失業保険法の一部を改正する法律

法律第百三十二号(昭三〇・八・五)

 失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)の一部を次のように改正する。

 失業保険法目次及び題名を次のように改める。

   失業保険法

目次

 第一章 総則(第一条―第五条)

 第二章 被保険者(第六条―第十四条)

 第三章 保険給付(第十五条―第二十七条)

 第三章の二 福祉施設(第二十七条の二)

 第四章 費用の負担(第二十八条―第三十八条)

 第五章 日雇労働被保険者に関する特例(第三十八条の二―第三十八条の十五)

 第六章 諮問機関(第三十九条)

 第七章 審査の請求、訴願及び訴訟(第四十条―第四十六条)

 第八章 雑則(第四十七条―第五十二条)

 第九章 罰則(第五十三条―第五十五条)

 附則

 第六条第一項第一号中ニ及びホを削り、同項第二号中「前号イからホまでに掲げる事業」を「前号イからハまでに掲げる事業」に改め、同条第二項を削る。

 第八条第一項中「第六条第一項」を「第六条各号」に改める。

 第九条中「第六条第一項」を「第六条各号」に、「同条同項」を「同条各号」に改める。

 第十条中「第六条第一項」を「第六条」に改め、同条但書中「第二号中季節的業務に雇用される者」を「第二号に該当する者」に改め、同条第二号中「季節的に雇用される者」を「季節的に四箇月以内の期間を定めて雇用される者」に改める。

 第十一条中「第六条第一項」を「第六条」に改める。

 第十三条の次に次の三条を加える。

 (被保険者資格得喪の確認)

第十三条の二 被保険者の資格の取得及び喪失は、労働大臣の確認によつて、その効力を生ずる。

  前項の確認は、次条の規定による届出若しくは第十三条の四の規定による請求により、又は職権で行うものとする。

 (被保険者資格得喪の届出)

第十三条の三 第六条各号の事業主又は第八条第一項若しくは第十三条第一項の認可を受けた事業主は、命令の定めるところにより、その雇用する労働者についての被保険者の資格の取得又は喪失に関する事項を労働大臣に届け出なければならない。

 (確認の請求)

第十三条の四 第六条各号の事業主又は第八条第一項の認可を受けた事業主に雇用され、又は雇用されていた者は、被保険者の資格の取得又は喪失について、いつでも、第十三条の二第一項の規定による確認を請求することができる。

 第十四条を次のように改める。

 (被保険者期間)

第十四条 被保険者期間は、月を以て計算し、各月において賃金の支払の基礎となつた日数が十一日以上であるときは、その月は、一月として計算し、その日数が十一日未満であるときは、その月は、被保険者期間に算入しない。

  第十三条の二の規定による被保険者の資格の取得の確認があつた場合において、確認に係る被保険者の資格の取得の日が、確認があつた日の二年前の日より前であるときは、確認があつた日の二年前の日より前の期間は、その者の被保険者期間に算入しない。

 第十五条第一項を次のように改める。

  被保険者が、失業した場合において、離職の日以前一年間(離職の日以前一年間に疾病又は負傷のために引き続き百八十日以上賃金の支払を受けることができなかつた被保険者については、その一年間において賃金の支払を受けることができなかつた日数を一年に加算した期間)に、被保険者期間が通算して六箇月以上であつたときは、保険給付として、失業保険金を支給する。

 第十八条第二項中「その離職の日」を「その離職の日の翌日」に改める。

 第二十条の次に次の一条を加える。

第二十条の二 離職の日まで引き続き五年以上同一事業主に被保険者として雇用された者には、前条第一項の規定にかかわらず、第十八条に規定する一年の期間(以下この条において受給期間という。)内において、通算して百八十日分を超えて失業保険金を支給することができる。但し、離職の日まで引き続き十年以上同一事業主に被保険者として雇用された者については二百七十日分、離職の日まで引き続き五年以上十年未満同一事業主に被保険者として雇用された者については二百十日分を超えては支給しない。

  離職の日まで引き続き同一事業主に被保険者として雇用された期間が一年未満であつて、離職の日以前一年間に被保険者期間が通算して九箇月以下である者には、前条第一項の規定にかかわらず、受給期間内において、通算して九十日分を超えては失業保険金を支給しない。

  受給資格者が、受給期間内に再び就職し、あらたに第十五条第一項の規定により受給資格を得て離職した場合において、前の受給資格に基く所定給付日数,(第二十条第一項及び前二項の規定により受給期間内に受給資格者に失業保険金を支給することができる日数をいう。以下この項において同じ。)からその資格に基き既に失業保険金の支給を受けた日数を差し引いた日数(その日数が、再離職の日の翌日から前の受給資格に係る受給期間が満了する日までの日数を超えるときは、再離職の日の翌日から前の受給資格に係る受給期間が満了する日までの日数)があらたな受給資格に基く所定給付日数を超えるときは、その超える日数をあらたな受給資格に基く所定給付日数に加えた日数を、その者に失業保険金を支給することができる日数とする。

  第十三条の二の規定による被保険者の資格の取得の確認があつた場合において、確認に係る被保険者の資格の取得の日が、確認があつた日の二年前の日より前であるときは、確認があつた日の二年前の日より前の期間は、第一項の被保険者として雇用された期間に算入しない。

 第二十三条を次のように改める。

第二十三条 詐欺その他不正の行為によつて失業保険金の支給を受け、又は受けようとした者には、その失業保険金の支給を受け、又は受けようとした日以後失業保険金を支給しない。但し、やむを得ない事由があると認められる場合には、その者に失業保険金の全部又は一部を支給することができる。

  前項の者が同項の日以後あらたに第十五条第一項に該当するに至つた場合には、前項の規定にかかわらず、あらたな受給資格に基いて失業保険金を支給する。

 第二十三条の次に次の一条を加える。

第二十三条の二 詐欺その他不正の行為によつて失業保険金の支給を受けた者がある場合には、政府は、その支給を受けた者に対して、支給した失業保険金の全部又は一部の返還をすべきことを命ずることができ、また、その失業保険金の支給が、その者を雇用し、又は雇用していた事業主の虚偽の届出、報告又は証明によるものであるときは、その事業主に対して、支給を受けた者と連帯して失業保険金の全部又は一部の返還をすべきことを命ずることができる。

  第三十五条の規定は、前項の規定により返還を命ぜられた金額の納付を怠つた場合に準用する。

 第二十七条第三項を次のように改める。

  第二十三条及び第二十三条の二の規定は、第一項の規定による移転に要する費用の支給について準用する。

 第三章の次に次の一章を加える。

   第三章の二 福祉施設

第二十七条の二 政府は、失業の予防、就職の促進その他被保険者及び被保険者であつた者の福祉の増進を図るため必要な施設を行うことができる。

  前項の施設は、被保険者及び被保険者であつた者の利用に支障がなく、かつ、その利益を害さない場合に限り、これらの者以外の者に利用させることができる。

 第三十四条第一項を次のように改める。

  事業主は、毎月の保険料を、その月において被保険者に支払つた賃金の総額、納付すべき保険料額その他必要な事項を記載した申告書に添えて、翌月末日までに、政府に納付しなければならない。

 第三十四条の二第二項を次のように改める。

  第十三条の二の規定による被保険者の資格の取得の確認があつた場合において、確認に係る被保険者の資格の取得の日が、確認があつた日の属する月の前前月以前の日に属する日であるときは、政府は、当該被保険者に係る保険料額を決定する。但し、確認があつた日の二年前の日より前の期間については、保険料額を決定しない。

 第三十四条の三第一項中「納付されるべき保険料」の下に「若しくは未納の保険料」を加え、「順次」を削る。

 第三十四条の四第一項を次のように改める。

  事業主が納付した保険料額がその納付すべき保険料額に満たない場合若しくは納付すべき期限を経過した日から起算して十四日以内に保険料を納付しない場合又は第三十四条の二第二項の規定により政府が保険料額を決定した場合は、政府は、命令の定めるところにより、追徴金を徴収する。但し、災害その他事業主の責に帰することができない事由があるときは、この限りでない。

 第三十四条の四の次に次の一条を加える。

 (繰上徴収)

第三十四条の五 事業主が左の各号の一に該当するときは、政府は、納期限前においても、保険料を徴収することができる。

 一 国税、地方税その他の公課の滞納により滞納処分を受けるとき。

 二 強制執行を受けるとき。

 三 破産の宣告を受けたとき。

 四 競売の開始があつたとき。

 五 事業主が法人である場合において、その法人が解散したとき。

 六 被保険者が使用される事業所を廃止したとき。

 第三十六条第一項ただし書及び同条第三項中「百円」を「千円」に改め、同条第四項中「一円」を「十円」に改め、同条第五項第五号の次に次の一号を加える。

 六 納期を繰り上げて徴収するとき。

 第三十七条中「市町村その他これに準ずるものの徴収金」を「国税及び地方税」に改める。

 第三十八条の五第一項中「第六条第二項、第九条」を「第九条」に、「第十三条から第二十条まで」を「第十三条から第二十条の二まで」に、「第二十三条第一項」を「第二十三条、第二十三条の二第二項」に、「第三十四条から第三十四条の四まで」を「第三十四条から第三十四条の五まで」に改める。

 第三十八条の十第三項中「第二十三条第二項」を「第二十三条第一項但書」に改める。

 第四十条第一項中「失業保険金の支給に関する処分」を「被保険者の資格の得喪の確認若しくは失業保険金の支給に関する処分又は第二十三条の二第一項の規定による処分」に改める。

 第四十一条第二項中「失業保険金の支給に関する処分」を「被保険者の資格の得喪の確認若しくは失業保険金の支給に関する処分若しくは第二十三条の二第一項の規定による処分」に、「受給資格者を雇用した事業主」を「これらの者を雇用し、若しくは雇用していた事業主」に改める。

 第四十七条第一項を次のように改める。

  保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利、失業保険金の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び第二十七条の規定による移転に要する費用の支給を受け、又はその返還を受ける権利は、二年を経過したときは、時効によつて消滅する。

 第四十九条第一項中「被保険者を雇用する事業主」を「被保険者を雇用し、又は雇用していた事業主」に改める。

 第五十三条第一号中「第六条第二項」を「第十三条の三」に改め、同号を同条第二号とし、同条第二号を同条第一号とする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和三十年九月一日から施行する。

 (被保険者資格に関する経過措置)

2 この法律の施行前改正前の失業保険法(以下「旧法」という。)第六条第一項の事業主又は第八条第一項の認可を受けた事業主は、この法律の施行の際現に雇用している者であつて被保険者であるものについて、その被保険者の資格の取得に関する事項を、この法律の施行の日から二十日以内に、行政庁に届け出なければならない。

3 この法律の施行前旧法第六条第一項の事業主であつて同条第二項の届出をしなかつたものが、この法律の施行の際現に雇用している者であつて被保険者であるものについて、前項の届出をしなかつた場合には、その者がこの法律の施行前にその事業主に雇用されていた期間は、失業保険金の支給及び保険料の徴収については、被保険者でなかつたものとみなす。ただし、その事業主が前項の期間内に同項の届出をしなかつた場合において、その期間経過後二十日以内に、その事業主に雇用されていた者が被保険者の資格の取得に関する事項について届出をしたときは、この限りでない。

4 この法律の施行前旧法第六条第一項の事業主であつて同条第二項の届出をしなかつたものにこの法律の施行前に雇用されていた者であつて被保険者であつたもの(この法律の施行の際現にその事業主に雇用されている者を除く。)が、被保険者の資格の得喪に関する事項を、この法律の施行の日から二十日以内に行政庁に届け出ない場合には、その者がその事業主に雇用されていた期間は、失業保険金の支給及び保険料の徴収については、被保険者でなかつたものとみなす。

 (給付日数に関する経過措置)

5 この法律の施行前に離職した者であつてその離職の日以前一年間に通算して六箇月以上被保険者であつたものの当該受給資格に係る失業保険金の給付日数については、なお従前の例による。

6 この法律の施行の際現に被保険者であつてその被保険者期問がこの法律の施行の日以前一年間に通算して六筒月以上であるものがこの法律の施行後離職した場合において、離職の日まで引き続き同一事業主に被保険者として雇用された期間が一年未満であつて、離職の日以前一年間に通算して被保険者期間が六筒月以上九箇月以下であるときは、その者に支給する失業保険金の給付日数については、なお従前の例による。

 (給付の制限に関する経過措置)

7 この法律の施行前の詐欺その他不正の行為による支給に係る失業保険金の返還については、改正後の失業保険法(以下「新法」という。)第二十三条の二の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (移転に要する費用の支給に関する経過措置)

8 この法律の施行前の詐欺その他不正の行為による支給に係る旧法第二十七条第一項の移転に要する費用の返還については、新法第二十七条第三項において準用する新法第二十三条の二の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (保険料の徴収に関する経過措置)

9 この法律の施行前の期間に係る保険料の徴収については、新法第三十四条の二第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (追徴金に関する経過措置)

10 この法律の施行前に旧法第三十四条第一項の規定による納付すべき期限の到来した保険料又は旧法第三十四条の二第二項の規定により決定された保険料に係る追徴金については、なお従前の例による。

 (延滞金に関する経過措置)

11 新法第三十六条の規定は、この法律の施行後に徴収する延滞金について適用する。ただし、この法律の施行前の期間に対応する部分については、なお従前の例による。

 (時効に関する経過措置)

12 この法律の施行前に旧法第三十四条第一項の規定による納付すべき期限の到来した保険料に係る追徴金若しくは延滞金を徴収し、又はその還付を受ける権利及びこの法律の施行前に支給した失業保険金若しくは旧法第二十七条の規定による移転に要する費用の返還を受ける権利については、新法第四十七条の規定は、適用しない。

 (従前の行為に対する罰則の適用)

13 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (労働省設置法の一部改正)

14 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。

  第十三条第一項の表目的の欄中「失業保険金の支給」の下に「その他失業保険」を加える。

(労働・内閣総理大臣署名) 

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