労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律
法律第四十二号(平八・五・二二)
(労働者災害補償保険法の一部改正)
第一条 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の一部を次のように改正する。
第三十五条第二項中「前項」を「第一項」に、「又は」を「及び前二項の」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。
前項の審査請求をしている者は、審査請求をした日から三箇月を経過しても審査請求についての決定がないときは、当該審査請求に係る処分について、決定を経ないで、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
第三十六条中「審査請求及び」の下に「同条第一項又は第二項の」を加える。
第三十七条に次のただし書を加える。
ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 再審査請求がされた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。
二 再審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるときその他その裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
(雇用保険法の一部改正)
第二条 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)の一部を次のように改正する。
第六十九条第三項中「審査請求及び」の下に「同項又は第二項の」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に、「又は」を「及び前二項の」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の審査請求をしている者は、審査請求をした日の翌日から起算して三箇月を経過しても審査請求についての決定がないときは、当該審査請求に係る処分について、決定を経ないで、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
第七十一条に次のただし書を加える。
ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 再審査請求がされた日の翌日から起算して三箇月を経過しても裁決がないとき。
二 再審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるときその他その裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
(労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正)
第三条 労働保険審査官及び労働保険審査会法(昭和三十一年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第十七条の二に次の一項を加える。
3 労働者災害補償保険法第三十五条第二項又は雇用保険法第六十九条第二項の規定による再審査請求がされたときは、第四十九条第三項各号に掲げる場合を除き、当該再審査請求がされた審査請求は、取り下げられたものとみなす。
第二十五条第一項中「第三十五条第一項」を「第三十五条」に、「第六十九条第一項」を「第六十九条」に改める。
第二十六条中「六人」を「九人」に改め、同条に次の一項を加える。
2 委員のうち三人は、非常勤とすることができる。
第三十二条第一項中「より」の下に「常勤の委員のうちから」を加え、同条第三項中「委員」を「常勤の委員」に改める。
第三十三条の二第三項中「委員」を「常勤の委員」に改める。
第三十三条の三第一項中「四人」を「六人」に改め、同条第三項中「の三人」を「の五人」に、「決し、可否それぞれ三人のときは、審査長の決するところによる」を「決する」に改める。
第三十五条中「委員」を「常勤の委員」に改め、同条に次の一項を加える。
2 非常勤の委員は、在任中、前項第一号に該当する行為をしてはならない。
第三十六条中「四人」を「六人」に改める。
第三十八条第一項中「再審査請求」を「労働者災害補償保険法第三十五条第一項又は雇用保険法第六十九条第一項の規定による再審査請求」に改め、同条第三項中「再審査請求」を「第一項に規定する再審査請求」に改める。
第四十六条第一項第六号中「第三十五条第一項」を「第三十五条」に改める。
第四十九条を次のように改める。
(再審査請求の取下げ)
第四十九条 再審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも、再審査請求を取り下げることができる。
2 再審査請求の取下げは、文書でしなければならない。
3 労働者災害補償保険法第三十五条第二項又は雇用保険法第六十九条第二項の規定による再審査請求がされたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に掲げる再審査請求は、取り下げられたものとみなす。
一 労働者災害補償保険審査官又は雇用保険審査官において当該再審査請求がされた日以前に審査請求に係る原処分の全部を取り消す旨の決定書の謄本を発している場合 当該再審査請求
二 労働者災害補償保険審査官又は雇用保険審査官において当該再審査請求がされた日以前に審査請求に係る原処分の一部を取り消す旨の決定書の謄本を発している場合 その部分についての再審査請求
第五十条中「第十七条の二」を「第十八条」に改める。
第五十二条中「三万円」を「二十万円」に改める。
第五十三条中「一万円」を「十万円」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成八年七月一日から施行する。ただし、第三条中労働保険審査官及び労働保険審査会法第五十二条及び第五十三条の改正規定は公布の日から起算して二十日を経過した日から、附則第五条第一項及び第二項の規定は公布の日から施行する。
(第一条の規定の施行に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前にされた労働者災害補償保険法第三十五条第一項の審査請求のうち、施行日の前日において当該審査請求がされた日の翌日から起算して三箇月を経過しており、かつ、施行日の前日までに労働者災害補償保険審査官の決定がないもの(次項において「労災保険に関する未決定の三箇月経過審査請求」という。)に係る処分の取消しの訴えについては、第一条の規定による改正後の労働者災害補償保険法(以下「新労災保険法」という。)第三十七条の規定にかかわらず、その取消しの訴えを提起することができる。ただし、当該処分について、その取消しの訴えを提起する前に、新労災保険法第三十五条第二項の規定による再審査請求をしたときは、この限りでない。
2 労災保険に関する未決定の三箇月経過審査請求に係る処分について、その取消しの訴えが施行日前に提起されていたとき又は前項の規定により提起されたときは、当該労災保険に関する未決定の三箇月経過審査請求については、新労災保険法第三十五条第二項の規定は適用しない。
(第二条の規定の施行に伴う経過措置)
第三条 施行日前にされた雇用保険法第六十九条第一項の審査請求のうち、施行日の前日において当該審査請求がされた日の翌日から起算して三箇月を経過しており、かつ、施行日の前日までに雇用保険審査官の決定がないもの(次項において「雇用保険に関する未決定の三箇月経過審査請求」という。)に係る処分の取消しの訴えについては、第二条の規定による改正後の雇用保険法(以下「新雇用保険法」という。)第七十一条の規定にかかわらず、その取消しの訴えを提起することができる。ただし、当該処分について、その取消しの訴えを提起する前に、新雇用保険法第六十九条第二項の規定による再審査請求をしたときは、この限りでない。
2 雇用保険に関する未決定の三箇月経過審査請求に係る処分について、その取消しの訴えが施行日前に提起されていたとき又は前項の規定により提起されたときは、当該雇用保険に関する未決定の三箇月経過審査請求については、新雇用保険法第六十九条第二項の規定は適用しない。
(第三条の規定の施行に伴う経過措置)
第四条 施行日前にされた労働者災害補償保険法第三十五条第一項又は雇用保険法第六十九条第一項の再審査請求のうち、施行日の前日までに第三条の規定による改正前の労働保険審査官及び労働保険審査会法第四十九条第二項又は第三項の規定により労働者災害補償保険審査官又は雇用保険審査官に差し戻されたものについては、次項及び第三項の規定を除き、なお従前の例による。
2 前項の再審査請求のうち施行日の前日までに労働者災害補償保険審査官又は雇用保険審査官の決定がないものに係る原処分については、その決定を経ないで、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。ただし、当該原処分について、労働保険審査会に対して当該再審査請求をする前に、その取消しの訴えを提起していたときは、この限りでない。
3 前項の規定による再審査請求がされたときは、当該再審査請求に係る原処分の取消しの訴えについては、新労災保険法第三十七条及び新雇用保険法第七十一条中「再審査請求」とあるのは、「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律(平成八年法律第四十二号)附則第四条第二項の規定による再審査請求」として、これらの規定を適用する。
第五条 この法律の施行に伴い新たに任命されることとなる委員については、労働保険審査官及び労働保険審査会法(以下「労審法」という。)第二十七条第一項に規定する委員の任命のために必要な行為は、施行日前においても行うことができる。
2 労審法第二十七条第二項及び第三項の規定は、この法律の施行に伴い新たに任命されることとなる委員の任命について準用する。
3 この法律の施行に伴い新たに任命される委員の任期は、労審法第二十八条第一項本文の規定にかかわらず、内閣総理大臣の定めるところにより、一人は三年とし、一人は二年とし、一人は一年とする。
(特別職の職員の給与に関する法律の一部改正)
第六条 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。
第一条第十二号の二を次のように改める。
十二の二 労働保険審査会の常勤の委員
第一条第十八号の二の次に次の一号を加える。
十八の三 労働保険審査会の非常勤の委員
別表第一官職名の欄中「労働保険審査会委員」を「労働保険審査会の常勤の委員」に改める。
(大蔵・労働・内閣総理大臣署名)