日本海外移住振興株式会社法

法律第百三十九号(昭三〇・八・五)

 (会社の目的)

第一条 日本海外移住振興株式会社(以下「会社」という。)は、日本国民の海外移住を促進するため、渡航費の貸付並びに移住者及びその団体の行う農業、漁業、工業その他の事業に必要な資金の貸付を行うほか、必要に応じ、移住者を受け入れる事業に対する資金の貸付及び投資並びにその事業の経営を行うことを目的とする株式会社とする。

 (株式)

第二条 会社の株式は、額面株式とする。

 (政府の出資)

第三条 政府は、予算の範囲内において、会社に対して出資することができる。

 (商号の使用制限)

第四条 会社以外の者は、その商号中に日本海外移住振興株式会社という文字又はこれに類する文字を使用してはならない。

 (取締役及び監査役の人数)

第五条 会社の取締役は、四人以内、監査役は、二人以内とする。

 (取締役及び監査役の選任等の決議)

第六条 会社の取締役、代表取締役及び監査役の選任、選定及び解任の決議は、外務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (取締役の兼職制限)

第七条 会社の取締役は、他の報酬のある職務及び営業に従事してはならない。ただし、外務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

 (業務の範囲)

第八条 会社は、その目的を達成するため、次の業務を行うものとする。

 一 外国ヘ移住する者に対し、渡航費を貸し付けること。

 二 移住者及びその団体で外国において農業、漁業、工業その他の事業を行うものに対し、その事業に必要な資金を貸し付けること。ただし、日本輸出入銀行の業務の範囲に属するものを除く。

 三 海外移住を促進するため必要があるときは、外国において農業、漁業、工業その他の事業を行う者で、本邦から移住する者をその事業に受け入れるものに対し、その事業に必要な資金を貸し付け、及び投資すること。ただし、日本輸出入銀行の業務の範囲に属するものを除く。

 四 海外移住を促進するため必要があるときは、外国において本邦から移住する者を受け入れて農業、漁業、工業その他の事業を行うこと。

 五 前各号に掲げるもののほか、会社の目的を達成するために必要な業務を行うこと。

2 会社は、前項第一号の渡航費の貸付の事務を外務大臣の指定する団体に委託することができる。

 (渡航費の貸付に必要な資金の貸付)

第九条 政府は、予算の範囲内において、会社に対し、前条第一項第一号の渡航費の貸付に必要な資金を貸し付けることができる。

2 前項の資金の貸付の利率その他の条件は、政令で定める。

 (業務の方法)

第十条 会社は、業務開始の際業務の方法を定め、外務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (営業年度)

第十一条 会社の営業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。

 (事業計画等)

第十二条 会社は、毎営業年度の開始前に、当該営業年度の事業計画、資金計画及び収支予算を外務大臣に提出して、その認可を受けなければならない。これらを変更しようとするときも、同様とする。

 (借入金)

第十三条 会社は、弁済期限が一年をこえる資金を借り入れようとするときは、外務大臣の認可を受けなければならない。

 (社債)

第十四条 会社は、社債を募集しようとするときは、外務大臣の認可を受けなければならない。

2 会社は、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百九十七条の規定による制限をこえて社債を募集することができる。ただし、資本及び準備金の総額又は最終の貸借対照表により会社に現存する純財産額のいずれか少い額の五倍をこえてはならない。

3 出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)第二条の規定は、会社が社債を発行する場合については、適用しない。

 (一般担保)

第十五条 会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

2 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

 (手形の買取)

第十六条 政府は、国会の議決を経た金額の範囲内において、外国銀行と、会社が外貨資金の借入のため当該外国銀行を受取人として振り出す手形を、その満期の日の前日までに買い取る旨の契約をすることができる。

 (利息債務の保証)

第十七条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、会社の外貨資金の借入に係る利息債務について、保証契約をすることができる。

 (政府所有株式の後配)

第十八条 会社は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律第一条の規定にかかわらず、毎営業年度において配当することができる利益金額が政府以外の者の所有する株式に対し年百分の六の割合に達するまでは、政府の所有する株式に対し利益を配当することを要しない。

2 会社は、政府以外の者の所有する株式に対し年百分の六の割合をこえて利益の配当をする場合は、その割合をこえて配当することができる利益金額を、政府以外の者の所有する株式に対しては一、政府の所有する株式に対しては四の割合で配当しなければならない。ただし、政府の所有する株式に対する利益の配当が年百分の八の割合をこえることとなる場合は、この限りでない。

 (重要財産の譲渡等)

第十九条 会社は、その所有する不動産その他の重要な財産で外務省令で定めるものを譲渡し、交換し、若しくは担保に供し、又は有償で取得しようとするときは、外務大臣の認可を受けなければならない。

 (財産目録等の提出)

第二十条 会社は、定時総会の終了後、遅滞なく、財産目録、貸借対照表及び損益計算書を外務大臣に提出しなければならない。

 (監督)

第二十一条 会社は、外務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。

2 外務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

 (定款の変更等)

第二十二条 会社の定款の変更、利益金の処分、合併及び解散の決議は、外務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (協議)

第二十三条 外務大臣は、第十条、第十二条、第十三条、第十四条第一項、第十九条及び前条の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。

 (報告の徴取及び検査)

第二十四条 外務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会社から報告を徴し、又はその職員に、会社の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (罰則)

第二十五条 会社の取締役、監査役その他の職員が、その職務に関して、わいろを収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。これによつて不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたときは、五年以下の懲役に処する。

2 前項の場合において、収受したわいろは、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

3 第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第四条の例に従う。

第二十六条 前条第一項に規定するわいろを供与し、又はその申込若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第二十七条 第二十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、五万円以下の罰金に処する。

第二十八条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役は、三十万円以下の過料に処する。

 一 第十二条の規定に違反して、事業計画、資金計画又は収支予算を提出しなかつたとき。

 二 第十三条の規定に違反して、資金を借り入れたとき。

 三 第十四条第一項又は第二項の規定に違反して、社債を募集したとき。

 四 第十九条の規定に違反して、重要な財産を譲渡し、交換し、若しくは担保に供し、又は取得したとき。

 五 第二十条の規定に違反して、財産目録、貸借対照表又は損益計算書を提出しなかつたとき。

 六 第二十一条第二項の規定に基く命令に違反したとき。

第二十九条 第四条の規定に違反した者は、五万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (会社の設立)

2 外務大臣は、設立委員を命じ、会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。

3 設立委員は、定款を作成したときは、外務大臣の認可を受けなければならない。

4 外務大臣は、前項の認可をしようとするときは、大蔵大臣に協議しなければならない。

5 政府は、会社の設立に際し、一億円に相当する株式を額面価額で引き受けるものとする。

6 設立委員は、会社の設立に際し発行する株式の総数のうち、政府が引き受けない株式につき、株主を募集しなければならない。

7 株式申込証には、定款の認可の年月日を記載しなければならない。

8 商法第百六十七条及び第百八十一条の規定は、会社の設立については、適用しない。

 (商号についての経過規定)

9 第四条の規定は、この法律の施行の際現にその商号中に日本海外移住振興株式会社という文字又はこれに類する文字を使用している者については、この法律の施行の日から起算して六月間は、適用しない。

 (営業年度等の特例)

10 会社の最初の営業年度は、第十一条の規定にかかわらず、会社の成立の日に始まり、昭和三十一年三月三十一日に終る。

11 会社の最初の営業年度の事業計画、資金計画及び収支予算については、第十二条中「毎営業年度の開始前に」とあるのは、「最初の営業年度の開始後遅滞なく」と読み替えるものとする。

 (昭和三十年度における手形買取契約等の限度額)

12 政府が、第十六条の規定により手形を買い取る旨の契約をすることができる限度額及び第十七条の規定に基き保証契約をすることができる限度額は、昭和三十年度においては、それぞれ、十億八千万円及び一億二千九百六十万円を契約の締結の時における基準外国為替相場(外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第七条第一項の基準外国為替相場をいう。)により換算してアメリカ合衆国通貨をもつて表示した額とする。

 (租税特別措置法の一部改正)

13 租税特別措置法(昭和二十一年法律第十五号)の一部を次のように改正する。

  第十条の三の次に次の一条を加える。

 第十条の四 日本海外移住振興株式会社が左の各号に掲げる事項について登記を受ける場合における登録税は、これを免除する。ただし、資本の金額又は増加資本の金額のうち政府の出資に係る部分に限る。

  一 会社の設立

  二 会社の資本の増加

(法務・外務・大蔵・内閣総理大臣署名) 

法令一覧(年度別)に戻る