自動車損害賠償責任再保険特別会計法

法律第百三十四号(昭三〇・八・五)

 (設置)

第一条 自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号。以下「法」という。)による自動車損害賠償責任再保険事業及び自動車損害賠償保障事業に関する政府の経理を明確にするため、自動車損害賠償責任再保険特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。

 (管理)

第二条 この会計は、運輸大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。

 (区分)

第三条 この会計は、保険勘定、保障勘定及び業務勘定に区分する。

 (保険勘定の歳入及び歳出)

第四条 保険勘定においては、再保険料、法第四十六条の規定による納付金、借入金及び附属雑収入をもつてその歳入とし、再保険金、法第四十五条の規定による再保険料の払いもどし金(以下「再保険料の払いもどし金」という。)、借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子、保障勘定への繰入金その他の諸費をもつてその歳出とする。

2 前項に規定する保障勘定ヘの繰入金は、同勘定における保障金(法第七十二条の規定による支払金をいう。以下同じ。)の支払財源に充てるため、予算の定めるところにより、再保険料のうち政令で定める金額を繰り入れるものとする。

 (保障勘定の歳入及び歳出)

第五条 保障勘定においては、法第七十八条の規定による自動車損害賠償保障事業賦課金(以下「賦課金」という。)、法第八十二条第一項の規定による他の会計からの繰入金、保険勘定からの繰入金、法第七十六条の規定に基く権利の行使による収入金、法第七十九条の規定による過怠金、借入金及び附属雑収入をもつてその歳入とし、保障金、自動車損害賠償保障事業の業務の取扱に関する諸費に充てるための業務勘定への繰入金、借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子その他の諸費をもつてその歳出とする。

 (業務勘定の歳入及び歳出)

第六条 業務勘定においては、法第五十条及び法第八十二条第二項の規定による一般会計からの繰入金、保障勘定からの繰入金及び附属雑収入をもつてその歳入とし、法の規定による自動車損害賠償責任再保険事業及び自動車損害賠償保障事業の業務の取扱に関する諸費をもつてその歳出とする。

 (歳入歳出予定計算書の作成及び送付)

第七条 運輸大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出予定計算書には、保険勘定及び保障勘定に係る次の書類を添附しなければならない。

 一 前前年度の貸借対照表及び損益計算書

 二 前年度及び当該年度の予定貸借対照表及び予定損益計算書

 (歳入歳出予算の区分)

第八条 この会計の歳入歳出予算は、歳入にあつては、その性質に従って款及び項に、歳出にあつては、その目的に従つて項に区分する。

 (予算の作成及び提出)

第九条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の予算には、第七条第一項に規定する歳入歳出予定計算書及び同条第二項の書類を添附しなければならない。

 (利益及び損失の処理)

第十条 保険勘定又は保障勘定において、毎会計年度の損益計算上利益を生じたときは、これを当該勘定の積立金に組み入れて整理するものとする。

2 保険勘定又は保障勘定において、毎会計年度の損益計算上損失を生じたときは、その損失については、当該勘定の積立金を減額して整理するものとする。ただし、その損失の額が当該勘定の積立金の額をこえるときはそのこえる額を、当該勘定の積立金がないときはその損失の額を、それぞれ当該勘定の損失の繰越として整理するものとする。

 (剰余金の繰入)

第十一条 各勘定において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余金を生じたときは、これを当該勘定の翌年度の歳入に繰り入れるものとする。

 (歳入歳出決定計算書の作成及び送付)

第十二条 運輸大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。

2 前項の歳入歳出決定計算書には、保険勘定及び保障勘定の当該年度の貸借対照表及び損益計算書を添附しなければならない。

 (歳入歳出決算の作成及び提出)

第十三条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。

2 前項の歳入歳出決算には、前条第一項に規定する歳入歳出決定計算書並びに同条第二項に規定する当該年度の貸借対照表及び損益計算書を添附しなければならない。

 (余裕金の預託)

第十四条 各勘定において、支払上現金に余裕があるときは、これを資金運用部に預託することができる。

 (借入金)

第十五条 保険勘定又は保障勘定に属する経費を支弁するため必要があるときは、当該勘定の負担において借入金をすることができる。

2 前項の規定により借入金をすることができる金額は、保険勘定においては、再保険料(第四条第二項の規定により保障勘定へ繰り入れるべき金額を除く。)及び法第四十六条の規定による納付金をもつて再保険金及び再保険料の払いもどし金を支弁するのに不足する金額を限度とし、保障勘定においては、賦課金、法第八十二条第一項の規定による他の会計からの繰入金及び保険勘定からの繰入金をもつて保障金及び業務勘定への繰入金を支弁するのに不足する金額を限度とする。

 (一時借入金)

第十六条 保険勘定又は保障勘定において、支払上現金に不足があるときは、当該勘定の負担において、一時借入金をすることができる。

2 前項の規定による一時借入金は、当該年度の歳入をもつて償還しなければならない。

 (借入金及び一時借入金の借入及び償還の事務)

第十七条 前二条の規定による借入金及び一時借入金の借入及び償還に関する事務は、大蔵大臣が行う。

 (国債整理基金特別会計への繰入)

第十八条 第十五条第一項の規定による借入金の償還金及び利子並びに第十六条第一項の規定による一時借入金の利子に相当する金額は、毎会計年度、国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。

 (支出未済額の繰越)

第十九条 この会計において、支払義務を生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、翌年度に繰り越して使用することができる。

2 運輸大臣は、前項の規定による繰越をしたときは、大蔵大臣及び会計検査院に通知しなければならない。

3 第一項の規定による繰越をしたときは、その経費については、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第一項の規定による予算の配賦があつたものとみなす。この場合において、同条第三項の規定による通知は、必要としない。

 (実施規定)

第二十条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計ヘの繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「木船再保険特別会計、」の下に「自動車損害賠償責任再保険特別会計、」を加える。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名) 

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