港湾法の一部を改正する法律

法律第百十一号(昭二九・五・一七)

 港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の一部を次のように改正する。

 第二条第五項中「左に掲げる施設」を「第一号から第十一号までに掲げる施設並びに港湾の利用に必要な第十二号及び第十三号に掲げる施設」に改める。

 第二条第五項第六号中「軌道走行式荷役機械」の下に「、荷さばき地」を加える。

 第二条第五項第九号中「給炭施設」の下に「(港湾役務提供用船舶を除く。)」を加え、同項第十号を第十一号とし、同項第九号の次に次の一号を加える。

 十 港湾厚生施設 船舶乗組員及び港湾労務者の休泊所及び診療所

 第二条第五項に次の二号を加える。

 十二 移動式施設 移動式荷役機械及び移動式旅客乗降用施設

 十三 港湾役務提供用船舶 船舶の離着岸を補助するための船舶並びに船舶のための給水、給油及び給炭の用に供する船舶

 第二条第六項中「前項各号」を「前項第一号から第十一号まで」に改める。

 第六条第一項第十一号の次に次の一号を加える。

 十二 解散に関する事項

 第十条を次のように改める。

 (解散の特例等)

第十条 港務局の解散は、当該港湾について、地方公共団体が第三十三条第一項後段の規定により港湾管理者となるまでは、その効力を生じない。但し、港務局を組織する地方公共団体が当該港務局の解散について運輸大臣の承認を受けた場合は、この限りでない。

2 港務局を組織する地方公共団体は、港務局が解散した場合において、第三十条第一項の債券に係る債務その他政令で定める債務が存するときは、定款の定めるところにより連帯してその債務を負担する。

 第十二条第一項第二号中「港湾の発展」の下に「及び港湾区域に隣接する地域の保全」を加え、同項第三号の次に次の一号を加える。

 三の二 前号に掲げるものの外、港湾区域内又は臨港地区内における水面の埋立、盛土、整地等による土地の造成又は整備を行うこと。

 第十二条第一項第四号の次に次の一号を加える。

 四の二 水域施設の使用に関し必要な規制を行うこと。

 第十二条第四項の次に次の一項を加える。

5 港務局は、運輸省令で定めるところにより、その管理する港湾施設の概要を公示しなければならない。

 第十二条の次に次の一条を加える。

 (規程)

第十二条の二 港務局は、法令又は当該港務局を組織する地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規程を定めることができる。

 第二十一条第一項を次のように改める。

  委員会の議事は、全委員の過半数で決する。

 第二十二条第二項中「第十六条第三項」の下に「、第十七条」を加える。

 第二十三条第一項を次のように改める。

  委員長は、港務局を代表し、港務局の長としてその業務を総理するとともに、法令又は第四十五条の二の条例によりその権限に属せしめられた港湾の開発、利用及び管理に関する事務を行う。

 第三十三条第一項に後段として次のように加える。

  港務局の設立されている港湾において、当該港務局が定款の定めるところにより解散しようとする場合も同様である。

 第三十五条第二項の次に次の一項を加える。

3 港湾管理者としての地方公共団体は、第一項の委員会を設置したときは、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

 第三十六条に次の一項を加える。

2 前項の規定は、港務局が港湾管理者であつた港湾について、地方公共団体が、第三十三条第一項後段の規定により港湾管理者となつた場合に準用する。

 第三十七条第一項を次のように改める。

  港湾区域内において又は港湾区域に隣接する地域であつて港湾管理者の長が指定する区域(以下「港湾隣接地域」という。)内において、左の各号の一に掲げる行為をしようとする者は、港湾管理者の長の許可を受けなければならない。但し、公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条の規定による免許を受けた者が免許に係る水域についてこれらの行為をする場合は、この限りでない。

 一 港湾区域内の水域(政令で定めるその上空及び水底の区域を含む。以下本条中同じ。)又は公共空地の占用

 二 港湾区域内の水域又は公共空地における土砂の採取

 三 水域施設、外かく施設、けい留施設、運河、用水きよ又は排水きよの建設又は改良(第一号の占用を伴うものを除く。)

 四 前各号に掲げるものを除き、港湾の開発、利用又は管理に著しく支障を与えるおそれのある政令で定める行為

 第三十七条第二項中「建設若しくは工事、占用又は採取」を「行為」に、「許可をしてはならない。」を「許可をしてはならず、また、政令で定める場合を除き、港湾管理者の管理する水域施設について同項第一号の水域の占用又は同項第四号の行為の許可をしてはならない。」に改める。

 第三十七条第三項中「又は日本電信電話公社」を「、日本電信電話公社又は地方公共団体」に、「建設若しくは工事、占用又は採取」を「行為」に改め、同条第四項を次のように改める。

4 港湾管理者の長は、港湾区域内の水域又は公共空地に係る第一項第一号又は第二号の許可を受けた者から占用料又は土砂採取料を徴収することができる。但し、前項に規定する者の協議に係るものについては、この限りでない。

 第三十七条第五項中「前項の水域占用料又は土砂採取料」を「第四項の占用料、土砂採取料又は前項の過怠金」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。

5 港湾管理者の長は、規則又は港務局の委員会の委員長の定めるところにより、詐偽その他不正の行為により、前項の占用料又は土砂採取料の徴収を免かれた者からその徴収を免かれた金額の五倍に相当する金額以下の過怠金を徴収することができる。

 第三十七条の二を第三十七条の三とし、同条に見出しとして「(許可の取消等)」を加え、同条中「前条」を「第三十七条第一項」に改め、同条に次の一項を加える。

2 港湾管理者の長は、第三十七条第一項の許可を受けなければならない行為を許可を受けないでした者に対し、その設置した施設の改築、移転若しくは撤去又は原状の回復を命ずることができる。

 第三十七条の次に次の一条を加える。

 (港湾隣接地域)

第三十七条の二 前条第一項の規定による港湾隣接地域の指定は、港湾区域外百メートル以内の地域内の区域について、当該港湾区域及び港湾区域に隣接する地域を保全するため必要な最小限度の範囲でしなければならない。

2 港湾管理者の長は、港湾隣接地域を指定しようとするときは、あらかじめ期日、場所及び指定しようとする地域を公告して、公聴会を開き、当該地域に利害関係を有する者にその指定に関する意見を述べる機会を与えなければならない。港湾隣接地域を変更しようとするときも同様である。

3 港湾管理者の長は、港湾隣接地域の指定をしたときは、その旨を運輸大臣に報告しなければならない。

 第四十条第一項中「建設してはならない。」を「建設してはならず、また、構築物その他の構築物を改築し、又はその用途を変更して当該条例で定める構築物としてはならない。」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。

3 第一項の地方公共団体は、条例で、同項の規定に違反した者に対し、五万円以下の罰金を科する旨の規定を設けることができる。

 第四十条の次に次の一条を加える。

 (違反構築物に対する措置)

第四十条の二 港湾管理者の長は、前条第一項の規定に違反して建設され、又は改築若しくは用途の変更により同項の条例で定める構築物となつた建築物その他の構築物については、その所有者又は占有者に対し、当該構築物の撤去、移転若しくは改築又は用途の変更をすべきことを命ずることができる。

2 港湾管理者の長は、前項の命令をしようとするときは、その命令に係る者に対し、あらかじめ期日、場所及び命令をしようとする事項を通知して、聴聞をしなければならない。

3 聴聞に際しては、当該命令に係る者その他の利害関係人に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。

 第四十一条第一項中「前条」を「第四十条第一項」に改め、同条第二項を次のように改める。

2 前条第二項及び第三項の規定は、港湾管理者の長が前項の命令をしようとする場合に準用する。

 第四十二条第五項中「第十七条第一項」を「第十七条」に改める。

 第四十三条の三を次のように改める。

 (原因者の負担)

第四十三条の三 港湾管理者は、港湾管理者以外の者の行う工事又は行為により必要を生じた港湾工事の費用については、その必要を生じさせた限度において、その必要を生じさせた者に費用の全部又は一部を負担させることができる。

2 前項の場合において、負担金の徴収を受ける者の範囲及びその徴収の方法については、港湾管理者としての地方公共団体(港湾管理者が港務局である場合には港務局を組織する地方公共団体のうち定款で定めるもの)の条例で定める。

3 地方自治法第二百十七条第三項及び第四項の規定は、前項の条例について準用する。

 第四十三条の四に次の一項を加える。

2 前条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。

 第四十四条第一項中「料金」の下に「(次条第一項の入港料を除く。)」を加え、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項中「違反すると認めるときは、」の下に「その施行の日までに、」を加え、同項を第三項とし、同条第三項を第四項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 港湾管理者は、水域施設(泊地を除く。)又は外かく施設の利用に対し、前項の料金を徴収することができない。

 第四十四条に次の一項を加える。

5 港務局は、第十二条の二の規程の定めるところにより、詐偽その他不正の行為により第一項の料金の徴収を免かれた者からその徴収を免かれた金額の五倍に相当する金額以下の過怠金を徴収することができる。

 第四十四条の次に次の二条を加える。

 (入港料)

第四十四条の二 港湾管理者は、当該港湾に入港する船舶から、当該港湾の利用につき入港料を徴収することができる。但し、警備救難に従事する船舶、鉄道連絡船、海象又は気象の観測に従事する船舶、漁業監視船その他政令で定める船舶については、入港料を徴収することができない。

2 政令で定める重要港湾の港湾管理者は、前項の入港料を徴収しようとするときは、料率を定めて、運輸大臣の認可を受けなければならない。その料率を変更しようとするときも同様である。

3 前条第一項、第三項及び第四項の規定は、前項の港湾管理者以外の港湾管理者が徴収する入港料に、前条第五項の規定は、港務局が徴収する入港料に関して準用する。

 (滞納処分)

第四十四条の三 地方自治法第二百二十五条第一項、第三項及び第四項の規定は、入港料その他の料金、過怠金その他港務局の収入に関して準用する。この場合において、同条第三項中「条例」とあるのは「港湾法第十二条の二の規程」と読み替えるものとする。

2 前項の収入並びに同項において準用する地方自治法第二百二十五条第三項の規定による手数料及び延滞金は、国及び地方公共団体の徴収金に次いで先取特権を有し、その時効については地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十四条の規定を、その取扱については同法第十七条及び第十八条の規定を準用する。

3 第一項において準用する地方自治法第二百二十五条第三項の規程は、港務局を組織する地方公共団体の議会の承認を受けなければ、その効力を生じない。

 第四十五条の次に次の一条を加える。

 (事務の委任)

第四十五条の二 港務局を組織する地方公共団体は、条例で定めるところにより、港湾の利用及び管理に関する事務(当該地方公共団体の公共事務及び法律又は政令により当該地方公共団体に属する事務を除く。)を港務局の委員会の委員長に委任することができる。

 第四十六条第一項中「この法律により」を「港湾管理者は、」に、「若しくは貸し付けようとする者は、」を「又は貸し付けようとするときは、」に改める。

 第五十二条第二項中「第十七条第一項」を「第十七条」に、「第十七条第二項」を「第十七条の二第一項」に改める。

 第五十五条第二項に後段として次のように加える。

  この場合において、第五十三条後段中「港湾管理者」とあるのは「港湾管理者としての地方公共団体(当該地方公共団体が地方自治法第二百八十四条第一項の地方公共団体である場合には当該地方公共団体を組織する地方公共団体)又は港務局を組織する地方公共団体」と読み替えるものとする。

 第五十五条の次に次の四条を加える。

 (他人の土地への立入)

第五十五条の二 運輸大臣又は港湾管理者は、港湾工事のための調査又は測量を行うためやむを得ない必要があるときは、その業務に従事する職員を他人の土地に立ち入らせることができる。

2 運輸大臣又は港湾管理者は、前項の規定によりその職員を他人の土地に立ち入らせようとするときは、その五日前までに、その土地の所有者又は占有者にその旨を通知しなければならない。但し、これらの者に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。

3 第一項の立入は、所有者又は占有者の承諾があつた場合を除き、日出前及び日没後においては、してはならない。

4 第一項の職員は、同項の規定により他人の土地に立ち入る場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。

 (非常災害の場合における土地の一時使用等)

第五十五条の三 港湾管理者は、非常災害による港湾施設に対する緊急の危険を防止するためやむを得ない必要があるときは、その現場に居る者若しくはその附近に居住する者に対し防ぎよに従事すべきことを命じ、又はその現場において、他人の土地を一時使用し、若しくは土石、竹木その他の物件を使用し、収用し、若しくは処分することができる。

 (損失の補償)

第五十五条の四 国又は港湾管理者は、前二条の規定による行為により損失を受けた者に対し、その損失を補償しなければならない。

2 第四十一条第三項及び第四項の規定は、前項の場合に準用する。

 (港湾工事に伴う工事の費用の補償)

第五十五条の五 運輸大臣又は港湾管理者の行う港湾工事の結果、港湾管理者以外の者に工事の必要を生じさせた場合においては、国又は港湾管理者は、その必要を生じさせた限度において、その費用を補償しなければならない。但し、その補償を受ける者が必要を生じさせられた工事によつて特に利益を受けるときは、その利益を受ける限度において、その者に補償をしないことができる。

2 第四十一条第四項の規定は、前項の場合に準用する。

 第五十八条第二項中「(大正十年法律第五十七号)」を削る。

 第五十九条を次のように改める。

 (行政事件訴訟特例法等の適用)

第五十九条 港務局の管理する一般公衆の利用に供する港湾施設に関する公共団体の管理する公共用土地物件の使用に関する法律(大正三年法律第三十七号)の適用については、港務局の委員会の委員長は、行政庁とみなす。

2 第三十七条の三、第四十条の二第一項及び第四十一条第一項の命令、前条第二項の規定に基く公有水面埋立法による職権の行使並びに公共団体の管理する公共用土地物件の使用に関する法律第一条の命令に関する行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)の適用については、港務局の委員会の委員長は、行政庁とみなす。

3 第三十七条第一項の許可、同条第四項の占用料及び土砂採取料の徴収、同条第五項の過怠金の徴収、第三十七条の三、第四十条の二第一項及び第四十一条第一項の命令、第四十三条の三第一項及び第四十三条の四第一項の負担金の徴収、第四十四条第一項の料金の徴収、同条第五項(第四十四条の二第三項において準用する場合を含む。)の過怠金の徴収、第四十四条の二第一項の入港料の徴収、第四十四条の三第一項の規定により準用する地方自治法第二百二十五条第一項、第三項及び第四項の規定による滞納処分、第四十五条の二の規定による委任に基いて行う事務の執行、前条第二項の規定に基く公有水面埋立法による職権の行使、公共団体の管理する公共用土地物件の使用に関する法律第一条の命令並びに行政代執行法の適用に関する訴に関する行政事件訴訟特例法(昭和二十三年法律第八十一号)の適用については、港務局の委員会の委員長は、行政庁とみなす。

 第六十条第二号の次に次の一号を加える。

 二の二 第十条第一項但書の規定による承認

 第六十条第四号中「第四十四条」を「第四十四条(第四十四条の二第三項において準用する場合を含む。)」に改め、同号の次に次の一号を加える。

 四の二 第四十四条の二の規定による入港料についての認可

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律の施行の際現に存する港務局を組織する地方公共団体には、改正後の第十条第二項の規定は、適用しない。但し、同条同項の規定により債務を負担すべき旨を当該港務局の定款で定めた場合は、この限りでない。

(運輸・内閣総理大臣署名) 

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