賠償等特殊債務処理特別会計法
法律第五十三号(昭三一・三・三一)
(設置)
第一条 本邦が連合国(本邦と戦争状態にあつた国及びその領域の一部をなしていた国をいう。以下同じ。)との間に締結する条約に基いて行う賠償及び財産の補償その他本邦が連合国その他の国及びこれらの国民に対し、戦争の遂行の結果又は戦争の遂行若しくは連合国の軍隊による占領に関連して負担する債務(国債に係る債務を除く。)で平和の回復に伴いその支払を要するものの処理(以下「賠償等特殊債務の処理」と総称する。)に関する政府の経理を一般会計と区分して行うため、特別会計を設置する。
(管理)
第二条 この会計は、大蔵大臣が、法令で定めるところに従い、管理する。
(歳入及び歳出)
第三条 この会計においては、第四条の規定による一般会計からの繰入金及び附属雑収入をもつてその歳入とし、賠償等特殊債務の処理に充てるための経費及び附属諸費をもつてその歳出とする。
(一般会計からの繰入金)
第四条 賠償等特殊債務の処理に充てるため必要な金額は、予算で定めるところにより、毎会計年度、一般会計からこの会計に繰り入れるものとする。
(歳入歳出予定計算書の作成)
第五条 大蔵大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作成しなければならない。
(歳入歳出予算の区分)
第六条 この会計の歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従つて款及び項に、歳出にあつては、その目的に従つて項に区分する。
(予算の作成及び提出)
第七条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、第五条に規定する歳入歳出予定計算書を添附しなければならない。
(剰余金の繰入)
第八条 この会計において、毎会計年度の決算上剰余金を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
(歳入歳出決定計算書の作成)
第九条 大蔵大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作成しなければならない。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、前条に規定する歳入歳出決定計算書を添附しなければならない。
(支出残額の繰越)
第十一条 この会計の毎会計年度の歳出予算における支出残額は、順次翌年度に繰り越して使用することができる。
2 大蔵大臣は、前項の規定による繰越をしたときは、会計検査院に通知しなければならない。
3 第一項の規定による繰越をしたときは、当該経費については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。この場合においては、同条第三項の規定による通知は、必要としない。
(実施規定)
第十二条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、昭和三十一年四月一日から施行する。
2 一般会計の昭和三十年度の歳入歳出の決算上の剰余金のうち、昭和二十九年度から昭和三十年度に繰り越した一般会計に属する平和回復善後処理費及び連合国財産補償費の経費の金額並びに同年度の一般会計に属する賠償等特殊債務処理費の経費の金額で同年度の出納の完結までに支出済とならなかつたもの(昭和三十一年度に繰り越したものを除く。)に相当する金額は、財政法第四十一条の規定にかかわらず、この会計の昭和三十一年度の歳入に繰り入れるものとする。
(大蔵・内閣総理大臣署名)