官庁営繕法

法律第百八十一号(昭二六・六・一)

 (目的)

第一条 この法律は、国家機関の建築物の位置、構造、営繕計画等について規定して、その災害を防除し、公衆の利便と公務の能率増進とを図ることを目的とする。

 (用語の定義)

第二条 この法律において「官庁営繕」とは、国家機関の建築物の新築、増築、改築、移築、修繕又は模様替をいう。

2 この法律において「庁舎」とは、国家機関がその事務を処理するために使用する建築物をいい、学校、病院、刑務所、工場、倉庫及び車庫を除く。

3 この法律において「各省各庁の長」とは、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣、法務総裁、各省大臣及び経済安定本部総裁をいう。

4 この法律において「建築物」、「建築設備」、「主要構造部」、「耐火構造」、「防火構造」、「不燃材料」、「建築」及び「特定行政庁」の意義は、それぞれ建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条に定めるところによる。

 (建築基準法との関係)

第三条 国家機関の建築物については、この法律で定めるものの外、建築基準法の定めるところによる。

 (建築方針)

第四条 庁舎は、国民の公共施設として、親しみやすく、便利で、且つ、安全なものでなければならない。

 (庁舎の位置)

第五条 庁舎は、それぞれの用途に応じて、公衆の利便と公務の能率上適当な場所に建築しなければならない。

2 各省各庁の長は、その所管の庁舎について、前項の目的を達するため、他の各省各庁の長の所管に属する国有の土地を敷地に供することを相当と認めるときは、その旨を当該各省各庁の長及び大蔵大臣に申し出ることができる。この場合において当該各省各庁の長及び大蔵大臣は、その土地を敷地に供するよう協力しなければならない。

3 各省各庁の長は、その所管の庁舎について、第一項の目的を達するため、国有以外の土地を敷地に供することを相当と認めるときは、その旨をその土地の所在地の市町村の長に申し出ることができる。この場合において当該市町村の長は、その敷地の取得又は借受のあつ旋に努めなければならない。

 (合同庁舎)

第六条 庁舎は、土地を高度に利用し、建築経費を節減し、あわせて公衆の利便と公務の能率増進とを図るために、特に支障がない限りは、合同して建築しなければならない。

 (庁舎の構造)

第七条 左の各号の一に該当する庁舎を建築するときは、その主要構造部を耐火構造としなければならない。

一 建築基準法第六十条第一項の準防火地域内で延べ面積が三百平方メートルをこえる庁舎

二 延べ面積が千平方メートルをこえる庁舎

2 前項に掲げる以外の庁舎を建築するときは、その外壁及び軒裏を防火構造とし、その屋根を不燃材料で造り、又はふかなければならない。

3 建築基準法第六十条第一項の防火地域又は準防火地域以外の地に庁舎を建築する場合において、その周囲に公園、広場、道路その他の空地又は防火上有効な施設があつて、特定行政庁が延焼のおそれがないと認めるときは、前二項の規定によらないことができる。

4 建築基準法第八十五条第二項に規定する建築物に該当する庁舎については、前三項の規定にかかわらず同条第二項及び第三項の規定の適用があるものとする。

 (保安上又は防火上危険である庁舎に対する措置)

第八条 建設大臣は、庁舎が建築基準法又はこれに基く命令若しくは条例、又は前条第一項若しくは第二項の規定に適合せず、且つ、保安上又は防火上危険であると認める場合においては、各省各庁の長に対して、方法及び期間を定めて、改築、移築、修繕、模様替その他必要な措置をすることを勧告することができる。

2 各省各庁の長は、前項の規定による勧告を受けたときは、遅滞なく、建設大臣に対して、これに対する措置の方針を通知し、且つ、その措置をしたときはその結果を通知しなければならない。

 (営繕計画書)

第九条 各省各庁の長は、毎会計年度、その所掌に係る国家機関の建築物の営繕計画書を前年度の七月三十一日までに大蔵大臣及び建設大臣に送付しなければならない。但し、一件につき総額百万円をこえない修繕又は模様替については、この限りでない。

2 前項の営繕計画書には、当該建築物の位置、規模、構造、建築設備、工期及び工事費を記載するものとする。

3 第一項の規定により営繕計画書の送付を受けたときは、建設大臣は、これに関する意見書を八月二十日までに当該各省各庁の長及び大蔵大臣に送付しなければならない。

 (官庁営繕審議会の設置及び権限)

第十条 建設大臣の諮問に応じて、官庁営繕に関する重要事項を調査審議させるために、建設省に、官庁営繕審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、官庁営繕に関する重要事項について、関係国家機関に対して、意見を述べることができる。

3 審議会は、国家機関の建築物の位置、規模、構造及び建築設備並びに合同庁舎について基準を定め、その実施に関し関係国家機関に対して、勧告することができる。

4 審議会は、官庁営繕に関し必要な事項について、関係国家機関に対して、資料の提出又は報告を求めることができる。

 (審議会の組織等)

第十一条 審議会は、委員二十人以内で組織する。

2 委員は、関係国家機関の職員及び建築に関し学識経験のある者のうちから、建設大臣が任命する。

3 委員は、非常勤とする。

4 学識経験のある者のうちから任命された委員の任期は、二年とする。但し、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 前項の委員は、再任されることができる。

6 前各項に定めるものを除く外、審議会の事務をつかさどる機関及び審議会の議事の運営その他審議会に関し必要な事項は、政令で定める。

 (官庁営繕に関する報告)

第十二条 建設大臣は、関係国家機関に対して、この法律の施行に関して必要な報告又は統計の資料の提出を求めることができる。

附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三月をこえない期間内において政令で定める日から施行する。但し、第七条の規定は、昭和二十七年四月一日から施行する。

 (建設省設置法の改正)

2 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条第二十六号の二の次に次の一号を加える。

  二十六の三 官庁営繕法(昭和二十六年法律第百八十一号)の施行に関する事務を行うこと。

  第四条第四項中「同条第二十六号の二に規定する事務(他の局及び地理調査所の所掌に属するものを除く。)」の下に「、同条第二十六号の三に規定する事務」を加える。

  第四条第五項中「第二十六号の二に規定する事務で建物の建設に関するもの」の下に「並びに第二十六号の三に規定する事務」を加える。

  第十条第一項の表中一級建築士試験委員の項の次に次の一項を加える。

官庁営繕審議会

建設大臣の諮問に応じて官庁営繕に関する重要事項を調査審議し、当該事項について関係国家機関に勧告し、その他官庁営繕法に基く権限を行うこと。

(内閣総理大臣・法務総裁・外務・大蔵・文部・厚生・農林・通商産業・運輸・郵政・電気通信・労働・建設大臣・経済安定本部総裁署名) 

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