道又は自動車専用道路において交通の危険が生じ、又は交通の混雑が生ずるおそれがある場合において、当該道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るためやむを得ないと認めるときは、必要な限度において、その現場に進行してくる自動車の通行を禁止し、若しくは制限し、又はその現場にある自動車の運転者に対し、道路法第四十七条第一項の規定に基づく政令の規定にかかわらず路肩を通行すべきことを命じ、若しくは第三章第一節、同章第六節若しくはこの章に規定する自動車の通行方法と異なる通行方法によるべきことを命ずることができる。
(罰則 第百十九条第一項第十二号の二)
第二節 自動車の交通方法
(通行区分)
第七十五条の四 公安委員会は、高速自動車国道については、政令で定める基準により、その左側部分の高速通行路に二の車両通行区分帯を設けなければならない。
2 自動車は、高速通行路においては、追越しをする場合又は道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、左側の車両通行区分帯を通行しなければならない。
3 自動車は、高速通行路において追越しをするときは、右側の車両通行区分帯を通行しなければならない。
(罰則 第二項及び第三項については第百二十条第一項第三号、同条第二項、第百二十二条)
(最低速度)
第七十五条の五 自動車が高速通行路を通行する場合の最低速度は、政令で定める。
2 公安委員会は、高速通行路の区間を指定し、当該高速通行路の区間を通行する自動車について、前項の規定に基づく政令で定める最低速度に達しない最低速度を定めることができる。この場合において、公安委員会は、当該道路の管理者の意見をきかなければならない。
(横断等の禁止)
第七十五条の六 自動車は、高速通行路又は自動車専用道路においては、横断し、転回し、又は後退してはならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(高速通行路に入る場合における優先関係)
第七十五条の七 自動車(緊急自動車を除く。)は、高速通行路に入ろうとする場合において、当該高速通行路を通行する自動車があるときは、当該自動車の進行を妨げてはならない。
2 緊急自動車以外の自動車は、緊急自動車が高速通行路に入ろうとしているときは、当該緊急自動車の進行を妨げてはならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号、第百二十二条)
(停車及び駐車の禁止)
第七十五条の八 自動車は、高速自動車国道又は自動車専用道路においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる場合においては、この限りでない。
一 駐車の用に供するため区画された場所において停車し、又は駐車するとき。
二 故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合において、路肩に停車し、又は駐車するとき。
三 乗合自動車が、その属する運行系統に係る停留所において、乗客の乗降のため停車し、又は運行時間を調整するため駐車するとき。
四 料金支払いのため料金徴収所において停車するとき。
2 第五十一条の規定は、自動車が前項の規定に違反して駐車していると認められる場合について準用する。
(罰則 第一項については第百二十条第一項第六号 第二項については第百十九条第一項第三号)
(緊急自動車等の特例)
第七十五条の九 緊急自動車又は第四十一条第三項の総理府令で定めるもつぱら交通の取締りに従事する自動車については、第七十五条の四第二項の規定は、適用しない。
2 政令で定めるところにより道路の維持、修繕等のための作業に従事している場合における道路維持作業用自動車については、第七十五条の四第二項及び次条の規定は、適用しない。
第三節 運転者の義務
(最低速度の遵守)
第七十五条の十 自動車の運転者は、高速通行路においては、法令の規定により徐行する場合又は危険を防止するためやむを得ない場合を除き、第七十五条の五第一項の規定に基づく政令で定める最低速度又は同条第二項の規定に基づき公安委員会が定める最低速度に達しない速度で自動車を運転してはならない。
(罰則 第百二十条第一項第十二号)
(故障等の場合の措置)
第七十五条の十一 自動車の運転者は、故障その他の理由により高速通行路において当該自動車を運転することができなくなつたときは、当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを明りように表示するとともに、当該自動車を高速通行路以外の場所に移動するため必要な措置を講じなければならない。
第百十九条第一項第三号中「第一項」の下に「(第七十五条の八(停車及び駐車の禁止)第二項において準用する場合を含む。)」を加え、同項第十二号の次に次の一号を加える。
十二の二 第七十五条の三(危険防止等の措置)の規定による警察官の禁止、制限又は命令に従わなかつた者
第百二十条第一項第二号中「又は第四十条(緊急自動車の優先)」を「、第四十条(緊急自動車の優先)、第四十一条の二(消防用車両の優先等)第一項若しくは第二項、第七十五条の六(横断等の禁止)又は第七十五条の七(高速通行路に入る場合における優先関係)」に改め、同項第三号中「又は第四十三条(指定場所における一時停止)」を「、第四十三条(指定場所における一時停止)又は第七十五条の四(通行区分)第二項若しくは第三項」に改め、同項第六号中「第四十七条(停車の方法)」の下に「又は第七十五条の八(停車及び駐車の禁止)第一項」を加え、同項第十一号を次のように改める。
十一 第六十三条の二(装置不良車両の運転の禁止等)第一項の規定に違反した者
第百二十条第一項第十一号の次に次の二号を加える。
十一の二 第六十三条の二 (装置不良車両の運転の禁止等)第二項の規定による警察官の停止に従わず、提示の要求を拒み、検査を拒み、若しくは検査を妨げた者又は同条第三項の規定による警察官の命令に従わなかつた者
十一の三 第七十二条(交通事故の場合の措置)第二項の規定による警察官の命令に従わなかつた者
第百二十条第一項第十二号を次のように改める。
十二 第七十五条の十(最低速度の遵守)の規定に違反した者
第百二十条第二項中「又は第八号」を「、第八号又は第十一号」に改める。
第百二十一条第一項第九号中「第六十三条(車両の検査等)第七項」の下に「(第六十三条の二(装置不良車両の運転の禁止等)第四項において準用する場合を含む。)」を加える。
第百二十二条第一項及び第百二十三条中「第十号」を「第十号、第十一号」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
2 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)の一部を次のように改正する。
第二十六条第一項中「消防車が接近したときは、自動車、牛馬車、手引車、自転車等は道路左側にできる限り寄り添い、消防車が通過するまで停止しなければならない。路面電車は火災のため出動の消防車の接近を知るときは、停車して、その通過するまで動いてはならない。」を削り、同項の次に次の一項を加える。
消防車の優先通行については、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第四十条、第四十一条の二第一項及び第二項並びに第七十五条の七第二項の定めるところによる。
3 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(内閣総理・法務・自治大臣署名)