輸出信用保険法の一部を改正する法律

法律第二百八十一号(昭二六・一一・三〇)

 輸出信用保険法(昭和二十五年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

 第一条中「政府が再保険を行うことにより、」を削る。

 第二条の見出しを「(甲種保険)」に改め、同条第二項を削り、第三項を第二項とし、以下順次一項ずつ繰り上げる。

 第三条の前の見出しを削り、同条中「輸出信用保険」を「政府が再保険を引き受ける輸出信用保険」に改め、「損害保険」の下に「(以下「甲種保険」という。)」を加える。

 第四条第一項中「輸出信用保険」を「甲種保険」に、同条第二項中「輸出信用保険契約」を「甲種保険」に、「その契約」を「保険契約」に、同条第三項中「輸出信用保険契約」を「保険契約」に改める。

 第五条中「輸出信用保険」を「甲種保険」に改め、同条の次に次の五条を加える。

 (乙種保険)

第五条の二 政府は、輸出者が、輸出契約に基いて政令で定める貨物を輸出した場合において、左の各号の一に該当する事由によって当該輸出貨物の代金を回収することができないことにより受ける損失(輸出貨物について生じた損失を除く。)をてん補する輸出信用保険(以下「乙種保険」という。)を引き受けることができる。

 一 外国において実施される為替取引の制限又は禁止

 二 仕向国における戦争、革命又は内乱

 三 前二号に掲げるものの外、本邦外において生じた事由であつて、輸出契約の当事者の責に帰することができないもの

 四 輸出契約の相手方の破産

 五 輸出契約の相手方の六箇月以上の債務の履行遅滞(輸出者の責に帰することができないものに限る。)

2 政府は、保険契約の申込を承諾したときは、保険証券を作成し、保険契約者に交付する。

3 政府は、一会計年度内に引き受ける乙種保険の保険金額の総額が国会の議決を経た金額をこえない範囲内において、乙種保険を引き受けるものとする。

第五条の三 乙種保険においては、輸出契約に基く輸出貨物の代金(二以上の時期に分割して代金の決済を受けるべきときは、一の時期において決済を受けるべき当該代金の部分。以下同じ。)の額を保険価額とする。

2 乙種保険の保険金額が保険価額に百分の八十の範囲内において政令で定める割合を乗じて得た金額をこえるときは、そのこえる部分については、保険契約は、無効とする。

第五条の四 乙種保険において政府がてん補すべき額は、保険価額のうち第五条の二第一項各号の一に該当する事由により輸出者が決済期(同項第五号に該当する事由によるときは、決済期後六箇月を経過した時。以下同じ。)までに回収することができない代金の額から左の各号に掲げる金額を控除した残額に、保険金額の保険価額に対する割合を乗じて得た金額とする。

 一 当該事由の発生により支出を要しなくなった金額

 二 決済期後に回収した金額

第五条の五 政府は、乙種保険の保険契約者、被保険者又は保険金を受け取るべき者が保険契約の条項に違反したときは、保険金の全部若しくは一部を支払わず、又は保険金の全部若しくは一部を返還させることができる。

 (保険料率)

第五条の六 甲種保険の再保険及び乙種保険の保険料率は、政府の支払う保険金及びこの法律の施行に伴い必要となる政府の事務取扱費を償うように、政令で定める。

 第六条第一項中「保険会社は、再保険契約に基いて」を「保険会社又は乙種保険の被保険者若しくは保険金を受け取るべき者は、」に、「第二条第四項」を「第二条第三項又は第五条の五」に、同条第三項中「保険会社」を「保険会社又は乙種保険の被保険者若しくは保険金を受け取るべき者」に改める。

   附 則

 この法律は、昭和二十六年十二月一日から施行する。

(大蔵・通商産業・内閣総理大臣署名) 

法令一覧(年度別)に戻る