厚生年金保険法
法律第百十五号(昭二九・五・一九)
厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)の全部を改正する。
目次
第一章 総則(第一条―第五条)
第二章 被保険者
第一節 資格(第六条―第十八条)
第二節 被保険者期間(第十九条)
第三節 標準報酬(第二十条―第二十六条)
第四節 届出、記録等(第二十七条―第三十一条)
第三章 保険給付
第一節 通則(第三十二条―第四十一条)
第二節 老齢年金(第四十二条―第四十六条)
第三節 障害年金及び障害手当金(第四十七条―第五十七条)
第四節 遺族年金(第五十八条―第六十八条)
第五節 脱退手当金(第六十九条―第七十二条)
第六節 保険給付の制限(第七十三条―第七十八条)
第四章 福祉施設(第七十九条)
第五章 費用の負担(第八十条―第八十九条)
第六章 審査の請求(第九十条・第九十一条)
第七章 雑則(第九十二条―第百一条)
第八章 罰則(第百二条―第百五条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、労働者の老齢、廃疾、死亡又は脱退について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
(管掌)
第二条 厚生年金保険は、政府が、管掌する。
(用語の定義)
第三条 この法律において、左の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 第一種被保険者 男子である被保険者であつて、第三種被保険者及び第四種被保険者以外のものをいう。
二 第二種被保険者 女子である被保険者であつて、第四種被保険者以外のものをいう。
三 第三種被保険者 鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)第四条に規定する事業の事業場に使用され、且つ、常時坑内作業に従事する被保険者であつて、第四種被保険者以外のものをいう。
四 第四種被保険者 第十五条第一項の規定によつて被保険者となつた者をいう。
五 報酬 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。但し、臨時に受けるもの及び三箇月をこえる期間ごとに受けるものは、この限りでない。
2 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
(権限の委任)
第四条 この法律に規定する厚生大臣の権限の一部は、政令の定めるところにより、都道府県知事に委任することができる。
(諮問)
第五条 厚生大臣は、厚生年金保険事業の運営に関しては、その大綱につき、あらかじめ、社会保険審議会に諮問するものとする。
第二章 被保険者
第一節 資格
(適用事業所)
第六条 左の各号の一に該当する事業所又は事務所(以下単に「事業所」という。)を適用事業所とする。
一 左に掲げる事業の事業所又は事務所であつて、常時五人以上の従業員を使用するもの
イ 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
ロ 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
ハ 鉱物の採掘又は採取の事業
ニ 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
ホ 貨物又は旅客の運送の事業
ヘ 貨物積みおろしの事業
ト 焼却、清掃又はと殺の事業
チ 物の販売又は配給の事業
リ 金融又は保険の事業
ヌ 物の保管又は賃貸の事業
ル 媒介周旋の事業
ヲ 集金、案内又は広告の事業
ワ 教育、研究又は調査の事業
カ 疾病の治療、助産その他医療の事業
ヨ 通信又は報道の事業
タ 社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める社会福祉事業及び更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)に定める更生保護事業
二 前号に掲げるもののほか、国、地方公共団体又は法人の事務所であつて、常時五人以上の従業員を使用するもの
2 前項の事業所以外の事業所の事業主は、都道府県知事の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。
3 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(第十二条に規定する者を除く。)の二分の一以上の同意を得て、都道府県知事に申請しなければならない。
第七条 前条第一項第一号又は第二号の適用事業所が、それぞれ当該各号に該当しなくなつたときは、その事業所について同条第二項の認可があつたものとみなす。
第八条 第六条第二項の適用事業所の事業主は、都道府県知事の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。
2 前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(第十二条に規定する者を除く。)の四分の三以上の同意を得て、都道府県知事に申請しなければならない。
(被保険者)
第九条 適用事業所に使用される者は、厚生年金保険の被保険者とする。
第十条 適用事業所以外の事業所に使用される者は、都道府県知事の認可を受けて、厚生年金保険の被保険者となることができる。
2 前項の認可を受けるには、その事業所の事業主の同意を得なければならない。
第十一条 前条の規定による被保険者は、都道府県知事の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができる。
(適用除外)
第十二条 左の各号の一に該当する者は、第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。
一 国、地方公共団体又は法人に使用される者であつて、左に掲げるもの
イ 恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員及び同条に規定する公務員とみなされる者
ロ 法律によつて組織された共済組合の組合員
ハ 地方公共団体の吏員
ニ 地方公共団体の事務所に使用される者
ホ 地方公共団体が行う第六条第一項第一号チからタまでに掲げる事業の事業所に使用される者
二 船員保険の被保険者
三 臨時に使用される者であつて、左に掲げるもの。但し、イに掲げる者にあつては一箇月をこえ、ロに掲げる者にあつては所定の期間をこえ、引き続き使用されるに至つた場合を除く。
イ 日日雇い入れられる者
ロ 二箇月以内の期間を定めて使用される者
四 所在地が一定しない事業所に使用される者
五 季節的業務に使用される者。但し、継続して四箇月をこえて使用されるべき場合は、この限りでない。
六 臨時的事業の事業所に使用される者。但し、継続して六箇月をこえて使用されるべき場合は、この限りでない。
(資格取得の時期)
第十三条 第九条の規定による被保険者は、適用事業所に使用されるに至つた日若しくはその使用される事業所が適用事業所となつた日又は前条の規定に該当しなくなつた日に、被保険者の資格を取得する。
2 第十条第一項の規定による被保険者は、同条同項の認可があつた日に、被保険者の資格を取得する。
(資格喪失の時期)
第十四条 第九条又は第十条第一項の規定による被保険者は、左の各号の一に該当するに至つた日の翌日(その事実があつた日にさらに前条に該当するに至つたときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 その事業所に使用されなくなつたとき。
三 第八条第一項又は第十一条の認可があつたとき。
四 第十二条の規定に該当するに至つたとき。
(第四種被保険者)
第十五条 被保険者期間が十年以上である者が、被保険者でなくなつた場合において、老齢年金を受けるに必要な被保険者期間を満たしていないときは、その者は、都道府県知事に申し出て、被保険者となることができる。
2 前項の申出は、被保険者の資格を喪失した日から起算して三箇月以内にしなければならない。但し、都道府県知事は、正当な事由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であつても、受理することができる。
3 第一項の申出をした者は、その申出が受理されたときは、最後に被保険者の資格を喪失した日にさかのぼつて、被保険者の資格を取得するものとする。
4 前項の者が、はじめて納付すべき保険料を滞納し、第八十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないときは、第一項の規定による被保険者とならなかつたものとみなす。
第十六条 第四種被保険者は、いつでも、都道府県知事に申し出て、被保険者の資格を喪失することができる。
第十七条 第四種被保険者は、左の各号の一に該当するに至つた日の翌日(第三号に該当するに至つたときは、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 第四十二条第一項各号のいずれかに規定する被保険者期間を満たしたとき。
三 第九条又は第十条第一項の規定による被保険者となつたとき。
四 前条の申出が受理されたとき。
五 保険料(はじめて納付すべき保険料を除く。)を滞納し、第八十六条第一項の規定による指定の期限までに、その保険料を納付しないとき。
(資格の得喪及び種別の変更の確認)
第十八条 被保険者の資格の取得及び喪失並びに被保険者の種別の変更は、都道府県知事の確認によつて、その効力を生ずる。但し、第十条第一項の規定による被保険者の資格の取得、第十四条第三号に該当したことによる被保険者の資格の喪失並びに第四種被保険者の資格の取得及び喪失は、この限りでない。
2 前項の確認は、第二十七条の規定による届出若しくは第三十一条第一項の規定による請求により、又は職権で行うものとする。
第二節 被保険者期間
第十九条 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。
2 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。但し、その月にさらに被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。
3 第三種被保険者であつた期間につき被保険者期間を計算する場合には、前二項の規定にかかわらず、これらの規定によつて計算した期間に三分の四を乗じて得た期間をもつて被保険者期間とする。
4 前項の規定の適用については、被保険者の種別に変更があつた月は、変更後の種別の被保険者であつた月とみなす。同一の月において、二回以上にわたり被保険者の種別に変更があつたときは、その月は、最後の種別の被保険者であつた月とみなす。
5 被保険者の資格を喪失した後、さらにその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。
第三節 標準報酬
(標準報酬)
第二十条 標準報酬は、被保険者の報酬月額に基き、左の区別によつて定める。
標準報酬等級 |
標準報酬月額 |
報酬月額 |
|
第一級 |
三、〇〇〇円 |
三、五〇〇円未満 |
|
第二級 |
四、〇〇〇円 |
三、五〇〇円以上 |
四、五〇〇円未満 |
第三級 |
五、〇〇〇円 |
四、五〇〇円以上 |
五、五〇〇円未満 |
第四級 |
六、〇〇〇円 |
五、五〇〇円以上 |
六、五〇〇円未満 |
第五級 |
七、〇〇〇円 |
六、五〇〇円以上 |
七、五〇〇円未満 |
第六級 |
八、〇〇〇円 |
七、五〇〇円以上 |
八、五〇〇円未満 |
第七級 |
九、〇〇〇円 |
八、五〇〇円以上 |
九、五〇〇円未満 |
第八級 |
一〇、〇〇〇円 |
九、五〇〇円以上 |
一一、〇〇〇円未満 |
第九級 |
一二、〇〇〇円 |
一一、〇〇〇円以上 |
一三、〇〇〇円未満 |
第一〇級 |
一四、〇〇〇円 |
一三、〇〇〇円以上 |
一五、〇〇〇円未満 |
第一一級 |
一六、〇〇〇円 |
一五、〇〇〇円以上 |
一七、〇〇〇円未満 |
第一二級 |
一八、〇〇〇円 |
一七、〇〇〇円以上 |
(定時決定)
第二十一条 都道府県知事は、被保険者が毎年八月一日現に使用される事業所において同日前三箇月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、且つ、報酬支払の基礎となつた日数が二十日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬を決定する。
2 前項の規定によつて決定された標準報酬は、その年の十月から翌年の九月までの各月の標準報酬とする。
3 第一項の規定は、七月一日から八月一日までの間に被保険者の資格を取得した者及び第二十三条の規定により八月から十月までのいずれかの月から標準報酬を改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り適用しない。
(被保険者の資格を取得した際の決定)
第二十二条 都道府県知事は、被保険者の資格を取得した者があるときは、左の各号に規定する額を報酬月額として、標準報酬を決定する。
一 月、週その他一定期間によつて報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額
二 日、時間、出来高又は請負によつて報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前一箇月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、且つ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額
三 前二号の規定によつて算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前一箇月間に、その地方で、同様の業務に従事し、且つ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額
四 前各号の二以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、前各号の規定によつて算定した額の合算額
2 前項の規定によつて決定された標準報酬は、被保険者の資格を取得した月からその年の九月(七月一日から十二月三十一日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の九月)までの各月の標準報酬とする。
(改定)
第二十三条 都道府県知事は、前二条の規定によつて標準報酬が決定された被保険者について、現に使用される事業所において継続した三箇月間(各月とも、報酬支払の基礎となつた日数が、二十日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を三で除して得た額が、その者の標準報酬の基礎となつた報酬月額にくらべて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬を改定することができる。
2 前項の規定によつて改定された標準報酬は、その年の九月(八月から十二月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の九月)までの各月の標準報酬とする。
(報酬月額の算定の特例)
第二十四条 被保険者の報酬月額が、第二十一条第一項若しくは第二十二条第一項の規定によつて算定することが困難であるとき、又は第二十一条第一項、第二十二条第一項若しくは前条第一項の規定によつて算定した額が著しく不当であるときは、これらの規定にかかわらず、都道府県知事が算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。
2 同時に二以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、第二十一条第一項、第二十二条第一項若しくは前条第一項又は前項の規定によつて算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。
(現物給与の価額)
第二十五条 報酬の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額は、その地方の時価によつて、都道府県知事が定める。
(第四種被保険者の標準報酬)
第二十六条 第四種被保険者の各月の標準報酬は、第二十一条から第二十四条までの規定にかかわらず、その被保険者の資格を取得する前の最後の標準報酬によるものとする。
第四節 届出、記録等
(届出)
第二十七条 適用事業所の事業主又は第十条第二項の同意をした事業主(以下単に「事業主」という。)は、厚生省令の定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失、被保険者の種別の変更並びに報酬月額に関する事項を都道府県知事に届け出なければならない。
(記録)
第二十八条 都道府県知事は、被保険者に関する原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬その他厚生省令で定める事項を記録しなければならない。
(通知)
第二十九条 都道府県知事は、第八条第一項、第十条第一項若しくは第十一条の規定による認可、第十八条第一項の規定による確認又は標準報酬の決定若しくは改定を行つたときは、前条の規定による記録をした後、その旨を当該事業主に通知しなければならない。
2 事業主は、前項の通知があつたときは、すみやかに、これを被保険者又は被保険者であつた者に通知しなければならない。
3 被保険者が被保険者の資格を喪失した場合において、その者の所在が明らかでないため前項の通知をすることができないときは、事業主は、都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
4 都道府県知事は、前項の届出があつたときは、所在が明らかでない者について記録した事項を公布しなければならない。
5 都道府県知事は、事業所が廃止された場合その他やむを得ない事情のため第一項の通知をすることができない場合においては、同項の通知に代えて、その通知すべき事項を公告しなければならない。
第三十条 都道府県知事は、第二十七条の規定による届出があつた場合において、その届出に係る事実がないと認めるときは、その旨をその届出をした事業主に通知しなければならない。
2 前条第二項から第五項までの規定は、前項の通知について準用する。
(確認の請求)
第三十一条 被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、第十八条第一項の規定による確認を請求することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による請求があつた場合において、その請求に係る事実がないと認めるときは、その請求を却下しなければならない。
第三章 保険給付
第一節 通則
(保険給付の種類)
第三十二条 この法律による保険給付は、左のとおりとする。
一 老齢年金
二 障害年金及び障害手当金
三 遺族年金
四 脱退手当金
(裁定)
第三十三条 保険給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という。)の請求に基いて、厚生大臣が裁定する。
(基本年金額及び加給年金額)
第三十四条 基本年金額は、二万四千円に、被保険者であつた全期間の平均標準報酬月額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額を平均した額をいう。以下同じ。)の千分の五に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額を加算した額とする。
2 被保険者期間の月数が二百四十に満たないときは、前項の規定中「被保険者期間の月数」とあるのは、「二百四十」と読み替えるものとする。
3 被保険者であつた期間の一部が第三種被保険者であつた期間であるときは、基本年金額は、第一項の規定にかかわらず、二万四千円に、第三種被保険者であつた期間の平均標準酬報月額の千分の五に相当する額に第三種被保険者としての被保険者期間の月数を乗じて得た額と、第三種被保険者以外の被保険者であつた期間の平均標準報酬月額の千分の五に相当する額に第三種被保険者以外の被保険者としての被保険者期間の月数を乗じて得た額との合算額を加算した額とする。但し、前項の規定が適用される場合は、この限りでない。
4 加給年金額は、その計算の基礎となる配偶者又は子一人について、四千八百円とする。
(端数処理)
第三十五条 保険給付を受ける権利を裁定する場合において、保険給付の額に五十銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数が生じたときは、これを一円に切り上げるものとする。
(年金の支給期間及び支払期月)
第三十六条 年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終るものとする。
2 年金は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた月の翌月からその事由が消滅した月までの間は、支給しない。
3 年金は、毎年二月、五月、八月及び十一月の四期に、それぞれその前月分までを支払う。但し、前支払期月に支払うべきであつた年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、支払期月でない月であつても、支払うものとする。
(未支給年金)
第三十七条 年金たる保険給付の受給権者が死亡した場合において、その者に支給すべき年金であつて、まだその者に支給しなかつたものがあり、且つ、その未支給の年金が加給年金額の加算されたものであるときは、その加給年金額の計算の基礎となつた者は、自己の名で、その年金の支給を請求することができる。
2 前項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときは、その年金の加給年金額の計算の基礎となる者は、自己の名で、その年金を請求することができる。
(併給の調整)
第三十八条 老齢年金及び障害年金の受給権者には、左の区別によつて、その一を支給し、他の支給を停止する。但し、第四十六条又は第五十四条の規定によつて、老齢年金又は障害年金の支給を停止されている者については、この限りでない。
一 年金の額が異なるときは、高額の年金
二 年金の額が同じであるときは、障害年金
(年金の支払の調整)
第三十九条 乙年金の受給権者が甲年金の受給権を取得したため乙年金の受給権が消滅し、又は同一人に対して乙年金の支給を停止して甲年金を支給すべき場合において、乙年金の受給権が消滅し、又は乙年金の支給を停止すべき事由が生じた月の翌月以後の分として、乙年金の支払が行われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。
(損害賠償請求権)
第四十条 政府は、事故が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2 前項の場合において、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、保険給付をしないことができる。
(受給権の保護及び公課の禁止)
第四十一条 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
2 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。但し、老齢年金については、この限りでない。
第二節 老齢年金
(受給権者)
第四十二条 老齢年金は、被保険者又は被保険者であつた者が左の各号の一に該当する場合に、その者に支給する。
一 被保険者期間が二十年以上である者が、六十歳(第三種被保険者としての被保険者期間が二十年以上である者及び女子については、五十五歳。この条において以下同じ。)に達した後に被保険者の資格を喪失したとき、又は被保険者の資格を喪失した後に被保険者となることなくして六十歳に達したとき。
二 四十歳(女子については、三十五歳。)に達した後の被保険者期間が十五年以上(そのうち、七年六箇月以上は、第四種被保険者以外の被保険者としての被保険者期間でなければならない。)である者が、六十歳に達した後に被保険者の資格を喪失したとき、又は被保険者の資格を喪失した後に被保険者となることなくして六十歳に達したとき。
三 三十五歳に達した後の第三種被保険者としての被保険者期間が十五年以上である者が、五十五歳に達した後に被保険者の資格を喪失したとき、又は被保険者の資格を喪失した後に被保険者となることなくして五十五歳に達したとき。
2 前項各号のいずれかに規定する被保険者期間を満たしている者が、被保険者の資格を喪失した後に疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につきはじめて医師又は歯科医師の診療を受けた日から起算して三年を経過した日(その期間内にその傷病がなおつた場合においては、そのなおつた日)において、その傷病により別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にあるときは、それぞれ当該各号に規定する年齢に達する以前においても、同項の老齢年金を支給する。
(年金額)
第四十三条 老齢年金の額は、基本年金額に加給年金額を加算した額とする。
2 第三十四条第二項の規定は、前項の基本年金額については、適用しない。
第四十四条 前条第一項の加給年金額は、受給権者がその権利を取得した当時その者によつて生計を維持していたその者の配偶者、十八歳未満の子又は別表第一に定める一級若しくは二級の廃疾の状態にある子について計算する。
2 受給権者がその権利を取得した当時胎児であつた子が出生したときは、前項の規定の適用については、その子は、受給権者がその権利を取得した当時その者によつて生計を維持していた子とみなし、その出生の月の翌月から、年金の額を改定する。
3 第一項に規定する配偶者又は子が左の各号の一に該当するに至つたときは、その者については、同項の規定にかかわらず、加給年金額を計算しないものとし、左の各号の一に該当するに至つた月の翌月から、年金の額を改定する。
一 死亡したとき。
二 受給権者による生計維持の状態がやんだとき。
三 配偶者が、離婚をしたとき。
四 子が、養子縁組によつて受給権者の配偶者以外の者の養子となつたとき。
五 養子縁組による子が、離縁をしたとき。
六 子(受給権者がその権利を取得した当時から引き続き別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にある子を除く。)が、十八歳に達したとき。
七 別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にある子(十八歳未満の子を除く。)について、その事情がやんだとき。
(失権)
第四十五条 老齢年金の受給権は、受給権者が死亡したとき、又は被保険者の資格を取得したときは、消滅する。
(支給停止)
第四十六条 第四十二条第二項の規定によつて同条第一項各号に規定する年齢に達していない者に支給する老齢年金は、受給権者がそれぞれその年齢に達するまでの間において、その者の廃疾の程度が別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態に該当しない期間があるときは、その期間、支給を停止する。
第三節 障害年金及び障害手当金
(障害年金の受給権者)
第四十七条 障害年金は、第四種被保険者以外の被保険者であつた間に疾病にかかり、又は負傷した者が、その傷病につきはじめて医師又は歯科医師の診療を受けた日から起算して三年を経過した日(その期間内にその傷病がなおつた場合においては、そのなおつた日)において、その傷病により別表第一に定める程度の廃疾の状態にある場合に、その廃疾の程度に応じて、その者に支給する。
2 前項の期間内に当該傷病につき健康保険の療養の給付(健康保険の療養費の支給を受ける診療を含む。以下同じ。)を受けた者については、同項の規定にかかわらず、はじめて健康保険の療養の給付を受けた日から起算して三年を経過した日(その期間内にその傷病がなおつた場合においては、そのなおつた日)において、その傷病により別表第一に定める程度の廃疾の状態にある場合に、同項の障害年金を支給する。
3 障害年金は、前二項の規定によつて廃疾の程度を定めるべき日の属する月前の被保険者期間が六箇月未満である者には、支給しない。
(障害年金の併給の調整)
第四十八条 障害年金の受給権者に対してさらに障害年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の廃疾を併合した廃疾の程度による障害年金を支給する。
2 障害年金の受給権者が前項の規定により前後の廃疾を併合した廃疾の程度による障害年金の受給権を取得したときは、従前の障害年金の受給権は、消滅する。
第四十九条 期間を定めて支給を停止されている障害年金の受給権者に対してさらに障害年金を支給すべき事由が生じたときは、前条第一項の規定により支給する前後の廃疾を併合した廃疾の程度による障害年金は、従前の障害年金の支給を停止すべきであつた期間、その支給を停止するものとし、その間、その者に従前の廃疾を併合しない廃疾の程度による障害年金を支給する。
2 障害年金の受給権者がさらに障害年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害年金が第五十四条の規定によりその支給を停止すべきものであるときは、前条第二項の規定にかかわらず、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害年金を支給する。
(障害年金の額)
第五十条 障害年金の額は、左の各号に掲げる額とする。
一 廃疾の程度が別表第一に定める一級に該当する場合の障害年金にあつては、基本年金額に一万二千円と加給年金額とを加算した額
二 廃疾の程度が別表第一に定める二級に該当する場合の障害年金にあつては、基本年金額に加給年金額を加算した額
三 廃疾の程度が別表第一に定める三級に該当する場合の障害年金にあつては、基本年金額の百分の七十に相当する額
2 第四十八条第一項の規定による障害年金の額は、その額が同条第二項の規定により消滅した障害年金の額より低額であるときは、前項の規定にかかわらず、従前の障害年金の額に相当する額とする。
第五十一条 前条第一項各号の基本年金額については、受給権者がその権利を取得した月以後における被保険者であつた期間は、その計算の基礎としない。
2 第四十四条の規定は、前条第一項第一号又は第二号の加給年金額について準用する。
第五十二条 厚生大臣は、障害年金の受給権者について、その廃疾の程度を診査し、その程度が従前の廃疾の等級以外の等級に該当すると認めるときは、その程度に応じて、障害年金の額を改定することができる。
2 障害年金の受給権者は、厚生大臣に対し、廃疾の程度が増進したことによる障害年金の額の改定を請求することができる。
3 前項の請求は、障害年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による厚生大臣の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。
4 第一項の規定により障害年金の額が改定されたときは、改定後の額による障害年金の支給は、改定が行われた月の翌月から始めるものとする。
(失権)
第五十三条 障害年金の受給権は、第四十八条第二項の規定によつて消滅するほか、受給権者が死亡したとき、又は別表第一に定める程度の廃疾の状態に該当しなくなつたときは、消滅する。
(支給停止)
第五十四条 障害年金は、その受給権者が当該傷病について国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第十三条(他の法律において準用する場合を含む。以下同じ。)若しくは労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十七条の規定による障害補償又は労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第十二条第一項第三号の規定による障害補償費の支給を受けたときは、六年間、その支給を停止する。
(障害手当金の受給権者)
第五十五条 障害手当金は、第四種被保険者以外の被保険者であつた間に疾病にかかり、又は負傷した者が、その傷病につきはじめて医師又は歯科医師の診療を受けた日から起算して三年を経過する日までの間にその傷病がなおつた場合において、そのなおつた日において、その傷病により別表第二に定める程度の廃疾の状態にある場合に、その者に支給する。
2 第四十七条第二項及び第三項の規定は、障害手当金について準用する。この場合において、同条第二項中「別表第一」とあるのは、「別表第二」と読み替えるものとする。
第五十六条 前条の規定により廃疾の程度を定めるべき日において左の各号の一に該当する者には、同条の規定にかかわらず、障害手当金を支給しない。
一 老齢年金の受給権者
二 障害年金の受給権者
三 当該傷病について国家公務員災害補償法第十三条若しくは労働基準法第七十七条の規定による障害補償又は労働者災害補償保険法第十二条第一項第三号の規定による障害補償費の支給を受けることができる者
(障害手当金の額)
第五十七条 傷害手当金の額は、基本年金額の百分の百四十に相当する額とする。
第四節 遺族年金
(受給権者)
第五十八条 遺族年金は、被保険者又は被保険者であつた者が左の各号の一に該当する場合に、その者の遺族に支給する。
一 第四十二条第一項各号のいずれかに規定する被保険者期間を満たしている者が、死亡したとき。
二 被保険者期間が六箇月以上である被保険者(第四種被保険者を除く。)が、死亡したとき。
三 被保険者期間が六箇月以上である者が、第四種被保険者以外の被保険者であつた間に発した疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病につきはじめて医師又は歯科医師の診療を受けた日から起算して三年を経過する日(その期間内に健康保険の療養の給付を受けた場合においては、はじめてその療養の給付を受けた日から起算して三年を経過する日)前に、その傷病により死亡したとき。
四 別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にある障害年金の受給権者が、死亡したとき。
(遺族)
第五十九条 遺族年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は「祖父母」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、且つ、左の要件に該当したものとする。
一 妻については、左のいずれかに該当すること。
イ 四十歳以上であること。
ロ 被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、且つ、第三号の要件に該当した子と生計を同じくすること。
ハ 別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にあること。
二 夫、父母又は祖父母については、六十歳以上であるか、又は別表第一に定める一級若しくは二級の廃疾の状態にあること。
三 子又は孫については、十八歳未満であるか、又は別表第一に定める一級若しくは二級の廃疾の状態にあること。
2 前項の規定にかかわらず、父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族年金を受けることができる遺族としない。
3 被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、第一項の規定の適用については、将来に向つて、その子は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持していた子とみなし、妻は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。
(年金額)
第六十条 妻又は子に支給する遺族年金の額は、基本年金額の百分の五十に相当する額に加給年金額を加算した額とし、その他の者に支給する遺族年金の額は、基本年金額の百分の五十に相当する額とする。
2 配偶者以外の者に遺族年金を支給する場合において、受給権者が二人以上であるときは、遺族年金の額は、前項の規定にかかわらず、同項の規定により算定した額を受給権者の数で除して得た額とする。
第六十一条 配偶者以外の者に遺族年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定する。
第六十二条 妻に支給する遺族年金の加給年金額は、妻がその権利を取得した当時その者と生計を同じくし、且つ、第五十九条第一項に規定する要件に該当した子について、計算する。
2 妻が遺族年金の受給権を取得した当時胎児であつた子が出生したときは、前項の規定の適用については、その子は、妻が遺族年金の受給権を取得した当時その者と生計を同じくし、且つ、第五十九条第一項に規定する要件に該当した子とみなし、その出生の月の翌月から、年金の額を改定する。
3 第一項に規定する子が左の各号の一に該当するに至つたときは、その子については、同項の規定にかかわらず、加給年金額を計算しないものとし、左の各号の一に該当するに至つた月の翌月から、年金の額を改定する。
一 妻と生計を異にするに至つたとき。
二 遺族年金の受給権を失つたとき。
4 子に支給する遺族年金の加給年金額は、受給権者である子のうち、一人を除いた子について、計算する。
(失権)
第六十三条 遺族年金の受給権は、受給権者が左の各号の一に該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしたとき。
三 直系姻族以外の者の養子(屈出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。)となつたとき。
四 離縁によつて、死亡した被保険者又は被保険者であつた者との親族関係が終了したとき。
2 妻の有する遺族年金の受給権は、左の各号の一に該当するに至つたときは、消滅する。
一 第五十九条第一項第一号ロに規定する子であつて引き続き妻と生計を同じくし、且つ、遺族年金の受給権を有するものがなくなつたとき。但し、妻が四十歳以上であるとき、及び妻が受給権を取得した時から引き続き別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にあるときを除く。
二 別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にある妻について、その事情がやんだとき。但し、妻が受給権を取得した当時四十歳以上であつたとき、及び第五十九条第一項第一号ロに規定する子であつて、引き続き妻と生計を同じくし、且つ、遺族年金の受給権を有するものがあるときを除く。
3 子又は孫の有する遺族年金の受給権は、左の各号の一に該当するに至つたときは、消滅する。
一 子又は孫が、十八歳に達したとき。但し、子又は孫が受給権を取得した時から引き続き別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にあるときを除く。
二 別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にある子又は孫について、その事情がやんだとき。但し、子又は孫が十八歳未満であるときを除く。
4 夫、父母又は祖父母の有する遺族年金の受給権は、別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にある夫、父母又は祖父母について、その事情がやんだときは、消滅する。但し、夫、父母又は祖父母が受給権を取得した当時六十歳以上であつたときを除く。
5 父母、孫又は祖父母の有する遺族年金の受給権は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、消滅する。
(支給停止)
第六十四条 遺族年金は、当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について国家公務員災害補償法第十五条(他の法律において準用する場合を含む。)若しくは労働基準法第七十九条の規定による遺族補償又は労働者災害補償保険法第十二条第一項第四号の規定による遺族補償費の支給が行われたときは、六年間、その支給を停止する。
第六十五条 妻に対する遺族年金は、妻が五十五歳に達するまでの期間、その支給を停止する。但し、第五十九条第一項第一号ロに規定する子であつて、引き続き妻と生計を同じくし、且つ、遺族年金の受給権を有するものがある間及び妻が別表第一に定める一級又は二級の廃疾の状態にある間は、この限りでない。
第六十六条 子に対する遺族年金は、配偶者が遺族年金の受給権を有する期間、その支給を停止する。但し、配偶者に対する遺族年金がその支給を停止されている間は、この限りでない。
第六十七条 配偶者に対する遺族年金は、その配偶者の所在が一年以上明らかでないときは、遺族年金の受給権を有する子の申請によつて、その所在が明らかでなくなつた時にさかのぼつて、その支給を停止する。
2 配偶者は、いつでも、前項の規定による支給の停止の解除を申請することができる。
第六十八条 配偶者以外の者に対する遺族年金の受給権者が二人以上である場合において、受給権者のうち一人以上の者の所在が一年以上明らかでないときは、その者に対する遺族年金は、他の受給権者の申請によつて、その所在が明らかでなくなつた時にさかのぼつて、その支給を停止する。
2 前項の規定によつて遺族年金の支給を停止された者は、いつでも、その支給の停止の解除を申請することができる。
3 第六十一条の規定は、第一項の規定により遺族年金の支給が停止され、又は前項の規定によりその停止が解除された場合に準用する。この場合において、同条中「増減を生じた月」とあるのは、「支給が停止され、又はその停止が解除された月」と読み替えるものとする。
第五節 脱退手当金
(受給権者)
第六十九条 脱退手当金は、第二種被保険者としての被保険者期間が二年以上である者が被保険者の資格を喪失した場合又は第一種被保険者若しくは第三種被保険者としての被保険者期間が五年以上である者が五十五歳に達した後に被保険者の資格を喪失し、若しくは被保険者の資格を喪失した後に被保険者となることなくして五十五歳に達した場合に、その者に支給する。但し、左の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
一 その者が、第四十二条第一項各号のいずれかに規定する被保険者期間を満たしているとき。
二 その者が、障害年金の受給権者であるとき。
三 その者がその被保険者であつた期間の全部又は一部を基礎として計算された障害年金又は障害手当金の支給を受けたことがある者である場合において、次条第一項の規定によつて計算した額が、すでに支給を受けた障害年金又は障害手当金の額に満たないとき。
(金額)
第七十条 脱退手当金の額は、第四種被保険者以外の被保険者であつた期間の平均標準報酬月額に別表第三に定める率を乗じて得た額とする。
2 脱退手当金の受給権者がその被保険者であつた期間の全部又は一部を基礎として計算された障害年金又は障害手当金の支給を受けたことがある者である場合においては、脱退手当金の額は、前項の規定にかかわらず、同項の規定によつて計算した額からすでに支給を受けたその障害年金又は障害手当金の額を控除した額とする。
(支給の効果)
第七十一条 脱退手当金の支給を受けたときは、支給を受けた者は、その額の計算の基礎となつた被保険者であつた期間は、被保険者でなかつたものとみなす。
(失権)
第七十二条 脱退手当金の受給権は、受給権者が被保険者となつたとき、又は障害年金の受給権を取得したときは、消滅する。
第六節 保険給付の制限
第七十三条 被保険者又は被保険者であつた者が、自己の故意の犯罪行為により、又は故意に、廃疾若しくは死亡又はこれらの直接の原因となつた事故を生ぜしめたときは、当該廃疾又は死亡に係る保険給付は、行わず、また、当該廃疾については、第四十二条第二項の規定は、適用しない。
第七十四条 被保険者又は被保険者であつた者が、重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、廃疾若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生ぜしめ、又はその廃疾の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
2 障害年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その廃疾の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、第五十二条第一項の規定による改定を行わず、又はその者の廃疾の程度が現に該当する等級以下の等級に該当するものとして、同条同項の規定による改定を行うことができる。
第七十五条 保険料を徴収する権利が時効によつて消滅したときは、当該保険料に係る被保険者であつた期間に基く保険給付は、行わない。但し、当該被保険者であつた期間に係る被保険者の資格の取得について第二十七条の規定による届出又は第三十一条第一項の規定による確認の請求があつた後に、保険料を徴収する権利が時効によつて消滅したものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定は、第三種被保険者について第一種被保険者としての保険料の徴収が行われた場合における第三種被保険者であつた期間に基く保険給付について、準用する。この場合において、同項但書中「被保険者の資格の取得」とあるのは、「被保険者の種別の変更」と読み替えるものとする。
第七十六条 遺族年金は、被保険者又は被保険者であつた者を故意に死亡させた者には、支給しない。被保険者又は被保険者であつた者の死亡前に、その者の死亡によつて遺族年金の受給権者となるべき者を故意に死亡させた者にも、同様とする。
2 遺族年金の受給権は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときは、消滅する。
第七十七条 年金たる保険給付は、左の各号の一に該当する場合には、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。
一 受給権者が、正当な理由がなくて第九十六条の規定による命令に従わなかつたとき。
二 別表第一に定める程度の廃疾の状態にあることにより、年金たる受給権を有し、又は加給年金額の計算の基礎となつている者が、正当な理由がなくて、第九十七条の規定による命令に従わず、又は同条の規定による診断を拒んだとき。
三 前号に規定する者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その廃疾の回復を妨げたとき。
第七十八条 受給権者が、正当な理由がなくて、第九十八条第三項の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、保険給付の支払を一時差し止めることができる。
第四章 福祉施設
第七十九条 政府は、被保険者、被保険者であつた者及び受給権者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。
第五章 費用の負担
(国庫負担)
第八十条 国庫は、左の区別によつて保険給付に要する費用の一部を負担する。
一 計算の基礎となつた被保険者期間の全部が第三種被保険者としての被保険者期間である保険給付については、保険給付に要する費用の百分の二十
二 計算の基礎となつた被保険者期間の全部が第三種被保険者以外の被保険者としての被保険者期間である保険給付については、保険給付に要する費用の百分の十五
三 計算の基礎となつた被保険者期間の一部が第三種被保険者としての被保険者期間である保険給付については、保険給付に要する費用の百分の十五のほか、第三種被保険者であつた期間の平均標準報酬月額に第三種被保険者としての被保険者期間の月数を乗じて得た額を、その額と第三種被保険者以外の被保険者であつた期間の平均標準報酬月額に第三種被保険者以外の被保険者としての被保険者期間の月数を乗じて得た額との合算額で除して得た数を、保険給付に要する費用に乗じて得た額の百分の五
2 国庫は、前項に規定する費用のほか、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務の執行に要する費用を負担する。
(保険料)
第八十一条 政府は、厚生年金保険事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収する。
2 保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。
3 保険料額は、標準報酬月額に保険料率を乗じて得た額とする。
4 保険料率は、保険給付に要する費用の予想額並びに予定運用収入及び国庫負担の額に照らし、将来にわたつて財政の均衡を保つことができるものでなければならず、且つ、少くとも五年ごとに、この基準に従つて再計算されるべきものとする。
5 保険料率は、左のとおりとする。
一 第一種被保険者については、千分の三十
二 第二種被保険者については、千分の三十
三 第三種被保険者については、千分の三十五
四 第四種被保険者については、千分の三十
(保険料の負担及び納付義務)
第八十二条 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。但し、第四種被保険者は、その全額を負担する。
2 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。
3 第四種被保険者は、自己の負担する保険料を納付する義務を負う。
4 被保険者が同時に二以上の事業所に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令の定めるところによる。
(保険料の納付)
第八十三条 毎月の保険料は、翌月末日(第四種被保険者が納付すべき保険料については、その月の十日)までに、納付しなければならない。
2 厚生大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知つたとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知つたときは、そのこえている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から六箇月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。
3 前項の規定によつて、納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなしたときは、厚生大臣は、その旨を当該納付義務者に通知しなければならない。
(保険料の源泉控除)
第八十四条 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月分の保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなつた場合においては、前月分及びその月分の保険料)を報酬から控除することができる。
2 事業主は、前項の規定によつて保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。
(保険料の繰上徴収)
第八十五条 保険料は、左の各号に掲げる場合においては、納期前であつても、すべて徴収することができる。
一 納付義務者が、左のいずれかに該当する場合
イ 国税、地方税その他の公課の滞納によつて、滞納処分を受けるとき。
ロ 強制執行を受けるとき。
ハ 破産の宣告を受けたとき。
ニ 競売の開始があつたとき。
二 法人たる納付義務者が、解散をした場合
三 被保険者の使用される事業所が、廃止された場合
(保険料の督促及び滞納処分)
第八十六条 保険料を滞納する者があるときは、厚生大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。
2 前項の規定によつて督促をしようとするときは、厚生大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。
3 前項の規定による督促状は、納付義務者が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第十一条の規定によつて督促を受ける者であるときは、同法同条の規定による督促状に併記して、発することができる。
4 第二項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。
5 第二項の規定による督促を受けた者が、その指定の期限までに保険料を納付しないときは、厚生大臣は、国税滞納処分の例によつてこれを処分し、又は滞納者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五条第二項の市にあつては、区とする。以下同じ。)に対して、その処分を請求することができる。
6 市町村は、前項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によつてこれを処分することができる。この場合においては、厚生大臣は、徴収金の百分の四に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
(延滞金)
第八十七条 前条第二項の規定によつて督促をしたときは、厚生大臣は、保険料額百円につき一日八銭の割合で、納期限の翌日から、保険料完納又は財産差押の日の前日までの日数によつて計算した延滞金を徴収する。但し、左の各号の一に該当する場合又は滞納につきやむを得ない事情があると認められる場合は、この限りでない。
一 保険料額が千円未満であるとき。
二 納期を繰り上げて徴収するとき。
三 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がともに明らかでないため、公示送達の方法によつて督促したとき。
2 前項の場合において、保険料額の一部につき納付があつたときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる保険料は、その納付のあつた保険料額を控除した金額による。
3 延滞金を計算するにあたり、保険料額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
4 督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき、又は前三項の規定によつて計算した金額が十円未満であるときは、延滞金は、徴収しない。
5 延滞金の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
(先取特権の順位)
第八十八条 保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぎ、他の公課に先だつものとする。
(送達)
第八十九条 保険料その他この法律の規定による徴収金に関する書類の送達については、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)第四条ノ九及び第四条ノ十の規定を準用する。
第六章 審査の請求
第九十条 被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に審査を請求し、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に再審査を請求することができる。
2 審査を請求した日から六十日以内に決定がないときは、請求者は、社会保険審査官が審査の請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に再審査を請求することができる。
3 第一項の審査及び前二項の再審査の請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。
4 被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基く保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。
第九十一条 保険料の賦課若しくは徴収の処分又は第八十六条の規定による処分に不服がある者は、社会保険審査会に審査を請求することができる。
第七章 雑則
(時効)
第九十二条 保険料その他この法律による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び障害手当金を受ける権利は、二年を経過したとき、障害手当金以外の保険給付を受ける権利は、五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
2 前項の時効の中断、停止その他の事項に関しては、民法(明治二十九年法律第八十九号)の時効に関する規定を準用する。但し、保険料その他この法律による徴収金の納入の告知又は第八十六条第一項の規定による督促は、民法第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。
(期間の計算)
第九十三条 この法律又はこの法律に基く命令に規定する期間の計算については、この法律に別段の規定がある場合を除くほか、民法の期間に関する規定を準用する。
(印紙税の非課税)
第九十四条 厚生年金保険に関する書類には、印紙税を課さない。
(戸籍事項の無料証明)
第九十五条 市町村長は、厚生大臣、都道府県知事又は受給権者に対して、当該市町村の条例の定めるところにより、被保険者、被保険者であつた者又は受給権者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。
(書類等の提出)
第九十六条 厚生大臣は、必要があると認めるときは、年金たる保険給付の受給権者に対して、その者又は加給年金額の計算の基礎となつている者の身分関係の異動及び廃疾の状態に関する書類その他の物件を提出すべきことを命ずることができる。
(診断)
第九十七条 厚生大臣は、必要があると認めるときは、別表第一に定める程度の廃疾の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は加給年金額の計算の基礎となつている者に対して、その指定する医師の診断を受けるべきことを命じ、又は当該職員をしてこれらの者の廃疾の状態を診断させることができる。
(届出等)
第九十八条 事業主は、厚生省令の定めるところにより、第二十七条に規定する事項を除くほか、厚生省令の定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
2 被保険者は、厚生省令の定めるところにより、厚生省令の定める事項を都道府県知事に届け出、又は事業主に申し出なければならない。
3 受給権者は、厚生省令の定めるところにより、都道府県知事に対し、厚生省令の定める事項を届け出、且つ、厚生省令の定める書類その他の物件を提出しなければならない。
4 第四種被保険者又は受給権者が死亡したときは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の規定による死亡の届出義務者は、十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(事業主の事務)
第九十九条 厚生年金保険の施行に必要な事務は、厚生省令の定めるところにより、その一部を事業主に行わせることができる。
(立入検査等)
第百条 厚生大臣又は都道府県知事は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関する決定に関し、必要があると認めるときは、事業主に対して、文書その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入つて関係者に質問し、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定によつて質問及び検査を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、且つ、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(実施規定)
第百一条 この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生省令で定める。
第八章 罰則
第百二条 事業主が、正当な理由がなくて左の各号の一に該当するときは、六箇月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第二十七条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第二十九条第二項(第三十条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、通知をしないとき。
三 第八十二条第二項の規定に違反して、督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき。
四 第百条第一項の規定に違反して、文書その他の物件を提出せず、又は当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第百三条 事業主以外の者が、第百条第一項の規定に違反して、当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、六箇月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第百四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第百五条 左の各号に掲げる場合には、一万円以下の過料に処する。
一 第九十八条第一項の規定に違反して、事業主が届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第九十八条第二項の規定に違反して、被保険者が届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は申出をせず、若しくは虚偽の申出をしたとき。
三 第九十八条第四項の規定に違反して、戸籍法の規定による死亡の届出義務者が、届出をしないとき。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行し、昭和二十九年五月一日から適用する。
(厚生年金保険法特例の廃止)
第二条 厚生年金保険法特例(昭和二十六年法律第三十八号)は、廃止する。
(被保険者の資格に関する経過措置)
第三条 昭和二十九年五月一日において現に従前の厚生年金保険法(以下「旧法」という。)による被保険者である者が、引き続きこの法律による被保険者となつたときは、その引き続く資格の取得については、第十八条第一項の規定による都道府県知事の確認を要しない。
第四条 旧法による被保険者であつた期間は、この法律による被保険者であつた期間とみなす。但し、旧法による脱退手当金(附則第十六条第四項の規定により支給する旧法による脱退手当金を含む。)の計算の基礎となつた期間は、この限りでない。
2 前項の期間のうち、次項の期間以外の期間は、男子にあつては、第一種被保険者であつた期間とみなし、女子にあつては、第二種被保険者であつた期間とみなす。但し、その期間のうちに、鉱業法第四条に規定する事業の事業場に使用され、且つ、常時坑内作業に従事する被保険者であつた期間があるときは、その期間は、男子にあつては、第三種被保険者であつた期間とみなし、女子にあつては、その期間について、この法律中第三種被保険者であつた期間に関する規定を準用する。
3 第一項の期間のうち、旧法第二十二条の規定による被保険者であつた期間は、第四種被保険者であつた期間とみなす。
(標準報酬に関する経過措置)
第五条 昭和二十九年五月一日において現に旧法による被保険者であり、引き続きこの法律による被保険者となつた者のうち、左の各号に該当する者については、その引き続く資格の取得に関しては、第二十二条第一項の規定による標準報酬の決定を行わず、それぞれ当該各号に定める額をその者の昭和二十九年五月から同年九月までの各月の標準報酬月額とする。
一 昭和二十九年四月の標準報酬月額が七千円以下である者については、同月の標準報酬月額に相当する額
二 昭和二十九年四月の標準報酬月額が八千円である者であつて、健康保険の被保険者であるものについては、その者の同年五月の健康保険法による標準報酬月額に相当する額。但し、その額が一万八千円をこえるときは、一万八千円とする。
2 第二十三条第一項の規定の滴用については、前項の規定による標準報酬は、第二十二条の規定によつて決定された標準報酬とみなし、昭和二十九年四月の標準報酬又は同年五月の健康保険法による標準報酬の基礎となつた報酬月額は、標準報酬の基礎となつた報酬月額とみなす。
第六条 旧法による標準報酬は、この法律による標準報酬とみなす。
(従前の処分等)
第七条 この附則に別段の規定があるものを除くほか、旧法又はこれに基く命令によつてした処分、手続その他の行為は、この法律又はこれに基く命令中の相当する規定によつてした処分、手続その他の行為とみなす。
(基本年金額の計算の特例)
第八条 基本年金額を計算する場合において、三千円未満の標準報酬月額があるときは、これを三千円として計算する。
(老齢年金の受給資格年齢の読替)
第九条 第四十二条第一項第一号中「六十歳」とあるのは、左の表の上欄に掲げる者については、それぞれ同表の下欄のように読み替えるものとする。但し、旧法による被保険者であつた者に限る。
明治三十五年五月一日以前に生れた者 |
五十五歳 |
明治三十五年五月二日から明治三十八年五月一日までの間に生れた者 |
五十六歳 |
明治三十八年五月二日から明治四十一年五月一日までの間に生れた者 |
五十七歳 |
明治四十一年五月二日から明治四十四年五月一日までの間に生れた者 |
五十八歳 |
明治四十四年五月二日から大正三年五月一日までの間に生れた者 |
五十九歳 |
2 第四十二条第一項第一号中「五十五歳」とあるのは、左の表の上欄に掲げる者については、それぞれ同表の下欄のように読み替えるものとする。但し、附則第四条第二項但書の規定により第三種被保険者であつた期間とみなされる期間(以下「旧法による第三種被保険者であつた期間」という。)のある者に限る。
明治四十年五月一日以前に生れた者 |
五十歳 |
明治四十年五月二日から明治四十三年五月一日までの間に生れた者 |
五十一歳 |
明治四十三年五月二日から大正二年五月一日までの間に生れた者 |
五十二歳 |
大正二年五月二日から大正五年五月一日までの間に生れた者 |
五十三歳 |
大正五年五月二日から大正八年五月一日までの間に生れた者 |
五十四歳 |
(遺族年金の受給資格年齢の読替)
第十条 左の表の上欄に掲げる期間は、第五十九条第一項第二号中「六十歳」とあるのは、旧法による被保険者であつた者の夫については、それぞれ同表の中欄のように、第六十五条中「五十五歳」とあるのは、旧法による被保険者であつた者の妻については、それぞれ同表の下欄のように読み替えるものとする。
昭和二十九年五月一日から昭和三十三年四月三十日まで |
五十五歳 |
五十歳 |
昭和三十三年五月一日から昭和三十七年四月三十日まで |
五十六歳 |
五十一歳 |
昭和三十七年五月一日から昭和四十一年四月三十日まで |
五十七歳 |
五十二歳 |
昭和四十一年五月一日から昭和四十五年四月三十日まで |
五十八歳 |
五十三歳 |
昭和四十五年五月一日から昭和四十九年四月三十日まで |
五十九歳 |
五十四歳 |
(老齢年金の特例)
第十一条 昭和二十九年五月一日において現に旧法による養老年金の受給権を有する者には、その者が第四十二条に該当しない場合においても、同条の老齢年金を支給する。但し、その養老年金が、旧法第三十一条第二項又は第三十五条第一項の規定により、その支給を停止されているときは、この限りでない。
2 前項の老齢年金については、第四十四条中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは、「受給権者が旧法による養老年金の受給権を取得した当時」と読み替えるものとする。
3 第一項の者には、同項の規定による老齢年金の額と旧法による養老年金の額との差額の十二分の一に相当する額に、養老年金の支給を受ける事由が生じた月の翌月から昭和二十九年四月までの期間の月数を乗じて得た額を一時金として支給する。
4 第一項の者が昭和二十九年五月一日において現に旧法による障害年金の受給権をも有する場合には、その者には、前項の規定にかかわらず、同項の一時金を支給しない。但し、その障害年金が、旧法第三十六条第一項但書の規定により、その支給を停止されているときは、この限りでない。
5 第三項の規定による一時金については、その性質に反しない限り、この法律による保険給付に関する規定を準用する。
第十二条 継続した十五年間における旧法による第三種被保険者であつた期間に基く被保険者期間又は継続した十五年間における旧法による第三種被保険者であつた期間とこの法律による第三種被保険者であつた期間とに基く被保険者期間が十六年以上である者が、昭和二十九年五月一日以後五十五歳に達した後に被保険者の資格を喪失し、又は被保険者の資格を喪失した後に被保険者となることなくして同日以後五十五歳に達したときは、その者が第四十二条に該当しない場合においても、その者に同条の老齢年金を支給する。
2 前項の規定中「五十五歳」とあるのは、附則第九条第二項の表の上欄に掲げる者については、それぞれ同表の下欄のように読み替えるものとする。
(遺族年金の特例)
第十三条 昭和二十九年五月一日において現に旧法による遺族年金(旧法第三十一条第一項後段に規定する期間を満たしている者が死亡したことによる遺族年金に限る。)の受給権を有する者には、その者が第五十八条及び第五十九条に該当しない場合においても、第五十八条の遺族年金を支給する。
2 前項の者には、同項の規定による遺族年金の額と旧法による遺族年金の額との差額の十二分の一に相当する額に、旧法による遺族年金の支給を受ける事由が生じた月の翌月から昭和二十九年四月までの期間の月数を乗じて得た額を一時金として支給する。但し、旧法による遺族年金が、旧法第四十四条但書の規定により、その支給を停止されているときは、この限りでない。
3 前項の規定による一時金については、附則第十一条第五項の規定を準用する。
第十四条 継続した十五年間における旧法による第三種被保険者であつた期間に基く被保険者期間又は継続した十五年間における旧法による第三種被保険者であつた期間とこの法律による第三種被保険者であつた期間とに基く被保険者期間が十六年以上である者が、昭和二十九年五月一日以後に死亡したときは、第五十八条に該当しない場合においても、その者の遺族に同条の遺族年金を支給する。
第十五条 旧法第二十四条から第二十五条ノ二までの規定によつて計算した被保険者期間が六箇月以上の者であつて、昭和二十九年五月一日前に被保険者の資格を喪失したものが、附則第四条第二項に規定する期間内に発した疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病によつて、その被保険者の資格喪失後二年以内に死亡したときは、第五十八条に該当しない場合においても、その者の遺族に同条の遺族年金を支給する。
(従前の保険給付)
第十六条 昭和二十九年五月一日において現に旧法による年金たる保険給付(養老年金及び旧法第三十一条第一項後段に規定する期間を満たしている者が死亡したことによる遺族年金を除く。)を受ける権利を有する者には、同日以後も、なお従前の例による保険給付を支給する。その者又はその者の遺族が、死亡し、失権し、又は所在不明となつた場合におけるその者の遺族又は同順位若しくは次順位の遺族についても、同様とする。
2 前項の規定による保険給付に関する事項のうち、この法律の第三章第一節及び第六節並びに第四章から第八章までに定める事項については、同項の規定にかかわらず、この法律の規定を準用する。
3 第一項の規定による保険給付のうち、従前の障害年金の例によつて支給する保険給付は、第四十八条、第四十九条、第五十条第二項、第五十六条第二号及び第六十九条第二号の規定の適用については、この法律による障害年金とみなす。
4 旧法による年金たる保険給付のうち昭和二十九年五月一日前に支給すべきであつたもの及び旧法による一時金たる保険給付であつて、同日においてまだ支給していないものについては、なお従前の例による。
5 前項の規定により従前の例によつて支給する旧法による脱退手当金の受給権は、その受給権者がこの法律による被保険者となつたときは、消滅する。
6 第一項の規定による保険給付については、同項の規定によるほか、左の各号に定めるところによる。
一 従前の遺族年金の例による保険給付は、十六歳以上十八歳未満の子又は孫にも支給する。
二 従前の寡婦年金の例による保険給付は、十六歳以上十八歳未満の子がある寡婦にも支給する。
三 従前の遺児年金の例による保険給付は、十六歳以上十八歳未満の子にも支給する。
四 従前の加給金に相当する給付の額は、十六歳以上十八歳未満の子についても、加給する。
7 前項第四号の規定は、昭和二十九年五月一日において現に障害年金、遺族年金又は寡婦年金を受ける権利を有する者に支給する従前の加給金に相当する給付については、同日において現に当該加給金の計算の基礎となつていない子に関しては適用しない。
8 昭和二十九年五月一日からこの法律が施行されるまでの間において、旧法による保険給付として年金又は一時金の支払が行われたときは、その年金又は一時金の支払は、これに相当する第一項又は第四項の規定によつて支給する保険給付の内払とみなす。
第十七条 昭和二十九年五月一日前に旧法によつて受給権が生じた年金たる保険給付に関して、前条第二項の規定により、第九十二条の規定を準用する場合においては、同条第一項に定める消滅時効の期間は、同日から起算するものとする。
第十八条 附則第十六条第一項の規定による保険給付のうち、従前の障害年金の例によつて支給する保険給付については、その額(従前の加給金に相当する給付の額を除く。)が、二万七千六百円に満たないときは、同条同項の規定にかかわらず、これを二万七千六百円に引き上げる。
2 附則第十六条第一項の規定による保険給付のうち、従前の遺族年金、寡婦年金、かん夫年金又は遺児年金の例によつて支給する保険給付については、その額(従前の加給金又は増額金に相当する給付の額を除く。)が、一万三千八百円に満たないときは、同条同項の規定にかかわらず、これを一万三千八百円に引き上げる。
第十九条 附則第十六条第一項の規定による保険給付については、従前の加給金又は増額金に相当する給付の額は、同条同項の規定にかかわらず、一人につき四千八百円とする。
(障害年金の額の特例)
第二十条 昭和二十九年五月一日前に旧法による被保険者の資格を喪失した者が、その資格喪失前に発した疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病につき、第四十七条の規定によつて別表第一に定める一級の廃疾の状態にあることによる障害年金の受給権を取得した場合において、その障害年金の基本年金額に一万二千円を加えた額が、その者のその資格喪失の日の属する月前三箇月間の平均標準報酬月額の五倍に相当する額に満たないときは、第五十条第一項第一号の規定にかかわらず、その額に加給年金額を加算した額をその障害年金の額とする。
2 昭和二十九年五月一日前に旧法による被保険者の資格を喪失した者が、その資格喪失前に発した疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病につき、第四十七条の規定によつて別表第一に定める二級の廃疾の状態にあることによる障害年金の受給権を取得し、又はその者につき第五十二条の規定によつて廃疾の程度が別表第一に定める一級から二級に減退したことにより障害年金の額を改定すべき場合において、その障害年金の基本年金額が、その者のその資格喪失の日の属する月前三箇月間の平均標準報酬月額の四倍に相当する額に満たないときは、第五十条第一項第二号の規定にかかわらず、その額に加給年金額を加算した額をその障害年金の額とする。
3 昭和二十九年五月一日において現に旧法による被保険者である者が、旧法による被保険者であつた間又は同日以後引き続き第四種被保険者以外の被保険者であつた間に発した疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病につき、第四十七条の規定によつて別表第一に定める一級の廃疾の状態にあることによる障害年金の受給権を取得した場合において、その障害年金の基本年金額に一万二千円を加えた額が、その者の同日前三箇月間の平均標準報酬月額の五倍に相当する額に満たないときは、第五十条第一項第一号の規定にかかわらず、その額に加給年金額を加算した額をその障害年金の額とする。
4 昭和二十九年五月一日において現に旧法による被保険者である者が、旧法による被保険者であつた間又は同日以後引き続き第四種被保険者以外の被保険者であつた間に発した疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病につき、第四十七条の規定によつて別表第一に定める二級の廃疾の状態にあることによる障害年金の受給権を取得し、又はその者につき第五十二条の規定によつて廃疾の程度が別表第一に定める一級から二級に減退したことにより障害年金の額を改定すべき場合において、その障害年金の基本年金額が、その者の同日前三箇月間の平均標準報酬月額の四倍に相当する額に満たないときは、第五十条第一項第二号の規定にかかわらず、その額に加給年金額を加算した額をその障害年金の額とする。
(遺族年金の額の特例)
第二十一条 前条第一項又は第三項に規定する障害年金の受給権者が死亡したことによる遺族年金については、第三十四条第一項から第三項までの規定にかかわらず、その障害年金の額から加給年金額を控除した額の百分の八十に相当する額をその基本年金額とする。但し、その障害年金の受給権者が死亡した当時別表第一に定める一級の廃疾の状態にあつた場合に限る。
2 昭和二十九年五月一日前に旧法による被保険者の資格を喪失した者がその資格喪失前に発した疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病によつてその資格喪失後二年以内に死亡したことによりその者の遺族が第五十八条又は附則第十五条の規定によつて遺族年金の受給権を取得した場合における遺族年金については、その基本年金額が、その被保険者であつた者のその資格喪失の日の属する月前三箇月間の平均標準報酬月額の四倍に相当する額に満たないときは、第三十四条第一項から第三項までの規定にかかわらず、その額をその基本年金額とする。
3 昭和二十九年五月一日において現に旧法による被保険者である者が旧法による被保険者であつた間又は同日以後引き続き第四種被保険者以外の被保険者であつた間に発した疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病によつてその資格喪失後二年以内に死亡したことによりその者の遺族が第五十八条の規定によつて遺族年金の受給権を取得した場合における遺族年金については、その基本年金額が、その被保険者であつた者の同日前三箇月間の平均標準報酬月額の四倍に相当する額に満たないときは、第三十四条第一項から第三項までの規定にかかわらず、その額をその基本年金額とする。
4 昭和二十九年五月一日において現に旧法による被保険者であり、同日以後引き続き第四種被保険者以外の被保険者である者が死亡したことによる遺族年金については、その基本年金額が、その被保険者の同日前三箇月間の平均標準報酬月額の四倍に相当する額に満たないときは、第三十四条第一項から第三項までの規定にかかわらず、その額をその基本年金額とする。
(脱退手当金の額及び受給資格年齢の特例)
第二十二条 旧法第二十四条から第二十五条ノ二までの規定によつて計算した被保険者期間が五年以上の者であつて、昭和二十九年五月一日において現に五十歳以上であるものに支給する脱退手当金の額は、第七十条の規定にかかわらず、旧法による被保険者であつた期間について従前の脱退手当金の例によつて計算した額と、同日以後の第四種被保険者以外の被保険者であつた期間の平均標準報酬月額に別表第四に定める率を乗じて得た額との合算額とする。
2 前項の者が昭和二十九年五月一日以後に被保険者の資格を喪失したときは、その者が五十五歳未満である場合においても、その者に第六十九条の脱退手当金を支給する。但し、同条各号の一に該当する場合は、この限りでない。
(旧法による障害年金等と脱退手当金との関係)
第二十三条 旧法による障害年金若しくは附則第十六条第一項の規定により従前の障害年金の例によつて支給する保険給付又は旧法による障害手当金(附則第十六条第四項の規定により支給する旧法による障害手当金を含む。)の支給を受けた者については、第六十九条第三号及び第七十条第二項の規定の適用については、これらの保険給付は、この法律による障害年金又は障害手当金とみなす。
(戦時特例)
第二十四条 昭和十九年一月一日から昭和二十年八月三十一日までの間において、鉱業法第四条に規定する事業の事業場に使用され、且つ、常時坑内作業に従事する被保険者であつた者のその期間における被保険者期間の加算については、なお従前の例による。
(被保険者の資格等に関する旧法による報告)
第二十五条 旧法による被保険者であつた期間に関して第七十五条の規定を適用する場合においては、同条第一項但書中「第二十七条の規定による届出」とあるのは、「旧法第九条の規定による報告」と読み替えるものとする。
(従前の保険料)
第二十六条 昭和二十九年四月以前の月に係る保険料の徴収については、なお従前の例による。
(従前の行為に対する罰則の適用)
第二十七条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(指定共済組合の組合員)
第二十八条 旧法第七十四条の規定に基く旧厚生年金保険法施行令(昭和十六年勅令第千二百五十号)第三十二条の規定によつて指定された共済組合の組合員である者に関しては、この法律の適用についても、なお従前の例による。
(健康保険法の一部改正)
第二十九条 健康保険法の一部を次のように改正する。
第三条第三項第二号中「現ニ使用セラルル事業」を「現ニ使用セラルル事業所」に、同条同項第三号中「資格ヲ取得シタル日前」を「資格ヲ取得シタル月前」に改める。
第二十一条の次に次の一条を加える。
第二十一条ノ二 被保険者ノ資格ノ取得及喪失ハ保険者ノ確認ニ依リ其ノ効力ヲ生ズ但シ第二十条ノ規定ニ依ル被保険者ノ資格ノ取得並ニ第十九条及前条ノ規定ニ依ル被保険者ノ資格ノ喪失ハ此ノ限ニ在ラズ
被保険者又ハ被保険者タリシ者ハ何時タリトモ前項ノ規定ニ依ル確認ヲ請求スルコトヲ得
保険者ハ前項ノ規定ニ依ル請求アリタル場合ニ於テ其ノ請求ニ係ル事実ナシト認ムルトキハ其ノ請求ヲ却下スベシ
第一項ノ確認ハ第八条ノ規定ニ依ル報告若ハ第二項ノ規定ニ依ル請求ニ依リ又ハ職権ヲ以テ之ヲ行フモノトス
第八十条第一項中「標準報酬」の上に「被保険者ノ資格、」を加える。
(社会保険審査官及び社会保険審査会法の一部改正)
第三十条 社会保険審査官及び社会保険審査会法(昭和二十八年法律第二百六号)の一部を次のように改正する。
第一条中「厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第六十二条」を「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第九十条」に改める。
第三条中「厚生年金保険法第六十二条」を「厚生年金保険法第九十条」に改める。
第四条第一項中「審査の請求は、」の下に「被保険者の資格、」を加え、同条第二項中「標準報酬」の上に「被保険者の資格又は」を加える。
第十九条中「厚生年金保険法第六十二条」を「厚生年金保険法第九十条」に、「厚生年金保険法第六十三条」を「厚生年金保険法第九十一条」に改める。
第三十二条第一項中「厚生年金保険法第六十二条第一項」を「厚生年金保険法第九十条第一項」に、同条第二項中「厚生年金保険法第六十二条第二項」を「厚生年金保険法第九十条第二項」に、同条第三項中「厚生年金保険法第六十三条」を「厚生年金保険法第九十一条」に、同条第六項中「厚生年金保険法第十一条ノ二第一項」を「厚生年金保険法第八十六条第五項」に改める。
(所得税法の一部改正)
第三十一条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第八条第六項第二号中「同法第七十四条の規定に基き厚生大臣の指定した共済組合の組合員で同法の被保険者でない者」を「同法附則第二十八条に規定する共済組合の組合員」に改める。
(国庫出納金等端数計算法の一部改正)
第三十二条 国庫出納金等端数計算法(昭和二十五年法律第六十一号)の一部を次のように改正する。
第七条第二号中「厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第十一条第五項」を「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第八十七条第一項」に改める。
(地方自治法の一部改正)
第三十三条 地方自治法の一部を次のように改正する。
別表第二第二号(十八)中「厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)」を「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)」に改める。
(地方税法の一部改正)
第三十四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二百六十二条第三号中「厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)」を「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)」に改める。
(日本専売公社法の一部改正)
第三十五条 日本専売公社法(昭和二十三年法律第二百五十五号)の一部を次のように改正する。
第五十三条中「厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第十六条の二」を「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第十二条」に改める。
(日本国有鉄道法の一部改正)
第三十六条 日本国有鉄道法(昭和二十三年法律第二百五十六号)の一部を次のように改正する。
第五十九条中「厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第十六条の二」を「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第十二条」に改める。
(日本電信電話公社法の一部改正)
第三十七条 日本電信電話公社法(昭和二十七年法律第二百五十号)の一部を次のように改正する。
第八十一条中「厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第十六条ノ二」を「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第十二条」に改める。
(住宅金融公庫法の一部改正)
第三十八条 住宅金融公庫法(昭和二十五年法律第百五十六号)の一部を次のように改正する。
第四十一条中「厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第十六条ノ二」を「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第十二条」に改める。
(私立学校教職員共済組合法の一部改正)
第三十九条 私立学校教職員共済組合法(昭和二十八年法律第二百四十五号)の一部を次のように改正する。
附則第十三項中「厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第二十四条から第二十五条ノ二までの規定の定めるところによる。」を「旧厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第二十四条から第二十五条ノ二までの規定の例による。」に改める。
附則第十五項中「厚生年金保険法」を「旧厚生年金保険法」に改める。
附則第十七項中「厚生年金保険法」を「厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)」に改める。
別表第一
廃疾の程度 |
番号 |
廃疾の状態 |
一級 |
一 |
両眼の視力が〇・〇二以下に減じたもの |
二 |
両上肢の用を全く廃したもの |
|
三 |
両下肢の用を全く廃したもの |
|
四 |
両上肢を腕関節以上で失つたもの |
|
五 |
両下肢を足関節以上で失つたもの |
|
六 |
前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働することを不能ならしめ、且つ、常時の介護を必要とする程度の障害を残すもの |
|
七 |
精神に、労働することを不能ならしめ、且つ、常時の監視又は介護を必要とする程度の障害を残すもの |
|
八 |
傷病がなおらないで、身体の機能又は精神に、労働することを不能ならしめ、且つ、長期にわたる高度の安静と常時の監視又は介護とを必要とする程度の障害を有するものであつて、厚生大臣が定めるもの |
|
二級 |
一 |
両眼の視力が〇・〇四以下に減じたもの |
二 |
一眼の視力が〇・〇二以下に減じ、且つ、他眼の視力が〇・〇六以下に減じたもの |
|
三 |
両耳の聴力が、耳殻に接して大声による話をしてもこれを解することができない程度に減じたもの |
|
四 |
咀嚼又は言語の機能を廃したもの |
|
五 |
背柱の機能に高度の障害を残すもの |
|
六 |
一上肢を腕関節以上で失つたもの |
|
七 |
一下肢を足関節以上で失つたもの |
|
八 |
一上肢の用を全く廃したもの |
|
九 |
一下肢の用を全く廃したもの |
|
一〇 |
両上肢のすべての指の用を廃したもの |
|
一一 |
両下肢をリスフラン関節以上で失つたもの |
|
一二 |
両下肢のすべての足ゆびを失つたもの |
|
一三 |
前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が高度の制限を受けるか、又は労働に高度の制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
|
一四 |
精神に、労働することを不能ならしめる程度の障害を残すもの |
|
一五 |
傷病がなおらないで、身体の機能又は精神に、労働が高度の制限を受けるか、又は労働に高度の制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであつて、厚生大臣が定めるもの |
|
三級 |
一 |
両眼の視力が〇・一以下に減じたもの |
二 |
両耳の聴力が、四〇センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの |
|
三 |
咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの |
|
四 |
脊柱の機能に著しい障害を残すもの |
|
五 |
一上肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの |
|
六 |
一下肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの |
|
七 |
長管状骨に仮関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの |
|
八 |
一上肢のおや指及びひとさし指を失つたもの又はおや指をあわせ一上肢の三指以上を失つたもの |
|
九 |
おや指及びひとさし指をあわせ一上肢の四指の用を廃したもの |
|
一〇 |
一下肢をリスフラン関節以上で失つたもの |
|
一一 |
両下肢のすべての足ゆびの用を廃したもの |
|
一二 |
前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
|
一三 |
精神又は神経系統に、労働に著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
|
一四 |
傷病がなおらないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであつて、厚生大臣が定めるもの |
備 考
一 視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によつて測定する。
二 指を失つたものとは、おや指は指関節、その他の指は第一指関節以上を失つたものをいう。
三 指の用を廃したものとは、指の末節の半分以上を失い、又は掌指関節若しくは第一指関節(おや指にあつては指関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
四 足ゆびを失つたものとは、その全部を失つたものをいう。
五 足ゆびの用を廃したものとは、第一趾は末節の半分以上、その他のゆびは末関節以上を失つたもの又は蹠趾関節若しくは第一趾関節(第一趾にあつては足趾関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
別表第二
番号 |
廃疾の状態 |
一 |
両眼の視力が〇・六以下に減じたもの |
二 |
一眼の視力が〇・一以下に減じたもの |
三 |
両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
四 |
両眼による視野が二分の一以上欠損したもの又は両眼の視野が一〇度以内のもの |
五 |
両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの |
六 |
一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの |
七 |
咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの |
八 |
鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの |
九 |
脊柱の機能に障害を残すもの |
一〇 |
一上肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの |
一一 |
一下肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの |
一二 |
一下肢を三センチメートル以上短縮したもの |
一三 |
長管状骨に著しい転位変形を残すもの |
一四 |
一上肢の二指以上を失つたもの |
一五 |
一上肢のひとさし指を失つたもの |
一六 |
一上肢の三指以上の用を廃したもの |
一七 |
ひとさし指をあわせ一上肢の二指の用を廃したもの |
一八 |
一上肢のおや指の用を廃したもの |
一九 |
一下肢の第一趾又は他の四趾以上を失つたもの |
二〇 |
一下肢の五趾の用を廃したもの |
二一 |
前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
二二 |
精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
備考 別表第一の備考と同じ。
別表第三
第一種被保険者又は第三種被保険者としての被保険者期間 |
率 |
第二種被保険者としての被保険者期間 |
率 |
二四月以上 三六月未満 |
〇・六 |
||
三六月以上 四八月未満 |
〇・九 |
||
四八月以上 六〇月未満 |
一・二 |
||
六〇月以上 七二月未満 |
一・一 |
六〇月以上 七二月未満 |
一・五 |
七二月以上 八四月未満 |
一・三 |
七二月以上 八四月未満 |
一・八 |
八四月以上 九六月未満 |
一・五 |
八四月以上 九六月未満 |
二・一 |
九六月以上一〇八月未満 |
一・八 |
九六月以上一〇八月未満 |
二・四 |
一〇八月以上一二〇月未満 |
二・一 |
一〇八月以上一二〇月未満 |
二・八 |
一二〇月以上一三二月未満 |
二・四 |
一二〇月以上一三二月未満 |
三・二 |
一三二月以上一四四月未満 |
二・七 |
一三二月以上一四四月未満 |
三・六 |
一四四月以上一五六月未満 |
三・〇 |
一四四月以上一五六月未満 |
四・〇 |
一五六月以上一六八月未満 |
三・三 |
一五六月以上一六八月未満 |
四・四 |
一六八月以上一八〇月未満 |
三・六 |
一六八月以上一八〇月未満 |
四・八 |
一八〇月以上一九二月未満 |
三・九 |
一八〇月以上一九二月未満 |
五・二 |
一九二月以上二〇四月未満 |
四・二 |
一九二月以上二〇四月未満 |
五・七 |
二〇四月以上二一六月未満 |
四・六 |
二〇四月以上二一六月未満 |
六・二 |
二一六月以上二二八月未満 |
五・〇 |
二一六月以上二二八月未満 |
六・七 |
二二八月以上 |
五・四 |
二二八月以上 |
七・二 |
別表第四
第一種被保険者又は第三種被保険者としての被保険者期間 |
率 |
第二種被保険者としての被保険者期間 |
率 |
一二月未満 |
〇・二 |
一二月未満 |
〇・二 |
一二月以上 二四月未満 |
〇・三 |
一二月以上 二四月未満 |
〇・四 |
二四月以上 三六月未満 |
〇・五 |
二四月以上 三六月未満 |
〇・六 |
三六月以上 四八月未満 |
〇・七 |
三六月以上 四八月未満 |
〇・九 |
四八月以上 六〇月未満 |
〇・九 |
四八月以上 六〇月未満 |
一・二 |
六〇月以上 七二月未満 |
一・一 |
六〇月以上 七二月未満 |
一・五 |
七二月以上 八四月未満 |
一・三 |
七二月以上 八四月未満 |
一・八 |
八四月以上 九六月未満 |
一・五 |
八四月以上 九六月未満 |
二・一 |
九六月以上一〇八月未満 |
一・八 |
九六月以上一〇八月未満 |
二・四 |
一〇八月以上一二〇月未満 |
二・一 |
一〇八月以上一二〇月未満 |
二・八 |
一二〇月以上一三二月未満 |
二・四 |
一二〇月以上一三二月未満 |
三・二 |
一三二月以上一四四月未満 |
二・七 |
一三二月以上一四四月未満 |
三・六 |
一四四月以上一五六月未満 |
三・〇 |
一四四月以上一五六月未満 |
四・〇 |
一五六月以上一六八月未満 |
三・三 |
一五六月以上一六八月未満 |
四・四 |
一六八月以上 |
三・六 |
一六八月以上 |
四・八 |
(内閣総理・大蔵・文部・厚生・運輸・郵政・建設大臣署名)