弁護士法の一部を改正する法律

法律第四十一号(平一三・六・八)

 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第四章 弁護士の権利及び義務(第二十条―第三十条)」を

第四章 弁護士の権利及び義務(第二十条―第三十条)

第四章の二 弁護士法人(第三十条の二―第三十条の二十七)

に改める。

 第二十五条中「左に」を「次に」に、「但し、第三号」を「ただし、第三号及び第九号」に改め、同条第一号中「事件。」を「事件」に改め、同条第二号中「基く」を「基づく」に、「もの。」を「もの」に改め、同条第三号から第五号までの規定中「事件。」を「事件」に改め、同条に次の四号を加える。

 六 第三十条の二第一項に規定する法人の社員又は使用人である弁護士としてその業務に従事していた期間内に、その法人が相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であつて、自らこれに関与したもの

 七 第三十条の二第一項に規定する法人の社員又は使用人である弁護士としてその業務に従事していた期間内に、その法人が相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものであつて、自らこれに関与したもの

 八 第三十条の二第一項に規定する法人の社員又は使用人である場合に、その法人が相手方から受任している事件

 九 第三十条の二第一項に規定する法人の社員又は使用人である場合に、その法人が受任している事件(当該弁護士が自ら関与しているものに限る。)の相手方からの依頼による他の事件

 第四章の次に次の一章を加える。

   第四章の二 弁護士法人

 (設立等)

第三十条の二 弁護士は、この章の定めるところにより、第三条に規定する業務を行うことを目的とする法人(以下「弁護士法人」という。)を設立することができる。

2 第一条の規定は、弁護士法人について準用する。

 (名称)

第三十条の三 弁護士法人は、その名称中に弁護士法人という文字を使用しなければならない。

 (社員の資格)

第三十条の四 弁護士法人の社員は、弁護士でなければならない。

2 次に掲げる者は、社員となることができない。

 一 第五十六条又は第六十条の規定により業務の停止の懲戒を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者

 二 第五十六条又は第六十条の規定により弁護士法人が除名され、又は弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合において、その処分を受けた日以前三十日内にその社員であつた者でその処分を受けた日から三年(弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合にあつては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの

 (業務の範囲)

第三十条の五 弁護士法人は、第三条に規定する業務を行うほか、定款で定めるところにより、法令等に基づき弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができる。

 (訴訟関係事務の取扱い)

第三十条の六 弁護士法人は、次に掲げる事務については、依頼者からその社員又は使用人である弁護士(以下「社員等」という。)に行わせる事務の委託を受けるものとする。この場合において、当該弁護士法人は、依頼者に、当該弁護士法人の社員等のうちからその代理人、弁護人、付添人又は補佐人を選任させなければならない。

 一 裁判所における事件(刑事に関するものを除く。)の手続についての代理又は補佐

 二 刑事に関する事件の手続についての代理、刑事に関する事件における弁護人としての活動、少年の保護事件における付添人としての活動又は逃亡犯罪人引渡審査請求事件における補佐

2 弁護士法人は、前項に規定する事務についても、社員等がその業務の執行に関し注意を怠らなかつたことを証明しなければ、依頼者に対する損害賠償の責めを免れることはできない。

 (登記)

第三十条の七 弁護士法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。

2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (設立の手続)

第三十条の八 弁護士法人を設立するには、その社員になろうとする弁護士が、定款を定めなければならない。

2 商法(明治三十二年法律第四十八号)第百六十七条の規定は、弁護士法人の定款について準用する。

3 定款には、少なくとも次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 法律事務所の所在地

 四 所属弁護士会

 五 社員の氏名、住所及び所属弁護士会

 六 社員の出資に関する事項

 七 業務の執行に関する事項

 (成立の時期)

第三十条の九 弁護士法人は、その主たる法律事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。

 (成立の届出)

第三十条の十 弁護士法人は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記簿の謄本及び定款の写しを添えて、その旨を所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。

 (定款の変更)

第三十条の十一 弁護士法人は、定款を変更したときは、変更の日から二週間以内に、変更に係る事項を所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。

 (業務の執行)

第三十条の十二 弁護士法人の社員は、定款で別段の定めがある場合を除き、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負う。

 (法人の代表)

第三十条の十三 弁護士法人の業務を執行する社員は、各自弁護士法人を代表する。

2 前項の規定は、定款又は総社員の同意によつて、業務を執行する社員中特に弁護士法人を代表すべき社員を定めることを妨げない。

 (指定社員)

第三十条の十四 弁護士法人は、特定の事件について、業務を担当する社員を指定することができる。

2 前項の規定による指定がされた事件(以下「指定事件」という。)については、指定を受けた社員(以下「指定社員」という。)のみが業務を執行する権利を有し、義務を負う。

3 指定事件については、前条の規定にかかわらず、指定社員のみが弁護士法人を代表する。

4 弁護士法人は、第一項の規定による指定をしたときは、指定事件の依頼者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。

5 依頼者は、その依頼に係る事件について、弁護士法人に対して、相当の期間を定め、その期間内に第一項の規定による指定をするかどうかを明らかにすることを求めることができる。この場合において、弁護士法人が、その期間内に前項の通知をしないときは、弁護士法人は、その後において、指定をすることができない。ただし、依頼者の同意を得て指定をすることを妨げない。

6 指定事件について、委任事務の結了前に指定社員が欠けたときは、弁護士法人は、新たな指定をしなければならない。その指定がされなかつたときは、全社員を指定したものとみなす。

7 社員が一人の弁護士法人が、事件の依頼を受けたときは、その社員を指定したものとみなす。

 (社員の責任)

第三十条の十五 弁護士法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、各社員は、連帯してその弁済の責めに任ずる。

2 弁護士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。

3 前項の規定は、社員が弁護士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。

4 前条第一項の規定による指定がされ、同条第四項の規定による通知がされている場合(同条第六項又は第七項の規定により指定したものとみなされる場合を含む。)において、指定事件に関し依頼者に対して負担することとなつた弁護士法人の債務をその弁護士法人の財産をもつて完済することができないときは、第一項の規定にかかわらず、指定社員(指定社員であつた者を含む。以下この条において同じ。)が、連帯してその弁済の責めに任ずる。ただし、脱退した指定社員が脱退後の事由により生じた債務であることを証明した場合は、この限りでない。

5 前項の場合において、指定事件に関し依頼者に生じた債権に基づく弁護士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときは、指定社員が、弁護士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した場合を除き、同項と同様とする。

6 第四項の場合において、指定を受けていない社員が指定の前後を問わず指定事件に係る業務に関与したときは、当該社員は、その関与に当たり注意を怠らなかつたことを証明した場合を除き、指定社員が前二項の規定により負う責任と同一の責任を負う。弁護士法人を脱退した後も同様とする。

7 商法第九十三条の規定は、弁護士法人の社員の脱退について準用する。ただし、同条第一項及び第二項の規定は、第四項の場合において、指定事件に関し依頼者に対して負担することとなつた弁護士法人の債務については、準用しない。

 (社員の常駐)

第三十条の十六 弁護士法人は、その法律事務所に、当該法律事務所の所在する地域の弁護士会(その地域に二個以上の弁護士会があるときは、当該弁護士法人の所属弁護士会。以下この条において同じ。)の会員である社員を常駐させなければならない。ただし、従たる法律事務所については、当該法律事務所の所在する地域の弁護士会が当該法律事務所の周辺における弁護士の分布状況その他の事情を考慮して常駐しないことを許可したときは、この限りでない。

 (特定の事件についての業務の制限)

第三十条の十七 弁護士法人は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その業務を行つてはならない。ただし、第三号に規定する事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。

 一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件

 二 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの

 三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件

 四 社員等が相手方から受任している事件

 五 第二十五条第一号から第七号までに掲げる事件として社員の半数以上の者が職務を行つてはならないこととされる事件

 (他の弁護士法人への加入の禁止等)

第三十条の十八 弁護士法人の社員は、他の弁護士法人の社員となつてはならない。

2 弁護士法人の社員は、他の社員の承諾がなければ、自己又は第三者のために、その弁護士法人の業務の範囲に属する業務を行つてはならない。ただし、法令により官公署の委嘱した事項を行うときは、この限りでない。

 (弁護士法人の社員等の汚職行為の禁止)

第三十条の十九 弁護士法人の社員等は、その弁護士法人が受任している事件に関し、相手方から利益の供与を受け、又はその供与の要求若しくは約束をしてはならない。

2 弁護士法人の社員等は、その弁護士法人が受任している事件に関し、相手方から当該弁護士法人に利益を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしてはならない。

 (弁護士の義務等の規定の準用)

第三十条の二十 第二十条第一項及び第二項、第二十一条、第二十二条、第二十三条の二、第二十四条並びに第二十七条から第二十九条までの規定は、弁護士法人について準用する。

 (法定脱退)

第三十条の二十一 弁護士法人の社員は、次に掲げる理由によつて脱退する。

 一 定款に定める理由の発生

 二 総社員の同意

 三 死亡

 四 第六条第一号又は第三号から第五号までのいずれかに該当することとなつたとき。

 五 第十一条の規定による登録取消の請求をしたとき。

 六 第五十七条第一項第二号から第四号までに規定する処分を受けたとき又は第十三条第一項の規定による登録取消が確定したとき。

 七 第三十条の二十七第五項において準用する商法第八十六条第一項の規定による除名

 (解散)

第三十条の二十二 弁護士法人は、次に掲げる理由によつて解散する。

 一 定款に定める理由の発生

 二 総社員の同意

 三 他の弁護士法人との合併

 四 破産

 五 解散を命じる裁判

 六 第五十六条又は第六十条の規定による除名

 七 社員の欠亡

2 弁護士法人は、前項第三号及び第六号の事由以外の事由により解散したときは、解散の日から二週間以内に、その旨を所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。

 (弁護士法人の継続)

第三十条の二十三 清算人は、社員の死亡により前条第一項第七号に該当するに至つた場合に限り、当該社員の相続人(第三十条の二十七第七項において準用する商法第百四十四条の規定により社員の権利を行使する者が定められている場合にはその者)の同意を得て、新たに社員を加入させて弁護士法人を継続することができる。

 (解散を命じる裁判)

第三十条の二十四 商法第五十八条、第五十九条及び第百十二条の規定は、弁護士法人の解散について準用する。この場合において、同法第五十八条及び第五十九条第一項中「株主」とあるのは、「社員」と読み替えるものとする。

2 法務大臣は、前項において準用する商法第五十八条第一項の規定による解散命令を請求しようとするときは、あらかじめ、日本弁護士連合会の意見を聴くものとする。

 (清算)

第三十条の二十五 弁護士法人の清算人は、弁護士でなければならない。

2 清算人は、清算が結了したときは、清算結了の登記後速やかに、登記簿の謄本を添えて、その旨を当該弁護士法人の所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。

 (合併)

第三十条の二十六 弁護士法人は、総社員の同意があるときは、他の弁護士法人と合併することができる。

2 合併は、合併後存続する弁護士法人又は合併によつて設立した弁護士法人が、その主たる法律事務所の所在地において登記をすることによつて、その効力を生ずる。

3 弁護士法人は、合併したときは、合併の日から二週間以内に、登記簿の謄本(合併によつて設立した弁護士法人にあつては、登記簿の謄本及び定款の写し)を添えて、その旨を所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。

 (民法の準用等)

第三十条の二十七 民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十条、第五十五条、第八十一条及び第八十二条並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条、第百二十六条第一項、第百三十四条から第百三十五条ノ五まで、第百三十五条ノ八、第百三十六条ノ二、第百三十七条、第百三十八条及び第百三十八条ノ三の規定は、弁護士法人について準用する。この場合において、同法第百三十六条ノ二において準用する同法第百三十五条ノ二十五第二項中「会社ノ業務ヲ監督スル官庁」とあるのは、「日本弁護士連合会」と読み替えるものとする。

2 商法第三十二条から第三十六条までの規定は、弁護士法人の帳簿その他の書類について準用する。

3 商法第六十八条、第六十九条、第七十二条、第七十三条及び第七十五条の規定は、弁護士法人の内部の関係について準用する。

4 商法第七十七条から第七十九条まで及び第八十一条から第八十三条までの規定は、弁護士法人の外部の関係について準用する。

5 商法第八十四条、第八十六条第一項及び第二項(除名及び代表権の喪失に関する部分に限る。)並びに第八十七条から第九十二条までの規定は、弁護士法人の社員の脱退について準用する。この場合において、同法第八十六条第一項第二号中「第七十四条第一項」とあるのは、「弁護士法第三十条の十八」と読み替えるものとする。

6 商法第百条、第百三条から第百六条まで及び第百九条から第百十一条までの規定は、弁護士法人の合併について準用する。

7 商法第百十六条から第百十九条まで、第百二十条から第百二十二条まで、第百二十四条第一項及び第二項、第百二十五条、第百二十六条、第百二十八条から第百三十三条まで、第百三十四条ノ二から第百三十六条まで、第百三十八条並びに第百四十三条から第百四十五条までの規定は、弁護士法人の清算について準用する。この場合において、同法第百十七条第二項及び第百二十二条中「第九十四条第四号又ハ第六号」とあるのは「弁護士法第三十条の二十二第一項第五号乃至第七号」と、商法第百四十五条第一項中「第八十条」とあるのは「弁護士法第三十条の十五」と読み替えるものとする。

8 破産法(大正十一年法律第七十一号)第百二十七条の規定の適用については、弁護士法人は、合名会社とみなす。

 第三十一条第一項中「弁護士の」を「弁護士及び弁護士法人の」に、「弁護士事務」を「弁護士及び弁護士法人の事務」に改める。

 第三十六条の次に次の一条を加える。

 (弁護士法人の入会及び退会)

第三十六条の二 弁護士法人は、その成立の時に、主たる法律事務所の所在する地域の弁護士会(二個以上の弁護士会があるときは、当該弁護士法人が定款に記載した弁護士会)の会員となる。

2 弁護士法人は、所属弁護士会の地域外に法律事務所を設け、又は移転したときは、法律事務所の新所在地においてその旨の登記をした時に、当該法律事務所の所在する地域の弁護士会(二個以上の弁護士会があるときは、当該弁護士法人が定款に記載した弁護士会)の会員となる。

3 弁護士法人は、その法律事務所の移転又は廃止により、所属弁護士会の地域内に法律事務所を有しないこととなつたときは、旧所在地においてその旨の登記をした時に、当該弁護士会を退会するものとする。

4 弁護士法人は、その法律事務所の所在地に二個以上の弁護士会がある場合に限り、定款を変更することにより、所属弁護士会を変更することができる。

5 弁護士法人は、同一の地域にある複数の弁護士会に所属することはできない。

6 弁護士法人は、第二項又は第四項の規定により、新たに弁護士会に入会したときは、入会の日から二週間以内に、登記簿の謄本及び定款の写しを添えて、その旨を当該弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。

7 弁護士法人は、第三項又は第四項の規定により、所属弁護士会を退会したときは、退会の日から二週間以内に、その旨を当該弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。

 第四十一条中「職務」の下に「又は弁護士法人の業務」を加え、「弁護士又は」を「弁護士、弁護士法人又は」に改める。

 第四十二条第二項中「弁護士事務」を「弁護士及び弁護士法人の事務」に改める。

 第四十三条第二項中「(明治三十二年法律第四十八号)」及び「(明治二十九年法律第八十九号)」を削り、「乃至第七十六条」を「から第七十六条まで」に、「乃至第八十条」を「から第八十条まで」に改め、同条第三項中「弁護士は」を「弁護士又は弁護士法人は」に改め、同条第四項中「場合に」の下に「弁護士について」を加える。

 第四十五条第二項中「弁護士の」を「弁護士及び弁護士法人の」に、「弁護士事務」を「弁護士及び弁護士法人の事務」に、「弁護士及び」を「弁護士、弁護士法人及び」に改める。

 第四十七条から第四十九条までの規定中「弁護士及び」を「弁護士、弁護士法人及び」に改める。

 第五十六条第一項中「弁護士は」を「弁護士及び弁護士法人は」に改め、同条第二項中「弁護士の」を「弁護士又は弁護士法人の」に、「基いて」を「基づいて」に改め、同条に次の一項を加える。

3 弁護士会がその地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して行う懲戒の事由は、その地域内にある従たる法律事務所に係るものに限る。

 第五十七条を次のように改める。

 (懲戒の種類)

第五十七条 弁護士に対する懲戒は、次の四種とする。

 一 戒告

 二 二年以内の業務の停止

 三 退会命令

 四 除名

2 弁護士法人に対する懲戒は、次の四種とする。

 一 戒告

 二 二年以内の弁護士法人の業務の停止又はその法律事務所の業務の停止

 三 退会命令(当該弁護士会の地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対するものに限る。)

 四 除名(当該弁護士会の地域内に主たる法律事務所を有する弁護士法人に対するものに限る。)

3 弁護士会は、その地域内に従たる法律事務所のみを有する弁護士法人に対して、前項第二号の懲戒を行う場合にあつては、その地域内にある法律事務所の業務の停止のみを行うことができる。

4 第二項又は前項の規定の適用に当たつては、日本弁護士連合会は、その地域内に当該弁護士法人の主たる法律事務所がある弁護士会とみなす。

 第五十七条の次に次の一条を加える。

 (弁護士法人に対する懲戒に伴う法律事務所の設置移転の禁止)

第五十七条の二 弁護士法人は、特定の弁護士会の地域内にあるすべての法律事務所について業務の停止の懲戒を受けた場合には、当該業務の停止の期間中、その地域内において、法律事務所を設け、又は移転してはならない。

2 弁護士法人は、前条第二項第三号の懲戒を受けた場合には、その処分を受けた日から三年間、当該懲戒を行つた弁護士会の地域内において、法律事務所を設け、又は移転してはならない。

 第五十八条第一項中「弁護士に」を「弁護士又は弁護士法人に」に、「弁護士の」を「弁護士又は弁護士法人の」に改め、同条第二項中「弁護士に」を「弁護士又は弁護士法人に」に改め、同条第三項中「弁護士を」を「弁護士又は弁護士法人を」に改める。

 第六十条中「みずから」を「自ら」に、「弁護士を」を「弁護士又は弁護士法人を」に、「基き」を「基づき」に改める。

 第六十一条第一項中「弁護士に」を「弁護士又は弁護士法人に」に、「弁護士を」を「弁護士若しくは弁護士法人を」に、「また同様」を「、同様」に改める。

 第六十三条に次の四項を加える。

2 懲戒の手続に付された弁護士法人は、その手続が結了するまで、法律事務所の移転又は廃止により、所属弁護士会の地域内に法律事務所を有しないこととなつても、これを退会しないものとする。

3 懲戒の手続に付された弁護士法人は、その手続が結了するまで、第三十六条の二第四項の規定により所属弁護士会を変更することができない。

4 懲戒の手続に付された弁護士法人が、主たる法律事務所を所属弁護士会の地域外に移転したときは、この章の規定の適用については、その手続が結了するまで、旧所在地にも主たる法律事務所があるものとみなす。

5 懲戒の手続に付された弁護士法人は、清算が結了した後においても、この章の規定の適用については、懲戒の手続が結了するまで、なお存続するものとみなす。

 第六十五条第二項中「弁護士の」を「弁護士又は弁護士法人の」に改める。

 第六十七条第一項中「すみやかに」を「速やかに」に、「弁護士に」を「弁護士又は弁護士法人に」に改め、同条第二項中「弁護士」の下に「又は審査を受ける弁護士法人の社員」を加え、「且つ」を「かつ」に、「但し」を「ただし」に改める。

 第七十二条の見出し中「取扱」を「取扱い」に改め、同条中「弁護士」の下に「又は弁護士法人」を加え、「但し」を「ただし」に改める。

 第七十四条中「弁護士でない」を「弁護士又は弁護士法人でない」に改め、同条に次の一項を加える。

3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。

 第七十六条中「第二十六条」の下に「又は第三十条の十九」を加える。

 第七十七条を次のように改める。

 (非弁護士との提携等の罪)

第七十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

 一 第二十七条(第三十条の二十において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

 二 第二十八条(第三十条の二十において準用する場合を含む。)の規定に違反した者

 三 第七十二条の規定に違反した者

 四 第七十三条の規定に違反した者

 第七十七条の次に次の一条を加える。

 (虚偽標示等の罪)

第七十七条の二 第七十四条の規定に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。

 第七十八条及び第七十九条を次のように改める。

 (両罰規定)

第七十八条 弁護士法人の社員等が、その弁護士法人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その弁護士法人に対して当該各号に定める罰金刑を科する。

 一 第七十六条(第三十条の十九に係る部分に限る。) 三百万円以下の罰金刑

 二 第七十七条第一号(第三十条の二十において準用する第二十七条に係る部分に限る。)又は第七十七条第二号(第三十条の二十において準用する第二十八条に係る部分に限る。) 第七十七条の罰金刑

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第七十七条第三号若しくは第四号又は前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

 (過料)

第七十九条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、弁護士法人の社員又は清算人は、三十万円以下の過料に処する。

 一 この法律に基づく政令の規定に違反して登記をすることを怠つたとき。

 二 第三十条の二十七第一項において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産の宣告の請求を怠つたとき。

 三 定款又は第三十条の二十七第二項において準用する商法第三十二条第一項の会計帳簿若しくは貸借対照表に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。

 四 第三十条の二十七第六項において準用する商法第百条第一項又は第三項(同法第百十七条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して合併し、又は財産を処分したとき。

 五 第三十条の二十七第七項において準用する商法第百三十一条の規定に違反して財産を分配したとき。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成十四年四月一日から施行する。

 (民法の一部改正)

第二条 民法の一部を次のように改正する。

  第百七十一条中「弁護士」の下に「又ハ弁護士法人」を加える。

  第百七十二条中「弁護士」の下に「、弁護士法人」を加える。

 (商法の一部改正)

第三条 商法の一部を次のように改正する。

  第百七十三条第三項、第百七十三条ノ二第一項、第百八十一条第三項及び第二百四十六条第三項中「弁護士」の下に「又ハ弁護士法人」を加える。

  第二百六十八条ノ二第一項中「弁護士」の下に「若ハ弁護士法人」を加える。

 (地方自治法等の一部改正)

第四条 次に掲げる法律の規定中「弁護士」の下に「又は弁護士法人」を加える。

 一 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十二条の二第十二項

 二 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第百一条の十四第二項第八号ロ

 三 土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)第十九条第一項

 四 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第八十条第四号、第八十二条第二号及び第九十五条第二号

 五 船舶の所有者等の責任の制限に関する法律(昭和五十年法律第九十四号)第七十五条第一項及び第九十三条第一項

 六 金融先物取引法(昭和六十三年法律第七十七号)第三十四条の十七第二項第八号ロ

 七 保険業法(平成七年法律第百五号)第二十八条第五号及び第九十五条第二項第十号ロ

 八 特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十七号)附則第二条第一項の規定によりなお効力を有するものとされる特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第六十一条第三項及び第七十五条第二項

 九 資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第六十一条第三項、第七十五条第二項及び第百三十五条第三号

 十 債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)第二条第二項、第十八条第八項及び第十九条第一項

 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律等の一部改正)

第五条 次に掲げる法律の規定中「弁護士」の下に「、弁護士法人」を加える。

 一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第五十二条第二項

 二 鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律(昭和二十五年法律第二百九十二号)第三十八条第一項

 三 公害紛争処理法(昭和四十五年法律第百八号)第二十三条の二第一項

 四 新事業創出促進法(平成十年法律第百五十二号)第十一条の六第一項

 五 産業活力再生特別措置法(平成十一年法律第百三十一号)第八条第一項

 (刑事訴訟法の一部改正)

第六条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第七十八条第一項中「弁護士又は」を「弁護士、弁護士法人又は」に、「但し」を「ただし」に改め、同条第二項中「した弁護士」の下に「、弁護士法人」を、「二以上の」及び「一の」の下に「弁護士法人若しくは」を加える。

 (通関業法の一部改正)

第七条 通関業法(昭和四十二年法律第百二十二号)の一部を次のように改正する。

  第三条第五項中「行なう職務」を「行う職務又は同法第三十条の五の規定により弁護士法人が行う業務」に改める。

 (外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部改正)

第八条 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和六十一年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。

  第十条第二項中「おいて弁護士」を「おいて弁護士、弁護士法人」に、「当該弁護士」を「当該弁護士、当該弁護士法人」に改める。

  第四十五条第三項中「弁護士に」を「弁護士又は弁護士法人に」に、「弁護士の」を「弁護士又は弁護士法人の」に改める。

  第四十九条第二項中「弁護士と」を「弁護士若しくは弁護士法人と」に、「弁護士が」を「弁護士若しくは弁護士法人が」に改める。

  第六十三条及び第六十六条中「百万円」を「三百万円」に改める。

  第六十八条中「二十万円」を「百万円」に改める。

 (民事法律扶助法の一部改正)

第九条 民事法律扶助法(平成十二年法律第五十五号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項中「弁護士に」を「弁護士又は弁護士法人に」に改め、同条第二項中「弁護士」の下に「及び弁護士法人」を加える。

(内閣総理・総務・法務・財務・経済産業大臣臨時代理国務署名)

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