国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律
法律第百七十九号(昭三三・一二・二三)
国家公務員のための国設宿舎に関する法律(昭和二十四年法律第百十七号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
国家公務員宿舎法
題名の次に次の目次及び章名を加える。
目次
第一章 総則(第一条―第三条)
第二章 宿舎の設置並びに維持及び管理に関する機関(第四条―第七条)
第三章 宿舎の設置及び廃止等(第八条―第十三条の二)
第四章 宿舎の維持及び管理(第十三条の三―第十八条)
第五章 雑則(第十九条―第二十二条)
附則
第一章 総則
第一条から第三条までを次のように改める。
(目的)
第一条 この法律は、国が国家公務員に貸与する宿舎の設置並びに維持及び管理に関する基本的事項を定めてその適正化を図ることにより、国家公務員の職務の能率的な遂行を確保し、もつて国の事務及び事業の円滑な運営に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 職員 常時勤務に服することを要する国家公務員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条又は第八十二条の規定による休職又は停職の処分を受けた者その他法令の規定により職務に専念する義務を免除された者を含むものとし、臨時に使用される者で政令で定めるもの以外のものを除く。)をいう。
二 宿舎 職員及び主としてその収入により生計を維持する者を居住させるため国が設置する居住用の家屋及び家屋の部分並びにこれらに附帯する工作物その他の施設(共同浴場、簡易な児童遊園その他政令で定める共同施設を含む。)をいい、これらの用に供する土地を含むものとする。
三 各省各庁 衆議院、参議院、裁判所、会計検査院並びに内閣、総理府及び各省をいう。
四 各省各庁の長 衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣をいう。
(宿舎の種類)
第三条 宿舎は、公邸、無料宿舎及び有料宿舎の三種類とする。
第四条の前に次の章名を加える。
第二章 宿舎の設置並びに維持及び管理に関する機関
第四条から第七条までを次のように改める。
(設置の機関)
第四条 宿舎の設置は、大蔵大臣が行うものとする。
2 同一の各省各庁に所属する職員のみに貸与する目的で設置する宿舎(以下「省庁別宿舎」という。)を設置する場合で次の各号に掲げる場合には、前項の規定にかかわらず、当該各号に掲げる各省各庁の長がその設置を行うものとする。
一 郵政事業その他の事業を企業的に運営する政令で定める特別会計(以下第十九条第二項において「事業特別会計」という。)の負担において設置する場合 当該特別会計を管理する各省各庁の長
二 転用(宿舎の用に供し、又は供するものと決定した国有財産(以下この号において「宿舎用財産」という。)以外の国有財産を宿舎用財産とすることをいう。以下第九条において同じ。)、交換又は寄付の方法により設置する場合 当該転用若しくは交換をし、又は当該寄付を受ける各省各庁の長
三 特定の官署に勤務する職員のために一時に多数の宿舎を設置する必要がある場合その他特別の事情がある場合で大蔵大臣が指定する場合 当該宿舎の貸与を受けるべき職員の所属する各省各庁の長
(維持及び管理の機関)
第五条 合同宿舎(省庁別宿舎以外の宿舎をいう。以下第八条の二第二項において同じ。)は大蔵大臣が、省庁別宿舎は当該宿舎の貸与を受けるべき職員の所属する各省各庁の長がそれぞれ維持及び管理を行うものとする。
(総括の機関)
第六条 大蔵大臣は、宿舎の設置並びに維持及び管理(以下「設置等」という。)の適正を期するため、宿舎に関する制度を整え、その設置等に関する事務を統一し、及びその設置等について必要な調整をするものとする。
2 大蔵大臣は、宿舎の設置等の適正を期するため必要があると認めるときは、各省各庁の長に対し、当該各省各庁所属の職員の住宅事情に関する資料を求め、又は当該各省各庁の長が設置し、若しくは維持及び管理を行う省庁別宿舎について、その状況に関する報告を求め、部下の職員に実地監査を行わせ、若しくは閣議の決定を経て、宿舎の種類(第三条に規定する宿舎の種類をいう。以下第十三条の二第一号において同じ。)の変更その他の措置を求めることができる。
(事務の委任)
第七条 各省各庁の長は、政令で定めるところにより、当該各省各庁所属の職員又は他の各省各庁所属の職員に、宿舎の設置に関する事務の一部を委任することができる。
2 各省各庁の長は、政令で定めるところにより、当該各省各庁所属の職員に、宿舎の維持及び管理に関する事務の一部を委任することができる。
3 大蔵大臣は、財務局長に、前条の規定による宿舎の設置等の総括に関する事務の一部を委任することができる。
第八条の前に次の章名を加える。
第三章 宿舎の設置及び廃止等
第八条から第九条までを次のように改める。
(設置計画)
第八条 宿舎の設置は、宿舎の設置に関する年度計画(以下次条において「設置計画」という。)に基いて行わなければならない。
第八条の二 各省各庁の長は、毎会計年度、政令で定めるところにより、宿舎設置に関する要求についての書類を作成し、これを大蔵大臣に提出しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の要求を調整して、政令で定めるところにより、合同宿舎及び省庁別宿舎の別(省庁別宿舎については、さらに各省各庁別)に設置計画を定め、各年度分の予算成立の日から二月以内に、これを関係の各省各庁の長に通知しなければならない。
3 各省各庁の長は、前項の通知を受けた後において、設置計画を変更する必要があると認めるときは、そのつど、政令で定めるところにより、大蔵大臣に対し、設置計画の変更を求めることができる。
4 大蔵大臣は、前項の要求がやむを得ないものであると認めるときは、すみやかに設置計画を変更し、その変更の内容をその要求に係る各省各庁の長に通知するものとする。
5 前二項に規定する場合のほか、大蔵大臣は、設置計画を変更する必要があると認めるときは、関係の各省各庁の長と協議して、設置計画を変更することができる。
6 大蔵大臣は、設置計画を定め、又は変更する場合においては、各省各庁における職員の職務の性質、宿舎の現況及び不足数その他宿舎を必要とする事情を考慮しなければならない。
(設置の方法)
第九条 宿舎の設置は、建設(土地を宅地に造成することを含む。)、購入、交換、寄付、転用及び借受の方法により行うものとする。
第十条各号列記以外の部分中「左に掲げる国家公務員」を「次に掲げる職員」に改め、同条第十号を削り、同条第十一号を同条第十号とし、同条第十一号の二を同条第十一号とする。
第十一条中「備品」の下に「(もつぱら居住者の私用に供するものを除く。)」を加える。
第十二条第一項各号列記以外の部分中「左に掲げる国家公務員」を「次に掲げる職員」に改め、同項第一号中「従事しなければ」を「従事するためその勤務する官署の構内又はこれに近接する場所に居住しなければ」に改め、同項第二号中「従事するもの」を「従事するため当該施設の構内又はこれに近接する場所に居住しなければならないもの」に改め、同項第四号中「構内」の下に「又はこれに近接する場所」を加え、同条第二項中「国家公務員」を「職員」に改める。
第十三条各号列記以外の部分中「左に」を「次に」に、「受ける者以外の国家公務員」を「受ける職員以外の職員」に改め、同条第一号及び第二号中「国家公務員」を「職員」に、「、事業」を「又は事業」に、「場合。」を「場合」に改める。
第十三条の次に次の一条を加える。
(省庁別宿舎の廃止等についての大蔵大臣への協議)
第十三条の二 次に掲げる場合においては、省庁別宿舎の維持及び管理を行う各省各庁の長は、政令で定めるところにより、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 当該省庁別宿舎について、宿舎の廃止(宿舎をその用に供しないことと決定することをいう。以下第十八条第一項第五号において同じ。)をし、又は宿舎の種類の変更をしようとするとき。
二 当該省庁別宿舎を他の各省各庁の長が維持及び管理を行う省庁別宿舎としようとするとき。
第十四条の前に次の章名及び二条を加える。
第四章 宿舎の維持及び管理
(被貸与者に対する監督)
第十三条の三 宿舎の維持及び管理を行う各省各庁の長(以下「維持管理機関」という。)は、被貸与者(宿舎の貸与を受けた者及び第十八条第一項の規定の適用を受ける同居者(以下「同居者」という。)をいう。以下同じ。)がこの法律に定める義務を守つているかどうかを監督し、常に宿舎の維持及び管理の適正を図らなければならない。
(無料宿舎を貸与する者の選定)
第十三条の四 一の無料宿舎について当該宿舎の貸与を受けるべき職員が二人以上存する場合においては、当該宿舎の維持管理機関は、これらの者のうち職務の性質上最も必要と認められるものに当該宿舎を貸与しなければならない。
第十五条を削り、第十四条第一項中「月額とし、政令で定める一坪当りの使用料の基準に基いて」を「月額によるものとし、その標準的な建設費用の償却額、修繕費、地代及び火災保険料に相当する金額を基礎とし、かつ、第十八条第一項に規定する居住の条件その他の事情を考慮して政令で定める算定方法により」に、「各省各庁の長」を「その維持管理機関」に改め、同条第四項中「第十九条」を「第十八条第一項」に、「居住者は、これらの規定に」を「その者又はその同居者は、その」に、「宿舎を明け渡す日」を「同項又は同条第二項の規定による明渡期日」に改め、同条に次の一項を加え、同条を第十五条とする。
5 前項の規定により同居者が払い込むべき宿舎の使用料に係る債務については、同居者の全員が連帯してその責に任ずるものとする。
第十三条の四の次に次の一条を加える。
(有料宿舎を貸与する者の選定)
第十四条 有料宿舎を貸与する者の選定に当つては、当該宿舎の維持管理機関は、政令で定めるところにより、国の事務又は事業の円滑な運営の必要に基き公平に行わなければならない。
第十六条を次のように改める。
(宿舎の使用上の義務)
第十六条 被貸与者は、善良な管理者の注意をもつてその貸与を受けた宿舎を使用しなければならない。
2 被貸与者は、その貸与を受けた宿舎の全部若しくは一部を第三者に貸し付け、若しくは居住の用以外の用に供し、又は当該宿舎につきその維持管理機関の承認を受けないで改造、模様替その他の工事を行つてはならない。
3 被貸与者は、その責に帰すべき事由によりその貸与を受けた宿舎を滅失し、損傷し、又は汚損したときは、遅滞なく、これを原状に回復し、又はその損害を賠償しなければならない。ただし、その滅失、損傷又は汚損が故意又は重大な過失によらない火災に基くものである場合には、この限りでない。
4 前条第五項の規定は、被貸与者(同居者に限る。)の第一項又は第二項の規定に違反したことに基因する債務及び前項の規定による原状回復又は損害賠償に係る債務について準用する。
第十七条第一項中「修繕」の下に「(被貸与者の責に帰すべき事由(前条第三項ただし書の火災を除く。)による損傷又は汚損に係る修繕を除く。)」を加え、「費用は」を「費用(もつぱら居住者の私用に係るものを除く。)は」に改め、同条第二項中「居住者」を「被貸与者」に、「因り」を「より」に、「き損」を「損傷し、」に改め、同項に次のただし書を加える。
ただし、その損傷又は汚損が軽微である場合には、この限りでない。
第十九条を削り、第十八条第一項中「設置、維持及び管理」を「設置等」に、「並びに」を「及び」に改め、同条第二項中「郵政事業その他事業を企業的に運営する政令で定める特別会計」を「事業特別会計」に、「設置、維持及び管理」を「設置等」に改め、同条を第十九条とし、第十七条の次に次の一条を加える。
(宿舎の明渡等)
第十八条 宿舎の貸与を受けた者が次の各号の一に該当することとなつた場合においては、その者(その者が第二号の規定に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた時においてその者と同居していた者)は、その該当することとなつた日から二十日以内に当該宿舎を明け渡さなければならない。ただし、相当の事由がある場合には、その維持管理機関の承認を受けて、その該当することとなつた日から、公邸及び無料宿舎にあつては二月、有料宿舎にあつては六月の範囲内において当該維持管理機関の指定する期間、引き続き当該宿舎を使用することができる。
一 職員でなくなつたとき。
二 死亡したとき。
三 転任、配置換、勤務する官署の移転その他これらに類する事由により当該宿舎に居住する資格を失い、又はその必要がなくなつたとき。
四 当該宿舎について国の事務又は事業の運営の必要に基き先順位者が生じたためその明渡を請求されたとき。
五 国において当該宿舎につき宿舎の廃止をする必要が生じたためその明渡を請求されたとき。
2 有料宿舎の被貸与者は、当該宿舎の維持管理機関が、第十六条の規定に違反する事実でその宿舎の維持及び管理に重大な支障を及ぼすおそれがあると認められるものにつき、期限を附してその是正を要求した場合において、その期限までにその要求に従わなかつたときは、直ちに当該宿舎を明け渡さなければならない。
3 被貸与者が前二項の規定に違反して宿舎を明け渡さないときは、その者は、政令で定めるところにより、これらの規定による明渡期日の翌日から明け渡した日までの期間に応ずる損害賠償金を支払わなければならない。この場合において、その損害賠償金の額は、当該宿舎の当該期間に応ずる使用料の額(当該宿舎が公邸又は無料宿舎である場合には、これらを有料宿舎であるとみなして第十五条第一項に規定する算定方法により算定した使用料に相当する額)の三倍に相当する金額をこえることができない。
4 第十五条第五項の規定は、前項の規定により被貸与者(同居者に限る。)が支払うべき損害賠償金に係る債務について準用する。
第十九条の前に次の章名を加える。
第五章 雑則
第二十条中「大蔵大臣が」を「大蔵省令で」に改め、同条を第二十二条とし、第十九条の次に次の二条を加える。
(宿舎の現況に関する記録)
第二十条 維持管理機関は、その維持及び管理を行う宿舎の現況に関する記録を備え、常時その状況を明らかにして置かなければならない。
(国家公務員法との関係)
第二十一条 第八条の二、第十条、第十二条、第十三条及び第十三条の四から第十五条までに規定する事項は、国家公務員法第二十二条及び第二十八条第一項の規定による人事院の勧告に係る事項に含まれるものとする。
附 則
1 この法律は、昭和三十四年四月一日から施行する。
2 この法律の施行の際現に宿舎の貸与を受けている国家公務員で改正後の国家公務員宿舎法第二条第一号に規定する職員に該当しないものは、この法律の施行の日以後引き続き当該宿舎の貸与を受けている間、同号に規定する職員であるものとみなす。
3 この法律の施行の際既に改正前の国家公務員のための国設寄舎に関する法律第十九条の規定により明け渡すべきこととなつている宿舎の明渡については、なお従前の例による。
4 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中宿舎審議会の項を削る。
5 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条第三十号を次のように改める。
三十 国家公務員の宿舎の設置(合同宿舎については、その設置並びに維持及び管理)をし、並びに国家公務員の宿舎の設置並びに維持及び管理に関する事務を総括すること。
第十一条第七号を次のように改める。
七 国家公務員の宿舎の設置(合同宿舎については、その設置並びに維持及び管理)をし、並びに国家公務員の宿舎の設置並びに維持及び管理に関する事務を総括すること。
6 一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。
第五条第二項中「国家公務員のための国設宿舎に関する法律」を「国家公務員宿舎法」に改める。
7 国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律(昭和三十一年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項第二号中「国家公務員のための国設宿舎に関する法律」を「国家公務員宿舎法」に改める。
(内閣総理・大蔵大臣署名)