閉鎖機関令の一部を改正する法律

法律第百五号(昭二九・五・一五)

 閉鎖機関令(昭和二十二年勅令第七十四号)の一部を次のように改正する。

 第二条を次のように改める。

第二条 閉鎖機関の本邦内に在る本店、支店その他の営業所に係る債権及び債務は、これを本邦内に在る財産とし、閉鎖機関の本邦外に在る本店、支店その他の営業所に係る債権及び債務は、これを閉鎖機関の本邦内に在る財産以外の財産とする。

  閉鎖機関の本邦外に在る本店、支店その他の営業所に係る債権及び債務のうち左に掲げるものは、前項の規定にかかわらず、これを本邦内に在る財産とみなす。

 一 閉鎖機関の本邦内に在る財産をもつて担保された債務

 二 金融機関の本邦内の店舗に向けて振り出され、且つ、左に掲げる者が所持する未払送金為替に係る債務で省令で定めるもの

  イ 本邦内に住所(法人にあつては主たる事務所。以下同じ。)を有する者

  ロ 閉鎖機関でイに該当しないもの

  ハ 旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令(昭和二十四年政令第二百九十一号)に規定する在外会社

 三 本邦内に住所を有する者を債権者とする預金に係る債務のうち前号に掲げる債務に準ずるものとして省令で定めるもの

 四 前二号に掲げる債務を除く外、第二号に掲げる者を債権者とする預金その他の金融業務上の債務で省令で定めるもの

 五 左に掲げる者に対する預金その他の金融業務上の債権で省令で定めるもの

  イ 本邦内に主たる事務所を有する金融機関

  ロ その他の閉鎖機関又は第二号ハに掲げる在外会社

 六 閉鎖機関の有する左に掲げる債権の債務者に対し当該閉鎖機関の負う債務で省令で定めるもの。但し、その者に対するこれらの債権の額を限度とする。

  イ 前号に掲げる者の本邦外の店舗から金融機関の本邦内の店舗に向けて振り出された未払送金為替に係る債権

  ロ 第五号に規定する債権

 七 閉鎖機関が、第二号から第四号までに規定する債務の債権者に対して有する債権で省令で定めるもの。但し、その者に対して負うこれらの号に規定する債務の額を限度とする。

 八 第五号及び前号に掲げる債権以外の債権で、大蔵大臣が指定し、又は特殊清算人が大蔵大臣の承認を受けたもの

 第十条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。

  特殊清算人は、特に必要がある場合においては、大蔵大臣の承認を得て、閉鎖機関の本邦内に在る財産以外の財産についても、前項各号(第四号を除く。)に規定する職務を行うことができる。

 第十一条の二の次に次の二条を加える。

第十一条の三 第二条第二項第二号又は第三号に規定する債務のうち、外貨表示のものの本邦通貨への換算については、別表第一に掲げる換算率を適用する。

  第二条第二項第四号若しくは第六号に規定する債務又は同項第七号に規定する債権(当該債権の債務者が同項第五号に掲げる者である場合を除く。)の本邦通貨への換算については、別表第二に掲げる換算率を適用する。

  前二項の場合において、外貨についての換算率が別表に掲げられていないときは、その換算率は、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第七条第一項又は第二項の規定により当該外貨につき外国為替相場が定められているものについては、これによるものとし、その外国為替相場が定められていないものについては、同条第二項の規定の趣旨に従い、(現に流通していない外貨については、その有した購買力等を勘案して、)大蔵大臣の定める換算率によるものとする。

  大蔵大臣は、前項の換算率を告示しなければならない。

第十一条の四 特殊清算人は、第二条第二項第二号から第四号までに規定する債務に係る債権者に対して、省令の定めるところにより、当該特殊清算人にその債権を申し出るべきことを催告しなければならない。

  前項の債権者が同項の規定によりその債権を申し出ない場合においては、その債権者は、特殊清算から除斥される。

  知れている債権者は、特殊清算から除斥することはできない。

  第二項の規定により除斥された債権者は、除斥されなかつた債権者に対して弁済した後の残余財産に対してのみ、その弁済を請求することができる。

 第十九条第一項中「当該閉鎖機関の本邦内に在る財産をもつて担保された債務」を「第二条第二項の規定により本邦内に在る財産とみなされた債務」に改める。

 第十九条の二十七の次に次の二条を加える。

第十九条の二十八 特殊清算人は、省令の定めるところにより、債権者のために弁済すべき財産を供託するか又は信託して、その債務を免かれることができる。

第十九条の二十九 特殊清算人が、大蔵大臣の承認を得て、閉鎖機関の発行した社債、営団債又は金庫債の償還を委託した場合は、当該委託を受けた者は、債権者のために社債、営団債又は金庫債の償還を受けるのに必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をすることができる。

  商法第三百九条第二項及び第三項、第三百十条、第三百十一条、第三百十五条並びに第三百十八条第一項の規定は、前項の場合に準用する。

 附則の次に別表第一及び別表第二として次のように加える。

別表第一

表示通貨単位名

換算率(本邦通貨1円に対する金額)

(満洲中央銀行券)

 

1円

(中国連合準備銀行券)

(蒙彊銀行券)

表示金額のうち

330,000円以下の部分

11円

表示金額のうち

330,000円をこえ

21円

750,000円以下の部分

表示金額のうち

750,000円をこえる部分

51円

(中央儲備銀行券)

表示金額のうち

1,830,000円以下の部分

61円

表示金額のうち

1,830,000円をこえ

117円

4,170,000円以下の部分

表示金額のうち

4,170,000円をこえる部分

394円

(昭和十二年軍用手票)

 

10円

別表第二

店舗所在地域

表示通貨単位名

換算率(本邦通貨1円に対する金額)

朝鮮

1.5円

台湾

1.5円

関東州

1.6円

満洲

(満洲中央銀行券)

1.6円

華北

(中国連合準備銀行券)

100円

蒙彊

(蒙彊銀行券)

50円

華中

(中央儲備銀行券)

2,400円

華南

(香港・海南島を含む。)

(昭和十二年軍用手票)

 

10円

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律の施行の日において、閉鎖機関が既に債務の弁済のために供託しているときは、特殊清算人(閉鎖機関の特殊清算が結了している場合には大蔵大臣の指定する者)は、債権者のために、供託金の還付を請求することができる。

3 前項の規定により還付を受けた者は、省令の定めるところにより、当該還付を受けた財産を同項の債権者のために信託し、又はこれらの者に交付しなければならない。

(内閣総理・法務・外務・大蔵・厚生・農林・通商産業大臣署名)

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