商法の一部を改正する法律施行法

法律第二百十号(昭二六・六・八)

 (定義)

第一条 この法律で、「新法」とは、商法の一部を改正する法律(昭和二十五年法律第百六十七号)による改正後の商法をいい、「旧法」とは、従前の商法及び商法の一部を改正する法律附則第二項の規定をいう。

 (原則)

第二条 新法は、特別の定がある場合を除いては、新法施行前に生じた事項にも適用する。但し、旧法によつて生じ終つた効力を妨げない。

2 新法にてい触する定款の定及び契約の条項は、新法施行の日から、その効力を失う。

 (解散命令)

第三条 新法施行前に、裁判所が請求を受け、又は着手した旧法第五十八条に定める事件及びその事件に関連する同条に定める事件については、新法施行後も、なお旧法を適用する。その事件について請求を却下された者の責任についても、同様とする。

 (訴の提起等についての担保)

第四条 解散命令の請求又は訴の提起について供すべき担保に関する旧法の規定は、新法施行前に供した担保に関してのみ適用する。

 (株式会社の設立)

第五条 新法施行前に、発起人が株式の総数を引き受け、又は株主の募集に着手した場合には、その設立については、新法施行後も、なお旧法を適用する。但し、新法施行後に設立の登記をするときは、その登記事項については、この限りでない。

 (株式会社の定款)

第六条 新法施行前に成立した株式会社については、新法施行前に発行した株式の総数、新法施行後に旧法によつて成立する株式会社については、設立に際して発行する株式の数が、会社が発行する株式の総数として、定款に定められているものとみなす。

2 旧法第百六十八条第一項第二号の規定によつて定款に定めた事項は、新法第二百二十二条第二項の規定によつて定めたものとみなす。

 (株式会社の登記)

第七条 新法施行前に成立した株式会社は、新法施行の日から六月内に、新法によつて新たに登記すべきものとなつた事項を登記しなければならない。

2 前項の登記をするまでに他の登記をするときは、その登記と同時に同項の登記をしなければならない。

3 第一項の登記をするまでに同項の事項に変更を生じたときは、遅滞なく、変更前の事項につき同項の登記をしなければならない。

4 前三項の規定に違反したときは、その会社の代表取締役を三万円以下の過料に処する。

 (発起人のてん補責任)

第八条 新法第百九十二条第一項の規定は、会社が新法施行後に旧法によつて成立した場合にも適用する。会社が新法施行前に旧法によつて成立した場合に、新法施行後に株式の申込が取り消されたときも、同様とする。

 (設立に関する責任の免除及び追及)

第九条 発起人、取締役又は監査役の会社の設立に関する責任を、新法施行後に免除する場合には、その免除については、会社が旧法によつて成立したときでも、新法を適用する。

2 新法施行後に前項の責任を追及する訴を提起する場合には、その訴についても、同項と同様とする。

 (額面株式の金額、株式の併合)

第十条 新法施行後に旧法によつて成立する株式会社の発行する額面株式の金額については、旧法第二百二条第二項の規定を適用する。

2 旧法によつて成立した株式会社は、額面五百円未満の株式を額面五百円以上の株式とするために、新法第三百四十三条に定める決議によつて、株式を併合することができる。この場合には、新法第三百七十七条から第三百七十九条までの規定を準用する。

 (記名株式の移転)

第十一条 新法施行前にされた記名株式の移転については、新法施行後も、なお旧法を適用する。但し、新法第二百五条第二項及び第三項の規定の適用を妨げない。

 (株主名簿の記載)

第十二条 旧法によつて成立した株式会社の株主名簿には、会社が無額面株式を発行するまでは、株式が額面株式である旨を記載することを要しない。

 (株主名簿の閉鎖期間及び基準日)

第十三条 新法第二百二十四条ノ二の規定は、新法施行後最初の定時総会の終結の翌日から、新法施行の際現に進行している株主名簿の閉鎖期間がその日以後に終了するときは、その期間の終了の翌日から適用する。

 (株券の取得)

第十四条 新法施行前に裏書によつて株券を取得した場合には、その取得については、新法施行後も、なお旧法第二百二十九条第二項の規定を適用する。但し、新法施行後にされた裏書によつてその株券を取得した場合には、その取得については、新法第二百二十九条の規定を適用する。

 (監査役による臨時総会の招集)

第十五条 新法施行前に、監査役が臨時総会を招集した場合には、その臨時総会については、新法施行後も、なお旧法第二百三十五条第二項の規定を適用する。

 (少数株主の総会招集の請求)

第十六条 新法施行前に、旧法第二百三十七条第一項の規定による総会招集の請求があつた場合には、その請求は、新法第二百三十七条第一項の規定による請求とみなす。

 (総会の決議)

第十七条 旧法によつて成立した株式会社の総会の決議の要件については、左に掲げる日のうちいずれか早い日までは、新法施行後も、なお旧法を適用する。

 一 新法施行後最初の定時総会の終結の日

 二 毎年一回定時総会を招集すべき会社については昭和二十七年六月三十日、その他の会社については昭和二十六年十二月三十一日

2 前項の規定は、同項各号に掲げる日のうちいずれか早い日の前に新法に従うよう定款を変更した場合には、適用しない。

3 第一項の規定は、新法第二百六十四条第二項及び第二百六十六条第五項の決議については、適用しない。

4 新法施行後に決議をする総会について、新法施行前に招集の通知を発し、又は公告をした場合には、新法の施行によつて議決権を有することとなつた株主に対しては、招集の通知及び公告を要しない。

5 前項の規定は、ある種類の株主の総会に準用する。

 (総会招集の通知及び公告)

第十八条 新法第二百四十五条第一項各号に掲げる事項につき決議すべき総会について、新法施行前に、株主に対して招集の通知を発し、又は公告をした場合には、その通知又は公告については、同条第二項の規定を適用しない。

 (決議取消の訴)

第十九条 決議取消の訴について、新法施行の際旧法第二百四十八条第一項に定める期間が経過していない場合には、その決議取消の訴の提起期間については、新法を適用する。

 (取締役の選任及び任期)

第二十条 新法第二百五十六条の三及び第二百五十六条の四の規定は、新法施行後最初の定時総会の終結の翌日から適用する。

2 新法施行の際現に在任する取締役の任期については、新法施行後も、なお旧法を適用する。但し、その任期は、新法施行の日から二年を経過した後の最初の定時総会の終結の日をこえることができない。

 (代表取締役)

第二十一条 旧法によつて会社を代表する権限を有する取締役は、新法による会社を代表すべき取締役とみなす。

2 旧法によつて数人の取締役が共同して会社を代表すべきことを定めた場合には、その定は、新法第二百六十一条第二項の規定による定とみなす。

3 新法施行の際会社を代表すべき取締役の定がない場合には、旧法第百八十八条第二項第九号の取締役の登記は、新法第百八十八条第二項第八号の登記があるまでは、その登記と同一の効力を有する。

 (取締役の行為の責任)

第二十二条 取締役が新法施行前にした行為の責任については、新法施行後も、なお旧法を適用する。

2 新法施行後に前項の責任を免除する場合には、その免除については、同項の規定にかかわらず、新法を適用する。

3 新法施行後に第一項の責任を追及する訴を提起する場合には、その訴についても、前項と同様とする。

 (取締役に対する訴及び訴の提起を請求した株主の責任)

第二十三条 新法施行前に、旧法第二百六十七条第一項又は第二百六十八条第一項の規定によつて取締役に対する訴を提起した場合には、その訴及び訴の提起を請求した株主の責任については、新法施行後も、なお旧法を適用する。

 (旧法第二百七十二条の請求等)

第二十四条 新法施行前に、旧法第二百七十二条の規定によつて取締役の職務の執行の停止又は職務代行者の選任の請求があつた場合については、新法施行後も、なお同条の規定を適用する。

 (監査役の任期)

第二十五条 新法施行の際現に在任する監査役の任期については、新法施行後も、なお旧法を適用する。但し、その任期は、新法施行の日から一年を経過した後の最初の定時総会の終結の日をこえることができない。

 (一時取締役の職務を行うべき監査役)

第二十六条 新法施行前に一時取締役の職務を行うべき監査役を定めた場合には、その監査役については、新法施行後も、なお旧法第二百七十六条第一項但書、第二項及び第三項の規定を適用する。

 (会社と取締役との間の訴についての会社代表)

第二十七条 新法施行前に、会社が取締役に対し又は取締役が会社に対して訴を提起した場合には、その訴について会社を代表すべき者については、新法施行後も、なお旧法第二百七十七条の規定を適用する。但し、新法によつて会社を代表すべき者を定めた後は、この限りでない。

 (監査役のした訴の提起等)

第二十八条 新法施行前に、監査役が裁判所に対して訴の提起、請求又は申立をした場合には、その訴、請求又は申立については、新法施行後も、なお旧法を適用する。

 (監査役に対する訴及び訴の提起を請求した株主の責任)

第二十九条 第二十三条の規定は、新法施行前に、旧法第二百七十九条第一項の規定によつて監査役に対して提起した訴及びその訴の提起を請求した株主の責任について準用する。

 (監査役に関する準用規定)

第三十条 第二十二条及び第二十四条の規定は、監査役に準用する。

 (新株の発行費用)

第三十一条 新法施行後に旧法によつて資本を増加する場合には、株式の発行のために必要な費用の額については、新法第二百八十六条ノ二の規定を適用する。

 (額面超過額)

第三十二条 新法施行後に旧法によつて成立し又は資本を増加する株式会社が、額面以上の価額で株式を発行する場合には、その額面をこえる金額については、新法第二百八十八条ノ二の規定を適用する。

 (準備金)

第三十三条 旧法第二百八十八条の規定によつて積み立てた準備金は、利益準備金として積み立てたものとみなす。

2 会社は、新法施行後最初に到来する決算期までに、前項の利益準備金の一部を資本準備金とすることができる。

 (建設利息)

第三十四条 開業前に利息を配当すべき旨の旧法による定款の定は、新法施行前に発行した株式及び新法施行後に資本増加によつて発行する株式又は新法施行後に旧法によつて成立する株式会社が設立に際して発行する株式について、開業前に利息を配当すべき旨の新法による定款の定とみなす。但し、その定款に、資本増加によつて発行する株式に対しては利息を配当しない旨の定があるときは、その株式については、この限りでない。

2 新法施行前に旧法によつて配当した利息の金額は、新法によつて配当した利息の金額とみなす。

 (附属明細書)

第三十五条 新法第二百九十三条ノ五の規定は、新法施行後最初に到来する決算期から適用する。

 (総会招集の命令)

第三十六条 新法施行前に、旧法第二百九十四条第三項の規定によつて株主総会招集の命令があつた場合には、その総会の招集については、新法施行後も、なお旧法を適用する。

 (社債の募集)

第三十七条 新法施行前に社債募集の決議をした場合には、その社債の募集については、新法施行後も、なお旧法を適用する。

 (社債権者集会の決議)

第三十八条 新法施行後に社債権者集会の決議をする場合には、新法施行前に、招集の通知を発し、又は公告をしたときでも、その決議の要件については、新法を適用する。

 (資本増加)

第三十九条 新法施行前に資本増加の決議をした場合には、その資本増加については、新法施行後も、なお旧法を適用する。但し、新法施行後にする資本増加の登記については、旧法によるその登記に代えて、新法による新株発行による変更の登記をするものとする。

2 前項の場合に、株金の払込期日が新法施行後であるものについては、同項の規定にかかわらず、新法第二百八十条ノ三の規定を適用する。

3 新法施行後に旧法によつて資本を増加する場合には、その資本増加によつて生ずる株式の数の増加は、定款に定められているものとみなされた会社が発行する株式の総数の増加とみなす。

 (新株引受権を与える契約)

第四十条 新法施行前に旧法第三百四十九条の契約をしたときは、新法によつて会社が発行する株式の総数を増加する際、その契約によつて新株の引受権を与えられる者に対して、新株の引受権を与える旨の定をしなければならない。

 (取締役のてん補責任)

第四十一条 新法第二百八十条ノ十三の規定は、新法施行後に旧法によつて資本を増加する場合に準用する。

 (転換株式)

第四十二条 新法施行前に旧法第三百五十九条の規定によつて、定款で、株主がその引き受けた新株を他の種類の株式に転換することを請求することができる旨を定めた場合には、その株式については、新法施行後も、なお旧法第三百六十条から第三百六十二条までの規定を適用する。

2 前項の株式について新法施行後に転換があつた場合には、その転換によつて生ずる各種の株式の数の増減は、定款に定められているものとみなされた会社が発行する各種の株式の数の増減とみなす。

3 前項の場合に、転換による変更の登記は、毎営業年度の終から一月内に本店及び支店の所在地でしなければならない。

 (転換社債)

第四十三条 新法施行前に旧法第三百六十四条の規定によつて、社債権者が社債を株式に転換することを請求することができる旨を決議した場合には、その社債については、新法施行後も、なお旧法第三百六十五条から第三百六十八条までの規定を適用する。

2 前項の場合に、新法施行後に転換によつて発行すべき株式の数及び各種の株式の数は、第六条の規定によつて、定款に定められているものとみなされる会社が発行する株式の総数及び各種の株式の数に加えるものとする。

3 新法第二百二十二条ノ二第二項の規定は、前項の場合に準用する。

4 第一項の社債について新法施行後に転換があつた場合に、転換による変更の登記は、毎営業年度の終から一月内に本店及び支店の所在地でしなければならない。

 (会社の合併)

第四十四条 合併後存続する会社又は合併によつて設立する会社が株式会社である場合に、新法施行前に合併契約書について、合併をする会社の一方の総社員の同意又は株主総会の承認があつたときは、その合併については、新法施行後も、なお旧法を適用する。但し、新法施行後にする合併による変更又は設立の登記については、旧法によるその登記に代えて、新法によるその登記をするものとする。

2 前項の場合に、新法施行後に合併契約書承認の決議をする株式会社については、同項の規定にかかわらず、新法第四百八条ノ二の規定を適用する。

 (清算人に関する準用規定)

第四十五条 第十六条、第二十一条から第二十四条まで、第二十六条、第二十七条及び第三十五条の規定は、清算人に準用する。

 (株式合資会社)

第四十六条 新法施行前に成立した株式合資会社については、新法施行後も、なお旧法を適用する。

2 株式合資会社が新法施行後に合併をする場合には、前項の規定にかかわらず、合併後存続する会社又は合併によつて設立する会社は、株式会社でなければならない。この場合には、合併契約書は、新法第四百九条及び第四百十条の規定に従つて作らなければならない。

3 新法施行の日から五年を経過した時に現に存する株式合資会社は、その時に解散する。

 (外国会社の登記)

第四十七条 新法施行前に、外国会社が旧法によつて支店設置の登記をした場合には、その支店設置の登記は、新法第四百七十九条第二項に定める登記とみなす。但し、その会社は、新法施行の日から六月内に、新法によつて新たに登記すべきものとなつた事項を登記しなければならない。

2 新法第四百七十九条第二項及び第三項に定める登記をすることを要することとなつた外国会社は、前項の場合を除いて、新法施行の日から六月内に、その登記をしなければならない。

3 第一項但書又は前項の規定に違反したときは、その会社の日本における代表者を三万円以下の過料に処する。

 (外国会社の支店閉鎖命令)

第四十八条 第三条の規定は、旧法第四百八十四条に定める事件及びその事件について請求を却下された者の責任について準用する。

 (罰則)

第四十九条 新法施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

2 新法施行後の行為について旧法第二編第七章の規定を適用する場合には、その規定中、「一万円」とあるのは「五十万円」とし、「五千円」とあるのは「三十万円」とし、「三千円」とあるのは「二十万円」とし、「千円」とあるのは「五万円」とする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和二十六年七月一日から施行する。但し、附則第二項及び第三項の規定は、公布の日から施行する。

 (定款変更の特例)

2 新法施行前に成立した株式会社は、新法施行前に、新法施行の日に効力を生ずる定款の変更をすることができる。

3 新法施行後に旧法によつて成立する会社にあつては、発起人全員の同意又は創立総会の決議で、新法施行前に、新法施行の日に効力を生ずる定款の変更をし、又は新法施行後に、新法に従うよう定款を変更することができる。

 (旧合資会社の組織変更及び解散)

4 新法第九十九条、第百条及び第百十四条の規定は、商法(明治三十二年法律第四十八号)施行前に設立した合資会社が、商法施行法(明治三十二年法律第四十九号)第四十条の規定によつて組織変更をする場合に準用する。

5 第四十六条第三項の規定は、前項の合資会社に準用する。

(法務総裁・内閣総理大臣署名) 

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